JP3658793B2 - 自動変速機の過熱対策装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動変速機の過熱時における対策装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は、例えば本願出願人が昭和62年3月に発行した「RE4R01A型フルレンジ電子制御オートマチックトランスミッション整備要領書」(A261C07)に記載の有段式自動変速機について述べると、図4に示すごとく車速VSPとエンジンスロットル開度TVOとで規定された車両運転状態ごとの好適変速段を予め決定しておき、これに基づき、実線で示すアップシフト変速線よりも図中右側の領域に移行した時、第n速から第n+1速へのアップシフト変速を行い、破線で示すダウンシフト変速線よりも図中左側の領域に移行した時、第n+1速から第n速へのダウンシフト変速を行うよう構成する。
【0003】
ところで、上記に代表される自動変速機にあっては、特にダウンシフト変速線を越える直前の斜線領域における例えば車速VSPがVSP1 近辺で、スロットル開度TVOがTVO1 近辺の運転運転状態の時に、エンジンと自動変速機との間に介在させたトルクコンバータのスリップ(入出力要素間の相対回転)が大きくなる。ここでトルクコンバータは、自動変速機の作動油の一部を作動流体としており、上記のようにトルクコンバータのスリップ量が大きくなる運転を比較的長時間に亘って継続すると、自動変速機の作動油温が過熱され、自動変速機の過熱を惹起する。
【0004】
そこで従来、例えば特開昭62−74726号公報に記載のごとく、電子制御式自動変速機において作動油温を検出するセンサを設け、これにより検出された作動油温が設定温度を越えるとき、シフトソレノイドのON,OFF制御により強制ダウンシフト変速を行わせて変速段を強制的に低速段に切り換える対策が提案された。かかる強制ダウンシフト変速は、ギヤ比が大きくなった分、トルクコンバータが行うべきトルク増大作用を緩和し、作動油温の過熱原因であるトルクコンバータのスリップ量を減ずることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の強制ダウンシフト変速による過熱対策では、高価な油温センサが余分に必要であるだけでなく、変速制御ロジックが1つ追加されて変速制御の演算が面倒になることから、コスト的に不利になるのを免れなかった。
【0006】
また、上記した従来の強制ダウンシフト変速による過熱対策では、シフトソレノイドの電子的なON,OFF制御により変速を行う電子制御式自動変速機にしか採用することができず、変速弁を油圧制御により切り換えて変速を行わせる油圧制御式自動変速機に用いることができなくて、汎用性に欠けるという問題もあった。
【0007】
本発明は、変速制御ロジックの変更や追加を必要とすることなしに自動変速機の過熱対策を行うことができ、また油圧制御式自動変速機にも用いることができる自動変速機の過熱対策装置を提案し、もって上述の問題を解消することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的のため第1発明による自動変速機の過熱対策装置は、
トルクコンバータ入出力要素間をロックアップクラッチにより直結可能なロックアップ式トルクコンバータを介して入力される動力を変速して出力する自動変速機において、
前記トルクコンバータ内の作動油温に応じ該作動油温の過熱時、前記ロックアップクラッチを滑り結合させる弾性体をトルクコンバータ内に設けたことを特徴とするものである。
【0009】
また第2発明による自動変速機の過熱対策装置は、
上記弾性体をトルクコンバータ出力要素およびロックアップクラッチ間のスプライン結合部に介在させたことを特徴とするものである。
【0010】
更に第3発明による自動変速機の過熱対策装置は、
上記弾性体によるロックアップクラッチの滑り結合力を最大でも、トルクコンバータの前段におけるエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたことを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
第1発明において自動変速機は、トルクコンバータを介して動力を入力され、この動力を変速して出力する。この伝動に際しトルクコンバータは、ロックアップクラッチによりトルクコンバータ入出力要素間を直結可能で、この直結状態ではトルク増大作用やトルク変動吸収機能が得られないものの、トルクコンバータのスリップをなくして伝動効率を高めることができる。
【0012】
一方、上記の弾性体はトルクコンバータ内の作動油温に応じこの作動油温が過熱状態になる時、ロックアップクラッチを滑り結合させる。かかるロックアップクラッチの滑り結合でトルクコンバータは、ロックアップクラッチの滑り結合力に応じてトルク増大作用を低減される。よって運転者は、同じ車速を維持しようとして駆動力不足を感じ、アクセルペダルの踏み込みによりスロットル開度を増す等の操作を行うこととなり、自動変速機は結果としてダウンシフト変速を行う。このダウンシフト変速によりギヤ比が大きくなった分、トルクコンバータが行うべきトルク増大作用が緩和され、作動油温の過熱原因であるトルクコンバータのスリップ量を減じて作動油温の過熱を防止することができる。
【0013】
ところで、かかる自動変速機の過熱対策によれば、トルクコンバータに上記の弾性体を付加するだけで所期の作用を得ることができることから、高価な油温センサなどの部品を必要としないし、また変速制御ロジックの変更や追加も必要とせず、コスト上大いに有利である。
【0014】
また、上記第1発明による自動変速機の過熱対策では、同様な構成上の理由から、電子制御式自動変速機に限らず、油圧制御式自動変速機にも採用することができるし、また有段式自動変速機に限らず、無段変速機にも用いることができ、汎用性が極めて高い。
【0015】
なお第2発明による自動変速機の過熱対策装置においては、上記弾性体をトルクコンバータ出力要素およびロックアップクラッチ間のスプライン結合部に介在させたことから、
弾性体が一切相対回転を生じない部品間に介在することとなり、弾性体の耐久性を向上させることができる。
【0016】
また第3発明による自動変速機の過熱対策装置においては、上記弾性体によるロックアップクラッチの滑り結合力を最大でも、トルクコンバータの前段におけるエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたから、
如何なる運転状態のもとでもエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生ずることがなく、第3発明による自動変速機の過熱対策装置はその設置によっても運転性を損なうことがない。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明による自動変速機の過熱対策装置を例示するトルクコンバータの断面図で、このトルクコンバータ1は、入力要素であるポンプインペラ1aと、出力要素であるタービンランナ1bと、反力要素であるステータ1cと、ロックアップクラッチ1dとを具える。
【0018】
ポンプインペラ1aは、自動変速機2の変速機ケース3内に取着したポンプハウジング4の中心部にブッシュ5を介して回転自在に支持すると共に、ポンプインペラ1aに溶接(6)したコンバータカバー7を介して図示せざるエンジンクランクシャフトに結合する。タービンランナ1b、ステータ1c、およびロックアップクラッチ1dは、ポンプインペラ1aとこれに溶接したコンバータカバー7とで画成される空間内に収容し、ポンプインペラ1aと対向するタービンランナ1bはタービンハブ8を介してトルクコンバータ出力軸(変速機入力軸)9に回転結合させる。また、ポンプインペラ1aとタービンランナ1bとの間にあってトルク増大作用を生起するステータ1cは、トルクコンバータ出力軸9を回転自在に支持する中空固定軸10上に、ワンウエイクラッチ11を介して支持する。
【0019】
ロックアップクラッチ1dは、タービンランナ1bおよびコンバータカバー7間に介在させ、このロックアップクラッチ1dを、一方でタービンハブ8上に支持し、他方で当該タービンハブ8に対しトーショナルダンパ12を介してスプライン13により回転係合させる。
【0020】
本例では特に、タービンハブ8に対するロックアップクラッチ1dのスプライン結合部13に介在させて、弾性体としてのコイルばね14を設け、このコイルばね14は多数個を1組としてスプライン結合部13の周囲に等間隔に配置する。この配置に当たっては、タービンランナ1bをリベット15でタービンハブ8に鋲着するに際してこれらの間に共締めしたばね座16と、トーショナルダンパ12の内周ハブ部17上に係着したばね座18との間に介装することとする。
【0021】
ここでコイルばね14は、トルクコンバータ内の作動油温が上昇するにつれてばね長が伸びるよう変形するものとし、この変形でロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に対し、例えば図2に実線で示すような結合力を生起するものとする。つまり、作動油温Tが過熱気味を表す下限値T0 未満である間、コイルばね14はロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に押しつけるに至らず、コンバータカバー7に対するロックアップクラッチ1dの結合力Fを0に保つ。しかして作動油温Tが過熱気味を表す下限値T0 を越えると、コイルばね14は温度上昇につれてロックアップクラッチ1dを強くコンバータカバー7に押しつけ、コンバータカバー7に対するロックアップクラッチ1dの結合力Fを温度上昇につれて漸増させ、或る温度T1 以上の高温ではロックアップクラッチ1dの結合力Fを上限のFS に保つものとする。
【0022】
但し、ロックアップクラッチ結合力の上限値FS は、ロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に対してスリップすることなく完全に結合させるための最低結合力FL よりも小さな値とし、好ましくはロックアップクラッチ結合力の上限値FS をエンジンの停止や、ロックアップクラッチ1dのジャダーを生じない上限値に定めるのがよい。従ってコイルばね14は、作動油温Tが過熱気味を表す下限値T0 を越えると、上記エンジンの停止やジャダーを生じない範囲で、温度上昇とともに強くロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に対し滑り結合させることができる。
【0023】
上記実施例の作用を次に説明する。
コンバータカバー7を経て入力されるエンジン回転はポンプインペラ1aに伝達され、これを回転駆動する。ここでポンプインペラ1aは、トルクコンバータ1を通流する作動油を遠心力でタービンランナ1bに向かわせ、これに衝突させてタービンランナ1bを流体駆動する。その後、作動油はステータ1cを経てポンプインペラ1aに戻され、この間ステータ1cによる反力下でタービンランナ1bへのトルクを増大させる。タービンランナ1bの回転トルクはタービンハブ8を介し軸9に至り、これから変速機ケース3内における自動変速機2の歯車変速機構に伝達される。
【0024】
以上のようなトルクコンバータ1のコンバータ状態での伝動は、ロックアップクラッチ1dがコンバータカバー7から図示のごとく離されたロックアップクラッチ解放時に行われ、かかるロックアップクラッチ1dの解放は、作動油をトルクコンバータ1に通流させるに際しこれを、ロックアップクラッチ1dおよびコンバータカバー7間に画成された室に流入させ、ロックアップクラッチ1dの反対側における室から流出させる時に生起される。
【0025】
作動油をトルクコンバータ1に対し上記と逆向きに通流させる時、ロックアップクラッチ1dは動圧によりコンバータカバー7に向け付勢されてこれに圧接される。かかるトルクコンバータ1のロックアップ状態では、ロックアップクラッチ1dがコンバータカバー7へのエンジン回転をそのままタービンハブ8を介し軸9に伝達し、これから変速機ケース3内における自動変速機2の歯車変速機構に入力させる。従って、当該ロックアップ状態でトルクコンバータ1は、入出力要素1a,1b間を直結されることとなり、これら入出力要素1a,1b間の相対回転、つまりトルクコンバータのスリップを0にして、上記のトルク増大作用が行われなくなる。
【0026】
以上のトルクコンバータ1の伝動作用は、作動油が図2に示す温度値T0 未満で、過熱状態でなく、従ってコイルばね14がロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に押しつけることのない時のものである。
【0027】
ところで、トルクコンバータ1がコンバータ状態で伝動を行う時は、そのスリップにより作動油が攪拌されて温度上昇が大きくなる。そしてこの傾向は、図4の斜線領域での運転のようにトルクコンバータスリップ量が大きくなる運転状態で特に顕著になり、かかる運転状態を継続すると、作動油が過熱される。作動油が図2に示す温度値T0 を越えた過熱状態では、コイルばね14がロックアップクラッチ1dをしてコンバータカバー7に押しつけ、図2に示す特性のように温度上昇につれ大きくなる結合力を生起して、ロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に滑り結合させる。
【0028】
この滑り結合は、トルクコンバータ1のトルク増大作用を低減させ、図1のトルクコンバータ1および自動変速機2を車両に搭載した場合における車輪駆動力特性を自動変速機2の変速段(第1速、第2速、第3速)ごとに示す図3からも明らかなように、駆動力低下を惹起する。図3において実線は、各変速段でトルクコンバータ1がコンバータ状態である時の車輪駆動力特性を、また1点鎖線は、各変速段でトルクコンバータ1がロックアップ状態である時の車輪駆動力特性をそれぞれ示す。今、第3速で、車速VSPを図3中のVSP2 により示す値に保つ走行を行っている場合を考えると、ロックアップクラッチ1dの上記滑り結合は、車輪駆動力をコンバータ状態での駆動力DC からロックアップ状態での駆動力DL に向けて、ロックアップクラッチ1dの滑り結合度合(作動油の過熱度合)に対応した例えばDS に低下させる。
【0029】
ここで運転者は、車速VSP2 を維持するには駆動力不足であること感じることなり、車速維持のためにアクセルペダルを踏み込んでスロットル開度TVOを増すなり、マニュアル操作でダウンシフト変速を行わせる。なお前者のアクセルペダルの踏み込みによるスロットル開度TVOの増大も、図4に示す斜線領域から低速段(第n速)への領域移行を伴い、結果として自動変速機をダウンシフト変速させることになる。このダウンシフト変速によりギヤ比が大きくなった分、トルクコンバータ1が行うべきトルク増大作用が緩和され、作動油温の過熱原因であるトルクコンバータスリップ量を減じて作動油の過熱を防止することができる。
【0030】
ところで、本例のような自動変速機の過熱対策によれば、トルクコンバータ1に前記したようなコイルばね14を付加するだけで所期の過熱対策を行うことができ、高価な油温センサなどの部品を必要としないし、また変速制御ロジックの変更や追加も必要とせず、コスト上大いに有利である。
【0031】
また本例の過熱対策では、トルクコンバータ1にコイルばね14を付加するだけでよいとの構成上の理由から、電子制御式自動変速機に限らず、油圧制御式自動変速機にも採用することができるし、また有段式自動変速機に限らず、無段変速機にも用いることができ、汎用性が極めて高い。
【0032】
なお本例による自動変速機の過熱対策においては、コイルばね14をタービンハブ8に対するロックアップクラッチ1dのスプライン結合部13に配置したことによって、コイルばね14の両端がいささかもトルクコンバータ回転方向に相対変位されることがなく、コイルばね14の耐久性を向上させることができる。また、コイルばね14が自動変速機の過熱原因であるトルクコンバータ1内に配置されていることから、過熱対策に対する応答性が頗るよい。
【0033】
また本例による自動変速機の過熱対策においては、コイルばね14によるロックアップクラッチ結合力を最大でも、図2につき前述したようにエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたことから、如何なる運転状態のもとでもエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生ずることがなく、本例の過熱対策装置はその設置によっても運転性を損なうことがない。
【0034】
【発明の効果】
かくして第1発明による自動変速機の過熱対策装置は、請求項1に記載のごとく、
トルクコンバータ内の作動油温に応じ作動油温の過熱時、トルクコンバータのロックアップクラッチを滑り結合させる弾性体をトルクコンバータ内に設けた構成になるから、
トルクコンバータの作動油温が過熱状態になる時、弾性体によりロックアップクラッチを滑り結合させてトルクコンバータのトルク増大作用を減じ得ることとなり、
これに伴う駆動力不足を感じて運転者が、アクセルペダルの踏み込みによりスロットル開度を増す等の操作を行うことで生ずる自動変速機のダウンシフト変速により、作動油温の過熱を防止することができる。
【0035】
そして第1発明による自動変速機の過熱対策装置は、トルクコンバータに上記の弾性体を付加するだけで所期の作用を得ることができることから、高価な油温センサなどの部品を必要としないし、また変速制御ロジックの変更や追加も必要とせず、コスト上大いに有利である。
【0036】
また、上記第1発明による自動変速機の過熱対策では、同様な構成上の理由から、電子制御式自動変速機に限らず、油圧制御式自動変速機にも採用することができるし、また有段式自動変速機に限らず、無段変速機にも用いることができ、汎用性が極めて高い。
【0037】
第2発明による自動変速機の過熱対策装置は、請求項2に記載のごとく、
上記弾性体をトルクコンバータ出力要素およびロックアップクラッチ間のスプライン結合部に介在させた構成になるから、
弾性体が一切相対回転を生じない部品間に介在することとなり、弾性体の耐久性を向上させることができる。
【0038】
第3発明による自動変速機の過熱対策装置は、請求項3に記載のごとく、
上記弾性体によるロックアップクラッチの滑り結合力を最大でも、トルクコンバータの前段におけるエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたから、
如何なる運転状態のもとでもエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生ずることがなく、第3発明による自動変速機の過熱対策装置はその設置によっても運転性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による過熱対策装置の一実施例を示す自動変速機のトルクコンバータを示す要部断面図である。
【図2】同例におけるコイルばねが生起するロックアップクラッチの滑り結合力特性を示す線図である。
【図3】図1に示す自動変速機のトルクコンバータを車両に搭載した場合における車輪駆動力特性を、トルクコンバータがコンバータ状態である場合と、ロックアップ状態である場合とで比較して示す線図である。
【図4】自動変速機作動油の過熱を生じ易い運転領域を例示する自動変速機の変速線図である。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ
1a ポンプインペラ(トルクコンバータ入力要素)
1b タービンランナ(トルクコンバータ出力要素)
1c ステータ
1d ロックアップクラッチ
2 自動変速機
3 変速機ケース
7 コンバータカバー
8 タービンハブ
9 トルクコンバータ出力軸
12 トーショナルダンパ
13 スプライン結合部
14 コイルばね(弾性体)
16 ばね座
18 ばね座
【産業上の利用分野】
本発明は、自動変速機の過熱時における対策装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は、例えば本願出願人が昭和62年3月に発行した「RE4R01A型フルレンジ電子制御オートマチックトランスミッション整備要領書」(A261C07)に記載の有段式自動変速機について述べると、図4に示すごとく車速VSPとエンジンスロットル開度TVOとで規定された車両運転状態ごとの好適変速段を予め決定しておき、これに基づき、実線で示すアップシフト変速線よりも図中右側の領域に移行した時、第n速から第n+1速へのアップシフト変速を行い、破線で示すダウンシフト変速線よりも図中左側の領域に移行した時、第n+1速から第n速へのダウンシフト変速を行うよう構成する。
【0003】
ところで、上記に代表される自動変速機にあっては、特にダウンシフト変速線を越える直前の斜線領域における例えば車速VSPがVSP1 近辺で、スロットル開度TVOがTVO1 近辺の運転運転状態の時に、エンジンと自動変速機との間に介在させたトルクコンバータのスリップ(入出力要素間の相対回転)が大きくなる。ここでトルクコンバータは、自動変速機の作動油の一部を作動流体としており、上記のようにトルクコンバータのスリップ量が大きくなる運転を比較的長時間に亘って継続すると、自動変速機の作動油温が過熱され、自動変速機の過熱を惹起する。
【0004】
そこで従来、例えば特開昭62−74726号公報に記載のごとく、電子制御式自動変速機において作動油温を検出するセンサを設け、これにより検出された作動油温が設定温度を越えるとき、シフトソレノイドのON,OFF制御により強制ダウンシフト変速を行わせて変速段を強制的に低速段に切り換える対策が提案された。かかる強制ダウンシフト変速は、ギヤ比が大きくなった分、トルクコンバータが行うべきトルク増大作用を緩和し、作動油温の過熱原因であるトルクコンバータのスリップ量を減ずることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の強制ダウンシフト変速による過熱対策では、高価な油温センサが余分に必要であるだけでなく、変速制御ロジックが1つ追加されて変速制御の演算が面倒になることから、コスト的に不利になるのを免れなかった。
【0006】
また、上記した従来の強制ダウンシフト変速による過熱対策では、シフトソレノイドの電子的なON,OFF制御により変速を行う電子制御式自動変速機にしか採用することができず、変速弁を油圧制御により切り換えて変速を行わせる油圧制御式自動変速機に用いることができなくて、汎用性に欠けるという問題もあった。
【0007】
本発明は、変速制御ロジックの変更や追加を必要とすることなしに自動変速機の過熱対策を行うことができ、また油圧制御式自動変速機にも用いることができる自動変速機の過熱対策装置を提案し、もって上述の問題を解消することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的のため第1発明による自動変速機の過熱対策装置は、
トルクコンバータ入出力要素間をロックアップクラッチにより直結可能なロックアップ式トルクコンバータを介して入力される動力を変速して出力する自動変速機において、
前記トルクコンバータ内の作動油温に応じ該作動油温の過熱時、前記ロックアップクラッチを滑り結合させる弾性体をトルクコンバータ内に設けたことを特徴とするものである。
【0009】
また第2発明による自動変速機の過熱対策装置は、
上記弾性体をトルクコンバータ出力要素およびロックアップクラッチ間のスプライン結合部に介在させたことを特徴とするものである。
【0010】
更に第3発明による自動変速機の過熱対策装置は、
上記弾性体によるロックアップクラッチの滑り結合力を最大でも、トルクコンバータの前段におけるエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたことを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
第1発明において自動変速機は、トルクコンバータを介して動力を入力され、この動力を変速して出力する。この伝動に際しトルクコンバータは、ロックアップクラッチによりトルクコンバータ入出力要素間を直結可能で、この直結状態ではトルク増大作用やトルク変動吸収機能が得られないものの、トルクコンバータのスリップをなくして伝動効率を高めることができる。
【0012】
一方、上記の弾性体はトルクコンバータ内の作動油温に応じこの作動油温が過熱状態になる時、ロックアップクラッチを滑り結合させる。かかるロックアップクラッチの滑り結合でトルクコンバータは、ロックアップクラッチの滑り結合力に応じてトルク増大作用を低減される。よって運転者は、同じ車速を維持しようとして駆動力不足を感じ、アクセルペダルの踏み込みによりスロットル開度を増す等の操作を行うこととなり、自動変速機は結果としてダウンシフト変速を行う。このダウンシフト変速によりギヤ比が大きくなった分、トルクコンバータが行うべきトルク増大作用が緩和され、作動油温の過熱原因であるトルクコンバータのスリップ量を減じて作動油温の過熱を防止することができる。
【0013】
ところで、かかる自動変速機の過熱対策によれば、トルクコンバータに上記の弾性体を付加するだけで所期の作用を得ることができることから、高価な油温センサなどの部品を必要としないし、また変速制御ロジックの変更や追加も必要とせず、コスト上大いに有利である。
【0014】
また、上記第1発明による自動変速機の過熱対策では、同様な構成上の理由から、電子制御式自動変速機に限らず、油圧制御式自動変速機にも採用することができるし、また有段式自動変速機に限らず、無段変速機にも用いることができ、汎用性が極めて高い。
【0015】
なお第2発明による自動変速機の過熱対策装置においては、上記弾性体をトルクコンバータ出力要素およびロックアップクラッチ間のスプライン結合部に介在させたことから、
弾性体が一切相対回転を生じない部品間に介在することとなり、弾性体の耐久性を向上させることができる。
【0016】
また第3発明による自動変速機の過熱対策装置においては、上記弾性体によるロックアップクラッチの滑り結合力を最大でも、トルクコンバータの前段におけるエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたから、
如何なる運転状態のもとでもエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生ずることがなく、第3発明による自動変速機の過熱対策装置はその設置によっても運転性を損なうことがない。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明による自動変速機の過熱対策装置を例示するトルクコンバータの断面図で、このトルクコンバータ1は、入力要素であるポンプインペラ1aと、出力要素であるタービンランナ1bと、反力要素であるステータ1cと、ロックアップクラッチ1dとを具える。
【0018】
ポンプインペラ1aは、自動変速機2の変速機ケース3内に取着したポンプハウジング4の中心部にブッシュ5を介して回転自在に支持すると共に、ポンプインペラ1aに溶接(6)したコンバータカバー7を介して図示せざるエンジンクランクシャフトに結合する。タービンランナ1b、ステータ1c、およびロックアップクラッチ1dは、ポンプインペラ1aとこれに溶接したコンバータカバー7とで画成される空間内に収容し、ポンプインペラ1aと対向するタービンランナ1bはタービンハブ8を介してトルクコンバータ出力軸(変速機入力軸)9に回転結合させる。また、ポンプインペラ1aとタービンランナ1bとの間にあってトルク増大作用を生起するステータ1cは、トルクコンバータ出力軸9を回転自在に支持する中空固定軸10上に、ワンウエイクラッチ11を介して支持する。
【0019】
ロックアップクラッチ1dは、タービンランナ1bおよびコンバータカバー7間に介在させ、このロックアップクラッチ1dを、一方でタービンハブ8上に支持し、他方で当該タービンハブ8に対しトーショナルダンパ12を介してスプライン13により回転係合させる。
【0020】
本例では特に、タービンハブ8に対するロックアップクラッチ1dのスプライン結合部13に介在させて、弾性体としてのコイルばね14を設け、このコイルばね14は多数個を1組としてスプライン結合部13の周囲に等間隔に配置する。この配置に当たっては、タービンランナ1bをリベット15でタービンハブ8に鋲着するに際してこれらの間に共締めしたばね座16と、トーショナルダンパ12の内周ハブ部17上に係着したばね座18との間に介装することとする。
【0021】
ここでコイルばね14は、トルクコンバータ内の作動油温が上昇するにつれてばね長が伸びるよう変形するものとし、この変形でロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に対し、例えば図2に実線で示すような結合力を生起するものとする。つまり、作動油温Tが過熱気味を表す下限値T0 未満である間、コイルばね14はロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に押しつけるに至らず、コンバータカバー7に対するロックアップクラッチ1dの結合力Fを0に保つ。しかして作動油温Tが過熱気味を表す下限値T0 を越えると、コイルばね14は温度上昇につれてロックアップクラッチ1dを強くコンバータカバー7に押しつけ、コンバータカバー7に対するロックアップクラッチ1dの結合力Fを温度上昇につれて漸増させ、或る温度T1 以上の高温ではロックアップクラッチ1dの結合力Fを上限のFS に保つものとする。
【0022】
但し、ロックアップクラッチ結合力の上限値FS は、ロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に対してスリップすることなく完全に結合させるための最低結合力FL よりも小さな値とし、好ましくはロックアップクラッチ結合力の上限値FS をエンジンの停止や、ロックアップクラッチ1dのジャダーを生じない上限値に定めるのがよい。従ってコイルばね14は、作動油温Tが過熱気味を表す下限値T0 を越えると、上記エンジンの停止やジャダーを生じない範囲で、温度上昇とともに強くロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に対し滑り結合させることができる。
【0023】
上記実施例の作用を次に説明する。
コンバータカバー7を経て入力されるエンジン回転はポンプインペラ1aに伝達され、これを回転駆動する。ここでポンプインペラ1aは、トルクコンバータ1を通流する作動油を遠心力でタービンランナ1bに向かわせ、これに衝突させてタービンランナ1bを流体駆動する。その後、作動油はステータ1cを経てポンプインペラ1aに戻され、この間ステータ1cによる反力下でタービンランナ1bへのトルクを増大させる。タービンランナ1bの回転トルクはタービンハブ8を介し軸9に至り、これから変速機ケース3内における自動変速機2の歯車変速機構に伝達される。
【0024】
以上のようなトルクコンバータ1のコンバータ状態での伝動は、ロックアップクラッチ1dがコンバータカバー7から図示のごとく離されたロックアップクラッチ解放時に行われ、かかるロックアップクラッチ1dの解放は、作動油をトルクコンバータ1に通流させるに際しこれを、ロックアップクラッチ1dおよびコンバータカバー7間に画成された室に流入させ、ロックアップクラッチ1dの反対側における室から流出させる時に生起される。
【0025】
作動油をトルクコンバータ1に対し上記と逆向きに通流させる時、ロックアップクラッチ1dは動圧によりコンバータカバー7に向け付勢されてこれに圧接される。かかるトルクコンバータ1のロックアップ状態では、ロックアップクラッチ1dがコンバータカバー7へのエンジン回転をそのままタービンハブ8を介し軸9に伝達し、これから変速機ケース3内における自動変速機2の歯車変速機構に入力させる。従って、当該ロックアップ状態でトルクコンバータ1は、入出力要素1a,1b間を直結されることとなり、これら入出力要素1a,1b間の相対回転、つまりトルクコンバータのスリップを0にして、上記のトルク増大作用が行われなくなる。
【0026】
以上のトルクコンバータ1の伝動作用は、作動油が図2に示す温度値T0 未満で、過熱状態でなく、従ってコイルばね14がロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に押しつけることのない時のものである。
【0027】
ところで、トルクコンバータ1がコンバータ状態で伝動を行う時は、そのスリップにより作動油が攪拌されて温度上昇が大きくなる。そしてこの傾向は、図4の斜線領域での運転のようにトルクコンバータスリップ量が大きくなる運転状態で特に顕著になり、かかる運転状態を継続すると、作動油が過熱される。作動油が図2に示す温度値T0 を越えた過熱状態では、コイルばね14がロックアップクラッチ1dをしてコンバータカバー7に押しつけ、図2に示す特性のように温度上昇につれ大きくなる結合力を生起して、ロックアップクラッチ1dをコンバータカバー7に滑り結合させる。
【0028】
この滑り結合は、トルクコンバータ1のトルク増大作用を低減させ、図1のトルクコンバータ1および自動変速機2を車両に搭載した場合における車輪駆動力特性を自動変速機2の変速段(第1速、第2速、第3速)ごとに示す図3からも明らかなように、駆動力低下を惹起する。図3において実線は、各変速段でトルクコンバータ1がコンバータ状態である時の車輪駆動力特性を、また1点鎖線は、各変速段でトルクコンバータ1がロックアップ状態である時の車輪駆動力特性をそれぞれ示す。今、第3速で、車速VSPを図3中のVSP2 により示す値に保つ走行を行っている場合を考えると、ロックアップクラッチ1dの上記滑り結合は、車輪駆動力をコンバータ状態での駆動力DC からロックアップ状態での駆動力DL に向けて、ロックアップクラッチ1dの滑り結合度合(作動油の過熱度合)に対応した例えばDS に低下させる。
【0029】
ここで運転者は、車速VSP2 を維持するには駆動力不足であること感じることなり、車速維持のためにアクセルペダルを踏み込んでスロットル開度TVOを増すなり、マニュアル操作でダウンシフト変速を行わせる。なお前者のアクセルペダルの踏み込みによるスロットル開度TVOの増大も、図4に示す斜線領域から低速段(第n速)への領域移行を伴い、結果として自動変速機をダウンシフト変速させることになる。このダウンシフト変速によりギヤ比が大きくなった分、トルクコンバータ1が行うべきトルク増大作用が緩和され、作動油温の過熱原因であるトルクコンバータスリップ量を減じて作動油の過熱を防止することができる。
【0030】
ところで、本例のような自動変速機の過熱対策によれば、トルクコンバータ1に前記したようなコイルばね14を付加するだけで所期の過熱対策を行うことができ、高価な油温センサなどの部品を必要としないし、また変速制御ロジックの変更や追加も必要とせず、コスト上大いに有利である。
【0031】
また本例の過熱対策では、トルクコンバータ1にコイルばね14を付加するだけでよいとの構成上の理由から、電子制御式自動変速機に限らず、油圧制御式自動変速機にも採用することができるし、また有段式自動変速機に限らず、無段変速機にも用いることができ、汎用性が極めて高い。
【0032】
なお本例による自動変速機の過熱対策においては、コイルばね14をタービンハブ8に対するロックアップクラッチ1dのスプライン結合部13に配置したことによって、コイルばね14の両端がいささかもトルクコンバータ回転方向に相対変位されることがなく、コイルばね14の耐久性を向上させることができる。また、コイルばね14が自動変速機の過熱原因であるトルクコンバータ1内に配置されていることから、過熱対策に対する応答性が頗るよい。
【0033】
また本例による自動変速機の過熱対策においては、コイルばね14によるロックアップクラッチ結合力を最大でも、図2につき前述したようにエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたことから、如何なる運転状態のもとでもエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生ずることがなく、本例の過熱対策装置はその設置によっても運転性を損なうことがない。
【0034】
【発明の効果】
かくして第1発明による自動変速機の過熱対策装置は、請求項1に記載のごとく、
トルクコンバータ内の作動油温に応じ作動油温の過熱時、トルクコンバータのロックアップクラッチを滑り結合させる弾性体をトルクコンバータ内に設けた構成になるから、
トルクコンバータの作動油温が過熱状態になる時、弾性体によりロックアップクラッチを滑り結合させてトルクコンバータのトルク増大作用を減じ得ることとなり、
これに伴う駆動力不足を感じて運転者が、アクセルペダルの踏み込みによりスロットル開度を増す等の操作を行うことで生ずる自動変速機のダウンシフト変速により、作動油温の過熱を防止することができる。
【0035】
そして第1発明による自動変速機の過熱対策装置は、トルクコンバータに上記の弾性体を付加するだけで所期の作用を得ることができることから、高価な油温センサなどの部品を必要としないし、また変速制御ロジックの変更や追加も必要とせず、コスト上大いに有利である。
【0036】
また、上記第1発明による自動変速機の過熱対策では、同様な構成上の理由から、電子制御式自動変速機に限らず、油圧制御式自動変速機にも採用することができるし、また有段式自動変速機に限らず、無段変速機にも用いることができ、汎用性が極めて高い。
【0037】
第2発明による自動変速機の過熱対策装置は、請求項2に記載のごとく、
上記弾性体をトルクコンバータ出力要素およびロックアップクラッチ間のスプライン結合部に介在させた構成になるから、
弾性体が一切相対回転を生じない部品間に介在することとなり、弾性体の耐久性を向上させることができる。
【0038】
第3発明による自動変速機の過熱対策装置は、請求項3に記載のごとく、
上記弾性体によるロックアップクラッチの滑り結合力を最大でも、トルクコンバータの前段におけるエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたから、
如何なる運転状態のもとでもエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生ずることがなく、第3発明による自動変速機の過熱対策装置はその設置によっても運転性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による過熱対策装置の一実施例を示す自動変速機のトルクコンバータを示す要部断面図である。
【図2】同例におけるコイルばねが生起するロックアップクラッチの滑り結合力特性を示す線図である。
【図3】図1に示す自動変速機のトルクコンバータを車両に搭載した場合における車輪駆動力特性を、トルクコンバータがコンバータ状態である場合と、ロックアップ状態である場合とで比較して示す線図である。
【図4】自動変速機作動油の過熱を生じ易い運転領域を例示する自動変速機の変速線図である。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ
1a ポンプインペラ(トルクコンバータ入力要素)
1b タービンランナ(トルクコンバータ出力要素)
1c ステータ
1d ロックアップクラッチ
2 自動変速機
3 変速機ケース
7 コンバータカバー
8 タービンハブ
9 トルクコンバータ出力軸
12 トーショナルダンパ
13 スプライン結合部
14 コイルばね(弾性体)
16 ばね座
18 ばね座
Claims (3)
- トルクコンバータ入出力要素間をロックアップクラッチにより直結可能なロックアップ式トルクコンバータを介して入力される動力を変速して出力する自動変速機において、
前記トルクコンバータ内の作動油温に応じ該作動油温の過熱時、前記ロックアップクラッチを滑り結合させる弾性体をトルクコンバータ内に設けたことを特徴とする自動変速機の過熱対策装置。 - 請求項1において、前記弾性体をトルクコンバータ出力要素およびロックアップクラッチ間のスプライン結合部に介在させたことを特徴とする自動変速機の過熱対策装置。
- 請求項1または2において、前記弾性体によるロックアップクラッチの滑り結合力を最大でも、トルクコンバータの前段におけるエンジンの停止や、ロックアップクラッチのジャダーを生じないロックアップクラッチ結合力の上限値にしたことを特徴とする自動変速機の過熱対策装置。
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