JP3595037B2 - 補助ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載されたリターダ等の補助ブレーキ装置を制御して、出力させる制動力のレベルと出力タイミングを調整する補助ブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転者によるブレーキペダルの踏み込み量に応じた圧力で車輪の回転を摩擦拘束するサービスブレーキ、及びエンジンの圧縮抵抗を利用して車輪側からエンジンに伝達される駆動力を相殺するエンジンブレーキに追加して、リターダや排気ブレーキを補助ブレーキとして自動車に搭載する場合がある。
リターダや排気ブレーキは、従来、排気タービンによる過給機を搭載したためにエンジンブレーキによる制動力を余り期待できない場合や、搭載物を含めた車両総重量が大きくて高速道路の使用頻度も高いバスやトラック等の大型車両に主に搭載されており、不足するエンジンブレーキ効果を補って、サービスブレーキの使用頻度と負担を軽減する。
【0003】
リターダとしては、永久磁石や電磁石を用いて電磁気的な制動力を発生させる渦電流式と、オイルポンプを用いてオイルを循環させ、オイルの流路抵抗から制動力を発生させる流体型とが既に実用化されている。リターダは、通常の排気ブレーキのようにエンジンの運転状態を変化させてエンストを招く心配が少なく、制動力のレベルや時間的変化を細かく設定して制動力を再現性高く出力させることが可能である。
一方、排気ブレーキは、通常、ON/OFF2ポジションの動作で使用されているが、リターダ並みに制動力のレベルを精密に設定させた例が特開平2−258462号公報に示される。
そして、排気ブレーキとリターダを組み合わせて使用し、排気ブレーキのONに先立たせてリターダの制動力を立ち上げておき、排気ブレーキのONと同時にリターダの制動力を解除して、排気ブレーキのON/OFFに伴う大きな制動力の変動をリターダの制動力できめ細かく補間した例も知られている。
【0004】
リターダの一般的な制御では、運転者が車室内の補助ブレーキスイッチをONした状態で、運転者によるアクセルペダルの踏み込みの解放を検知して所定レベルの制動力を出力させる。これにより、車体に疑似的なエンジンブレーキ効果が発生する。アクセルペダルの踏み込みの解放は、通常、スロットルバルブに設けたアイドルスイッチのONや、スロットル開度が所定のしきい値未満であることによって識別される。
また、自動変速機搭載車では、運転者がセレクトレバーを操作して行うマニュアルセレクトダウンによって1速レンジ、2速レンジが設定された場合に、エンジンブレーキが要求されたと判断して、所定レベルの制動力を出力させている場合もある。
また、ブレーキペダルの踏み込みが浅い状態で、サービスブレーキによる摩擦制動の代わりにリターダから制動力を出力させ、踏み込みが深い位置でサービスブレーキの摩擦制動を開始させることにより、リターダにサービスブレーキに先行させた制動力を発揮させている場合もある。
【0005】
特開昭52−8212号公報には、リターダから出力させる制動力のレベルを運転条件に応じて加減した制御が示される。ここでは、高車速でアクセルペダルの踏み込みが解放された場合には、低車速でアクセルペダルの踏み込みが解放された場合に比較して大きな制動力をリターダから出力させる。これは、高車速では低車速に比較して車体の慣性力が大きいため、減速に要するエネルギーが大きいからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
リターダは、制動力のレベルをきめ細かく設定可能で、高い応答速度で再現性高く制動力を出力させることが可能であるから、車速等の運転条件に応じて決定された所定レベルの制動力を瞬時に立ち上げないで、制動開始から次第に制動力を高めて所定レベルの制動力に到達させることが可能である。これにより、車体に急激な立上がりの制動力が作用し、車体が急減速して運転者に不快感を与える事態が回避される。
【0007】
しかし、運転条件によっては、同じような制動力の立上がりでも運転者が制動力の立上がりが急過ぎると感じる場合もある。例えば、100km/時で走行している際には、40km/時で走行している際に比較して、制動力の立上がり速度が同じでも車体の減速感が大きく感じられるから、100km/時で自然な減速感が得られる制動力の立ち上がり速度では、40km/時の走行中には運転者が制動力の不足を意識する。逆に、40km/時で自然な減速感が得られる制動力の立ち上がり速度では、100km/時の走行中には運転者が制動力の過剰を意識してしまう。
【0008】
また、先行車両が制動を開始して車間距離が急に短くなったり、前方の信号が青から黄色に変わった場合には、運転者が大きな減速を求めて、アクセルペダルの踏み込みを急に解除したり、ブレーキペダルの踏み込みを開始したりする。このような緊急を要する場合に、100km/時で自然な減速感が得られる緩やかな制動力の立ち上がり速度では用をなさない。
【0009】
本発明は、車速が異なっても同様に自然で効果的な減速感が得られる補助ブレーキ制御装置、また、運転者が緊急な制動力を必要とする場合には急速に制動力のレベルを高め得る補助ブレーキ制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、補助ブレーキ装置から出力させる制動力のレベルを運転条件に応じて決定する出力レベル決定手段と、前記補助ブレーキ装置から所定レベルの制動力を出力させる際に、出力開始から次第に制動力を高めて所定レベルにまで到達させる立上がり制御手段とを有する補助ブレーキ制御装置において、前記次第に制動力を高める過程での制動力の立上がり速度を運転条件に応じて調整可能な傾き決定手段と、少なくとも前記補助ブレーキ装置の出力開始時の車速を検知する車速検知手段とを備え、前記傾き決定手段は、高車速時には低車速時よりも前記立上がり速度を小さく設定するものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載された構成において、前記出力レベル決定手段が、高車速時には低車速時よりも最終的な制動力のレベルを高く設定するものである。
【0012】
請求項3の発明は、補助ブレーキ装置から出力させる制動力のレベルを運転条件に応じて決定する出力レベル決定手段と、前記補助ブレーキ装置から所定レベルの制動力を出力させる際に、出力開始から次第に制動力を高めて所定レベルにまで到達させる立上がり制御手段とを有する補助ブレーキ制御装置において、前記次第に制動力を高める過程での制動力の立上がり速度を運転条件に応じて調整可能な傾き決定手段と、運転者によるアクセルペダル急放し、ブレーキペダルの踏み込み、及びエンジンブレーキレンジへのセレクト操作のうち少なくとも1つを検知して減速意図を識別する識別手段と、前記ブレーキペダルの踏み込み及びエンジンブレーキレンジへのセレクト操作のうち少なくとも1つを検知して減速操作の有無を判断する手段とを備え、前記傾き決定手段は、同一車速条件で比較して、前記減速意図が識別された際には、識別されない場合に比較して前記立上がり速度を大きく設定するとともに、同一車速条件で比較して、減速操作が有りと判断されたときの方がアクセルペダル急放しが検知されたときより前記制動力の立上がり速度を大きく設定するものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3に記載された構成において、前記出力レベル決定手段が、前記減速意図が識別された際には、識別されない場合に比較して最終的な制動力のレベルを高く設定するものである。
【0014】
【作用】
請求項1の補助ブレーキ制御装置では、補助ブレーキ装置から出力させる所定レベルの制動力を高車速時には低車速時よりもゆっくりと立上げて、車体の速度変化をより慣性的で緩やかななものとし、制動開始の直後に運転者が過剰な減速感を抱かないようにする。
【0015】
請求項2の補助ブレーキ制御装置では、高車速では制動力の立ち上がりを緩やかにして初期の減速を抑制するが、高車速では低車速の場合よりも車体の慣性力が大きいため、最終的に到達する制動力のレベル自体は、低車速時よりも高く設定して有効な制動効果を確保している。
【0016】
請求項3の補助ブレーキ制御装置では、アクセルペダルの踏み込みの急放しやブレーキペダルの踏み込みやエンジンブレーキレンジへのセレクト操作の1つにより減速意図が識別された場合には、ブレーキペダルの踏み込みまたはエンジンブレーキレンジへのセレクト操作で減速操作の有無を判断し、同一車速条件で比較して、減速意図が識別された際には通常の場合とは異なる大きな立上がり速度を設定するとともに、同一車速条件で比較して、減速操作が有ったときの方がアクセルペダル急放しが検知されたときより立上がり速度をさらに大きくして、速やかな減速を優先する。
【0017】
請求項4の補助ブレーキ制御装置では、運転者が緊急で大きな減速効果を必要としていると判断した場合には、制動力の立ち上がり速度に加えて最終的に到達する制動力のレベル自体も大きく設定して、速やかで十分な減速を達成する。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜図4を参照して実施例の補助ブレーキ装置の制御を説明する。図1は補助ブレーキシステムの構成の説明図、図2は補助ブレーキ装置に設定される定数の説明図、図3は制動開始後の制動力の変化の例の説明図、図4は補助ブレーキ装置の制御のフローチャートである。図2中、(a)は制動力の立上がりの傾きの線図、(b)は最大制動力の線図である。
【0019】
図1に示すように、自動変速機12の出力側に配置されたリターダ13は、補助制動コントロールユニット32から供給される電流レベルに応じた制動力をプロペラ軸16に出力する。エンジン11の排気経路に設けられた排気ブレーキ19は、補助制動コントロールユニット32によって作動されてON/OFFの2ポジションによる制動力を出力する。補助制動コントロールユニット32が電磁弁25をONすると、エアタンク26の高圧空気がシリンダ24に流れ込んで排気ブレーキ19の開度を低下させ、排気圧力を高めてエンジン11のエンジンブレーキ効果を増大させる。
【0020】
補助制動コントロールユニット32は、排気ブレーキのON/OFFに対応する大きな制動力の差を、リターダによる細かい刻みの制動力で連絡して、補助ブレーキシステム全体として、大きな制動力のレベルまで刻々の制動力を精密に再現性高く設定する。
以下の説明では、刻々と出力される制動力の中で排気ブレーキの制動力とリターダの制動力が占める割合は補助制動コントロールユニット32によって最適に調整されるものとし、システム全体としての最大制動力Bmaxと制動力の傾きK(立上がり速度)を取り扱うこととする。
【0021】
エンジン11の回転は、自動変速機12で変速され、プロペラ軸16からディファレンシャル機構14を介して後輪15に伝達される。
エンジン11のスロットルバルブ18に設けたスロットルセンサ23は、運転者がアクセルペダル17を踏み込んで加減するスロットル開度TVOに応じたアナログ電圧信号を出力する。スロットルセンサ23に併設されたアイドルスイッチ22は、運転者がアクセルペダル17の踏み込みを解放して、スロットル開度TVOが最低レベルにあるときにONする。
【0022】
自動変速機12に取り付けられた車速センサ20は、車速VSPに応じた周波数の交流電圧を出力する。セレクトレバー19に設けたセレクトポジションセンサ21は、運転者がセレクトレバー19を操作して設定した変速モードに対応したコード信号を出力する。
自動変速機コントロールユニット31は、刻々のスロットル開度TVOと車速VSPを検知して、セレクトレバー19を通じて設定された変速モードの範囲内で該当する変速段を求め、自動変速機12におけるシフトアップ、シフトダウンの変速時期と変速過程の油圧等を制御する。
【0023】
補助制動コントロールユニット32には、上述のセレクトポジションセンサ21、車速センサ20、スロットルセンサ23、およびアイドルスイッチ22の出力に加えて、車輪速センサ27、ブレーキスイッチ28、および補助ブレーキスイッチ29の出力も入力される。
車輪速センサ27は前後4つの車輪にそれぞれ取り付けられ、4つの車輪速度のばらつき状態から路面の摩擦係数μを判別するために使用される。図示しないブレーキペダルに取り付けたブレーキスイッチ28は、運転者によるブレーキペダルの踏み込み/解放に応じてON/OFFする。補助ブレーキスイッチ29は車室内に設けられ、運転者が自らの判断で補助ブレーキシステムを使用するか否かを設定する。
【0024】
補助制動コントロールユニット32は、図示しない記憶回路や演算回路や入出力回路や電源回路を備えたマイコン装置であって、後述する図4のフローチャートに従って自動車の運転状態を判断し、補助ブレーキシステム全体としての最大制動力Bmaxと制動力の傾きKを決定して、実際にリターダ13と排気ブレーキ19を作動させる。
補助制動コントロールユニット32は、補助ブレーキスイッチ29がONに設定された状態でアイドルスイッチがONすると、リターダ13と排気ブレーキ19の作動を開始して、最大制動力Bmaxに達するまで傾きKで制動力を次第に増加させ、その後は最大制動力Bmaxの制動力レベルを維持させる。傾きKと最大制動力Bmaxは、図2の(a)、(b)に示すように運転状態に応じて個別に定められるため、制動力の立上がり状態は図3に示されるように運転状態に応じてそれぞれ異なる。
【0025】
図2の(a)に示すように、車速VSPが高くなるにつれて傾きKは小さく設定される。また、低摩擦係数の路面(以下低μ路)での傾きK4は通常時の傾きK3よりも小さく、スロットル開度TVOの変化速度から識別されるアクセル急放しでの傾きK2は通常時の傾きK3よりも大きく、ブレーキスイッチ28のONによって識別される制動操作有での傾きK1はさらに大きい。
【0026】
図2の(b)に示すように、通常時の最大制動力B3とアクセル急放しの最大制動力B2は車速VSPが高くなるにつれて大きく設定され、運転者の明白な減速意図が読み取れるアクセル急放しの最大制動力B2は通常時の最大制動力B3よりも大きい。運転者がさらに強い減速を必要とすると判断される制動操作有の最大制動力B1には、リターダ13と排気ブレーキ19が出力可能な最大レベルが車速VSPと無関係に設定される。大きな制動力がスリップにつながり易い低μ路での最大制動力B4は、車速VSPと無関係な低いレベルに設定される。
【0027】
この結果、図3に示すように、通常時とアクセル急放しの運転条件では、高車速における制動力A6、A4は、それぞれ低車速における制動力A5、A3よりも緩やかに立上がって高い最大制動力Baxに維持される。制動操作有と低μ路の運転条件では、高車速における制動力A2、A8は、それぞれ低車速における制動力A1、A7よりも緩やかに立上がる。
また、高車速では、通常時の制動力A6、アクセル急放しの制動力A3、制動操作有の制動力A2の順に制動力の立上がりが急になり、低車速では、通常時の制動力A5、アクセル急放しの制動力A4、制動操作有の制動力A1の順に制動力の立上がりが急になる。
【0028】
次に、図4を参照して補助制動コントロールユニット32における制御のフローを説明する。
ステップ111では、補助ブレーキスイッチ29のON/OFF、ステップ112ではアイドルスイッチ22のON/OFFが識別される。補助ブレーキスイッチ29がOFFの場合には、運転者が空荷等の理由から補助ブレーキによる制動効果を希望していないから、ステップ114へ進んで補助ブレーキを動作させない。アイドルスイッチ22がOFFの場合には、運転者がアクセルペダル17を積極的に踏み込んで制動を拒否しているから、ステップ114へ進んで補助ブレーキを動作させない。
補助ブレーキスイッチ29がONでアイドルスイッチ22がONの期間、ステップ113以下のフローが繰り返し実行されて、刻々の運転状態に応じたレベルの制動力で補助ブレーキを作動させる。
【0029】
ステップ113では、フラグFが1か否かを識別する。フラグFが0の場合にはステップ115へ進んでアクセル急放しに該当するか否かが識別される。アクセル急放しは、運転者が早期に加速を中止、あるいは減速したい意図を持つことを意味しており、スロットル開度TVOの変化速度の絶対値がしきい値を越えるか否かで判断される。アクセル急放しは、アイドルスイッチがONした瞬間に1回だけ(F=0のフローで)識別される。
ステップ117では、車輪速センサ27の出力に基づいて砂利道や雪道等の低μ路であるか否かが識別される。
ステップ118では、ブレーキスイッチ28の出力状態、及びセレクトレバー19のセレクトポジションセンサ21の出力によるエンジンブレーキレンジへのセレクト操作の有無の判断に基づいて制動操作有か否かが識別される。
【0030】
ステップ119では、車速センサ20の出力から演算した車速VSPと、アクセル急放しか否か、低μ路か否か、制動操作有か否かのそれぞれの区別とに基づいて図2の(a)、(b)に示すように、傾きKおよび最大制動力Bmaxを決定する。
ステップ120では、アイドルスイッチ22がONした直後から排気ブレーキ19とリターダ13の作動を開始させ、時間tの経過とともに合計の制動力を傾きKで次第に増加させ、最大制動力Bmaxに達した以降は最大制動力Bmaxのレベルを維持する。
ステップ121では、フラグFを1として、次回のフローではステップ115をバイパスさせる。
なお、補助ブレーキが作動開始した後に車輪がスリップしてステップ117で低μ路が識別された場合や、ブレーキスイッチ28のONまたはエンジンブレーキレンジへのセレクト操作が検知されてステップ118で制動操作有が識別された場合には、図3に示す同時刻の該当する運転条件の制動力レベルへの乗換えが実行される。
【0031】
一方、補助ブレーキが作動している過程で運転者が補助ブレーキスイッチ29をOFFしたり、アクセルペダル17の踏み込みを再開してアイドルスイッチ22がOFFした場合、ステップ111またはステップ112からステップ114へ進んで、ステップ114でフラグF=1と判断された後、ステップ116で補助ブレーキの作動が停止される。その後は、補助ブレーキスイッチ29のONとアイドルスイッチ22のONが揃うまで、ステップ114からステップ122のフローが繰り返されるだけで、補助ブレーキは作動しない。ステップ122ではフラグFを0にリセットする。
【0032】
実施例の補助ブレーキシステムによれば、補助ブレーキ装置として排気ブレーキとリターダを組み合わせているため、排気ブレーキによる大きな制動力を利用できる一方で、リターダによる細かな制動力レベルの調整が可能である。
従って、大きなエンジンブレーキ効果が的確なタイミングと適正な出力レベルで発揮されて運転者の感覚と要求を十分に満足させた減速が達成されて、自動車の運転性能と補助ブレーキ装置の実用性が高められる。補助ブレーキ装置で十分な制動効果が得られるため、サービスブレーキを使用する頻度が低下してサービスブレーキの摩擦要素の寿命が増大する。
【0033】
また、高車速で運転者の緊張度が高い間は、制動力の立上がりの傾きKを小さくして、制動開始直後の制動力を抑制しているため、車体が急減速して運転者が不快感を抱くことが無く、車体姿勢が不安定になって操舵性能が損なわれる心配もない。そして、高車速では低車速の場合よりも最大制動力Bmaxを高めて高い慣性力に見合った制動力を出力させるから、運転者が減速の不足を感じることもない。
一方、低車速で運転者の緊張度が低く急激な減速にも不安を抱きにくい状態では制動力が速く立上がり、レスポンスの良いきびきびした制動感が得られる。
【0034】
また、アクセル急放しや制動操作有に該当して、運転者が強い減速を求めていると判断される場合には通常時に比較して補助ブレーキの制動力を急速に高めるとともに、最大制動力Bmaxを高めてもいるから、運転者の望む十分な減速効果が発揮されて制動力の不足を感じさせない。
また、低μ路では傾きKと最大制動力Bmaxをともに低くして、路面のグリップを優先させるから、操舵性能が確保され、車体姿勢を不安定にすることなく安全確実な減速と停止が可能となる。
【0035】
そして、補助ブレーキ装置の作動が開始された後も制動操作有や低μ路が識別されると傾きKや最大制動力Bmaxを状況に応じて調整するから、常に安全で運転者の意図に沿った減速が得られる。
また、補助ブレーキスイッチ29がONされた状態でアイドルスイッチ22がONすれば、いかなる運転条件でも制動力が全く0になることがないから、運転者の意に反して補助ブレーキ装置が全く作動しないことにより運転者が違和感を抱くということもない。ただし、補助ブレーキ装置の故障が検知されてその機能停止が最優先される場合には、補助ブレーキの作動を停止することは言うまでも
ない。
【0036】
なお、実施例では渦電流式のリターダを用いたが、流体式のリターダを使用してもよい。リターダと排気ブレーキを組み合わせて使用するのではなくて、リターダまたは排気ブレーキを単独で使用して同様な制御を実行してもよい。実施例ではリターダを自動変速機に取り付けたが、同様な補助ブレーキ装置はマニュアル変速機搭載車両に設けてもよく、リターダはエンジン11から後輪15までの駆動力伝達系の他の場所に配置してもよい。
また、ABS(アンチロックブレーキシステム)と併用する場合、ABSが作動した場合は補助ブレーキ装置を低μ路に適用される制御とするか、あるいは作動を解除することとしてもよい。ABSによる制動効果を十分に発揮させるためである。
ステップ117が発明の低μ路検出手段、ステップ115、118が発明の識別手段、ステップ119が発明の出力レベル決定手段および傾き決定手段、ステップ120が発明の立上がり制御手段にそれぞれ相当する。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、補助ブレーキ装置の制動力が高車速では低車速よりも緩やかに立上がるから、高速走行中に車体が急減速して運転者が不快感を持たたないで済む。一方、中〜低車速の範囲では速やかに制動力が立上がってきびきびした制動感が得られる。
【0038】
請求項2の発明によれば、高車速では最終的な制動力のレベルを低車速の場合よりも大きくするから、減速に慣れる時間的余裕を与えられたうえで、高車速の慣性力に見合った十分な制動効果を確保でき、運転者がサービスブレーキを使用する頻度が低下する。
【0039】
請求項3の発明によれば、減速意図が判断された場合に補助ブレーキ装置の制動力を速やかに立ち上げるとともに、とくにブレーキペダルの踏み込みまたはエンジンブレーキレンジへのセレクト操作など減速操作が有ったときには一層制動力の立上がり速度が大きくされるので、速やかな減速が得られる。
【0040】
請求項4の発明によれば、減速意図を判断した場合に最終的な制動力のレベルを大きくするから、運転者の要求に適合した最適な減速が実行され、運転者がサービスブレーキを使用する頻度が低下する。
【図面の簡単な説明】
【図1】補助ブレーキシステムの構成の説明図である。
【図2】補助ブレーキ装置に設定される定数の説明図である。
【図3】制動開始後の制動力の変化の例の説明図である。
【図4】補助ブレーキ装置の制御のフローチャートである。
【符号の説明】
11 エンジン
12 自動変速機
13 リターダ
14 ディファレンシャル機構
15 後輪
16 プロペラ軸
17 アクセルペダル
18 スロットルバルブ
19 セレクトレバー
21 セレクトポジションスイッチ
22 アイドルスイッチ
23 スロットルセンサ
24 シリンダー
25 電磁弁
26 エアタンク
27 車輪速センサ
28 ブレーキスイッチ
29 補助ブレーキスイッチ
31 自動変速機コントロールユニット
32 補助制動コントロールユニット
Claims (4)
- 補助ブレーキ装置から出力させる制動力のレベルを運転条件に応じて決定する出力レベル決定手段と、
前記補助ブレーキ装置から所定レベルの制動力を出力させる際に、出力開始から次第に制動力を高めて所定レベルにまで到達させる立上がり制御手段とを有する補助ブレーキ制御装置において、
前記次第に制動力を高める過程での制動力の立上がり速度を運転条件に応じて調整可能な傾き決定手段と、
少なくとも前記補助ブレーキ装置の出力開始時の車速を検知する車速検知手段とを備え、
前記傾き決定手段は、高車速時には低車速時よりも前記立上がり速度を小さく設定することを特徴とする補助ブレーキ制御装置。 - 前記出力レベル決定手段は、高車速時には低車速時よりも最終的な制動力のレベルを高く設定することを特徴とする請求項1記載の補助ブレーキ制御装置。
- 補助ブレーキ装置から出力させる制動力のレベルを運転条件に応じて決定する出力レベル決定手段と、
前記補助ブレーキ装置から所定レベルの制動力を出力させる際に、出力開始から次第に制動力を高めて所定レベルにまで到達させる立上がり制御手段とを有する補助ブレーキ制御装置において、
前記次第に制動力を高める過程での制動力の立上がり速度を運転条件に応じて調整可能な傾き決定手段と、
運転者によるアクセルペダル急放し、ブレーキペダルの踏み込み、及びエンジンブレーキレンジへのセレクト操作のうち少なくとも1つを検知して減速意図を識別する識別手段と、
前記ブレーキペダルの踏み込み及びエンジンブレーキレンジへのセレクト操作のうち少なくとも1つを検知して減速操作の有無を判断する手段とを備え、
前記傾き決定手段は、同一車速条件で比較して、前記減速意図が識別された際には、識別されない場合に比較して前記立上がり速度を大きく設定するとともに、同一車速条件で比較して、減速操作が有りと判断されたときの方がアクセルペダル急放しが検知されたときより前記制動力の立上がり速度を大きく設定することを特徴とする補助ブレーキ制御装置。 - 前記出力レベル決定手段は、前記減速意図が識別された際には、識別されない場合に比較して最終的な制動力のレベルを高く設定することを特徴とする請求項3記載の補助ブレーキ制御装置。
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