JP3543728B2 - 多層プリント配線板の成形方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の回路板から多層プリント配線板を製造するにあたって、回路板を積層成形する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層プリント配線板は、内層用の回路を設けて作製した複数枚の内層用の回路板をプリプレグを介して重ねると共に、さらに最外層にプリプレグを介して銅箔等の金属箔を重ね、これをプレス装置にセットして加熱加圧成形することによって、複数枚の回路板及び金属箔を積層一体化し、そしてスルーホールの加工や、外層の金属箔のプリント配線加工等の工程を経て、製造されている。
【0003】
ところで近年、プリント配線板のファイン化の要求が加速しており、回路のライン幅/回路間のスペースは100/100μmから、50/50μmさらに、30/30μmの仕様の要求が出ている。そしてこれに伴って、多層プリント配線板では、内層の回路板の回路を接続するスルーホールの加工位置精度(ビルドアップ多層プリント配線板ではブラインドビアホールの加工位置精度)を向上させる必要がある。
【0004】
多層プリント配線板において、スルーホールの加工は次のようにして行なわれている。すなわち、積層されている各回路板には所定の位置において予めターゲットマークが設けてあり、この各回路板のターゲットマークをX線で透視して重ね合わせ、その重心の位置に基準孔を穿孔する。そしてこの基準孔を基準にして多層プリント配線板にスルーホールの孔加工を行なうのである。従って、スルーホールの加工位置精度を高めるには、基準孔の位置精度を向上させる必要があり、基準孔の位置精度は各回路板のターゲットマークの重ね合わせの精度、すなわち各回路板の重ね合わせ位置精度に依存する。
【0005】
多層プリント配線板を製造するに際して、積層する各回路板は精密に位置合わせをしてプリプレグを介して重ねるようにしてあるが、加熱加圧成形をする際のプリプレグの溶融樹脂の流れなどによって各回路板が位置ずれするおそれがあり、この成形の際の位置ずれが各回路板の重ね合わせ位置精度の低下につながる。
【0006】
そこで特開平5−75256号公報や、特開平6−6036号公報などにみられるように、積層する各回路板に貫通孔を設けておき、プリプレグを介して重ね合わせた各回路板の貫通孔にかしめピンを通し、そしてこのかしめピンをかしめることによって、かしめピンで各回路板を結合して一体化し、この状態で加熱加圧成形を行なうことによって、成形の際に回路板が位置ずれすることを防止するようにしている。
【0007】
しかし、このようなかしめピンによる方法では、貫通孔の内径とかしめピンの外径の差で、回路板が位置ずれした状態で各回路板がかしめ固定されることが多く、またかしめピンをかしめる際の変形によって重ねた各回路板が位置ずれすることも多い。このように各回路板を一体化する際に回路板に位置ずれが発生し易く、この場合には、各回路板は成形の前からすでに重ね合わせの位置ずれが生じているので、回路板の位置精度を高く保って多層プリント配線板を成形する効果はあまり期待することができない。
【0008】
そこで、特開平10−224032号公報にみられるように、複数枚の回路板をプリプレグを介して重ね、これを部分的に加熱することによって、プリプレグの樹脂で複数枚の回路板を部分的に相互に溶着して一体化し、そしてこの状態で加熱加圧成形を行なうことによって、成形の際に回路板が位置ずれすることを防止する試みが行なわれている。
【0009】
この場合には、重ねた各回路板を一体化する際に位置ずれするようなことはないが、各回路板はプリプレグを介して部分的に溶着されているだけなので、成形の際に回路板が位置ずれすることを完全に防ぐことは難しい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、回路板を位置ずれすることなく位置精度高く積層することができる多層プリント配線板の成形方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多層プリント配線板の成形方法は、回路を設けた複数枚の回路板を絶縁樹脂シート3を介して重ねて組み合わせ、この組み合わせ物4を部分的に加熱することによって、絶縁樹脂シート3の樹脂で複数枚の回路板2を部分的に溶着し、次にこの複数枚の各回路板2にかしめピン5を通して複数枚の回路板2をかしめ固定し、この後、この組み合わせ物4をプレス装置にセットして加熱加圧成形を行なう多層プリント配線板の成形方法において、上記のように組み合わせ物4を部分的に加熱するにあたって、端縁部に切欠部13を設けた金属板6を用い、組み合わせ物4を金属板6で挟んだ状態で、切欠部13において組み合わせ物4をその両面から部分的に加熱し、また上記のように回路板2をかしめ固定するにあたって、端部に切欠部15を設けた平板7を用い、組み合わせ物4を平板7で挟んだ状態で、切欠部15の部分でかしめピン5のかしめを行なうことを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明は、組み合わせ物4の部分的な加熱は、プレス装置による成形の際の成形温度より50〜200℃高い温度で、10〜60秒間行なうことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明において回路板2としては任意のものを用いることができるものであり、例えば樹脂積層板を絶縁基板とし、表面に貼った銅箔などの金属箔をプリント加工して回路を設けたものや、樹脂板やセラミック板を絶縁基板とし、その表面にメッキによって回路を設けたものなど、従来からプリント配線板として提供されているいずれのものでも制限されることなく用いることができる。この回路板2にはその四隅端部など、回路が設けられていて最終製品の多層プリント配線板として使用される範囲の外において、貫通孔11が穿設加工してある(図3(a)参照)。この貫通孔11は回路板2に形成された回路のパターンに対して決められた位置に設けられるものである。
【0017】
また絶縁樹脂シート3は、絶縁樹脂をフィルム状に形成した絶縁樹脂フィルムや、絶縁樹脂を基材に含浸、乾燥して調製したプリプレグなど、シート状に形成された絶縁樹脂材料である。絶縁樹脂フィルムとしては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂をシート状に成形してB−ステージ状態に半硬化させたものを用いることができるものであり、またプリプレグとしては、ガラス布などの基材に、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂のワニスを含浸し、これを加熱乾燥して熱硬化性樹脂をB−ステージ状態に半硬化させたのものを用いることができる。
【0018】
そして図2(a)に示すように、上記の回路板2を複数枚、絶縁樹脂シート3を介して上下に重ね合わせ、必要に応じて、さらにその外側に絶縁樹脂シート3を重ねる。このとき、複数枚の各回路板2は、その回路のパターンを精密に位置合わせした状態で重ね合わされるものであり、各回路板2に形成した貫通孔11は相互に精密に対向し合っている。尚、絶縁樹脂シート3にもこの貫通孔11に対応する個所において貫通孔14が予め設けてある(図3(a)参照)。次に、このように重ね合わせて組み合わせた組み合わせ物4の上面と下面に金属板6を配置し、2枚の金属板6の間に組み合わせ物4を挟みこむ。図1(a)に示すように、金属板6は組み合わせ物4の外形・寸法(つまり回路板2、絶縁樹脂シート3の外形・寸法)とほぼ同じに形成されるが、金属板6の端縁部には後述の溶着を行なう個所において切欠部13が設けてある。
【0019】
この後、金属板6の切欠部13において、組み合わせ物4をその両面から部分的に加熱する。ここで組み合わせ物4の最外層が絶縁樹脂シート3の場合には絶縁樹脂シート3の上から、最外層が回路板2の場合には回路板2の上から加熱することになる。加熱はヒーターなどの加熱治具を押し当てることによって行なうことができるものであり、このように組み合わせ物4を部分的に加熱すると、加熱された部分の絶縁樹脂シート3の樹脂が一旦溶融した後、硬化し、この溶融・硬化した樹脂によって、上下に重ねた各回路板2を部分的に溶着し、複数枚の回路板2を一体化することができる。この溶着は、回路板2の端縁部など、回路が設けられていて最終製品の多層プリント配線板として使用される範囲の外において行なわれるものであり、溶着部分を図2(b)に符号mで示す。
【0020】
このように組み合わせ物4を部分的に加熱するにあたって、回路板2には大きな加圧力を作用させる必要がないので、各回路板2が横方向に位置ずれしたりするようなおそれなく、各回路板2を位置精度高く重ねた状態で一体化することができるものである。特に組み合わせ物4の上下両面を金属板6で挟んでいるため、回路板2の位置ずれを阻止することができ、各回路板2を位置精度高く重ねた状態で一体化することができるものである。また、組み合わせ物4を部分的に加熱する際の熱は、金属板6を通して逃がすことができるので、熱が絶縁樹脂シート3の面方向に広がって絶縁樹脂シート3を広い面積で溶融・硬化させるようなことを防ぐことができるものである。
【0021】
ここで、回路板2を溶着させるために組み合わせ物4を部分的に加熱する際の温度は、後述のように組み合わせ物4を加熱加圧成形する際の成形温度よりも50〜200℃高い温度に設定するのが好ましい。この加熱温度は、加熱治具が組み合わせ物4の表面に接触する部分の温度であり、加熱温度が成形温度+50℃より低いと、回路板2の溶着が不十分になって、回路板2の位置ずれ防止の効果を高く得ることが難しくなる。逆に加熱温度が成形温度+200℃より高いと、加熱部分、特に加熱部分の絶縁樹脂シート3が炭化し、多層プリント配線板の品質に悪影響が及ぶおそれがある。また、回路板2を溶着させるために組み合わせ物4を部分的に加熱する際の時間は、10〜60秒の範囲に設定するのが好ましい。加熱時間が10秒より短いと、回路板2の溶着が不十分になって、回路板2の位置ずれ防止の効果を高く得ることが難しくなる。逆に加熱時間が60秒より長いと、加熱部分が炭化し、多層プリント配線板の品質に悪影響が及ぶおそれがある。
【0022】
上記のようにして組み合わせ物4の各回路板2を溶着して一体化した後、この組み合わせ物4の各回路板2の貫通孔11と絶縁樹脂シート3の貫通孔14にかしめピン5を通してかしめる。このとき、図3(a)のように、組み合わせ物4の上面と下面に金属板などで形成される平板7を配置し、2枚の平板7の間に組み合わせ物4を挟み込んだ状態でかしめを行なうものである。図1(b)に示すように、平板7は組み合わせ物4の外形・寸法(つまり回路板2、絶縁樹脂シート3の外形・寸法)とほぼ同じに形成されるが、平板7の四隅の端部には切欠部15が設けてあり、平板7間に組み合わせ物4を挟持した状態で、切欠部15の部分でかしめピン5のかしめを行なうことができるものである。
【0023】
鍔5a付きのかしめピン5を貫通孔11,14に通すと共にかしめることによって、鍔5aとかしめで形成される鍔部5bとの間に組み合わせ物4を挟み込むことによって、図3(b)に示すように、各回路板2をかしめピン5で一体化することができるものである。ここで組み合わせ物4の最外層が絶縁樹脂シート3の場合には絶縁樹脂シート3の上から、最外層が回路板2の場合には回路板2の上からかしめることになる。このようにかしめピン5をかしめて各回路板2を一体化するにあたって、各回路板2は溶着によって一体化された状態にあるので、回路板2の貫通孔11の内径とかしめピン5の外径の差で回路板2が位置ずれするようなことはなく、またかしめピン5をかしめる際の変形によって各回路板2が位置ずれすることも防ぐことができるものであり、各回路板2を位置精度高く重ねた状態のまま、一体化することができるものである。特に組み合わせ物4の上下両面を平板7で挟んでいるため、回路板2の位置ずれを阻止することができ、各回路板2を位置精度高く重ねた状態で一体化することができるものである。
【0024】
上記のようにして、溶着及びかしめピン5で回路板2を一体化した後、組み合わせ物4の上下に必要に応じて銅箔や樹脂付き銅箔などの金属箔12を重ね、これを図4のように熱盤16を供えたプレス装置8にセットし、加熱加圧成形を行なうことによって、多層プリント配線板を製造することができるものである。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0026】
(実施例1)
回路板2として、エポキシ樹脂積層板の上下の両面に銅箔による回路を設けて形成した、サイズ500×500mmのものを用いた。また絶縁樹脂シート3としてサイズ500×500mmのガラス基材入りエポキシ樹脂プリプレグ(松下電工製、R1661)を用いた。
【0027】
この2枚の回路板2をその回路を精密に位置合わせしながらプリプレグ3を介して重ねると共にその上下にプリプレグ3を重ね、この組み合わせ物4を上下から金属板6によって挟持した(図2(a)参照)。そして280℃(=成形温度180℃+100℃)の温度で、30秒間、組み合わせ物4を部分的に加熱することによって、回路板2を部分的に溶着して一体化した(図2(b)参照)。
【0028】
このように加熱して溶着を行なった後、この加熱溶着部分が炭化して焦げているか否かを観察した。炭化の発生無しを「○」、炭化発生有りを「×」と評価し、結果を表1に示した。
【0029】
次に、金属板6の代わりに平板7を用いてこの組み合わせ物4を上下から平板7によって挟持し(図3(a)参照)、貫通孔11,14にかしめピン5を通してかしめることによって、回路板2をかしめ固定して一体化した(図3(b)参照)。
【0030】
このように回路板2を溶着及びかしめピン5で一体化した組み合わせ物4について、成形の前に、回路板2の相互の位置ずれを測定した。位置ずれが50μm未満の場合を「○」、位置ずれが50μm〜100μmの場合を「△」、位置ずれが100μmを超える場合を「×」と評価し、結果を表1に示した。
【0031】
次に、上記のように一体化した組み合わせ物4の上下に銅箔12を重ね、これを180℃の熱盤16を有するプレス装置8にセットし、4MPaの加圧条件で100分間、加熱加圧成形をすることによって、多層プリント配線板を成形した。
【0032】
このように成形した後に、回路板2の相互の位置ずれを測定した。位置ずれが50μm未満の場合を「○」、位置ずれが50μm〜100μmの場合を「△」、位置ずれが100μmを超える場合を「×」と評価し、結果を表1に示した。
【0033】
(比較例1)
部分的な溶着によって回路板2を一体化することのみを行ない、かしめピン5によるかしめを行なわないようにした他は、実施例1と同様にした。
【0034】
(比較例2)
部分的な溶着を行なわず、かしめピン5によるかしめで回路板2を一体化するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0035】
(比較例3)
かしめピン5によるかしめで回路板2を一体化するようにした後、部分的な溶着によって回路板2を一体化するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0036】
【表1】
【0037】
表1にみられるように、回路板2を一体化するにあたって、部分的な溶着による一体化の後に、さらにかしめピン5による一体化を行なうようにした実施例1のものは、成形前および成形後の位置ずれが殆ど発生しないのに対して、部分的な溶着による一体化のみを行なった比較例1では成形後の位置ずれが発生し、かしめピン5による一体化のみを行なった比較例2や、かしめピン5による一体化の後に部分的な溶着による一体化を行なうようにした比較例3では成形前及び成形後の位置ずれが発生するものであった。
【0038】
(実施例2)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱温度を230℃(=成形温度180℃+50℃)に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0039】
(実施例3)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱温度を380℃(=成形温度180℃+200℃)に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0040】
(実施例4)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱温度を200℃(=成形温度180℃+20℃)に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0041】
(実施例5)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱温度を400℃(=成形温度180℃+220℃)に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0042】
【表2】
【0043】
表2にみられるように、炭化が生じないように、且つ確実に溶着させるためには、溶着の加熱温度は、成形温度より50〜200℃高い温度の範囲に設定するのが望ましいことが確認される。
【0044】
(実施例6)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱時間を10秒に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0045】
(実施例7)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱時間を60秒に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0046】
(実施例8)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱時間を5秒に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0047】
(実施例9)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱時間を90秒に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0048】
【表3】
【0049】
表3にみられるように、炭化が生じないように、且つ確実に溶着させるためには、溶着の加熱時間は10〜60秒の範囲に設定するのが望ましいことが確認される。
【0050】
(実施例10)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、金属板6を用いずに加熱を行なった。その他は実施例1と同様にした。
【0051】
【表4】
【0052】
表4にみられるように、位置ずれを確実に防ぐには、組み合わせ物4を金属板6で挟持しておこなうのが望ましいのが確認される。
【0053】
【発明の効果】
上記のように本発明は、回路を設けた複数枚の回路板を絶縁樹脂シートを介して重ねて組み合わせ、この組み合わせ物を部分的に加熱することによって、絶縁樹脂シートの樹脂で複数枚の回路板を部分的に溶着し、次にこの複数枚の各回路板にかしめピンを通して複数枚の回路板をかしめ固定し、この後、この組み合わせ物をプレス装置にセットして加熱加圧成形を行なうようにしたので、回路板の部分的な溶着で、回路板が横方向に位置ずれしたりするようなことなく位置精度高く重ねた状態で一体化した後、かしめピンのかしめによる回路板の一体化を行なうことができ、かしめの際に回路板が横ずれして成形前に位置ずれが発生することがなくなると共に、成形の際の位置ずれをかしめピンによるかしめ固定で確実に防ぐことができ、各回路板を位置ずれすることなく位置精度高く積層する成形を行なうことができるものである。また上記のように組み合わせ物を部分的に加熱するにあたって、端縁部に切欠部を設けた金属板を用い、組み合わせ物を金属板で挟んだ状態で、切欠部において組み合わせ物をその両面から部分的に加熱するようにしたので、回路板が位置ずれすることを金属板による挟持で防ぎながら加熱して、回路板を溶着一体化することができるものであり、しかも加熱の熱を金属板で逃がして、熱が回路板、絶縁樹脂シートやプリプレグに沿って広がることを防ぐことができるものである。さらに上記のように端部に切欠部を設けた平板を用い、組み合わせ物を平板で挟んだ状態で、切欠部の部分でかしめピンのかしめを行なうようにしたので、回路板が位置ずれすることを平板による挟持で防ぎながらかしめピンをかしめて、回路板をかしめ固定することができるものである。
【0054】
また請求項2の発明は、組み合わせ物の部分的な加熱は、プレス装置による成形の際の成形温度より50〜200℃高い温度で、10〜60秒間行なうようにしたので、炭化が発生することを防止しつつ、溶着による回路板の一体化を確実に行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ平面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ、図1(a)のA−A線断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ、図1(b)のB−B線断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 回路板
3 絶縁樹脂シート
4 組み合わせ物
5 かしめピン
6 金属板
7 平板
13 切欠部
15 切欠部
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の回路板から多層プリント配線板を製造するにあたって、回路板を積層成形する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層プリント配線板は、内層用の回路を設けて作製した複数枚の内層用の回路板をプリプレグを介して重ねると共に、さらに最外層にプリプレグを介して銅箔等の金属箔を重ね、これをプレス装置にセットして加熱加圧成形することによって、複数枚の回路板及び金属箔を積層一体化し、そしてスルーホールの加工や、外層の金属箔のプリント配線加工等の工程を経て、製造されている。
【0003】
ところで近年、プリント配線板のファイン化の要求が加速しており、回路のライン幅/回路間のスペースは100/100μmから、50/50μmさらに、30/30μmの仕様の要求が出ている。そしてこれに伴って、多層プリント配線板では、内層の回路板の回路を接続するスルーホールの加工位置精度(ビルドアップ多層プリント配線板ではブラインドビアホールの加工位置精度)を向上させる必要がある。
【0004】
多層プリント配線板において、スルーホールの加工は次のようにして行なわれている。すなわち、積層されている各回路板には所定の位置において予めターゲットマークが設けてあり、この各回路板のターゲットマークをX線で透視して重ね合わせ、その重心の位置に基準孔を穿孔する。そしてこの基準孔を基準にして多層プリント配線板にスルーホールの孔加工を行なうのである。従って、スルーホールの加工位置精度を高めるには、基準孔の位置精度を向上させる必要があり、基準孔の位置精度は各回路板のターゲットマークの重ね合わせの精度、すなわち各回路板の重ね合わせ位置精度に依存する。
【0005】
多層プリント配線板を製造するに際して、積層する各回路板は精密に位置合わせをしてプリプレグを介して重ねるようにしてあるが、加熱加圧成形をする際のプリプレグの溶融樹脂の流れなどによって各回路板が位置ずれするおそれがあり、この成形の際の位置ずれが各回路板の重ね合わせ位置精度の低下につながる。
【0006】
そこで特開平5−75256号公報や、特開平6−6036号公報などにみられるように、積層する各回路板に貫通孔を設けておき、プリプレグを介して重ね合わせた各回路板の貫通孔にかしめピンを通し、そしてこのかしめピンをかしめることによって、かしめピンで各回路板を結合して一体化し、この状態で加熱加圧成形を行なうことによって、成形の際に回路板が位置ずれすることを防止するようにしている。
【0007】
しかし、このようなかしめピンによる方法では、貫通孔の内径とかしめピンの外径の差で、回路板が位置ずれした状態で各回路板がかしめ固定されることが多く、またかしめピンをかしめる際の変形によって重ねた各回路板が位置ずれすることも多い。このように各回路板を一体化する際に回路板に位置ずれが発生し易く、この場合には、各回路板は成形の前からすでに重ね合わせの位置ずれが生じているので、回路板の位置精度を高く保って多層プリント配線板を成形する効果はあまり期待することができない。
【0008】
そこで、特開平10−224032号公報にみられるように、複数枚の回路板をプリプレグを介して重ね、これを部分的に加熱することによって、プリプレグの樹脂で複数枚の回路板を部分的に相互に溶着して一体化し、そしてこの状態で加熱加圧成形を行なうことによって、成形の際に回路板が位置ずれすることを防止する試みが行なわれている。
【0009】
この場合には、重ねた各回路板を一体化する際に位置ずれするようなことはないが、各回路板はプリプレグを介して部分的に溶着されているだけなので、成形の際に回路板が位置ずれすることを完全に防ぐことは難しい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、回路板を位置ずれすることなく位置精度高く積層することができる多層プリント配線板の成形方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多層プリント配線板の成形方法は、回路を設けた複数枚の回路板を絶縁樹脂シート3を介して重ねて組み合わせ、この組み合わせ物4を部分的に加熱することによって、絶縁樹脂シート3の樹脂で複数枚の回路板2を部分的に溶着し、次にこの複数枚の各回路板2にかしめピン5を通して複数枚の回路板2をかしめ固定し、この後、この組み合わせ物4をプレス装置にセットして加熱加圧成形を行なう多層プリント配線板の成形方法において、上記のように組み合わせ物4を部分的に加熱するにあたって、端縁部に切欠部13を設けた金属板6を用い、組み合わせ物4を金属板6で挟んだ状態で、切欠部13において組み合わせ物4をその両面から部分的に加熱し、また上記のように回路板2をかしめ固定するにあたって、端部に切欠部15を設けた平板7を用い、組み合わせ物4を平板7で挟んだ状態で、切欠部15の部分でかしめピン5のかしめを行なうことを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明は、組み合わせ物4の部分的な加熱は、プレス装置による成形の際の成形温度より50〜200℃高い温度で、10〜60秒間行なうことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明において回路板2としては任意のものを用いることができるものであり、例えば樹脂積層板を絶縁基板とし、表面に貼った銅箔などの金属箔をプリント加工して回路を設けたものや、樹脂板やセラミック板を絶縁基板とし、その表面にメッキによって回路を設けたものなど、従来からプリント配線板として提供されているいずれのものでも制限されることなく用いることができる。この回路板2にはその四隅端部など、回路が設けられていて最終製品の多層プリント配線板として使用される範囲の外において、貫通孔11が穿設加工してある(図3(a)参照)。この貫通孔11は回路板2に形成された回路のパターンに対して決められた位置に設けられるものである。
【0017】
また絶縁樹脂シート3は、絶縁樹脂をフィルム状に形成した絶縁樹脂フィルムや、絶縁樹脂を基材に含浸、乾燥して調製したプリプレグなど、シート状に形成された絶縁樹脂材料である。絶縁樹脂フィルムとしては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂をシート状に成形してB−ステージ状態に半硬化させたものを用いることができるものであり、またプリプレグとしては、ガラス布などの基材に、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂のワニスを含浸し、これを加熱乾燥して熱硬化性樹脂をB−ステージ状態に半硬化させたのものを用いることができる。
【0018】
そして図2(a)に示すように、上記の回路板2を複数枚、絶縁樹脂シート3を介して上下に重ね合わせ、必要に応じて、さらにその外側に絶縁樹脂シート3を重ねる。このとき、複数枚の各回路板2は、その回路のパターンを精密に位置合わせした状態で重ね合わされるものであり、各回路板2に形成した貫通孔11は相互に精密に対向し合っている。尚、絶縁樹脂シート3にもこの貫通孔11に対応する個所において貫通孔14が予め設けてある(図3(a)参照)。次に、このように重ね合わせて組み合わせた組み合わせ物4の上面と下面に金属板6を配置し、2枚の金属板6の間に組み合わせ物4を挟みこむ。図1(a)に示すように、金属板6は組み合わせ物4の外形・寸法(つまり回路板2、絶縁樹脂シート3の外形・寸法)とほぼ同じに形成されるが、金属板6の端縁部には後述の溶着を行なう個所において切欠部13が設けてある。
【0019】
この後、金属板6の切欠部13において、組み合わせ物4をその両面から部分的に加熱する。ここで組み合わせ物4の最外層が絶縁樹脂シート3の場合には絶縁樹脂シート3の上から、最外層が回路板2の場合には回路板2の上から加熱することになる。加熱はヒーターなどの加熱治具を押し当てることによって行なうことができるものであり、このように組み合わせ物4を部分的に加熱すると、加熱された部分の絶縁樹脂シート3の樹脂が一旦溶融した後、硬化し、この溶融・硬化した樹脂によって、上下に重ねた各回路板2を部分的に溶着し、複数枚の回路板2を一体化することができる。この溶着は、回路板2の端縁部など、回路が設けられていて最終製品の多層プリント配線板として使用される範囲の外において行なわれるものであり、溶着部分を図2(b)に符号mで示す。
【0020】
このように組み合わせ物4を部分的に加熱するにあたって、回路板2には大きな加圧力を作用させる必要がないので、各回路板2が横方向に位置ずれしたりするようなおそれなく、各回路板2を位置精度高く重ねた状態で一体化することができるものである。特に組み合わせ物4の上下両面を金属板6で挟んでいるため、回路板2の位置ずれを阻止することができ、各回路板2を位置精度高く重ねた状態で一体化することができるものである。また、組み合わせ物4を部分的に加熱する際の熱は、金属板6を通して逃がすことができるので、熱が絶縁樹脂シート3の面方向に広がって絶縁樹脂シート3を広い面積で溶融・硬化させるようなことを防ぐことができるものである。
【0021】
ここで、回路板2を溶着させるために組み合わせ物4を部分的に加熱する際の温度は、後述のように組み合わせ物4を加熱加圧成形する際の成形温度よりも50〜200℃高い温度に設定するのが好ましい。この加熱温度は、加熱治具が組み合わせ物4の表面に接触する部分の温度であり、加熱温度が成形温度+50℃より低いと、回路板2の溶着が不十分になって、回路板2の位置ずれ防止の効果を高く得ることが難しくなる。逆に加熱温度が成形温度+200℃より高いと、加熱部分、特に加熱部分の絶縁樹脂シート3が炭化し、多層プリント配線板の品質に悪影響が及ぶおそれがある。また、回路板2を溶着させるために組み合わせ物4を部分的に加熱する際の時間は、10〜60秒の範囲に設定するのが好ましい。加熱時間が10秒より短いと、回路板2の溶着が不十分になって、回路板2の位置ずれ防止の効果を高く得ることが難しくなる。逆に加熱時間が60秒より長いと、加熱部分が炭化し、多層プリント配線板の品質に悪影響が及ぶおそれがある。
【0022】
上記のようにして組み合わせ物4の各回路板2を溶着して一体化した後、この組み合わせ物4の各回路板2の貫通孔11と絶縁樹脂シート3の貫通孔14にかしめピン5を通してかしめる。このとき、図3(a)のように、組み合わせ物4の上面と下面に金属板などで形成される平板7を配置し、2枚の平板7の間に組み合わせ物4を挟み込んだ状態でかしめを行なうものである。図1(b)に示すように、平板7は組み合わせ物4の外形・寸法(つまり回路板2、絶縁樹脂シート3の外形・寸法)とほぼ同じに形成されるが、平板7の四隅の端部には切欠部15が設けてあり、平板7間に組み合わせ物4を挟持した状態で、切欠部15の部分でかしめピン5のかしめを行なうことができるものである。
【0023】
鍔5a付きのかしめピン5を貫通孔11,14に通すと共にかしめることによって、鍔5aとかしめで形成される鍔部5bとの間に組み合わせ物4を挟み込むことによって、図3(b)に示すように、各回路板2をかしめピン5で一体化することができるものである。ここで組み合わせ物4の最外層が絶縁樹脂シート3の場合には絶縁樹脂シート3の上から、最外層が回路板2の場合には回路板2の上からかしめることになる。このようにかしめピン5をかしめて各回路板2を一体化するにあたって、各回路板2は溶着によって一体化された状態にあるので、回路板2の貫通孔11の内径とかしめピン5の外径の差で回路板2が位置ずれするようなことはなく、またかしめピン5をかしめる際の変形によって各回路板2が位置ずれすることも防ぐことができるものであり、各回路板2を位置精度高く重ねた状態のまま、一体化することができるものである。特に組み合わせ物4の上下両面を平板7で挟んでいるため、回路板2の位置ずれを阻止することができ、各回路板2を位置精度高く重ねた状態で一体化することができるものである。
【0024】
上記のようにして、溶着及びかしめピン5で回路板2を一体化した後、組み合わせ物4の上下に必要に応じて銅箔や樹脂付き銅箔などの金属箔12を重ね、これを図4のように熱盤16を供えたプレス装置8にセットし、加熱加圧成形を行なうことによって、多層プリント配線板を製造することができるものである。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0026】
(実施例1)
回路板2として、エポキシ樹脂積層板の上下の両面に銅箔による回路を設けて形成した、サイズ500×500mmのものを用いた。また絶縁樹脂シート3としてサイズ500×500mmのガラス基材入りエポキシ樹脂プリプレグ(松下電工製、R1661)を用いた。
【0027】
この2枚の回路板2をその回路を精密に位置合わせしながらプリプレグ3を介して重ねると共にその上下にプリプレグ3を重ね、この組み合わせ物4を上下から金属板6によって挟持した(図2(a)参照)。そして280℃(=成形温度180℃+100℃)の温度で、30秒間、組み合わせ物4を部分的に加熱することによって、回路板2を部分的に溶着して一体化した(図2(b)参照)。
【0028】
このように加熱して溶着を行なった後、この加熱溶着部分が炭化して焦げているか否かを観察した。炭化の発生無しを「○」、炭化発生有りを「×」と評価し、結果を表1に示した。
【0029】
次に、金属板6の代わりに平板7を用いてこの組み合わせ物4を上下から平板7によって挟持し(図3(a)参照)、貫通孔11,14にかしめピン5を通してかしめることによって、回路板2をかしめ固定して一体化した(図3(b)参照)。
【0030】
このように回路板2を溶着及びかしめピン5で一体化した組み合わせ物4について、成形の前に、回路板2の相互の位置ずれを測定した。位置ずれが50μm未満の場合を「○」、位置ずれが50μm〜100μmの場合を「△」、位置ずれが100μmを超える場合を「×」と評価し、結果を表1に示した。
【0031】
次に、上記のように一体化した組み合わせ物4の上下に銅箔12を重ね、これを180℃の熱盤16を有するプレス装置8にセットし、4MPaの加圧条件で100分間、加熱加圧成形をすることによって、多層プリント配線板を成形した。
【0032】
このように成形した後に、回路板2の相互の位置ずれを測定した。位置ずれが50μm未満の場合を「○」、位置ずれが50μm〜100μmの場合を「△」、位置ずれが100μmを超える場合を「×」と評価し、結果を表1に示した。
【0033】
(比較例1)
部分的な溶着によって回路板2を一体化することのみを行ない、かしめピン5によるかしめを行なわないようにした他は、実施例1と同様にした。
【0034】
(比較例2)
部分的な溶着を行なわず、かしめピン5によるかしめで回路板2を一体化するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0035】
(比較例3)
かしめピン5によるかしめで回路板2を一体化するようにした後、部分的な溶着によって回路板2を一体化するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0036】
【表1】
【0037】
表1にみられるように、回路板2を一体化するにあたって、部分的な溶着による一体化の後に、さらにかしめピン5による一体化を行なうようにした実施例1のものは、成形前および成形後の位置ずれが殆ど発生しないのに対して、部分的な溶着による一体化のみを行なった比較例1では成形後の位置ずれが発生し、かしめピン5による一体化のみを行なった比較例2や、かしめピン5による一体化の後に部分的な溶着による一体化を行なうようにした比較例3では成形前及び成形後の位置ずれが発生するものであった。
【0038】
(実施例2)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱温度を230℃(=成形温度180℃+50℃)に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0039】
(実施例3)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱温度を380℃(=成形温度180℃+200℃)に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0040】
(実施例4)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱温度を200℃(=成形温度180℃+20℃)に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0041】
(実施例5)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱温度を400℃(=成形温度180℃+220℃)に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0042】
【表2】
【0043】
表2にみられるように、炭化が生じないように、且つ確実に溶着させるためには、溶着の加熱温度は、成形温度より50〜200℃高い温度の範囲に設定するのが望ましいことが確認される。
【0044】
(実施例6)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱時間を10秒に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0045】
(実施例7)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱時間を60秒に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0046】
(実施例8)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱時間を5秒に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0047】
(実施例9)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、加熱時間を90秒に設定した。その他は実施例1と同様にした。
【0048】
【表3】
【0049】
表3にみられるように、炭化が生じないように、且つ確実に溶着させるためには、溶着の加熱時間は10〜60秒の範囲に設定するのが望ましいことが確認される。
【0050】
(実施例10)
部分的な溶着によって回路板2を一体化するにあたって、金属板6を用いずに加熱を行なった。その他は実施例1と同様にした。
【0051】
【表4】
【0052】
表4にみられるように、位置ずれを確実に防ぐには、組み合わせ物4を金属板6で挟持しておこなうのが望ましいのが確認される。
【0053】
【発明の効果】
上記のように本発明は、回路を設けた複数枚の回路板を絶縁樹脂シートを介して重ねて組み合わせ、この組み合わせ物を部分的に加熱することによって、絶縁樹脂シートの樹脂で複数枚の回路板を部分的に溶着し、次にこの複数枚の各回路板にかしめピンを通して複数枚の回路板をかしめ固定し、この後、この組み合わせ物をプレス装置にセットして加熱加圧成形を行なうようにしたので、回路板の部分的な溶着で、回路板が横方向に位置ずれしたりするようなことなく位置精度高く重ねた状態で一体化した後、かしめピンのかしめによる回路板の一体化を行なうことができ、かしめの際に回路板が横ずれして成形前に位置ずれが発生することがなくなると共に、成形の際の位置ずれをかしめピンによるかしめ固定で確実に防ぐことができ、各回路板を位置ずれすることなく位置精度高く積層する成形を行なうことができるものである。また上記のように組み合わせ物を部分的に加熱するにあたって、端縁部に切欠部を設けた金属板を用い、組み合わせ物を金属板で挟んだ状態で、切欠部において組み合わせ物をその両面から部分的に加熱するようにしたので、回路板が位置ずれすることを金属板による挟持で防ぎながら加熱して、回路板を溶着一体化することができるものであり、しかも加熱の熱を金属板で逃がして、熱が回路板、絶縁樹脂シートやプリプレグに沿って広がることを防ぐことができるものである。さらに上記のように端部に切欠部を設けた平板を用い、組み合わせ物を平板で挟んだ状態で、切欠部の部分でかしめピンのかしめを行なうようにしたので、回路板が位置ずれすることを平板による挟持で防ぎながらかしめピンをかしめて、回路板をかしめ固定することができるものである。
【0054】
また請求項2の発明は、組み合わせ物の部分的な加熱は、プレス装置による成形の際の成形温度より50〜200℃高い温度で、10〜60秒間行なうようにしたので、炭化が発生することを防止しつつ、溶着による回路板の一体化を確実に行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ平面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ、図1(a)のA−A線断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ、図1(b)のB−B線断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 回路板
3 絶縁樹脂シート
4 組み合わせ物
5 かしめピン
6 金属板
7 平板
13 切欠部
15 切欠部
Claims (2)
- 回路を設けた複数枚の回路板を絶縁樹脂シートを介して重ねて組み合わせ、この組み合わせ物を部分的に加熱することによって、絶縁樹脂シートの樹脂で複数枚の回路板を部分的に溶着し、次にこの複数枚の各回路板にかしめピンを通して複数枚の回路板をかしめ固定し、この後、この組み合わせ物をプレス装置にセットして加熱加圧成形を行なう多層プリント配線板の成形方法において、上記のように組み合わせ物を部分的に加熱するにあたって、端縁部に切欠部を設けた金属板を用い、組み合わせ物を金属板で挟んだ状態で、切欠部において組み合わせ物をその両面から部分的に加熱し、また上記のように回路板をかしめ固定するにあたって、端部に切欠部を設けた平板を用い、組み合わせ物を平板で挟んだ状態で、切欠部の部分でかしめピンのかしめを行なうことを特徴とする多層プリント配線板の成形方法。
- 組み合わせ物の部分的な加熱は、プレス装置による成形の際の成形温度より50〜200℃高い温度で、10〜60秒間行なうことを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の成形方法。
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