JP3544434B2 - ブラシレスモータ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク等を回転駆動するブラシレスモータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディスク等の回転駆動用モータでは、モータの回転速度を計測するために、モータ回転数に比例した周波数の交流信号を得て、交流信号を波形整形したパルス信号を作り出す波形整形器が、モータの回転検出用に使用されている(例えば、特開昭63−256013号公報参照)。
図27に従来の回転検出に使用する検出器や波形整形器の構成を示す。ロータ回転軸2001に取り付けられた光学円盤2002は、所定角度間隔にスリットが設けられている。ステータの一部には、発光ダイオード2010と受光フォトトランジスタ2011が取り付け治具2003に固着され、光学円盤2002のスリットを挟むように配設されている。受光フォトトランジスタ2011の検出信号は増幅回路2020によって比例増幅され、交流信号2101が出力される。従って、光学円盤2002の回転に伴って、受光フォトトランジスタ2011および増幅回路2020にはロータ回転数に比例した周波数の交流信号2101が得られる。
ヒステリシスのない第1の比較器2110は、交流信号2101が入力され、交流信号2101を比較整形した整形信号2141を作り出す。同様に、抵抗2121,2122により所定のヒステリシス幅を有する第2の比較器2120は、交流信号2101を所定のヒステリシス幅を持って比較整形した整形信号2142を作り出す。整形信号2141と2142はパルス作成器2130に入力され、整形信号2141の立ち上がりエッジから整形信号2142の立ち上がりエッジの間の時間幅だけレベルが変化するパルス信号2150を出力する。その結果、パルス信号2150によってモータの回転速度を計測することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の構成では、ロータやステータに交流信号を発生させるための多くの検出治具・検出素子を取り付ける必要があり、機械的な部品点数が多くなり、製造が煩雑になっていた。すなわち、ロータにスリットを有する回転円盤2002を取り付けたり、ステータに発光ダイオード2010と受光フォトトランジスタ2011を取り付ける必要があり、コストの増加や配置スペースの増加が問題になっていた。
次に、上記の従来の構成では、出力パルス信号2150は回転速度計測に使用可能であるが、回転方向の検出には使用できない。ディスク等の回転駆動用モータでは回転方向の検出も必要であり、上記の従来の構成では方向検出のために新たな検出機構を設ける必要が有る。
また、従来の回路構成では、同一の交流信号2101の整形のために第1の比較器2110と第2の比較器2120を用いているので、構成が複雑であるといえる。この回路を簡素化するために、例えば、ヒステリシスのない第1の比較器2110だけにし、第2の比較器2120とパルス作成器2130をなくすことが考えられる(この場合には、第1の比較器2110の整形信号2141が出力パルス信号になる)。しかしながら、第1の比較器2110はヒステリシスがないので、交流信号2101に含まれる高周波のノイズによって整形信号2141のエッジ発生時点に多くの微小時間幅のノイズパルスが発生し、速度計測用の信号としては使用できない。一方、ノイズに強くしながらこの回路を簡素化するために、例えば、ヒステリシスを有する第2の比較器2120だけにし、第1の比較器2110とパルス作成器2130をなくすことが考えられる(この場合は、第2の比較器2120の整形信号2142が出力パルス信号になる)。しかしながら、第2の比較器2120はヒステリシスを有するために、整形信号2142のエッジ発生時点は入力した交流信号2101の零クロス時点からヒステリシス分だけずれた位置になる。その結果、交流信号2101に含まれる振幅変調成分によって整形信号2142のパルス幅やパルス周期が変動し、速度計測用の信号として十分な計測精度が得られない。
また、従来の回路構成では、2個の比較器を使用しているにもかかわらず、第2の比較器2120のヒステリシス幅を越えるノイズが交流信号2101に含まれた場合には、誤動作(ノイズパルス)を発生してしまう。特に、交流信号2101の振幅が量産時にばらつくために、量産時の最小振幅想定値よりも十分に小さなヒステリシス幅にする必要があり、ノイズに対するマージンが足りなかった。
【0004】
本発明は、上記の従来の問題点を解決するためになされたものであり、簡素な構成で回転速度計測に使用可能な回転信号と回転方向計測に使用可能な方向信号を作成するブラシレスモータ装置を提供することを目的とする。また、本発明は、ディスクの回転駆動に適するように改良したブラシレスモータ装置を提供することも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のディスクの回転駆動に好適なブラシレスモータ装置では、
ディスクを回転駆動するロータに取り付けられた永久磁石磁極により界磁磁束を発生する界磁手段と、
前記界磁磁束に鎖交する複数相のコイルと、
前記界磁手段と前記コイルの相対位置を検出して複数相の位置検出信号を得る位置検出手段と、
前記位置検出手段の出力信号に応動した回転信号および方向信号を得る回転検出手段と、
回転指令動作の場合に所定の正回転方向への回転動作を行わせる方向指令信号と通電指令信号を出力し、停止指令動作の場合に逆回転方向に駆動を行わせる前記方向指令信号と前記通電指令信号を出力する指令手段と、
前記通電指令信号に応動した電気量を前記位置検出信号に応動した前記複数相のコイルに供給する分配駆動手段と、
前記方向指令信号および前記方向信号に応動して前記界磁手段の回転を停止動作させる停止作動手段とを具備し、
前記回転検出手段は、前記位置検出手段の出力信号を波形整形し、電気的に位相の異なる複数相のディジタル的な整形位置信号を作り出す整形位置作成手段と、
前記整形位置信号を用いて前記界磁手段の回転に同期してレベル変化を行う前記回転信号を作り出す回転作成手段と、
複数相の前記整形位置信号を用いて前記界磁手段の回転方向に対応した前記方向信号を作り出す方向作成手段を含んで構成され、
前記指令手段は、前記回転信号に応動した速度検出信号を得る速度検出手段と、
所要の停止指令信号を出力する停止指令手段と、
回転指令動作の場合に前記速度検出手段の出力信号に応動した前記通電指令信号および前記方向指令信号を出力し、停止指令動作の場合に前記停止指令信号に応動した前記通電指令信号および前記方向指令信号を出力する指令作成手段を含んで構成され、
かつ、前記停止作動手段は、前記方向指令信号が正回転指令の場合もしくは前記方向信号が正回転の場合には前記分配駆動手段の動作によって前記通電指令信号に応動した所要の電気量を前記位置検出信号に応動した前記複数相のコイルに通電させ、前記方向指令信号が逆回転指令の場合であって前記方向信号が逆回転になった時に前記コイルへの通電を停止させる通電停止手段と、
前記回転信号のレベル変化の時間間隔を検知して前記時間間隔が所定値以上に大きくなると停止処理信号を出力する停止検出手段と、
前記停止処理信号に応動して前記ディスクをアンローディングする処理手段を含んで構成したものである。
【0006】
これにより、位置検出手段の出力信号を利用して界磁手段の回転動作を計測するための精度の良い回転信号を作成し、たとえば、回転指令動作の速度制御状態から停止指令動作に移行した場合に、界磁手段の回転を停止動作させる。界磁手段の回転停止を回転信号の時間間隔によって確認した後に、停止処理信号によりディスクのアンローディング動作を行わせる。その結果、停止指令に即応して短時間にディスクの回転を停止し、ディスクの回転停止を短時間に確認した後にディスクの取出を行っているので、短時間にディスク取出を行いながらも取出に伴うディスクの傷を防止できる。
【0007】
また、回転検出手段において、位置検出手段の3相の出力信号を波形整形し、電気的に位相の異なる3相のディジタル的な整形位置信号を作り出す整形位置作成手段と、整形位置信号に同期した回転信号を得る回転作成手段と、回転信号のレベル変化時点における整形位置信号のレベルに応動した方向信号を得る方向作成手段を含んで構成できる。
【0009】
れらおよびその他の構成や動作については、実施の形態の説明において詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1から図8にディスクの回転駆動に使用した本発明の実施の形態1のブラシレスモータ装置を示す。図1に全体構成を示す。図1の界磁部20は、ロータに取り付けられ、永久磁石磁極の発生磁束により複数個の界磁磁極を形成し、界磁磁束を発生している。3相のコイル21,22,23は、ステータに取り付けられ、界磁部20の発生磁束との鎖交に関して電気的に所定角度(電気的に120度相当)ずらされて配置されている。界磁部20との相対位置に対応して、3相のコイル21,22,23への電力供給(電圧もしくは電流)をなすことにより、界磁部20やロータに取り付けられたディスクを回転駆動する。
図2に界磁部20や3相のコイル21,22,23の具体的な構成を示す。ロータ101の内側に取り付けられた円環状の永久磁石102は内面および端面を4極に着磁されており、図1の界磁部20を形成している。永久磁石102の磁極に対向するステータ位置に電機子鉄心103が配置され、電機子鉄心103には3個の突極部104a,104b,104cが機械的に120度間隔で設けられ、各突極部の間に形成された巻線用溝106a,106b,106cを用いて、3相のコイル105a,105b,105c(図1の3相のコイル21,22,23に相当)が各突極部104a,104b,104cにそれぞれ巻装されている。コイル105a,105b,105cは、永久磁石102からの鎖交磁束に関して電気的に120度の位相差が設けられている(N極とS極の1組分の機械的な角度180度が電気角の360度に対応する)。ステータには3個の位置検出素子107a,107b,107c(たとえば、磁電変換素子であるホール素子)が配置され、永久磁石102の端面の磁極を検出することにより、界磁部とコイルの相対的な位置に対応した3相の位置検出信号を得るようにしている。ここでは、コイルと位置検出素子の位相を電気角で90度(機械角で45度)ずらしており、位置検出素子の位置検出信号に同相の駆動信号をコイルに印加することにより、所定方向への回転力を得ることができる。
【0012】
図1の位置検出部30の位置検出器31は、界磁部20と3相のコイル21,22,23の相対位置を検出して電気的に位相の異なる3相の滑らかに変化する(アナログ的な)出力信号を出力する。ここでは、2組の3相の出力信号a,b,cおよび3相の出力信号d,e,fを出力する。3相の出力信号a,b,cは回転検出部10に供給され 、3相の出力信号d,e,fは分配駆動部40に供給される。
図1の回転検出部10は、位置検出部30の3相の出力信号a,b,cを整形して3相の整形位置信号A,B,Cを得る整形位置作成器11と、2相分の整形位置信号A,Bを用いてノイズの除去された回転信号Fを得る回転作成器12と、回転信号Fのレベル変化時点(エッジ発生時点)における他相の整形位置信号Cのレベルに応動した方向信号Jを得る方向作成器13によって構成されている。
【0013】
図3に位置検出部30の位置検出器31と回転検出部10の整形位置作成器11と回転作成器12と方向作成器13の具体的な構成を示す。位置検出器31の位置検出素子131,132,133は、図2の位置検出素子107a,107b,107cに相当し、直流電源121,122の電源電圧(+Vccと−Vcc:Vcc=+5V,−Vcc=−5V)が抵抗123,124を介して供給されている。位置検出素子131の出力端子には界磁部20(図2の永久磁石102に相当)の検出磁界に対応した差動の位置検出信号g1,g2が検出され、演算増幅回路141と抵抗142,143,144,145によって差動増幅され、位置検出信号g1に同相な滑らかに変化する第1相目の出力信号aが出力される。同様に、位置検出素子132の出力端子には界磁部20の検出磁界に対応した差動の検出信号h1,h2が出力され、演算増幅回路146と抵抗147,148,149,150によって差動増幅され、滑らかに変化する第2相目の位置検出信号bが出力される。同様に、位置検出素子133の出力端子には界磁部20の検出磁界に対応した差動の検出信号i1,i2が出力され、演算増幅回路151と抵抗152、153、154、155によって差動増幅され、滑らかに変化する第3相目の位置検出信号cが出力される。位置検出器31の出力信号d,e,fはそれぞれ出力信号a,b,cに一致し、分配駆動部40に供給される。界磁部20の回転移動に伴って位置検出器31の出力信号a,b,cおよび出力信号d,e,fはアナログ的に変化し、電気的に所要の位相差を有する2組の3相信号になっている(ここでは、120度の位相差になっている)。なお、位置検出信号g1,g2,h1,h2,i1,i2は合計で6信号であるが、g1とg2,h1とh2,i1とi2はそれぞれ逆相である。ここでは、逆相の信号は新たな相数に数えないので、3個の位置検出素子に得られる6個の位置検出信号の相数は3相である。
回転検出部10の整形位置作成器11は、3個のコンパレータ161,162,163によって構成されている。コンパレータ161は、位置検出器31の出力信号aを波形整形した整形位置信号Aを出力する。同様に、コンパレータ162は位置検出器31の出力信号bを波形整形した整形位置信号Bを出力し、コンパレータ163は、位置検出器31の出力信号cを波形整形した整形位置信号Cを出力する。
【0014】
図4にコンパレータ161の具体的な構成を示す。トランジスタ202,203,204,205,206,207は、アナログ出力信号aと所定電圧(ここではアース電位)を比較し、出力信号aが所定電圧より大きくなると、トランジスタ209をオンにし、トランジスタ211をオフにする。その結果、コンパレータ161の整形位置信号Aは”H”(高電位状態、ここではVcc)になる。逆に、出力信号aが所定電圧より小さくなると、トランジスタ209をオフにし、トランジスタ211をオンにする。その結果、コンパレータ161の整形位置信号Aは、”L”(低電位状態、ここではアース電位)になる。なお、定電流源201,208,210は所定の電流値を供給する。このようにして、コンパレータ161は位置検出器の出力信号aを所定電圧とヒステリシスを設けないで比較し、位置検出器31の出力信号aの零クロス時点において整形位置信号Aのレベルをディジタル的に”H”,”L”に変化させる。コンパレータ162,163についても同様であり、それぞれ、位置検出器31の出力信号b,cの零クロス時点において整形位置信号B,Cのレベルをディジタル的に変化させる。
【0015】
図3の回転検出部10の回転作成器12は、2相の整形位置信号Aと整形位置信号Bが入力され、インバータ回路172とアンド回路171により信号Bの否定と信号Aのアンド信号Dを作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路175のセット端子にアンド信号Dを入力する。インバータ回路174とアンド回路173は、信号Aの否定と信号Bのアンド信号Eを作り出し、フリップ・フロップ回路175のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路175の出力端子に、整形位置信号Aもしくは整形位置信号Bに同期してレベル変化を行うディジタル的な回転信号Fを得る。
図3の回転検出部10の方向作成器13は、エッジトリガー形の第1フリップ・フロップ回路182とエッジトリガー形の第2フリップ・フロップ回路183を有し、第1フリップ・フロップ回路182は回転信号Fの立ち上がりエッジ(”L”から”H”へのレベル変化時点)をクロック信号として整形位置信号Cのレベルをラッチして、第1方向信号Gを出力する。第2フリップ・フロップ回路183は回転信号Fの立ち下がりエッジ(”H”から”L”へのレベル変化時点)をクロック信号として整形位置信号Cのレベルをラッチして、インバータ回路184を介して第2方向信号Hを出力する。方向出力回路であるアンド回路185は、第1方向信号Gと第2方向信号Hを合成し、両者に応動した方向信号Jを作りだす。
【0016】
次に、図9に示した信号波形を参照して、図3の回転検出部10の各部の動作について詳細に説明する。図9の横軸は時間であり、一点鎖線の左側位置まで正回転状態にあり、一点鎖線の右側位置から逆回転状態に変わる。正回転時に位置検出部30の出力信号a,b,cは電気的に位相の異なる3相のアナログ信号として変化している[図9の(a),(b),(c)参照]。回転検出部10の整形位置作成器11は、出力信号a,b,cをそれぞれコンパレータ161,162,163によって波形整形し、整形位置信号A,B,Cを作り出す。コンパレータ161はヒステリシスのない簡素な構成をしているので、整形位置信号Aのレベル変化時点(エッジ発生時点)は出力信号aの零クロス時点に正確に対応しているが、出力信号aにノイズが混入している場合には整形位置信号Aはレベル変化時点近傍に微細なノイズパルスを発生する[図9の(d)参照]。同様に、コンパレータ162はヒステリシスのない簡素な構成をしているので、整形位置信号Bのレベル変化時点は出力信号bの零クロス時点に正確に対応しているが、出力信号bにノイズが混入している場合には整形位置信号Bはレベル変化時点近傍に微細なノイズパルスを発生する[図9の(e)参照]。同様に、コンパレータ163はヒステリシスのない簡素な構成をしているので、整形位置信号Cのレベル変化時点は出力信号cの零クロス時点に正確に対応しているが、出力信号cにノイズが混入している場合には整形位置信号Cはレベル変化時点近傍に微細なノイズパルスを発生する[図9の(f)参照]。回転作成器12は、2相分の整形位置信号A,Bを用いてアンド信号D[図9の(g)参照]とアンド信号E[図9の(h)参照]を作りだし、アンド信号D,Eをそれぞれセット信号,リセット信号とする事により、フリップ・フロップ回路175はノイズを除去した回転信号Fを出力する[図9の(i)参照]。これにより、正回転時に、回転信号Fは整形位置信号Aに同期し、整形位置信号Aのレベル変化時点において回転信号Fのレベル変化が発生している。その結果、正回転時の回転信号Fは整形位置信号Aのノイズを除去した同相の波形になる。逆回転時には、回転信号Fは整形位置信号Bに同期してレベル変化が発生する。その結果、逆回転時の回転信号Fは整形位置信号Bのノイズを除去した逆相の波形になる。
【0017】
方向作成器13の第1フリップ・フロップ回路182は、回転信号Fの立ち上がりエッジ発生時点(”L”から”H”へのレベル変化時点)において整形位置信号Cのレベルを入力・保持し、第1方向信号Gを得る[図9の(k)参照]。その結果、第1方向信号Gは正回転時に”H”になり、逆回転時の回転信号Fの1回目の立ち上がりエッジの発生時点において第1方向信号Gは”L”に変化する。同様に、第2フリップ・フロップ回路183は、回転信号Fの立ち下がりエッジ発生時点(”H”から”L”へのレベル変化時点)において整形位置信号Cのレベルを入力・保持し、インバータ回路184を介して第2方向信号Hを得る[図9の(l)参照]。その結果、第2方向信号Hは正回転時に”H”になり、逆回転時の回転信号Fの1回目の立ち下がりエッジの発生時点において第2方向信号Hは”L”に変化する。従って、第1方向信号Gと第2方向信号Hに応動した方向信号Jは、正回転時に”H”であり、逆回転時の回転信号Fの最初のエッジ発生時点において方向信号Jは”L”に変化する[図9の(m)参照]。なお、図9の(j)に示す波形は後述の方向指令信号Lの波形であり、正回転指令に相当する”H”レベルから逆回転指令に相当する”L”レベルに変化すると、後述のモータ動作により逆方向トルクを発生して回転を減速させ、逆回転させる(実際には逆回転時間は短時間である)。
【0018】
図1の分配駆動部40は、分配器41と第1駆動器42と第2駆動器43と第3駆動器44によって構成されている。
図5に分配駆動部40の具体的な構成を示す。分配駆動部40の分配器41には位置検出部30の3相の出力信号d,e,fが入力され、差動増幅回路234,235,236によって出力信号d,e,fと所定の電圧信号(ここではアース電位)との差電圧を増幅出力する。分配器41には、指令部50の通電指令信号wに応動する修正通電指令信号nが入力される(修正通電指令信号nの詳細は後述する)。乗算回路231,232,233は、差動増幅回路234,235,236の出力信号と修正通電指令信号nを乗算し、分配信号m1,m2,m3を出力する。第1駆動器42は、分配信号m1を電力増幅した駆動電圧Vaをコイル21の端子に供給する。同様に、第2駆動器43は、分配信号m2を電力増幅した駆動電圧Vbをコイル22の端子に供給する。同様に、第3駆動器44は、分配信号m3を電力増幅した駆動電圧Vcをコイル23の端子に供給する。これにより、位置検出器31の位置検出信号に応動する出力信号d,e,fによって分配された駆動信号Va,Vb,Vcが3相のコイル21,22,23に供給される。コイル21,22,23に供給される電気量(電圧もしくは電流)は、修正通電指令信号n(従って、通電指令信号w)に応動して制御される。界磁部20の回転に伴って位置検出部30の出力信号d,e,fは変化し、修正通電指令信号nに応動した電気量を出力信号d,e,fに対応したコイルに分配供給する。ここでは、修正通電指令信号nが正の時には出力信号d,e,fに対応して正回転駆動の分配供給を行い、修正通電指令信号nが負の時には出力信号d,e,fに対応して逆回転駆動の分配供給を行い、修正通電指令信号nが零の時にはコイルへの駆動電圧は零になる(従って、通電は行われない)。
【0019】
図1の指令部50は、指令作成器51と速度検出器52と停止指令器53とスイッチ回路54によって構成されている。速度検出器52は回転検出部10の回転信号Fのレベル変化の時間間隔(周期もしくは半周期)を計測し、計測結果に応動して速度検出器52の出力信号v(制御信号)をアナログ的に変化させる。すなわち、速度検出器52の制御信号vは、回転速度が遅いときには正の最大電圧になり、所定速度近傍になると回転速度に応動した所要の正の電圧になる。正回転指令の場合には、スイッチ回路54は速度検出器52の制御信号vを指令作成器51に通すように接続される。また、停止指令の場合には、スイッチ回路54は停止指令器53の出力電圧信号u(停止指令信号)を指令作成器51に通すように接続される。
図6に指令部50の具体的な構成を示す。指令作成器51は、スイッチ回路54を通ってきた電圧信号を正転増幅回路262と抵抗263,264によって所定利得の増幅をし、通電指令信号wとして出力する。指令作成器51のコンパレータ回路265は、スイッチ回路54からの電圧信号と所定電圧(ここでは、アース電圧)を比較し、その大小関係に応動した方向指令信号Lを出力する。コンパレータ回路265には、例えば、図4に示した回路構成を用いることができる。方向指令信号Lは、正回転指令の場合に”H”レベルになり、逆回転指令の場合に”L”レベルとなる。また、停止指令器53は電圧源261から構成され、所定の負電圧の停止指令信号uを出力する。従って、停止指令の場合にスイッチ回路54が停止指令器53の停止指令信号uを通すように切り替わると、指令作成器51の通電指令信号wは停止指令信号uに対応した負電圧になり、方向指令信号Lは逆回転指令である”L”に変化する。なお、正回転指令の場合の通常動作時には、スイッチ回路54は速度検出器52の制御信号vを通すようになされ、指令作成器51の通電指令信号wおよび方向指令信号Lは制御信号vに応動した値になり、通常の速度制御動作がなされている。
【0020】
図1の停止作動部60は通電停止器61と停止検出器62によって構成されている。図7に通電停止器61の具体的な構成を示す。通電停止器61には、指令部50の通電指令信号w,方向指令信号Lと回転検出部10の方向信号Jが入力され、方向指令信号Lが正回転指令の場合(L=”H”)もしくは方向信号Jが正回転の場合(J=”H”)には、アンド回路274の出力信号K(通電停止信号)が”L”になり、スイッチ回路271をオフにする。その結果、通電指令信号wが抵抗270を介して修正通電指令信号nとして出力される。すなわち、修正通電指令信号nは通電指令信号wと一致し、通常の通電動作が行われる。また、方向指令信号Lが逆回転指令の場合(L=”L”)であって、かつ、方向信号Jが逆回転(J=”L”)になった時に、アンド回路274の通電停止信号Kが”H”になり、スイッチ回路271をオンにする。その結果、通電指令信号wが抵抗270とスイッチ回路271によって遮断され、修正通電指令信号nは零になる。修正通電指令信号nが零になると、分配駆動部40の動作により3相のコイル21,22,23への通電を行わない(具体的には、駆動電圧Va,Vb,Vcが同電位になり、コイルへの電流が流れなくなる)。すなわち、コイルへの通電が停止され、モータは回転を停止する。図1の停止作動部60の停止検出器62は、回転検出部10の回転信号Fを入力し、回転信号Fのレベル変化の間隔が所定値以上になったことを検知し、そのような場合は停止状態と判断し、停止処理信号Xを出力して後述のディスクの取出動作を行わせる。
【0021】
図8にディスクを回転駆動する構成を示す。モータ部280のロータ(図1の界磁部20に相当)には回転軸281およびターンテーブル部282が取り付けられている。情報記録されたディスク290は、必要に応じてクランプ部283によってターンテーブル部282に軽く圧力接触され、モータ部280のロータ界磁部と一緒に回転駆動される。モータ部280によりディスク290が回転状態の時には、図示しない光ピックアップによってディスク290にディジタル情報の記録もしくは再生が行われる。ディスク交換等のためにディスク290を取り出す時には、モータ部280を回転状態から停止状態に移行させる。すなわち、停止指令器53の停止指令信号uを指令作成器51に入力して、通電指令信号wおよび方向指令信号Lを逆回転指令にし、分配駆動部40により逆回転駆動信号をコイルに分配供給し、界磁部20を急速に減速させる。通電停止器61は、界磁部20の逆回転を回転検出部10の方向信号Jによって検知して、コイルへの通電を停止する。通電停止直後には界磁部20およびディスク290が低速度で逆回転をしているので、停止検出器62によって回転検出部10の回転信号Fを確認し、回転信号Fのレベル変化が所定時間以上ないときに、停止処理信号Xを”L”レベルから”H”レベルに変化させる。取出駆動部291は、停止検出器62の停止処理信号Xのレベル変化に応動して動作を開始し、取出皿部292を移動させてディスク290をターンテーブル部282からはずし、所定のアンローディング位置(取出位置)までディスク290を移動させる。このようにして、停止検出器62によって界磁部20の回転停止を検出・確認した後にディスク290の取出動作を行うので、ディスク290の回転状態での取出動作を防止でき、取出に伴うディスク290の傷の発生を防止できる。
【0022】
次に、本実施の形態の全体動作について説明する。図8のようにディスク290が装着されている場合に、ディスク290上の情報を再生、もしくは、ディスク290上に情報を記録するために、モータ部280はターンテーブル部282を所定の回転速度で回転駆動させる。そのため、図1の指令部50のスイッチ回路54が速度検出器52の側に接続され、速度検出器52は回転検出部10の回転信号Fの周期もしくは半周期に基づいて速度計測し、制御信号vを出力する。指令作成器51は、制御信号vに応動する通電指令信号wと方向指令信号Lを出力する。起動および制御時には、通電指令信号wは所定の正回転方向への正回転トルクを発生させる信号になり、方向指令信号Lは正回転指令(L=”H”)になる。従って、停止作動部60の通電停止器61および停止検出器62は、実効的には何らの作用もしない。すなわち、修正通電指令信号nは通電指令信号wと一致する。位置検出部30の位置検出器31は、界磁部20と3相のコイル21,22,23の相対位置を検出し、電気的に位相の異なる3相の出力信号d,e,fおよび3相の出力信号a,b,cを出力する。分配駆動部40の分配器41,第1駆動器42,第2駆動器43,第3駆動器44は、通電指令信号wに応動した電気量を位置検出器31の出力信号d,e,fに対応した3相のコイル21,22,23に分配供給する。その結果、所定速度での正回転を持続する所要トルクを発生させている。一方、回転検出部10の整形位置作成器11は、位置検出器31の3相の出力信号a,b,cを波形整形して、電気的に位相の異なる3相のディジタル的な整形位置信号A,B,Cを作り出す。回転作成器12は、2相分の整形位置信号A,Bを用いてノイズを除去し、かつ、整形位置信号Aもしくは整形位置信号Bに同期した回転信号Fを作り出している。ここでは、回転信号Fのレベル変化時点は、正回転時には整形位置信号Aのレベル変化時点と一致し、逆回転時には整形位置信号Bのレベル変化時点と一致している。方向作成器13は、回転信号Fの一方もしくは両方のレベル変化時点における整形位置信号Cのレベルに応動した方向信号Jを作り出している。このようにして、ディスク290を所定の正回転方向に所定速度にて回転駆動させる。
【0023】
次に、ディスク290を取り出す時には、図1の指令部50のスイッチ回路54が停止指令器53の側に切り替わり、停止指令信号u(所定の負電圧)が指令作成器51に入力される。従って、指令作成器51の通電指令信号wは所定の負電圧になり、方向指令信号Lは逆回転指令(L=”L”)になる。このとき、ディスク290および界磁部20は、慣性効果によって正回転を続けているので、回転信号Fは回転速度に対応した周期毎にレベル変化し、方向信号Jは正回転(J=”H”)のままになっている。その結果、この状態において、停止作動部60は実効的に何らの作用も及ぼさない。すなわち、修正通電指令信号nは通電指令信号wと一致する。分配駆動部40の分配器41,第1駆動器42,第2駆動器43,第3駆動器44は、通電指令信号wに応動した電気量を位置検出器31の出力信号a,b,cに対応して、3相のコイル21,22,23に分配供給する。その結果、逆回転駆動を行う逆回転トルクを発生する。ディスク290および界磁部20は逆回転トルクにより急速に減速し、ついには、逆回転を始める。ディスク290および界磁部20が逆回転をすると、回転検出部10がその逆回転動作を検出し、方向信号Jを逆回転(J=”L”)に変える。方向指令信号Lが逆回転指令の場合であって、方向信号Jが逆回転になった時に、通電停止器61が作動し、修正通電指令信号nを零(アース電圧)にする。これにより、3相のコイル21,22,23への通電が停止し、回転駆動力が発生しなくなる。しかしながら、ディスク290と界磁部20は慣性効果によって逆回転動作を持続し、完全に停止するまでに少しの時間が必要である。停止検出器62は、回転信号Fのレベル変化の時間間隔を計測し、所定時間以上に渡ってレベル変化が発生しなくなると、ディスク290が停止したと判断し、停止処理信号Xを”L”から”H”に変化させる。停止処理信号Xが”H”になると、取出駆動部291および取出皿部292が動作し、ディスク290のアンローディング動作(取出動作)を行わせる。
【0024】
本実施の形態のごとく構成するならば、ブラシレスモータの位置検出素子に得られる位置検出信号を利用して、速度計測用の回転信号および方向計測用の方向信号を作成しているので、モータ構造に新たに付加する部品は全く必要ない。従って、簡素なモータ構成を実現できる。
また、回転検出部では、2相分の整形位置信号を用いて回転信号のレベル変化時点のノイズを除去しているので、回転信号を用いた時の速度計測の誤動作は発生しない。かつ、回転信号のレベル変化時点における3相目の整形位置信号のレベルに応動した方向信号を得ているので、整形位置信号に同期した回転信号のレベル変化時点は3相目の整形位置信号のレベルが安定になっている位相に相当し、正確な方向信号を得ることができる。特に、整形位置信号A,B,Cが各エッジにノイズを含んでいても、それらのノイズをきれいに除去した回転信号Fおよび方向信号Jを得ることができる。
【0025】
また、回転作成器は、整形位置信号Aと整形位置信号Bの否定のアンド信号をセット端子に入力し、整形位置信号Bと整形位置信号Aの否定のアンド信号をリセット端子に入力したフリップ・フロップ回路を含んで構成され、フリップ・フロップ回路の出力端子より回転信号Fを得ているので、非常に簡単な構成で容易にノイズのない回転信号Fを作り出せる。
位置検出器の位置検出信号(もしくは、位置検出信号に同相な出力信号)をヒステリシスを持たないコンパレータで波形整形して整形位置信号Aを得るようにするならば、非常に簡素な構成のコンパレータを使用できると共に、位置検出信号に含まれる振幅変調成分の影響をなくすことができ、回転信号の周期もしくは半周期が振幅変調によって乱されることがなくなる。すなわち、速度計測用の正確な回転信号を得ることができる。
【0026】
また、方向作成器は、回転信号のレベル変化時点における整形位置信号Cのレベルを入力するエッジトリガ形のフリップ・フロップ回路を有し、フリップ・フロップ回路の出力端子より方向信号を得るようにしているので、回転信号のレベル変化時点におけるノイズパルスがなく、かつ、回転信号のレベル変化時点において整形位置信号Cのレベルは完全に確定しているので(ノイズの影響が発生しない位相区間)、簡単な回路構成ながらも確実な方向検出が可能である。
さらに、方向作成器は、回転信号の一方のレベル変化時点(立ち上がりエッジ)における整形位置信号Cのレベルを入力し、第1方向信号を出力するエッジトリガ形の第1フリップ・フロップ回路と、回転信号の他方のレベル変化時点(立ち下がりエッジ)における整形位置信号Cのレベルを入力し、第2方向信号を出力するエッジトリガ形の第2フリップ・フロップ回路と、第1方向信号と第2方向信号に応動した方向信号Jを得る方向出力回路(アンド回路)を含んで構成されている。これにより、回転信号のレベル変化の発生毎に方向信号の検出が可能になり、迅速かつ確実な逆転検出が可能になる。
【0027】
また、整形位置作成器は、位置検出器の複数相の位置検出信号に応動した電気的に位相の異なる3相の出力信号をヒステリシスを持たない3個のコンパレータで波形整形し、3相の整形位置信号A,B,Cを作成している。このような非常に簡素なコンパレータを使用しても、ノイズパルスのない、確実な回転信号と方向信号の検出が可能である。
【0028】
また、本実施の形態のように、指令部の方向指令信号および回転検出部の方向信号に応動してモータ回転を停止させる停止作動部を有し、停止作動部は、方向指令信号が正回転指令の場合もしくは方向信号が正回転の場合には分配駆動部の動作によって通電指令信号に応動する所要の電気量をコイルに通電し、指令部の方向指令信号が逆回転指令の場合であって回転検出部の方向信号が逆回転になった時にコイルへの通電を停止させる通電停止器を含んで構成されているならば、ロータ界磁部を短時間に減速して停止できる。すなわち、応答性の良いブラシレスモータ装置になる。
さらに、回転信号のレベル変化の時間間隔が所定値以上に大きくなると停止処理信号を出力する停止作動部の停止検出器と、停止処理信号に応動してディスクをアンローディングする取出処理ブロック(取出駆動部と取出皿部)を設けるならば、ディスクの回転停止を確実に検出した後に安全にディスクの取出ができるので、アンローディング時のディスクの傷等を防止できる。従って、ディスクの回転駆動に好適なブラシレスモータ装置を実現できる。
【0029】
(実施の形態2)
図10と図11に本発明の実施の形態2のブラシレスモータ装置の構成を示す。図10に全体構成を示す。本実施の形態2では、位置検出部の位置検出信号の検出相数を2相にし、位置検出素子を2個に削減可能にしたものである。なお、前述の実施の形態1と同様な部分は、同じ番号を付した。すなわち、モータ構造は図2(但し、位置検出素子は2個)、分配駆動部40は図5、指令部50は図6、停止作動部60の通電停止器61は図7、及びモータ部とディスクとの関係は図8にそれぞれ示したものと同様であり、重複する説明は省略する。
【0030】
図11に2相の位置検出信号を用いた位置検出部30の位置検出器301の具体的な構成を示す。位置検出器301は3相信号作成回路302を含んで構成されている。位置検出器301の2個の位置検出素子311,312は、図2の位置検出素子107a,107b,107cの内の2個に相当し、直流電源314,315の電源電圧(+Vccと−Vcc)が抵抗316,317を介して供給されている。位置検出素子311の出力端子には界磁部20(図2の永久磁石102に相当)の検出磁界に対応した差動の位置検出信号g1,g2が検出され、3相信号作成回路302の演算増幅回路321と抵抗322,323,324,325によって差動増幅され、位置検出信号g1に同相な滑らかに変化する第1相目の出力信号aが出力される。同様に、位置検出素子312の出力端子には界磁部20の検出磁界に対応した差動の位置検出信号i1,i2が出力され、3相信号作成回路302の演算増幅回路326と抵抗327,328,329,330によって差動増幅され、滑らかに変化する第2相目の位置検出信号cが出力される。3相信号作成回路302の演算増幅回路331と抵抗332,333,334は、出力信号aと出力信号cを合成・反転増幅され、滑らかに変化する第3相目の出力信号bを作り出す。位置検出器301の出力信号d,e,fはそれぞれ出力信号a,b,cと一致し、分配駆動部40に供給される。界磁部20の回転移動に伴って位置検出器301の出力信号a,b,cおよび出力信号d,e,fはアナログ的に変化し、電気的に所要の位相差を有する2組の3相信号になっている(ここでは、120度の位相差になっている)。すなわち、3相信号作成器302は、2相の位置検出信号g1,g2,i1,i2を用いて電気的に所要の位相差を有する3相信号を作り出し、回転検出部10および分配駆動部40に供給している。ここで、位置検出信号g1とg2,i1とi2はそれぞれ逆相に変化する信号であり、逆相信号は新たな相数には数えない。
【0031】
図11の回転検出部10の整形位置作成器11は、3個のコンパレータ161,162,163によって構成され、位置検出器301の出力信号a,b,cをそれぞれ波形整形した整形位置信号A,B,Cを出力する。回転作成器12は、2相の整形位置信号Aと整形位置信号Bが入力され、インバータ回路172とアンド回路171により信号Bの否定と信号Aのアンド信号Dを作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路175のセット端子にアンド信号Dを入力する。インバータ回路174とアンド回路173は、信号Aの否定と信号Bのアンド信号Eを作り出し、フリップ・フロップ回路175のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路175の出力端子に、整形位置信号A(もしくは整形位置信号B)に同期してレベル変化を行うディジタル的な回転信号Fを得る。方向作成器13は、エッジトリガー形の第1フリップ・フロップ回路182とエッジトリガー形の第2フリップ・フロップ回路183を有し、第1フリップ・フロップ回路182は回転信号Fの立ち上がりエッジ(”L”から”H”へのレベル変化時点)をクロック信号として整形位置信号Cのレベルをラッチして、第1方向信号Gを出力する。第2フリップ・フロップ回路183は回転信号Fの立ち下がりエッジ(”H”から”L”へのレベル変化時点)をクロック信号として整形位置信号Cのレベルをラッチして、インバータ回路184を介して第2方向信号Hを出力する。方向出力回路であるアンド回路185は、第1方向信号Gと第2方向信号Hに応動した方向信号Jを作り出して出力する。
【0032】
本実施の形態では、2個の位置検出素子に得られる2相の位置検出信号を利用して3相の出力信号a,b,cおよび出力信号d,e,fを作り出し、所望のブラシレスモータの動作を実現している。従って、位置検出素子の個数が少なくて良く、モータ構造が極めて簡素になる。
また、通常、位置検出信号は高調波成分を含んでいるので、2相の位置検出信号を合成して作った出力信号bはかなり歪んだ波形になる。そのため、本実施の形態に示したように、位置検出素子に生じる位置検出信号(もしくは、これに同相な出力信号a)を波形整形した整形位置信号Aを作り、整形位置信号Aのレベル変化時点においてレベル変化を行う回転信号を作り出すならば、高精度の正確な速度計測用の回転信号を得ることができる。また、位置検出素子に生じる位置検出信号(もしくは、これに同相な出力信号c)を波形整形した整形位置信号Cを方向計測に使用するならば、回転信号のレベル変化時点における整形位置信号Cのレベルが安定しているので、確実な方向計測が可能になる。
【0033】
(実施の形態3)
図12と図13に本発明の実施の形態3のブラシレスモータ装置を示す。図12に全体構成を示す。本実施の形態では、回転検出部に第1回転作成器と第2回転作成器を設けるようにし、高精度の回転信号と方向信号を確実に得るようにしている。なお、前述の各実施の形態と同様な部分は、同じ番号を付した。すなわち、モータ構造は図2(但し、位置検出素子は2個)、分配駆動部40は図5、指令部50は図6、停止作動部60の通電停止器61は図7、モータ部とディスクとの関係は図8、位置検出部30の位置検出器301は図11にそれぞれ示したものと同様であり、重複する説明は省略する。
【0034】
図12の回転検出部350は、整形位置作成器351と第1回転作成器352と第2回転作成器353と回転出力器354と方向作成器355によって構成されている。
図13に位置検出部30の位置検出器301と回転検出部350の整形位置作成器351と第1回転作成器352と第2回転作成器353と回転出力器354と方向作成器355の具体的な構成を示す。ここで、位置検出部30の位置検出器301は前述の図11に示したものと同様であり、モータ構造は前述の図2と同様であり(但し、位置検出素子は2個に削減した)、それらの詳細な説明は省略する。
【0035】
図14に信号波形を示し、この信号波形を参照しながら説明する。図13の回転検出部350の整形位置作成器351は、3個のコンパレータ461,462,463によって構成されている。コンパレータ461,462,463には、位置検出器301の出力信号a,b,cを入力され[図14の(a),(b),(c)参照]、それぞれ波形整形した整形位置信号A,B,Cを出力する[図14の(d),(e),(f)参照]。各コンパレータ461,462,463の具体的な構成は、前述の図4に示したものと同様である。
第1回転作成器352は、2相の整形位置信号Aと整形位置信号Bが入力され、インバータ回路472とアンド回路471により信号Bの否定と信号Aのアンド信号を作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路475のセット端子に入力する。インバータ回路474とアンド回路473は、信号Aの否定と信号Bのアンド信号を作り出し、フリップ・フロップ回路475のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路475の出力端子に、正回転時に整形位置信号Aに同期してレベル変化し、逆回転時に整形位置信号Bに同期してレベル変化し、レベル変化時点のノイズの除去されたディジタル的な第1回転信号Pを得る[図14の(g)参照]。
第2回転作成器353は、2相の整形位置信号Bと整形位置信号Cが入力され、インバータ回路482とアンド回路481により信号Cの否定と信号Bのアンド信号を作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路485のセット端子に入力する。インバータ回路484とアンド回路483は、信号Bの否定と信号Cのアンド信号を作り出し、フリップ・フロップ回路485のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路485の出力端子に、正回転時に整形位置信号Bに同期してレベル変化し、逆回転時に整形位置信号Cに同期してレベル変化し、レベル変化時点のノイズの除去されたディジタル的な第2回転信号Rを得る[図14の(h)参照]。
【0036】
回転出力器354は、バッファ回路478によって構成され、第1回転信号Pを回転検出部350の回転信号Fとして出力する。これにより、回転信号Fは正回転時に整形位置信号Aに同期してレベル変化する。
方向作成器355は、エッジトリガー形の第1フリップ・フロップ回路492とエッジトリガー形の第2フリップ・フロップ回路493を有し、第1フリップ・フロップ回路492は第1回転信号Pの立ち上がりエッジ(”L”から”H”へのレベル変化時点)をクロック信号として第2回転信号Rのレベルをラッチして(正確には信号Rの否定)、第1方向信号Gを出力する。第2フリップ・フロップ回路493は第1回転信号Pの立ち下がりエッジ(”H”から”L”へのレベル変化時点)をクロック信号として第2回転信号Rのレベルをラッチして、第2方向信号Hを出力する。方向出力回路であるアンド回路495は、第1方向信号Gと第2方向信号Hに応動した方向信号Jを作り出して出力する[図14の(j),(k),(l)参照]。なお、図14の(i)に示す波形は方向指令信号Lの波形であり、正回転指令に相当する”H”レベルから逆回転指令に相当する”L”レベルに変化すると、逆方向駆動を行って回転を減速させ、界磁部を逆回転させる(実際には逆回転時間は短時間である)。
図12において、界磁部20と3相のコイル21,22,23と分配駆動部40と指令部50と停止作動部60は、前述の実施の形態1(図1)と同様であり、それらの詳細な説明は省略する。
【0037】
本実施の形態でも、ブラシレスモータの位置検出素子に得られる位置検出信号を利用して、速度計測用の回転信号および方向計測用の方向信号を作成しているので、モータ構造に新たに付加する部品は全く必要ない。従って、簡素なモータ構成を実現できる。さらに、本実施の形態では、2個の位置検出素子に得られる2相の位置検出信号を利用して3相の出力信号a,b,cおよび出力信号d,e,fを作り出している。従って、位置検出素子の個数が削減され、モータ構造が非常に簡素になる。なお、配置スペースが許せば、3個の位置検出素子を配設しても良い。
また、回転検出部では、2相分の整形位置信号A,Bを用いて第1回転信号Pのレベル変化時点のノイズを除去し、2相分の整形位置信号B,Cを用いて第2回転信号Rのレベル変化時点のノイズを除去し、第1回転信号Pもしくは第2回転信号Rのいずれか一方を回転信号Fとしているので、回転信号Fを用いた速度計測時の誤動作は発生しない。さらに、第1回転信号Pのレベル変化時点における第2回転信号Rのレベルに応動した方向信号を得ているので、第1回転信号Pおよび第2回転信号Rはノイズのない安定な整形信号になっており、かつ、第1回転信号Pのレベル変化時点は第2回転信号Rのレベルが安定になっている位相に相当するので、正確な方向信号を得ることができる。特に、整形位置信号A,B,Cが各エッジにノイズを含んでいても、それらのノイズをきれいに除去した回転信号Fおよび方向信号Jを得ることができる。
【0038】
また、第1回転作成器は、整形位置信号Aと整形位置信号Bの否定のアンド信号をセット端子に入力し、整形位置信号Bと整形位置信号Aの否定のアンド信号をリセット端子に入力したフリップ・フロップ回路を含んで構成され、フリップ・フロップ回路の出力端子より第1回転信号Pを得ているので、非常に簡単な構成で容易にノイズのない第1回転信号Pを作り出せる。同様に、第2回転作成器は、整形位置信号Bと整形位置信号Cの否定のアンド信号をセット端子に入力し、整形位置信号Cと整形位置信号Bの否定のアンド信号をリセット端子に入力したフリップ・フロップ回路を含んで構成され、フリップ・フロップ回路の出力端子より第2回転信号Rを得ているので、非常に簡単な構成で容易にノイズのない第2回転信号Rを作り出せる。
【0039】
また、回転信号Fとして第1回転信号Pが出力される場合に、位置検出器の位置検出信号(もしくは、位置検出信号に同相な出力信号)をヒステリシスを持たないコンパレータで波形整形して整形位置信号Aを得るようにするならば、非常に簡素な構成のコンパレータを使用できると共に、位置検出信号に含まれる振幅変調成分の影響をなくすことができ、回転信号Fの周期もしくは半周期が乱されることがなくなる。すなわち、速度計測用の正確な回転信号Fを得ることができる。
【0040】
また、方向作成器は、第1回転信号Pのレベル変化時点における第2回転信号Rのレベルを入力するエッジトリガ形のフリップ・フロップ回路を有し、フリップ・フロップ回路の出力端子より方向信号を得るようにしているので、第1回転信号Pおよび第2回転信号Rはレベル変化時点におけるノイズパルスがなく、かつ、第1回転信号Pのレベル変化時点において第2回転信号Rのレベルは完全に確定しているので(ノイズの影響が発生しない位相区間)、簡単な回路構成ながらも確実な方向検出が可能である。
さらに、方向作成器は、第1回転信号Pの一方のレベル変化時点(立ち上がりエッジ)における第2回転信号Rのレベルを入力し、第1方向信号を出力するエッジトリガ形の第1フリップ・フロップ回路と、第1回転信号Pの他方のレベル変化時点(立ち下がりエッジ)における第2回転信号Rのレベルを入力し、第2方向信号を出力するエッジトリガ形の第2フリップ・フロップ回路と、第1方向信号と第2方向信号に応動した方向信号Jを得る方向出力回路(アンド回路)を含んで構成されている。これにより、第1回転信号Pのレベル変化の発生毎に方向信号の検出が可能になり、迅速かつ確実な逆転検出が可能になる。
【0041】
また、整形位置作成器は、位置検出器の複数相の位置検出信号に応動した電気的に位相の異なる3相の出力信号をヒステリシスを持たない3個のコンパレータで波形整形し、3相の整形位置信号A,B,Cを作成している。このような非常に簡素なコンパレータを使用しても、ノイズパルスのない、確実な回転信号と方向信号の検出が可能である。
【0042】
また、本実施の形態でも、前述の実施の形態1と同様に、指令部の方向指令信号および回転検出部の方向信号に応動してモータ回転を停止させる停止作動部を有し、停止作動部は、方向指令信号が正回転指令の場合もしくは方向信号が正回転の場合には、分配駆動部の動作によって通電指令信号に応動する所要の電気量をコイルに通電し、指令部の方向指令信号が逆回転指令の場合であって回転検出部の方向信号が逆回転になった時に、コイルへの通電を停止させる通電停止器を含んで構成している。これにより、停止指令動作時に、モータ部のロータや界磁部を短時間に減速して停止させることができる。すなわち、応答性の良いブラシレスモータ装置になる。
さらに、回転信号のレベル変化の時間間隔が所定値以上に大きくなると停止処理信号を出力する停止作動部の停止検出器と、停止処理信号に応動してディスクをアンローディングする処理ブロック(取出駆動部と取出皿部)を設けるならば、ディスクの回転停止を確実に検出でき、アンローディング時のディスクの傷等を防止できる。従って、ディスクの回転駆動に好適なブラシレスモータ装置を実現できる。
【0043】
(実施の形態4)
図15から図17に本発明の実施の形態4のブラシレスモータ装置を示す。図15に全体構成を示す。本実施の形態4では、前述の実施の形態1のモータ構造を変えて、コイルと位置検出素子の取り付け位置関係に電気角で30度程度のシフトをさせている。これにより、位置検出素子を突極部の間に配置するようにして、モータ構造の小形化をはかっている。なお、前述の各実施の形態と同様な部分は、同じ番号を付した。すなわち、分配駆動部40は図5、指令部50は図6、停止作動部60は図7、モータ部とディスクとの関係は図8にそれぞれ示したものと同様であり、重複する説明は省略する。
【0044】
図15の界磁部520は、ロータに取り付けられ、永久磁石磁極の発生磁束により複数個の界磁磁極を形成し、界磁磁束を発生している。3相のコイル521,522,523は、ステータに取り付けられ、界磁部520の発生磁束との鎖交に関して電気的に所定角度(電気的に120度相当)ずらされて配置されている。界磁部520との相対位置に対応して、所要の電気量を3相のコイル521,522,523に分配供給することにより、界磁部520およびロータに取り付けられたディスクを回転駆動する。
【0045】
図16に界磁部520や3相のコイル521,522,523の具体的な構成を示す。ロータ601の内側に取り付けられた円環状の永久磁石602は内面および端面を4極に着磁されており、図15の界磁部520を形成している。永久磁石602の磁極に対向するステータ位置に電機子鉄心603が配置され、電機子鉄心603には3個の突極部604a,604b,604cが機械的に120度間隔で設けられ、3相のコイル605a,605b,605c(図15の3相のコイル521,522,523に相当)が各突極部604a,604b,604cにそれぞれ巻装されている。コイル605a,605b,605cは、永久磁石602からの鎖交磁束に関して電気的に120度の位相差が設けられている。ステータには3個の位置検出素子607a,607b,607c(たとえば、磁電変換素子であるホール素子)が配置され、永久磁石602の端面の磁極を検出することにより、界磁部とコイルの相対的な位置に対応した3相の位置検出信号を得るようにしている。ここでは、コイルと位置検出素子の位相を電気角で120度(機械角で60度)ずらしており、位置検出素子を突極の間の巻線用溝部分に配置している。その結果、位置検出素子をモータ内に配置でき、モータ構造を小形化できた。なお、位置検出素子をずらして配置しているため、位置検出素子の位置検出信号に対して電気的に30度相当シフトした駆動信号をコイルに印加することにより、所定方向への回転力を得ている。
【0046】
図17に位置検出部530の位置検出器531の具体的な構成を示す。位置検出器531の位置検出素子631,632,633は、図16の位置検出素子607a,607b,607cに相当し、直流電源621,622の電源電圧(+Vccと−Vcc)が抵抗623,624を介して供給されている。位置検出素子631の出力端子には界磁部520(図16の永久磁石602に相当)の検出磁界に対応した差動の位置検出信号g1,g2が検出され、演算増幅回路641と抵抗642,643,644,645によって差動増幅され、位置検出信号g1に同相な滑らかに変化する出力信号aが得られる。また、位置検出素子632の出力端子には界磁部520の検出磁界に対応した位置検出信号h1が出力され、位置検出素子633の出力端子には位置検出信号i1が出力される。位置検出信号g1,h1,i1は電気的に120度の位相差を有する3相信号になっている。位置検出信号g1と位置検出信号i1は、演算増幅回路651と抵抗652,653,654,655によって差動増幅され、信号(g1−i1)に比例した出力信号dを得ている。これにより、出力信号dは位置検出信号g1から電気角で30度位相シフトされた信号になっている。同様に、位置検出信号h1と位置検出信号g1は、演算増幅回路661と抵抗662,663,664,665によって差動増幅され、信号(h1−g1)に比例した出力信号eを得ている。これにより、出力信号eは位置検出信号h1から電気角で30度位相シフトされた信号になっている。同様に、位置検出信号i1と位置検出信号h1は、演算増幅回路671と抵抗672,673,674,675によって差動増幅され、信号(i1−h1)に比例した出力信号fを得ている。これにより、出力信号fは位置検出信号i1から電気角で30度位相シフトされた信号になっている。位置検出器531の出力信号b,cは、それぞれ出力信号e,fと一致する。出力信号d,e,fは、電気的に120度の位相差を有する3相信号であり、3相の位置検出信号g1,h1,i1から30度の位相シフトが行われている。この3相の出力信号d,e,fは、分配駆動部40に供給され、出力信号d,e,fに対応して所要の電気量をコイル521,522,523に分配供給し、モータ駆動を行う。一方、位置検出器531の電気的に位相の異なる3相の出力信号a,b,cは、回転検出部10に供給される。
【0047】
次に、図17に示した回転検出部10の動作について、図18の信号波形を参照しながら説明する。位置検出器531から回転検出部10に供給される3相の出力信号a,b,cは、不等角度ではあるが電気的に所要の位相差を有する3相信号になっている。すなわち、出力信号aと出力信号bの間の位相差は約150度であり、出力信号bと出力信号cの間の位相差は約120度であり、出力信号cと出力信号aの間の位相差は約90度である[図18の(a),(b),(c)参照]。整形位置作成器11の3個のコンパレータ161,162,163は、位置検出器531の出力信号a,b,cをそれぞれ波形整形した整形位置信号A,B,Cを出力する[図18の(d),(e),(f)参照]。回転作成器12は、2相の整形位置信号Aと整形位置信号Bが入力され、インバータ回路172とアンド回路171により信号Bの否定と信号Aのアンド信号Dを作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路175のセット端子にアンド信号Dを入力する[図18の(g)参照]。インバータ回路174とアンド回路173は、信号Aの否定と信号Bのアンド信号Eを作り出し、フリップ・フロップ回路175のリセット端子に入力する[図18の(h)参照]。その結果、フリップ・フロップ回路175の出力端子に、整形位置信号A(もしくは整形位置信号B)に同期してレベル変化を行うディジタル的な回転信号Fを得る[図18の(i)参照]。
【0048】
方向作成器13は、エッジトリガー形の第1フリップ・フロップ回路182とエッジトリガー形の第2フリップ・フロップ回路183を有し、第1フリップ・フロップ回路182は回転信号Fの立ち上がりエッジ(”L”から”H”へのレベル変化時点)をクロック信号として整形位置信号Cのレベルをラッチして、第1方向信号Gを出力する。第2フリップ・フロップ回路183は回転信号Fの立ち下がりエッジ(”H”から”L”へのレベル変化時点)をクロック信号として整形位置信号Cのレベルをラッチして、インバータ回路184を介して第2方向信号Hを出力する。方向出力回路であるアンド回路185は、第1方向信号Gと第2方向信号Hに応動した方向信号Jを作り出して出力する[図18の(k),(l),(m)参照]。なお、図18の(j)に示す波形は方向指令信号Lの波形であり、正回転指令に相当する”H”レベルから逆回転指令に相当する”L”レベルに変化すると、逆方向駆動を行って回転を減速させ、界磁部を逆回転させる(実際には逆回転時間は短時間である)。
図15の分配駆動部40や指令部50や停止作動部60やモータとディスクの関係は、前述の実施の形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。すなわち、分配駆動部40は図5、指令部50は図6、停止作動部60は図7、モータ部とディスクの関係は図8に示したものとそれぞれ同様である。
【0049】
本実施の形態のように、位置検出信号の位相を電気的にシフトさせた出力信号に基づいて分配駆動を行うならば、位置検出素子の配置に自由度ができ、例えば、電機子鉄心の突極部の間に配置することが可能になり、モータ構造を小形にできる。
なお、本実施の形態に示したように、回転検出部に供給される3相の出力信号a,b,cの位相差は120度間隔でなくとも良い。すなわち、位相が異なった3相信号であれば良く、例えば、最小位相差が30度程度であっても良い。
【0050】
(実施の形態5)
図19と図20に本発明の実施の形態5のブラシレスモータ装置を示す。図19に全体構成を示す。本実施の形態5では、前述の実施の形態4の位置検出部の検出相数を2相にし、位置検出素子を2個に削減可能にしたものである。なお、前述の実施の形態4と同様な部分は、同じ番号を付した。すなわち、モータ構造は図16(但し、位置検出素子は2個)、分配駆動部40は図5、指令部50は図6、停止作動部60は図7、モータ部とディスクの関係は図8にそれぞれ示したものと同様であり、重複する説明は省略する。
【0051】
図20に2相の位置検出信号を用いた位置検出部530の位置検出器701の具体的な構成を示す。位置検出器701は3相信号作成回路702を含んで構成されている。位置検出器701の位置検出素子711,712は、図16の位置検出素子607a,607b,607cの内の2個に相当し、直流電源714,715の電源電圧(+Vccと−Vcc)が抵抗716,717を介して供給されている。位置検出素子711の出力端子には界磁部520(図16の永久磁石602に相当)の検出磁界に対応した差動の位置検出信号g1,g2が検出され、3相信号作成回路702の演算増幅回路721と抵抗722,723,724,725によって差動増幅され、位置検出信号g1に同相な滑らかに変化する出力信号aが得られる。同様に、位置検出素子712の出力端子には界磁部520の検出磁界に対応した差動の位置検出信号i1,i2が検出され、3相信号作成回路702の演算増幅回路726と抵抗727,728,729,730によって差動増幅され、位置検出信号i1に同相な滑らかに変化するアナログ信号jが得られる。信号aと信号jは電気的に120度の位相差を有する2相信号になっている。信号aと信号jは、演算増幅回路735と抵抗736,737,738,739によって差動増幅され、信号(a−j)に比例した第1相目の出力信号dが出力される。出力信号dは、位置検出信号g1に対して電気角で30度位相シフトされた信号になっている。演算増幅回路741と抵抗742,743,744によって、信号aと信号jを2:1の比率で合成して反転増幅し、滑らかに変化する第2相目の出力信号eを出力する。演算増幅回路751と抵抗752,753,754によって、信号aと信号jを1:2の比率で合成して反転増幅し、その合成信号を演算増幅回路755と抵抗756,757によって反転増幅し、滑らかに変化する第3相目の出力信号fを出力する。位置検出器701の出力信号b,cは、それぞれ出力信号e,fに一致する。3相信号作成回路702の出力信号d,e,fは、2相の位置検出信号g1,i1から作成された電気的に120度の位相差を有する3相信号である。また、出力信号d,fは、位置検出信号g1,i1に対して電気的に30度位相シフトされている。この3相の出力信号d,e,fは、分配駆動部40に供給され、出力信号d,e,fに対応して所要の電気量をコイル521,522,523に分配供給し、モータを回転駆動する。
【0052】
位置検出器701の出力信号b,cは、それぞれ出力信号e,fに一致する。位置検出器701の電気的に位相の異なる3相の出力信号a,b,cは、回転検出部10に供給される。ここで、出力信号aと出力信号bの間の位相差は約150度であり、出力信号bと出力信号cの間の位相差は約120度であり、出力信号cと出力信号aの間の位相差は約90度である。図20の回転検出部10の構成および動作は、前述の実施の形態4の図17に示したものと同様であり、その詳細な説明は省略する。
また、図19の分配駆動部40や指令部50や停止作動部60やディスクとモータ部の関係は、前述の実施の形態4と同様であり、それらの詳細な説明は省略する。すなわち、分配駆動部40は図5、指令部50は図6、停止作動部60は図7、モータ部とディスクの関係は図8にそれぞれ示したものと同様である。
【0053】
本実施の形態では、2個の位置検出素子に得られる2相の位置検出信号を利用して3相の出力信号a,b,cおよび3相の出力信号d,e,fを作り出し、所望のブラシレスモータ動作を実現している。従って、位置検出素子の個数が少なくて良く、モータ構造が極めて簡素になる。
また、通常、位置検出信号は高調波成分を含んでいるので、合成して作った出力信号bはかなり歪んだ波形になる。そのため、本実施の形態に示したように、位置検出素子に生じる位置検出信号(もしくは、これに同相な出力信号a)を波形整形した整形位置信号Aを作り、整形位置信号Aのレベル変化時点においてレベル変化を行う回転信号を作り出すならば、高精度の正確な速度計測用の回転信号を得ることができる。
【0054】
(実施の形態6)
図21と図22に本発明の実施の形態6のブラシレスモータ装置を示す。図21に全体構成を示す。本実施の形態6では、前述の実施の形態5において、前述の実施の形態3に示した第1回転作成器と第2回転作成器を有する回転検出部350を使用したものである。なお、前述の各実施の形態と同様な部分は、同じ番号を付した。すなわち、界磁部520、3相のコイル521,522,523、位置検出部530、分配駆動部40、指令部50、停止作動部60は、前述の実施の形態5と同様であり、それらの詳細な説明は省略する。また、モータ構造は前述の図16と同様である(但し、位置検出素子は2個に削減した)。図21の回転検出部350は、整形位置作成器351と第1回転作成器352と第2回転作成器353と回転出力器354と方向作成器355によって構成されている。
【0055】
図22に位置検出部530と回転検出部350の具体的な構成を示し、図23に信号波形を示す。位置検出部530の位置検出器701の構成は、前述の実施の形態5の図20に示したものと同様であり、その詳細な説明は省略する。すなわち、2個の位置検出素子711と712に生じる2相の位置検出信号g1,g2,i1,i2を基づいて、1組の3相の出力信号d,e,fを作りだして分配駆動部40に供給し、他の組の3相の出力信号a,b,cを作りだして回転検出部350に供給する[図23の(a),(b),(c)参照]。尚、本実施の形態では、図22に示すように、出力信号e,fは出力信号c,bにそれぞれ一致している。
回転検出部350の構成は、前述の実施の形態3の図13に示したものとほぼ同様であり、同一の機能部分には同じ番号を付した(整形位置作成器351にインバータ回路760が加わった点が異なる)。図22の整形位置作成器351は、3個のコンパレータ461,462,463とインバータ回路760によって構成され、位置検出器701の出力信号a,b,cをそれぞれ波形整形して3相の整形位置信号A,B,Cを出力する[図23の(d),(e),(f)参照]。各コンパレータ461,462,463の具体的な構成は、前述の図4に示したものと同様である。
【0056】
第1回転作成器352は、2相の整形位置信号Aと整形位置信号Bが入力され、インバータ回路472とアンド回路471により信号Bの否定と信号Aのアンド信号を作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路475のセット端子に入力する。インバータ回路474とアンド回路473は、信号Aの否定と信号Bのアンド信号を作り出し、フリップ・フロップ回路475のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路475の出力端子に、正回転時に整形位置信号Aに同期してレベル変化し、逆回転時に整形位置信号Bに同期してレベル変化し、レベル変化時点のノイズの除去されたディジタル的な第1回転信号Pを得る[図23の(g)参照]。
第2回転作成器353は、2相の整形位置信号Bと整形位置信号Cが入力され、インバータ回路482とアンド回路481により信号Cの否定と信号Bのアンド信号を作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路485のセット端子に入力する。インバータ回路484とアンド回路483は、信号Bの否定と信号Cのアンド信号を作り出し、フリップ・フロップ回路485のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路485の出力端子に、正回転時に整形位置信号Bに同期してレベル変化し、逆回転時に整形位置信号Cに同期してレベル変化し、レベル変化時点のノイズの除去されたディジタル的な第2回転信号Rを得る[図23の(h)参照]。
【0057】
回転出力器354は、バッファ回路478によって構成され、第1回転信号Pを回転検出部350の回転信号Fとして出力する。これにより、回転信号Fは正回転時に整形位置信号Aに同期してレベル変化する。ここで、整形位置信号Aは位置検出信号g1に同相な出力信号aを波形整形したものであるから、回転信号Fは位置検出信号g1の波形整形信号に相当する。
方向作成器355は、エッジトリガー形の第1フリップ・フロップ回路492とエッジトリガー形の第2フリップ・フロップ回路493を有し、第1フリップ・フロップ回路492は第1回転信号Pの立ち上がりエッジ(”L”から”H”へのレベル変化時点)をクロック信号として第2回転信号Rのレベルをラッチして(正確には信号Rの否定)、第1方向信号Gを出力する。第2フリップ・フロップ回路493は第1回転信号Pの立ち下がりエッジ(”H”から”L”へのレベル変化時点)をクロック信号として第2回転信号Rのレベルをラッチして、第2方向信号Hを出力する。方向出力回路であるアンド回路495は、第1方向信号Gと第2方向信号Hに応動した方向信号Jを作り出して出力する[図23の(j),(k),(l)参照]。なお、図23の(i)に示す波形は方向指令信号Lの波形であり、正回転指令に相当する”H”レベルから逆回転指令に相当する”L”レベルに変化すると、逆方向駆動を行って回転を減速させ、界磁部を逆回転させる(実際には逆回転時間は短時間である)。
図21の分配駆動部40や指令部50や停止作動部60やモータ部とディスクの関係は、前述の実施の形態5と同様であり、それらの詳細な説明は省略する。すなわち、分配駆動部40は図5、指令部50は図6、停止作動部60は図7、モータ部とディスクの関係は図8に示したものと同様である。
【0058】
本実施の形態でも、位置検出素子に得られる位置検出信号を利用して、速度計測用の回転信号および方向計測用の方向信号を作成しているので、モータ構造に新たに付加する部品は全く必要ない。従って、簡素なモータ構成を実現できる。さらに、2個の位置検出素子に得られる2相の位置検出信号を利用して3相の出力信号a,b,cを作り出しているので、モータ構造が非常に簡素になる。なお、スペースが許せば、3個の位置検出素子を配設しても良い。
また、回転検出部では、位置検出信号g1に同相な出力信号aを波形整形した整形位置信号Aを作り、2相分の整形位置信号A,Bを用いて第1回転信号Pのレベル変化時点のノイズを除去し、第1回転信号Pを回転信号Fとしているので、速度計測時の誤動作は発生しなくなる。
【0059】
また、整形位置信号AとBの位相差を90度、整形位置信号BとCの位相差を60度、整形位置信号CとAの位相差を150度(もしくは30度)とした3相の整形位置信号A,B,Cを使用し、整形位置信号A,Bを用いて第1回転信号Pを作りだし、整形位置信号B,Cを用いて第2回転信号Rを作りだし、第1回転信号Pのレベル変化時点における第2回転信号Rのレベルに応動した方向信号を得ているので、第1回転信号Pおよび第2回転信号Rはノイズのない安定な整形信号になっており、かつ、第1回転信号Pのレベル変化時点は第2回転信号Rのレベルが安定になっている位相に相当するので、正確な方向信号を得ることができる。すなわち、第1回転信号Pと第2回転信号Rの位相差を、正回転時に90度確保でき、逆回転時に60度確保できる。また、整形位置信号A,B,Cが各エッジにノイズを含んでいても、それらのノイズをきれいに除去した回転信号Fおよび方向信号Jを得ることができる。
【0060】
(実施の形態7)
図24と図25に本発明の実施の形態7のブラシレスモータ装置を示す。図24に全体構成を示す。本実施の形態7は、前述の実施の形態1において回転検出部の構成を変更し、回転信号の周期を位置検出信号の周期の3分の1に小さくし、速度計測の頻度を高くできるようにしたものである。
図24において、界磁部20、3相のコイル21,22,23、分配駆動部40、指令部50、停止作動部60は、前述の実施の形態1と同様であり、それらの詳細な説明は省略する。また、モータ構造は前述の図2と同様である。図24の回転検出部800は、整形位置作成器801と第1回転作成器802と第2回転作成器803と第3回転作成器804と回転出力器805と方向作成器806によって構成されている。
【0061】
図25に位置検出部30と回転検出部800の具体的な構成を示し、図26に信号波形を示す。位置検出部30の位置検出器31の構成は、前述の実施の形態1の図3に示したものと同様であり、その詳細な説明は省略する。すなわち、3個の位置検出素子131と132と133に生じる3相の位置検出信号g1,g2とh1,h2とi1,i2をそれぞれ差動増幅して、3相の出力信号d,e,fと3相の出力信号a,b,cを作り出す。出力信号d,e,fは分配駆動部40に供給し、出力信号a,b,cは回転検出部800に供給する。ここでは、出力信号a,b,cと出力信号d,e,fはそれぞれ一致している。
回転検出部800の整形位置作成器801は、3個のコンパレータ861,862,863によって構成され、位置検出器31の出力信号a,b,cをそれぞれ波形整形して3相の整形位置信号A,B,Cを出力する[図26の(a),(b),(c)参照]。各コンパレータ861,862,863の具体的な構成は、前述の図4に示したものと同様である。
【0062】
第1回転作成器802は、2相の整形位置信号Aと整形位置信号Bが入力され、インバータ回路872とアンド回路871により信号Bの否定と信号Aのアンド信号を作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路875のセット端子に入力する。インバータ回路874とアンド回路873は、信号Aの否定と信号Bのアンド信号を作り出し、フリップ・フロップ回路875のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路875の出力端子に、正回転時に整形位置信号Aに同期してレベル変化し、逆回転時に整形位置信号Bに同期してレベル変化し、レベル変化時点のノイズの除去されたディジタル的な第1回転信号Pを得る[図26の(d)参照]。
第2回転作成器803は、2相の整形位置信号Bと整形位置信号Cが入力され、インバータ回路877とアンド回路876により信号Cの否定と信号Bのアンド信号を作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路880のセット端子に入力する。インバータ回路879とアンド回路878は、信号Bの否定と信号Cのアンド信号を作り出し、フリップ・フロップ回路880のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路880の出力端子に、正回転時に整形位置信号Bに同期してレベル変化し、逆回転時に整形位置信号Cに同期してレベル変化し、レベル変化時点のノイズの除去されたディジタル的な第2回転信号Rを得る[図26の(e)参照]。
第3回転作成器804は、2相の整形位置信号Cと整形位置信号Aが入力され、インバータ回路882とアンド回路881により信号Aの否定と信号Cのアンド信号を作り出し、セット−リセット形のフリップ・フロップ回路885のセット端子に入力する。インバータ回路884とアンド回路883は、信号Cの否定と信号Aのアンド信号を作り出し、フリップ・フロップ回路885のリセット端子に入力する。その結果、フリップ・フロップ回路885の出力端子に、正回転時に整形位置信号Cに同期してレベル変化し、逆回転時に整形位置信号Aに同期してレベル変化し、レベル変化時点のノイズの除去されたディジタル的な第3回転信号Nを得る[図26の(f)参照]。
【0063】
回転出力器805は、第1回転信号Pと第2回転信号Rと第3回転信号Nを入力された排他的オア回路890(イクスクルーシブ オア:EXCLUSIVE OR)によって構成され、排他的オア回路890によって回転信号Fを出力している。従って、回転信号Fは、第1回転信号Pと第2回転信号Rと第3回転信号Nのレベルが奇数個”H”の時に”H”になり、偶数個”H”の時に”L”になる[図26の(g)参照]。第1回転信号P,第2回転信号R,第3回転信号Nは120度の位相差を有するノイズのないディジタル信号であるから、回転信号Fは周期が3分の1の高周波パルス信号になる。すなわち、回転信号Fの周期は位置検出信号g1の周期の3分の1になる。
方向作成器806は、エッジトリガー形の第1フリップ・フロップ回路892とエッジトリガー形の第2フリップ・フロップ回路893を有し、第1フリップ・フロップ回路892は第1回転信号Pの立ち上がりエッジ(”L”から”H”へのレベル変化時点)をクロック信号として第2回転信号Rのレベルをラッチして(正確には信号Rの否定)、第1方向信号Gを出力する。第2フリップ・フロップ回路893は第1回転信号Pの立ち下がりエッジ(”H”から”L”へのレベル変化時点)をクロック信号として第2回転信号Rのレベルをラッチして、第2方向信号Hを出力する。方向出力回路であるアンド回路895は、第1方向信号Gと第2方向信号Hに応動した方向信号Jを作り出して出力する。
【0064】
本実施の形態では、前述の実施の形態1の利点に加えて、回転信号Fの周期が3分の1に短くなり、指令部50の速度検出器52において頻度の高い速度計測が可能になる。その結果、速度制御の制御利得を高くでき、外乱トルクに強い高精度の計測・制御が実現できる。
【0065】
なお、前述の各実施の形態の具体的な構成については、各種の変形が可能である。たとえば、モータ構造は前述の構成に限定されるものではなく、各相のコイルは複数個のコイルを直列もしくは並列に接続して構成しても良い。各コイルは集中巻きでも分布巻きでも突極部のない空芯コイルでも良い。3相のコイルはスター結線に限らず、デルタ結線であってもよい。位置検出素子はホール素子や磁電変換素子に限定されるものではない。コイルと位置検出素子の相対的な関係は、各種の変更が可能である。界磁部の構成も前述の実施例に限定されるものではなく、磁極を分割したり、鉄コアの中に磁極片を埋め込んで界磁部を形成しても良い。さらに、磁極数も4極に限定されない。
【0066】
さらに、分配駆動部は、位置検出器の出力信号に対応して駆動電圧を分配するものに限らず、駆動電流を分配するようにしても良い。また、分配駆動部は、アナログ的な駆動電圧をコイルに供給するものに限らず、分配信号に応動したパルス幅のPWM信号(パルス幅変調信号)によってPWM駆動電圧をコイルに供給するようにしても良い。
指令部の構成や停止作動部の構成も前述の実施例に限定されるものではなく、たとえば、通電停止器が指令作成器,分配器もしくは駆動器等の動作を直接停止させるようにしても良い。また、分配駆動部は、位置検出部の出力信号だけでなく、方向指令信号にも応動して通電するコイルを選択するようにしても良い。また、回転検出部において作り出す回転信号のレベル変化時点を、正回転でも逆回転でも整形位置信号Aのレベル変化時点に一致させるようにしても良い。また、ディスクとモータ回転軸の結合部分やディスクの取出部分の機械的な構成は、前述の実施例に限定されるものではない。
その他、本発明の主旨を変えずして種々の変形が可能であり、本発明に含まれることはいうまでもない。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明のブラシレスモータ装置では、複数相の位置検出信号から電気的に位相の異なる複数相の整形位置信号を作り、複数相の整形位置信号を用いてノイズを除去した回転信号と方向信号を作り出している。そのため、回転信号や方向信号を得るために、モータに特別な検出器を取り付ける必要がなく、簡素な構成になる。また、例えば、3相の整形位置信号を用いることにより、ノイズに強く、精度の高い回転信号と誤動作のない方向信号を得ることができる。また、回転指令の場合に、位置検出信号から作り出した回転信号に応動して所定の正回転での速度制御を行わせることが可能になる。また、停止指令の場合に、位置検出信号から作り出した方向信号によって界磁部の逆回転の始まりを瞬時に検出し、コイルへの通電停止を迅速に行わせることが可能になる。すなわち、簡素な構成ながらも、応答性の早いブラシレスモータ装置を実現できる。
また、通電停止後に、回転信号のレベル変化の時間間隔によって回転停止を検知・確認し、その後にディスクの取出動作を行わせることにより、回転制御状態からのディスクの取出を、ディスクを傷つけることなく、すばやく行わせることが可能になる。すなわち、停止指令に即応して、短時間にディスクの取出が可能なディスク駆動に適したブラシレスモータ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態1におけるモータの構造を示す図である。
【図3】実施の形態1における回転検出部10と位置検出部30の回路図である。
【図4】実施の形態1におけるコンパレータ161の回路図である。
【図5】実施の形態1における分配駆動部40の構成を示す図である。
【図6】実施の形態1における指令部50の構成を示す図である。
【図7】実施の形態1における通電停止器61の構成を示す図である。
【図8】実施の形態1におけるディスクの回転駆動の構成を示す図である。
【図9】実施の形態1における各信号の波形を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2における全体構成を示す図である。
【図11】実施の形態2における回転検出部10と位置検出部30の回路図である。
【図12】本発明の実施の形態3における全体構成を示す図である。
【図13】実施の形態3における回転検出部350と位置検出部30の回路図である。
【図14】実施の形態3における各信号の波形を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態4における全体構成を示す図である。
【図16】実施の形態4におけるモータの構造を示す図である。
【図17】実施の形態4における回転検出部10と位置検出部530の回路図である。
【図18】実施の形態4における各信号の波形を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態5における全体構成を示す図である。
【図20】実施の形態5における回転検出部10と位置検出部530の回路図である。
【図21】本発明の実施の形態6における全体構成を示す図である。
【図22】実施の形態6における回転検出部350と位置検出部530の回路図である。
【図23】実施の形態6における各信号の波形を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態7における全体構成を示す図である。
【図25】実施の形態7における回転検出部800と位置検出部30の回路図である。
【図26】実施の形態7における各信号の波形を示す図である。
【図27】従来の回転信号を得る検出器の構成を示す図である。
【符号の説明】
10,350,800 回転検出部
20,520 界磁部
21,22,23,521,522,523 コイル
30,530 位置検出部
40 分配駆動部
50 指令部
60 停止作動部
11,351,801 整形位置作成器
12 回転作成器
13,355,806 方向作成器
352,802 第1回転作成器
353,803 第2回転作成器
804 第3回転作成器
354,805 回転出力器
31,301,531,701 位置検出器
302,702 3相信号作成回路
41 分配器
42 第1駆動器
43 第2駆動器
44 第3駆動器
51 指令作成器
52 速度検出器
53 停止指令器
61 通電停止器
62 停止検出器
280 モータ部
290 ディスク
291 取出駆動部
292 取出皿部

Claims (2)

  1. ディスクを回転駆動するロータに取り付けられた永久磁石磁極により界磁磁束を発生する界磁手段と、
    前記界磁磁束に鎖交する複数相のコイルと、
    前記界磁手段と前記コイルの相対位置を検出して複数相の位置検出信号を得る位置検出手段と、
    前記位置検出手段の出力信号に応動した回転信号および方向信号を得る回転検出手段と、
    回転指令動作の場合に所定の正回転方向への回転動作を行わせる方向指令信号と通電指令信号を出力し、停止指令動作の場合に逆回転方向に駆動を行わせる前記方向指令信号と前記通電指令信号を出力する指令手段と、
    前記通電指令信号に応動した電気量を前記位置検出信号に応動した前記複数相のコイルに供給する分配駆動手段と、
    前記方向指令信号および前記方向信号に応動して前記界磁手段の回転を停止動作させる停止作動手段とを具備し、
    前記回転検出手段は、前記位置検出手段の出力信号を波形整形し、電気的に位相の異なる複数相のディジタル的な整形位置信号を作り出す整形位置作成手段と、
    前記整形位置信号を用いて前記界磁手段の回転に同期してレベル変化を行う前記回転信号を作り出す回転作成手段と、
    複数相の前記整形位置信号を用いて前記界磁手段の回転方向に対応した前記方向信号を作り出す方向作成手段を含んで構成され、
    前記指令手段は、前記回転信号に応動した速度検出信号を得る速度検出手段と、
    所要の停止指令信号を出力する停止指令手段と、
    回転指令動作の場合に前記速度検出手段の出力信号に応動した前記通電指令信号および前記方向指令信号を出力し、停止指令動作の場合に前記停止指令信号に応動した前記通電指令信号および前記方向指令信号を出力する指令作成手段を含んで構成され、
    かつ、前記停止作動手段は、前記方向指令信号が正回転指令の場合もしくは前記方向信号が正回転の場合には前記分配駆動手段の動作によって前記通電指令信号に応動した所要の電気量を前記位置検出信号に応動した前記複数相のコイルに通電させ、前記方向指令信号が逆回転指令の場合であって前記方向信号が逆回転になった時に前記コイルへの通電を停止させる通電停止手段と、
    前記回転信号のレベル変化の時間間隔を検知して前記時間間隔が所定値以上に大きくなると停止処理信号を出力する停止検出手段と、
    前記停止処理信号に応動して前記ディスクをアンローディングする処理手段を含んで構成されたディスク回転駆動に使用するブラシレスモータ装置。
  2. 前記回転検出手段は、前記位置検出手段の3相の出力信号を波形整形し、電気的に位相の異なる3相のディジタル的な前記整形位置信号を作り出す前記整形位置作成手段と、前記整形位置信号に同期した前記回転信号を得る前記回転作成手段と、前記回転信号のレベル変化時点における前記整形位置信号のレベルに応動した前記方向信号を得る前記方向作成手段を含んで構成された請求項1に記載のブラシレスモータ装置。
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