JP3543295B2 - 化合物半導体の結晶成長方法および半導体発光素子 - Google Patents

化合物半導体の結晶成長方法および半導体発光素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III−V族化合物半導体の結晶成長方法、特に有機金属化学気相成長法および半導体発光素子(発光ダイオード)に関する。
【0002】
【従来の技術】
化合物半導体の結晶成長方法については、MOCVD(有機金属化学気相成長法)法がよく知られており、半導体素子、特に発光素子において、発光特性を向上するため良好な結晶性を得るための研究が進められている。
【0003】
従来、発光素子の製造のための、基板上の活性層およびクラッド層などの発光部の成長条件については多くの研究がされていたが、発光部の上部に積層される、電流拡散層などの比較的厚膜の半導体層の結晶性についてはあまり研究されていなかった。
【0004】
しかし、電流拡散層などの比較的厚膜の半導体層の結晶性が原因で素子特性が低下する問題が発生する。
【0005】
具体例として、AlGaInP系半導体材料を用いた面発光型素子の例について説明する。このような発光素子では、発光効率を増加させるために、発光部の上に電流拡散層を設けて、電極から注入された電流を活性層全体に広げる必要がある。例えば、図8に示すような面発光型AlGaInP系半導体発光素子が提案されている。図8を参照すると、このような半導体発光素子は、n型GaAs基板81、n型バッファ層82、n型AlGaInPクラッド層83、AlGaInP活性層84、p型AlGaInPクラッド層85、およびp型GaP電流拡散層87の各層ならびにn型電極810およびp型電極811により構成されている。発光部であるAlGaInP活性層84で発光した光は、p型電極811側から取り出される。ここで、p型電極811から注入された電流をAlGInP活性層84全体に拡げる必要がある。このため、GaP電流拡散層87として、約2μm以上、一般的には約5μmという厚い層を採用して電流を拡大し、AlGaInP活性層84全体で発光させることにより、上面方向への光取りだし効率を大きくしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような半導体発光素子では、電流拡散層の層厚を厚くしていることに起因する、ヒロックとよばれる結晶欠陥が多数発生する問題点がある。
【0007】
この結晶欠陥は、特にIII−V族化合物半導体、例えばGaP、InGaP、AlGaInP、AlGaAs、AlGaInAsおよびAlGaInN系の材料で多く発生する。
【0008】
このヒロックとよばれる結晶欠陥が増加することにより、電流拡散層の結晶性が低下する。このため、発光効率の低下という問題点が生じる。また結晶性の低下により成長表面に凹凸が発生し、さらには、電極形成時に電極がはがれ易くなり、歩留りが低下するという問題点が生じる。
【0009】
発明者らはヒロックとよばれる結晶欠陥の発生原因を特定するため、結晶欠陥が多く発生したこれらの半導体発光素子の断面を観察した。その結果、層厚の厚い層の界面付近から結晶欠陥の発生密度が大きくなっていた。
【0010】
結晶欠陥の発生原因については、GaP層などのIII−V族化合物半導体が厚膜成長すると、結晶成長中にIII族原子とV族原子との間の結合が切れ、V族原子が解離し、この空孔がヒロックとよばれる結晶欠陥を発生させると考えられる。
【0011】
したがって、組成の異なる複数の層を有する半導体では、各層間の界面付近および電流拡散層と発光部との界面近傍などでキャリア濃度および組成が急激に変化し、このため、特に結晶欠陥が発生しやすいと考えられる。
【0012】
本発明はこの問題点を解決する化合物半導体の結晶成長方法を提供し、また、結晶欠陥がなく、発光効率および歩留りが大幅に改善された半導体発光素子を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の局面において、本発明の方法は、III−V族化合物を有する層を含む、組成が異なる複数の層を有する半導体中の、該III−V族化合物を有する層を形成する方法であって、有機金属化学気相成長法によりIII−V族化合物半導体を結晶成長させる工程を包含し、ここで、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量が、通常成長時のV族元素のモル流量よりも大きいとともに、III族元素のモル流量が、結晶成長初期および通常成長時において一定である。
1つの実施態様では、前記結晶成長初期におけるV族元素のモル流量が、通常成長時の元素のモル流量よりも1.2倍以上、2倍以下である。
第2の局面において、本発明の方法は、III−V族化合物を有する層を含む、組成が異なる複数の層を有する半導体中の、該III−V族化合物を有する層を形成する方法であって、有機金属化学気相成長法によりIII−V族化合物半導体を結晶成長させる工程を包含し、ここで、結晶成長初期におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比が、通常成長時におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比よりも大きいとともに、III族元素のモル流量が、結晶成長初期および通常成長時において一定である。
1つの実施態様では、前記結晶成長初期におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比が、通常成長時におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比よりも1.2倍以上、2倍以下である。
1つの実施態様では、前記III−V族化合物半導体が、GaPを含む。
1つの実施態様では、前記III−V族化合物半導体が、Ga In 1−x P(0<x≦1)を含む。
1つの実施態様では、前記III−V族化合物半導体が、Al Ga In 1−x−y P(0<x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む。
1つの実施態様では、前記III−V族化合物半導体が、Al Ga 1−x P(0≦x≦1)を含む。
1つの実施態様では、前記III−V族化合物半導体が、Al Ga In 1−x−y As(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む。
1つの実施態様では、前記III−V族化合物半導体が、Al Ga In 1−x−y N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む。
1つの実施態様では、前記III−V族化合物半導体が、In Ga 1−x As 1−y (0≦x≦1、0≦y≦1)を含む。
1つの実施態様において、本発明の半導体発光素子は、前記上部クラッド層と前記III−V族化合物半導体層との間に電流阻止層を有する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の方法の第1の局面では、III−V族化合物半導体を、有機金属化学気相成長法により形成する。
【0030】
III−V族化合物とは、III族(周期表13族)のアルミニウムAl、ガリウムGa、インジウムIn、またはタリウムTl等と、V族(15族)のリンP、ヒ素As、アンチモンSb、または窒素N等との間に生ずる原子比1:1の化合物をいう。
【0031】
有機金属化学気相成長法とは、原料基体として有機金属を用いた化学蒸着法(CVD)のうち、特に気相エピタクシーをいう。
【0032】
有機金属化学気相成長法に用いる材料としては、III族化合物のアルミニウムAlの材料として、トリメチルアルミニウム(CHAlおよびトリエチルアルミニウム(CAl、ガリウムGaの材料としてトリメチルガリウム(CHGaおよびトリエチルガリウム(CGa、インジウムInの材料としてトリメチルインジウム(CHInおよびトリエチルインジウム(CIn、そしてタリウムTlの材料としてトリメチルタリウム(CHTlおよびトリエチルタリウム(CTlなどが使用可能である。V族化合物のリンPの材料としてホスフィンPHおよびターシャリーブチルホスフィンTBP、ヒ素Asの材料としてアルシンAsHおよびターシャリーブチルアミンTBA、アンチモンSbの材料としてSbH、窒素Nの材料としてNHおよびNなどが使用可能である。
【0033】
本発明の方法の第1の局面では、III−V族化合物半導体の結晶成長初期における、V族元素のモル流量を、通常成長時のV族元素のモル流量よりも大きくする。
【0034】
1つの実施態様では、III−V族化合物半導体が、少なくともGaPを含む。
【0035】
この実施態様によれば、ヒロックとよばれる結晶欠陥が低減したバンドギャップの大きいGaP層を結晶成長することができ、GaP層を有する半導体発光素子に適用した場合、電流拡散層の結晶性の低下に起因する発光効率の低下、および電極形成時の凹凸に起因するはがれなどの歩留り低下などの問題点が改善される。
【0036】
1つの実施態様では、III−V族化合物半導体が、少なくともGaIn1−xP(0<x≦1)を含む。
【0037】
この実施態様によれば、Inを含むことによりさらにヒロックと呼ばれる結晶欠陥が低減される。In原子はP原子との結合エネルギーが小さいため、成長中、成長表面を拡散しやすく、結晶欠陥の発生が抑制される。
【0038】
1つの実施態様では、III−V族化合物半導体が、少なくともAlGaIn1−x−yP(0<x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む。
【0039】
この実施態様によれば、Alを含むことによりバンドギャップが大きくでき、さらにヒロックと呼ばれる結晶欠陥が低減される。
【0040】
1つの実施態様では、III−V族化合物半導体が、少なくともAlGa1−xAs(0≦x≦1)を含む。
【0041】
この実施態様によれば、本発明の効果が、AlGaAs層およびAlGaAs系半導体発光素子において得られる。
【0042】
1つの実施態様では、III−V族化合物半導体が、少なくともAlGaIn1−x−yAs(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む。
【0043】
この実施態様によれば、本発明の効果が、AlGaInAs層およびAlGaInAs系半導体発光素子において得られる。
【0044】
1つの実施態様では、III−V族化合物半導体が、少なくともAlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む。
【0045】
この実施態様によれば、本発明の効果が、AlGaInN層およびAlGaInAs系半導体発光素子において得られる。
【0046】
1つの実施態様では、III−V族化合物半導体が、少なくともInGa1−xAs1−y(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む。
【0047】
この実施態様によれば、本発明の効果が、InGaAsP層およびInGaAsP系半導体発光素子において得られる。
【0048】
III−V族化合物半導体の結晶成長は、所望の積層構造に応じて、任意の層上で行うことができる。1つの実施態様においては、発光部の上部クラッド層の上で結晶成長が行われ、また1つの実施態様では、発光部の上部クラッド層の上の電流阻止層の上で結晶成長が行われる。
【0049】
「結晶成長初期」は、少なくとも結晶成長の開始時点を含む、結晶成長初期の期間をいう。好ましくは、結晶成長の開始から所望の層の厚みの4分の1の厚みが形成されるまで、より好ましくは、結晶成長の開始から所望の層の厚みの2分の1の厚みが形成されるまでの期間をいう。
【0050】
「通常成長時」は、結晶成長初期以後の結晶成長期間をいう。
【0051】
「V族元素のモル流量」は、結晶成長のために流入されるV族元素の単位時間あたりのモル数であり、結晶成長初期では、好ましくは1.05×10−4〜1.05モル/分である。
【0052】
V族元素のモル流量は、通常成長時では、好ましくは1×10−4〜1モル/分である。
【0053】
結晶成長初期におけるV族元素のモル流量は、通常成長時よりも大きくする。好ましくは、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量は、通常成長時よりも1.05倍以上大きくする。より好ましくは、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量は、通常成長時よりも1.1倍以上大きくする。
【0054】
1つの実施態様において、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量は、通常成長時よりも1.2倍以上大きくする。
【0055】
この実施態様によれば、本発明の効果がより効率的に得られる。さらに、V族元素の消費量を低減できるという利点がある。
【0056】
一方、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量の上限は特に規定されないが、好ましくは通常成長時の2倍以下とする。
【0057】
ここで、結晶成長初期および通常成長時における、V族元素およびIII族元素のモル流量は、最終的に形成されるIII−V族化合物層が単結晶となり、かつその中のIII族元素対V族元素の比率が1:1となるように調整される。
【0058】
ここで、V族元素のモル流量を大きくしても、III族元素対V族元素の比率が1:1の単結晶が得られるのは、V族元素のモル流量が大きくても、本明細書中に開示されるような条件範囲では、V族元素とIII族元素との化学的相互作用のために、量論比が1:1となるからである。
【0059】
上記の方法により提供されるIII−V族化合物半導体層は、所望の半導体設計に応じて任意の厚みとすることができる。
【0060】
1つの実施態様では、上記の方法により提供されるIII−V族化合物半導体層の厚みは、2μm以上である。
【0061】
この実施態様によれば、従来、結晶欠陥による問題が特に著しかった、層厚が2μm以上有するIII−V族化合物半導体における結晶欠陥が改善される。
【0062】
本発明の方法を実施するための装置、材料、製造条件などは、III−V族化合物半導体の結晶成長のための従来公知の任意の装置および製造条件が使用され得る。好ましくは、装置として、MOCVD装置などが使用可能である。
【0063】
本発明の方法の第2の局面において、III−V族化合物半導体の結晶成長初期におけるV族元素のモル流量のIII族元素のモル流量に対する比を、通常成長時におけるV族元素のモル流量のIII族元素のモル流量に対する比よりも大きくする。
【0064】
結晶成長初期におけるV族元素のモル流量の、III族元素のモル流量に対する比は、好ましくは、通常成長時よりも1.05倍以上大きくする。より好ましくは、1.1倍以上大きくする。
【0065】
1つの実施態様において、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量の、III族元素のモル流量に対する比は、通常成長時におけるV族元素のモル流量の、III族元素のモル流量に対する比よりも1.2倍以上大きくする。
【0066】
この実施態様によれば、全体のモル流量を小さくできるという利点がある。
【0067】
一方、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量のIII族元素のモル流量に対する比の上限は特に規定されないが、好ましくは通常成長時の2倍以下とする。
【0068】
なお、結晶成長初期および通常成長時における、V族元素およびIII族元素のモル流量は、最終的に形成されるIII−V族化合物層中のIII族元素対V族元素の比率が1:1となるように調整される。
【0069】
ここで、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量のIII族元素のモル流量に対する比を大きくしても、III族元素対V族元素の比率が1:1の単結晶が得られるのは、V族元素のモル流量が大きくても、本明細書中に開示されるような条件範囲では、V族元素とIII族元素との化学的相互作用のために、量論比が1:1となるからである。
【0070】
結晶成長初期、および通常成長時のV族元素のモル流量は、それぞれ、本発明の第1の局面について上述したモル流量が適用可能である。
【0071】
「III族元素のモル流量」は、結晶成長のために流入されるIII族元素の単位時間あたりのモル数であり、結晶成長初期では、好ましくは1×10−5〜1×10−3モル/分である。
【0072】
III族元素のモル流量は、通常成長時では、好ましくは1×10−5〜1×10−3モル/分である。
【0073】
結晶成長初期におけるV族元素のモル流量のIII族元素のモル流量に対する比は、好ましくは10〜1000である。
【0074】
通常成長時におけるV族元素のモル流量のIII族元素のモル流量に対する比は、好ましくは10〜1000である。
【0075】
本発明の方法の第2の局面において、上記以外の、用語の定義、装置、材料、製造条件などについては、第1の局面について上述したものが適用可能である。
【0076】
本発明の方法の第3の局面では、III−V族化合物半導体の結晶成長初期の成長温度が、通常成長時の成長温度よりも高い。
【0077】
ここで、成長温度とは、III−V族化合物が結晶成長する時のIII−V族化合物の温度をいう。
【0078】
結晶成長初期の成長温度は、通常成長時の成長温度よりも、好ましくは、10℃以上高い。
【0079】
1つの実施態様では、結晶成長初期の成長温度が、通常成長時の成長温度よりも10℃以上高い。この実施態様によれば、上記効果に加えて、基板温度を低くすることができ、ドーパントの拡散などを抑制できる。この実施態様により形成されたIII−V族化合物層を含む半導体発光素子の特性は、良好に保たれ得る。
【0080】
結晶成長初期の成長温度の上限は、特に規定されないが、通常成長時の成長温度を100℃以上越えないことが好ましく、通常成長時の成長温度を80℃以上越えないことがより好ましい。
【0081】
したがって、結晶成長初期の成長温度は、好ましくは、690〜860℃である。通常成長時の成長温度は、好ましくは、680〜850℃である。
【0082】
本発明の方法の第3の局面において、上記以外の、用語の定義、装置、材料、製造条件などについては、第1の局面について上述したものが適用可能である。
【0083】
次に、本発明の半導体発光素子について説明する。
【0084】
本発明の半導体発光素子は、基板1と、基板の上の、下部クラッド層3、活性層4、および上部クラッド層5を有する発光部8と、発光部8の上の、厚みが2μm以上であるIII−V族化合物半導体層7を有する半導体発光素子であって、III−V族化合物半導体層7が、上記本発明の方法のいずれかにより形成されている。
【0085】
基板1は、その上にエピタキシャル成長する半導体であり、従来公知の材料を使用することができ、例えば、GaAsなどが好ましい。また基板1は、従来公知の方法により製造することができる。
【0086】
基板1の厚みは、所望の半導体設計に応じて任意の厚みが選択され得るが、好ましくは300〜400μmである。
【0087】
下部クラッド層3は、キャリアを活性層に閉じ込める層であり、従来公知の材料を使用することができ、例えば、AlGaInPおよびAlGaAsなどが好ましい。また下部クラッド層3は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、MOCVD装置により製造することができる。
【0088】
下部クラッド層3の厚みは、所望の半導体設計に応じて任意の厚みが選択され得るが、好ましくは0.5〜2μmである。
【0089】
活性層4は、発光する層であり、従来公知の材料を使用することができ、例えば、AlGaInPおよびAlGaAsなどが好ましい。また活性層4は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、MOCVD装置により製造することができる。
【0090】
活性層4の厚みは、所望の半導体設計に応じて任意の厚みが選択され得るが、好ましくは0.001〜2μmである。
【0091】
上部クラッド層5は、キャリアを活性層に閉じ込める層であり、従来公知の材料を使用することができ、例えば、AlGaInPおよびAlGaAsなどが好ましい。また上部クラッド層5は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、MOCVD装置により製造することができる。
【0092】
上部クラッド層5の厚みは、所望の半導体設計に応じて任意の厚みが選択され得るが、好ましくは0.5〜10μmである。
【0093】
下部クラッド層3、活性層4、および上部クラッド層5は、発光部8を形成する。
【0094】
本発明の半導体発光素子において、III−V族化合物半導体層7は、厚みが2μm以上である。
【0095】
III−V族化合物半導体層7の材料および製造方法などは、本発明の方法として上述した通りである。
【0096】
本発明の半導体発光素子の1つの実施態様においては、上部クラッド層5とIII−V族化合物半導体層7との間に電流阻止層6を有する。
【0097】
この実施態様によれば、電流拡散層での電流をさらに広げることができ、発光効率を増加することができる。
【0098】
電流阻止層6は、電流を狭窄する層であり、従来公知の材料を使用することができ、例えば、AlGaInPおよびAlGaAsなどが好ましい。また電流阻止層6は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、MOCVD法により製造することができる。
【0099】
電流阻止層6の厚みは、所望の半導体設計に応じて任意の厚みが選択され得るが、好ましくは0.1〜1μmである。
【0100】
以下に、本発明の具体的な実施例について説明する。以下の実施例は、すべて例示を目的とする、非限定的なものである。
【0101】
【実施例】
(実施例1)
図1は本発明の第1の実施例による化合物半導体の結晶成長法を用いたAlGaInP系化合物半導体発光素子からなる半導体発光素子の断面図である。この図を用いて、第1の実施例を説明する。
【0102】
まず、以下の各層を順次積層成長した。
(1)n−GaAs基板1、
(2)n−GaAsバッファ層2(Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(3)n−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層3(x=1.0、y=0.5、Si濃度5×1017cm−3)厚み1.0μm、
(4)(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)活性層4(x=0.3、y=0.5)、厚み0.5μm、
(5)p−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層5(x=1.0、y=0.5、Zn濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、(6)p−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)中間層6、厚み0.1μm、
(7)p−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)電流拡散層7(x=0.10、y=0.90、Zn濃度1×1018cm−3)、厚み5μm。
【0103】
上記(1)〜(7)の各層は、MOCVD法を用い、MOCVD装置により、成長温度700℃で形成した。
【0104】
次に、n型電極10およびp型電極11を形成して、半導体発光素子を完成した。
【0105】
本実施例では、電流拡散層7を形成した際に、最初の約1μm程度を初期成長とし、残りの約4μmを通常成長とした。
【0106】
V族元素のモル流量は、初期成長時において、1.2×10−3モル/分であり、通常成長時において1.0×10−3モル/分であった。III族元素のモル流量は、初期成長時において、2.0×10−5モル/分であり、通常成長時において2.0×10−5モル/分であった。
【0107】
また、成長温度は、初期成長時において、700℃であり、通常成長時において700℃であった。
【0108】
本実施例でのp−AlGaIn1−x−yP電流拡散層7を成長した時の、III族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比(以下V/IIIと記す)の層厚方向での、通常成長時に対する比率を図9に示す。(したがって、この比率は、通常成長時は、1である)
本実施例では、成長初期のV/IIIを60とし、その後、徐々に減少させて通常成長時のV/IIIを50とした。したがって、通常成長時のV/IIIに対する成長初期のV/IIIの比は1.2である。
【0109】
本実施例により作製したAlGaInP系半導体発光素子は、電流拡散層にp−AlGaInP層を用いている。このタイプの半導体発光素子では、ヒロックとよばれる結晶欠陥は従来、1000個/cm−2程度発生していたが、本実施例では、500個/cm−2程度に半減された。
【0110】
この理由としては、以下のように考えられる。
【0111】
従来AlGaInP層等のIII−V族化合物半導体は結晶中で、Ga原子やIn原子などのIII族元素とV族元素であるP原子の結合が強くないため、V族元素であるP原子が解離しやすく、成長中にヒロックとよばれる結晶欠陥が発生しやすい原因となっていた。そこで、この結晶成長中のV族元素であるP原子のモル流量を増加すると、V族元素であるP原子の解離が減少しヒロックとよばれる結晶欠陥の発生も抑制されると考えられる。
【0112】
また、本実施例で確認された効果には、成長初期のV族元素の流量が大きく寄与していると考えられる。なぜなら、III−V族化合物半導体層を含む複数の層を有する半導体を成長した場合、成長界面で結晶欠陥が発生しやすいと考えられるからである。
【0113】
さらに、通常成長時のV/IIIに対する成長初期のV/IIIの比を各種の値に変更して本実施例を実施し、得られた各半導体発光素子のヒロック欠陥密度を測定した。その結果を図10に示す。本図より、通常成長時のV/IIIに対する、成長初期のV/IIIの比が1.2以上であれば100cm−2以下に結晶欠陥密度が減少することがわかる。
【0114】
本実施例では、成長初期の1μm程度のみV族元素のモル流量を増加させることにより、ヒロックと呼ばれる結晶欠陥が、上記のように顕著に減少する結果が得られた。V族元素の消費量も従来よりほとんど増加せず、発光効率および歩留りが改善された。特性では波長590nmの黄色半導体発光素子で従来より発光効率が10%上昇し、歩留りも10%増加した。
【0115】
(実施例2)
図2は本発明の第2の実施例による化合物半導体の結晶成長法を用いたAlGaInP系化合物半導体発光素子である半導体発光素子の断面図である。この図を用いて、第2の実施例を説明する。
【0116】
まず、以下の各層を順次積層した。
(1)n−GaAs基板21
(2)n−GaAsバッファ層22(Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(3)n−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層23(x=1.0、y=0.5、Si濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(4)(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)活性層24(x=0.45、y=0.5)、厚み0.5μm、
(5)p(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層25(x=1.0、y=0.5、Zn濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、(6)p−InGa1−yP(0≦x≦1)中間層26(Zn濃度1×1018cm−3)、厚み0.1μm、
(7)p−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)電流拡散層27(x=0.50、y=0.20、Zn濃度1×1018cm−3)、厚み5μm。
【0117】
次に、n型電極210およびp型電極211を形成して、半導体発光素子を完成した。
【0118】
図11に本実施例でのp−AlGaIn1−x−yP電流拡散層の層厚方向での成長温度を示す。成長初期の1μm程度は750℃で成長し、その後、730℃で成長した。
【0119】
本実施例により作製したAlGaInP系半導体発光素子には、電流拡散層にp−AlGaInP層を用いた。このタイプの半導体発光素子では、ヒロックとよばれる結晶欠陥は従来、1000個/cm−2程度発生していたが、本実施例では、500個/cm−2程度に半減された。
【0120】
この理由としては、従来AlGaInP層等のIII−V族化合物半導体は結晶中で、Ga原子やIn原子などのIII族元素とV族元素であるP原子の結合が強くないため、V族元素であるP原子が解離しやすく、成長中にヒロックとよばれる結晶欠陥が発生しやすい原因となっていた。ここで、成長温度を上昇させると、V族元素であるP原子は解離しやすくなるが、同時に表面上でのマイグレーション(拡散)が活発となり、ヒロックとよばれる結晶欠陥の発生も抑制される。
【0121】
また、本実施例の効果は、成長初期の成長温度が大きく寄与していると考えられる。なぜなら、III−V族化合物半導体層を含む複数の層を有する半導体を成長した場合、成長界面で結晶欠陥が発生しやすいと考えられるからである。
【0122】
さらに、成長初期の温度を各種の値に変更して本実施例を実施し、得られた各半導体発光素子のヒロック欠陥密度を測定した。その結果を図12に示す。本図より、成長初期の温度を通常成長時の温度よりも10℃以上高くすることにより、500cm−2以下に結晶欠陥密度が減少することがわかる。
【0123】
本実施例では、成長初期の0.5μm程度のみ成長温度を上昇させることにより、ヒロックについて、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。電流拡散層からのドーパントの活性層への拡散も従来よりほとんど増加せず、発光効率および歩留りが改善された。特性では波長590mmの黄色半導体発光素子で従来より発光効率が10%、歩留りも10%増加した。
【0124】
(実施例3)
図3は本発明の第3の実施例による化合物半導体の結晶成長法を用いたAlGaIAs系化合物半導体発光素子である半導体発光素子の断面図である。この図を用いて、第3の実施例を説明する。本実施例では、第1、2の実施例の両方を合わせた方法を適用した。すなわち、III族およびV族の各元素のモル流量の条件は、実施例1と同一とし、温度条件については、実施例2と同一とした。
【0125】
まず、以下の各層を積層した。
(1)n−GaAs基板31上に、n−GaAsバッファ層32(Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(2)n−(AlGa1−xIn1−yAs(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層33(x=0.3、y=0.5、Si濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(3)(AlGa1−xIn1−yAs(0≦x≦1、0≦y≦1)活性層34(x=0、y=0.5)、厚み0.5μm、
(4)P−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層35(x=0.3、y=0.5、Zn濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(5)p−AlGaIn1−x−yAs(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)中間層36(x=0.2、y=0.6、Zn濃度5×1017cm−3)、厚み0.1μm、
(6)p−AlGaIn1−x−yAs(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)電流拡散層37(x=0.6、y=0.2、Zn濃度3×1018cm−3)、厚み5μm。
【0126】
次に、n型電極310およびp型電極311を形成して、半導体発光素子が完成した。
【0127】
図13Aに本実施例での電流拡散層のV/III比の層厚方向での比率を示し、図13Bに、成長温度の差を示す。従来の発光素子では1000個/cm−2程度発生したが、V/III比による効果と成長温度の両方の効果により、本実施例では、10個/cm−2程度(従来の1/50)まで大幅に低減された。
【0128】
得られた半導体発光素子は、発光効率および歩留りが改善された。特性では波長1020nmの半導体発光素子で従来より発光効率が30%、歩留りも30%増加した。
【0129】
(実施例4)
図4は本発明の第4の実施例によるAlGaAs系化合物半導体発光素子である半導体発光素子の断面図である。この図を用いて、第4の実施例を説明する。第1の実施例と異なる点は、材料系がAlGa1−xAs層で形成したことであり、電流拡散層の下に組成の異なる中間層を設け、この層から本発明を適用したことである。
【0130】
まず、以下の各層を積層した。
(1)n−GaAs基板41、
(2)n−GaAsバッファ層42(Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(3)n−AlGa1−xAs(0≦x≦1)クラッド層43(x=0.7、Si濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(4)AlGa1−xAs(0≦x≦1)活性層44(x=0.05)、厚み0.5μm、
(5)p−AlGa1−xAs(0≦x≦1)クラッド層45(x=0.7、Zn濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(6)p−AlGa1−xAs(0≦x≦1)中間層46(x=0.10、Zn濃度1×1018cm−3)、厚み0.1μm、
(7)p−AlGa1−xAs(0≦x≦1)電流拡散層47(x=0.80、Zn濃度5×1018cm−3)、厚み5μm、
(8)p−GaAsコンタクト層、厚み0.1μm。
【0131】
次に、n型電極410およびp型電極411を形成して、半導体発光素子を完成した。
【0132】
図14に本実施例での中間層46および電流拡散層47の層厚方向でのV/IIIの比を示す。従来のAlGa1−xAs電流拡散層を用いた発光素子では3000個/cm−2程度ヒロックと呼ばれる結晶欠陥が発生したが、本実施例では、100個/cm−2程度と(従来の約1/30)まで大幅に低減された。
【0133】
このようにして得られた半導体発光素子では、発光効率および歩留りが改善され、特性では波長850mmの赤外半導体発光素子で従来より発光効率が30%、歩留りも30%増加した。
【0134】
さらに、本実施例では、電流拡散層47の材料として、GaP層、AlGaIn1−x−yAs(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)層、およびInGa1−xAs1−y(0≦x≦1、0≦y≦1)層のそれぞれを用いて同様に半導体発光素子を作製した。その結果、同様に結晶欠陥のヒロック数を大幅に低減できた。
【0135】
(実施例5)
図5は本発明の第5の実施例によるAlGaInN系化合物半導体発光素子である半導体発光素子の断面図である。この図を用いて、第5の実施例を説明する。他の実施例と異なる点は、発光部であるクラッド層から本発明を適用したことである。
【0136】
まず、以下の各層を積層した。
(1)サファイア基板51、
(2)n−AlInNバッファ層52(Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(3)n−AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)クラッド層53(x=0.2、y=0.8、Si濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(4)AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)活性層54(x=0、y=0.9)、厚み0.5μm、
(5)p−AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)クラッド層55(x=0.2、y=0.8、Zn濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(6)p−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)中間層56(x=0.5、y=0.5、Zn濃度1×1018cm−3)厚み0.1μm、
(7)p−AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)電流拡散層57(x=0.8、y=0.2、Zn濃度2×1018cm−3)、厚み5μm。
【0137】
次に、n型電極510およびp型電極511を形成して、半導体発光素子を完成した。
【0138】
図15に本実施例でのクラッド層55、中間層56および電流拡散層57の層厚方向でのV/IIIの比を示す。従来のAlGaIn1−x−yN電流拡散層を用いた発光素子では3000個/cm−2程度ヒロックと呼ばれる結晶欠陥が発生したが、本実施例では、100個/cm−2程度(従来の約1/30)まで大幅に低減された。また本実施例では成長温度を1000℃とした。
【0139】
このようにして得られた半導体発光素子は、発光効率および歩留りが改善された。特性では波長460mmの青色半導体発光素子で従来より発光効率が30%上昇し、そして歩留りも50%増加した。
【0140】
(実施例6)
図6は本発明の第6の実施例によるAlGaInP系化合物半導体発光素子である半導体発光素子の断面図である。この図を用いて、第6の実施例を説明する。第1の実施例と異なる点は、クラッド層65と電流拡散層67の間の中央部に電流阻止層69を設けていることである。
【0141】
まず、以下の各層を積層した。
(1)n−GaAs基板61、
(2)nGaAsバッファ層62(Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(3)n−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層63(x=1.0、y=0.5、Si濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(4)(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)活性層64(x=0.15、y=0.5)、厚み0.5μm、
(5)p−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層65(x=1.0、y=0.5、Zn濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(6)p−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)中間層66(x=0.2、y=0.7、Zn濃度1×1018cm−3)厚み0.1μm
(7)n−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)電流阻止層69(x=0.1、y=0.8、Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(8)p−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)電流拡散層67(x=0.1、y=0.8、Zn濃度5×1018cm−3)、厚み5μm。
【0142】
n型電極610およびp型電極611を形成して半導体発光素子を完成した。
【0143】
本実施例では、クラッド層65と電流拡散層67の間の中央部に電流阻止層69を設けた。このことにより、電極611から注入された電流は電流拡散層67でさらに拡がり、光取り出し効率はさらに向上した。
【0144】
特性では波長610nmの燈色半導体発光素子で従来より発光効率が40%に増加した。
【0145】
(実施例7)
図7は本発明の第7の実施例によるAlGaInP系化合物半導体発光素子である半導体発光素子の断面図である。この図を用いて、第7の実施例を説明する。第6の実施例と異なる点は、クラッド層75と電流拡散層77の間の電流阻止層79が周辺部に設けたことである。
【0146】
まず、以下の各層を積層した。
(1)n−GaAs基板71、
(2)n−GaAsバッファ層72(Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(3)n−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層73(x=1.0、y=0.5、Si濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(4)(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)活性層74(x=0.15、y=0.5)、厚み0.5μm、
(5)p−(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)クラッド層75(x=1.0、y=0.5、Zn濃度5×1017cm−3)、厚み1.0μm、
(6)p−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)中間層(x=0.2、y=0.7、Zn濃度1×1018cm−3)76、厚み0.1μm、
(7)n−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)電流阻止層79(x=0.1、y=0.8、Si濃度5×1017cm−3)、厚み0.5μm、
(8)p−AlGaIn1−x−yP(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)電流拡散層77(x=0.1、y=0.8、Zn濃度5×1018cm−3)厚み5μm。
【0147】
n型電極710およびp型電極711を形成して半導体発光素子を完成した。
【0148】
本実施例では、クラッド層75と電流拡散層77の間の電流阻止層79が周辺部に設けられており、このことにより、電極711から注入された電流は電流拡散層77で中央部に集中し、光取り出し効率がさらに向上する。特性では波長610nmの燈色半導体発光素子で従来より発光効率が40%増加した。
【0149】
さらに、上記実施例1〜7において各層の組成比xおよびyを適宜変更して、同様に半導体発光素子を作製した。その結果、いずれにおいても、本発明の効果が十分に得られた。
【0150】
また、電流狭窄の構造が異なってもすべての半導体発光素子に適用可能であり、本発明の効果が得られる。
【0151】
また、上記実施例では、電流拡散層のドーパントにZnを用いたが、Znの代わりに、MgまたはBeなどの他のドーパントを用いても、同様の効果があった。さらに、SiやSe、Te等のn型のドーパントを用いた場合でも同様の効果があった。また、他の材料として、AlGaAs、AlGaInN、AlGaInAs、InGaAsP系についても同様の実験を行った結果、同様の本発明の効果が得られた。
【0152】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量が、通常成長時のV族元素のモル流量よりも大きいことにより、もしくは結晶成長初期におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比が、通常成長時におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比よりも大きいことにより、または結晶成長初期の成長温度が、通常成長時の成長温度よりも高いことにより、ヒロックとよばれる結晶欠陥が低減されたIII−V族化合物半導体を結晶成長することができる。この方法を半導体発光素子に適用した場合、電流拡散層の結晶性の低下に起因する発光効率の低下、および電極形成時の凹凸に起因するはがれなどの歩留り低下などの問題点が改善される。
【0153】
本発明の化合物半導体発光素子によれば、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量が、通常成長時のV族元素のモル流量よりも大きいことにより、もしくは結晶成長初期におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比が、通常成長時におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比よりも大きいことにより、または結晶成長初期の成長温度が、通常成長時の成長温度よりも高いことにより、ヒロックとよばれる結晶欠陥が低減し、電流拡散層の結晶性の低下に起因する発光効率が増加するとともに、電極形成時の凹凸に起因するはがれなどが低減するために歩留りが大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の方法を用いて形成された半導体発光素子の断面図。
【図2】実施例2の方法を用いて形成された半導体発光素子の断面図。
【図3】実施例3の方法を用いて形成された半導体発光素子の断面図。
【図4】実施例4の方法を用いて形成された半導体発光素子の断面図。
【図5】実施例5の方法を用いて形成された半導体発光素子の断面図。
【図6】実施例6の方法を用いて形成された半導体発光素子の断面図。
【図7】実施例7の方法を用いて形成された半導体発光素子の断面図。
【図8】従来例の半導体発光素子の断面図。
【図9】実施例1の方法を用いて形成された電流拡散層7の層厚方向のV/II1の比を示すグラフ。
【図10】実施例1の方法における、電流拡散層7の、通常成長時に対する成長初期のV/IIIの比と、ヒロックと呼ばれる結晶欠陥の発生密度との関係を示すグラフ。
【図11】実施例2の方法を用いて形成された電流拡散層27の層厚方向の成長初期とそれ以降の成長温度の差を示すグラフ。
【図12】実施例2の方法における、電流拡散層27の層厚方向の成長初期と通常成長時との成長温度の差と、ヒロックと呼ばれる結晶欠陥の発生密度との関係を示すグラフ。
【図13A】実施例3の方法を用いて形成された電流拡散層37の層厚方向のV/IIIの比を示すグラフ。
【図13B】実施例3の方法を用いて形成された電流拡散層37の成長初期と通常成長時との成長温度の差を示すグラフ。
【図14】実施例4の方法を用いて形成された中間層46および電流拡散層47の層厚方向のV/IIIの比を示すグラフ。
【図15】実施例5を用いて形成されたクラッド層55と中間層56と電流拡散層57の層厚方向のV/IIIの比を示すグラフ。
【符号の説明】
1、21、31、41、51、61、71、81 基板
2、22、32、42、52、62、72、82 バッファ層
3、23、33、43、53、63、73、83 下部クラッド層
4、24、34、44、54、64、74、84 活性層
5、25、35、45、55、65、75、85 上部クラッド層
6、26、36、46、56、66、76 中間層
7、27、37、47、57、67、77、87 電流拡散層
8 発光部
10、210、310、410、510、610、710、810 n型電極
11、211、311、411、511、611、711、811 p型電極

Claims (17)

  1. III−V族化合物を有する層を含む、組成が異なる複数の層を有する半導体中の、該III−V族化合物を有する層を形成するための化合物半導体の結晶成長方法であって、
    有機金属化学気相成長法によりIII−V族化合物半導体を結晶成長させる工程を包含し、
    ここで、結晶成長初期におけるV族元素のモル流量が、通常成長時のV族元素のモル流量よりも大きくされるとともに、III族元素のモル流量が、結晶成長初期および通常成長時において一定である、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記結晶成長初期におけるV族元素のモル流量が、通常成長時のV族元素のモル流量よりも1.2倍以上、2倍以下である、方法。
  3. III−V族化合物を有する層を含む、組成が異なる複数の層を有する半導体中の、該III−V族化合物を有する層を形成するための化合物半導体の結晶成長方法であって、
    有機金属化学気相成長法によりIII−V族化合物半導体を結晶成長させる工程を包含し、
    ここで、結晶成長初期におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比が、通常成長時におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比よりも大きくされるとともに、III族元素のモル流量が、結晶成長初期および通常成長時において一定である、方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、前記結晶成長初期におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比が、通常成長時におけるIII族元素のモル流量に対するV族元素のモル流量の比よりも1.2倍以上、2倍以下である、方法。
  5. 前記III−V族化合物半導体が、GaPを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記III−V族化合物半導体が、GaIn1−xP(0<x≦1)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記III−V族化合物半導体が、AlGaIn1−x−yP(0<x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記III−V族化合物半導体が、AlGa1−xP(0≦x≦1)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記III−V族化合物半導体が、AlGaIn1−x−yAs(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記III−V族化合物半導体が、AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記III−V族化合物半導体が、InGa1−xAs1−y(0≦x≦1、0≦y≦1)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  12. 請求項1〜11に記載の方法であって、前記III−V族化合物半導体層の厚みが2μm以上である、方法。
  13. 基板と、基板の上の、下部クラッド層、活性層、および上部クラッド層を有する発光部と、該発光部の上の、厚みが2μm以上のIII−V族化合物半導体層とを有する半導体発光素子であって、
    該III−V族化合物半導体層が、請求項1に記載の方法で形成された層である、半導体発光素子。
  14. 基板と、基板の上の、下部クラッド層、活性層、および上部クラッド層を有する発光部と、該発光部の上の、厚みが2μm以上のIII−V族化合物半導体層とを有する半導体発光素子であって、
    前記III−V族化合物半導体層が、請求項2に記載の方法で形成された層である、半導体発光素子。
  15. 基板と、基板の上の、下部クラッド層、活性層、および上部クラッド層を有する発光部と、該発光部の上の、厚みが2μm以上のIII−V族化合物半導体層とを有する半導体発光素子であって、
    前記III−V族化合物半導体層が、請求項3に記載の方法で形成された層である、半導体発光素子。
  16. 基板と、基板の上の、下部クラッド層、活性層、および上部クラッド層を有する発光部と、該発光部の上の、厚みが2μm以上のIII−V族化合物半導体層とを有する半導体発光素子であって、
    前記III−V族化合物半導体層が、請求項4に記載の方法で形成された層である、半導体発光素子。
  17. 請求項13〜16のうちのいずれか1項に記載の半導体発光素子であって、
    前記上部クラッド層と前記III−V族化合物半導体層との間に電流阻止層を有する、半導体発光素子。
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