JP3543904B2 - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機を備えた車両の制動制御装置に係り、変速時のシフトショックを低減可能な制動制御装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
自動車等の車両用の自動変速機では、一般にプラネタリギヤによる変速機構が用いられており、油圧式の湿式多板クラッチ等の油圧摩擦係合要素によりサンギヤやプラネタリキャリヤ等の連結あるいは固定を行って所望の変速段を得るようにしている。
【0003】
このような自動変速機は、変速制御がアクセル開度と車速とをパラメータとするシフトマップに基づいて行われる。即ち、運転状態がシフトマップ上のダウンシフトタイミングやアップシフトタイミングとなった時点で変速指令が出力され、この変速指令に応じて解放側の油圧摩擦係合要素から排出される作動油圧、及び結合側の油圧摩擦係合要素に供給される作動油圧を制御してギヤの掴み換えを行っている。
【0004】
ところで、このように解放側の油圧摩擦係合要素と結合側の油圧摩擦係合要素との掴み換えを行う際、変速前後でギヤ比が異なるために、変速中において所謂シフトショックが発生する。このシフトショックは車両の乗員にとっては非常に不快なものであり、極力低減することが望まれる。
そこで、ブレーキ等の制動装置を利用することにより、変速中において車両に制動力を与え、これにより出力軸側の回転速度を低下させて安価にシフトショックを低減するように図った制動制御装置が特開平8−85373号公報等に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された制動制御は、主として加速走行中のアップシフト時、つまりアクセルペダルを踏込みながらのパワーオンアップシフト時に適用されるものである。
従って、上記公報に開示された装置では、例えばアクセルペダルを戻して減速しているような場合にダウンシフトが実施されたようなとき、即ちパワーオフダウンシフトが実施されたような場合には有効なものとはなっていない。
【0006】
つまり、例えば、走行中に運転者がアクセルペダルから足を離して車両を減速しているようなときにダウンシフトが実施されたような場合には、低速段側のギヤ比の方が大きいために急制動に似た減速ショックが発生するのであるが、このようなショックを回避することができない。このような減速ショックが特に高速走行中に発生することは極めて不快なことであり、また車両の走行安定性を悪化させることにもなり好ましいことではない。
【0007】
本発明は、上述した事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、パワーオフ状態でのダウンシフト時においてシフトショックを防止可能な車両の制動制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1の発明は、車両に搭載された自動変速機と、車両に制動力を与える制動装置とを有した車両の制動制御装置において、前記自動変速機のシフトダウンを予見するシフトダウン予見手段と、前記シフトダウン予見手段からの情報に基づき、前記予見時から前記シフトダウン完了後所定時間が経過するまでの間、前記制動装置に自動的に制動力を付加する制動力付加制御手段と、前記シフトダウンの実施中には前記制動力付加制御手段による制動力の付加量を減少させる付加量制限手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
従って、自動変速機のシフトダウンが予見されると、制動力付加制御手段によって制動力の付加が行われるが、実際にシフトダウンが実施されているときには付加量制限手段によって制動力の付加量が減少させられる。
これにより、シフトダウン開始前に車両が減速されるとともに、シフトダウン実施時には、変速前後でのギヤ比の差に基づく回転速度差によって発生するエンジンブレーキの増長が防止され、変速前と変速時の車両の減速度差が小さく抑えられる。故に、シフトダウン実施時にエンジンブレーキによって引き起こされるシフトショックが大きく低減され、シフトダウン時において乗員が違和感を感じることが好適に防止される。
【0010】
また、請求項2の発明では、前記付加量制限手段は、前記制動力付加手段による制動力の付加を解除することを特徴としている。
従って、シフトダウン実施時には、変速前後でのギヤ比の差に基づく回転速度差によって発生するエンジンブレーキの増長が完全に防止され、変速前と変速時の車両の減速度差が極めて小さく抑えられる。故に、シフトダウン時において乗員が違和感を感じることがより一層好適に防止される。
【0011】
また、請求項3の発明では、前記制動力付加制御手段は、前記予見時から制動力を漸増させるとともに、前記シフトダウン完了後漸減させることを特徴としている。
従って、自動変速機のシフトダウンが予見されると、制動力付加制御手段によって制動力が漸増され、シフトダウン前に車両が急に減速することなく徐々に減速し、乗員が減速ショックのような違和感を感じることが防止される。また、シフトダウン完了後には制動力が漸減され、シフトダウン後においても乗員が違和感を感じることが防止される。
【0012】
また、請求項4の発明では、前記車両は、加速操作を行うアクセルペダルと、該アクセルペダルの操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段とをさらに有し、前記制動力付加制御手段は、前記アクセル操作状態検出手段により前記アクセルペダルが戻し状態であることが検出されているとき制動力を付加することを特徴としている。
【0013】
従って、アクセルペダルが戻し状態、つまりパワーオフ状態で車両が減速走行しているようなときに自動変速機のシフトダウンが予見されると制動力付加制御が実施されることになり、車両の減速走行時におけるシフトショックが低減され、乗員が減速走行時に不快感を感じることが好適に防止される。
また、車両が比較的高速で走行しているような場合にあっては、シフトショックが低減されることにより車両の走行安定性が損なわれることもない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態としての一実施例を説明する。
図1を参照すると、本発明に係る制動制御装置を含む車両(乗用車等)のパワープラントの概略構成が示されている。同図に示すように、エンジン1の後端には自動変速機(A/T)2が接続されており、自動変速機2は出力軸3を介して駆動輪(図示せず)に接続されている。
【0015】
自動変速機2は、主として流体継手であるトルクコンバータ4、変速機本体5、油圧コントローラ6から構成されている。
変速機本体5には、複数組のプラネタリギヤの他、油圧クラッチや油圧ブレーキ等の複数の油圧摩擦係合要素が内蔵されており、これら複数の油圧摩擦係合要素の係合の組合せに応じて変速段が決定される。
【0016】
油圧コントローラ6には、一体に形成された油圧回路の他、上記複数の油圧摩擦係合要素にそれぞれ対応し、当該複数の油圧摩擦係合要素に対して油圧ユニット(図示せず)からの油圧の供給と解放とを行う複数のソレノイド弁が収納されている。これら油圧コントローラ6の複数のソレノイド弁は、電子コントロールユニット(ECU)10に電気的に接続されており、当該ECU10からの駆動信号に応じて切換制御される。
【0017】
なお、これらトルクコンバータ4、変速機本体5、油圧コントローラ6の構成は公知であり、ここでは詳細な説明を省略する。
ECU10は、図示しない入出力装置、多数の制御プログラムを内蔵した記憶装置(不揮発性RAM,ROM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えており、その入力側には、車速Vを検出する車速センサ12、エンジン1の出力を調節し車両の加速操作を行うアクセルペダル20の操作量、即ちアクセル開度θAを検出するアクセル開度センサ(アクセル操作状態検出手段)22、車両の操舵を行うハンドル(図示せず)の操作量、即ちハンドル角θHを検出するハンドル角センサ30、自動変速機2の現在の変速段を検出する変速段センサ40等が接続されている。
【0018】
車速センサ12は、例えば上記出力軸3の回転速度を検出するものであり、ECU10内において当該出力軸3の回転速度が車両Vに換算される。
また、図1に示すように、車両には、自動変速機2の変速モードを自動変速モード、即ち走行レンジ(Dレンジ)と、手動変速モード、即ち1速段や2速段のマニュアルレンジ(Mレンジ)、パーキングレンジ(Pレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)及び後退レンジ(Rレンジ)に切換可能なセレクトレバー7が設けられており、ECU10の入力側には、セレクトレバー7のセレクト位置を検出するインヒビタスイッチ8も接続されている。
【0019】
また、ECU10の入力側には、上記の他、道路状況を検出する道路状況検出手段50も接続されている。
この道路状況検出手段50は、主として道路の勾配相関値XRを検出するものである。詳しくは、当該道路状況検出手段50では、例えばエンジン駆動力、空力抵抗、転がり抵抗及び加速抵抗に基づき勾配相関値XRが次式(1)から算出され、この算出値がECU10に供給される。
【0020】
勾配相関値XR=エンジン駆動力−空力抵抗−転がり抵抗−加速抵抗 …(1)
以下、右辺各項について簡単に説明する。
エンジン駆動力は次式(2)により算出される。
エンジン駆動力=TE・iCON・μ・iT・iF/r …(2)
ここに、TEはエンジントルク、iCONはトルクコンバータ4のトルク比、μは自動変速機2の伝達効率、iTは自動変速機2の現在のギヤ比、iFはデファレンシャルギヤ(図示せず)のギヤ比(ファイナルギヤ比)、rは車輪(タイヤ)の動半径である。
【0021】
また、空力抵抗は次式(3)により算出される。
空力抵抗=ρa・S・Cd・V/2 …(3)
ここに、ρaは空気密度、Sは車両前面投影面積、Cdは空気抵抗係数、Vは車速である。
また、転がり抵抗は次式(4)により算出される。
【0022】
転がり抵抗=R0+(CF/CP) …(4)
ここに、R0は自由転動時の転がり抵抗、CFはコーナリングフォース、CPはコーナリングパワーである。自由転動時の転がり抵抗R0は次式(5)から算出される。
R0=μr・W …(5)
同式中、μrは転がり抵抗係数であり、Wは車両重量である。
【0023】
また、加速抵抗は次式(6)により算出される。
加速抵抗=(W+ΔW)・Gx …(6)
ここに、Wは上記車両重量、ΔWは回転部分相当重量、Gxは車両前後方向加速度(前後G)である。
この勾配相関値XRは、値が大きいほど道路勾配の大きな登坂路であることを示している。
【0024】
一方、ECU10の出力側には、上記油圧コントローラ6の複数のソレノイド弁、車輪に設けられたブレーキ装置(例えば、ディスクブレーキ)62に制動力を付加するブレーキコントロールユニット60が接続されている。
ブレーキコントロールユニット60は、主として油圧マスタシリンダ(図示せず)、当該油圧マスタシリンダを作動させる電動アクチュエータ(図示せず)及び油圧マスタシリンダに高圧油路で接続され、油圧によりブレーキ装置62を制動作動させるブレーキアクチュエータ(図示せず)等から構成されており、実際には、ECU10は上記電動アクチュエータに接続されている。従って、ECU10から駆動信号が電動アクチュエータに供給されると、油圧マスタシリンダが自動で作動して高圧の油圧が発生し、この高圧の油圧によりブレーキアクチュエータが作動しブレーキ装置62が制動力を発生する。なお、油圧マスタシリンダには、通常の車両と同様に電動アクチュエータのみならずブレーキペダル64も連結されており、これにより当然ながら運転者の操作によってもブレーキ装置62を制動作動可能とされている。
【0025】
以下、上記のように構成された制動制御装置の作用を説明する。
先ず、自動変速機2が自動変速モード、即ちセレクト位置がDレンジにある場合の変速制御について簡単に説明する。
上記ECU10の記憶装置には、自動変速時に変速段を選択設定するための目標変速段設定用のシフトマップ(図示せず)が記憶されている。この目標変速段設定用のシフトマップ上には、車速Vとアクセル開度θAとに基づいた適正な変速段、即ち目標変速段が予め設定されている。
【0026】
従って、車両走行中、セレクト位置がDレンジであるときには、先ず、車速センサ12により検出される車速Vとアクセル開度センサ22により検出されるアクセル開度θAに応じ、上記目標変速段設定用のシフトマップから目標変速段が読み出される。
そして、このように読み出し設定された目標変速段信号(シフト信号)が油圧コントローラ6内の対応するソレノイド弁に供給され、これにより変速機本体5の油圧クラッチや油圧ブレーキ等のうち該当する油圧摩擦係合要素の掴み換えが実施され、変速が達成される。
【0027】
詳しくは、油圧摩擦係合要素の掴み換えでは、目標変速段信号が供給されると、先ず解放する側の油圧摩擦係合要素の係合が解除されて変速機本体5が一旦略ニュートラル状態とされる。そして、その後、結合側の油圧摩擦係合要素の係合が実施されることになり、これにより変速が完了する。なお、略ニュートラル状態となったときにエンジン1が急に吹き上がったりすることのないよう、油圧摩擦係合要素の掴み換えのタイミングは常時学習制御されている。
【0028】
さらに、ここでは、自動変速機2の変速は、上記目標変速段に基づいてのみならず、運転者の意思に即したファジイ推論に基づく制御によっても実施可能とされている。ここでは、主として上記道路状況検出手段50、ハンドル角センサ30からの情報を前件部としたファジイ推論が行われ、ファジイ推論が成立する場合には、その後件部に応じた変速制御が実施される。具体的には、例えば道路状況検出手段50から出力される上記勾配相関値XRが大きく道路勾配が大で車両が登坂路を走行或いは走行しようとしていると判定できる場合には、変速段は上記目標変速段に拘わらず低速段側に変速制御され、また、ハンドル角センサ30から出力されるハンドル角θHが大きく車両が屈曲路を走行或いは走行しようとしていると判定できる場合にも、変速段はやはり上記目標変速段に拘わらず低速段側に変速制御される。
【0029】
ところで、上記のように変速が実施されると、変速の前後でギヤ比iTが変化するため、低速段側から高速段側への変速(アップシフト)時には、エンジン1側のエンジン回転速度Neに対して出力軸3の回転速度が速くなり、一方、高速段側から低速段側への変速(ダウンシフト)時には、エンジン1側のエンジン回転速度Neに対して出力軸3の回転速度が遅くなる。つまり、アップシフト時には、エンジン1の出力が一定であれば車両は急加速されることになり、ダウンシフト時には、エンジン1の出力が一定であれば車両は急減速されることになる。
【0030】
この場合、アップシフト時に関しては、通常は運転者がアクセルペダル20を踏込んで加速走行(パワーオンアップシフト)している場合が多いことから、変速時において運転者がアクセル開度θAを調節すれば容易にエンジン回転速度Neと出力軸3の回転速度とを略一致させることができ、乗員が急加速による違和感をそれほど感じることなく滑らかな走行を継続することができる。
【0031】
しかしながら、一方、登坂路走行の場合のようなアクセルペダル20を踏込みながらダウンシフトを行うキックダウン(パワーオンダウンシフト)以外の通常のダウンシフト時にあっては、運転者がアクセルペダル20を戻して踏込まずに減速走行(パワーオフダウンシフト)している場合が多い。この場合、車両にはエンジン回転速度Neと出力軸3の回転速度の回転速度差分のエンジンブレーキが大きく作用し、所謂シフトショックが発生する。このようなエンジンブレーキの作用によるシフトショックは、変速段が比較的高速段(例えば3速段以上)であって変速前と変速後での回転速度差が大きくなるほど大となる傾向にあり、つまり出力軸3の回転速度が大きくなるほど、即ち車速Vが大きい場合ほどその作用は大きなものとなる。
【0032】
そこで、ここでは、このようなパワーオフダウンシフト時におけるシフトショックを低減することを目的として、以下に示すような制動力付加制御を実施するようにしている。
図2を参照すると、ECU10が実行する制動力付加制御ルーチンのフローチャートが示されており、以下同図を参照して、本発明に係るパワーオフダウンシフト時の制動力付加制御について説明する。なお、ここでは、比較的高速段である4速段から3速段へのシフトダウンを例に説明する。
【0033】
先ずステップS10では、アクセルペダル20が戻され、アクセル開度センサ22からの出力がなくパワーオフ状態(アクセルペダル戻し状態)で4速段から3速段へのシフトダウンが予見されたか否かを判別する(シフトダウン予見手段)。ここでは、ECU10内において上記ファジイ推論が成立し、シフトダウンが実施される見通しがたったときにパワーオフでのシフトダウンが予見されたとみなすようにしている。従って、このステップS10では、ファジイ推論が成立したか否かを判別する。
【0034】
ステップS10の判別結果が真(Yes)でシフトダウンが予見された場合には、次にステップS12において、制動力漸増制御を実施する(制動力付加制御手段)。即ち、このステップS12では、上記ブレーキコントロールユニット60に向けて、徐々にブレーキ作動信号を供給し、制動力を付加する。つまり、車両に徐々に減速度aを付加する。このとき、乗員に違和感を与えることなく滑らかに制動が進行するよう、減速度aの増加率da/dtが一定になるよう漸増制御するのが望ましい。なお、この制動力漸増制御に関しては、実際には別途設けられた制御ルーチンが実施される。
【0035】
図3を参照すると、4速段から3速段へのシフトダウン時の変速段、制動力付加量及び減速度aの時間変化がそれぞれ(a)、(b)、(c)に示されているが、このように、シフトダウンが予見されると、制動力漸増制御が実施されて(a)に示すように制動力が付加され、(b)に実線で示すように変化率da/dt一定にして減速度aが徐々に上昇することになる。
【0036】
そして、次のステップS14では、制動力漸増制御継続信号を出力し、制動力漸増制御を継続実施する。
次のステップS16では、ECU10から4速段から3速段へのシフトダウン指令が出力されて実際にシフトダウンが開始されたか否かを判別する。
図3に示すように、シフトダウンが予見されると、通常は所定時間ta経過後にECU10からシフトダウン指令がブレーキコントロールユニット60に向けて供給される。そして、さらに、作動遅れ時間td(例えば、0.6sec)経過後に実際にシフトダウンが開始される。従って、ここでは、例えば上記所定時間taと作動遅れ時間tdとが経過した(t>ta+td)か否かを判別する。
【0037】
ステップS16の判別結果が偽(No)で、所定時間taと作動遅れ時間tdとが未だ経過しておらず、実際にシフトダウンが開始されていないと判定される場合には、制動力漸増制御を継続実施する。
一方、ステップS16の判別結果が真(Yes)で、所定時間taと作動遅れ時間tdとが経過し、実際にシフトダウンが開始されたと判定された場合には、次にステップS18に進む。
【0038】
なお、ここでは、例えば上記所定時間taと作動遅れ時間tdとが経過した(t>ta+td)か否かの判別によりシフトダウンが開始されたか否かを判別するようにしたが、これに限らず、上記変速段センサ40からの情報に基づいて判別するようにしてもよい。つまり、4速段に対応する信号がオフ状態となった時点でシフトダウンが開始されたと判定するようにしてもよい。
【0039】
ステップS18では、制動力減少制御を行う(付加量制限手段)。即ち、このステップS18では、図3(c)に示すように、シフトダウンの開始と同時に制動力付加を中断する(制動力の付加を解除)。このように、シフトダウンが実際に行われているときに制動力付加を中断すると、その中断期間に亘って制動による減速度aが略ゼロとされる。
【0040】
通常、シフトダウンが実施されると、図3(b)に示すように、油圧摩擦係合要素の掴み換えが実施され、上述したようにエンジンブレーキが急に作用して減速度aが一時的に急増し減速度a2となる。故に、このシフトダウン中(例えば、時間tsの間)において、制動力付加を継続実施するとエンジンブレーキによる減速度a2に併せて制動力が付加されてしまう。しかしながら、上記のようにこの変速期間(時間tsの間)に亘り制動力付加を中断することにより、当該エンジンブレーキによる減速度a2を増長させないようにすることが可能となる。この制動力減少制御についても、実際には別途設けられた制御ルーチンが実施される。
【0041】
なお、ここでは、シフトダウン中は制動力付加を中断し一切制動力を付加しないようにしたが、実際には、制動力漸増制御時の制動力付加状況等に応じて制動力を適量減少させるよう制御するのがよい。
これにより、制動力漸増制御により増加されたシフトダウン実施直前の減速度a1とシフトダウン中にエンジンブレーキによって引き起こされる上記減速度a2との差Δaが、従来のように制動力付加を行わなかった場合の減速度a0(図3中破線で示す)と減速度a2との差Δa’(例えば、0.1G程度)よりも遥かに小さく抑えられる。例えば、図3(b)に示す実験結果によれば、減速度差Δaは従来の減速度差Δa’に対して約50%小さくされ、その値は例えば0.05Gとされている。故に、シフトダウン中に発生するシフトショックが軽減され、乗員が違和感を感じることが好適に防止される。
【0042】
なお、さらに実験を繰り返した結果、本発明の制動装置では、シフトダウン中にエンジンブレーキによって引き起こされる減速度aのピーク値が当該減速度a2よりも小さくなることが明らかになってきており(例えば、0.02G程度減少)、故に本発明の実施効果は非常に大きいといえる。
そして、ステップS20において、上記変速時間ts(例えば、0.3sec)が経過したか否か、即ちシフトダウンが完了したか否かを判別し、判別結果が偽(No)で未だシフトダウンが完了していない場合には、制動力減少制御を継続する。一方、判別結果が真(Yes)でシフトダウンが完了したと判定された場合には、次にステップS22に進む。
【0043】
ステップS22では、一旦中断していた制動力付加を再開するとともに、制動力付加を所定時間tcに亘り徐々に通常の3速段での減速度aまで減少させる。つまり制動力漸減制御を実施する(制動力付加制御手段)。ここに、所定時間tcは任意に設定されればよい。これにより、シフトダウン中にエンジンブレーキによって引き起こされた減速度a2が急激に低下してしまうようなことがなくなり、やはり乗員が違和感を感じることが好適に防止される。
【0044】
なお、ここでは、図3に示すように、再開する時点での制動力付加量を中断直前の制動力付加量と略同一としたが、必ずしも同一にしなくてもよい。また、この制動力漸減制御においても、乗員に違和感を与えることなく滑らかに制動力が解除されるよう、上記制動力漸増制御の場合と同様、減速度aの減少率da/dtが一定になるように制御するのが望ましい。なお、この制動力漸減制御についても、実際には別途設けられた制御ルーチンが実施される。
【0045】
ところで、上記ステップS10の判別結果が偽(No)で、パワーオフでのシフトダウンが予見されていない場合には、次にステップS30に進む。
ステップS30では、シフトダウンの予見なくシフトダウン指令が出力されたか否かを判別する。判別結果が偽(No)で、シフトダウンの予見もシフトダウン指令の出力もない場合には何もせずに当該ルーチンを抜ける。
【0046】
一方、ステップS30の判別結果が真(Yes)で、シフトダウンの予見なくシフトダウン指令が出力された場合には、次にステップS32に進み、上記ステップS12の場合と同様に制動力漸増制御を実施する。
つまり、上記ファジイ推論が成立せずにシフトダウンが実施される場合であっても、シフトダウンが予見された場合と同様に制動力漸増制御を実施するのである。
【0047】
しかしながら、このようにシフトダウン指令が出力されてから制動力漸増制御が実施されるようにすると、制動力付加の開始タイミングが遅れることになり、シフトダウン実施までに制動力を充分に付加できないことになる。そこで、次のステップS34において、一旦出力されたシフトダウン指令をECU10の内部で保留する。これにより、制動力漸増制御の開始からシフトダウンの実施までに充分な時間を得ることができ、減速度aを図3中に実線で示す程度に充分増加させることが可能となる。例えば、シフトダウン指令の保留期間は、上記所定時間taとするのがよく、このようにすれば、シフトダウンの予見により制動力漸増制御を開始した場合と全く同様に制動力が付加され、上記同様の効果が得られる。
【0048】
そして、次のステップS36において時間taが経過したか否かを判別し、判別結果が偽(No)の場合には、制動力漸増制御を継続し、一方判別結果が真(Yes)の場合には次のステップS38において、上記ステップS34において実施したシフトダウン指令の保留を解除し、ブレーキコントロールユニット60に向けてシフトダウン指令を供給する。
【0049】
ステップS38においてシフトダウン指令を供給したら上述のステップS14に進み、やはり制動力漸増制御を継続する。
ところで、この場合には、実際のシフトダウンの実施タイミングが、シフトダウンの予見に基づき制動力漸増制御を開始した場合に比べて所定時間taだけ遅れることになるが、この時間taは極めて短い時間(ta<1sec)であり、充分実用の範囲内といえる。
【0050】
以上、説明したように、本発明の制動制御装置によれば、パワーオフダウンシフト時において、シフトダウンが予見されてから或いはシフトダウン指令が出力されてから実際にシフトダウンが実施されるまでの間(所定時間ta+作動遅れ時間td)徐々に制動力を付加(漸増)し、実際にシフトダウンが行われている間(時間ts)制動力付加を減少(上記実施例では制動力付加を中断)し、さらにシフトダウンが完了した後制動力付加を再開してこれを徐々に減少(漸減)するようにしている。
【0051】
従って、図3(b)に示すように、シフトダウンの実施時に油圧摩擦係合要素の掴み換えに伴って減速度aが減速度a2まで急増し、車両にエンジンブレーキが作用するのであるが、シフトダウンの実施前に減速度aが徐々に増加されて減速度a1とされることになり、エンジンブレーキが作用したときの減速度a2と減速度a1との差Δaが制御無しの場合よりも小さくされ(約50%減少)、シフトショックが小さく抑えられる。故に、乗員が違和感を感じることが好適に防止される。
【0052】
特に、本実施例のように、車両が比較的高速で走行している場合にシフトダウンに伴うシフトショックを軽減するようにすれば、車両の走行安定性を損なうことなく良好なドライバビリティを継続維持することができる。例えば、先行車両との車間距離を一定に保持する車間距離制御システムを備えた車両では、高速走行中に自動的に制動が働き、パワーオフ状態で減速してシフトダウンされる場合が多いのであるが、このような車両に本発明の制動制御装置を併せて適用するようにすれば、車両の走行性能をより一層向上させることができる。
【0053】
なお、上記実施例では、自動変速機2がファジイ推論に応じて変速制御可能な構成とし、ファジイ推論の成立に基づいてパワーオフでのシフトダウンの予見を行うようにしたが、シフトダウンの予見はこれに限られるものではなく、予見できれば他の方法によってもよい。また、シフトダウンの予見手段が一切無い場合であっても、図2中ステップS30以降のステップを実行することによって本発明を好適に実施することができる。
【0054】
また、上記実施例では、4速段から3速段へのパワーオフダウンシフトについて説明したが、これに限られるものではなく、変速段に拘わらずパワーオフダウンシフトが実施される場合には常に上記制動制御を行うのがよい。
【0055】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の請求項1の車両の制動制御装置によれば、シフトダウン開始前に車両が減速されるとともに、シフトダウン実施時には、変速前後でのギヤ比の差に基づく回転速度差によって発生するエンジンブレーキの増長が防止され、変速前と変速時の車両の減速度差を小さく抑えることができる。
【0056】
従って、シフトダウン実施時にエンジンブレーキによって引き起こされるシフトショックを大きく低減することができ、シフトダウン時に乗員が感じる違和感を抑制することができる。
また、請求項2の車両の制動制御装置によれば、シフトダウン実施時には、変速前後でのギヤ比の差に基づく回転速度差によって発生するエンジンブレーキの増長を完全に防止でき、変速前と変速時の車両の減速度差を極めて小さく抑えられる。従って、シフトダウン時に乗員が感じる違和感をより一層好適に抑制することができる。
【0057】
また、請求項3の車両の制動制御装置によれば、自動変速機のシフトダウンが予見されると、制動力付加制御手段によって制動力が漸増され、シフトダウン前に車両が急に減速することなく徐々に減速し、乗員が減速ショックのような違和感を感じないようにできる。また、シフトダウン完了後には制動力が漸減され、シフトダウン後においてもやはり乗員が違和感を感じないようにできる。
【0058】
また、請求項4の車両の制動制御装置によれば、パワーオフ状態で車両が減速走行しているようなときに自動変速機のシフトダウンが予見されると制動力付加制御が実施されることになり、故に車両の減速走行時におけるシフトショックを低減でき、乗員が減速走行時において感じる不快感を好適に防止できる。
また、車両が比較的高速で走行しているような場合にあっては、シフトショックの低減による車両の走行安定性の悪化を好適に防止でき、ドライバビリティを良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制動制御装置の概略構成図である。
【図2】パワーオフダウンシフト時の制動力付加制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図2の制御ルーチンの実行結果に基づくパワーオフダウンシフト時の変速段、減速度a及び制動力付加量の時間変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 出力軸
4 トルクコンバータ
5 変速機本体
6 油圧コントローラ
7 セレクトレバー
8 インヒビタスイッチ
10 電子制御ユニット(ECU)
12 車速センサ
20 アクセルペダル
22 アクセル開度センサ(アクセル操作状態検出手段)
60 ブレーキコントロールユニット
62 ブレーキ装置
64 ブレーキペダル

Claims (4)

  1. 車両に搭載された自動変速機と、車両に制動力を与える制動装置とを有した車両の制動制御装置において、
    前記自動変速機のシフトダウンを予見するシフトダウン予見手段と、
    前記シフトダウン予見手段からの情報に基づき、前記予見時から前記シフトダウン完了後所定時間が経過するまでの間、前記制動装置に自動的に制動力を付加する制動力付加制御手段と、
    前記シフトダウンの実施中には前記制動力付加制御手段による制動力の付加量を減少させる付加量制限手段と、
    を備えたことを特徴とする車両の制動制御装置。
  2. 前記付加量制限手段は、前記制動力付加手段による制動力の付加を解除することを特徴とする、請求項1記載の車両の制動制御装置。
  3. 前記制動力付加制御手段は、前記予見時から制動力を漸増させるとともに、前記シフトダウン完了後漸減させることを特徴とする、請求項1または2記載の車両の制動制御装置。
  4. 前記車両は、加速操作を行うアクセルペダルと、該アクセルペダルの操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段とをさらに有し、
    前記制動力付加制御手段は、前記アクセル操作状態検出手段により前記アクセルペダルが戻し状態であることが検出されているとき制動力を付加することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の車両の制動制御装置。
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