JP3545692B2 - 海洋深層水を利用したスポーツドリンク - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は海洋深層水を利用したスポーツドリンクに関し、特には海洋深層水に含まれているミネラル成分を有効に生かすとともに海洋深層水のミネラルバランスを忠実に再現したスポーツドリンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から健康飲料として多種類の清涼飲料水が市販されているが、これらの清涼飲料水の種類として、コーラ等の色付きの飲料とかスポーツドリンク等の透明な飲料の外、全国各地の山岳水及び渓谷水、更には土地の名水と呼ばれる水が取水されてミネラルウォータとして市販されている。上記以外にも緑茶とか麦茶、ウーロン茶等の各種茶類、コーヒーとか紅茶等の各種の抽出飲料も多くの人に好まれて飲用されている。
【0003】
上記のスポーツドリンクに着目すると、このスポーツドリンクは「アイソトニック飲料」又は「イオンサプライ飲料」とも呼ばれる我国独特の飲料であって、特にスポーツの後における水分の効果的な補給と電解質の補給を主たる目的としている。このドリンクは低糖分の無着色飲料であることが特徴となっている。
【0004】
上記コーラは原料粉末を精製水で溶解して炭酸水で希釈したものであり、スポーツドリンクもやはり精製水に化学的処理を行ったものとか、天然ミネラルウォーターを原料水として、この原料水に果汁とか糖分、ビタミン及び合成香料等を添加して製造されている。
【0005】
一方、近時は海洋深層水の持つ清浄性と豊富なミネラル成分が需要者の注目を浴びてブームを呼び、海洋深層水を脱塩処理した水が飲料水の分野に進入している現状にある。上記の海洋深層水は、現在世界中でも「ノルウエー沖」、「ハワイ沖」、「高知県の室戸岬沖」の3ケ所のみで実用的に取水されており、通常海洋表層で見られる風波とか表層温度変化に伴う対流,混合も生じない環境下にある海水で、地上で使用されている各種の油類とか化学物質,農薬等の有害物質に起因する海洋汚染の影響を受けることがなく、しかも海水中の溶存有機物が非常に少なく、微生物的な観点から極めて清浄であるという特徴を有している。水温は年間平均で13℃以下という低温であり、人体が必要とする多くの天然元素を含んでいる。
【0006】
表1は海洋表層水と海洋深層水の各種項目に関して分析した結果を示す一覧表であり、一般項目をみると、水温平均は海洋表層水の21℃に対して海洋深層水は13.1℃と低く、pHは同8.19に対して7.87、DOは同8.33mg/Lに対して7.28mg/L、TOCは1.60mg/Lに対して0.98mg/Lでともに海洋深層水の方が低いが、生菌数は海洋表層水の103〜104に対して海洋深層水は102であり、一桁以上も低くなっている。
【0007】
【表1】
【0008】
ミネラル成分としての栄養塩類の項目では、NO3 −Nは海洋表層水の1.49μg−at/Lに対して海洋深層水では25.9μg−at/L、PO4 −Pは同0.34μg−at/Lに対して1.65μg−at/L、SiO2 −Siは同13.6μg−at/Lに対して64.2μg−at/Lと海洋深層水の方が遙かに大きくなっている。他の微量元素の項目でも海洋表層水よりも海洋深層水の方が含有量が高いという分析結果が得られている。
【0009】
また、海洋深層水の脱塩水を原子吸光光度法により分析した結果、カルシウムが0.4mg/L、マグネシウムが1.0mg/L含まれていることが判明した。更に海洋深層水の濃縮水を同様に原子吸光光度法により分析した結果、カルシウムが560mg/L、マグネシウムが1700mg/Lも含まれているという結果が得られた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のスポーツドリンクには、人体が必要とする天然の微量元素(ミネラル)が含まれておらず、スポーツの後の飲料用として必ずしも満足するものが得られていない現状にある。特に近時は天然に存在する微量元素の重要性が見直されている現状にある。更に人体に必須の塩として通常精製塩が添加されているが、このような精製塩よりも海水から採取した天然塩の方が微量元素を多く含んでおり、スポーツドリンクに添加する塩として優れているが、海洋汚染の進んだ現代では海水中の表層水はそのままでは飲用に供することはできない。
【0011】
前記したように海洋深層水を脱塩処理した飲料水が近時では多く利用されているが、脱塩作業時に各種の栄養塩類及び微量元素等のミネラル成分の多くが除去されてしまうことが多く、前記表1中の海洋深層水の持つミネラルバランスを実現しているとはいい難いという問題がある。
【0012】
そこで本発明はこのような従来のスポーツドリンクが有している課題を解消して、海洋深層水を使用したことによって多くの天然微量元素(ミネラル)を含み、かつ、該海洋深層水の持つミネラルバランスを忠実に再現するとともに、スポーツドリンクとして適した成分を含む新規なスポーツドリンクを得ることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、海洋深層水の脱塩水を用いて、緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草を抽出した抽出液に、海洋深層水から製造したにがり液を添加して作製した海洋深層水を利用したスポーツドリンクを基本として提供する。
【0014】
そして、果汁,ビタミン,香料,ハチミツ,クエン酸その他の副原料を添加し、或いはコラーゲンを溶解させる。
【0015】
かかる海洋深層水を利用したスポーツドリンクによれば、海洋深層水から製造したにがり液中にはカリウム、マグネシウム、銅、亜鉛その他の多くの微量元素を含有しているため、海洋深層水に含まれているミネラル成分を有効に生かすとともに該海洋深層水のミネラルバランスを忠実に再現することができて、スポーツの後の飲料用のみならず健康飲料としても好ましいスポーツドリンクを得ることができる。更に、緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草の抽出成分及び溶解させたコラーゲンによってスポーツドリンクとして適した成分を含む新規なスポーツドリンクを得ることができる。また、海洋深層水から製造したにがり液の添加量を調節することにより、得られたスポーツドリンクの硬度を所望の範囲に調節して、スポーツドリンクとして最適の硬度を選択することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明にかかる海洋深層水を利用したスポーツドリンクの具体的な各実施形態を説明する。
【0017】
先ず、スポーツドリンクの原料水として、海洋深層水の脱塩水と鉱泉水、又は海洋深層水の脱塩水と水道水、或いは海洋深層水の脱塩水のみ、更には海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いる。海洋深層水の脱塩水とは、海洋深層水をイオン交換法,逆浸透膜法もしくは荷電モザイク膜法等の公知の方法により脱塩処理した水である。鉱泉水とは各地の山岳水とか渓谷水及び各土地の名水と呼ばれる水である。水道水は水道法による水質基準に適合した飲用適の水を指しており、本実施形態では水道水をストレーナで濾過したもの、イオン交換法、荷電モザイク膜法等の公知の方法により純水に近づけたものを用いる。
【0018】
図1は各実施形態にかかるスポーツドリンクの製造工程例を示すフロー図であり、原料水として海洋深層水の脱塩水を用いた例である。先ず第1の実施形態では、ステップ1で海面下200メートル以上の深海から取水した海洋深層水を用意し、ステップ2で該海洋深層水を浸透膜を用いた濾過を行って脱塩処理することによりステップ3で脱塩水を得て、ステップ4で緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草等を抽出し、ステップ5で該抽出液を調合タンク内に入れて予め飲用するための所定濃度のスポーツドリンクを作製する。
【0019】
次に上記抽出液を飲用するための所定濃度より濃く抽出し、該濃度の濃い抽出液を収納したステップ5の調合タンク内に、海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いて飲用するための所定濃度に希釈してスポーツドリンクを作製する。
【0020】
第2の実施形態では、海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いて、ステップ4で緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草を抽出し、ステップ5の調合タンク内の抽出液に、海洋深層水の原水,脱塩水を得た残りの海洋深層水の濃縮水,海洋深層水から製造したにがり液,海洋深層水から析出した硫酸カルシウムの何れか一種又は複数種を添加する。即ち、ステップ6では前記ステップ2での濾過によって脱塩水を得た残りの海洋深層水を利用して濃縮水を得て、ステップ7では濃縮水を更に濃縮してステップ8でにがり液を得るとともに、ステップ9で硫酸カルシウムを析出させて、得られた濃縮水,にがり液,硫酸カルシウムの何れか一種又は複数種を所定の配合割合で上記ステップ5の調合タンク内に入れてスポーツドリンクを作製する。図1において、海洋深層水の原水をステップ5の調合タンクに添加するラインの図示は省略してある。
【0021】
次に、第3の実施形態では、第2の実施形態における抽出液を飲用するための所定濃度より濃く抽出し、該濃度の濃い抽出液を収納したステップ5の調合タンク内に、海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いて飲用するための所定濃度に希釈したものに海洋深層水の原水,脱塩水を得た残りの海洋深層水の濃縮水,海洋深層水から製造したにがり液,海洋深層水から析出した硫酸カルシウムの何れか一種又は複数種を添加してスポーツドリンクを作製する。
【0022】
第4の実施形態としては前記第1〜第3の実施形態におけるスポーツドリンクにおいて、ステップ5の調合タンクに、ステップ10で果汁,ビタミン,香料,ハチミツ,クエン酸その他の副原料を添加する。更に、第5の実施形態として前記第1〜第4の実施形態におけるスポーツドリンクにおいて、ステップ5の調合タンクにステップ10でコラーゲンを添加して溶解させる。
【0023】
ステップ5の調合タンクにステップ10で添加して抽出液に溶解させるコラーゲンは、繊維状の蛋白質であり、人体を形成し、正常に機能させるために、必要不可欠なタンパク質である。人の体内では、常にコラーゲンの分解と合成が繰り返されており、一説には、体内のコラーゲンはおよそ半年で、全て分解合成されて新しくなるといわれている。つまり、例えば体重50kgの人は約3.3kgのコラーゲンを体の中に持っており、単純計算すると1日当たり約17gのコラーゲンが分解合成されることとなる。しかし、15〜16歳より年をとると共に、コラーゲンを分泌する細胞の働きが弱くなり、新しいコラーゲンが作り出されにくく、分解の方が多くなる。当然の事ながら、既に出来上がっているコラーゲンも古くなっていく一方である。古くなったコラーゲンは柔軟性を失ったために、水分やカルシウムが入れ込む隙間も無いほどにがっちりと結びつき、皮膚は弾力を失い、しわやしみが発生したり、カルシウムの抜けた骨は折れやすく、関節が痛む。これを防ぐには、コラーゲンを積極的に補給し、新陳代謝を促す必要がある。コラーゲンを採取することにより、その新陳代謝を早めることは、コラーゲンを含む組織を若返らせる事につながり、それにより、老化そのものを防ぐ可能性がある。よって、本発明ではコラーゲンを抽出液に添加して溶解させ、その摂取を実現している。
【0024】
上記した作製方法によってステップ5の調合タンク内において撹拌混合して均質化されたスポーツドリンクを得る。他方でステップ11の洗浄工程によって清浄化された容器を用意しておき、ステップ12でステップ5の調合タンク内のスポーツドリンク用の飲料を充填器を用いて容器内に充填し、ステップ13でキャッピングを行い、ステップ14で包装作業を行うことによってステップ15でスポーツドリンク製品が完成する。尚、工程説明中では省略したが、ステップ13でのキャッピング後に容器の破損とか異物の混入有無及び外観の検査を行い、検査合格品をステップ14の前段階でラベラーによりラベリングしてから包装作業を行うのが通例である。
【0025】
図1は原料水として海洋深層水の脱塩水を用いた例であるが、この海洋深層水の脱塩水以外に、海洋深層水の脱塩水と鉱泉水の混合水、又は海洋深層水の脱塩水と水道水との混合水、或いは海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いることも可能である。また、ステップ10で添加する副原料として、果汁とか糖分,ビタミン,香料の外、スポーツドリンクとして適当な漢方薬等の抽出エキスを入れることも効果的である。
【0026】
図2は前記図1のステップ7,8によるにがり液と硫酸カルシウムを得るための工程例を示すフロー図であり、先ずステップ20で海洋深層水の濃縮水もしくは原水を用意し、ステップ21で該濃縮水又は原水の蒸発を行う。尚、ステップ21は省略することも可能である。ステップ22で濃縮水もしくは原水の煮出しを行い、ステップ23で硫酸カルシウムを析出させてからステップ24で該硫酸カルシウムを取り出し、ステップ25で再度煮出しを行ってからステップ26で塩分を析出させ、ステップ27で該塩分を除去し、ステップ28でにがり液を得ている。尚、ステップ22の煮出し工程は低圧下なら低温で煮出せる利点がある。得られたにがり液は海洋深層水の原水又は濃縮水を煮出して飽和状態にして塩分を析出させた飽和食塩水であり、主成分は塩化マグネシウムであって通常は豆腐の凝固剤に使用されており、塩分が残存している。
【0027】
上記により作製したスポーツドリンクに関して、組成成分比を詳細に分析した結果の一例を以下に説明する。即ち、得られたスポーツドリンクの1リットル当たり、脱塩水の用いた抽出液が88.1000259重量%,硫酸カルシウムが5.6141253重量%,海洋深層水の濃縮水が2.0846142重量%,にがり液が0.0012346重量%,ハチミツが1重量%,果糖3重量%,レモンフレーバー0.05重量%,レモンドライ0.05重量%,クエン酸が0.05重量%,ビタミンCが0.05重量%である。脱塩水の抽出液は事前に緑茶12g,ミント0.5g,高麗人参0.1g,冬虫夏草0.01gを脱塩水を用いて抽出し、抽出後に緑茶その他の抽出材料を取り出して廃棄する。なお、コラーゲンを溶解させる場合は抽出液1L当たり5g程度を添加して溶解させることが適当である。
【0028】
表2は海洋深層水の原水と濃縮水及び脱塩水の夫々について、pHと電気伝導度及び含有する元素成分を比較したデータを測定した結果を示しており、何れの項目も濃縮水の測定値が大きいことが分かる。
【0029】
【表2】
【0030】
表3は前記にがり液に含まれている成分を分析した結果を示す一覧表であり、カリウム,マグネシウム,カルシウム,銅,亜鉛その他の多くの微量元素を含有していることが確認された。
【0031】
【表3】
【0032】
表4は飲料水に添加する海洋深層水の原水と、海洋深層水の濃縮水と、海洋深層水から製造したにがり液及び硫酸カルシウムの添加量を調節することにより、得られた飲料の硬度を、1000,300その1,300その2,100,50,28の各硬度別に分類した飲料について、脱塩水、濃縮水、にがり液、硫酸カルシウムの各配合割合を示している。
【0033】
【表4】
【0034】
一般に硬度とは水のカルシウムイオン・マグネシウムイオンを含有する程度を指しており、本発明では飲料水や抽出飲料に添加する海洋深層水の原水,海洋深層水の濃縮水,海洋深層水から製造したにがり液,硫酸カルシウムの添加量によってスポーツドリンクとして適当な所望の範囲に調節することが可能である。
【0035】
本発明で採用した海洋深層水は、室戸岬沖の水深320メートル地点から取水した海水であり、深層水中に含まれている三態窒素のうち、アンモニア態窒素,亜硝酸態窒素はごく僅かであり、生物に与える影響は小さく、硝酸態窒素についても表層部では微量であったが、水深が増加するにつれて濃度が高まり、水深200メートル以深の水中での無機溶存態窒素の95%以上が硝酸態窒素で24μM存在している。その他リン酸態リンが1.7μM、珪酸態珪素が41μM溶存しており、いずれも表層部の5〜10倍以上の栄養塩濃度を有している。
【0036】
海洋深層水中に含まれている生体の発育上で必須の天然元素とは、Fe(鉄)、I(沃素)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Mo(モリブデン)、Se(セレン)、Cr(クロム)、Sn(スズ)、V(バナジウム)、F(フッ素)、Si(ケイ素)、Ni(ニッケル)、As(ヒ素)の15元素であり、これらの元素が海洋深層水に全てバランス良く含まれていることが大きな特徴となっている。従って海洋深層水は海洋生物の生長とか増殖に対しても大きな潜在能力を秘めた海水であるといえる。このような潜在能力は、近年メダイやコンブ、深海サンゴ等の養殖実験に利用されて大きな成果を上げていることからも実証されている。特に前記ノルウエー沖の海洋深層水は、フィヨルド深層水と呼ばれてサケ養殖に適していることが報告されている。
【0037】
海洋深層水中の生菌数は、前記表1中に示したように表層水中のそれと比較して、1桁又はそれ以上少なくなっており、しかも病原生物はほとんど含まれていないため、海水に由来する魚病菌による病気に関する惧れは全くなく、スポーツドリンクに採用した際の安全性が極めて高いという大きな特徴がある。本発明はこのような海洋深層水に含まれている天然元素を抽出飲料に採り入れることによって、スポーツの後における水分の効果的な補給と電解質の補給以外に生体の発育を促進するという従来のスポーツドリンクでは実現することができない特性を持たせることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、海洋深層水を脱塩処理した際に除去される各種の栄養塩類及び微量元素等のミネラル成分の多くが補給され、特に海洋深層水の濃縮水は原水よりも多量の各種元素成分を含有しているとともに、にがり液中にもカリウム,マグネシウム,カルシウム,銅,亜鉛等の微量元素を含有しているため、硫酸カルシウムの添加に伴って海洋深層水に含まれているミネラル成分を有効に生かすとともに海洋深層水のミネラルバランスを忠実に再現したスポーツドリンクが得られる。また、人体に必須の塩として海水中の天然塩が微量元素を多く含んでおり、抽出飲料に添加する塩として最適であって健康飲料としても好適である。
【0039】
更に、緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草の抽出成分及び溶解させたコラーゲンによってスポーツドリンクとして適した成分を含む新規なスポーツドリンクを得ることができる。
【0040】
更に飲料水に添加する海洋深層水の原水と、海洋深層水の濃縮水と、にがり液及び硫酸カルシウムの添加量を調節することにより、得られたスポーツドリンクの硬度を所望の範囲内で調節して、スポーツドリンクとして最適の硬度を選択することが可能となる。
【0041】
従って本発明によれば、飲料水に海洋深層水の原水,脱塩水を得た残りの海洋深層水の濃縮水,海洋深層水から製造したにがり液,海洋深層水から析出した硫酸カルシウムの何れか一種又は複数種を添加したことによって多くの天然微量元素を含み、かつ該海洋深層水の持つミネラルバランスを再現したことによってスポーツの後における水分の効果的な補給と電解質の補給以外に健康飲料としても好適なスポーツドリンクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかるスポーツドリンクの製造工程例を示すフロー図。
【図2】にがり液と硫酸カルシウムを得るための工程例を示すフロー図。
整理番号 P3126
【発明の属する技術分野】
本発明は海洋深層水を利用したスポーツドリンクに関し、特には海洋深層水に含まれているミネラル成分を有効に生かすとともに海洋深層水のミネラルバランスを忠実に再現したスポーツドリンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から健康飲料として多種類の清涼飲料水が市販されているが、これらの清涼飲料水の種類として、コーラ等の色付きの飲料とかスポーツドリンク等の透明な飲料の外、全国各地の山岳水及び渓谷水、更には土地の名水と呼ばれる水が取水されてミネラルウォータとして市販されている。上記以外にも緑茶とか麦茶、ウーロン茶等の各種茶類、コーヒーとか紅茶等の各種の抽出飲料も多くの人に好まれて飲用されている。
【0003】
上記のスポーツドリンクに着目すると、このスポーツドリンクは「アイソトニック飲料」又は「イオンサプライ飲料」とも呼ばれる我国独特の飲料であって、特にスポーツの後における水分の効果的な補給と電解質の補給を主たる目的としている。このドリンクは低糖分の無着色飲料であることが特徴となっている。
【0004】
上記コーラは原料粉末を精製水で溶解して炭酸水で希釈したものであり、スポーツドリンクもやはり精製水に化学的処理を行ったものとか、天然ミネラルウォーターを原料水として、この原料水に果汁とか糖分、ビタミン及び合成香料等を添加して製造されている。
【0005】
一方、近時は海洋深層水の持つ清浄性と豊富なミネラル成分が需要者の注目を浴びてブームを呼び、海洋深層水を脱塩処理した水が飲料水の分野に進入している現状にある。上記の海洋深層水は、現在世界中でも「ノルウエー沖」、「ハワイ沖」、「高知県の室戸岬沖」の3ケ所のみで実用的に取水されており、通常海洋表層で見られる風波とか表層温度変化に伴う対流,混合も生じない環境下にある海水で、地上で使用されている各種の油類とか化学物質,農薬等の有害物質に起因する海洋汚染の影響を受けることがなく、しかも海水中の溶存有機物が非常に少なく、微生物的な観点から極めて清浄であるという特徴を有している。水温は年間平均で13℃以下という低温であり、人体が必要とする多くの天然元素を含んでいる。
【0006】
表1は海洋表層水と海洋深層水の各種項目に関して分析した結果を示す一覧表であり、一般項目をみると、水温平均は海洋表層水の21℃に対して海洋深層水は13.1℃と低く、pHは同8.19に対して7.87、DOは同8.33mg/Lに対して7.28mg/L、TOCは1.60mg/Lに対して0.98mg/Lでともに海洋深層水の方が低いが、生菌数は海洋表層水の103〜104に対して海洋深層水は102であり、一桁以上も低くなっている。
【0007】
【表1】
【0008】
ミネラル成分としての栄養塩類の項目では、NO3 −Nは海洋表層水の1.49μg−at/Lに対して海洋深層水では25.9μg−at/L、PO4 −Pは同0.34μg−at/Lに対して1.65μg−at/L、SiO2 −Siは同13.6μg−at/Lに対して64.2μg−at/Lと海洋深層水の方が遙かに大きくなっている。他の微量元素の項目でも海洋表層水よりも海洋深層水の方が含有量が高いという分析結果が得られている。
【0009】
また、海洋深層水の脱塩水を原子吸光光度法により分析した結果、カルシウムが0.4mg/L、マグネシウムが1.0mg/L含まれていることが判明した。更に海洋深層水の濃縮水を同様に原子吸光光度法により分析した結果、カルシウムが560mg/L、マグネシウムが1700mg/Lも含まれているという結果が得られた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のスポーツドリンクには、人体が必要とする天然の微量元素(ミネラル)が含まれておらず、スポーツの後の飲料用として必ずしも満足するものが得られていない現状にある。特に近時は天然に存在する微量元素の重要性が見直されている現状にある。更に人体に必須の塩として通常精製塩が添加されているが、このような精製塩よりも海水から採取した天然塩の方が微量元素を多く含んでおり、スポーツドリンクに添加する塩として優れているが、海洋汚染の進んだ現代では海水中の表層水はそのままでは飲用に供することはできない。
【0011】
前記したように海洋深層水を脱塩処理した飲料水が近時では多く利用されているが、脱塩作業時に各種の栄養塩類及び微量元素等のミネラル成分の多くが除去されてしまうことが多く、前記表1中の海洋深層水の持つミネラルバランスを実現しているとはいい難いという問題がある。
【0012】
そこで本発明はこのような従来のスポーツドリンクが有している課題を解消して、海洋深層水を使用したことによって多くの天然微量元素(ミネラル)を含み、かつ、該海洋深層水の持つミネラルバランスを忠実に再現するとともに、スポーツドリンクとして適した成分を含む新規なスポーツドリンクを得ることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、海洋深層水の脱塩水を用いて、緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草を抽出した抽出液に、海洋深層水から製造したにがり液を添加して作製した海洋深層水を利用したスポーツドリンクを基本として提供する。
【0014】
そして、果汁,ビタミン,香料,ハチミツ,クエン酸その他の副原料を添加し、或いはコラーゲンを溶解させる。
【0015】
かかる海洋深層水を利用したスポーツドリンクによれば、海洋深層水から製造したにがり液中にはカリウム、マグネシウム、銅、亜鉛その他の多くの微量元素を含有しているため、海洋深層水に含まれているミネラル成分を有効に生かすとともに該海洋深層水のミネラルバランスを忠実に再現することができて、スポーツの後の飲料用のみならず健康飲料としても好ましいスポーツドリンクを得ることができる。更に、緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草の抽出成分及び溶解させたコラーゲンによってスポーツドリンクとして適した成分を含む新規なスポーツドリンクを得ることができる。また、海洋深層水から製造したにがり液の添加量を調節することにより、得られたスポーツドリンクの硬度を所望の範囲に調節して、スポーツドリンクとして最適の硬度を選択することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明にかかる海洋深層水を利用したスポーツドリンクの具体的な各実施形態を説明する。
【0017】
先ず、スポーツドリンクの原料水として、海洋深層水の脱塩水と鉱泉水、又は海洋深層水の脱塩水と水道水、或いは海洋深層水の脱塩水のみ、更には海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いる。海洋深層水の脱塩水とは、海洋深層水をイオン交換法,逆浸透膜法もしくは荷電モザイク膜法等の公知の方法により脱塩処理した水である。鉱泉水とは各地の山岳水とか渓谷水及び各土地の名水と呼ばれる水である。水道水は水道法による水質基準に適合した飲用適の水を指しており、本実施形態では水道水をストレーナで濾過したもの、イオン交換法、荷電モザイク膜法等の公知の方法により純水に近づけたものを用いる。
【0018】
図1は各実施形態にかかるスポーツドリンクの製造工程例を示すフロー図であり、原料水として海洋深層水の脱塩水を用いた例である。先ず第1の実施形態では、ステップ1で海面下200メートル以上の深海から取水した海洋深層水を用意し、ステップ2で該海洋深層水を浸透膜を用いた濾過を行って脱塩処理することによりステップ3で脱塩水を得て、ステップ4で緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草等を抽出し、ステップ5で該抽出液を調合タンク内に入れて予め飲用するための所定濃度のスポーツドリンクを作製する。
【0019】
次に上記抽出液を飲用するための所定濃度より濃く抽出し、該濃度の濃い抽出液を収納したステップ5の調合タンク内に、海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いて飲用するための所定濃度に希釈してスポーツドリンクを作製する。
【0020】
第2の実施形態では、海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いて、ステップ4で緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草を抽出し、ステップ5の調合タンク内の抽出液に、海洋深層水の原水,脱塩水を得た残りの海洋深層水の濃縮水,海洋深層水から製造したにがり液,海洋深層水から析出した硫酸カルシウムの何れか一種又は複数種を添加する。即ち、ステップ6では前記ステップ2での濾過によって脱塩水を得た残りの海洋深層水を利用して濃縮水を得て、ステップ7では濃縮水を更に濃縮してステップ8でにがり液を得るとともに、ステップ9で硫酸カルシウムを析出させて、得られた濃縮水,にがり液,硫酸カルシウムの何れか一種又は複数種を所定の配合割合で上記ステップ5の調合タンク内に入れてスポーツドリンクを作製する。図1において、海洋深層水の原水をステップ5の調合タンクに添加するラインの図示は省略してある。
【0021】
次に、第3の実施形態では、第2の実施形態における抽出液を飲用するための所定濃度より濃く抽出し、該濃度の濃い抽出液を収納したステップ5の調合タンク内に、海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いて飲用するための所定濃度に希釈したものに海洋深層水の原水,脱塩水を得た残りの海洋深層水の濃縮水,海洋深層水から製造したにがり液,海洋深層水から析出した硫酸カルシウムの何れか一種又は複数種を添加してスポーツドリンクを作製する。
【0022】
第4の実施形態としては前記第1〜第3の実施形態におけるスポーツドリンクにおいて、ステップ5の調合タンクに、ステップ10で果汁,ビタミン,香料,ハチミツ,クエン酸その他の副原料を添加する。更に、第5の実施形態として前記第1〜第4の実施形態におけるスポーツドリンクにおいて、ステップ5の調合タンクにステップ10でコラーゲンを添加して溶解させる。
【0023】
ステップ5の調合タンクにステップ10で添加して抽出液に溶解させるコラーゲンは、繊維状の蛋白質であり、人体を形成し、正常に機能させるために、必要不可欠なタンパク質である。人の体内では、常にコラーゲンの分解と合成が繰り返されており、一説には、体内のコラーゲンはおよそ半年で、全て分解合成されて新しくなるといわれている。つまり、例えば体重50kgの人は約3.3kgのコラーゲンを体の中に持っており、単純計算すると1日当たり約17gのコラーゲンが分解合成されることとなる。しかし、15〜16歳より年をとると共に、コラーゲンを分泌する細胞の働きが弱くなり、新しいコラーゲンが作り出されにくく、分解の方が多くなる。当然の事ながら、既に出来上がっているコラーゲンも古くなっていく一方である。古くなったコラーゲンは柔軟性を失ったために、水分やカルシウムが入れ込む隙間も無いほどにがっちりと結びつき、皮膚は弾力を失い、しわやしみが発生したり、カルシウムの抜けた骨は折れやすく、関節が痛む。これを防ぐには、コラーゲンを積極的に補給し、新陳代謝を促す必要がある。コラーゲンを採取することにより、その新陳代謝を早めることは、コラーゲンを含む組織を若返らせる事につながり、それにより、老化そのものを防ぐ可能性がある。よって、本発明ではコラーゲンを抽出液に添加して溶解させ、その摂取を実現している。
【0024】
上記した作製方法によってステップ5の調合タンク内において撹拌混合して均質化されたスポーツドリンクを得る。他方でステップ11の洗浄工程によって清浄化された容器を用意しておき、ステップ12でステップ5の調合タンク内のスポーツドリンク用の飲料を充填器を用いて容器内に充填し、ステップ13でキャッピングを行い、ステップ14で包装作業を行うことによってステップ15でスポーツドリンク製品が完成する。尚、工程説明中では省略したが、ステップ13でのキャッピング後に容器の破損とか異物の混入有無及び外観の検査を行い、検査合格品をステップ14の前段階でラベラーによりラベリングしてから包装作業を行うのが通例である。
【0025】
図1は原料水として海洋深層水の脱塩水を用いた例であるが、この海洋深層水の脱塩水以外に、海洋深層水の脱塩水と鉱泉水の混合水、又は海洋深層水の脱塩水と水道水との混合水、或いは海洋深層水の脱塩水,鉱泉水,水道水の何れか一種又は複数の水を用いることも可能である。また、ステップ10で添加する副原料として、果汁とか糖分,ビタミン,香料の外、スポーツドリンクとして適当な漢方薬等の抽出エキスを入れることも効果的である。
【0026】
図2は前記図1のステップ7,8によるにがり液と硫酸カルシウムを得るための工程例を示すフロー図であり、先ずステップ20で海洋深層水の濃縮水もしくは原水を用意し、ステップ21で該濃縮水又は原水の蒸発を行う。尚、ステップ21は省略することも可能である。ステップ22で濃縮水もしくは原水の煮出しを行い、ステップ23で硫酸カルシウムを析出させてからステップ24で該硫酸カルシウムを取り出し、ステップ25で再度煮出しを行ってからステップ26で塩分を析出させ、ステップ27で該塩分を除去し、ステップ28でにがり液を得ている。尚、ステップ22の煮出し工程は低圧下なら低温で煮出せる利点がある。得られたにがり液は海洋深層水の原水又は濃縮水を煮出して飽和状態にして塩分を析出させた飽和食塩水であり、主成分は塩化マグネシウムであって通常は豆腐の凝固剤に使用されており、塩分が残存している。
【0027】
上記により作製したスポーツドリンクに関して、組成成分比を詳細に分析した結果の一例を以下に説明する。即ち、得られたスポーツドリンクの1リットル当たり、脱塩水の用いた抽出液が88.1000259重量%,硫酸カルシウムが5.6141253重量%,海洋深層水の濃縮水が2.0846142重量%,にがり液が0.0012346重量%,ハチミツが1重量%,果糖3重量%,レモンフレーバー0.05重量%,レモンドライ0.05重量%,クエン酸が0.05重量%,ビタミンCが0.05重量%である。脱塩水の抽出液は事前に緑茶12g,ミント0.5g,高麗人参0.1g,冬虫夏草0.01gを脱塩水を用いて抽出し、抽出後に緑茶その他の抽出材料を取り出して廃棄する。なお、コラーゲンを溶解させる場合は抽出液1L当たり5g程度を添加して溶解させることが適当である。
【0028】
表2は海洋深層水の原水と濃縮水及び脱塩水の夫々について、pHと電気伝導度及び含有する元素成分を比較したデータを測定した結果を示しており、何れの項目も濃縮水の測定値が大きいことが分かる。
【0029】
【表2】
【0030】
表3は前記にがり液に含まれている成分を分析した結果を示す一覧表であり、カリウム,マグネシウム,カルシウム,銅,亜鉛その他の多くの微量元素を含有していることが確認された。
【0031】
【表3】
【0032】
表4は飲料水に添加する海洋深層水の原水と、海洋深層水の濃縮水と、海洋深層水から製造したにがり液及び硫酸カルシウムの添加量を調節することにより、得られた飲料の硬度を、1000,300その1,300その2,100,50,28の各硬度別に分類した飲料について、脱塩水、濃縮水、にがり液、硫酸カルシウムの各配合割合を示している。
【0033】
【表4】
【0034】
一般に硬度とは水のカルシウムイオン・マグネシウムイオンを含有する程度を指しており、本発明では飲料水や抽出飲料に添加する海洋深層水の原水,海洋深層水の濃縮水,海洋深層水から製造したにがり液,硫酸カルシウムの添加量によってスポーツドリンクとして適当な所望の範囲に調節することが可能である。
【0035】
本発明で採用した海洋深層水は、室戸岬沖の水深320メートル地点から取水した海水であり、深層水中に含まれている三態窒素のうち、アンモニア態窒素,亜硝酸態窒素はごく僅かであり、生物に与える影響は小さく、硝酸態窒素についても表層部では微量であったが、水深が増加するにつれて濃度が高まり、水深200メートル以深の水中での無機溶存態窒素の95%以上が硝酸態窒素で24μM存在している。その他リン酸態リンが1.7μM、珪酸態珪素が41μM溶存しており、いずれも表層部の5〜10倍以上の栄養塩濃度を有している。
【0036】
海洋深層水中に含まれている生体の発育上で必須の天然元素とは、Fe(鉄)、I(沃素)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Mo(モリブデン)、Se(セレン)、Cr(クロム)、Sn(スズ)、V(バナジウム)、F(フッ素)、Si(ケイ素)、Ni(ニッケル)、As(ヒ素)の15元素であり、これらの元素が海洋深層水に全てバランス良く含まれていることが大きな特徴となっている。従って海洋深層水は海洋生物の生長とか増殖に対しても大きな潜在能力を秘めた海水であるといえる。このような潜在能力は、近年メダイやコンブ、深海サンゴ等の養殖実験に利用されて大きな成果を上げていることからも実証されている。特に前記ノルウエー沖の海洋深層水は、フィヨルド深層水と呼ばれてサケ養殖に適していることが報告されている。
【0037】
海洋深層水中の生菌数は、前記表1中に示したように表層水中のそれと比較して、1桁又はそれ以上少なくなっており、しかも病原生物はほとんど含まれていないため、海水に由来する魚病菌による病気に関する惧れは全くなく、スポーツドリンクに採用した際の安全性が極めて高いという大きな特徴がある。本発明はこのような海洋深層水に含まれている天然元素を抽出飲料に採り入れることによって、スポーツの後における水分の効果的な補給と電解質の補給以外に生体の発育を促進するという従来のスポーツドリンクでは実現することができない特性を持たせることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、海洋深層水を脱塩処理した際に除去される各種の栄養塩類及び微量元素等のミネラル成分の多くが補給され、特に海洋深層水の濃縮水は原水よりも多量の各種元素成分を含有しているとともに、にがり液中にもカリウム,マグネシウム,カルシウム,銅,亜鉛等の微量元素を含有しているため、硫酸カルシウムの添加に伴って海洋深層水に含まれているミネラル成分を有効に生かすとともに海洋深層水のミネラルバランスを忠実に再現したスポーツドリンクが得られる。また、人体に必須の塩として海水中の天然塩が微量元素を多く含んでおり、抽出飲料に添加する塩として最適であって健康飲料としても好適である。
【0039】
更に、緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草の抽出成分及び溶解させたコラーゲンによってスポーツドリンクとして適した成分を含む新規なスポーツドリンクを得ることができる。
【0040】
更に飲料水に添加する海洋深層水の原水と、海洋深層水の濃縮水と、にがり液及び硫酸カルシウムの添加量を調節することにより、得られたスポーツドリンクの硬度を所望の範囲内で調節して、スポーツドリンクとして最適の硬度を選択することが可能となる。
【0041】
従って本発明によれば、飲料水に海洋深層水の原水,脱塩水を得た残りの海洋深層水の濃縮水,海洋深層水から製造したにがり液,海洋深層水から析出した硫酸カルシウムの何れか一種又は複数種を添加したことによって多くの天然微量元素を含み、かつ該海洋深層水の持つミネラルバランスを再現したことによってスポーツの後における水分の効果的な補給と電解質の補給以外に健康飲料としても好適なスポーツドリンクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかるスポーツドリンクの製造工程例を示すフロー図。
【図2】にがり液と硫酸カルシウムを得るための工程例を示すフロー図。
整理番号 P3126
Claims (3)
- 海洋深層水の脱塩水を用いて、緑茶,ミント,高麗人参,冬虫夏草を抽出した抽出液に、海洋深層水から製造したにがり液を添加して作製したことを特徴とする海洋深層水を利用したスポーツドリンク。
- 果汁,ビタミン,香料,ハチミツ,クエン酸その他の副原料を添加した請求項1記載の海洋深層水を利用したスポーツドリンク。
- コラーゲンを溶解させた請求項1又は2記載の海洋深層水を利用したスポーツドリンク。
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