JP3544388B2 - 鱗状表面を有する材料の加工方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、魚の鱗のように折り重なった微細表面形状を有する材料の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚の鱗のように折り重なった微細表面形状(以下、鱗状表面という)を有する材料は、その表面形状の異方性から、摩擦特性の異方性、光学特性の異方性、及び金属表面に付着しにくい物質の強い付着性、等を有し、従来の単純な表面形状(波形、凹み、等)では得られない特有の用途に適用することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる鱗状表面を有する材料は、少なくとも2工程以上の工程を必要とし、加工時間と加工費用がかかり、かつ広い面積の加工が困難であり量産が難しい問題点があった。
【0004】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、単一の工程で短時間に加工でき、かつ広い面積の加工にも適用でき、量産が可能な鱗状表面を有する材料の加工方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、平面工具の表面に複数の微細な窪みを互いに間隔を隔てて形成し、該平面工具によりロールを圧印加工してロール表面に前記窪みと嵌合する微細な突起を転写し、次いで前記ロールにより圧延時の中立点を入側に寄せて平板を圧延加工する、ことを特徴とする鱗状表面を有する材料の加工方法が提供される。
【0006】
本発明の好ましい実施例によれば、イオンビームエッチングにより前記平面工具の窪みを形成し、該窪みは円筒形丸穴であり、隣接する丸穴間の肉厚は丸穴の半径より小さい。また、前記丸穴の直径は約100μmであり、その間隔は約130μmである。更に、前記圧延加工による平板の圧延率は、厚さの対数ひずみで20%以上である、ことが好ましい。
【0007】
【作用】
上記本発明の方法によれば、表面に微細な突起を有するロールを圧印加工で形成し、このロールにより圧延時の中立点を入側に寄せて平板を圧延加工するので、入側に近い中立点付近で、ロールと平板の相対速度がほとんどなく、通常の圧下と同様にロールの突起に対応する凹穴を平板表面に形成することができる。次いでロールによる圧下(すなわち圧延)が完了し、ロールが平板から離れだすと、中立点より下流ではロールと平板の相対速度があり、かつ平板は圧延により伸ばされているので、ロールの突起先端部が凹穴の縁を擦りながら抜け出す。この際、ロールの突起先端部により、平板に形成された凹穴を水平に変形させ、これにより、平板に鱗状表面を形成することができる。従って、鱗状表面を有する平板を、量産に適した通常の圧延加工と同様の単一工程ででき、短時間で広い面積の加工を行うことができる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の加工方法を示す工程図である。この図において、本発明の鱗状表面を有する材料の加工方法は、▲1▼平面工具1の表面に複数の微細な窪み2を互いに間隔を隔てて形成する第1工程(A)と、▲2▼第1工程で形成された平面工具1によりロール3を圧印加工してロール表面に前記窪み2と嵌合する微細な突起4を転写する第2工程(B)と、▲3▼第2工程で圧印加工されたロール3により圧延時の中立点Nを入側に寄せて平板5を圧延加工する第3工程(C)と、からなる。なお、図1で、7はイオンビーム、8はマスク、9は引抜き板、10はスライドニードル軸受である。
【0009】
図2は、図1の第3工程の詳細を示す説明図である。図2(A)において、圧延加工が行われている部分で、ロール3の周速V0 と平板5の速度Vとが一致する点が中立点Nであり、中立点Nより出側(下流側)では、平板5の速度Vはロール3の周速V0 より速く、逆に中立点Nより入側(上流側)では、平板5の速度Vはロール3の周速V0 より遅い。また、加工が行われていない部分の平板5の速度Vは、入側でVin(≦V0 )であり、出側でVout (≧V0 )である。中立点Cの位置は、圧延時の入側、出側の平板の張力、圧下率、ロール3の周速等により調節することができる。
【0010】
図2(B)は、(A)の中立点N付近における加工を模式的に示す図である。中立点N付近では、ロール3の周速V0 と平板5の速度Vとがほぼ一致するため、通常の圧下と同様にロールの突起4に対応する凹穴6を平板表面に形成することができる。この際、凹穴6の間には壁6aが形成される。
次いでロール3による圧下(すなわち圧延)が完了し、ロール3が平板から離れだすと、図2(C)及び(D)に示すように、中立点より下流ではロール3と平板5の相対速度があり、かつ平板5は圧延により伸ばされているので、ロール3の突起4の先端部が凹穴の壁6aを擦りながら抜け出す。この際、ロールの突起4の先端部により、平板に形成された凹穴6の間の壁6aを水平に変形させ、これにより、平板に鱗状表面を形成することができる。従って、鱗状表面を有する平板を、量産に適した通常の圧延加工と同様の単一工程ででき、短時間で広い面積の加工を行うことができる。
【0011】
以下、本発明の方法を用いた試験結果を説明する。この試験では、図1の第1工程(A)において、イオンビームエッチングにより平面工具1(材質:超硬合金)の窪みを形成した。この窪みは直径約100μmの円筒形丸穴であり、その間隔は約130μm、深さは約22μmであった。なお、上述したように丸穴間の壁部分6aが鱗状に形成されるため、窪みの間隔は、十分狭いことが望ましく、少なくとも隣接する丸穴間の肉厚が丸穴の半径より小さいことが好ましい。
【0012】
次いで、図1の第2工程(B)において、平面工具1によりロール3(材質:純アルミニウム)を圧印加工してロール表面に窪み2と嵌合する微細な突起4を転写した。この圧印加工は、約700N/mmの押付け力で実施し、平面工具1の窪み2に対応した突起4を形成することができた。次いで、図1の第3工程(C)において、ロール3により圧延時の中立点Cを入側に寄せて平板5を圧延加工した。この結果を図3〜図8に示す。
【0013】
図3は、工業的純アルミ板材の微細表面加工における圧下力とひずみの関係図である。この図で横軸は圧下力(Normal load: N/mm) 、縦軸は対数ひずみ(Logarithmic strain:無次元) であり、図中○は長手方向ひずみ、●は厚さ方向ひずみ(板厚ひずみ)である。図からわかるように、平面ひずみには遠い変形状態であり、圧下力100N/mmで(絶対値で)5%程度の板厚ひずみであり、(d) の圧下力220〜240N/mmで20%以上の板厚ひずみであった。
【0014】
また、平板表面の走査型電子顕微鏡写真から、(a) では窪み深さ約6μmで単独の圧子による押し込みに近いが、突起の運動の影響で窪みから突起の出側に彗星の尾のようなものがでる傾向があり、(b) では深さは12〜14μmとなり、穴はロールの回転方向に伸び、かつ各々の窪みの突起の出側に局部的な盛り上がりが形成され、その高さは9〜12μm程度であった。更に、(c) では深さ約15μmで盛り上がり約10μmとなり、盛り上がり部分が隣接する穴に覆いかぶさるように干渉して変形し、(d) では穴が消失し鱗状の表面が形成されることがわかった。
【0015】
図4は、図3の(d) の表面の触針式表面粗さ計による3次元的粗さ曲線図であり、図5は図4の結果から得た圧下力と窪み2深さおよび盛り上がり高さとの関係図である。図4及び図5から、盛り上がりは工具面の拘束のためか10μmから大きくでることはなかった。
図6は、図3の(d) の表面の拡大写真(100倍)、図7は、図6の斜め45°左から見た走査型電子顕微鏡写真(400倍)、図8は図3の(d) の表面部分の断面曲線である。図6〜図8から、平板に規則正しく魚の鱗のように折り重なった微細表面形状(鱗状表面)が形成されているのがわかる。かかる鱗状表面を有する材料は、前述したように、その表面形状の異方性から、摩擦特性の異方性、光学特性の異方性、及び金属表面に付着しにくい物質の強い付着性、等を有し、従来の単純な表面形状(波形、凹み、等)では得られない特有の用途に適用することができる。
【0016】
上述したように、本発明の方法によれば、表面に微細な突起を有するロールを圧印加工で形成し、このロールにより圧延時の中立点を入側に寄せて平板を圧延加工するので、入側に近い中立点付近で、ロールと平板の相対速度がほとんどなく、通常の圧下と同様にロールの突起に対応する凹穴を平板表面に形成することができる。次いでロールによる圧下(すなわち圧延)が完了し、ロールが平板から離れだすと、中立点より下流ではロールと平板の相対速度があり、かつ平板は圧延により伸ばされているので、ロールの突起先端部が凹穴の縁を擦りながら抜け出す。この際、ロールの突起先端部により、平板に形成された凹穴を水平に変形させ、これにより、平板に鱗状表面を形成することができる。
【0017】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0018】
【発明の効果】
上述したように、本発明の加工方法によれば、単一の工程で短時間に鱗状表面を有する材料を加工でき、かつ広い面積の加工にも適用でき、量産が可能である、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加工方法を示す工程図である。
【図2】図1の第3工程の詳細を示す説明図である。
【図3】アルミ板材の微細表面加工における圧下力とひずみの関係図である。
【図4】図3の(d) の表面の触針式表面粗さ計による3次元的粗さ曲線である。
【図5】圧下力と窪み深さおよび盛り上がり高さとの関係図である。
【図6】図3の(d) の表面の顕微鏡写真(100倍)である。
【図7】図6の斜め左から見た走査型電子顕微鏡写真(400倍)である。
【図8】図3の(d) の表面部分の断面図である。
【符号の説明】
1 平面工具
2 窪み
3 ロール
4 突起
5 平板
6 凹穴
7 イオンビーム
8 マスク
9 引抜き板
10 スライドニードル軸受
【産業上の利用分野】
本発明は、魚の鱗のように折り重なった微細表面形状を有する材料の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚の鱗のように折り重なった微細表面形状(以下、鱗状表面という)を有する材料は、その表面形状の異方性から、摩擦特性の異方性、光学特性の異方性、及び金属表面に付着しにくい物質の強い付着性、等を有し、従来の単純な表面形状(波形、凹み、等)では得られない特有の用途に適用することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる鱗状表面を有する材料は、少なくとも2工程以上の工程を必要とし、加工時間と加工費用がかかり、かつ広い面積の加工が困難であり量産が難しい問題点があった。
【0004】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、単一の工程で短時間に加工でき、かつ広い面積の加工にも適用でき、量産が可能な鱗状表面を有する材料の加工方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、平面工具の表面に複数の微細な窪みを互いに間隔を隔てて形成し、該平面工具によりロールを圧印加工してロール表面に前記窪みと嵌合する微細な突起を転写し、次いで前記ロールにより圧延時の中立点を入側に寄せて平板を圧延加工する、ことを特徴とする鱗状表面を有する材料の加工方法が提供される。
【0006】
本発明の好ましい実施例によれば、イオンビームエッチングにより前記平面工具の窪みを形成し、該窪みは円筒形丸穴であり、隣接する丸穴間の肉厚は丸穴の半径より小さい。また、前記丸穴の直径は約100μmであり、その間隔は約130μmである。更に、前記圧延加工による平板の圧延率は、厚さの対数ひずみで20%以上である、ことが好ましい。
【0007】
【作用】
上記本発明の方法によれば、表面に微細な突起を有するロールを圧印加工で形成し、このロールにより圧延時の中立点を入側に寄せて平板を圧延加工するので、入側に近い中立点付近で、ロールと平板の相対速度がほとんどなく、通常の圧下と同様にロールの突起に対応する凹穴を平板表面に形成することができる。次いでロールによる圧下(すなわち圧延)が完了し、ロールが平板から離れだすと、中立点より下流ではロールと平板の相対速度があり、かつ平板は圧延により伸ばされているので、ロールの突起先端部が凹穴の縁を擦りながら抜け出す。この際、ロールの突起先端部により、平板に形成された凹穴を水平に変形させ、これにより、平板に鱗状表面を形成することができる。従って、鱗状表面を有する平板を、量産に適した通常の圧延加工と同様の単一工程ででき、短時間で広い面積の加工を行うことができる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の加工方法を示す工程図である。この図において、本発明の鱗状表面を有する材料の加工方法は、▲1▼平面工具1の表面に複数の微細な窪み2を互いに間隔を隔てて形成する第1工程(A)と、▲2▼第1工程で形成された平面工具1によりロール3を圧印加工してロール表面に前記窪み2と嵌合する微細な突起4を転写する第2工程(B)と、▲3▼第2工程で圧印加工されたロール3により圧延時の中立点Nを入側に寄せて平板5を圧延加工する第3工程(C)と、からなる。なお、図1で、7はイオンビーム、8はマスク、9は引抜き板、10はスライドニードル軸受である。
【0009】
図2は、図1の第3工程の詳細を示す説明図である。図2(A)において、圧延加工が行われている部分で、ロール3の周速V0 と平板5の速度Vとが一致する点が中立点Nであり、中立点Nより出側(下流側)では、平板5の速度Vはロール3の周速V0 より速く、逆に中立点Nより入側(上流側)では、平板5の速度Vはロール3の周速V0 より遅い。また、加工が行われていない部分の平板5の速度Vは、入側でVin(≦V0 )であり、出側でVout (≧V0 )である。中立点Cの位置は、圧延時の入側、出側の平板の張力、圧下率、ロール3の周速等により調節することができる。
【0010】
図2(B)は、(A)の中立点N付近における加工を模式的に示す図である。中立点N付近では、ロール3の周速V0 と平板5の速度Vとがほぼ一致するため、通常の圧下と同様にロールの突起4に対応する凹穴6を平板表面に形成することができる。この際、凹穴6の間には壁6aが形成される。
次いでロール3による圧下(すなわち圧延)が完了し、ロール3が平板から離れだすと、図2(C)及び(D)に示すように、中立点より下流ではロール3と平板5の相対速度があり、かつ平板5は圧延により伸ばされているので、ロール3の突起4の先端部が凹穴の壁6aを擦りながら抜け出す。この際、ロールの突起4の先端部により、平板に形成された凹穴6の間の壁6aを水平に変形させ、これにより、平板に鱗状表面を形成することができる。従って、鱗状表面を有する平板を、量産に適した通常の圧延加工と同様の単一工程ででき、短時間で広い面積の加工を行うことができる。
【0011】
以下、本発明の方法を用いた試験結果を説明する。この試験では、図1の第1工程(A)において、イオンビームエッチングにより平面工具1(材質:超硬合金)の窪みを形成した。この窪みは直径約100μmの円筒形丸穴であり、その間隔は約130μm、深さは約22μmであった。なお、上述したように丸穴間の壁部分6aが鱗状に形成されるため、窪みの間隔は、十分狭いことが望ましく、少なくとも隣接する丸穴間の肉厚が丸穴の半径より小さいことが好ましい。
【0012】
次いで、図1の第2工程(B)において、平面工具1によりロール3(材質:純アルミニウム)を圧印加工してロール表面に窪み2と嵌合する微細な突起4を転写した。この圧印加工は、約700N/mmの押付け力で実施し、平面工具1の窪み2に対応した突起4を形成することができた。次いで、図1の第3工程(C)において、ロール3により圧延時の中立点Cを入側に寄せて平板5を圧延加工した。この結果を図3〜図8に示す。
【0013】
図3は、工業的純アルミ板材の微細表面加工における圧下力とひずみの関係図である。この図で横軸は圧下力(Normal load: N/mm) 、縦軸は対数ひずみ(Logarithmic strain:無次元) であり、図中○は長手方向ひずみ、●は厚さ方向ひずみ(板厚ひずみ)である。図からわかるように、平面ひずみには遠い変形状態であり、圧下力100N/mmで(絶対値で)5%程度の板厚ひずみであり、(d) の圧下力220〜240N/mmで20%以上の板厚ひずみであった。
【0014】
また、平板表面の走査型電子顕微鏡写真から、(a) では窪み深さ約6μmで単独の圧子による押し込みに近いが、突起の運動の影響で窪みから突起の出側に彗星の尾のようなものがでる傾向があり、(b) では深さは12〜14μmとなり、穴はロールの回転方向に伸び、かつ各々の窪みの突起の出側に局部的な盛り上がりが形成され、その高さは9〜12μm程度であった。更に、(c) では深さ約15μmで盛り上がり約10μmとなり、盛り上がり部分が隣接する穴に覆いかぶさるように干渉して変形し、(d) では穴が消失し鱗状の表面が形成されることがわかった。
【0015】
図4は、図3の(d) の表面の触針式表面粗さ計による3次元的粗さ曲線図であり、図5は図4の結果から得た圧下力と窪み2深さおよび盛り上がり高さとの関係図である。図4及び図5から、盛り上がりは工具面の拘束のためか10μmから大きくでることはなかった。
図6は、図3の(d) の表面の拡大写真(100倍)、図7は、図6の斜め45°左から見た走査型電子顕微鏡写真(400倍)、図8は図3の(d) の表面部分の断面曲線である。図6〜図8から、平板に規則正しく魚の鱗のように折り重なった微細表面形状(鱗状表面)が形成されているのがわかる。かかる鱗状表面を有する材料は、前述したように、その表面形状の異方性から、摩擦特性の異方性、光学特性の異方性、及び金属表面に付着しにくい物質の強い付着性、等を有し、従来の単純な表面形状(波形、凹み、等)では得られない特有の用途に適用することができる。
【0016】
上述したように、本発明の方法によれば、表面に微細な突起を有するロールを圧印加工で形成し、このロールにより圧延時の中立点を入側に寄せて平板を圧延加工するので、入側に近い中立点付近で、ロールと平板の相対速度がほとんどなく、通常の圧下と同様にロールの突起に対応する凹穴を平板表面に形成することができる。次いでロールによる圧下(すなわち圧延)が完了し、ロールが平板から離れだすと、中立点より下流ではロールと平板の相対速度があり、かつ平板は圧延により伸ばされているので、ロールの突起先端部が凹穴の縁を擦りながら抜け出す。この際、ロールの突起先端部により、平板に形成された凹穴を水平に変形させ、これにより、平板に鱗状表面を形成することができる。
【0017】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0018】
【発明の効果】
上述したように、本発明の加工方法によれば、単一の工程で短時間に鱗状表面を有する材料を加工でき、かつ広い面積の加工にも適用でき、量産が可能である、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加工方法を示す工程図である。
【図2】図1の第3工程の詳細を示す説明図である。
【図3】アルミ板材の微細表面加工における圧下力とひずみの関係図である。
【図4】図3の(d) の表面の触針式表面粗さ計による3次元的粗さ曲線である。
【図5】圧下力と窪み深さおよび盛り上がり高さとの関係図である。
【図6】図3の(d) の表面の顕微鏡写真(100倍)である。
【図7】図6の斜め左から見た走査型電子顕微鏡写真(400倍)である。
【図8】図3の(d) の表面部分の断面図である。
【符号の説明】
1 平面工具
2 窪み
3 ロール
4 突起
5 平板
6 凹穴
7 イオンビーム
8 マスク
9 引抜き板
10 スライドニードル軸受
Claims (4)
- 平面工具の表面に複数の微細な窪みを互いに間隔を隔てて形成し、該平面工具によりロールを圧印加工してロール表面に前記窪みと嵌合する微細な突起を転写し、次いで前記ロールにより圧延時の中立点を入側に寄せて平板を圧延加工する、ことを特徴とする鱗状表面を有する材料の加工方法。
- イオンビームエッチングにより前記平面工具の窪みを形成し、該窪みは円筒形丸穴であり、隣接する丸穴間の肉厚は丸穴の半径より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の鱗状表面を有する材料の加工方法。
- 前記丸穴の直径は約100μmであり、その間隔は約130μmである、ことを特徴とする請求項2に記載の鱗状表面を有する材料の加工方法。
- 前記圧延加工による平板の圧延率は、厚さの対数ひずみで20%以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の鱗状表面を有する材料の加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09709894A JP3544388B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | 鱗状表面を有する材料の加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09709894A JP3544388B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | 鱗状表面を有する材料の加工方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07299501A JPH07299501A (ja) | 1995-11-14 |
JP3544388B2 true JP3544388B2 (ja) | 2004-07-21 |
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ID=14183156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP09709894A Expired - Fee Related JP3544388B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | 鱗状表面を有する材料の加工方法 |
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JP (1) | JP3544388B2 (ja) |
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1994
- 1994-05-11 JP JP09709894A patent/JP3544388B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH07299501A (ja) | 1995-11-14 |
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