JP3545729B2 - ロッキングネイル - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項１の従来技術部分に記載のロッキングネイル（ｌｏｃｋｉｎｇ ｎａｉｌ）に関する。
【０００２】
【従来の技術】
骨折の治療を行うためのロッキングネイルは、長いこと知られている。ロッキングネイルを、準備がなされた、即ち開放穴が穿たれた骨管の骨髄空間に挿入する。ロッキングネイルは、基端から又は先端から挿入され、大腿骨の骨折の場合には骨内に係止される。ネイルシャンクの端部に設けられた横ボアに骨ねじを通すことによって相互係止が行われる。これにより、ロッキングネイルは骨ねじ構成要素を互いに軸線方向に保持し、これらの骨ねじ構成要素が回転しないようにする。
【０００３】
このようなロッキングネイルは、例えば米国特許第４，６２２，９５９号から周知である。更に、大腿骨頚部ねじの案内及び保持にこのようなロッキングネイルを使用することが周知であり、例えば欧州特許第０ ３２１ １７０号又はＧ８５２８７７０Ｕ１から周知である。
【０００４】
最後に、このようなロッキングネイルに圧縮を可能にする装置を設けることも、ドイツ国特許第３ ５４１ ５９７号又は米国特許第４，２８１，６４９号から周知である。ロッキングネイルの基端は、多くの場合、細長い横ボアを有し、圧縮ねじを受け入れるため、ネイルシャンクの中空端部分内に雌ねじが設けられており、これにより骨ねじを細長い横ボア内でボアの軸線と平行に変位させることができる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の種類のロッキングネイルを、その圧縮性に拘わらず改良係止性能を持つように改良することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この目的は、請求項１の特徴により達成される。
本発明のロッキングネイルでは、骨ねじ用の別の横ボアが、細長い横ボアとこれに面するネイルシャンクの端部との間に設けられる。更に、係止部材用の雌ねじが細長い横ボアと他の横ボアとの間に設けられ、これらのボア間の距離及び係止部材の長さは、ネイルシャンクの端部に又は他の横ボアに面した細長い横ボアの端部に近い端部に骨ねじがある場合でも、係止部材により骨ねじを他の横ボアに通すことができるように選択される。ネイルを挿入し、横ボアを骨管に照準合わせ装置（ａｉｍ−ｔａｋｉｎｇ ａｐｐａｒａｔｕｓ）によって形成した後、細長い横ボア用の骨ねじを挿入する。骨ねじの位置を細長い横ボア内で経験的に平行に変位させた後、係止部材を用いて骨折箇所を圧縮する。この作業の完了後、別の骨ねじを他方の横ボアに通し、ネイルを適切に係止する。
【０００７】
ネイルシャンクの端部に設けられた他方の横ボアは、照準合わせ装置及び／又は打ち込み−取り出し器具をねじ込むことができる別の雌ねじを設けるのに十分な空間を残す。
【０００８】
上文中に言及した欧州特許第０ ３２１ １７０号から、大腿骨頚部ねじを通すためにロッキングネイルのネイルシャンクに二つのねじ部分を設けることが既に知られている。内側のねじ部分は、大腿骨頚部ねじが回転しないようにする固定ねじを位置決めするのに役立つ。外側のねじ部分は、照準合わせ装置又は打ち込み−取り出し器具を受け入れるのに役立つ。
【０００９】
脛骨ネイルについての本発明の一つの特徴によれば、他方の横ボアの軸線は、細長い横ボアの軸線から、好ましくは９０°の角度で食い違っている。
添付図面に示す実施例を参照して本発明を以下に詳細に説明する。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１及び図２を参照すると、ロッキングネイルの端部分１０が示してある（この端部分は、用途に応じて、ネイルの基端又は先端であり、この端部分に照準合わせ装置及び／又は打ち込み器具が連結される）。わかるように、ネイル部分１０は中空である。ここに示してないロッキングネイルの残りの部分もまた、中空であるように設計されている。ロッキングネイルは、周知のように、一つ、二つ、又は三つの横ボアを先端部分（図示せず）に有する。ロッキングネイルは、部分１０に細長い横ボア１２を有し、このボアには、タッピングねじ部分１６及びねじ回し（ここには示してない）用の座ぐり面を持つヘッド１８を持つ骨ねじ１４が通してある。ここでは基端である端部分１０の端部２０から所定距離のところに、端部２０と細長いボア１２との間に、別の横ボア２２が設けられている。この横ボアの軸線は細長い横ボア１２の軸線とほぼ垂直である。基端には、向き合った凹所２４が設けられており、これらの凹所は、照準合わせ装置（図示せず）、又は打ち込み器具又は抜き取り器具の噛み合い突出部と係合できる。これらの装置又は器具は、凹所２４によって、ロッキングネイルに関して所定の回転位置が与えられる。
【００１１】
雌ねじ部分２６がネイル部分１０の管に設けられた横ボア１２と２２との間に形成されており、ねじ部分３０及びねじ山を備えていない小径部分３２を持つ係止部材２８が横ボア１２と２２との間に配置される。係止部材２８の長さは、図１に示すように、骨ねじ１４が、他の横ボア２２に向いた細長い横ボア１２の端部にある場合でも、他の横ボア２２の領域内に延びないように、大きさが定められる。ねじ部分は、雌ねじ２６と螺合する。係止部材２８の右端には、工具を用いてネイル管内で図２に示すように変位させることができるように、座ぐり係合面３２（内側六角形）が設けられている。図２には、係止部材２８が、細長い横ボア１２の他端までの骨ねじ１４のそれ自体と平行な変位をどのように補助するのかが示してある。これは従来の用途では稀にしか起こらない。というよりはむしろ、骨ねじ１４は、細長い横ボア１２の長さの数分の一に亘って変位するに過ぎないのである。
【００１２】
ひとたび圧縮が完了した後、ネイルの端部を係止するため、ヘッド３６及びねじ山を備えたシャンク３８を持つ別の骨ねじ３４を他の横ボア１２に通すことができる。
【００１３】
上文中に言及したように、ロッキングネイル用の打ち込み器具又は場合によっては照準合わせ装置をネイルの関連した端部に置いてそこにボルト止めするのが一般的である。照準合わせ装置の利点は、圧縮作業中にネイル端部にとどまることができるということである。圧縮作業は、係止部材を関連したねじ内でねじ回し等によって回転させることによって行われる。この目的のため、ねじ回しのシャンクをネイルの中空端部に導入する。これを行う前に、照準合わせ装置をネイル端部に配置するのに使用したねじを取り出す。しかしながら、上文中に言及したように照準合わせ装置は、圧縮中、ネイル端部にとどまる。この時点で、照準合わせ装置をネイル端部に取り付けるため、ねじが着座していた部分をねじ回しのシャンクが通過する。ひとたび圧縮作業が完了すると、ハンドルをねじ回しから取り外す。次に、ねじ回しのシャンクの設計、及び照準合わせ装置を取り付けるためのボルト又はナットの大きさは、ねじ回しのシャンクに亘って押すことができるように定められる。これにより、ねじ回しのシャンクをそこに残したまま、照準合わせ装置をネイルに再ボルト止めできる。かくして、照準合わせ装置の再ボルト止めにおける案内機能を備えている。次いで、シャンクを単にストリッピング除去することによって取り外すことができる。次に、照準合わせ装置をネイルに再度しっかりと連結し、他の横ボアの位置を周知の方法で決定できる。これを行ったとき、骨ねじが他の横ボアに周知の方法で取り付けられる。
【００１４】
照準合わせ装置の構造は、本願では全く取るに足らない。唯一重要な事柄は、照準合わせ装置の取り付けが上文中に説明した機能を保証するということである。
【図面の簡単な説明】
【図１】脛骨ネイルの部分断面斜視図である。
【図２】図１と同様の図であるが、圧縮及び別の骨ねじの別の横ボアへの挿入が続いて行われている状態の部分断面斜視図である。
【符号の説明】
１０ ロッキングネイル
１２ 横ボア
１４ 骨ねじ
１６ タッピングねじ山部分
１８ ヘッド
２０ 端部
２２ 横ボア
２４ 向き合った凹所
２６ 雌ねじ部分
２８ 係止部材
３０ ねじ部分
３２ 小径部分
３４ 別の骨ねじ
３６ ヘッド
３８ シャンク

Claims (4)

1. シャンクを含むロッキングネイルであって、骨ねじを受け入れるための、一端の近くに設けられた少なくとも一つの横ボア及び他端の近くに設けられた少なくとも一つの横ボアを有し、一端に設けられた横ボアは前記ネイルの長さ方向で細長い形状を備えており、前記細長い横ボアを持つ中空に設計されたシャンク部分に雌ねじが設けられ、前記雌ねじにねじ込まれて前記細長い横ボア内の骨ねじに相互作用を及ぼし、この骨ねじを前記横ボア内でその長さ方向軸線に対して横方向に変位させるようになった雄ねじ部分を備えた係止部材を有する、ロッキングネイルにおいて、骨ねじ（３４）用の別の横ボア（２２）が、前記細長い横ボア（１２）と、それに面する前記シャンク（１０）の前記端部（２０）との間に設けられ、前記雌ねじ（２６）の配置及び前記係止部材（２８）の長さ、及び他の横ボア（２２）の位置は、前記係止部材（２８）が、前記細長い横ボア（１２）内の前記骨ねじ（１４）が、前記シャンク端部（２０）に面する前記細長い横ボア（１２）の端部に当接している場合でも、他のボア（２２）に大きな空所を残す、ことを特徴とするロッキングネイル。
2. 請求項１に記載のロッキングネイルにおいて、前記他の横ボア（２２）の軸線が前記細長い横ボア（１２）の軸線から好ましくは９０°の角度だけずれている、ことを特徴とする前記ロッキングネイル。
3. 請求項１または２に記載のロッキングネイルにおいて、前記係止部材（２８）は、ねじ部分（３０）及び前記細長い横ボア（１２）内の前記骨ねじ（１４）と相互作用するねじ山を備えていない部分（３２）から成る、ことを特徴とする前記ロッキングネイル。
4. 請求項１〜３のいずれかに記載のロッキングネイルにおいて、照準合わせ装置及び／又は打ち込み−取り出し器具用の別の雌ねじ部分が、前記中空シャンク部分（１０）に、他の横ボア（２２）とこの横ボアに面する前記ネイルシャンク（１０）の端部（２０）との間に設けられている、ことを特徴とする前記ロッキングネイル。

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