JP3543626B2 - ラミネート装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜光電変換素子(セル)を可撓性を有する耐候性フィルムにより挟んで両面を保護した薄膜光電変換モジュールなどの製造に用いられる、接着性シートと基材シートなどの被ラミネート体を加圧、加熱してラミネートするラミネート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フレキシブルな薄膜光電変換装置などの製造方法にはラミネート装置が必要であるが、従来のラミネート装置としては、本発明者にかかる、伸縮性シートによって仕切られた上部真空容器と下部真空容器を備えた、いわゆる二重真空方式のラミネート装置が特開平9−97915号公報に開示されている。
【0003】
図5は従来のラミネート装置を示し、(a)は搬送方向に沿っての断面図であり、(b)は搬送方向に垂直な面での断面図である。
送り出しロール21に捲かれた透光性で耐候性の長尺の封止シート24aが矢印29方向に搬送され、塔載位置28で薄膜光電変換セル24bを手動によりまたは図示していない供給装置により封止シート24a上に塔載される。さらに配線用の導電テープ23aが送り出しロール22から供給される。そして封止シート24aに薄膜光電変換セル24bを固定、封止するため、耐候性の封止シート24dが送り出しロール23から送り出されて、プレスロール25a、25bにより密着され積層された積層体24(一般化して被ラミネート体ということにする)が搬送される。
【0004】
上部真空容器2の周縁部にはシリコーンゴムなどの伸縮性シート7の周囲が固定され上部真空室9を構成している。上部真空容器2の周囲にはOリング4が取付けられており、閉状態では、下部真空容器1の周囲のOリング3と合致して、伸縮性シート7と下部真空容器1に囲まれた空間は下部真空室8となる。
また、下部真空容器1には、加熱ヒータ5aを有する熱板5が断熱部材6を介して取付けられており、熱板5は常時一定温度に加熱されている。被ラミネート体24を熱板5に搬送後、上部真空容器2は開閉機構10により下降し、Oリング3とOリング4は被ラミネート体24を挟み込み下部真空容器1の周囲のシールを行ない、下部真空室8を構成する。
【0005】
下部真空室8と上部真空室9はそれぞれ制御弁14と制御弁15を介して真空ポンプ16に接続されており、下部真空室8と上部真空室9の中を真空状態にし、熱板5で被ラミネート体24を加熱すると同時に、封止シート間を脱気する。脱気はラミネートしたモジュールに気泡を残存させないためである。
脱気が充分行われた後、制御弁15を切り替えて上部真空室9内を大気状態にし、下部真空室8と上部真空室9の圧力差により伸縮性シート7を膨張させ、被ラミネート体24を熱板5に押し付け加圧、加熱する。この状態で所定の時間だけラミネートを行ない、被ラミネート体24をモジュール24mとした後、制御弁14を切り替えて下部真空室8内を大気状態にし、開閉機構10により上部真空容器2を上昇させモジュール24mを搬送する。搬送しているモジュール24mは前回のラミネート範囲30と現在の有効架橋領域31が重複するように、有効架橋領域31長さより短い搬送ピッチ33でステップ搬送して、有効架橋領域31から前回ラミネート範囲30が外れない位置で停止させる。
【0006】
この搬送の際、送り出しロール側では、封止シート24a上への薄膜光電変換セル24bの塔載を同時に行なっている。モジュール24mは搬送中に冷却ロール26a、26bを通過して冷却され、巻き取りロール27に巻き取られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のラミネート装置では、脱気の際両真空室を真空状態にするが、この時圧力差が無くなり、伸縮シートが自重により下方に垂れ、封止シート同志が接して、封止シート間の気体が抜け難くなり脱気状態が安定化しないという問題が生じ易い。また、量産性の向上を図るためラミネート時間を短縮すると伸縮シートを冷やす放熱時間が短くなり、伸縮シートが封止シートの軟化温度以上の状態で脱気を行わなければならず、前述したように伸縮シートが自重により垂れ、封止シートに接した場合、加圧前に架橋反応が進行してしまい接した部分と他の部分とで不均一になり易く、また熱収縮して波打ちを起し易く、気泡の発生を助長し、最終的には残痕となって現われ良質なラミネートを行うことができないという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、ラミネート開始前の脱気が安定して行え、また波打ちの生じないラミネート装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、上面が平面である加熱機構が内部に設けられた下部真空容器と、加熱機構の上面に対面するように伸縮性シートが張架され、内部が上部真空容室となる上部真空容器とを有し、両真空容器を閉じたとき伸縮性シートを隔壁として下部真空室が構成され、下部真空室内で加熱機構と伸縮性シートの間に被ラミネート体を挟み、被ラミネート体の脱気、および加圧加熱することによるラミネートを行うラミネート部を有するラミネート装置において、前記上部真空容器には伸縮性シートの下面に支持シートが設けられ、この支持シートは少なくとも伸縮性シートの自重に抗して伸縮性シートを支持し、両真空室に圧力差がないとき伸縮性シートは被ラミネート体を加熱機構に押しつけないように張架されていることとする。
【0010】
前記支持シートは両端部をそれぞれ支持軸に固定されて張架されており、これらの支持軸を回転手段により回転させて、支持シートの張り具合が調節されると良い。
前記支持シートは両端部を弾性体により張力を懸けて支持されていると良い。
前記伸縮性シートの内側には上部真空容器内には前記加熱機構の上面に対面する下面を有する冷却体が設けられており、上部真空容器内が負圧のとき伸縮性シートは冷却体の下面に押しつけられると良い。
【0011】
前記冷却体には貫通孔が開けられており、冷却体と伸縮性シートとの間の排気が容易に行えると良い。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施例1
図1は本発明に係る実施例のラミネート装置の真空容器の開放状態を示す搬送方向に垂直な面での断面図である。
先ず図1に基づきラミネート装置の真空容器の構造について説明する。上部真空容器2にはシリコーンゴムなどの伸縮性シート7が張架され上部真空室9の下隔壁をなしており、上部真空室9の内部には、冷却媒体が流れる冷却機構12が取り付けられ、貫通孔が多数開けられた冷却板11が備えられている。上部真空室9は制御弁14を介して真空ポンプ16と接続されている。伸縮性シート7の全周は上部真空室9内の気密を保つよう上部真空容器2に全周固定してあり、冷却板11に開けられた多数の穴11aを通じて上部真空室9内が減圧または真空状態にされて外部に対して負圧にされたとき、伸縮性シート7は冷却板11と面密着でき、強制的に冷却されることができる。
【0013】
上部真空室9の搬送方向に沿った両側には支持軸36を設けてある。上部真空容器2の外部から個々に図示していないモータの駆動力をシールを貫通して導入して正転あるいは逆転させる。この支持軸36にポリテトラフルオロエチレン含浸ガラスクロス等の支持シート34の両端を巻き付け、相互の支持軸36を反対方向に同期回転させ、被ラミネート体24中心を基準に巻き上げ下げを均等に行う。上部真空容器2の周囲にはOリング4が取付けられており、真空容器閉状態では下部真空容器1のOリング3に合致し、下部真空室8の気密を保つ。
【0014】
図2は本発明に係る実施例のラミネート装置の真空容器(図1)を閉じ脱気している状態を示す搬送方向に垂直な面での断面図である。被ラミネート体である被ラミネート体24内を脱気している状態を説明する。開閉機構10により上部真空容器2を下降させ、下部真空室8と上部真空室9を構成する。下部真空室8と上部真空室9はそれぞれ制御弁14と制御弁15を介して真空ポンプ16に接続されており、各室を真空状態にすることにより被ラミネート体24の重ね合わせ内部を脱気できる。このとき下部真空室8と上部真空室9の圧力差がなくなるため、従来の装置では伸縮シート7が自重により下方に垂れ、被ラミネート体24に接するが、本実施例では支持シート34の両端を支持軸36に巻き付け、巻き上げた状態で伸縮シート7を支持することにより脱気中、伸縮シート7が被ラミネート体24に接しないため、継続して冷却板11により冷却することができる。
【0015】
図3は本発明に係る実施例のラミネート装置の真空容器(図1)内で支持シートを繰出し、被ラミネート体に載せ伸縮性シートにより加圧した状態を示す搬送方向に垂直な面での断面図である。支持シートを繰出し、伸縮シートによって被ラミネート体を加圧している状態を説明する。被ラミネート体24の重ね合わせ内部を十分脱気した後、支持シート34を繰出し下げる方向に支持軸36を回転し、被ラミネート体24上に載せる。伸縮シート7は下部真空室8と上部真空室9の圧力差がないため、重力により支持シート34と一緒に下方に変位する。制御弁15を切り換えて上部真空室9内を大気状態にし、下部真空室8と上部真空室9の圧力差により被ラミネート体24と共に伸縮性シート7を下方の熱板5に押し付け、支持シートと熱板5上の支持シート34を介して伸縮性シート7により被ラミネート体24を挟み込んで加圧する。この状態で所定の時間だけラミネートを行い、制御弁14を切り換え下部真空室8内を大気状態にする。後に制御弁15切り換え上部真空室9を真空状態にし、冷却板11に伸縮シート7を密着させ、支持軸36を回転し支持シート34を基の位置迄巻き上げた後、開閉機構10により上部真空容器2を上昇させ、ラミネートされた被ラミネート体24を送りだす。
【0016】
搬送しているモジュールは前回のラミネート範囲と現在の有効架橋領域が重複するように、有効架橋領域長さより短い搬送ピッチでステップ搬送して、有効架橋領域から前回ラミネート範囲が外れない位置で停止させる。
実施例2
図4は本発明に係る他の実施例のラミネート装置の断面図である。
【0017】
この実施例では、支持シート34をばねまたはゴム紐(またはゴムシート)等の弾性体37により張力を懸けて支持したものである。上部真空室9と下部真空室8の圧力差がないか小さいときには支持シート34は伸縮シート7の自重による垂れ下がりを防止し、圧力差が大きいときは伸縮シート7の変位に追従することができる。
【0018】
ラミネート方法およびその効果は実施例1のラミネート装置と同じであり説明を省略するが、ラミネート毎に支持体シートの巻き上げや繰り出しを行う必要はなくなり、さらにラミネートは簡便化した。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、上面が平面である加熱機構が内部に設けられた下部真空容器と、加熱機構の上面に対面するように伸縮性シートが張架され上部真空容器とを有し、両真空容器を閉じたとき伸縮性シートを隔壁として下部真空室が構成され、下部真空室内で加熱機構と伸縮性シートの間に被ラミネート体を挟み、被ラミネート体の脱気、および加圧加熱することによるラミネートを行うラミネート部を有するラミネート装置において、前記上部真空容器には伸縮性シートの下面に支持シートが設けられ、この支持シートは少なくとも伸縮性シートの自重に抗して伸縮性シートを支持し、圧力差がないとき伸縮性シートは被ラミネート体を加熱機構に押しつけないように張架されているようにしたため、上部真空室と下部真空室の圧力差がなく、伸縮シートの位置を保持する力がない状態でも支持シートが伸縮シートの位置を保持するため、熱を持つ伸縮シートが脱気中、被ラミネート体に接触せず加圧、加熱前の材料状態を一定に保つことができる。
【0020】
さらに、伸縮性シートの内側には上部真空容器内には前記加熱機構の上面に対面する下面を有する冷却体が設けられており、上部真空容器内が負圧のとき伸縮性シートは冷却体の下面に押しつけられるようにしたため、加圧前および脱気中に伸縮シートおよび支持シートを冷却でき、脱気中および加圧前の被ラミネート体への熱の伝達が極めて少なくなり、加圧前に被ラミネート体が加熱されてしまうという問題が無くなり、良質なラミネートを効率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例のラミネート装置の真空容器の開放状態を示す搬送方向に垂直な面での断面図である。
【図2】本発明に係る実施例のラミネート装置の真空容器(図1)を閉じ脱気している状態を示す搬送方向に垂直な面での断面図である。
【図3】本発明に係る実施例のラミネート装置の真空容器(図1)内で支持シートを繰出し、被ラミネート体に載せ伸縮性シートにより加圧した状態を示す搬送方向に垂直な面での断面図である。
【図4】本発明に係る他の実施例のラミネート装置の搬送方向に垂直な面での断面図である。
【図5】従来のラミネート装置を示し、(a)は搬送方向に沿っての断面図であり、(b)は搬送方向に垂直な面での断面図である。
【符号の説明】
1 下部真空容器
2 上部真空容器
3 Oリング
4 Oリング
5 熱板
5a 加熱ヒータ
6 断熱部材
7 伸縮シート
8 下部真空室
9 上部真空室
10 開閉機構
11 冷却板
11a 穴
12 冷却機構
14 制御弁
15 制御弁
16 真空ポンプ
21 送り出しロール
22 送り出しロール
23 送り出しロール
24 被ラミネート体
24a 封止シート
24b 薄膜光電変換セル
24c 導電テープ
24d 封止シート
24m モジュール
25a プレスロール
25b プレスロール
27 巻き取りロール
28 塔載位置
29 搬送方向
30 前回のラミネート範囲
31 熱反応領域
33 搬送ピッチ
34 支持シート
36 支持軸
37 弾性体

Claims (5)

  1. 上面が平面である加熱機構が内部に設けられた下部真空容器と、加熱機構の上面に対面するように伸縮性シートが張架され、内部が上部真空容室となる上部真空容器とを有し、両真空容器を閉じたとき伸縮性シートを隔壁として下部真空室が構成され、下部真空室内で加熱機構と伸縮性シートの間に被ラミネート体を挟み、被ラミネート体の脱気、および加圧加熱することによるラミネートを行うラミネート部を有するラミネート装置において、前記上部真空容器には伸縮性シートの下面に支持シートが設けられ、この支持シートは少なくとも伸縮性シートの自重に抗して伸縮性シートを支持し、両真空室に圧力差がないとき伸縮性シートは被ラミネート体を加熱機構に押しつけないように張架されていることを特徴とするラミネート装置。
  2. 前記支持シートは両端部をそれぞれ支持軸に固定されて張架されており、これらの支持軸を回転手段により回転させて、支持シートの張り具合が調節されることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
  3. 前記支持シートは両端部を弾性体により張力を懸けて支持されていることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
  4. 前記伸縮性シートの内側には上部真空容器内には前記加熱機構の上面に対面する下面を有する冷却体が設けられており、上部真空容器内が負圧のとき伸縮性シートは冷却体の下面に押しつけられることを特徴とする請求項1ないし3に記載のラミネート装置。
  5. 前記冷却体には貫通孔が開けられており、冷却体と伸縮性シートとの間の排気が容易に行えることを特徴とする請求項4に記載のラミネート装置。
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