JP3543703B2 - トルクコンバータのスリップ制御装置 - Google Patents

トルクコンバータのスリップ制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3543703B2
JP3543703B2 JP33381199A JP33381199A JP3543703B2 JP 3543703 B2 JP3543703 B2 JP 3543703B2 JP 33381199 A JP33381199 A JP 33381199A JP 33381199 A JP33381199 A JP 33381199A JP 3543703 B2 JP3543703 B2 JP 3543703B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
slip
lock
torque converter
slip rotation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP33381199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001153221A (ja
Inventor
隆夫 小山
尚士 柴山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP33381199A priority Critical patent/JP3543703B2/ja
Publication of JP2001153221A publication Critical patent/JP2001153221A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3543703B2 publication Critical patent/JP3543703B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Fluid Gearings (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機などに用いられるトルクコンバータの入出力要素間における相対回転、つまりトルクコンバータのスリップ回転を、走行状態に応じて定められた目標値にするためのスリップ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トルクコンバータは、流体を介して入出力要素間で動力伝達を行うため、トルク変動吸収機能や、トルク増大機能を果たす反面、トルクコンバータ入出力要素間におけるスリップ回転により伝動効率が悪い。
これがため、これらトルク変動吸収機能や、トルク増大機能が不要な走行条件のもとでは、トルクコンバータの入出力要素間を油圧式ロックアップクラッチにより直結するロックアップトルクコンバータが今日では多用されている。
しかして、かようにトルクコンバータを入出力要素間を直結したロックアップ状態にするか、該ロックアップクラッチを釈放したコンバータ状態にするだけの、オン・オフ的な制御では、トルクコンバータのスリップ回転を制限する領域が狭くて十分な伝動効率の向上を望み得ない。
【0003】
そこで、上記ロックアップ状態にすべきロックアップク領域および上記コンバータ状態にすべきコンバータ領域の他に、ロックアップクラッチを所謂半クラッチ状態にして、要求される必要最小限のトルク変動吸収機能や、トルク増大機能が確保されるような態様でトルクコンバータのスリップ回転を制限するスリップ制御領域を設定し、これによりスリップ回転の制限を一層低車速まで行い得るようにしたトルクコンバータのスリップ制御技術も多々提案されている。
【0004】
そしてトルクコンバータのスリップ制御技術は一般的に、上記のスリップ制御領域においてエンジンのスロットル開度や、車速などの走行条件に応じ目標スリップ回転を決定し、トルクコンバータの実スリップ回転が当該目標スリップ回転になるよう油圧式ロックアップクラッチの締結力を制御するのが普通であり、
かかるスリップ制御によれば、こもり音や振動の問題を生ずることなしにスリップ制限の低車速化を実現して運転性の悪化を回避しつつ燃費の向上を図ることができる。
なおトルクコンバータのスリップ制御は、上記領域間での領域移行があった時にロックアップクラッチが急に締結されたり解放されてショックを生ずることのないよう、ロックアップクラッチの締結や解放を過渡制御するのにも用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トルクコンバータのスリップ制御中はロックアップクラッチを半クラッチ状態にスリップ結合させるために、クラッチフェーシングの早期摩耗を生じさせる原因となり、スリップ制御を行うトルクコンバータにあっては、ロックアップクラッチを完全締結させてトルクコンバータをロックアップ状態にするだけの場合と異なり、トルクコンバータの耐久性が著しく低下するのを避けられなかった。
これがためスリップ制御を行うトルクコンバータの場合、クラッチフェーシングを摩滅耐性に優れた特殊な材料で造る必要があるなど、コスト的に不利になることが多かった。
【0006】
請求項1に記載の第1発明は、締結力を電気的に制御される電気式クラッチの場合、例えば特開平10−37979号公報に示された静電クラッチに見られるごとく剪断応力によりトルク伝達を果たすことから摩滅の問題を生ぜず、トルクコンバータのスリップ回転を制限するロックアップクラッチとして摩滅耐性に優れているとの事実認識にもとづき、
本来の油圧式ロックアップクラッチに対し並列的に電気式ロックアップクラッチを設け、トルクコンバータのスリップ回転が大きいもとでのスリップ制御中は、油圧式ロックアップクラッチに代えて電気式ロックアップクラッチの締結力制御により所定のスリップ制御を実行するようにするようにし、これにより上記耐久性の問題を従来とは別の手段により解消することを目的とする。
【0007】
請求項2に記載の第2発明は、トルクコンバータのスリップ制御がロックアップ領域への移行があった時にも締結ショック防止のために実行されるとの観点から、この時にもトルクコンバータのスリップ回転が大きい場合は、油圧式ロックアップクラッチに代えて電気式ロックアップクラッチの締結力増大により所定のロックアップ進行制御を実行するようにし、これにより上記耐久性の問題を更に完全に解消することを目的とする。
【0008】
請求項3に記載の第3発明は、電気式ロックアップクラッチの締結力制御が油圧式ロックアップクラッチによる締結力制御よりもきめ細やかで正確なスリップ制御を実現し得るとの観点から、
スリップ制御中は確実に電気式ロックアップクラッチの締結力制御によるスリップ制御が行われるようにしてスリップ制御の一層の高精度化を実現することを目的とする。
【0009】
請求項4に記載の第4発明は、前記耐久性の問題を生じない小さなスリップ回転のもとでは油圧式ロックアップクラッチによる大きな締結力を利用して確実なロックアップを可能にすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
これらの目的のため、先ず第1発明によるトルクコンバータのスリップ制御装置は、
トルクコンバータの入出力要素間におけるスリップ回転を制御するためのロックアップ機構を、電気的な締結力制御によりトルクコンバータの前記スリップ制御が可能な電気式ロックアップクラッチと、油圧的な締結力制御によりトルクコンバータの前記スリップ制御が可能な油圧式ロックアップクラッチとの並置により構成し、
前記スリップ回転を目標スリップ回転にするスリップ制御を行うべきスリップ制御領域で前記スリップ回転が設定スリップ回転を超えている間、前記油圧式ロックアップクラッチを解放し、前記電気式ロックアップクラッチのみの締結力制御によりスリップ回転を目標スリップ回転にするスリップ制御を行うよう構成したことを特徴とするものである。
【0011】
第2発明によるトルクコンバータのスリップ制御装置は、上記第1発明において、
上記スリップ回転を0にすべきロックアップ領域への移行時も前記スリップ回転が設定スリップ回転を超えている間、前記油圧式ロックアップクラッチを解放し、前記電気式ロックアップクラッチの締結力増大によりスリップ回転を低下させるよう構成したことを特徴とするものである。
【0012】
第3発明によるトルクコンバータのスリップ制御装置は、第1発明または第2発明において、
前記設定スリップ回転を前記目標スリップ回転よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0013】
第4発明によるトルクコンバータのスリップ制御装置は、上記第3発明において、
前記設定スリップ回転を、前記油圧式ロックアップクラッチの耐久性が問題とならないスリップ回転の上限値としたことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の効果】
第1発明においては、トルクコンバータ入出力要素間のスリップ回転を制御するロックアップ機構を、電気的な締結力制御によりトルクコンバータのスリップ制御が可能な電気式ロックアップクラッチと、油圧的な締結力制御によりトルクコンバータのスリップ制御が可能な油圧式ロックアップクラッチとの並置により構成し、
上記スリップ回転を目標スリップ回転にするスリップ制御を行うべきスリップ制御領域でスリップ回転が設定スリップ回転を超えている間、油圧式ロックアップクラッチを解放し、これに代えて電気式ロックアップクラッチのみの締結力制御によりスリップ回転を目標スリップ回転にするスリップ制御を行う。
【0015】
これがため、トルクコンバータのスリップ回転が設定スリップ回転を超えている大スリップ回転のもとでのスリップ制御中は、油圧式ロックアップクラッチでなく電気式ロックアップクラッチの締結力制御によりスリップ制御を実行することとなり、
そして当該電気式ロックアップクラッチが静電クラッチに見られるごとく、上記大スリップ回転のもとでも摩滅の問題を生じないことから、
スリップ制御を常時油圧式ロックアップクラッチのみで行う場合におけるトルクコンバータの耐久性に関する問題を、従来のように特殊で高価なクラッチフェーシング材の使用に頼ることなく解消することができる。
【0016】
第2発明においては、ロックアップ領域への移行時もスリップ回転が設定スリップ回転を超えている間、油圧式ロックアップクラッチを解放し、電気式ロックアップクラッチの締結力増大によりスリップ回転を低下させることから、
ロックアップ領域への移行時に締結ショック防止のために実行されるスリップ制御中も、スリップ回転が大きければ、油圧式ロックアップクラッチでなく電気式ロックアップクラッチの締結力増大により所定のロックアップ進行制御を実行することとなり、
当該スリップ制御を常時油圧式ロックアップクラッチのみで行う場合におけるトルクコンバータの耐久性に関する問題を、従来のように特殊で高価なクラッチフェーシング材の使用に頼ることなく解消することができる。
【0017】
第3発明においては、前記設定スリップ回転を前記目標スリップ回転よりも小さくしたため、スリップ制御中は確実に電気式ロックアップクラッチの締結力制御によるスリップ制御が行われることとなり、
そして電気式ロックアップクラッチの締結力制御が油圧式ロックアップクラッチによる締結力制御よりもきめ細やかで正確であることから、スリップ制御の一層の高精度化を実現することができる。
【0018】
第4発明においては、前記設定スリップ回転を、前記油圧式ロックアップクラッチの耐久性が問題とならないスリップ回転の上限値としたため、前記耐久性の問題を生じない小さなスリップ回転のもとでは油圧式ロックアップクラッチによる大きな締結力を利用して確実なロックアップを行わせることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態になるスリップ制御装置を具えたトルクコンバータを含む車両の駆動系を示し、1はエンジン、2はトルクコンバータ、3は自動変速機の歯車変速機構、4はディファレンシャルギヤ装置、5は車輪で、これらを順次図示のように結合して車両の駆動系を構成する。
【0020】
トルクコンバータ2は、エンジン1で駆動される入力要素としてのポンプインペラ2aと、歯車変速機構3の入力軸に結合された出力要素としてのタービンランナ2bと、反力要素としてのステータ2cと、ポンプインペラ2aおよびタービンランナ2b間を直結する油圧式ロックアップクラッチ2dとを具えた、所謂ロックアップ式トルクコンバータとする。
トルクコンバータ2には更に、油圧式ロックアップクラッチ2dに対し並列的に配置されてポンプインペラ2aおよびタービンランナ2b間を直結する電気式ロックアップクラッチ2eを設け、これらロックアップクラッチ2d,2eについては図3を参照しつつトルクコンバータ2とともに後で詳述する。
【0021】
ロックアップクラッチ2dの締結力は、その前後におけるアプライ圧PA とレリーズ圧PR の差圧(ロックアップクラッチ締結圧)により決まり、アプライ圧PA がレリーズ圧PR よりも低ければ、ロックアップクラッチ2dは釈放されてポンプインペラ2aおよびタービンランナ2b間を直結せず、トルクコンバータ2をスリップ制限しないコンバータ状態で機能させる。
【0022】
アプライ圧PA がレリーズ圧PR よりも高い場合、その差圧に応じた力でロックアップクラッチ2dを締結させ、トルクコンバータ2をポンプインペラ2aおよびタービンランナ2b間の相対回転(スリップ回転)をロックアップクラッチ2dの締結力に応じてスリップ制限するスリップ制御状態で機能させる。
そして当該差圧が設定値よりも大きくなると、ポンプインペラ2aおよびタービンランナ2b間の相対回転がなくなり、トルクコンバータ2をロックアップ状態で機能させる。
【0023】
本実施の形態においては、アプライ圧PA およびレリーズ圧PR を決定するスリップ制御系を以下のごとくに構成とする。
11はスリップ制御弁を示し、コントローラ12によりデューティ制御されるロックアップソレノイド13からの信号圧PS に応じてアプライ圧PA およびレリーズ圧PR を決定するもので、これらスリップ制御弁11およびロックアップソレノイド13を周知のものとする。
【0024】
即ち、ロックアップソレノイド13は一定のパイロット圧を元圧として、コントローラ12からのソレノイド駆動デューティDの増大につれ信号圧PS を高くするものとする。
一方でスリップ制御弁11は、上記の信号圧PS およびフィードバックされたレリーズ圧PR を一方向に受けると共に、他方向にバネ11aのバネ力およびフィードバックされたアプライ圧PA を受け、信号圧PS の上昇につれて、アプライ圧PA とレリーズ圧PR との間の差圧(PA −PR )で表されるロックアップクラッチ2dの締結圧を図2に示すように変化させるものとする。
【0025】
ここでロックアップクラッチ締結圧(PA −PR )の負値はPR >PA によりトルクコンバータ2をコンバータ状態にすることを意味し、逆にロックアップクラッチ締結圧(PA −PR )が正である時は、その値が大きくなるにつれてロックアップクラッチ2dの締結容量が増大され、トルクコンバータ2のスリップ回転を大きく制限し、遂にはトルクコンバータ2をロックアップ状態にすることを意味する。
【0026】
コントローラ12には図1に示すように、アクセルペダル14の踏み込みに応じ開度増大されてエンジン1の出力を増大させるスロットルバルブ15の開度TVOを検出するスロットル開度センサ21からの信号と、ポンプインペラ2aの回転数ωI を検出するインペラ回転センサ22からの信号と、タービンランナ2bの回転数ωT を検出するタービン回転センサ23からの信号と、車速VSPを検出する車速センサ24からの信号とをそれぞれ入力する。
【0027】
コントローラ12はこれら入力情報をもとに、ソレノイド駆動デューティDを決定してロックアップソレノイド13およびロックアップ制御弁11を介しロックアップクラッチ2dの締結圧(PA −PR )制御すると同時に、正電極25および負電極26を経て電気式ロックアップクラッチ2eに所定の電圧を印加し、印加電圧に応じた電気式ロックアップクラッチ2eの締結力でトルクコンバータ入出力要素であるポンプインペラ2aおよびタービンランナ2b間のスリップ回転を制限するものとする。
【0028】
図3はトルクコンバータ2の詳細を示し、ポンプインペラ2aをこれに溶接したコンバータカバー31を介して図の右側におけるエンジン出力軸に結合し、ポンプインペラ2aおよびコンバータカバー31間に画成された室内にタービンランナ2b、ステータ2c、油圧式ロックアップクラッチ2d、および電気式ロックアップクラッチ2eを収納する。
ポンプインペラ2aは中空固定軸32上に回転自在に支持し、タービンランナ2bはポンプインペラ2aに対向配置するとともに、中空固定軸32に貫通させた歯車変速機構3(図1参照)の入力軸33にハブ34を介して結合し、ステータ2cはポンプインペラ2aおよびタービンランナ2b間に配置するとともに、ワンウェイクラッチ35を介し中空固定軸32上にエンジンと逆方向へ回り止めして載置する。
【0029】
油圧式ロックアップクラッチ2dは、トーショナルダンパ36を介してハブ34(タービンランナ2b)に駆動結合し、前記したロックアップクラッチ締結圧(PA −PR )が正である時、その値に応じた押し付け力でコンバータカバー31に締結され、トルクコンバータ2のスリップ回転を制限するものとする。
【0030】
電気式ロックアップクラッチ2eは前記文献に記載のような静電クラッチとし、コンバータカバー31の内側中心部に設けたクラッチエレメント37と、これに対向するようハブ34に設けたクラッチエレメント38とで構成する。
クラッチエレメント37は、ハブ34に設けた接点リング39にブラシ40を介して電気接続し、接点リング39から固定部に設けた前記正電極25までの間を電線41および接点リング42を介して電気的に通じさせる。
クラッチエレメント38は、固定部に設けた前記負電極26に電線43および接点リング44を介して電気的に導通させる。
【0031】
そして、電気式ロックアップクラッチ2eの収納空間を残部から仕切るため、接点リング39にオイルシール45を設け、該オイルシール45の先端リップ部をコンバータカバー31に摺接させる。
正電極25および負電極26は図1のコントローラ12に接続し、該コントローラは、演算により求めた電気式ロックアップクラッチ2eの要求締結力に対応する電圧を正電極25および負電極26間に、従ってクラッチエレメント37,38間に印加することにより、電気式ロックアップクラッチ2eの締結力を要求通りのものとなし、トルクコンバータ入出力要素であるポンプインペラ2aおよびタービンランナ2b間のスリップ回転を所定通りに制限することができる。
【0032】
コントローラ12は図1に示す入力情報をもとに、図4に示すフローチャートに沿って所定のロックアップ制御および本発明が狙いとするスリップ制御を行うべくロックアップソレノイド13の駆動デューティDおよび電気式ロックアップクラッチ2eへのを印加電圧を決定するものとする。
ステップ51においては、センサ24で検出した車速VSPおよびセンサ21で検出したスロットル開度TVOを読み込み、更にセンサ22,23で検出したポンプインペラ2aの回転数ωI およびタービンランナ2bの回転数ωT 間の差で表されるトルクコンバータ2のスリップ回転ΔωR (=ωI −ωT )を演算する。
【0033】
次のステップ52においては、図5に対応する予定のマップをもとに車速VSPおよびスロットル開度TVOから現在の運転状態が、トルクコンバータ2のスリップ回転を制限すべきでないコンバータ(C/V)領域の運転か、トルクコンバータ2のスリップ回転を運転状態に応じて定めた目標スリップ回転ΔωSL(図6参照)に制限すべきスリップ制御(S/L)領域の運転か、或いはトルクコンバータ2のスリップ回転を0にすべきロックアップ(L/U)領域での運転かを判定する。
【0034】
ステップ53では、上記の領域判定の結果、領域変更があったか否かをチェックし、領域変更があった時ステップ54で、当該領域変更があったことを示すようにフラグFLAGを1にセットして制御をステップ55に進め、同じ領域での運転中であればステップ54を実行しないで制御をステップ55に進める。
ステップ55では上記のフラグFLAGが1か否かを、つまり領域変更があった後の過渡状態か否かをチェックし、過渡状態でない定常状態ならステップ56,57でスリップ制御(S/L)領域か、ロックアップ(L/U)領域か、コンバータ(C/V)領域かを判定する。
【0035】
スリップ制御(S/L)領域ならステップ58において、油圧式ロックアップクラッチ2dを解放するようロックアップソレノイド13の駆動デューティDを決定して出力すると共に、電気式ロックアップクラッチ2eの締結力がトルクコンバータ2のスリップ回転ΔωR を運転状態に応じて定めた目標スリップ回転ΔωSL(図6参照)にするようなものとなるよう電気式ロックアップクラッチ2eの印加電圧を決定して出力する。
ロックアップ(L/U)領域ならステップ59において、油圧式ロックアップクラッチ2dを完全締結するようロックアップソレノイド13の駆動デューティDを決定して出力すると共に、電気式ロックアップクラッチ2eが解放されるよう電気式ロックアップクラッチ2eの印加電圧を決定して出力する。
コンバータ(C/V)領域ならステップ60において、油圧式ロックアップクラッチ2dが解放されるようロックアップソレノイド13の駆動デューティDを決定して出力すると共に、電気式ロックアップクラッチ2eも解放されるよう電気式ロックアップクラッチ2eの印加電圧を決定して出力する。
【0036】
ステップ55で前記のフラグFLAGから、領域変更があった後の過渡状態であると判定した場合は、ステップ61においてトルクコンバータ2のスリップ回転ΔωR が、図6のように目標スリップ回転ΔωSLよりも小さく、油圧式ロックアップクラッチ2dの耐久性が問題とならないスリップ回転の上限値に定めた設定スリップ回転Δω0 よりも大きいか否かをチェックする。
ΔωR >Δω0 である場合、油圧式ロックアップクラッチ2dの耐久性が問題となるほどに大きなスリップ回転が発生していることから、ステップ58において、油圧式ロックアップクラッチ2dが締結されることのないようこれを解放し、これに代えて電気式ロックアップクラッチ2eの締結力制御によりトルクコンバータ2のスリップ制御を行う。
【0037】
ステップ61においてトルクコンバータ2のスリップ回転ΔωR が設定スリップ回転Δω0 以下であると判定した場合は、油圧式ロックアップクラッチ2dの耐久性が問題となるほどに大きなスリップ回転が発生していないことから、ステップ62において判定する領域別に、対応する定常制御に移行する。
つまり、スリップ制御(S/L)領域ならステップ63で前記のフラグFLAGを0にリセットした後ステップ58において、油圧式ロックアップクラッチ2dを解放すると共に、電気式ロックアップクラッチ2eの締結力制御によりトルクコンバータ2のスリップ回転ΔωR を目標スリップ回転ΔωSLにする。
ロックアップ(L/U)領域ならステップ64でフラグFLAGを0にリセットした後ステップ59において、油圧式ロックアップクラッチ2dを完全締結すると共に、電気式ロックアップクラッチ2eを解放する。
コンバータ(C/V)領域ならステップ65でフラグFLAGを0にリセットした後ステップ60において、油圧式ロックアップクラッチ2dを解放すると共に、電気式ロックアップクラッチ2eも解放させる。
【0038】
上記の制御を、領域が図6に示すごとくコンバータ(C/V)領域、スリップ制御(S/L)領域、ロックアップ(L/U)領域、コンバータ(C/V)領域、ロックアップ(L/U)領域、スリップ制御(S/L)領域、コンバータ(C/V)領域のように変更されて、トルクコンバータ2のスリップ回転ΔωR が同図に示す如くに変化した場合につき付言すると、
スリップ制御(S/L)領域でトルクコンバータ2のスリップ回転ΔωR が設定スリップ回転Δω0 を超えている間(図6に右上がりのハッチングを付して示した)、油圧式ロックアップクラッチ2dを解放し、これに代えて電気式ロックアップクラッチ2eのみの締結力制御によりスリップ回転ΔωR を目標スリップ回転ΔωSLにするスリップ制御を行う。
【0039】
これがため、トルクコンバータ2のスリップ回転ΔωR が設定スリップ回転Δω0 を超えている大スリップ回転のもとでのスリップ制御中は、油圧式ロックアップクラッチ2dでなく電気式ロックアップクラッチ2eの締結力制御によりスリップ制御を実行することとなり、
そして当該電気式ロックアップクラッチ2eが静電クラッチに見られるごとく、上記大スリップ回転(ΔωR >Δω0 )のもとでも摩滅の問題を生じないことから、
スリップ制御を常時油圧式ロックアップクラッチ2dのみで行う場合におけるトルクコンバータの耐久性に関する問題を、従来のように特殊で高価なクラッチフェーシング材の使用に頼ることなく解消することができる。
【0040】
また本実施の形態においては、図6に右下がりのハッチングを付して示すように、ロックアップ(L/U)領域への移行過渡時もスリップ回転ΔωR が設定スリップ回転Δω0 を超えている間、油圧式ロックアップクラッチ2dを解放し、電気式ロックアップクラッチ2eの締結力増大によりスリップ回転を低下させるため、
ロックアップ(L/U)領域への移行時に締結ショック防止のために実行されるスリップ制御中も、スリップ回転が大きければ(ΔωR >Δω0 なら)、油圧式ロックアップクラッチ2dでなく電気式ロックアップクラッチ2eの締結力増大により所定のロックアップ進行制御を実行することとなり、
当該スリップ制御を常時油圧式ロックアップクラッチのみで行う場合におけるトルクコンバータの耐久性に関する問題を、従来のように特殊で高価なクラッチフェーシング材の使用に頼ることなく解消することができる。
【0041】
更に本実施の形態によれば、図6に示すように設定スリップ回転Δω0 を目標スリップ回転ΔωSLよりも小さくしたため、スリップ制御中は確実に電気式ロックアップクラッチ2eの締結力制御によるスリップ制御が行われる。
そして電気式ロックアップクラッチ2eの締結力制御が油圧式ロックアップクラッチ2dによる締結力制御よりもきめ細やかで正確であることから、スリップ制御の一層の高精度化を実現することができる。
【0042】
加えて本実施の形態によれば、前記したように設定スリップ回転Δω0 を、油圧式ロックアップクラッチ2dの耐久性が問題とならないスリップ回転の上限値としたため、耐久性の問題を生じない小さなスリップ回転(ΔωR ≦Δω0 )のもとでは図6に点々を付して示すように油圧式ロックアップクラッチ2dによる大きな締結力を利用して確実なロックアップを行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になるスリップ制御装置を具えたトルクコンバータを含む車両の駆動系およびその制御システムを示す概略系統図である。
【図2】ロックアップソレノイドからの信号圧と、ロックアップクラッチ締結圧との関係を示す線図である。
【図3】同実施の形態における油圧式ロックアップクラッチおよび電気式ロックアップクラッチを並置したトルクコンバータの詳細断面図である。
【図4】同実施の形態においてコントローラが実行するスリップ制御を示すフローチャートである。
【図5】ロックアップ領域、コンバータ領域、およびスリップ制御領域を例示する領域線図である。
【図6】同実施の形態におけるスリップ制御を例示するタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 トルクコンバータ
2a ポンプインペラ(入力要素)
2b タービンランナ(出力要素)
2c ステータ(反力要素)
2d 油圧式ロックアップクラッチ(ロックアップ機構)
2e 電気式ロックアップクラッチ(ロックアップ機構)
3 歯車変速機構
4 ディファレンシャルギヤ装置
5 車輪
11 スリップ制御弁
12 コントローラ
13 ロックアップソレノイド
21 スロットル開度センサ
22 インペラ回転センサ
23 タービン回転センサ
24 車速センサ
25 正電極
26 負電極
31 コンバータカバー
32 中空固定軸
33 歯車変速機構入力軸
34 ハブ
35 ワンウェイクラッチ
36 トーショナルダンパ
37 クラッチエレメント
38 クラッチエレメント
39 接点リング
40 ブラシ
42 接点リング
44 接点リング
45 オイルシール

Claims (4)

  1. トルクコンバータの入出力要素間におけるスリップ回転をロックアップ機構により制御するためのスリップ制御装置において、
    前記ロックアップ機構を、電気的な締結力制御によりトルクコンバータの前記スリップ制御が可能な電気式ロックアップクラッチと、油圧的な締結力制御によりトルクコンバータの前記スリップ制御が可能な油圧式ロックアップクラッチとの並置により構成し、
    前記スリップ回転を目標スリップ回転にするスリップ制御を行うべきスリップ制御領域で前記スリップ回転が設定スリップ回転を超えている間、前記油圧式ロックアップクラッチを解放し、前記電気式ロックアップクラッチのみの締結力制御によりスリップ回転を目標スリップ回転にするスリップ制御を行うよう構成したことを特徴とするトルクコンバータのスリップ制御装置。
  2. 請求項1において、前記スリップ回転を0にすべきロックアップ領域への移行時も前記スリップ回転が設定スリップ回転を超えている間、前記油圧式ロックアップクラッチを解放し、前記電気式ロックアップクラッチの締結力増大によりスリップ回転を低下させるよう構成したことを特徴とするトルクコンバータのスリップ制御装置。
  3. 請求項1または2において、前記設定スリップ回転を前記目標スリップ回転よりも小さくしたことを特徴とするトルクコンバータのスリップ制御装置。
  4. 請求項3において、前記設定スリップ回転を、前記油圧式ロックアップクラッチの耐久性が問題とならないスリップ回転の上限値としたことを特徴とするトルクコンバータのスリップ制御装置。
JP33381199A 1999-11-25 1999-11-25 トルクコンバータのスリップ制御装置 Expired - Fee Related JP3543703B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33381199A JP3543703B2 (ja) 1999-11-25 1999-11-25 トルクコンバータのスリップ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33381199A JP3543703B2 (ja) 1999-11-25 1999-11-25 トルクコンバータのスリップ制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001153221A JP2001153221A (ja) 2001-06-08
JP3543703B2 true JP3543703B2 (ja) 2004-07-21

Family

ID=18270224

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33381199A Expired - Fee Related JP3543703B2 (ja) 1999-11-25 1999-11-25 トルクコンバータのスリップ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3543703B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6348414B2 (ja) * 2014-12-24 2018-06-27 株式会社エクセディ トルクコンバータのロックアップ装置
JP6422331B2 (ja) * 2014-12-24 2018-11-14 株式会社エクセディ トルクコンバータのロックアップ装置
WO2016103891A1 (ja) * 2014-12-24 2016-06-30 株式会社エクセディ トルクコンバータのロックアップ装置及びその制御方法
CN110929389B (zh) * 2019-11-08 2020-08-25 傲源流体技术(上海)有限公司 一种水力设计方法及系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001153221A (ja) 2001-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7644812B2 (en) Using inferred torque converter impeller speed to control an impeller clutch
US6974402B2 (en) Launch control of hybrid electric vehicle having a torque converterless driveline
US7149616B2 (en) Control apparatus and method for vehicle
JP3915714B2 (ja) 変速機の制御装置
JP5747980B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
KR101420959B1 (ko) 하이브리드 차량의 액셀러레이터 페달 답력 제어 장치
JP3227905B2 (ja) 電気モータ駆動車輌
WO2010047095A1 (ja) 動力伝達装置
JP3430281B2 (ja) 自動変速機のクリープ防止装置
JP2008151291A (ja) 流体伝動装置およびこれが組み込まれた車両の運転制御装置
JP2002130337A (ja) 車両用駆動装置の摩擦クラッチ制御装置
JP2003120804A (ja) 無段変速機を含む駆動機構の制御装置
JP3543703B2 (ja) トルクコンバータのスリップ制御装置
JP3873905B2 (ja) 変速機の制御装置
JP4244602B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP4302869B2 (ja) ロックアップクラッチの制御装置
JP3658793B2 (ja) 自動変速機の過熱対策装置
JP3873906B2 (ja) 変速機の制御装置
KR100217072B1 (ko) 댐퍼 클러치 제어 방법
JP2606453B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP4333108B2 (ja) ロックアップクラッチの制御装置
JP2626240B2 (ja) 可変容量型トルクコンバータのトルク容量制御装置
JPH0532869U (ja) 車両用自動変速機の制御装置
JP4254180B2 (ja) 変速機の制御装置
JP2004293653A (ja) クラッチの制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20040316

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040329

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees