JP3546433B2 - 装飾シートの製造法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、極めて微細な凹凸模様を表面に有する装飾シート、衣料および装飾シートの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シート状物の表面に柄模様を賦型する方法としては、模様を彫刻した金属ロールや、樹脂を紙などに塗布し模様を形成した型板などを熱軟化状態のシート表面に圧着する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、上述の方法はいずれも、複雑かつ繊細な柄模様、例えば、繊維組織構造物の模様、たとえば糸形状模様やジャガード組織模様などを形成することが困難で、単純な柄に限定され、しかも他品種小ロットの製品においては、彫刻ロール、型板は極めて高価なものであり、製品コストが高いという欠点を有する。
【0004】
生活様式が多様化し、個人対応が要求されている現在、これらに対応できる賦型物、賦型方法はいまだ提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、極めて微細な凹凸模様を表面に有する表面変化に優れたファッション性に富んだ装飾シート、特に皮革状や、光の干渉によって発現するモアレ模様などの微細な模様模様を有する装飾シートを安定にしかも安価に製造する方法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するため、次の構成を有する。
【0007】
すなわち、本発明の装飾シートの製造法は、熱可塑性樹脂シート状物の少なくとも片面に、間隔または線の太さが0.1〜100μである凹凸模様を有し、かつ、撥水処理された繊維シートを、該撥水処理面が接するように積層した後、加熱押圧し、次いで冷却した後、該撥水処理繊維シートを剥離することを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
本発明は、極めて微細な凹凸模様を有する装飾性に富んだ外観、触感を有するシートを得んとして、鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂シート表面に特定な繊維組織構造物を積層し、加熱押圧したところ、該繊維組織構造物を剥離した後に、該繊維組織構造物の組織構造が明瞭に、しかも繊細に単繊維単位の凹凸模様が賦型されることを究明して完成されたものである。
【0009】
本発明の熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂など、一般に使用されている樹脂熱可塑性樹脂であれば、すべて使用することができる。これらの中でもポリウレタン系、ポリオレフィン系の樹脂、それも粘弾性に優れたエラストマーが好ましく使用される。特にポリオレフィンエラストマー、アイオノマーが優れた賦型性を示すので好ましい。具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン−3元共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属架橋樹脂等を使用することができる。
【0010】
本発明の製造方法によって得られる装飾シートは、間隔や線の太さが0.1〜100μであるという極めて微細な凹凸模様を有する点に特徴を有する。しかも、かかる凹凸模様が刻設された模様であるところにも特徴を有する。かかる凹凸模様は、深さの点においても、極めて微細で、好ましくは1μ程度の深さのものまで鮮明に確認することができるという特徴を有する。
【0011】
かかる特徴は、熱可塑性樹脂に刻設する際に、特定な処理を施した刻設シートを使用すること、好ましくは該熱可塑性樹脂も特定であることに起因するものである。すなわち、刻設模様を有する刻設シートとして、織物、編物、不織布などやこれらの複合布帛、積層布帛を含む繊維シートであって、少なくとも刻設に使用する表面を撥水処理したものを使用する。この撥水処理表面が、軟化された樹脂の流動性に好都合に相乗して機能して、微細な凹凸まで表現することができたものである。かかる撥水剤としては、弗素系、シリコーン系、ワックス系の樹脂などを使用することができるが、好ましくは前2者が鮮明な刻設模様を形成する上でよい。かかる薬剤は、刻設シート中に痕跡程度残存することがあるが、製品の特性には関係ないので差し支えない。
【0012】
本発明の製造方法によれば、装飾シートに、たとえば薄地の布帛を複数枚重ねときに、モアレ模様が出る該布帛を用いて後述する手段で刻設された刻設模様は、前記積層布帛の場合と同様に、光の干渉によって、モアレを惹起するという優れた微細凹凸まで表現することができる。
【0013】
かかる微細凹凸を有する装飾シートは、好ましくは布帛を裏面に積層して、寸法安定性を付与することができる。かかる布帛積層装飾シートは、裁断、縫製することにより、衣料として好適に使用することができる。
【0014】
次に、本発明の装飾シートを製造する方法について、さらに詳細に説明する。
【0015】
まず、熱可塑性樹脂シート状物を製造する方法としては、例えば、エクストルーダーに樹脂チップを導入し加熱溶融してTダイからシート状に押し出す溶融ラミネート法、または、加熱された金属ロール間で樹脂を溶融しシート状に成型するカレンダー法、または、繊維布帛に樹脂溶液をコーティングし、湿式あるいは乾式で製膜するコーティング法など公知のシート化法を採用することができる。かかる樹脂シートは、あらかじめ顔料あるいは染料などの色素で染色されていても良く、シート形成後または微細凹凸を賦型した後に染色してもよい。
【0016】
かかる樹脂シートの片面に、微細凹凸を有する刻設シートの模様(たとえば、繊維組織構造物の組織柄)を付与する方法としては、例えば、Tダイからシート状に押し出された溶融熱可塑性樹脂シートの、たとえば一方の面に該刻設シート(たとえば繊維組織構造物)を挿入し、冷却ロールとプレッシャーロール間でプレスしたのち、該刻設シートを剥離する方法、あるいは、熱カレンダーでシート化する際に少なくとも一方の面に該刻設シートを挿入しプレスし、冷却したのち繊維組織構造物を剥離する方法、さらには、各種方法でシート化したものの表面に繊維組織構造物を積層して、加熱されたロール、あるいは、平板間でプレスする方法を採用することができる。
【0017】
本発明の装飾シートで、モアレ模様を有するシートを形成する方法としては、布帛を二枚以上重ね合わせたときに、モアレ模様が出ることを確認した上で、該布帛を、該樹脂シート上に積層する。すなわち、かかるモアレの形成は、布帛を二枚使用する場合、一方の布帛の柄を賦型した後、冷却し、該布帛を剥離した後、もう一方の布帛を該樹脂シートに積層し、加熱押圧し、冷却後剥離する方法でモアレを形成することができる。3枚以上の場合も、前記方法のように、順に該布帛の一枚一枚の模様を刻設して、剥離して、また刻設するという手段を繰り返すのである。また、溶融押出しラミネート加工法において、布帛、例えば織物をエンドレスに結反しておけば、長尺の柄を刻設した樹脂シートを連続して製造することができる。
【0018】
また、熱可塑性樹脂シートあるいは粉末を金型で成型する際に、刻設シートとして布帛を使用し、これを金型内面に張り付けて置けば、布帛組織や単繊維の微細な模様を有する成型品を得ることができる。
【0019】
本発明の刻設するための繊維シートとしては、布帛、たとえば織物、編物、不織布などやこれらの複合布帛、積層布帛などを使用することができる。上述の布帛としては、たとえば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維など公知の繊維の単独あるいは混合されたものからなる長繊維、あるいは単繊維からなる糸、紐、ロープからなる不織布、編織物などの形態のものが含まれる。
【0020】
かかる刻設するための繊維シートの選定にあたっては、当然の事ながら熱可塑性樹脂の軟化温度以上、好ましくは融点以上の耐熱性を持つ繊維を選択すること、または熱可塑性樹脂シートと前記繊維シートの間に相溶性の乏しいもの、たとえば、オレフィンとポリエステルの組み合わせなどは、シャープで繊細な図柄を形成できる上に、剥離も容易である。
【0021】
かかる刻設用繊維シートは、微細な刻設模様を得るためと、熱プレス後の剥離を容易にするために、撥水処理されているものを使用する。かかる撥水処理とは、通常、繊維組織構造物で実施されている方法を採用することができる。たとえば、フッ素系またはシリコーン系、あるいはワックス系樹脂の単独または二種以上の混合物からなる溶液で、少なくとも刻設しようとする刻設シートの表面を処理する。かかる処理法としては、浸漬したのちマングルで絞るか、あるいは、スプレーで塗布するか、あるいはナイフコーターなどでコーティングし所定量の樹脂液を付与した後に乾燥、熱処理するなどの方法を採用することができる。
【0022】
本発明の刻設用繊維シートは、単一の素材からなるシートに限らず、各種の組み合わせのものを使用することができ、また、何回も再利用することができる。
【0023】
本発明の賦型における温度、押圧条件は、使用する熱可塑性樹脂の種類、製造方式により異なるので、所望の刻設模様(柄)のコンストラストやその深さに応じて決定すればよいが、たとえば、押圧時の温度は熱可塑性樹脂の軟化点より、好ましくは20℃低い温度から該樹脂の融点までの温度範囲、さらに好ましくは軟化点のマイナス10℃からプラス20℃の範囲がよい。押圧の圧力としては、好ましくは2〜80Kg/ cm2 、さらに好ましくは5〜50Kg/ cm2 である。加熱押圧した後の冷却は、加熱押圧加工された樹脂シートの温度が、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下に到達するまで行なうのがよい。
【0024】
かくして製造された装飾シートの表面には、目的に応じて樹脂加工を施すことができる。かかる樹脂加工とは、耐スクラッチ性あるいは皮革様の表面タッチを付与するものである。かかる樹脂加工に使用する樹脂としては、好ましくはウレタン系樹脂がよい。かかるウレタン系樹脂は、ポリオールとジイソシアネートとを反応させたものであって、ポリオールとしては、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどを使用することができ、また、ジイソシアネートとしては、2、4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや脂肪族ジイソシアネートを使用することができる。また、かかる反応系に、1、6−ブタンジオール、ヒドラジン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミンを鎖伸長剤として混合してもよい。かかるウレタン系樹脂として、特に脂肪族有機ジイソシアネートとポリカーボネート系ジオールあるいはポリエーテル系ジオールを用いてなる樹脂は、耐加水分解性や耐変色性などを改善する効果を発揮し、また、さらにポリウレタンとポリアミノ酸との共重合体樹脂、たとえばポリウレタンとN−カルボキシ−α−アミノ酸無水物の付加重合体樹脂などは、表面タッチの改善に有効であり、さらに、かかる樹脂中にコラーゲン、天然皮革、絹あるいは羊毛などの天然物質(粒状物、好ましくは微粉末)を混合することにより、表面タッチに加えて、外観まで天然皮革状にすることができる。
【0025】
かかる樹脂加工は、刻設用繊維シートによる刻設模様の賦型前、あるいは後にグラビアコーター、ナイフコーター、スプレーなどの公知の方法で付与することができるが、賦型後の凹凸が大きい場合は、スプレー法が好ましい。樹脂加工での樹脂層の厚さは、好ましくは3〜80μm 、さらに好ましくは5〜30μm の範囲がよい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1
黒色の顔料を混合したオレフィンエラストマー(ミラストマー9020N 三井石油工業株式会社製)をエクストルーダーにより、押出し温度230℃で400g/分の吐出量でTダイから押出し、表面温度30℃の冷却用ステンレスロールと該押出しシートの間に、刻設用繊維シートとして、次に示す各種ポリエステル織物(東レ株式会社製)を導入し、シリコーンラバーライニングのプレッシャーロールで5Kg/ cm2 の圧力をかけながら2m/分の速度で引き取った。しかる後に、該刻設用繊維シートを剥離して装飾シートを得た。
【0027】
この装飾シートを評価した結果を表1にまとめた。
【0028】
比較として、皮革様柄を有する型板離型紙(リンテックス株式会社製;品番EV−130−TA−7−R−64)を用いて実施例1と同様に刻設処理した。
【0029】
次に、上記実施例で刻設用繊維シートとして使用したポリエステル織物の糸使い、仕上げ密度を表2に示す。
【0030】
このポリエステル織物は、常法により精練あるいはワッシャー解撚し、乾燥した後180℃でヒートセットした。次いでダイアニックス・ブラックBG−FS(三菱化成株式会社製分散染料)14%の濃度で130℃で45分染色し、常法により還元洗浄、水洗、乾燥、ヒートセットした。該黒色織物を東レシリコーンSH8240(シリコーン系撥水剤 東レシリコーン株式会社製)40 g/l 水溶液に浸漬し、マングルで絞り75重量%の付着量に調整した後、130℃で乾燥、180℃でヒートセットしたものを使用した。
【0031】
【表1】
【表2】
表1からも明らかであるが、さらに、これらの装飾シートを顕微鏡で観察すると、実施例のものは、賦型用織物を形成している糸密度とほぼ同等の本数で溝が形成され、単繊維の直径とほぼ同等の幅の凹部が鮮明に刻設されており、単繊維間の約0.5〜10μに相当する溝部分も鮮明に刻設されていた。特に、実施例1のものは、マルチフィラメントの収束状態の異なる120〜300μ幅の経緯糸の集合状態も鮮明で、顕微鏡で観察された刻設模様は、実物の織物と区別がつかないほど近似したものであった。
【0032】
また、装飾シートの表面の反射率(L値〜スガ試験機株式会社製の色差測色計で測定したもので、数値の小さいものほど濃色であることを表す)は、使用した織物間のL値(シリコーン樹脂加工をしていない状態)の差とほぼ同じ値であり、織物組織、糸構造が鮮明に賦型されていることが確認された。
【0033】
また、実施例のものは、一般に行われる皮革模様に比べ濃色に見え、落ち着いた表面状態であることが確認された。特に、実施例3によるものは、紋綸子のジャガード模様が鮮明に賦型され装飾用、衣料用に好適な高級感のある装飾シートであった。
【0034】
実施例1織物を繰り返して使用してみたところ、6回使用しても、全く加工性に問題がなかったが、比較例1の型板離型紙は3回目で樹脂から剥離しにくくなり、該型板離型紙の一部が接着して剥げてきた。
【0035】
実施例4
実施例2で刻設用繊維シートとして使用した織物2枚をモアレが発生するように重ね合わせて実施例1と同様に加工を実施したところ、樹脂シート表面に織物のモアレと同一のモアレが鮮明に形成された装飾シートが得られた。
【0036】
実施例5
実施例2のシート表面に実施例2で刻設用繊維シートとして使用した織物を重ね合わせ、実施例1と同様に加工したところ、鮮明なモアレ模様が表面に形成された装飾シートが得られた。
【0037】
実施例6〜9
和装用の絽織物(東レ株式会社製 ポリエステル繊維織物)を常法により精練、ヒートセットした後、NKガードFGN700(日華化学株式会社製 フッ素系撥水撥油剤)50 g/l 水溶液に浸漬し、マングルで絞り(ウエットピックアップ70%)130℃で乾燥し、180℃でヒートセットした。織物の厚みは0.4mmであった。該織物(賦型用織物)を、刻設用繊維シートとして使用して、実施例1と同様にプレッシャーロールの圧力を変えて織物模様を賦型した結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
表3から明らかなように、賦型用織物の厚さの20%以上の深さで賦型されたものは、織物の組織構造模様が鮮明であった。なお、柄の深さは、シート断面の電子顕微鏡写真を撮影して測定したものである。
【0039】
実施例10
刻設用繊維シートとして、ポリエステル単繊維直径が、2.5μのフィラメント糸使いタフタ(東レ株式会社製)を用いて、実施例1と同様にシリコーン樹脂で撥水処理した後、刻設加工を実施して装飾シートを得た。
【0040】
このシートに形成された凹部は、直径2.8μで、糸形状、織物組織構造が鮮明に刻設されており、具体的には、単繊維間の接触部や空隙の約0.1〜5μに相当する溝構造が鮮明に刻設されていた。
【0041】
実施例11
ナイロン糸使いタフタ(東レ株式会社製)の片面に、次の樹脂組成物を、ナイフコーターで900 g/ m2 コーティングした後、湿式凝固して透湿性樹脂被膜を形成した。
【0042】
(樹脂組成物)
ポリウレタン樹脂 100部
(大日本インキ化学工業株式会社製:クリスボン8006HV)
着色剤 10部
(大日本インキ化学工業株式会社製:ダイラックLカラー)
成膜助剤 1部
(大日本インキ化学工業株式会社製:クリスボンアシスターSD−7)
成膜助剤 2.5部
(大日本インキ化学工業株式会社製:クリスボンアシスターSD−11 )
溶剤(ジメチルホルムアミド) 200部
湿式凝固は、水と上記溶剤の混合液(重量比:90/10)を30℃に調整し、これに上記コーティング布帛を5分間浸漬し、次いで50℃の温水で洗浄し、脱水した後、120℃で乾燥する条件を採用した。
【0043】
このコーティング布帛の被膜面に実施例3で刻設用繊維シートとして使用した撥水処理織物を重ね、140℃に加熱された平板プレス機で10Kg/cm2 の圧力で押圧して刻設処理したところ、コーティング樹脂表面に、ジャガードの紋織模様が鮮明に刻設されたフアッョン性に富んだ装飾シートが得られた。
【0044】
この装飾シートを、裁断、縫製して、コートを作成した。このコートの外観は、気品に満ちた透湿性を併せ持つ皮革状コートであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、皮革状物や繊維組織構造物の柄模様を鮮明に、安定に付与でき、新しい感覚の壁装材、天井材などの建築用内装材、家具用や椅子用表皮材、衣料、袋物など多種多様の用途に適した装飾性シート材を生産性良く、安価に提供し得る。
【産業上の利用分野】
本発明は、極めて微細な凹凸模様を表面に有する装飾シート、衣料および装飾シートの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シート状物の表面に柄模様を賦型する方法としては、模様を彫刻した金属ロールや、樹脂を紙などに塗布し模様を形成した型板などを熱軟化状態のシート表面に圧着する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、上述の方法はいずれも、複雑かつ繊細な柄模様、例えば、繊維組織構造物の模様、たとえば糸形状模様やジャガード組織模様などを形成することが困難で、単純な柄に限定され、しかも他品種小ロットの製品においては、彫刻ロール、型板は極めて高価なものであり、製品コストが高いという欠点を有する。
【0004】
生活様式が多様化し、個人対応が要求されている現在、これらに対応できる賦型物、賦型方法はいまだ提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、極めて微細な凹凸模様を表面に有する表面変化に優れたファッション性に富んだ装飾シート、特に皮革状や、光の干渉によって発現するモアレ模様などの微細な模様模様を有する装飾シートを安定にしかも安価に製造する方法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するため、次の構成を有する。
【0007】
すなわち、本発明の装飾シートの製造法は、熱可塑性樹脂シート状物の少なくとも片面に、間隔または線の太さが0.1〜100μである凹凸模様を有し、かつ、撥水処理された繊維シートを、該撥水処理面が接するように積層した後、加熱押圧し、次いで冷却した後、該撥水処理繊維シートを剥離することを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
本発明は、極めて微細な凹凸模様を有する装飾性に富んだ外観、触感を有するシートを得んとして、鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂シート表面に特定な繊維組織構造物を積層し、加熱押圧したところ、該繊維組織構造物を剥離した後に、該繊維組織構造物の組織構造が明瞭に、しかも繊細に単繊維単位の凹凸模様が賦型されることを究明して完成されたものである。
【0009】
本発明の熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂など、一般に使用されている樹脂熱可塑性樹脂であれば、すべて使用することができる。これらの中でもポリウレタン系、ポリオレフィン系の樹脂、それも粘弾性に優れたエラストマーが好ましく使用される。特にポリオレフィンエラストマー、アイオノマーが優れた賦型性を示すので好ましい。具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン−3元共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属架橋樹脂等を使用することができる。
【0010】
本発明の製造方法によって得られる装飾シートは、間隔や線の太さが0.1〜100μであるという極めて微細な凹凸模様を有する点に特徴を有する。しかも、かかる凹凸模様が刻設された模様であるところにも特徴を有する。かかる凹凸模様は、深さの点においても、極めて微細で、好ましくは1μ程度の深さのものまで鮮明に確認することができるという特徴を有する。
【0011】
かかる特徴は、熱可塑性樹脂に刻設する際に、特定な処理を施した刻設シートを使用すること、好ましくは該熱可塑性樹脂も特定であることに起因するものである。すなわち、刻設模様を有する刻設シートとして、織物、編物、不織布などやこれらの複合布帛、積層布帛を含む繊維シートであって、少なくとも刻設に使用する表面を撥水処理したものを使用する。この撥水処理表面が、軟化された樹脂の流動性に好都合に相乗して機能して、微細な凹凸まで表現することができたものである。かかる撥水剤としては、弗素系、シリコーン系、ワックス系の樹脂などを使用することができるが、好ましくは前2者が鮮明な刻設模様を形成する上でよい。かかる薬剤は、刻設シート中に痕跡程度残存することがあるが、製品の特性には関係ないので差し支えない。
【0012】
本発明の製造方法によれば、装飾シートに、たとえば薄地の布帛を複数枚重ねときに、モアレ模様が出る該布帛を用いて後述する手段で刻設された刻設模様は、前記積層布帛の場合と同様に、光の干渉によって、モアレを惹起するという優れた微細凹凸まで表現することができる。
【0013】
かかる微細凹凸を有する装飾シートは、好ましくは布帛を裏面に積層して、寸法安定性を付与することができる。かかる布帛積層装飾シートは、裁断、縫製することにより、衣料として好適に使用することができる。
【0014】
次に、本発明の装飾シートを製造する方法について、さらに詳細に説明する。
【0015】
まず、熱可塑性樹脂シート状物を製造する方法としては、例えば、エクストルーダーに樹脂チップを導入し加熱溶融してTダイからシート状に押し出す溶融ラミネート法、または、加熱された金属ロール間で樹脂を溶融しシート状に成型するカレンダー法、または、繊維布帛に樹脂溶液をコーティングし、湿式あるいは乾式で製膜するコーティング法など公知のシート化法を採用することができる。かかる樹脂シートは、あらかじめ顔料あるいは染料などの色素で染色されていても良く、シート形成後または微細凹凸を賦型した後に染色してもよい。
【0016】
かかる樹脂シートの片面に、微細凹凸を有する刻設シートの模様(たとえば、繊維組織構造物の組織柄)を付与する方法としては、例えば、Tダイからシート状に押し出された溶融熱可塑性樹脂シートの、たとえば一方の面に該刻設シート(たとえば繊維組織構造物)を挿入し、冷却ロールとプレッシャーロール間でプレスしたのち、該刻設シートを剥離する方法、あるいは、熱カレンダーでシート化する際に少なくとも一方の面に該刻設シートを挿入しプレスし、冷却したのち繊維組織構造物を剥離する方法、さらには、各種方法でシート化したものの表面に繊維組織構造物を積層して、加熱されたロール、あるいは、平板間でプレスする方法を採用することができる。
【0017】
本発明の装飾シートで、モアレ模様を有するシートを形成する方法としては、布帛を二枚以上重ね合わせたときに、モアレ模様が出ることを確認した上で、該布帛を、該樹脂シート上に積層する。すなわち、かかるモアレの形成は、布帛を二枚使用する場合、一方の布帛の柄を賦型した後、冷却し、該布帛を剥離した後、もう一方の布帛を該樹脂シートに積層し、加熱押圧し、冷却後剥離する方法でモアレを形成することができる。3枚以上の場合も、前記方法のように、順に該布帛の一枚一枚の模様を刻設して、剥離して、また刻設するという手段を繰り返すのである。また、溶融押出しラミネート加工法において、布帛、例えば織物をエンドレスに結反しておけば、長尺の柄を刻設した樹脂シートを連続して製造することができる。
【0018】
また、熱可塑性樹脂シートあるいは粉末を金型で成型する際に、刻設シートとして布帛を使用し、これを金型内面に張り付けて置けば、布帛組織や単繊維の微細な模様を有する成型品を得ることができる。
【0019】
本発明の刻設するための繊維シートとしては、布帛、たとえば織物、編物、不織布などやこれらの複合布帛、積層布帛などを使用することができる。上述の布帛としては、たとえば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維など公知の繊維の単独あるいは混合されたものからなる長繊維、あるいは単繊維からなる糸、紐、ロープからなる不織布、編織物などの形態のものが含まれる。
【0020】
かかる刻設するための繊維シートの選定にあたっては、当然の事ながら熱可塑性樹脂の軟化温度以上、好ましくは融点以上の耐熱性を持つ繊維を選択すること、または熱可塑性樹脂シートと前記繊維シートの間に相溶性の乏しいもの、たとえば、オレフィンとポリエステルの組み合わせなどは、シャープで繊細な図柄を形成できる上に、剥離も容易である。
【0021】
かかる刻設用繊維シートは、微細な刻設模様を得るためと、熱プレス後の剥離を容易にするために、撥水処理されているものを使用する。かかる撥水処理とは、通常、繊維組織構造物で実施されている方法を採用することができる。たとえば、フッ素系またはシリコーン系、あるいはワックス系樹脂の単独または二種以上の混合物からなる溶液で、少なくとも刻設しようとする刻設シートの表面を処理する。かかる処理法としては、浸漬したのちマングルで絞るか、あるいは、スプレーで塗布するか、あるいはナイフコーターなどでコーティングし所定量の樹脂液を付与した後に乾燥、熱処理するなどの方法を採用することができる。
【0022】
本発明の刻設用繊維シートは、単一の素材からなるシートに限らず、各種の組み合わせのものを使用することができ、また、何回も再利用することができる。
【0023】
本発明の賦型における温度、押圧条件は、使用する熱可塑性樹脂の種類、製造方式により異なるので、所望の刻設模様(柄)のコンストラストやその深さに応じて決定すればよいが、たとえば、押圧時の温度は熱可塑性樹脂の軟化点より、好ましくは20℃低い温度から該樹脂の融点までの温度範囲、さらに好ましくは軟化点のマイナス10℃からプラス20℃の範囲がよい。押圧の圧力としては、好ましくは2〜80Kg/ cm2 、さらに好ましくは5〜50Kg/ cm2 である。加熱押圧した後の冷却は、加熱押圧加工された樹脂シートの温度が、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下に到達するまで行なうのがよい。
【0024】
かくして製造された装飾シートの表面には、目的に応じて樹脂加工を施すことができる。かかる樹脂加工とは、耐スクラッチ性あるいは皮革様の表面タッチを付与するものである。かかる樹脂加工に使用する樹脂としては、好ましくはウレタン系樹脂がよい。かかるウレタン系樹脂は、ポリオールとジイソシアネートとを反応させたものであって、ポリオールとしては、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどを使用することができ、また、ジイソシアネートとしては、2、4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや脂肪族ジイソシアネートを使用することができる。また、かかる反応系に、1、6−ブタンジオール、ヒドラジン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミンを鎖伸長剤として混合してもよい。かかるウレタン系樹脂として、特に脂肪族有機ジイソシアネートとポリカーボネート系ジオールあるいはポリエーテル系ジオールを用いてなる樹脂は、耐加水分解性や耐変色性などを改善する効果を発揮し、また、さらにポリウレタンとポリアミノ酸との共重合体樹脂、たとえばポリウレタンとN−カルボキシ−α−アミノ酸無水物の付加重合体樹脂などは、表面タッチの改善に有効であり、さらに、かかる樹脂中にコラーゲン、天然皮革、絹あるいは羊毛などの天然物質(粒状物、好ましくは微粉末)を混合することにより、表面タッチに加えて、外観まで天然皮革状にすることができる。
【0025】
かかる樹脂加工は、刻設用繊維シートによる刻設模様の賦型前、あるいは後にグラビアコーター、ナイフコーター、スプレーなどの公知の方法で付与することができるが、賦型後の凹凸が大きい場合は、スプレー法が好ましい。樹脂加工での樹脂層の厚さは、好ましくは3〜80μm 、さらに好ましくは5〜30μm の範囲がよい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1
黒色の顔料を混合したオレフィンエラストマー(ミラストマー9020N 三井石油工業株式会社製)をエクストルーダーにより、押出し温度230℃で400g/分の吐出量でTダイから押出し、表面温度30℃の冷却用ステンレスロールと該押出しシートの間に、刻設用繊維シートとして、次に示す各種ポリエステル織物(東レ株式会社製)を導入し、シリコーンラバーライニングのプレッシャーロールで5Kg/ cm2 の圧力をかけながら2m/分の速度で引き取った。しかる後に、該刻設用繊維シートを剥離して装飾シートを得た。
【0027】
この装飾シートを評価した結果を表1にまとめた。
【0028】
比較として、皮革様柄を有する型板離型紙(リンテックス株式会社製;品番EV−130−TA−7−R−64)を用いて実施例1と同様に刻設処理した。
【0029】
次に、上記実施例で刻設用繊維シートとして使用したポリエステル織物の糸使い、仕上げ密度を表2に示す。
【0030】
このポリエステル織物は、常法により精練あるいはワッシャー解撚し、乾燥した後180℃でヒートセットした。次いでダイアニックス・ブラックBG−FS(三菱化成株式会社製分散染料)14%の濃度で130℃で45分染色し、常法により還元洗浄、水洗、乾燥、ヒートセットした。該黒色織物を東レシリコーンSH8240(シリコーン系撥水剤 東レシリコーン株式会社製)40 g/l 水溶液に浸漬し、マングルで絞り75重量%の付着量に調整した後、130℃で乾燥、180℃でヒートセットしたものを使用した。
【0031】
【表1】
【表2】
表1からも明らかであるが、さらに、これらの装飾シートを顕微鏡で観察すると、実施例のものは、賦型用織物を形成している糸密度とほぼ同等の本数で溝が形成され、単繊維の直径とほぼ同等の幅の凹部が鮮明に刻設されており、単繊維間の約0.5〜10μに相当する溝部分も鮮明に刻設されていた。特に、実施例1のものは、マルチフィラメントの収束状態の異なる120〜300μ幅の経緯糸の集合状態も鮮明で、顕微鏡で観察された刻設模様は、実物の織物と区別がつかないほど近似したものであった。
【0032】
また、装飾シートの表面の反射率(L値〜スガ試験機株式会社製の色差測色計で測定したもので、数値の小さいものほど濃色であることを表す)は、使用した織物間のL値(シリコーン樹脂加工をしていない状態)の差とほぼ同じ値であり、織物組織、糸構造が鮮明に賦型されていることが確認された。
【0033】
また、実施例のものは、一般に行われる皮革模様に比べ濃色に見え、落ち着いた表面状態であることが確認された。特に、実施例3によるものは、紋綸子のジャガード模様が鮮明に賦型され装飾用、衣料用に好適な高級感のある装飾シートであった。
【0034】
実施例1織物を繰り返して使用してみたところ、6回使用しても、全く加工性に問題がなかったが、比較例1の型板離型紙は3回目で樹脂から剥離しにくくなり、該型板離型紙の一部が接着して剥げてきた。
【0035】
実施例4
実施例2で刻設用繊維シートとして使用した織物2枚をモアレが発生するように重ね合わせて実施例1と同様に加工を実施したところ、樹脂シート表面に織物のモアレと同一のモアレが鮮明に形成された装飾シートが得られた。
【0036】
実施例5
実施例2のシート表面に実施例2で刻設用繊維シートとして使用した織物を重ね合わせ、実施例1と同様に加工したところ、鮮明なモアレ模様が表面に形成された装飾シートが得られた。
【0037】
実施例6〜9
和装用の絽織物(東レ株式会社製 ポリエステル繊維織物)を常法により精練、ヒートセットした後、NKガードFGN700(日華化学株式会社製 フッ素系撥水撥油剤)50 g/l 水溶液に浸漬し、マングルで絞り(ウエットピックアップ70%)130℃で乾燥し、180℃でヒートセットした。織物の厚みは0.4mmであった。該織物(賦型用織物)を、刻設用繊維シートとして使用して、実施例1と同様にプレッシャーロールの圧力を変えて織物模様を賦型した結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
表3から明らかなように、賦型用織物の厚さの20%以上の深さで賦型されたものは、織物の組織構造模様が鮮明であった。なお、柄の深さは、シート断面の電子顕微鏡写真を撮影して測定したものである。
【0039】
実施例10
刻設用繊維シートとして、ポリエステル単繊維直径が、2.5μのフィラメント糸使いタフタ(東レ株式会社製)を用いて、実施例1と同様にシリコーン樹脂で撥水処理した後、刻設加工を実施して装飾シートを得た。
【0040】
このシートに形成された凹部は、直径2.8μで、糸形状、織物組織構造が鮮明に刻設されており、具体的には、単繊維間の接触部や空隙の約0.1〜5μに相当する溝構造が鮮明に刻設されていた。
【0041】
実施例11
ナイロン糸使いタフタ(東レ株式会社製)の片面に、次の樹脂組成物を、ナイフコーターで900 g/ m2 コーティングした後、湿式凝固して透湿性樹脂被膜を形成した。
【0042】
(樹脂組成物)
ポリウレタン樹脂 100部
(大日本インキ化学工業株式会社製:クリスボン8006HV)
着色剤 10部
(大日本インキ化学工業株式会社製:ダイラックLカラー)
成膜助剤 1部
(大日本インキ化学工業株式会社製:クリスボンアシスターSD−7)
成膜助剤 2.5部
(大日本インキ化学工業株式会社製:クリスボンアシスターSD−11 )
溶剤(ジメチルホルムアミド) 200部
湿式凝固は、水と上記溶剤の混合液(重量比:90/10)を30℃に調整し、これに上記コーティング布帛を5分間浸漬し、次いで50℃の温水で洗浄し、脱水した後、120℃で乾燥する条件を採用した。
【0043】
このコーティング布帛の被膜面に実施例3で刻設用繊維シートとして使用した撥水処理織物を重ね、140℃に加熱された平板プレス機で10Kg/cm2 の圧力で押圧して刻設処理したところ、コーティング樹脂表面に、ジャガードの紋織模様が鮮明に刻設されたフアッョン性に富んだ装飾シートが得られた。
【0044】
この装飾シートを、裁断、縫製して、コートを作成した。このコートの外観は、気品に満ちた透湿性を併せ持つ皮革状コートであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、皮革状物や繊維組織構造物の柄模様を鮮明に、安定に付与でき、新しい感覚の壁装材、天井材などの建築用内装材、家具用や椅子用表皮材、衣料、袋物など多種多様の用途に適した装飾性シート材を生産性良く、安価に提供し得る。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂シート状物の少なくとも片面に、間隔や線の太さが0.1〜100μである凹凸模様を有し、かつ、撥水処理された繊維シートを、該撥水処理面が接するように積層した後、加熱押圧し、次いで冷却した後、該撥水処理繊維シートを剥離することを特徴とする装飾シートの製造法。
- 該加熱が、該熱可塑性樹脂の軟化点の−10〜+20℃の温度範囲である請求項1に記載の装飾シートの製造法。
- 該熱可塑性樹脂シート状物が、該熱可塑性樹脂をシート状に溶融押出した後であって、かつ、まだ該樹脂が半溶融状態にある間にあるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の装飾シートの製造法。
- 該撥水処理が、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂およびワックス系樹脂から選ばれた少なくとも1種で処理するものである請求項1〜3のいずれかに記載の装飾シートの製造法。
- 該撥水処理された繊維シートが、布帛である請求項1〜4のいずれかに記載の装飾シートの製造法。
- 該布帛が、織物である請求項5に記載の装飾シートの製造法。
- 該押圧が、撥水処理繊維シートの厚みの20%以上の深さに達する強さのものである請求項1〜6のいずれかに記載の装飾シートの製造法。
- 該撥水処理繊維シートが、二枚以上積層したときにモアレ模様を形成する布帛であって、かつ、該二枚以上の布帛の一方の布帛の柄を賦型した後、冷却し、該布帛を剥離した後、もう一方の布帛を該樹脂シートに積層し、加熱押圧し、冷却後剥離する方法で、順に該布帛の一枚一枚の模様を刻設する請求項1〜7のいずれかに記載の装飾シートの製造法。
- 請求項1〜8において、1枚の撥水処理繊維シートで押圧して刻設模様を賦型した後、該賦型シートを冷却し剥離し、さらに同種あるいは異種の刻設模様を有する撥水処理繊維シートを前記同様に積層して、前記刻設模様に同種あるいは異種の刻設模様を賦型することを特徴とする装飾シートの製造法。
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