JP2006242099A - シリンダブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】分割型シリンダブロックにおいて、既存の構造に対し少ない変更を行うだけでオフセットクランク機構を成立させる。
【解決手段】シリンダブロック本体12及びシリンダライナ13を備える分割型シリンダブロック11では、ライナ本体18のシリンダボア20内にピストン31が往復動可能に収容され、同ピストン31がコネクティングロッド33を介してクランクシャフト16のクランクピン34に連結される。また、シリンダライナ13がアッパデッキ部19にて外壁部15に締結される。このシリンダブロック11において、ピストン31が上死点に達する前にクランクピン34が位置する側をスラスト側とする。そして、ライナ本体18について、シリンダボア20よりもスラスト側の部分(18A)の肉厚t1を、シリンダボア20の中心線L2がクランクシャフト16の中心線L1に交差する場合の同スラスト側の部分の肉厚よりも大きく設定する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、シリンダライナ及びシリンダブロック本体を備える分割型のシリンダブロックに関し、より詳しくは、オフセットクランク機構を有するシリンダブロックに関するものである。
エンジンの一形態として、シリンダボア内でのピストンの往復運動をクランク機構によって回転運動に変換してクランクシャフトを回転させるいわゆるレシプロエンジンがある。このエンジンでは、シリンダボアの中心線がクランクシャフトの中心線と交差している(オフセットしていない)と、次の現象が起り得る。それは、爆発・膨張行程でピストンが下降する際の側圧が高いことから、ピストンがシリンダボア壁のスラスト側部分に強く衝突してピストンスラップと呼ばれる打音を発することである。ここで、スラスト側とは、ピストンの上死点(TDC)を基準として、それよりも前(BTDC)にクランクピンが位置する側である。
これに対しては、クランク機構において、シリンダボアの中心線をクランクシャフトの中心線に対し反スラスト側へ偏心(オフセット)させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。この機構はオフセットクランク機構と呼ばれ、同機構が設けられていない場合に比べ、シリンダボア壁のスラスト側部分に作用するピストンの側圧を小さくして、ピストンスラップを低減することが可能である。
一方、近年では、上記シリンダブロックとして、シリンダライナ及びシリンダブロック本体を備えて構成された分割型のシリンダブロックが提案されている。この分割型シリンダブロックでは、シリンダライナが、シリンダボアを有するライナ本体と、そのライナ本体の上端部外周に設けられたアッパデッキ部とを備える。シリンダブロック本体はライナ本体を囲む外壁部を備える。そして、これらのシリンダライナ及びシリンダブロック本体は、アッパデッキ部を通じて外壁部に螺入されたボルト等の締結部品によってシリンダヘッドに締結される。
ところで、分割型のシリンダブロックでも上記と同様にピストンスラップの発生が問題となる。そのため、上記オフセットクランク機構を分割型のシリンダブロックにも適用することが考えられる。この場合、既存のオフセットクランク機構無しの分割型シリンダブロックに対し変更を加えることで対処できるのであれば、開発の工数削減や時間短縮等を図るうえで有効である。そこで、既存の分割型シリンダブロックの構造を流用しつつ、シリンダブロック本体に対するシリンダライナの取付け位置を変更することが考えられる。
特開2003−172101号公報(図1)
ところが、分割型のシリンダブロックでは、上述したように、アッパデッキ部をボルト等の締結部品によって外壁部に締結する構成を採っている。そのため、シリンダブロック本体に対するシリンダライナの取付け位置の変更に伴い、アッパデッキ部、外壁部等におけるボルトの孔の位置も変わる。そのため、新規なシリンダブロックの開発に際し、既存のシリンダブロック(シリンダライナ、シリンダブロック本体)の全体の構造を見直し、変更する必要がある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、分割型シリンダブロックにおいて、既存の構造に対し少ない変更を行うだけでオフセットクランク機構を成立させることである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、シリンダボアを有する筒状のライナ本体の上端部外周にアッパデッキ部を設けたシリンダライナと、前記ライナ本体を囲んだ状態で前記アッパデッキ部の下に配置される外壁部を有するシリンダブロック本体とを備え、前記シリンダボア内で往復動するピストンがコネクティングロッドを介してクランクシャフトのクランクピンに連結されるとともに、前記シリンダライナが前記アッパデッキ部にて前記外壁部に固定されるシリンダブロックにおいて、前記ピストンの上死点を基準として、前記ピストンが前記上死点に達する前に前記クランクピンが位置する側をスラスト側とした場合に、前記ライナ本体について、前記シリンダボアよりもスラスト側の部分の肉厚を、前記各シリンダボアの中心線が前記クランクシャフトの中心線に交差する場合の同スラスト側の部分の肉厚よりも大きくしている。
上記の構成によれば、シリンダボアの中心線がクランクシャフトの中心線に交差する場合、すなわち、オフセットされていない場合が基準とされる。そして、ライナ本体について、シリンダボアよりもスラスト側の部分の肉厚が、上記オフセット無しの場合の同部分の肉厚よりも大きく設定されている。この設定は、例えば、請求項2に記載の発明によるように、前記シリンダボアの中心線が前記ライナ本体の外形形状についての中心線よりも反スラスト側に位置するように、前記シリンダボアを前記ライナ本体に形成することによりなされたものであってもよい。
シリンダボア周りの肉厚の上記設定により、シリンダライナにおけるシリンダボアが、上記オフセット無しの場合よりも反スラスト側に位置し、シリンダボアの中心線がクランクシャフトの中心線に対し反スラスト側にオフセットされる。そのため、オフセットのために、シリンダブロック本体に対するシリンダライナの位置を変更しなくてすむ。従って、オフセットクランク機構の成立に際し、アッパデッキ部の外壁部に対する固定構造等、シリンダブロック全体の構造を見直さなくてもよくなる。既存の分割型シリンダブロックの多くの部分を流用し、シリンダライナにおけるシリンダボア周りの肉厚の変更という少ない見直しを行うだけで、オフセットクランク機構を成立させ、ピストンスラップを低減することが可能となる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記シリンダライナは、前記シリンダボアの周りにおいて、前記アッパデッキ部を通じて前記外壁部に螺入されるボルトにより前記シリンダブロック本体に締結されるものであるとする。
上記の構成によれば、シリンダライナは、そのアッパデッキ部においてボルトによりシリンダブロック本体に締結される。このボルトによる締結はシリンダボアの周囲、すなわちシリンダボアから離れた箇所で行われることから、上記のようにライナ本体についてシリンダボア周りの肉厚が変更されても影響を受けにくい。そのため、アッパデッキ部の外壁部との締結位置を変更することなくオフセットクランク機構を成立させることができ、上記請求項1又は2に記載の発明の効果が確実に得られる。
以下、本発明を多気筒レシプロエンジンに用いられるシリンダブロックに具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。レシプロエンジンは、ピストンの往復運動をクランク機構によって回転運動に変換して、出力軸であるクランクシャフトを回転させるタイプのエンジンである。
図1〜図4に示すように、シリンダブロック11は、シリンダブロック本体12及びシリンダライナ13を備えて構成されている。シリンダブロック本体12はシリンダブロック11の多くの部分を占めるものであり、スカート部14及び外壁部15を備えている。スカート部14はシリンダブロック本体12の下部を構成するものであり、その下端部には、クランクシャフト16を回転可能に支持するためのジャーナル部17が設けられている。外壁部15はシリンダブロック本体12の上部を構成するものであり、ほぼ四角枠状をなしている。シリンダブロック本体12は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の比較的比重の小さな金属材料を用い、ダイカスト、中圧鋳造、低圧鋳造等の鋳造法により一体に形成されている。
シリンダライナ13は、クランクシャフト16の回転中心である中心線L1に沿って列をなすように配置された複数のライナ本体18と、それらに共通のアッパデッキ部19とを備えている。各ライナ本体18は上下両端が開放されたほぼ円筒状をなしており、その内部空間はシリンダボア20となっている。アッパデッキ部19はほぼ平板状をなし、全てのライナ本体18の上端部外周に一体に設けられている。こうした構成のシリンダライナ13は、その全体が鋳鉄等の耐摩耗性に優れた金属材料によって形成されている。
シリンダライナ13における各ライナ本体18は、シリンダブロック本体12の外壁部15により囲まれた空間に収容され、アッパデッキ部19は外壁部15上に載置されている。アッパデッキ部19上にはシリンダヘッドガスケット21を介してシリンダヘッド22が載置されている。シリンダブロック本体12にシリンダライナ13、シリンダヘッドガスケット21及びシリンダヘッド22を締結するために、次の締結構造が採用されている。
外壁部15の複数箇所には、その外壁部15の上面において開口するボルト穴23が設けられている。また、アッパデッキ部19、シリンダヘッドガスケット21及びシリンダヘッド22において前記ボルト穴23に対応する箇所には、それぞれ貫通孔24,25,26が設けられている。そして、シリンダヘッド22の上方から、これらの貫通孔26,25,24を通じてヘッドボルト27が挿通され、外壁部15の対応するボルト穴23に螺入されている。このヘッドボルト27が締付けられることにより、シリンダブロック本体12にシリンダライナ13が締結されてシリンダブロック11が構成されるとともに、同シリンダブロック11上にシリンダヘッドガスケット21を介してシリンダヘッド22が締結されている。
上記シリンダブロック11において、シリンダライナ13とシリンダブロック本体12とによって囲まれた挟まれた空間は、ウォータジャケット28として機能する。ウォータジャケット28は、シリンダブロック本体12、シリンダライナ13等を冷却するための冷却水の通路である。
図5に示すように、各ライナ本体18のシリンダボア20にはピストン31が往復動可能に収容されている。また、各シリンダボア20においてピストン31よりも上側の空間は、燃料及び空気の混合気を燃焼するための燃焼室32となる。
各ピストン31の往復動をクランクシャフト16の回転運動に変換するために、両者31,16がコネクティングロッド33によって連結されている。コネクティングロッド33は、クランクピン34によりクランクシャフト16に接続され、ピストンピン35によりピストン31に接続されている。
ここで、ピストン31(ピストンピン35)の動きは、ライナ本体18によって上下方向に規制される。これに対し、クランクピン34は、クランクシャフト16の中心線L1を自身の中心とする円Cに沿って変位する。従って、ピストン31の往復動に伴い、コネクティングロッド33が図5中左右に揺動しながら上下動する。このコネクティングロッド33の動きがクランクピン34に伝達され、その結果、クランクシャフト16が図5において矢印Xで示す方向(時計回り方向)へ回転する。
こうしたクランク機構では、ピストン31がシリンダボア20内を2往復してクランクシャフト16が2回転する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程という一連の4行程からなる燃焼サイクルが行われる。吸気行程及び膨張行程はピストン31の下降に伴い行われ、圧縮行程及び排気行程はピストン31の上昇に伴い行われる。
さらに、本実施形態では、各ピストン31の往復動における上死点TDCを基準として、ピストン31が上死点TDCに達する前(BTDC)にクランクピン34が位置する側(図5の左側)を「スラスト側」としている。また、ピストン31が上死点TDCに達した後(ATDC)にクランクピン34が位置する側(図5の右側)を「反スラスト側」としている。
そして、図7(A)に示すようにライナ本体18について、シリンダボア20よりもスラスト側の部分(スラスト側部分18A)の肉厚t1が、図6(A)に示すようにシリンダボア20の中心線L2がクランクシャフト16の中心線L1に交差する場合(オフセット無しの場合)の同部分18Aの肉厚t11よりも大きくなるように設定されている。上記肉厚t1の設定により、下記の条件下ではスラスト側部分18Aの肉厚t1は反スラスト側部分18Bの肉厚t2よりも大きくなる。
<条件1>
シリンダライナ13の外形形状が、オフセット無しの場合のシリンダライナの外形形状(円筒状)と同一であること。
<条件2>
オフセット無しの場合のシリンダライナでは、図6(A)に示すように、スラスト側部分18Aの肉厚t11と反スラスト側部分18Bの肉厚t12とが等しいこと。
この場合には、シリンダボア20の中心線L2は、ライナ本体18の外形形状についての中心線L3と合致する。
従って、上述した肉厚t1の設定は、上記条件1,2がともに満たされている状況下で、シリンダボア20の中心線L2がライナ本体18の外形形状についての中心線L3よりも反スラスト側に位置するように、シリンダボア20をライナ本体18に形成することによりなされたものであるとも言える。
シリンダボア20周りの肉厚t1,t2の上記設定により、クランク機構は、シリンダボア20の中心線L2がクランクシャフト16の中心線L1に対し反スラスト側に偏心(オフセット)したオフセットクランク機構36とされている。
なお、スラスト側部分18Aの肉厚t1と、反スラスト側部分18Bの肉厚t2との関係は、ベースとなるオフセット無しの分割型シリンダブロックにおける肉厚t11,t12によって異なってくる。t1>t2の関係が常に成立するとは限らず、例えば、t11≦t12の場合には、t1≦t2の関係が成立することもあり得る。しかし、肉厚t1については、肉厚t11,t12に拘わらず上記t1>t11の関係が成立する。
次に、上記オフセットクランク機構36によるピストンスラップの低減作用について、シリンダボア20の中心線L2がクランクシャフト16の中心線L1に対し偏心されていない(オフセット無し)場合と比較しながら説明する。
<偏心されていない場合>
図6(A)は、ピストン31の圧縮上死点前(BTDC)の状態を示している。この状態では、クランクピン34が円C上におけるスラスト側に位置している。これに対し、ピストンピン35は、クランクシャフト16の中心線L1の上方に位置する。クランクピン34がピストンピン35よりもスラスト側に位置する限り、コネクティングロッド33が、上側ほどシリンダボア壁37の反スラスト側部分18Bに近づくように傾斜する。この傾斜により、ピストン31に加わる筒内圧力Pが、コネクティングロッド33の長さ方向に向かう成分(分圧P1)と、コネクティングロッド33に直交する成分(分圧P2)とに分解される。分圧P2は、シリンダボア壁37側に向かう圧力であることから側圧ということもできる。この分圧P2により、ピストン31がシリンダボア壁37の反スラスト側部分18Bに押付けられながら上昇する。
上記分圧P2はピストン31の上昇に伴い小さくなってゆく。コネクティングロッド33の傾斜角度が大きくなる(傾斜が急になる)からである。なお、ここでの傾斜角度は、シリンダボア20の中心線L2に直交する面を基準とし、この基準に対しコネクティングロッド33がなす角度のことである。以降の「傾斜角度」についても同様である。ピストン31の上昇途中で点火が行われて、混合気が燃焼され、筒内圧力Pが上昇する。ピストン31が上死点TDCに位置すると、コネクティングロッド33が垂直状態となり、分圧P2はほぼ0となる。
図6(B)は、ピストン31の圧縮上死点後(ATDC)の状態を示している。この状態では、クランクピン34が円C上における反スラスト側に位置する一方で、ピストンピン35がクランクシャフト16の中心線L1の上方に位置する。そのため、コネクティングロッド33が上記圧縮上死点前(BTDC)とは逆方向に傾斜する。すなわち、コネクティングロッド33は、その上側ほどシリンダボア壁37のスラスト側部分18Aに近づくように傾斜する。この傾斜により、ピストン31に加わる高い筒内圧力Pが分圧P1と分圧P2とに分解される。この高い分圧P2により、ピストン31がシリンダボア壁37のスラスト側部分18Aに強く衝突してピストンスラップが発生する。
なお、筒内圧力Pは、ピストン31の上昇に伴い高くなり、混合気の燃焼によってさらに高くなり、一般には、上死点TDCを少し過ぎた時点で最大となる。筒内圧力Pは、その後はピストン31の下降に従い低くなる。
<反スラスト側に偏心されている場合>
図7(A)は、ピストン31の圧縮上死点前(BTDC)の状態を示しており、上述した図6(A)に対応している。円C上におけるクランクピン34の位置は図6(A)と同じである。これに対し、ピストンピン35はクランクシャフト16の中心線L1に対し反スラスト側に偏心した箇所に位置する。そのため、図6(A)の場合よりもコネクティングロッド33の傾斜角度が小さくなり(傾斜が緩くなり)、分圧P2が大きくなる。この分圧P2により、ピストン31がシリンダボア壁37の反スラスト側部分18Bに押付けられた状態で上昇する。
上記分圧P2はピストン31の上昇に伴い小さくなってゆく。そのピストン31の上昇途中で点火が行われて、混合気が燃焼され、筒内圧力Pが上昇する。上死点TDCの直後にクランクピン34がシリンダボア20の中心線L2上に位置すると、コネクティングロッド33が垂直状態となり、分圧P2はほぼ0となる。
図7(B)は、さらにピストン31が下降した状態を示しており、上述した図6(B)に対応している。円C上におけるクランクピン34の位置は図6(B)と同じである。これに対し、ピストンピン35はクランクシャフト16の中心線L1よりも反スラスト側に位置する。そのため、図6(B)の場合よりもコネクティングロッド33の傾斜角度が大きくなり(傾斜が急になり)、分圧P2が小さくなる。そのため、ピストン31がシリンダボア壁37のスラスト側部分18Aに衝突する際の衝撃が小さくなり、ピストンスラップが小さくなる。
本実施形態では、上述したように、全てのライナ本体18におけるシリンダボア20について、それらの中心線L2がクランクシャフト16の中心線L1よりも反スラスト側に偏心している(図4参照)。そのため、どのライナ本体18のシリンダボア20についても、上記<反スラスト側に偏心されている場合>と同様にして、ピストンスラップが低減される。
また、上記スラスト側部分18Aの肉厚t1が大きくなるに従い、シリンダボア20の中心線L2の中心線L1に対するオフセット量が多くなる。これに伴い、圧縮上死点後(ATDC)のコネクティングロッド33の傾斜角度が大きくなり(傾斜が急になり)、分圧P2が小さくなってピストンスラップの低減効果が大きくなる。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)ライナ本体18におけるスラスト側部分18Aの肉厚t1(図7(A)参照)が、シリンダボア20の中心線L2がクランクシャフト16の中心線L1に交差する場合(図6(A)参照)の同スラスト側部分18Aの肉厚t11よりも大きくなるように、シリンダボア20周りの肉厚t1,t2を設定している。この設定を、シリンダボア20の中心線L2がライナ本体18の外形形状についての中心線L3よりも反スラスト側に位置するように、シリンダボア20をライナ本体18に形成することにより行っている。
上記設定により、シリンダライナ13におけるシリンダボア20の位置を、オフセット無しの場合よりも反スラスト側に変位させ、シリンダボア20の中心線L2をクランクシャフト16の中心線L1に対し反スラスト側にオフセットさせることができる。このように、シリンダライナ13とシリンダブロック本体12とに分割されたシリンダブロック11において、シリンダブロック本体12に対するシリンダライナ13の位置を変更しなくてもオフセットクランク機構36を構成することができる。
また、ヘッドボルト27による締結はシリンダボア20の周囲、すなわちシリンダボア20から離れた箇所で行われることから、上記のようにライナ本体18についてシリンダボア20周りの肉厚t1,t2が変更されても影響を受けにくい。
従って、オフセットクランク機構36の成立に際し、アッパデッキ部19と外壁部15との締結のための構造等、分割型シリンダブロック11の全体の構造を見直さなくてもよい。既存の分割型シリンダブロックの多くの部分、例えばシリンダブロック本体12についてはそのまま用い、シリンダライナ13におけるシリンダボア20の周りの肉厚t1,t2を変更するという少ない見直しを行うだけで、オフセットクランク機構36を成立させることができる。
(2)上記オフセットクランク機構36によりピストンスラップを低減し、そのピストンスラップに起因する振動や騒音を低減することができる。さらに、分圧P2が小さくなることから、シリンダボア壁37及びピストン31間のフリクションを低減することもできる。
(3)シリンダライナ13の剛性とピストンスラップとの間には相関関係があり、一般には剛性が高いほどピストンスラップが小さい。これに対し、本実施形態では上記のように、スラスト側部分18Aの肉厚t1を大きくすることで、シリンダボア20の中心線L2がクランクシャフト16の中心線L1に交差する場合に比べ、同スラスト側部分18Aの剛性が高くなる。そのため、オフセットクランク機構36により側圧(分圧P2)が小さくなることに加え、上記肉厚t1の増大に伴い剛性が高くなることで、ピストンスラップをより小さくし、振動や騒音を一層低減することができる。
(4)シリンダブロック本体12については、オフセットクランク機構36を有するシリンダブロック11にも有さないシリンダブロックにも共用することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・シリンダライナ13は、ライナ本体18とアッパデッキ部19とが別部材によって構成されたものであってもよい。この場合には、ライナ本体18の上端部外周にアッパデッキ部19を係止する構造が別途必要となる。
・各ライナ本体18は隣のライナ本体18から独立(離間)したものであってもよいし、隣のライナ本体18と相互に連結されたものであってもよい。
・前記実施形態では、シリンダライナ13を、ヘッドボルト27によってシリンダヘッド22とともにシリンダブロック本体12(外壁部15)に締結する構成とした。これに対し、シリンダライナ13をシリンダヘッド22とは別にシリンダブロック本体12に締結する構成としてもよい。
・本発明は、前記実施形態とは異なる数の気筒を有するシリンダブロックにも適用可能である。気筒数が複数の場合、肉厚t1,t2を気筒間で異ならせることにより、シリンダボア20の中心線L2のオフセット量を気筒に応じて異ならせてもよい。
本発明を具体化した一実施形態において、シリンダブロックが組込まれたエンジンの部分破断斜視図。 シリンダブロック本体、シリンダライナ等の斜視図。 シリンダブロックの斜視図。 シリンダブロックの平面図。 図4の5−5線における断面図。 (A),(B)は、シリンダボアの中心線がクランクシャフトの中心線に対して偏心されていない場合(オフセット無し)において、ピストンスラップの発生状況を示す説明図。 (A),(B)は、シリンダボアの中心線がクランクシャフトの中心線に対して反スラスト側に偏心されている場合において、ピストンスラップの発生状況を示す説明図。
符号の説明
11…シリンダブロック、12…シリンダブロック本体、13…シリンダライナ、15…外壁部、16…クランクシャフト、18…ライナ本体、18A…スラスト側部分、19…アッパデッキ部、20…シリンダボア、31…ピストン、33…コネクティングロッド、34…クランクピン、t1,t2…肉厚、TDC…上死点、L1,L2,L3…中心線。

Claims (3)

  1. シリンダボアを有する筒状のライナ本体の上端部外周にアッパデッキ部を設けたシリンダライナと、
    前記ライナ本体を囲んだ状態で前記アッパデッキ部の下に配置される外壁部を有するシリンダブロック本体と
    を備え、前記シリンダボア内で往復動するピストンがコネクティングロッドを介してクランクシャフトのクランクピンに連結されるとともに、前記シリンダライナが前記アッパデッキ部にて前記外壁部に固定されるシリンダブロックにおいて、
    前記ピストンの上死点を基準として、前記ピストンが前記上死点に達する前に前記クランクピンが位置する側をスラスト側とした場合に、前記ライナ本体について、前記シリンダボアよりもスラスト側の部分の肉厚を、前記各シリンダボアの中心線が前記クランクシャフトの中心線に交差する場合の同スラスト側の部分の肉厚よりも大きくしたことを特徴とするシリンダブロック。
  2. 前記肉厚の設定は、前記シリンダボアの中心線が前記ライナ本体の外形形状についての中心線よりも反スラスト側に位置するように、前記シリンダボアを前記ライナ本体に形成することによりなされたものである請求項1に記載のシリンダブロック。
  3. 前記シリンダライナは、前記シリンダボアの周りにおいて、前記アッパデッキ部を通じて前記外壁部に螺入されるボルトにより前記シリンダブロック本体に締結される請求項1又は2に記載のシリンダブロック。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111648875A (zh) * 2019-03-04 2020-09-11 丰田自动车株式会社 缸体

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CN111648875A (zh) * 2019-03-04 2020-09-11 丰田自动车株式会社 缸体
CN111648875B (zh) * 2019-03-04 2022-03-29 丰田自动车株式会社 缸体

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