JP3371054B2 - 合成皮革の製造方法 - Google Patents
合成皮革の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,表面強力および剥
離強力がきわめて高く、柔軟で、表面仕上げ工程での有
機溶剤を使用しない為に作業環境性に優れ、且つ安価に
製造できる銀面層付き合成皮革の製造方法に関するもの
である。 【0002】 【従来の技術】従来、銀面層付の合成皮革の製造方法と
しては、離型紙上にポリウレタン溶液を塗布し、乾燥し
てフイルムを形成したあと、該フイルムを編織布又は不
織布からなる基材の表面に接着剤で貼り合せ、離型紙を
剥離する方法、いわゆる乾式法が一般的に用いられてい
る。また基材の表面に、ポリウレタン溶液を塗布し、湿
式凝固又は乾式凝固方法にて多孔質のポリウレタン層を
形成し、そのうえに着色剤を含む樹脂溶液を塗布・乾燥
して着色層を形成した後、エンボスロールで凹凸模様を
形成する方法も一般に用いられている。 【0003】また特開昭53ー62803号公報には、
基材上に形成した合成樹脂層の上に、押出機を用いて合
成樹脂溶融物を膜状に押し出し、一体化すると共に表面
をエンボスする合成皮革の製造方法が記載されており、
また特公平7ー3033号公報には、金属蒸着層にT−
ダイから押し出されたポリウレタン溶融体を積層するシ
ートの製造方法が記載されている。 【0004】 【発明を解決しようとする課題】しかしながら、これら
公知の方法では、作業環境を悪化させる有機溶媒が多量
に用いられていたり、あるいは引張った時に表面に安っ
ぽい印象を与える基材に基づく凹凸が現れたり、また基
材層と表面層との剥離が容易に生じたり、さらに表面層
の凝固に長時間を要し、製造工程の速度を高めることが
できず、結果的に製造コストが高くならざるを得ないと
いう問題点を有している。本発明は、上記したような問
題点を有しない合成皮革の製造方法を提供するものであ
り、すなわち有機溶剤を多量に使用する必要がないこと
より作業環境を悪化させることがなく、また製造工程の
速度を高めることができ、製造コストが低く、そして得
られる合成皮革は、引張時に安っぽい凹凸が生じず、従
来方法では得られない高級感ある銀面層付きのものであ
って、さらに層間で剥離が生じにくく合成皮革の製造方
法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討の結果、溶融押し出し加工前
に、あらかじめ繊維基材表面に、その表面に付与する樹
脂層を形成するエラストマーの流動開始温度よりも20
℃以上低い流動開始温度を有する熱可塑性エラストマー
の溶液を塗布、乾燥することにより、剥離強力が向上、
安定するという事実を見出し、本発明に到達した。 【0006】すなわち、本発明は、繊維質基材の表面
に、溶融製膜法により製造された熱可塑性エラストマー
層を有し、且つ該熱可塑性エラストマー層の表面には凹
凸模様又は鏡面模様が存在している合成皮革を製造する
に際し、繊維質基材表面に、該熱可塑性エラストマー層
を形成する熱可塑性エラストマーの流動開始温度よりも
20℃以上低い流動開始温度を有する熱可塑性エラスト
マーを溶液で塗布、乾燥した後に該熱可塑性エラストマ
ー層を溶融製膜することを特徴とする合成皮革の製造方
法である。 【0007】以下本発明を詳細に説明する。まず本発明
で使用する繊維質基材は、適度な厚み及び充実感を有
し、且つ柔軟な風合いを有するシートであれば使用する
ことができ、したがって従来一般の皮革様シートの製造
方法に使用されている各種の繊維質基材をそのまま本発
明に使用することができる。たとえば、極細繊維又はそ
の束状繊維、通常繊維、天然繊維等からなる絡合不織シ
ート、編織物シート及び又はそのシートの繊維間にバイ
ンダーとしてポリウレタン等の高分子弾性体が含有され
ている繊維質基材が挙げられる。極細繊維束を構成する
繊維の細さとしては、好ましくは0.5デニール以下、
特に望ましくは0.1デニール以下であり、また極細繊
維束のトータルデニールとしては0.5〜10デニール
の範囲が好ましい。繊維の種類としては、ナイロン系の
繊維やポリエステル系の繊維などが挙げられる。 【0008】中でも天然皮革にもっとも近い風合いを有
する繊維質基材として、極細繊維束からなる不織布中に
高分子弾性体を有する繊維シートが好適例として挙げら
れる。不織布内に含浸させる高分子弾性体としては、従
来から皮革様シートの製造に使用されている樹脂であ
り、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ
ビニルブチラール系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリ
アミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂やこれらの樹脂の混合
物が挙げられ、これら樹脂はもちろん共重合体であって
もよい。繊維質基材の少なくとも表面部を構成する高分
子弾性体としては、表面仕上げに用いる熱可塑性エラス
トマーと同種のものが接着性の点で好ましく、特にポリ
ウレタンが強度や天然皮革調の性能が得られる点で好ま
しい。繊維質基材を構成する繊維と高分子弾性体との量
比としては、重量比で90:10〜40:60の範囲が
好ましい。繊維質基材の厚みは、得られた合成皮革の用
途により任意に選択でき、特に限定されるものではない
が、中間層及び表面層とのバランスの点から好ましくは
0.3mm〜3mm、特に好ましくは0.5mm〜2.
0mmの範囲である。 【0009】あらかじめ繊維質基材表面に塗布する熱可
塑性エラストマーとしては、従来公知の樹脂が使用でき
るが、繊維質基体と接着性のあるもの、また、後述する
表面層に用いる樹脂と同じ種類である方が、相溶性及び
接着強力の点で好ましい。表面層を構成する熱可塑性エ
ラストマーがポリウレタンの場合には、例えば、ポリエ
ステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル
ポリエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカ
ーボネートジオールなどの平均分子量500〜3500
のポリマージオールから選ばれた少なくとも一種と有機
ジイソシアネートと活性水素原子を2個有する鎖伸張剤
とを反応させて得られるポリウレタンがあげられる。こ
れらポリウレタンは、2種以上の異種ポリウレタンを混
合したものでもよい。また、目的に応じて他の熱可塑性
樹脂をブレンドすることもできる。塗布の方法は、グラ
ビア法、スプレー法等公知の方法が用いられる。塗布量
は、繊維質基材の材質、物性、表面状態に応じて適宜調
整すればよく、通常は固形分換算で1〜10g/m2の
範囲内で塗布される。 【0010】この熱可塑性エラストマーの流動開始温度
は、表面層を形成する樹脂の流動開始温度より20℃以
上低いことが本発明において極めて重要な要件である。
これにより、溶融押し出しされたフィルム状態の熱可塑
性エラストマー層と繊維質基体との積層時に、熱可塑性
エラストマー層の熱により、あらかじめ塗布した繊維質
基体表面の樹脂が軟化して該熱可塑性エラストマー層と
接着すると同時に、繊維質基体に浸透することにより、
熱可塑性エラストマー層と繊維質基体との間で剥離が生
じにくくなる。20℃未満の場合には軟化が起こりにく
く、接着性が向上せず、むらが生じる。熱可塑性エラス
トマーとしてポリウレタンエラストマーを用いる場合に
は、その原料であるポリマージオールの平均分子量及び
ポリマージオールと鎖伸長剤とのモル比を変更すること
により、容易に流動開始温度を変更することができる。 【0011】流動開始温度が100℃未満の場合には、
たとえ製品になったとしても、少しの環境変化や製造工
程や加工工程での加熱変化により変形が起こりやすくな
るため好ましくない。したがって熱可塑性エラストマー
の流動開始温度は、100℃以上でかつ表面層形成樹脂
の流動開始温度より20℃低い温度との間の温度であ
る。より好ましくは、表面層形成樹脂の流動開始温度よ
り23℃低い温度以下である。 【0012】次に、表面層の成型方法について説明す
る。表面層には、色調、凹凸模様、表面物性、触感等の
品質に関わる項目が多く、用途により、適宜最適条件を
選べばよいが、強度、耐久性および天然皮革調の性能が
得られる点で、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。ポリ
ウレタンとしては、従来公知のポリエステル系、ポリエ
ーテル系、ポリカーボネート系等が使用できるが、各種
混合したものでもよく、また、他の熱可塑性エラストマ
ー等をブレンドしてもよい。表面層に使用する樹脂の流
動開始温度は130℃〜220℃が好ましく、特に好ま
しくは150℃〜200℃の範囲である。 【0013】表面層の成形方法としては、熱可塑性エラ
ストマーのチップに、必要があれば着色剤、酸化防止
剤、発泡剤などを添加して、押出機にて加温加圧下で溶
融混練した後に、Tーダイから溶融状態でフイルム状に
押出して、流動性を有する状態で、繊維質基体上に押圧
固化して表面層を形成させる方法が用いられる。表面層
としての厚みは、熱可塑性エラストマーの種類や性能な
どによっても異なるが、一般には皮革様の風合いを有
し、且つ表面強度、接着強力および屈曲性等の物性を満
足する上で10μm以上400μm以下が好ましく、30
μm以上300μm以下がより好ましい。表面層の厚みが
薄すぎると同じ色調に着色する場合の顔料濃度(対ポリ
ウレタン)が高くなり、表面物性が低下することとな
る。また表面層の厚みが厚すぎると屈曲性が悪くなった
り、ゴムライクな風合となり好ましくない。もちろん表
面層は1層からなるものであっても、あるいは2層以上
の多層からなるものであってもよい。多層からなる場合
には、本発明で言う表面層に使用する樹脂の流動開始温
度とは、繊維質基体と接する方の層を構成している樹脂
の流動開始温度を意味している。好ましくは、繊維質基
体と接する方の層が溶融製膜された発泡層であり、この
発泡層の上に溶融製膜された無発泡層からなる場合であ
る。 【0014】表面に凹凸模様又は鏡面模様を形成する方
法としては、Tーダイよりフイルム状に溶融押し出しさ
れた熱可塑性エラストマーを、凹凸模様又は鏡面模様を
有する離型紙と繊維質基体との間にはさみこんで押圧ロ
ールによりプレスする方法、繊維質基体と賦型ロールの
間で熱可塑性エラストマーを押圧して繊維質基体と接着
するとともに表面に賦型する方法、押圧ロールにより繊
維質基体に表面層を接着したあと表面層用熱可塑性エラ
ストマーが流動性を有する内に加熱したエンボスロール
で凹凸模様をつける方法があるが、特に限定されるもの
でない。生産性、すなわち生産速度を高める上からは、
賦型ロールで接着と賦型を同時に行う方法が好ましい。
本発明で言う賦型ロールとは、表面に鏡面又は凹凸模様
のエンボス模様を有するエンボスロールであり、また離
型性のエンボスシートと通常のロールを組み合わせたも
のであってもよい。好ましくは表面に鏡面又は凹凸模様
のエンボス模様を有するエンボスロールであり、鏡面模
様のエンボスロールを用いた場合には、エナメル調の合
成皮革が得られることとなるが、場合によっては得られ
るエナメル調の表面に、凹凸のエンボスを付与して表面
を凹凸模様としてもよい。 【0015】フイルム状に押し出した熱可塑性エラスト
マーを繊維質基材と賦型ロールとの間で押圧する方法と
しては、あらかじめ熱可塑性エラストマーを、繊維質基
材上へ押し出した後、賦型ロールと該賦型ロールに対向
するバックロールとの間を通して押圧する方法、熱可塑
性エラストマーを賦型ロール上へ押し出した後、該賦型
ロールと対向するバックロールとの間に繊維質基材を供
給して押圧する方法、又は繊維質基材と賦型ロールの間
に熱可塑性エラストマーを直接押し出して対向するバッ
クロールで押圧する方法があげられるが、押圧時に熱可
塑性エラストマーが流動性を有しておればいずれの方法
であっても特に大きな違いはない。 【0016】ロールの材質としては、エンボスロールの
場合は金属ロールが用いられる。バックロールとしては
金属ロール、弾性体ロールのいずれでもよいが、押圧の
安定性の点からは弾性体ロールを用いることが望まし
い。押圧する圧力は、熱可塑性エラストマーの流動性に
応じて、賦型性と接着強力を満足する条件で行えばよ
い。表面が賦型された積層体は、実質的に熱可塑性エラ
ストマーの温度が低下して流動性がなくなってから賦型
ロールから剥離される。まだ熱可塑性エラストマーが流
動性を有する内に剥離すると、凹凸模様あるいは鏡面模
様が崩れ、いわゆるシボ流れが発生し、シープな凹凸模
様あるいは極めて平滑な鏡面が得られない。このために
エンボスロールは必要に応じてロール内部に冷却液を循
環する構造となっているものや強制的に冷風により剥離
点付近を冷却するような構造となっているものが好まし
い。 【0017】以上のようにして本発明の合成皮革は製造
されるが、必要により、表面に耐摩耗性や防汚性等を向
上させるため、あるいはより深みのある色調を付与する
ために、樹脂や表面仕上げ剤や着色剤等を付与してもよ
い。 【0018】なお流動開始温度は以下の方法により測定
される。 ・使用機器名:高化式フローテスター(島津製作所製) ・測定条件 ノズル:直径1mm×長さ10mm 荷重:100kgf 測定開始温度:中〜高硬度(JISA:80〜97A)
150℃ 低硬度(JISA:65〜75A)100〜130℃ 予熱時間:6〜10分 昇温速度:5℃/分 流出開始温度:流出速度Q(ml/秒)が1×10 -3 〜
4×10 -3 の範囲のデータをプロットし、外挿法により
算出。 【0019】 【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の部及び%は断わりのない限り重量に関す
るものである。 【0020】実施例1 海成分としてポリエチレン50重量部および島成分とし
て6−ナイロン50重量部を同一溶融系で溶融紡糸し
て、単繊維繊度10デニールの複合繊維を製造した。こ
の複合繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊
維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッ
パーウェバーによりウェブとした。次に、ニードルパン
チにより、目付650g/m2の繊維絡合不織布とし
た。この不織布にポリエステル系ポリウレタンを主体と
するポリウレタン組成物18重量部とジメチルホルムア
ミド82重量部よりなる溶液を含浸し、凝固、水洗後、
複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、6−ナイロ
ン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.
3mmの繊維質基体を得た。 【0021】この繊維質基体の片面に、平均分子量20
00のポリカーボネートジオール、平均分子量2000
のポリテトラメチレングリコール、平均分子量2000
のポリエチレングリコール、4,4’−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネートおよびエチレングリコール
(モル比は上記化合物順に0.4:0.4:0.2:
2:1)から重合して得られたポリウレタンを主体とす
るポリウレタン組成物溶液をグラビアロールにより固形
分塗布量が5.5g/m2となるように塗布、乾燥し
た。このポリウレタン溶液を蒸発乾固してフィルムを作
製し、流動開始温度を測定したところ、165℃であっ
た。 【0022】表面層用樹脂として、1,9−ノナンジオ
ール、イソフタル酸およびアジピン酸から得られた平均
分子量2000のポリエステルジオール、ブタンジオー
ルおよび50℃に加熱溶融した4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート(モル比は1:3.6:2.6)
を、定量ポンプから同軸方向に回転する二軸スクリュー
型押し出し機に連続的に供給して260℃の温度で連続
溶融重合を行った。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶
融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いで
ペレタイザーで切断してペレットを製造した。このペレ
ットを80℃で6時間除湿乾燥した。このポリウレタン
の流動開始温度は190℃であった。 【0023】上記ペレット100部と、白顔料ペレット
(顔料濃度30%:樹脂ポリエチレン)5部を混合した
ポリウレタン組成物を、押出機及びT−ダイを用いて、
溶融帯温度235℃、ダイス導入部温度235℃で、フ
イルム状に製膜しながら溶融状態で、シボの凹凸模様を
有する離型紙(DE−14:大日本印刷製)と繊維質基
材の間に供給し、金属ロールと弾性体ロールとでプレス
して、シボを有する厚さ平均200μmの無孔質表面層
を得た。表面層の剥離強力は、9.5kg/25mmで
あった。また表面強力が強く、引張時に安っぽい凹凸が
生じずに感性の良好な皮革様シートを得た。得られた皮
革様シートの物性値を下記の表1に示す。 【0024】比較例1 上記実施例1において、繊維質基体の片面に、流動開始
温度165℃のポリウレタン溶液を塗布することを省略
する以外は実施例1と同様の方法により皮革様シートを
得た。この皮革様シートの物性値を下記の表1に示す。 比較例2 あらかじめ繊維質基材に塗布する熱可塑性エラストマー
として、平均分子量2000のポリカーボネートジオー
ル、テトラメチレングリコール、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、エチレングリコール(モル比
0.5:0.5:4:3)から重合して得られたポリウ
レタンを主体とするポリウレタン組成物溶液を用いた以
外は、すべて実施例1と同様にして、試作条件も実施例
1と同様にして皮革様シートを作製した。得られた製品
については、表面強度は実施例1と同じレベルであった
が、剥離強力は6.5kg/25mmと低く、表面層と
繊維質基材との一体感に欠けていた。剥離面は表面層と
繊維質基材との界面で剥離している部分が見られた。こ
のポリウレタンは、溶液を蒸発乾固してフィルムを作製
し、流動開始温度を測定したところ、187℃であっ
た。 【0025】 【表1】【0026】 【発明の効果】上記したように、本発明は、繊維質基材
及び溶融製膜した熱可塑性エラストマー層からなる合成
皮革を製造する方法において、該繊維質基材に特定の熱
可塑性エラストマーが塗布されており、これにより、該
熱可塑性エラストマー層の積層時に該層の溶融熱により
塗布した樹脂が軟化し、その結果、溶融製膜積層法の問
題点である繊維質基材と熱可塑性エラストマー層との接
着強度が低いという問題点を解消できたものである。こ
のようにして得られた本発明の合成皮革は、靴、ブーツ
の素材として、またバッグや鞄の素材として、さらにカ
メラケース、ベルト、財布、コート、ブレザー、スカー
ト等の衣料の素材として用いることができる。
離強力がきわめて高く、柔軟で、表面仕上げ工程での有
機溶剤を使用しない為に作業環境性に優れ、且つ安価に
製造できる銀面層付き合成皮革の製造方法に関するもの
である。 【0002】 【従来の技術】従来、銀面層付の合成皮革の製造方法と
しては、離型紙上にポリウレタン溶液を塗布し、乾燥し
てフイルムを形成したあと、該フイルムを編織布又は不
織布からなる基材の表面に接着剤で貼り合せ、離型紙を
剥離する方法、いわゆる乾式法が一般的に用いられてい
る。また基材の表面に、ポリウレタン溶液を塗布し、湿
式凝固又は乾式凝固方法にて多孔質のポリウレタン層を
形成し、そのうえに着色剤を含む樹脂溶液を塗布・乾燥
して着色層を形成した後、エンボスロールで凹凸模様を
形成する方法も一般に用いられている。 【0003】また特開昭53ー62803号公報には、
基材上に形成した合成樹脂層の上に、押出機を用いて合
成樹脂溶融物を膜状に押し出し、一体化すると共に表面
をエンボスする合成皮革の製造方法が記載されており、
また特公平7ー3033号公報には、金属蒸着層にT−
ダイから押し出されたポリウレタン溶融体を積層するシ
ートの製造方法が記載されている。 【0004】 【発明を解決しようとする課題】しかしながら、これら
公知の方法では、作業環境を悪化させる有機溶媒が多量
に用いられていたり、あるいは引張った時に表面に安っ
ぽい印象を与える基材に基づく凹凸が現れたり、また基
材層と表面層との剥離が容易に生じたり、さらに表面層
の凝固に長時間を要し、製造工程の速度を高めることが
できず、結果的に製造コストが高くならざるを得ないと
いう問題点を有している。本発明は、上記したような問
題点を有しない合成皮革の製造方法を提供するものであ
り、すなわち有機溶剤を多量に使用する必要がないこと
より作業環境を悪化させることがなく、また製造工程の
速度を高めることができ、製造コストが低く、そして得
られる合成皮革は、引張時に安っぽい凹凸が生じず、従
来方法では得られない高級感ある銀面層付きのものであ
って、さらに層間で剥離が生じにくく合成皮革の製造方
法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討の結果、溶融押し出し加工前
に、あらかじめ繊維基材表面に、その表面に付与する樹
脂層を形成するエラストマーの流動開始温度よりも20
℃以上低い流動開始温度を有する熱可塑性エラストマー
の溶液を塗布、乾燥することにより、剥離強力が向上、
安定するという事実を見出し、本発明に到達した。 【0006】すなわち、本発明は、繊維質基材の表面
に、溶融製膜法により製造された熱可塑性エラストマー
層を有し、且つ該熱可塑性エラストマー層の表面には凹
凸模様又は鏡面模様が存在している合成皮革を製造する
に際し、繊維質基材表面に、該熱可塑性エラストマー層
を形成する熱可塑性エラストマーの流動開始温度よりも
20℃以上低い流動開始温度を有する熱可塑性エラスト
マーを溶液で塗布、乾燥した後に該熱可塑性エラストマ
ー層を溶融製膜することを特徴とする合成皮革の製造方
法である。 【0007】以下本発明を詳細に説明する。まず本発明
で使用する繊維質基材は、適度な厚み及び充実感を有
し、且つ柔軟な風合いを有するシートであれば使用する
ことができ、したがって従来一般の皮革様シートの製造
方法に使用されている各種の繊維質基材をそのまま本発
明に使用することができる。たとえば、極細繊維又はそ
の束状繊維、通常繊維、天然繊維等からなる絡合不織シ
ート、編織物シート及び又はそのシートの繊維間にバイ
ンダーとしてポリウレタン等の高分子弾性体が含有され
ている繊維質基材が挙げられる。極細繊維束を構成する
繊維の細さとしては、好ましくは0.5デニール以下、
特に望ましくは0.1デニール以下であり、また極細繊
維束のトータルデニールとしては0.5〜10デニール
の範囲が好ましい。繊維の種類としては、ナイロン系の
繊維やポリエステル系の繊維などが挙げられる。 【0008】中でも天然皮革にもっとも近い風合いを有
する繊維質基材として、極細繊維束からなる不織布中に
高分子弾性体を有する繊維シートが好適例として挙げら
れる。不織布内に含浸させる高分子弾性体としては、従
来から皮革様シートの製造に使用されている樹脂であ
り、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ
ビニルブチラール系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリ
アミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂やこれらの樹脂の混合
物が挙げられ、これら樹脂はもちろん共重合体であって
もよい。繊維質基材の少なくとも表面部を構成する高分
子弾性体としては、表面仕上げに用いる熱可塑性エラス
トマーと同種のものが接着性の点で好ましく、特にポリ
ウレタンが強度や天然皮革調の性能が得られる点で好ま
しい。繊維質基材を構成する繊維と高分子弾性体との量
比としては、重量比で90:10〜40:60の範囲が
好ましい。繊維質基材の厚みは、得られた合成皮革の用
途により任意に選択でき、特に限定されるものではない
が、中間層及び表面層とのバランスの点から好ましくは
0.3mm〜3mm、特に好ましくは0.5mm〜2.
0mmの範囲である。 【0009】あらかじめ繊維質基材表面に塗布する熱可
塑性エラストマーとしては、従来公知の樹脂が使用でき
るが、繊維質基体と接着性のあるもの、また、後述する
表面層に用いる樹脂と同じ種類である方が、相溶性及び
接着強力の点で好ましい。表面層を構成する熱可塑性エ
ラストマーがポリウレタンの場合には、例えば、ポリエ
ステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル
ポリエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカ
ーボネートジオールなどの平均分子量500〜3500
のポリマージオールから選ばれた少なくとも一種と有機
ジイソシアネートと活性水素原子を2個有する鎖伸張剤
とを反応させて得られるポリウレタンがあげられる。こ
れらポリウレタンは、2種以上の異種ポリウレタンを混
合したものでもよい。また、目的に応じて他の熱可塑性
樹脂をブレンドすることもできる。塗布の方法は、グラ
ビア法、スプレー法等公知の方法が用いられる。塗布量
は、繊維質基材の材質、物性、表面状態に応じて適宜調
整すればよく、通常は固形分換算で1〜10g/m2の
範囲内で塗布される。 【0010】この熱可塑性エラストマーの流動開始温度
は、表面層を形成する樹脂の流動開始温度より20℃以
上低いことが本発明において極めて重要な要件である。
これにより、溶融押し出しされたフィルム状態の熱可塑
性エラストマー層と繊維質基体との積層時に、熱可塑性
エラストマー層の熱により、あらかじめ塗布した繊維質
基体表面の樹脂が軟化して該熱可塑性エラストマー層と
接着すると同時に、繊維質基体に浸透することにより、
熱可塑性エラストマー層と繊維質基体との間で剥離が生
じにくくなる。20℃未満の場合には軟化が起こりにく
く、接着性が向上せず、むらが生じる。熱可塑性エラス
トマーとしてポリウレタンエラストマーを用いる場合に
は、その原料であるポリマージオールの平均分子量及び
ポリマージオールと鎖伸長剤とのモル比を変更すること
により、容易に流動開始温度を変更することができる。 【0011】流動開始温度が100℃未満の場合には、
たとえ製品になったとしても、少しの環境変化や製造工
程や加工工程での加熱変化により変形が起こりやすくな
るため好ましくない。したがって熱可塑性エラストマー
の流動開始温度は、100℃以上でかつ表面層形成樹脂
の流動開始温度より20℃低い温度との間の温度であ
る。より好ましくは、表面層形成樹脂の流動開始温度よ
り23℃低い温度以下である。 【0012】次に、表面層の成型方法について説明す
る。表面層には、色調、凹凸模様、表面物性、触感等の
品質に関わる項目が多く、用途により、適宜最適条件を
選べばよいが、強度、耐久性および天然皮革調の性能が
得られる点で、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。ポリ
ウレタンとしては、従来公知のポリエステル系、ポリエ
ーテル系、ポリカーボネート系等が使用できるが、各種
混合したものでもよく、また、他の熱可塑性エラストマ
ー等をブレンドしてもよい。表面層に使用する樹脂の流
動開始温度は130℃〜220℃が好ましく、特に好ま
しくは150℃〜200℃の範囲である。 【0013】表面層の成形方法としては、熱可塑性エラ
ストマーのチップに、必要があれば着色剤、酸化防止
剤、発泡剤などを添加して、押出機にて加温加圧下で溶
融混練した後に、Tーダイから溶融状態でフイルム状に
押出して、流動性を有する状態で、繊維質基体上に押圧
固化して表面層を形成させる方法が用いられる。表面層
としての厚みは、熱可塑性エラストマーの種類や性能な
どによっても異なるが、一般には皮革様の風合いを有
し、且つ表面強度、接着強力および屈曲性等の物性を満
足する上で10μm以上400μm以下が好ましく、30
μm以上300μm以下がより好ましい。表面層の厚みが
薄すぎると同じ色調に着色する場合の顔料濃度(対ポリ
ウレタン)が高くなり、表面物性が低下することとな
る。また表面層の厚みが厚すぎると屈曲性が悪くなった
り、ゴムライクな風合となり好ましくない。もちろん表
面層は1層からなるものであっても、あるいは2層以上
の多層からなるものであってもよい。多層からなる場合
には、本発明で言う表面層に使用する樹脂の流動開始温
度とは、繊維質基体と接する方の層を構成している樹脂
の流動開始温度を意味している。好ましくは、繊維質基
体と接する方の層が溶融製膜された発泡層であり、この
発泡層の上に溶融製膜された無発泡層からなる場合であ
る。 【0014】表面に凹凸模様又は鏡面模様を形成する方
法としては、Tーダイよりフイルム状に溶融押し出しさ
れた熱可塑性エラストマーを、凹凸模様又は鏡面模様を
有する離型紙と繊維質基体との間にはさみこんで押圧ロ
ールによりプレスする方法、繊維質基体と賦型ロールの
間で熱可塑性エラストマーを押圧して繊維質基体と接着
するとともに表面に賦型する方法、押圧ロールにより繊
維質基体に表面層を接着したあと表面層用熱可塑性エラ
ストマーが流動性を有する内に加熱したエンボスロール
で凹凸模様をつける方法があるが、特に限定されるもの
でない。生産性、すなわち生産速度を高める上からは、
賦型ロールで接着と賦型を同時に行う方法が好ましい。
本発明で言う賦型ロールとは、表面に鏡面又は凹凸模様
のエンボス模様を有するエンボスロールであり、また離
型性のエンボスシートと通常のロールを組み合わせたも
のであってもよい。好ましくは表面に鏡面又は凹凸模様
のエンボス模様を有するエンボスロールであり、鏡面模
様のエンボスロールを用いた場合には、エナメル調の合
成皮革が得られることとなるが、場合によっては得られ
るエナメル調の表面に、凹凸のエンボスを付与して表面
を凹凸模様としてもよい。 【0015】フイルム状に押し出した熱可塑性エラスト
マーを繊維質基材と賦型ロールとの間で押圧する方法と
しては、あらかじめ熱可塑性エラストマーを、繊維質基
材上へ押し出した後、賦型ロールと該賦型ロールに対向
するバックロールとの間を通して押圧する方法、熱可塑
性エラストマーを賦型ロール上へ押し出した後、該賦型
ロールと対向するバックロールとの間に繊維質基材を供
給して押圧する方法、又は繊維質基材と賦型ロールの間
に熱可塑性エラストマーを直接押し出して対向するバッ
クロールで押圧する方法があげられるが、押圧時に熱可
塑性エラストマーが流動性を有しておればいずれの方法
であっても特に大きな違いはない。 【0016】ロールの材質としては、エンボスロールの
場合は金属ロールが用いられる。バックロールとしては
金属ロール、弾性体ロールのいずれでもよいが、押圧の
安定性の点からは弾性体ロールを用いることが望まし
い。押圧する圧力は、熱可塑性エラストマーの流動性に
応じて、賦型性と接着強力を満足する条件で行えばよ
い。表面が賦型された積層体は、実質的に熱可塑性エラ
ストマーの温度が低下して流動性がなくなってから賦型
ロールから剥離される。まだ熱可塑性エラストマーが流
動性を有する内に剥離すると、凹凸模様あるいは鏡面模
様が崩れ、いわゆるシボ流れが発生し、シープな凹凸模
様あるいは極めて平滑な鏡面が得られない。このために
エンボスロールは必要に応じてロール内部に冷却液を循
環する構造となっているものや強制的に冷風により剥離
点付近を冷却するような構造となっているものが好まし
い。 【0017】以上のようにして本発明の合成皮革は製造
されるが、必要により、表面に耐摩耗性や防汚性等を向
上させるため、あるいはより深みのある色調を付与する
ために、樹脂や表面仕上げ剤や着色剤等を付与してもよ
い。 【0018】なお流動開始温度は以下の方法により測定
される。 ・使用機器名:高化式フローテスター(島津製作所製) ・測定条件 ノズル:直径1mm×長さ10mm 荷重:100kgf 測定開始温度:中〜高硬度(JISA:80〜97A)
150℃ 低硬度(JISA:65〜75A)100〜130℃ 予熱時間:6〜10分 昇温速度:5℃/分 流出開始温度:流出速度Q(ml/秒)が1×10 -3 〜
4×10 -3 の範囲のデータをプロットし、外挿法により
算出。 【0019】 【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の部及び%は断わりのない限り重量に関す
るものである。 【0020】実施例1 海成分としてポリエチレン50重量部および島成分とし
て6−ナイロン50重量部を同一溶融系で溶融紡糸し
て、単繊維繊度10デニールの複合繊維を製造した。こ
の複合繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊
維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッ
パーウェバーによりウェブとした。次に、ニードルパン
チにより、目付650g/m2の繊維絡合不織布とし
た。この不織布にポリエステル系ポリウレタンを主体と
するポリウレタン組成物18重量部とジメチルホルムア
ミド82重量部よりなる溶液を含浸し、凝固、水洗後、
複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、6−ナイロ
ン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.
3mmの繊維質基体を得た。 【0021】この繊維質基体の片面に、平均分子量20
00のポリカーボネートジオール、平均分子量2000
のポリテトラメチレングリコール、平均分子量2000
のポリエチレングリコール、4,4’−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネートおよびエチレングリコール
(モル比は上記化合物順に0.4:0.4:0.2:
2:1)から重合して得られたポリウレタンを主体とす
るポリウレタン組成物溶液をグラビアロールにより固形
分塗布量が5.5g/m2となるように塗布、乾燥し
た。このポリウレタン溶液を蒸発乾固してフィルムを作
製し、流動開始温度を測定したところ、165℃であっ
た。 【0022】表面層用樹脂として、1,9−ノナンジオ
ール、イソフタル酸およびアジピン酸から得られた平均
分子量2000のポリエステルジオール、ブタンジオー
ルおよび50℃に加熱溶融した4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート(モル比は1:3.6:2.6)
を、定量ポンプから同軸方向に回転する二軸スクリュー
型押し出し機に連続的に供給して260℃の温度で連続
溶融重合を行った。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶
融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いで
ペレタイザーで切断してペレットを製造した。このペレ
ットを80℃で6時間除湿乾燥した。このポリウレタン
の流動開始温度は190℃であった。 【0023】上記ペレット100部と、白顔料ペレット
(顔料濃度30%:樹脂ポリエチレン)5部を混合した
ポリウレタン組成物を、押出機及びT−ダイを用いて、
溶融帯温度235℃、ダイス導入部温度235℃で、フ
イルム状に製膜しながら溶融状態で、シボの凹凸模様を
有する離型紙(DE−14:大日本印刷製)と繊維質基
材の間に供給し、金属ロールと弾性体ロールとでプレス
して、シボを有する厚さ平均200μmの無孔質表面層
を得た。表面層の剥離強力は、9.5kg/25mmで
あった。また表面強力が強く、引張時に安っぽい凹凸が
生じずに感性の良好な皮革様シートを得た。得られた皮
革様シートの物性値を下記の表1に示す。 【0024】比較例1 上記実施例1において、繊維質基体の片面に、流動開始
温度165℃のポリウレタン溶液を塗布することを省略
する以外は実施例1と同様の方法により皮革様シートを
得た。この皮革様シートの物性値を下記の表1に示す。 比較例2 あらかじめ繊維質基材に塗布する熱可塑性エラストマー
として、平均分子量2000のポリカーボネートジオー
ル、テトラメチレングリコール、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、エチレングリコール(モル比
0.5:0.5:4:3)から重合して得られたポリウ
レタンを主体とするポリウレタン組成物溶液を用いた以
外は、すべて実施例1と同様にして、試作条件も実施例
1と同様にして皮革様シートを作製した。得られた製品
については、表面強度は実施例1と同じレベルであった
が、剥離強力は6.5kg/25mmと低く、表面層と
繊維質基材との一体感に欠けていた。剥離面は表面層と
繊維質基材との界面で剥離している部分が見られた。こ
のポリウレタンは、溶液を蒸発乾固してフィルムを作製
し、流動開始温度を測定したところ、187℃であっ
た。 【0025】 【表1】【0026】 【発明の効果】上記したように、本発明は、繊維質基材
及び溶融製膜した熱可塑性エラストマー層からなる合成
皮革を製造する方法において、該繊維質基材に特定の熱
可塑性エラストマーが塗布されており、これにより、該
熱可塑性エラストマー層の積層時に該層の溶融熱により
塗布した樹脂が軟化し、その結果、溶融製膜積層法の問
題点である繊維質基材と熱可塑性エラストマー層との接
着強度が低いという問題点を解消できたものである。こ
のようにして得られた本発明の合成皮革は、靴、ブーツ
の素材として、またバッグや鞄の素材として、さらにカ
メラケース、ベルト、財布、コート、ブレザー、スカー
ト等の衣料の素材として用いることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
D06N 3/00 - 3/18
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 繊維質基材の表面に、溶融製膜法により
製造された熱可塑性エラストマー層を有し、且つ該熱可
塑性エラストマー層の表面には凹凸模様又は鏡面模様が
存在している合成皮革を製造するに際し、繊維質基材表
面に、該熱可塑性エラストマー層を形成する熱可塑性エ
ラストマーの流動開始温度よりも20℃以上低い流動開
始温度を有する熱可塑性エラストマーを溶液で塗布、乾
燥した後に該熱可塑性エラストマー層を溶融製膜するこ
とを特徴とする合成皮革の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05743996A JP3371054B2 (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | 合成皮革の製造方法 |
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JPH09250090A JPH09250090A (ja) | 1997-09-22 |
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1996
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