JP3541511B2 - ピストン - Google Patents
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- F05C—INDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
- F05C2225/00—Synthetic polymers, e.g. plastics; Rubber
- F05C2225/02—Rubber
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関に適用されるピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の駆動によって発生する騒音の一つにスラップ音がある。内燃機関のスラップ音は、ピストンがシリンダ内を往復運動する時に該ピストンのスカート部がシリンダライナの壁面に衝突することによって発生するものである。つまり、シリンダ内をピストンが往復運動できるように、ピストンとシリンダライナの壁面との間には隙間が形成されている一方で、燃焼室からのブローダウンを防止するため、ピストンに形成されたピストンリング溝にはピストンリングが嵌入しているので、ピストンがシリンダ内を往復運動する時、ピストンピン軸に垂直な方向即ちスラスト方向のシリンダ壁面にピストンが衝突してスラップ音が発生する。
【0003】
上記のようなスラップ音を低減させるため、種々のピストンが開発されている。例えば、スラップ音を低減するピストンとして、特開昭63−32150号公報に開示されたものがある。該ピストンは、スカート部のプロフィール形状を工夫することによってスラップ音の低減を図ったものである。
【0004】
ところで、ピストンのスカート部のプロフィール形状に関しては、他に重要な意味がある。内燃機関に適用されるピストンは、図5に示すように、スカート部3の肩部7、即ちピストンリング溝(オイルリング溝)5の下からピストンピン(図示せず)の高さ付近の部位にかけて、ピストン1の外径寸法が徐々に小さくなるようなプロフィール形状に形成されている。このようなピストン外形のプロフィール形状は、ピストン1が熱膨張によってシリンダライナ壁面とかじりを起こすようになるのを防止するという観点から採用されたものである。近年、ピストン1のスカート部3の肩部7における直径減少量を微妙に変更しながら、スラップ音を低減するために、最適なプロフィール形状を得る試みが試行錯誤で繰り返されてきた。
【0005】
例えば、図6に示すようなプロフィール形状を持つピストンについて説明すると、図6において、実線で示すプロフィール形状X(以下、“ベース形状”という)を有する左右対称のピストン1、及び該ピストン1のスカート部3の肩部7を点線で示すようなプロフィール形状Y(以下、“肩部逃げ形状”という)に変更した左右対称のピストン1の二種類のピストン1について、図7に示すような装置を用いてシリンダライナ壁面8の振動を実測した。2.5リットルDIディーゼルエンジンのシリンダライナ壁面8に加速度センサー9を取り付け、チャージアンプ10を介してオシロスコープ11によって、ピストン作動時(1000rpm〜4000rpm)におけるシリンダライナ壁面8の振動を計測した。その結果を、図8に示す。図8において、実線はベース形状Xのピストン1を組み込んだ場合の振動を記録したものであり、点線は肩部逃げ形状Yのピストン1を組み込んだ場合の振動を記録したものである。ピストン1のベース形状Xと肩部逃げ形状Yとを対比すると、明らかなように、肩部逃げ形状Yの方が振動が大幅に低減し、スラップ音が低減している。この実験の例からも分かるように、スラップ音の低減を図る上で、スカート部3の肩部7の直径減少量を変更することは有効であることが分かる。
【0006】
しかし、ピストンについて耐久的な特性とのバランスも考慮しながら、スラップ音低減のための最適なプロフィールを決定するには膨大な試験が必要である。今までのところ、最適なプロフィール形状を与えるような明確な指針は示されていないものの、スラップ音を低減するには単に直径減少量を小さくすればよいというわけではなく、スラップ音を最小にするような最適な直径減少量というものがあるということが明らかになっている。
【0007】
ところで、前掲特開昭63−32150号公報に開示されたピストンについて検討すると、該ピストンは、図9において符号F及びGで示すように、ピストンのスラスト側と反スラスト側とで、スカート部3の肩部7におけるプロフィール形状FとGの直径減少量を異ならせたものである。即ち、該ピストンは、スラスト側で直径減少量が大きく、反スラスト側で直径減少量が小さくなるように形成されている。ピストンのスラスト側と反スラスト側とでプロフィール形状を比較すると、図9に記載された数値と図示された形状からみて、上方へ行くに従って、プロフィール形状Fとプロフィール形状Gとの直径減少量の差は大きくなっている。また、プロフィール形状Gは、一般的に採用されているプロフィール形状によく似ているが、プロフィール形状Fは一般的に採用されているプロフィール形状に比べて直径減少量がかなり小さいものである。なお、図において、符号イの位置は肩部上端位置であり、符号ロの位置はピストンピン中心位置であり、符号ハはプロフィール形状の変化量終了位置である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピストンの反スラスト側のプロフィール形状Fは直径減少量がかなり小さいので、熱膨張によってオイルリング12の下の部分〔図9における符号イの位置〕が大きくなり過ぎ、かじりや焼き付きを引き起こす可能性がある。そこで、図9に示したピストンが熱膨張した場合、ピストンがどのように変形するかを計算によって求めたところ、図11に示すような結果が得られた。なお、温度及び熱膨張係数については図10に示された数値を使用した。図9における肩部上端の符号イの位置では、温度150℃、熱膨張係数2.0×10- 5 、ボア径110mmであるから、これらの数値を使って熱膨張量を求めると、
(150−20)×2.0×10- 5 ×110/2=143μm
となり、143μmの熱膨張量が見込まれる。該熱膨張量をプロフィール形状Fに加えると、スカート部3の下端を基準にとった熱膨張時のプロフィール形状Hは、図11に長い点線Hで示すように、図9の(イ)の位置で−18μmとなる。従って、図9の(イ)の位置で焼き付きが起こるものと推測される。
【0009】
【課題を解決するため手段】
この発明は,ピストンのスカート部におけるプロフィール形状をスラスト方向において非対称に形成し,特に,スカート部のピストンピン高さ付近における外径寸法の直径減少量をスラスト側と反スラスト側とで異ならせることによって,スラップ音の低減を図ると共に,熱膨張による焼き付きを防止し,スラップ音による騒音を低減することができるピストンに関する。
【0010】
この発明は,ピストンリング溝を備えたクラウン部とピストンピンを挿通するピン孔が形成されたボス部を備えたスカート部とから構成されたピストン本体を有するピストンにおいて,前記スカート部の肩部がスラスト側と反スラスト側で異なるプロフィールを有し,前記スカート部は前記ピストンピンの高さ付近における前記スカート部の外径寸法の直径減少量が前記反スラスト側よりも前記スラスト側で大きく,前記スカート部の前記スラスト側の前記直径減少量と前記反スラスト側の前記直径減少量との差が前記スカート部のピストンピン中心高さ位置付近で最大となっていることを特徴とするピストンに関する。
【0011】
この発明によるピストンは,上記のように構成されているので,スカート部におけるスラスト側の肩部で逃げた形状であるが,反スラスト側の肩部では張り出した形状であり,スカート部のスラスト側ではシリンダライナへの肩部の接触部位がピストンピン中心高さ位置付近になるが,スカート部の反スラスト側では該接触部位が高くなる。
【0012】
このピストンは、圧縮行程で反スラスト側のシリンダライナ壁面に押し付けられた状態で上昇していく。次いで、圧縮行程上死点付近で、ピストンはスラスト側へ急速に回動してスラスト側のシリンダライナ壁面に衝突する。このピストンは、スカート部の肩部が反スラスト側で張り出した形状に形成されているから、ピストン上昇時のピストンの傾き角は小さい。前記傾き角が大きい場合には、ピストンの回動角度も大きくなるので、その分だけシリンダライナ壁面へのピストンの衝突力も大きくなるが、上記のとおり、このピストンは前記上昇時のピストンの傾き角は小さいので、それだけ上記衝突力も小さくなる。
【0013】
また,ピストン上死点付近でピストンは,ピストンピン回りに回動してスラスト側でシリンダライナ壁面へ衝突するが,ピストンの傾き角が同じであれば,シリンダライナ壁面へのピストンの衝突部位がピストンピンの中心位置から高さ方向に離れるほど,衝突力も大きくなる。しかし,このピストンは,スカート部のスラスト側の肩部で逃げた形状とし,前記スカート部のピストンピン中心高さ位置付近で前記スラスト側と前記反スラスト側との外径寸法の直径減少量の差が最大になるように形成したので,前記スカート部の前記ピストンピン中心高さ位置付近に衝突部位をもってくることができ,即ち衝突部位を下げることができ,衝突力も小さくなる。従って,このピストンは,スラップ音を低減し,騒音を低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明によるピストンの実施例について説明する。図1はこの発明によるピストンのプロフィール形状を示す説明図である。図1に示すように、このピストン1は、ピストンヘッド部であるクラウン部2とボス部(図示せず)を備えたスカート部3とを一体構造に構成したピストン本体、及びピストン本体とコンロッド(図示せず)とを回転自在に連結するピストンピン4を有している。ピストン本体のクラウン部2には複数のピストンリング溝5が形成されており、各ピストンリング溝5にはピストンリング(図示せず)が嵌入される。スカート部3はクラウン部2の下部に一体的に形成されている。また、ピストン本体のスカート部3はピストンピン4を挿通するピン孔6が形成されたボス部を備えている。
【0015】
図1において,ピストン1の左右に,スカート部3のプロフィール形状を示している。ピストン1の右側には反スラスト側のプロフィール形状Qを拡大して実線で示しており,ピストン1の左側にはスラスト側のプロフィール形状Rを拡大して実線で示している。スカート部3の肩部7,即ちオイルリング溝5の下からピストンピン4の高さ位置付近の部位にかけて,ピストン1の外径寸法が徐々に小さくなるようなプロフィール形状に形成されている。図1において左側に点線で示した曲線は,ピストン1が左右対称即ちスラスト方向において対称な場合のプロフィール形状を示したものである。ピストン1は,ピストンピン4の高さ付近におけるスカート部3の外径寸法の直径減少量がスラスト側で反スラスト側よりも大きくなるように形成されている。また,ピストン1は,スカート部3のスラスト側の直径減少量と反スラスト側の直径減少量との差がピストンピン4の中心Oの高さ位置付近Pで最大となるように形成されている。
【0016】
また、ピストン1はスラスト側の肩部7で逃げた形状、即ち直径減少量の大きいプロフィール形状Rであるが、反スラスト側の肩部7では張り出した形状、即ち直径減少量の小さいプロフィール形状Qである。このプロフィール形状は図6に示したプロフィール形状と同じである。図6において、△印(実線がベース形状、点線が肩部逃げ形状)で示したように、ピストンピンの中心Oの高さ位置付近Pで肩部逃げ形状にすると、即ち直径減少量を大きくすると、スカート部3の肩部7がシリンダライナ壁面8に衝突する衝突部位が下方に下がる(点線の△印参照)。従って、この発明によるピストン1においても、スラスト側の直径減少量をピストンピン4の中心高さ位置付近Pで反スラスト側の直径減少量よりも大きくしたので、スカート部3の肩部7とシリンダライナの壁面8との衝突部位はスラスト側の方が反スラスト側よりも下に下がることになる。
【0017】
次に、図2を参照しながら、ピストン1のスラップ音が低減するメカニズムについて説明する。図2はピストン運動をイメージ的に表現したものである。図中において、ピストン1の左側がスラスト側、右側が反スラスト側である。図5に示したように、ピストン1は一般に熱膨張を考慮して上部の径が小さくなるようなプロフィール形状に形成され、また、図2において、ピストン1は吸入行程(A)、圧縮行程(B)、膨張行程(C)及び排気行程(D)の各行程において揺動運動を繰り返す。圧縮行程について見てみると、ピストン1はスラスト側の矢印SPで示す部位がシリンダライナ壁面8から離れた状態、即ち反スラスト側においてシリンダライナ壁面8に押し付けられた状態で上昇していく。そして、膨張行程(爆発行程)では、上死点付近で筒内圧力によりピストン1は反スラスト側に急速に移動する。この時、ピストン1は矢印SP部位がシリンダライナ壁面8に衝突することになる。
【0018】
この発明によるピストン1はスカート部3の反スラスト側の肩部7が張り出したプロフィール形状Qになっているから、ピストン上昇時のピストン1の傾き角は小さい。反スラスト側では該傾き角が小さくなるように、即ちシリンダライナ壁面8へのピストン1の衝突部位がなるべく高くなるように直径減少量を小さくし、肩部7を張り出すようなプロフィール形状Qにする。該傾き角が大きい場合には、ピストン1の回動角度も大きくなりスラスト側のシリンダライナ壁面8への衝突までの距離が増えることになり、その分シリンダライナ壁面8への衝突力も大きくなるが、この発明によるピストン1はピストン上昇時のピストン1の傾き角が小さいので、それだけ上記衝突力も小さくなる。
【0019】
一方,ピストン1のスラスト側では上死点付近でシリンダライナ壁面8へピストンが衝突するが,この衝突は,ピストン1がピストンピン回りに回動することによって生じるため,ピストンピン中心Oからシリンダライナ壁面8へのピストン1の衝突部位までの距離が大きいほど,衝突力も大きくなる。しかし,ピストン1のスラスト側の肩部7で逃げた形状とし,スカート部3のピストンピン中心Oの高さ位置付近Pでスカート部3の前記スラスト側と前記反スラスト側との外径寸法の直径減少量の差を最大としたので,スカート部3のピストンピン中心Oの高さ位置付近Pに衝突部位を下げることができ,衝突力も小さくなり,スラップ音を低減できる。
【0020】
次に、図3を参照しながら、ピストン1のシリンダライナ壁面8への衝突力をシミュレーション計算した結果〔(ロ)で示す〕について説明する。図3において、「ベース」とは図6に示したベース形状の左右対称のピストンについての計算結果、「肩部逃げ(両面サイド)」とは図6に示した肩部逃げ形状の左右対称のピストンについての計算結果、「肩部逃げ(スラストのみ)」とはこの発明によるピストン1の一例であって、反スラスト側をベース形状とし、スラスト側を肩部逃げ形状としたピストン1についての計算結果を意味するものである。なお、(+印)は「ベース」と「肩部逃げ(両面サイド)」のピストンを用いた実験結果であり、本シュミレーション計算とよく一致しており、本シュミレーション計算の信頼性を示すために併記したものである。図3によれば、「肩部逃げ(スラストのみ)」即ち本願発明のピストン1は、「肩部逃げ(両面サイド)」即ち従来の左右対称のピストンに比べて更に1dAB以上の衝撃力の低減効果があり、この発明によるピストン1はスラップ音を大きく低減できることが分かる。
【0021】
次に,図4を参照しながら,ピストンの熱膨張の影響について検討する。実線はこの発明によるピストンの反スラスト側のプロフィール形状Q,短い破線は同じくスラスト側のプロフィール形状Rである。図11の場合と同様にして該ピストンの熱膨張量を計算すると,熱膨張量は短い点線Uで示すような曲線となる。スカート部3の下端を基準にとった熱膨張時のプロフィール形状T,Sは,図4のようになる(長い破線は反スラスト側の熱膨張時のプロフィール形状S,一点鎖線はスラスト側の熱膨張時のプロフィール形状Tを示している。)。この発明によるピストン1は,図9に示した前掲特開昭63−32150号公報に開示されたピストンに比べると分かるように,ピストンリング溝5の下の部分が元々シリンダライナ壁面8に当たらないように直径減少量を大きくとってあり,あえてスラスト側と反スラスト側とで非対称にする必要はない。従って,このピストン1は,スラスト側の直径減少量と反スラスト側の直径減少量との差がピストンピン4の高さ位置付近Pで最大となるように構成し,ピストンピン4の高さ位置付近Pだけが非対称になっている。熱膨張時においてもスカート部3が,シリンダライナ壁面8に当たる位置はほとんど変わらず,スカート部3の肩部7がシリンダライナ壁面8とかじりを起こさず,焼き付き等の問題を防止することができる。
【0022】
なお、上記実施例で説明したピストン1は、スラップ音低減のためにピストン本体の表面に何ら特別な部材を設けていない通常タイプのピストンにおいて、単にスカート部のプロフィール形状を変更しただけで、スラップ音と焼き付き等の問題を併せて解決したものであるが、ピストン本体のスカート部3に外環部材(図示せず)を嵌合し、該外環部材をスラスト方向に相対移動可能に支持し、スカート部3と外環部材との間の隙間にゴムや合成樹脂製の緩衝部材(図示せず)を介在させたり、或いは該隙間に油圧を供給するように構成することによって、スラップ音の低減を図るピストンに対して、この発明のピストン1を適用してもよいことは言うまでもないことであり、スラップ音低減効果は一層顕著なものになる。
【0023】
【発明の効果】
この発明によるピストンは,上記のように構成されているので,次のような効果を有する。即ち,このピストンは,スカート部の肩部がスラスト側と反スラスト側で異なるプロフィールを有し,ピストンピンの中心高さ付近におけるスカート部の外径寸法の直径減少量が反スラスト側よりもスラスト側で大きく,スカート部のスラスト側の直径減少量と反スラスト側の直径減少量との差がピストンピンの中心の高さ位置付近で最大となるように構成したので,反スラスト側に傾いていたピストンがスラスト側へ傾く時に,回動角度が小さくなると共に,スラスト側で肩部のシリンダライナ壁面への衝突部位をピストンピンの中心の高さ位置に近づけることができる。従って,このピストンは,反スラスト側からスラスト側へ回動した時の衝突力が小さくなり,スラップ音を低減することができる。
【0024】
また,このピストンは,単にスカート部におけるプロフィール形状を変更するだけでスラップ音低減効果が得られるので,スラップ音の低減を図った従来のピストン,例えば,スカート部に外環部材をスラスト方向に相対移動自在に嵌合し,スカート部と外環部材との間の隙間にゴム又は合成樹脂製の緩衝部材を介在させたピストンや,或いは前記隙間に油圧を供給するように構成したピストンなどに比べて,重量の増加や製造コストのアップを抑えることができ,低コストでスラップ音の低減を図ることができる。勿論,前記外環部材を有するピストンに対してこの発明のピストンを適用すれば,スラップ音低減効果は一層顕著なものになる。
【0025】
また,このピストンは,スカート部のスラスト側の直径減少量と反スラスト側の直径減少量との差がピストンピンの高さ位置付近で最大となるように構成したので,熱膨張時においても,シリンダライナ壁面とかじりを起こすことはなく,焼き付き等の問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるピストンの一実施例を示す概略図である。
【図2】ピストン運動のイメージをクランク角60゜毎に描いた説明図である。
【図3】図1のピストンがシリンダライナ壁面に衝突する時の衝突力をシミュレーション計算した結果を示すグラフである。
【図4】図1のピストンが熱膨張によって変形する前と後とでスカート部のプロフィール形状の違いを計算したグラフである。
【図5】ピストンスカート部のプロフィール形状の一例を示す概略図である。
【図6】ピストンスカート部のプロフィール形状を変更した場合の一例を示す概略図である。
【図7】シリンダライナ壁面の振動実測装置を示す概略図である。
【図8】図6に示したプロフィール形状を持つピストンを組み込んでシリンダライナの振動実験を行った場合の計測結果を示すグラフである。
【図9】従来のピストンスカート部のプロフィール形状を示す概略図である。
【図10】ピストン運転時におけるピストンの熱膨張係数及び温度を示す概略図である。
【図11】図9のピストンが熱膨張によって変形する前と後とでスカート部のプロフィール形状の違いを計算したグラフである。
【符号の説明】
1 ピストン
2 クラウン部
3 スカート部
4 ピストンピン
5 ピストンリング溝
6 ピン孔
7 肩部
O ピストンピン中心
P 中心高さ位置付近
Claims (1)
- ピストンリング溝を備えたクラウン部とピストンピンを挿通するピン孔が形成されたボス部を備えたスカート部とから構成されたピストン本体を有するピストンにおいて,
前記スカート部の肩部がスラスト側と反スラスト側とで異なるプロフィールを有し,前記スカート部は前記ピストンピンの高さ付近における前記スカート部の外径寸法の直径減少量が前記反スラスト側よりも前記スラスト側で大きく,前記スカート部の前記スラスト側の前記直径減少量と前記反スラスト側の前記直径減少量との差が前記スカート部のピストンピン中心高さ位置付近で最大となっていることを特徴とするピストン。
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