JP3542815B2 - ウェハーノッチ部の鏡面研磨装置およびその鏡面研磨方法 - Google Patents

ウェハーノッチ部の鏡面研磨装置およびその鏡面研磨方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は半導体ウェハーのノッチ部を鏡面研する装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコン等の半導体ウェハーでは半導体チップの加工上その結晶軸の方向を明確にしておく必要がある。
この結晶軸の方向を示すため、円形のウェハーの一部を結晶軸の方向に切り欠くオリエンテーションフラット(いわゆるオリフラ)を形成するか、単にウェハーの周縁を小さなV字状に切り欠くノッチ部を設けるかしている。
近年では、ウェハーが大径化し、直径8インチのウェハーが出現している。このような大径のウェハーでは、オリフラを設けたのでは廃棄される無駄な部分が多くなることから、前記ノッチ部を設ける傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
シリコンウェハーは、高精度の表面加工が必要であり、特にポリッシング加工等では微細なゴミの発生でも加工品質に大きく影響してくるため、装置自体が無塵室等の設備の中に設置されていたり、様々な防塵対策が施されている。
ウェハー表面はポリッシング前にラップ加工を行っているが、ウェハー外周部が研削された状態のままではゴミ等が付着しやすく、この状態で加工すると、付着しているゴミが落ちてしまったり、ウェハーの粗面が欠けてしまったりして、加工品質を落としてしまう。
そのためウェハーの外周部を鏡面研することが要求されている。
オリフラ部の鏡面研については、特開昭5−102111号に示されている技術が知られている。
ノッチ部を設けた場合にあっては、ノッチ部は前記のごとく小さいことから発塵の影響もそれ程なく、研することなく使用していた。また小さいノッチ部を研することが困難であった事情にもよる。
しかしながら、半導体チップは益々高集積化していることから、小さな発塵であっても与える影響が大きくなり、ノッチ部も鏡面研することが要求されるようになった。
【0004】
本発明は上記要望に応えるべくなされたものであり、その目的とするところは、ノッチ部を効果的に鏡面研できる装置および方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、本発明装置は、駆動プーリを含む複数のプーリ間に掛け渡されたヒモ状研磨部材を有し、駆動モータにより前記駆動プーリを駆動することによりヒモ状研磨部材を走行させるヒモ状研磨部材の走行装置と、前記ヒモ状研磨部材に当接し、ヒモ状研磨部材を所定の張力に調整する張力調整手段と、ウェハーを保持する保持部と、前記走行装置と前記保持部に保持されているウェハーとを相対的に接離させ、ヒモ状研磨部材をウェハーの周縁に設けられているノッチ部内に当接させると共に、ノッチ部内端面にヒモ状研磨部材を押接する押動装置とを具備し、かつ前記ウェハーのノッチ部と当接する当接部位を挟み、該ウェハーのノッチ部との当接面に対して反対側からヒモ状研磨部材に当接すると共に、両者間の距離を自在に調節可能な一対の規制ローラを設けたことを特徴としている。
かかる装置において、ウェハーを保持する保持部が先端側に設けられている回動アームと、該回動アームの先端側に保持されているウェハーをヒモ状研磨部材方向に移動して、ヒモ状研磨部材をウェハーの周縁に設けられているノッチ部内に当接し、ノッチ部の内端面にヒモ状研磨部材を押接する付勢手段とが配設され、該回動アームと付勢手段により前記押動装置を構成することによって、ヒモ状研磨部材をウェハーの周縁に設けられているノッチ部内に容易に押接できる。
この場合、回動アームの側端側に、回動アームのヒモ状研磨部材側への回動範囲を規制するストッパーを設けると好適である。
かかる保持部を、ウェハーを保持したままウェハーのノッチ部の幅の範囲内で移動させる移動装置を具備することによって、ヒモ状研磨部材がノッチ部内端面の幅方向全面に当接しないときにでも、ヒモ状研磨部材をノッチ部の幅内全面に当接させることができ、ノッチ部内端面全面の均一鏡面研磨を行うことができる。
また、本発明方法では、面取り加工が施されたウェハーの周縁に設けられているノッチ部に、前述した鏡面研磨装置を用いて鏡面研磨を施すことを特徴とする。
この際に、ノッチ部の鏡面研磨に用いるヒモ状研磨部材を正逆方向に走行させるようにすると好適である。
なお、本発明で用いるヒモ状研磨部材としては、ワイヤの周面に研磨剤入りの発泡ウレタンで被覆されたヒモ状研磨部材を好適に用いることができる。
【0006】
【作用】
面取り加工が施された半導体ウェハーの周縁に設けられているノッチ部にヒモ状研部材を当接させ、ウェハーとヒモ状研部材とを相対的に押圧することにより、ヒモ状研部材はほぼV字状になるまで押動され、ヒモ状研部材はノッチ部内端面の中央平坦部のみならず面取部に同時に当接し、この状態でヒモ状研部材を走行させることによりノッチ部内端面全体を均一に研できる。
ここで、ヒモ状研部材の太さ、ノッチ部の大きさ等によりヒモ状研部材がノッチ部内端面の幅方向全面に当接しないときは、ウェハーをそのノッチ部の幅の範囲内で移動することによりヒモ状研部材をノッチ部の幅内全面に当接させることができ、ノッチ部内端面全面の均一鏡面研が行える。
また、一対の規制ローラ間の距離を変えたり、回動アームのヒモ状研部材側への回動範囲を調整することによっても、ヒモ状研部材のノッチ部への当接角度具合が調整できる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
本発明方法は本発明装置と軌を一にするので、装置発明の実施例と共に方法発明の実施例を説明する。
図1は概略的な正面図、図2は平面図、図3は側面図である。
10は走行装置で、エンドレスのヒモ状研部材12が4個の溝付きプーリ14a、14b、14c、14dに掛け渡され、鉛直面内で回転可能になっている。プーリ14aが駆動プーリになっており、正逆モータ16によって駆動される。プーリ14b、14c、14dは遊転プーリになっている。
ヒモ状研部材12は図4に例示するように、ワイヤ12aの周面に研剤入りの発泡ウレタンが被覆されたものが好適である。
18は張力調整手段の一例を示すシリンダ装置であり、そのロッド端に押圧ローラ18aが設けられ、この押圧ローラ18aがヒモ状研部材12に当接し、シリンダ装置18により付勢されてヒモ状研部材12に所定の張力を付与するようになっている。
シリンダ装置18は例えばエアシリンダで構成され、エア圧をレギュレータ(図示せず)にて調整することによりヒモ状研部材12の張力を可変できるようになっている。
なおシリンダ装置でなく、スプリングで付勢されたテンションローラを用いてヒモ状研部材12に所定の張力を付与するようにしてもよい。
20、20は一対の規制ローラであり、前記保持部28に対応して配置され、一定の間隔をおいてヒモ状研部材12に当接するよう配設されている。
両規制ローラ20、20間の間隔は図示しない調節装置により調整可能になされている。調節装置は例えば両規制ローラ20、20の回転軸を長孔内にガイドし、長孔の適宜位置で締めつけて固定するようにするなどで構成できる。
【0008】
22は回動アームで、回動軸23が機台24に設けた軸受け25に軸承されることで水平面内で回動自在に設けられている。
26は付勢手段の一例を示すシリンダ装置であり、ロッド端が回動アーム22の一端側に連結されて回動アーム22を図示の例では水平面内で回動可能になっている。シリンダ装置26の代わりにスプリング、錘等を採用してもよい。
27はストッパーボルトであって、図2に示すように、回動アーム22の側端側に設けられており、回動アーム22の回動範囲を調整しうるようになっている。
回動アーム22、付勢手段等によって押動装置を構成する。
回動アーム22の先端側には保持部28が設けられている。
保持部28はその下面側でウェハー30を吸引してウェハー30の周縁部が露出するよう保持する。32はウェハー30の周縁に形成されたノッチ部である。
ノッチ部32は、図5に示すように両縁部に面取部32aが形成され、両面取部32a間は中央平坦部32bになっている。
34は正逆モータであり、その回転軸が保持部28に連結されることによって、保持部28をウェハー30を吸引したまま正逆回転させるようになっている。
図6は保持部28とその回転機構の具体例の一例を示す。
すなわち正逆モータ34の出力軸35に適宜減速機構(図示せず)を介して回転軸36が連結され、回転軸36下端に吸着板37が固定されている。吸着板37下面にはリング状のシール38が取付られている。また吸着板37の中央には吸引孔39が開口され、この吸引孔39は、回転軸36内に設けられた連通孔40、回転軸36が回転自在に挿通する継手41、ホース42を介して吸引装置(図示せず)に接続されている。
したがって、吸着板37にてウェハー30を吸着保持することができ、またウェハー30を吸着保持したまま正逆モータ34により吸着板37を正逆回転、したがってウェハー30を正逆回転させることができる。
正逆モータ34により保持部28の回動装置を構成する。
【0009】
本実施例は上記のように構成されている。
続いて動作を説明する。
まず前記のごとくウェハー30をノッチ部32がヒモ状研部材12に正対するように保持部28にて吸引保持する。正逆モータ16を駆動し、ヒモ状研部材12を走行させる。その際シリンダ装置18によりヒモ状研部材12に所定のテンションを付与しておくことはもちろんである。
次いでシリンダ装置26を駆動し、ロッドを突出させることにより回動アーム22を矢X方向に回動させ、保持部28に保持されているウェハー30のノッチ部32をヒモ状研部材12に当接させる。回動アーム22はストッパーボルト27に当接するまで決められた回動角度で回動され、ウェハー30は図1、図7に示すように、規制ローラ20、20間のヒモ状研部材12をシリンダ装置18の押圧力に抗して所定距離押動し、ヒモ状研部材12をほぼV字状になるまで押動する。
これにより、図7に明確なように、ヒモ状研部材12はノッチ部32内端面の中央平坦部32bのみならず面取部32aに同時に当接し、ノッチ部32内端面全体を均一に研する。
図7に示すように、ヒモ状研部材12の太さ、ノッチ部32の大きさ等によりヒモ状研部材12がノッチ部32内端面の幅方向全面に当接しないときは、正逆モータ34を駆動して、ウェハー30をそのノッチ部32の幅の範囲内で回動することによりヒモ状研部材12をノッチ部32の幅内全面に当接させることができ、ノッチ部32内端面全面の均一鏡面研が行える。
ヒモ状研部材12をノッチ部32内端面の面取部32aにまで効果的に当接させるには、回動アーム22の回動範囲と規制ローラ20、20間の距離が関係する。したがってストッパーボルト27により回動アーム22の回動範囲を調整し、また規制ローラ20、20間の距離を適宜調整するようにする。ヒモ状研部材12のV字角度が浅ければ面取部32aまでヒモ状研部材12が当接せず、均一な研が行えず、また深すぎればヒモ状研部材12がウェハー30の表面側に当接してオーバー研してしまうからである。
シリンダ装置18の押圧力の調整も重要である。この押圧力によりヒモ状研部材12のノッチ部32内端面への押圧力が決定されるからである。
【0010】
なお、ヒモ状研部材12が面取部32aにまで十分当接しないときは、保持部28側の回動機構を設けて、ウェハー30をノッチ部32を中心に図7のUV方向に回動させるようにしてもよい。
また上記では正逆モータ34により、ウェハー30をそのノッチ部32の幅の範囲内で回動させるようにしたが、適宜機構によりウェハー30をノッチ部32の幅の範囲内で直線移動させるようにしてもよい。請求項の移動装置の概念は回動、直線移動を含む概念である。
上記ではヒモ状研部材12を往復走行させるようにしたが、一方向への走行だけでもよい。
またヒモ状研部材12はエンドレスでなく、巻取方式にして往復走行させるようにしてもよい。
上記実施例ではウェハー22を水平面内に位置させ、ヒモ状研部材12を鉛直面内で回転するよう構成したが、この配置方向は限定されるものではなく、例えば、ウェハー30を鉛直面内に保持し、走行装置側をその周辺部に配置するよう構成できる。
【0011】
【発明の効果】
本発明装置および方法によれば、ウェハーとヒモ状研部材とを相対的に押圧してヒモ状研部材をノッチ部内端面に押接しつつヒモ状研部材を走行させるようにしたから、ヒモ状研部材をノッチ部内端面の面取部まで均一に当接させることができ、小さなノッチ部の内端面を均一にかつ効率よく鏡面研できる。
このウェハーをノッチ部の幅の範囲内で移動させることにより、ノッチ部の幅内全体の鏡面研が行える。
さらに張力調整手段によりヒモ状研部材の張力を調整することにより、最適な研力を設定できる。
また一対の規制ローラ間の距離を変えたり、回動アームのヒモ状研部材側への回動範囲を調整することにより、ヒモ状研部材のノッチ部への当接角度具合が調整でき、きめ細かな研処理が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェハー研装置の一例を示した正面図である。
【図2】図1に示した研装置の平面図である。
【図3】図1に示した研装置の側面図である。
【図4】ヒモ状研部材の断面説明図である。
【図5】ウェハーノッチ部の断面図である。
【図6】ウェハーの保持部の部分断面図である。
【図7】研原理図を示す。
【符号の説明】
10 走行装置
12 ヒモ状研部材
14 プーリ
16 正逆モータ
18 シリンダ装置
20 規制ローラ
22 回動アーム
26 シリンダ装置
27 ストッパーボルト
28 保持部
30 ウェハー
32 ノッチ部
34 正逆モータ

Claims (7)

  1. 駆動プーリを含む複数のプーリ間に掛け渡されたヒモ状研磨部材を有し、駆動モータにより前記駆動プーリを駆動することによりヒモ状研磨部材を走行させるヒモ状研磨部材の走行装置と、
    前記ヒモ状研磨部材に当接し、ヒモ状研磨部材を所定の張力に調整する張力調整手段と、
    ウェハーを保持する保持部と、
    前記走行装置と前記保持部に保持されているウェハーとを相対的に接離させ、ヒモ状研磨部材をウェハーの周縁に設けられているノッチ部内に当接させると共に、ノッチ部内端面にヒモ状研磨部材を押接する押動装置とを具備し、
    かつ前記ウェハーのノッチ部と当接する当接部位を挟み、該ウェハーのノッチ部との当接面に対して反対側からヒモ状研磨部材に当接すると共に、両者間の距離を自在に調節可能な一対の規制ローラを設けたことを特徴とするウェハーノッチ部の鏡面研磨装置。
  2. 前記ウェハーを保持する保持部が先端側に設けられている回動アームと、該回動アームの先端側に保持されているウェハーをヒモ状研磨部材方向に移動して、ヒモ状研磨部材をウェハーの周縁に設けられているノッチ部内に当接し、ノッチ部の内端面にヒモ状研磨部材を押接する付勢手段とが配設され、該回動アームと付勢手段により前記押動装置を構成することを特徴とする請求項1記載のウェハーノッチ部の鏡面研磨装置。
  3. 前記回動アームの側端側に、回動アームのヒモ状研磨部材側への回動範囲を規制するストッパーを設けたことを特徴とする請求項2記載のウェハーノッチ部鏡面研磨装置。
  4. 前記保持部を、ウェハーを保持したままウェハーのノッチ部の幅の範囲内で移動させる移動装置を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のウェハーノッチ部の鏡面研磨装置。
  5. ヒモ状研磨部材として、ワイヤの周面に研磨剤入りの発泡ウレタンで被覆されたヒモ状研磨部材を用いることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載のウェハーノッチ部の鏡面研磨装置。
  6. 面取り加工が施されたウェハーの周縁に設けられているノッチ部に、請求項1記載の鏡面研磨装置を用いて鏡面研磨を施すことを特徴とするウェハーノッチ部の鏡面研磨方法
  7. ノッチ部の鏡面研磨に用いるヒモ状研磨部材を正逆方向に走行させることを特徴とする請求項6記載のウェハーノッチ部の鏡面研磨方法。
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