JP3543143B2 - 道路側溝据付け装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、側溝ブロックを所定位置に据付けるために用いる道路側溝据付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の道路側溝据付け装置は、例えば特開昭57−180732号公報に開示されているように、側溝の長さ方向に移動するための走行台車上に、側溝の高さ調整を行なう一対のジャッキが、支持座を介して側溝幅方向に移動可能に取り付けられて構成されている。
【0003】
そして、側溝据付け時には、側溝の耐力梁をジャッキにて押し上げ、走行台車による長さ方向の位置調整、ジャッキの昇降による幅方向の水平調整と高さ調整、及びジャッキの横移動による幅方向の位置調整を行なうようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置による据付け作業においては、基礎コンクリート面が傾斜している等によって走行台車が幅方向に傾いている場合には、最終調整である幅方向の位置調整を行なうと、すでに調整が終了している側溝の高さが変化してしまうため、再調整を行なう必要があった(図7(a)、図8(a)、図9(a)参照)。
これは、幅方向の位置調整をジャッキの横移動によって行なっているため、走行台車が幅方向に傾いている場合には、ジャッキ頭部の高さが変化してしまうためである。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、側溝の幅方向の位置調整を行なった場合に側溝の高さが変化してしまうことを無くし、もって据付け作業の効率化を図り得るようにした道路側溝据付け装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の道路側溝据付け装置は、側溝の長さ方向に走行移動可能な台車と、
その台車上に設置された両側一対のジャッキと、
その各ジャッキの上端に、軸心を側溝の長さ方向として取り付けられた回転車と、から成る。
【0007】
各回転車の上面に渡って、断面略コ字形のカバーを載置するのが良い。
【0008】
また、軸心を側溝の長さ方向とした回転車を先端に備え、側溝の幅方向に進退可能とした両側一対の移動機構を台車上に設けるのが良い。
【0009】
【作用】
側溝の耐力梁の下に本据付け装置をセットし、ジャッキにより耐力梁を押し上げて側溝を浮上させ、基礎コンクリート上を走行させて所定の据付け位置に移動した後、側溝の長さ方向の位置調整を行なう。
次いで、ジャッキの昇降操作により、側溝幅方向の水平調整と高さ調整を行ない、かつ、ジャッキ上端の回転車を介して側溝を横方向に移動させ、幅方向の位置調整を行なう。
【0010】
請求項2のカバーを設けることにより、回転車の軸心の振れを防止できるとともに、側溝耐力梁との接触面積が大きくなるため、各調整時において側溝を安定させることができ、さらに回転車が直接耐力梁に接触しないため、耐力梁内面の損傷を防止できる。
【0011】
請求項3の移動機構によれば、その両側の回転車を側溝側壁の内面に当てることにより側溝の位置を固定することができる。また、一方の回転車で片側の側壁内面を押すことにより、側溝を幅方向に移動させて位置調整を行なうことができる。さらに、側溝が上下移動する場合に、回転車が回転してその移動をスムーズにするとともに、側壁内面の損傷を防止することができる。
【0012】
【実施例】
図1、図2は本発明の据付け装置1の一実施例を示したものである。台車2は、架台4と、架台4の下部に取り付けた四つの車輪3と、架台4の上端の四隅に張り出すように水平状に取り付けた四つの回転車5とから成っている。この回転車5は、側溝20の内部に据付け装置1が出入りする際、どの部位よりも早く側溝20と当たり、これが回転して据付け装置1をスムーズに移動させるとともに、側溝20の側壁22内面の損傷を防止する。
【0013】
架台4の上部には、中子6がボルトで取り付けてある。この中子6は、高さの異なる物が数種類用意されており、側溝20の高さが変わった時、これを交換することで据付け装置1の高さ調整を行なう。
【0014】
上記中子6の上部には、両側に一対の油圧ジャッキ13、13を設置したジャッキ座7が、ボルトで取り付けてある。各油圧ジャッキ13のラム14の上端には、回転車15を保持した枠体23が固定されている。また、各回転車15、15の上面に渡って、断面コ字形のカバー19が載置されている。
【0015】
上記各枠体23の前後面に取り付けたフックとジャッキ座7との間には、それぞれスプリング18が張設してあり、ラム14を下方へ付勢している。
【0016】
また、ジャッキ座7の上面には、移動機構26を構成する両側一対の左右移動調整座8、8が立設してある。この各調整座8の上部にはメネジが、下部にはガイド孔がそれぞれ左右方向に貫設してあり、該メネジにはオネジである移動ネジ11が、該ガイド孔にはガイド棒12がそれぞれ貫通している。24は、先端に回転車9を保持している枠体である。
【0017】
そして、上記移動ネジ11の先端は枠体24に回転可能に取り付けてあり、ガイド棒12の先端は枠体24に固定されている。また、移動ネジ11の基端には移動ハンドル10が設けてある。
【0018】
なお、16は油圧によりジャッキ13のラム14を上昇させるラム上昇レバー、17は油圧バルブを開くことでラム14を下降させるラム下降ハンドルである。
【0019】
次に、この据付け装置1による側溝据付け作業の手順の一例を図3〜図5を参照しながら説明する。
(1)クレーン等により、図3に示す側溝20を吊り上げて移動し、基礎コンクリート25上に仮置きする。
(2)側溝20両端の耐力梁21、21の下に据付け装置1を一台ずつセットする。
(3)各据付け装置1の移動ハンドル10を回すことにより、移動ネジ11を介して両側の回転車9、9を側方へ押し出し、側溝20の両側壁22、22の内面に当てて止める。
(4)各ラム上昇レバー16を操作しラム14を上昇させて耐力梁21、21を押し上げ、側溝20を基礎コンクリート25上面より浮上させる(図4、図5)。
【0020】
(5)側溝20又は据付け装置1を手で押して動かし、側溝20を所定の据付け位置に移動させる。
(6)側溝20を移動後、側溝20又は据付け装置1を手で押して動かし、長さ方向の位置調整を行なう。
【0021】
(7)ラム上昇レバー16又はラム下降ハンドル17をそれぞれに操作してラム14を昇降させ、側溝20が幅方向で水平となるように、水平調整を行なう。
【0022】
(8)両側のラム上昇レバー16又はラム下降ハンドル17を同時に操作してラム14を昇降させ、側溝20の上面が所定の高さとなるように、高さ調整を行なう。
【0023】
(9)両側の移動ハンドル10をそれぞれに回し、側溝20を移動させたい側の回転車9を押し出すとともに、もう一方の回転車9を引き込んで側溝20を横に移動させるか、又は両側の移動ハンドル10をそれぞれに回して回転車9を引き込んだ後、側溝20を手で押して横に移動させ、幅方向の位置調整を行なう。
【0024】
(10)移動ハンドル10を回し両側の回転車9を押し出して、両側壁22の内面に当てて止める。
(11)側溝側壁22と基礎コンクリート25上面との間に、スペーサを数箇所挿入した後、ラム下降ハンドル17を回してラム14を下降させ、側溝20を所定位置に据付ける。
【0025】
なお、以上の作業において、一セットとして使用する二台の据付け装置1のうち、一台は図6に示すような油圧ジャッキ13が一基のものを使用しても良い。
【0026】
次に、基礎コンクリート25上面が傾斜している場合の側溝20の水平調整、高さ調整及び幅方向位置調整の作業例を、前記した従来技術と比較しながら説明する。なお、図7〜図9において、0は調整の基準点、1aは従来の据付け装置を示している。
例1
図7は、水平調整→高さ調整→幅方向位置調整の順に行なう例であり、(a)は従来技術による手順、(b)は本発明装置による手順を示している。
(a)従来の技術
手順1→右側のジャッキを上昇させ、側溝上面を水平にする。
手順2→左右両方のジャッキを同時に上昇させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順3→側溝を左方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
手順4→左右両方のジャッキを同時に下降させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順5→側溝を右方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
以降、完了まで手順2→手順5を繰返す。
(b)本発明
手順1→右側のジャッキを上昇させ、側溝上面を水平にする。
手順2→左右両方のジャッキを同時に上昇させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順3→側溝を左方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
完了
【0027】
例2
図8は、幅方向位置調整→水平調整→高さ調整の順に行なう例であり、(a)は従来技術による手順、(b)は本発明装置による手順を示している。
(a)従来の技術
手順1→側溝を左方向に移動し、側溝左上角を基準位置に合わせる。
手順2→右側のジャッキを上昇させ、側溝上面を水平にする。
手順3→左右両方のジャッキを同時に上昇させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順4→側溝を右方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
手順5→左右両方のジャッキを同時に上昇させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順6→側溝を左方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
手順7→左右両方のジャッキを同時に下降させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順8→側溝を右方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
以降、完了まで手順5→手順8を繰返す。
(b)本発明
手順1→側溝を左方向に移動し、側溝左上角を基準位置に合わせる。
手順2→右側のジャッキを上昇させ、側溝上面を水平にする。
手順3→左右両方のジャッキを同時に上昇させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順4→側溝を右方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
完了
【0028】
例3
図9は、高さ調整→水平調整→幅方向位置調整の順に行なう例であり、(a)は従来技術による手順、(b)は本発明装置による手順を示している。
(a)従来の技術
手順1→左右両方のジャッキを同時に上昇させ、側溝左上角を基準高さに合わせる。
手順2→右側のジャッキを上昇させ、側溝上面を水平にする。
手順3→左右両方のジャッキを同時に上昇させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順4→側溝を左方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
手順5→左右両方のジャッキを同時に下降させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順6→側溝を左方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
手順7→左右両方のジャッキを同時に下降させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順8→側溝を右方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
以降、完了まで手順3→手順8を繰返す。
(b)本発明
手順1→左右両側のジャッキを同時に上昇させ、側溝左上角を基準高さに合わせる。
手順2→右側のジャッキを上昇させ、側溝上面を水平にする。
手順3→左右両側のジャッキを同時に上昇させ、側溝上面を基準高さに合わせる。
手順4→側溝を左方向に移動し、側溝左側面を基準位置に合わせる。
完了
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、側溝の幅方向の位置調整を行なう場合にジャッキ自体は移動しないため、たとえ基礎コンクリート面が幅方向に傾斜していても、側溝の高さが変化することは無く、従来のように高さの再調整を行なう必要が全く無くなる。特に、幅方向の水平調整、高さ調整、幅方向の位置調整の順で調整を行なえば、この三工程だけで調整を完了することができる。よって、側溝据付け作業の大幅な効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の道路側溝据付け装置の一実施例を示す正面図である。
【図2】同、側面図である。
【図3】側溝の斜視図である。
【図4】本発明の道路側溝据付け装置の使用状態を示す側面図である。
【図5】同、正面図である。
【図6】ジャッキが一基の装置の使用状態を示す正面図である。
【図7】従来の装置及び本発明の装置による据付け作業の一例を示す手順説明図である。
【図8】従来の装置及び本発明の装置による据付け作業の他の例を示す手順説明図である。
【図9】従来の装置及び本発明の装置による据付け作業のさらに他の例を示す手順説明図である。
【符号の説明】
1 据付け装置
2 台車
3 車輪
4 架台
5 回転車
6 中子
7 ジャッキ座
8 左右移動調整座
9 回転車
10 移動ハンドル
11 移動ネジ
12 ガイド棒
13 油圧ジャッキ
14 ラム
15 回転車
16 ラム上昇レバー
17 ラム下降ハンドル
18 スプリング
19 カバー
20 側溝
21 耐力梁
22 側壁
23 枠体
24 枠体
25 基礎コンクリート
26 移動機構

Claims (3)

  1. 側溝の長さ方向に走行移動可能な台車と、
    その台車上に設置された両側一対のジャッキと、
    その各ジャッキの上端に、軸心を側溝の長さ方向として取り付けられた回転車と、から成る道路側溝据付け装置。
  2. 各回転車の上面に渡って、断面略コ字形のカバーを載置して成る請求項1に記載の道路側溝据付け装置。
  3. 軸心を側溝の長さ方向とした回転車を先端に備え、側溝の幅方向に進退可能とした両側一対の移動機構を台車上に設けて成る請求項1又は2に記載の道路側溝据付け装置。
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