JP3546414B2 - 隠し支持金具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドアを閉鎖している状態では外部から見えないように該ドアを開閉自在に支持する隠し支持金具に関し、特にドアを180°開くことができるようにした隠し支持金具に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
通常ドアを180°まで開けることができるようドアを支持する丁番やピボットヒンジ等のドア支持金具は、ドアの表面に支軸が露出しているのが一般的であるが、ドアの美観上露出させたくない場合や荷物の搬入出、掃除その他の場合に邪魔にならないようにするためドアの表面に露出しないようにした隠し丁番やスライド丁番が用いられている。
【0003】
図4は、ドアの動作状態を示し、同図(A)に示すように、隣列してパネルドア等のドア(1)を設けたドアの支持金具として、ドア(1)内に回転支軸(2)がある支持金具を用いた場合、ドアが隣接するドア(1)や縦枠、縦框等の固定部(3)に当って180°まで開くことができない。そのため、180°開くようにするには、図4(B)に示すように、ドアを開くときに回転支軸(2)を矢印(4)方向に移動させる必要がある。
【0004】
また、ドア(1)を開くとき、吊元小口面(5)の角部が描く軌跡(a),(b)は、図4(C)に示すように、外側にふくらんだ円弧状の軌跡となるので、支障なくドアを回動させるためには隣接するドアや枠等との間隙(c),(d)を大きくとる必要がある。
【0005】
そのため、180°ドアを開くよう回転支軸を移動する機構を有する隠し丁番や固定部とスライド部を有するスライド丁番は、ドアが開くに従ってドアの支軸が徐々に移動するよう構成されているものが多い。しかし、そのような機構等は未だドアの吊元小口面の移動軌跡の影響を受け易いから、上記間隙(c),(d)を大きくとる必要があり、外観状、見苦しくかつ施工上も充分に注意を払わなければならない。その上、ドアに取り付けるドア側金具と縦枠等の固定部に取り付ける固定側金具は、分離できないように支軸で連結されているから、施工現場ですべての取付作業をしなければならず、上下の金具の支軸芯が違った場合には、調整が難しく、金具は蝶番型式となり納まり方式が限定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、ドアを180°開くことができる隠し支持金具であって、ドアのわずかな開きで支軸を大きく移動させて上記ドアの移動軌跡による影響を少なくでき、また取付作業が容易にできるようにした隠し支持金具を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、縦枠等に取り付けられる固定座と、ドアに取り付けられる取付板と、先端部が固定座の前面から離れる方向に回動するよう基端部を上記固定座に枢着した支持板と、上記取付板と支持板の先端部を回動可能に連結する支軸と、上記固定座に枢着され上記支持板と連動するよう該支持板に連結した駆動板を有し、上記ドアを開放する際上記取付板に従動して上記駆動板が回動し取付板と駆動板の連結が外れたとき取付板側だけがさらに回動するよう上記取付板と駆動板を案内溝と駆動ピンにより分離可能に連結した隠し支持金具が提供され、またドアの開放位置で上記取付板を支持板に着脱できるよう上記支軸を上記取付板若しくは支持板に着脱可能に嵌装した隠し支持金具が提供され、上記課題が解決される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、管丁番式、旗丁番式、ピボットヒンジ式等種々の形式の支持金具に適用することができ、図1〜図3においては、建物内に設置した各種機器(図示略)の点検口ドア等のパネルドア(1)の取り付けに本発明による隠し支持金具を用いた実施例が示されている。
【0009】
本発明の隠し支持金具は、主として固定座(10)、取付板(11)、支持板(12)、支軸(13)、駆動板(14)を具備している。上記固定座(10)は、縦框、縦枠等の固定部(3)に取り付けられるよう取付脚(15),(15) を一側に有し、上板(16)、下板(17)及び側板(18)を有するほぼコ字状に形成され、該取付脚(15)の端縁に設けた爪片(19),(19)を固定部(3)の角部に係合させた状態でねじ(20)を取付脚(15)の取付孔(21)…に挿入して固定される。
【0010】
上記取付板(11)には、パネルドア(1)が取り付けられるが、該取付板(11)の形状、構造は支持金具の型式に応じて種々に構成される。図に示す実施例においては、平板部(22)と円筒部(23)を有し、該平板部(22)の取付孔(24)…にねじ(25)を通し、当板(26)を介してドア(1)を取り付けてある。該平板部(22)の一部はL字状に内方に屈曲しており、該屈曲部(27)には駆動ピン(28)が突設されている。
【0011】
上記取付板(11)に組み合わされる上記支持板(12)は、先端部が固定座(10)の前面から離れる方向に回動するよう基端部を固定座(10)に枢着してある。該支持板(12)の形状、構造も上記取付板(11)に対応して支持金具の型式に応じて種々に構成される。図に示す実施例においては図2に示すように、上記先端部に形成した円筒部(29)と平板部(30)を有し、該平板部(30)は、略L字状に屈曲され、基端部側の上下には内方にL字状に屈曲する上方内接片(31)と下方内接片(32)を有する。該上方内接片(31)と下方内接片(32)間の間隔は上記固定座(10)の上板(16)と下板(17)間に挿入可能な間隔に形成され、各部材に形成した取付孔(33),(34),(35),(36) に軸(37)を挿入することにより支持板(12)を上記固定座(10)に枢着してある。また、上記上方内接片(31)は、上記固定座(10)の上板(16)を越えて延出し、その先端には、L字状に起立する係合突起(38)を設けてある。この係合突起の位置は、上記軸(37)と円筒部(29)間の長さが、該係合突起(38)と上記軸(37)間の長さよりも数倍大きくなるように設定してある。
【0012】
上記支軸(13)は、上記取付板(11)と上記支持板(12)の先端部の円筒部(29)を回動可能に連結しているが、後記するようにドアの開放位置において上記取付板(11)を支持板(12)に着脱できるよう上記取付板若しくは支持板に着脱可能に嵌装されている。図2に示す実施例においては、該支軸(13)の基部は、取付板(11)の円筒部(23)に固定され、先端を支持板(12)の円筒部(29)に抜差可能に形成されているが、支持板(12)の円筒部に支軸の基部を固定し、取付板(11)の円筒部(23)を該支軸の先端に嵌装するようにしてもよい。なお、該支軸(13)は、取付板(11)若しくは支持板(12)と一体的に形成してもよい。
【0013】
上記駆動板(14)は基端側に設けた取付孔(39)に軸(40)を挿通し、該軸(40)を上記固定座(10)の上板(16)の孔(41)に取り付けることにより、該固定座(10)に枢着されている。そして、該駆動板(14)の後端には、上記支持板(12)の係合突起(38)が遊嵌するよう略コ字状の受溝(42)を形成してあり、これにより該駆動板(14)と支持板(12)が連結されている。すなわち、駆動板(14)が回動すると、上記受溝(42)、係合突起(38)を介して上記支持板(12)は回動する。なお、図に示す実施例とは逆に、駆動板(14)側に係合突起(38)を形成し、支持板(12)側に受溝(42)を形成したり、係合突起や受溝に代えてピンや該ピンを遊嵌する受孔にしてもよい。
【0014】
上記駆動板(14)と取付板(11)は、上記ドア(1)を開放する際、該取付板(11)に従動して該駆動板(14)が回動し、該取付板(11)駆動板(14)の連結が外れたとき該取付板側だけがさらに回動可能となるよう分離可能に連結されている。図に示す実施例においては、上記駆動板の先端に外方に開口する案内溝(43)を形成し、該案内溝(43)の平坦な摺動面(44)に沿って上記取付板(11)に設けた上記駆動ピン(28)が摺動するように該駆動ピン(28)が出入する案内溝を設けてあり、好ましくは上記案内溝(43)を形成する開き側の部片には、上記駆動ピン(28)が外れやすいよう面取部(45)を設け、上記案内溝の開口から駆動ピンが外れる位置(以下所定位置という)まで駆動板が回動したとき上記取付板と駆動板の連結が外れるようにしてある。なお、案内溝(43)を取付板(11)側に形成し、駆動ピン(28)を駆動板(14)側に設けてもよい。
【0015】
上記駆動板(14)を所定位置で停止させるよう回動範囲を規制するためのストッパが設けられている。すなわち、図に示す実施例では、ドアを開ける際、上記駆動板(14)が取付板(11)により固定座(10)の前面から離れる方向に回動されると、上記係合突起(38)が固定座(10)の上板(16)の側壁(46)に当る位置まで該駆動板(14)は回動する。また、ドアを閉じる際、上記駆動板(14)は、案内溝(43)に入り込んだ上記駆動ピン(28)の先端が上記上板(16)に設けた凹部(47)に当る位置まで回動する。なお、その他の適宜の部位にストッパを設けてもよい。
【0016】
上記駆動板(14)に設けたピン(48)と上記固定座(10)の上板(16)の延出部に設けたピン(49)の間には、引張ばね(50)が設けられている。該ばね(50)は、ドアを開けた際、駆動板(14)を上記所定位置に向けて付勢し、ドアを閉じた際、駆動板を固定座側に付勢するように設けてある。すなわち、上記ピン(48),(49) を結ぶ線が、ドアを開くときは上記駆動板(14)の軸(40)を越えて取付板(11)側に移動し、ドアを閉じた際は上記軸(40)を越えて取付板(11)の反対側に移動するように上記ピン(48),(49) の位置を設定してある。
【0017】
図3を参照して動作を説明すると、先ずパネルドア(1)を開け始めると、取付板(11)が支軸(13)を中心として同方向に回動し、該取付板(11)に設けた駆動ピン(28)に引っ張られて上記駆動板(14)が矢印(51)(図3(A))方向に回動する。これにより、駆動板(14)の受溝(42)は、矢印(52)方向に回動し、係合突起(38)も同方向に回動するから、支持板(12)は、該駆動板を介して軸(37)を中心として矢印(53)方向へ移動する。このとき上記支持板(12)と取付板(11)を連結している支軸(13)は、軸(37)と係合突起(38)間の長さに比べて該軸(37)と支軸(13)間の長さを数倍大きく設定してあるので、取付板(11)の回動が少しでも支軸(13)は矢印(53)方向へ大きく移動する。なお、この移動量や移動範囲は、各部材の長さや枢着位置その他を変更することにより適宜に設定することができる。
【0018】
上記取付板(11)をさらに回動するにしたがって、駆動ピン(28)は駆動板(14)を回動させながら案内溝(43)内を摺動し、徐々に面取部(45)方向に移動する。
【0019】
上記面取部(45)が、図3(B)に示すようにパネルドアに対して垂直よりさらに傾いた位置になると、駆動ピン(28)は案内溝(43)より外れるので、上記駆動板(14)を回動させることができず、上記支軸(13)の移動は停止する。この停止位置は、図3(C)に示すように、隣接するパネルドア(1)に対して支障なくパネルドア(1)を開放方向に180°まで回動できる位置に設定してあるので、上記パネルドア(1)は上記駆動板(14)の停止位置に関係なく充分に開放することができる。
【0020】
上記駆動ピン(28)が案内溝(43)より外れる直前に上記ピン(48)とピン(49)を結ぶ線が駆動板(14)の軸(40)を越えるので、該駆動板(14)には、ばね(50)の復元力により矢印(54)方向への回転力が作用するが、上記駆動ピン(28)が案内溝(43)から外れた直後に係合突起(38)が固定座(10)の上板(16)の側壁(46)に当って停止するから、該駆動板(14)は図3(C)の位置を保持する。したがって、駆動板に軽く接触したり、振動を与えたりした程度では該駆動板は移動せず、上記支軸(13)は停止位置に保持される。
【0021】
図3(C)に示す状態からドア(1)を閉じて行くと、同図(B)に示すように駆動ピン(28)は駆動板(14)の案内溝(43)に入って摺動面(44)に当接する。さらに閉じて行くと、駆動板は駆動ピン(28)に押され上記矢印(51)方向とは反対方向に回動し、それに従い支軸(13)も矢印(53)と逆方向に移動し、同図(A)の状態に戻る。このとき、上記ピン(48)とピン(49)を結ぶ線が駆動板(14)の軸(40)を越えて取付板(11)の反対側に移行するから、駆動板(14)には矢印(55)方向の回転力が作用し、パネルドア(1)を閉鎖位置に保持する。
【0022】
なお、本発明の隠し支持金具は、上記図3(B)及び同図(C)に示す状態では、円筒部から支軸を抜差することにより取付板を支持板から着脱することができるので、予め取付板をドアに取り付けてから、支持板に組み付ければよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、ドアを開けると、該ドアに取り付けた取付板に連動して駆動板が回動し、さらに該駆動板に連動する支持板が大きく回動し、ドアの支軸は該支持板の回動に伴って固定座の前面から離れる方向に大きく移動し、ドアの小さな開きで支軸を大きく移動させることができるから、隣接するドアや固定部等に支障なくドアを開くことができ、ドアの納まりの隙間を少なくして体裁よくドアを設けることができる。また、上記支軸の移動距離は、各部材の枢軸等の取付位置を変えることにより種々に設定することもできる。
【0024】
その上、ドアを開いた状態で、取付板は支持板から着脱することができるので、管丁番式、旗丁番式、ピボットヒンジ式等の支持金具に適用することができると共に取付板をドアに先に取り付けておくこともできるから、現場での取付作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】分解斜視図。
【図3】動作状態を示し、(A)はドア閉鎖時、(B)はドア開放の途中時、(C)はドアを180°開放した状態の各説明図。
【図4】ドアの動作を示し、(A)はドア内に回転支軸がある場合の動作説明図、(B)は180°ドアを開くための回転支軸の移動の説明図、(C)はドアの吊元小口面の軌跡を示す説明図。
【符号の説明】
1 パネルドア 10 固定座 11 取付板 12 支持板 13 支軸
14 駆動板 28 駆動ピン 37 軸 38 係合突起 40 軸 42 受溝 43 案内溝 50 ばね

Claims (7)

  1. 縦枠等に取り付けられる固定座と、ドアに取り付けられる取付板と、先端部が固定座の前面から離れる方向に回動するよう基端部を上記固定座に枢着した支持板と、上記取付板と支持板の先端部を回動可能に連結する支軸と、上記固定座に枢着され上記支持板と連動するよう該支持板の基端部側に設けた内接片に後端を連結した駆動板を有し、上記取付板の内方と上記駆動板の先端のいずれか一方に部材に外方に開口する案内溝を形成すると共に他方の部材に該案内溝の開口から該案内溝内に出入するよう駆動ピンを設けて上記取付板の内方と駆動板の先端を分離可能に連結し、上記支軸を中心として取付板を回動して上記ドアを開放する際該取付板に従動する駆動板を介して上記支持板は先端部が固定座の前面から離れる方向に回動し上記駆動ピンが案内溝の開口から外れる位置まで回動したとき駆動板との連結が外れて取付板側をさらに回動可能にしたことを特徴とする隠し支持金具。
  2. ドアの開放位置で取付板を支持板に着脱できるよう上記支軸の基部は取付板若しくは支持板の一方に固定され、他方の支持板若しくは取付板には該支軸の先端を着脱可能に嵌装する円筒部が形成されている請求項1に記載の隠し支持金具。
  3. 上記取付板の内方にL字状に屈曲する屈曲部を形成し、該屈曲部に上記駆動ピンを設け、上記駆動板の先端に上記案内溝を形成した請求項1に記載の隠し支持金具。
  4. 上記駆動板と支持板の連結は、一方の部材に設けた受溝と該受溝に遊嵌するよう他方の部材に設けた係合突起である請求項1に記載の隠し支持金具。
  5. 上記駆動板と固定座の間には、ドアを開けた際駆動板を上記案内溝の開口から駆動ピンが外れる位置に向けて付勢し、上記ドアを閉じた際駆動板を固定座側に付勢するばねが設けられている請求項1に記載の隠し支持金具。
  6. 上記駆動板の回動範囲を規制するようストッパを設けた請求項1に記載の隠し支持金具。
  7. 上記ストッパは、上記ドアが案内溝の開口から駆動ピンが外れる位置まで開いたとき上記固定座の側壁に当って上記駆動板の回動を停止するよう上記支持板と駆動板を連結する係合突起である請求項6に記載の隠し支持金具。
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