JPH0373671B2

JPH0373671B2 -

Info

Publication number: JPH0373671B2
Application number: JP57228978A
Authority: JP
Inventors: Toshio Shimizu; Tsugi Higuchi; Sadao Miura
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1982-12-23
Filing date: 1982-12-23
Publication date: 1991-11-22
Also published as: JPS59116479A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は通気性、透湿性に優れ、かつ撥水性、
銀面強度、外観品位、風合などに優れた銀付皮革
状シート物に関するものである。従来、種々な構造の銀付皮革状シート物が、天
然皮革の代替品として、靴、鞄、ベルトをはじめ
衣料用にも多く用いられてきた。しかしながら、
これらのシート物は、通気性と透湿性の両性質を
同時に十分満足させるものがないばかりか、外観
品位、銀面強度、風合も加味すると更に満足させ
るものが得られていない。銀付皮革状シート物に通気性、透湿性を付与す
る方法としては、発泡剤を利用して気孔を設ける
方法、水溶性物質を添加し、これを抽出除去して
気孔を設ける方法、湿式凝固法によつて得た多孔
質膜を表面仕上げする方法などが知られている。これらの方法では、気孔はランダムに存在して
いるため、通気性と透湿性の両方を満足させるた
めに、大きな気孔を多数設けた場合、これらの気
孔が弱点となつて、銀面強度、特に繰返し引張り
や繰返し剪断強度が弱く、また表面の光沢、色の
深味を損なうなどの欠点を有していた。本発明の目的は、特に通気性と透湿性の両方を
満足させ、かつ外観品位、銀面強度などにも優れ
た銀付皮革状シート物を提供することにある。す
なわち、本発明の皮革状シート物は、次の構成を
有する。 (1) 繊維または繊維および高分子重合体からなる
繊維質気体と銀面からなる皮革状シート物にお
いて、該銀面には複数の気孔部が存在し、かつ
該気孔部が主として複数の気孔の集中した気孔
群であることを特徴とする皮革状シート物。すなわち、本発明は、ある一定の通気性と透湿
性を付与すべく、人工皮革の銀面に気孔部を設け
る場合に、該気孔部をランダムに設けるのではな
く、局部的に集中させるものである。この結果、
次のような効果が発現される。気孔部とそうでない部分とでは、光沢に強弱が
あり、また色に濃淡があるため、全体として調和
のとれた落ち着いた光沢、色調の外観を呈する。
また、もみ加工を施した場合気孔部とそうでない
部分とで、もみ絞の入りやすさが微妙に異なり、
自然感のあるもみ絞が得られる。さらに、銀面および基材の着色を銀面形成後に
行なう場合には、気孔部がより濃色に染色されや
すく、独特の異色効果が得られ好ましいものであ
る。さらに、このような表面構造は、撥水性、銀面
強度を損なうものでなく、むしろ非気孔部が外力
に対し強い抵抗を示し好ましいものである。本発明のシート物は、気孔部の面積が高くても
外観品位、銀面強度に優れるものであるが、シー
ト全体として気孔部の面積が大き過ぎると当然こ
れらの性質は悪くなる。一方気孔部の面積が小さ
過ぎると通気性や透湿性の点で好ましくない。従
つて、透湿性の点からは、透湿度1000ｇ／m²、
24hrを確保できる程度の気孔が存在していること
が好ましい。本発明のシート物を得る方法の一例の骨子は以
下のとおりである。まず、平滑な表面を有する離型性の支持体に、
適当な流動性を有する高分子重合体溶液を薄く塗
布し、該溶液の溶媒の一部を除去し、繊維質基体
を圧着させ、乾燥後剥離する。次いで表面に凹凸
のある離型性支持体を圧着させ乾燥後剥離する。上記方法による場合、凹凸支持体の凸部の圧力
により、この部分の高分子重合体は一部は繊維質
基質内にしみこみ、この部分に集中して気孔が形
成されることになる。支持体の凹凸の大きさ、形
状、圧着条件など調節することにより、所望の気
孔の大きさ、面積のシート物を得ることができ
る。また、平滑な支持体に塗布される高分子重合
体の膜厚は後に圧着させる凹凸支持体の凹凸の大
きさ、圧着条件などによつて決まるものであつ
て、要は凹凸支持体の圧着により、気孔が形成さ
れる厚さであればよい。また繊維質基体の表面状
態にも依存することも当然である。上記方法において、最初に用いる平滑支持体の
代りに凹凸支持体を用いることもできる。この場
合には、２度目の凹凸支持体で加圧された時、最
初に付与された凹凸膜の凹部の膜のうすい部分に
実質的に気孔が集中して形成されることになる。第１図〜第３図は、凹凸支持体を用い、膜厚を
かえたときに得られるシート物の表面状態であ
る。膜厚によつて気孔部の面積が異なる。つまり
膜厚がうすいと気孔が多く（第１図）、逆に膜厚
が厚くなると気孔部の面積が少なくなる（第３
図）。いずれの場合も気孔はランダムでなく、局
部的に集中して存在している。第４図及び第５図
は気孔がランダムにあいている例であり、本発明
のシート物との差が気孔の多少にかかわらず認め
られる。本発明のシート物を得る別の方法の一例として
は、気孔のない皮革状シート物に機械的に針で穴
を設けることもできる。この場合も穴をランダム
に設けるのではなく、本発明のように集中して設
ける。銀面形成用高分子重合体としては、たとえば、
ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリアミノ
酸、ポリウレタンアミノ酸系、ポリアミド、ポリ
塩化ビニル、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポ
リアクリルニトリル、天然ゴムおよび合成ゴム及
びこれらの混合物などがあり、更に必要に応じて
顔料、染料、可塑剤、充てん剤、安定剤などを添
加してもよい。特にポリウレタン樹脂は柔軟な風
合、耐屈曲性、耐摩耗性などにすぐれ好ましい。
また２液型ポリウレタンは繊維との接着性、耐溶
剤性にもすぐれ更に好ましい。また当該高分子重
合体は透明なものが好ましく、更に有色透明なも
のは基体層の色彩と微妙にからみ合い独特の色彩
効果を有するため好ましい。繊維質基体は通常繊度の天然および合成繊維、
海島型繊維、剥離分割型繊維などから形成された
極細繊維及び極細繊維束からなる不織布、織布、
編布またはこれらの積層、サンドイツチされたも
のであり、必要に応じ、高分子エラストマー溶液
および／または分散液を付与したものである。こ
れら繊維質基体には少なくとも片面は起毛、バフ
イングなどによつて毛羽立ててもよい。かかる繊
維質基体は着色されていることが好ましいが、未
着色の場合は銀面付与後着色すればよい。この毛
羽層に銀面を形成するのが望ましい。また毛羽層
の繊維は細デニール程、また毛羽密度が高い程、
銀面層を薄くできるため、ソフトな風合、外観品
位にも優れたものが得られる。また繊維質基体の
表面が極細繊維および／またはその束が緻密に交
絡したものである場合は、その平滑故に高分子重
合体の皮膜層を薄くできるためゴム感（反撥性）
が少なくなり皮革ライクとなり好ましい。また、繊維質基体が色相および／または明度の
異なる２以上の色彩を有し、表面が透明または半
透明の樹脂層で被覆されている場合は、複雑な感
じのする立体感豊かなシート物を提供することが
できる。かかる基材は、染色性の異なる２種以上
の極細繊維素材を用い、各々をタイプの異なる染
料で染色することにより得られる（特願昭57−
18969）。また、毛羽層が強制的に付与された立毛傾斜、
立毛長さ、立毛の太さの少なくとも１つが異なる
部分によつて模様が形成され、透明または半透明
の高分子重合体によつて被覆されている場合は一
種独特な模様が永久的に付与される。かかる基材
は、サンドペーパーを巻いたロールで擦過させた
り、その他の機械的処理、化学的処理、熱的処理
等によつて得られる（特願昭57−189190）。支持体としては、平滑性または凹凸のある金属
シート、プラスチツクシート、樹脂を含浸した繊
維質シート、紙などを用いることができる。凹凸
の大きさ、深さ、割合などは所望する性能、品位
などに応じて決めればよい。支持体への高分子重合体の塗布は、ナイフコー
テイング、リバースロールコーテイングなど種々
の手段がとりうる。なお本発明の効果を損なわない程度にもみ加工
したり、仕上げ加工したり、熱処理したり、熱プ
レス加工したりしてもよい。以下本発明の実施の態様を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。ことわりのないか
ぎり、％および部は重量に関するものである。実施例１島成分がポリエステル70部、海成分がポリスチ
レン30部からなる島本数36本、単糸デニール3.5、
繊維長51mmのものを使つてニードルパンチングフ
エルトをつくつた。つぎにこれを収縮させ、耐溶
剤性のポリウレタンのエマルジヨンをポリエステ
ル樹脂に対して固形で15％付くように含浸し、そ
の後ポリスチレンをトリクレンで抽出除去した。
さらにポリカプロラクトン系ポリウレタン12％
DMF溶液を含浸し、水中で凝固させたのち、80
℃熱水中で十分洗浄し乾燥した。次いで両面を
＃100サンドペーパーで２回バフイングし、さら
に＃150サンドペーパーで２回仕上げバフイング
し、液流染色機で120℃の高温高圧染色し、厚さ
0.6mm、目付200ｇ／m²の両面にナツプのある染色
された繊維質基体を得た。つぎに表面が凹凸性の離型性支持体に、１液型
ポリウレタンの５％溶液をクリアランス0.02ｍ／
ｍ厚に塗布し、乾燥後さらに２液型ポリウレタン
の15％溶液をクリアランス0.02ｍ／ｍ厚に塗布し
て溶媒の一部を除去したのち、上記繊維質基体に
貼合せ、クリアランス0.1ｍ／ｍで圧着固定し乾
燥後冷却し剥離した。ついで表面に凹凸模様のあ
る100℃に加熱された金属ロールでプレスした。
得られたものは第１図の如き構造になつていて、
外観品位、色の光沢、色の深味、風合など天然皮
革類似のものであつた。このものの通気性は0.9
c.c.／cm²、sec（JIS Ｌ 1079）、透湿度は4800ｇ／
m²、24hr（JIS Ｚ 0208）、撥水度は95点（JIS Ｌ
1079）であり、極めて優れたものであつた。比
較に測定した天然皮革（シープ）の通気度は0.3
c.c.／cm²、sec、透湿度は4500ｇ／m²、24hr、撥水
度は60点であつた。銀面強度については、スコツト型剪断疲労試験
機を用い、伸長率15％で１万回繰返したときの外
観変化（クラツクの発生）を観察したが、異常は
認められなかつた。比較の天然皮革（シープ）
は、若干クラツクの発生が認められた。さらにこのものを湿熱下回転ドラムを用いても
み加工したところ、もみシボが付与され、表面の
凹凸シボと相まつて自然感に富み、暖かみのある
外観と感触のものが得られ、より天然皮革に近い
皮革状シート物を得た。このものの通気度は0.95
c.c.／cm²、sec、透湿度は5050c.c.／m²、24hr、撥水
度は95点であつた。銀面強度も上記と同様に測定
したが異常は認められなかつた。実施例２〜３実施例１に準ずる。ただし、銀面の膜厚を変更
し、気孔部の面積を種々変えたサンプルを得た。
これらのものの品質特性を表１に掲げた。

【表】実施例４繊維質基体は未染色のものを用い、銀面付与後
に液流染色機で高温高圧染色した以外は実施例１
に準じて皮革状シート物を得た。このものはもみ
作用によつて不規則なシボが付与され、自然感に
富む外観と一体感のある風合のものであつた。実施例５繊維質基体として、ポリエステルフイラメント
50d／24本を経136本／吋、緯162本／吋で製織し
た２／３ツイルを、液流染色機で高温高圧染色し
て繊維質基体を得た。その後実施例１と同様の方
法で皮革状シート物を得た。ただし平滑な支持体
の代りに凹凸の支持体を用いた。このものの通気
性は1.1c.c.／cm²、sec、透湿度は5500ｇ／m²、24hr
であり、通気性、透湿性ともに優れたものであつ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本発明にかかる皮革状シート
物の表面の顕微鏡写真である。第４図、第５図は
従来例の表面の顕微鏡写真である。

Claims

【特許請求の範囲】

１繊維または繊維および高分子重合体からなる
繊維質基体と銀面からなる皮革状シート物におい
て、該銀面には複数の気孔部が存在し、かつ該気
孔部が主として複数の気孔の集中した気孔群であ
ることを特徴とする皮革状シート物。