JPH10510904A - ピストンリングサポート兼シール部材付きピストン組立体 - Google Patents

ピストンリングサポート兼シール部材付きピストン組立体

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JPH10510904A JP9515163A JP51516397A JPH10510904A JP H10510904 A JPH10510904 A JP H10510904A JP 9515163 A JP9515163 A JP 9515163A JP 51516397 A JP51516397 A JP 51516397A JP H10510904 A JPH10510904 A JP H10510904A
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ジョン ダブリュー エヴァンス
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エヴァンス クーリング システムズ インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 ピストン(12)と、ピストン溝(18)内に配置された少なくとも1のピストンリング(20)とを備えるピストンリング組立体。リング溝の後壁とピストンリングとの間で半径方向に配置された少なくとも1のサポート部材(22)を含むサポート装置により、ピストン(12)が安定されかつサポートされる。サポート装置は、通常作動中にピストンに作用する横方向荷重を望ましい態様で吸収するように作用し、必要に応じてガスシールを強化する構造とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 ピストンリングサポート兼シール部材付きピストン組立体 技術分野 本発明は、全体的には、内燃エンジンのピストンおよびピストンリンク組立体 に関し、 特に、エンジン効率を増大しかつシリンダ壁対ピストン摩耗を減少するための 圧縮可能なサポート兼シール部材付きのピストンを含む改善されたピストン組立 体に関する。 発明の背景 シリンダボア内を往復動するピストンおよびリング組立体を含む典型的な内燃 エンジンにおいては、シリンダ壁の摩耗の大部分は、シリンダボアの上部で生じ る。これは、1あるいは複数のピストンリングの面がこのボアに摩擦係合し、シ リンダボアの表面に対してかき取り作用をなすボア領域である。反対に、シリン ダボアの壁部が下端部で受ける負荷はより小さく、ピストンスカートがこの下側 の壁部領域に生じさせる摩耗はかなり少ない。このような不均一のシリンダ摩耗 により、シリンダボアは次第にテーパ状、すなわち頂部のほうが底部よりも比較 的大径となる傾向がある。 更に、シリンダのボアはエンジンの横方向すなわちピストンピンに対して90 度に配向された部分で、エンジンの長手方向(すなわちピストンピンと整合する 方向)よりもかなり多くの摩耗を示す。この現象は、ピストンがシリンダボア内 を往復動するときに、ピストンピンに対するコンロッドの角度により、エンジン の横方向にピストンが極めて大きな負荷を作用させることによるものである。エ ンジンのパワーストローク中に、ピストンに作用する全押し下げ力(燃焼ガス圧 による)は、何トンもの大きさの圧力となることがある。この最大の力はピスト ンに作用し、側方荷重でピストンをシリンダ壁に押し付ける。エンジンの長手方 向(ピストンピンおよびクランク軸ジャーナルに平行)には比較的小さな側方荷 重が作用し、これは、常にコンロッドがシリンダボアのこれらの部分に対して直 線状(すなわち角張ってない)であるためである。更に、側方荷重は、ピストン の慣性力で形成され、この慣性力は、ピストン重量が大きくなると、極めて大き くなる。 上述のピストン側方荷重により、シリンダボアが楕円形状に摩耗する。最も大 きな側方荷重はパワーストロークの際に発生するため、4ストロークサイクルの この間に荷重を受けるボアの側部が最も摩耗する。シリンダボアのこの部分は通 常ボアの主スラストサイドと称され、ボアの反対側の上側の面は副スラストサイ ドと称される。最近製造されて反時計方向(後ろから見たときに)に回転する多 くのエンジンは、主スラストサイドがボアの右側(後ろから見たとき)に配置さ れる。 上述の2つの通常形式の摩耗(これは同時にシリンダボアをテーパ状とし、真 円でないものとする)に加え、シリンダボアは不均一に締付けられたシリンダヘ ッドのファスナによる応力のために真円筒状ではなくなる。歪みは、エンジン冷 却システム全体の過熱、又は、冷却路の制限あるいは詰まりによる局部的な過熱 によるエンジンの異常温度によっても生じる。このような管理されてない熱の作 用で、「低温」および「高温」スポットがシリンダボア内に形成され、これによ り、ボアの摩耗が、比較的均等なテーパ状の代わりに、「波状」面(ボアの軸線 に沿って)となる。 ピストンおよびリング組立体の1あるいは複数のリングは、シリンダボアに理 想的に十分な圧力を作用させて密なシールを形成し、これにより燃焼ガスが下方 に漏洩するのを防止し、オイルが上方に移動するのを防止する。ピストンリング が有効なシールを形成するために必要以上の圧力を作用させると、ピストンリン グおよびシリンダ壁の摩耗を望ましくない程度まで増大し、エンジン摩擦を増大 し、これにより、出力が低下し、温度が上昇し、燃料消費が上昇する。 ピストンリングの側部(すなわち頂面および底面)およびピストンのピストン リングランド部(リングを含む部分)も摩耗する。エンジンのピストンがシリン ダ壁に対してリングを上下に移動する間、リングは常に側方に移動し(ピストン の半径方向)、シリンダ壁の表面の不均等性に対する反動を吸収し、側方荷重に よるピストンの移動に対応する。ピストンの頂部がシリンダ壁に向けて移動する と(側方荷重から)、リングはピストンリング溝内に押戻される。ピストンリン グがリング溝の後壁に「底つき」(半径方向に)することなく、リング面が内方 に押圧されてピストンの縁部と同一面となるように、リングの半径方向背部に十 分な間隙を設ける必要がある。ピストンリングが底つきすると、ピストンに作用 する燃焼および慣性力の衝撃がリングに伝達され、この結果、リングが破損する 。底つきを確実に防止するため、全てのピストンリングランド部は、リング面が ピストンの半径方向外面と同一平面内に配置されたときに、リングの背部に通常 は0.005インチ(約0.13mm)から0.015インチ(約0.38mm)の半径 方向間隙が形成されるように、機械加工される。リングの背部に形成されるスペ ースは、通常、「後壁領域」あるいは「後壁間隙」と称される。 この後壁領域は、リング溝の底部にリングを密に押圧する燃焼圧力により、通 常の頂部および底部ピストンリング間隙(すなわち、その軸方向間隙)がリング の頂部における全てであるときに、燃焼ストロークの際のシリンダボア壁に対す るリング面のシール効果を増大する作用をなす。燃焼ガスは、この軸方向間隙を 通り、後壁領域のガス圧を上昇し、これにより、ピストンリングを外方に付勢し てシリンダボア壁に対して、より密にシールする。この作用を強化するため、ピ ストンおよびリング組立体の頂部ピストンリングの後壁あるいは内面は、面取り 部を形成されるのが一般的であり、これにより、後壁領域にシール圧を形成する ために必要な時間を減少し、その圧力を増加する。このような面取り部がリング の上縁部に形成されると、リングの鋭い縁部が除去されているため、燃焼ガスが より容易に後壁領域内に流入し、これにより、燃焼ガスの乱れおよび「絞り」作 用が減少する。燃焼ガスの作用する有効表面積がかなり増加するため、リング対 シリンダ壁圧力が増大する。 全ての現在のピストン構造の問題の1つは、リングがシリンダボア内ではね返 りあるいはがたつくと、シリンダ壁に対するリング面のシールが瞬間的に喪失し 、燃焼ガスがリング面を介して漏洩することである。これにより後壁領域におけ る圧力が低下し、これによりリングがシリンダボア壁を密にシールする能力が低 下する。このようなリングのはね返りは、シリンダ壁の表面の不均等性(すなわ ち上述の「波状面」)あるいはシリンダボアの主スラストサイドから副スラスト サ イドにピストンが急速に移動することに起因するものが最も多い。これらの現象 のいずれも、高速回転(および高速ピストン)の際に発生する。リングのがたつ きは、通常、早期爆発燃焼あるいは早期着火燃焼に起因し、これらはシリンダ内 の高速の衝撃波の原因となり、リングを振動し、シリンダ壁から離隔させること がある。 エンジンの圧縮ストロークで、圧縮(すなわち吸気充填)圧がピストンを押し 下げ、一方、コンロッドはピストンピンに対するその結合部によりこの圧力に抵 抗する。全ての往復動エンジンでは、これらの2つの力の組み合わされた作用で 、クランクシャフトとの結合部からコンロッドが傾斜する側に向けて、ピストン がシリンダボアの側部に押圧されあるいはスラスト荷重を受ける。 反対に、パワーストロークの際は、コンロッドはシリンダボアの反対側に傾斜 する。燃焼ガスはピストンを押し下げ、コンロッドはピストンピンを上方に押圧 することにより、この圧力に抵抗する。これらの2つの力の組み合せで、圧縮ス トロークの際に押圧される側と反対の側部でシリンダボアの表面に向けてピスト ンが押圧されあるいはスラスト荷重を受ける。 多くのエンジンでは、上述のピストン上に作用するサイドスラストの方向は、 ピストンが上死点(TDC)を通過するときに、一側から他側(後ろから見たと きに左から右)に変化する。上死点前60から0度の範囲で、ピストンはシリン ダボアの左側にスラストを受け(圧縮)、この後、上死点過ぎ約0から10度で 反対の右側にサイドスラストが移行する。このスラストの方向変化で、ピストン がボアの左側から離隔する方向にピストンが引張られ、右側にスラッピングする 。ピストンとボアとの間の間隙が多すぎると、耳で聞取れるほどのノイズが発生 し、これは「ピストン側圧音」と称される。ピストンの金属の作動温度が高いた めに余分のピストン間隙が設けられるレース用エンジン等では、過度の間隙を意 図的に設けることもある。過度の間隙は、上述のシリンダボア壁の摩耗からも生 じる。 現在のエンジンでは、アルミニューム製のピストンを備えており、通常、ピス トンとシリンダボアとが摩耗してないときは、ピストン側圧音は聞こえない。し かし、通常はある程度のスラスト方向の揺れが発生する。エンジンの暖機運転中 にピストン側圧音が聞こえても(不正確な機械加工により)、通常、アルミニュ ームピストンは急速に温度が上昇し、膨張し、これによりピストン/シリンダ間 隙が減少し、スラッピング音が無くなる。しかし、場合によっては、現在のエン ジンが過剰のピストン間隙設けた設計(機械公差あるいは負荷条件)にしたがっ て運転することが必要とされ、全ての運転条件で低レベルのピストン側圧音が聞 こえることがある。 正確に丸く製造するよりも、現在のピストンはわずかに楕円であり(カム切削) 、ピストンのピン孔を通る径は、このピン孔に垂直な径よりも約0.009イン チ(約0.229mm)少ない。通常、最近のアルミニューム製ピストンは、底部 の径が約0.0005インチ(約0.0127mm)大きくなるように、スカートを 研磨して製造される。換言すると、スカートはこの寸法分、外方にフレアあるい はテーパ状に形成される。 長期にわたって使用すると、ピストンスカートに作用するスラスト力がその径 を次第に減じ、スカートは上述のように外方に向くテーパから内方に向くテーパ に変化する(すなわちスカートが「つぶれる」)。このスカート径の減少は、ピ ストンのスラスト作用によるピストンスカートの衝撃の結果によるものであり、 摩擦によるスカートの通常の表面摩耗に追加するものである。スカートのつぶれ は、シリンダボアとピストンスカートとの間の間隙を増大し、ピストンのスラッ ピングを増大する。 ピストンのスラッピングは、シリンダボア内におけるピストンの揺動運動によ るものと考えることができる。ピストンの揺動作用は、ピストンリングのシール 能力に直接影響し、これによりその効果を減じる。最初に、新しいピストンが揺 れると、壁部に対向する平坦面を有する摩耗してないピストンリングも、ピスト ンと共に揺れる。リング面の揺動作用は、リング面の全体を使用することに代え 、リングのシール領域を最上縁部から最下縁部に交互に移動する。ピストンの揺 動により外側のリング縁部に作用する応力は、リングの外面を丸め、その有効性 を更に減じる。ピストンが左に揺れると、下側リング縁部が摩耗し、ピストンが 右に揺れると、上側縁部が摩耗する。スラスト−揺動の連続により次第に摩耗す ると、全体のリング面が丸くなり、ピストンがボア内で垂直に配置されていても 、リング面の僅かな接線だけがシリンダをシールするために利用できるにすぎな い。 ガス圧は、これらの丸められた面を通過して下方に漏洩し、オイルは上方に向け て燃焼室内に漏れ、排出ガスおよびオイル消費に影響をおよぼす。 最近、リングを通してエンジンのクランクケース内に燃焼ガスが漏洩するのを 減少しようとする試みがなされている。このような試みは、エンジンのピーク出 力、および、燃料消費に対するエンジンの比出力を増加するためになされるもの である(エンジンの制動定格燃費(BSFC)と称される)。近年用いられるこ のような方法の1つに、シリンダ壁に接触するリングの面を僅かに傾斜して研磨 する方法がある。これは「テーパ面」ピストンリングと称され、新しいエンジン の初期運転中に、リングの頂部に単一の接点(断面で見たときに)を形成し、摩 耗するにつれてリングの面を横切って下方に移動するように、形成される。これ は、接点が頂部縁部から底部縁部に移動するときに、ピストンがシリンダボア内 で揺動することにより、はね返りを減少することを意図したものである(すなわ ち最も傾斜した(最も下側)縁部は、最も少ない傾斜(最も上側)の縁部ほど激 しく接触しない)。リングの撓みの個所が指定されている場合には、上述と反対 に傾き研磨することができる(すなわち底部の接点)しかし、単一の接点および 頂部から底部にリングを横切って進行する摩耗することの意図するものは、同じ 結果を期待したものである。現在まで、この試みは僅かな改善を実現してきたが 、しかし、課題は大きく改められていない。更に、この試みは、リングの端部の 間隙をシールすることに向けられてきており、これは通常は、リング毎に0.0 08インチ(約0.203mm)から0.030インチ(0.762mm)の範囲であ る。このような間隙のシール構造は、通常は2あるいはそれ以上の「ギャップな し」あるいは「ゼロ間隙」とも称される相互作用リングが用いられる。最後に、 いくつかの試みは、ピストンリングの後壁側に金属および非金属のガスシールを 用いており、これにより、シールし、あるいは燃焼ガスを捕捉し、ピストン溝の 背部を回って通過させようとしている。しかし、本発明者は、これまで、ボア内 でピストンを移動し、あるいはピストン溝内に半径方向に移動するリングの能力 を制限する圧縮部材でリングを支える必要性に向けられた後壁シールの試みを知 らない。これらの試みは、ピストンスラスト、揺動、および必要な後壁間隙によ るピストンの運動中における課題を認識しあるいはこれに向けられていない。更 に、これ らの従来の試みは、ピストンリングのがたつき、はね返り、および、シール面の 腐食を生じさせる状況下で発生するエンジン効率のロスを修正するものではない 。実際、本発明者の知る全てのこのような従来の試みの全ては、ピストンが揺動 しあるいは壁部に向けてスラスト荷重を受けたときに、ピストン溝の後壁とシリ ンダボア壁との間でリングの底つき(充填)を防止するため、リング溝内で半径 方向に最大限度までピストンリングを自由に移動できるようにすることに、特に 向けられていた。 発明の概要 ピストンのサイドスラストおよび揺動から生じる上述の問題は、耳で聞くこと のできるピストン側圧音、リングのはね返りおよびがたつきを含み、本発明によ ると、ピストンリングとピストンとの間に配置され、予荷重を作用され、圧縮可 能な組み合わされたシールおよびエネルギ支承あるいは支持部材の力を用いるこ とにより解決される。ピストンリングサポート兼シール部材の力学的作用は、エ ンジンの毎分当たりの高速回転中(rpm)にリングの背部で燃焼ガスをシールし かつ捕捉するサポート部材の能力により増大され、これにより燃焼ガスは更にリ ングシールを安定させる。 本発明によると、内燃エンジン用のピストン組立体は、エンジンのシリンダボ ア内を往復動するピストンを備える。ピストンは、ピストン周部に沿って延びる リング溝を形成する。この組立体は更にピストン周部に沿って延びるリング溝内 に配置されたピストンリングを備え、シリンダボアの内壁と係合させる。 本発明によると、少なくとも1の圧縮可能なサポート部材がピストンリングと リング溝の後壁との間の半径方向位置に設けられる。このサポート部材は、ピス トンとリングとを相互に支えさせ、これによりピストンリングおよびシリンダボ ア壁に対するピストンの横方向運動を最小にし、更に、リング面と壁部との間の 安定した接触およびシールを維持する。 本発明の1の実施例では、複数のサポート部材設けられ、主としてピストンリ ングに対してピストンを効果的に支持するように形成される。この実施例では、 シリンダ内のガスは、ピストンリングに対して作用し、ほぼ通常の態様でシール 作用をなす。反対に、本発明の他の実施例では、サポート部材は、ピストンリン グに対してピストンを支えかつ安定させるだけでなく、更に、ピストンリングの 後壁領域および対応するピストンランド部におけるガスシール作用を支援する。 他の実施例では、ピストンサポートおよびリングシールは、シリンダ壁インタ ーフェースで、ピストンリング端部間隙の積極的なシールと共に、効果的に行わ れる。 本発明により、ピストンは、シリンダボア内でより直立した望ましい態様で保 持され、傾斜を小さくされ、これにより、ピストンリングの縁部がが通常受ける 高摩擦力が減少する。リングの「ポイントローデング」が防止されるため、温度 が低下し、シリンダ壁に対するリング接触が増大し、リング効率およびシール性 能を望ましい態様に高められる。 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、添付図面および請求の範 囲から容易に明らかとなる。 図面の簡単な説明 第1A図から第1C図は、エンジン作動中にピストンおよびコンロッドに作用 する力を示す内燃エンジンのピストンおよびシリンダの概略図、 第2図は、シリンダボア内に配置されたエンジンのピストンおよびピストンリ ングの概略的な断面図、 第3A図から第3C図は、シリンダボア内で揺動運動するピストンおよびピス トンリング組立体の概略図、 第4図は、本発明の実施例によるピストンを示す概略的な断面図、 第5図は、本発明の他の実施例を示すピストンのリング溝およびそのシリンダ ボアをほぼ横方向に沿う断面図、 第6図は、本発明の他の実施例を示す第4図と同様な概略断面図である。 詳細な説明 本発明は、種々の形態の実施例を含むものであるが、本発明の好ましい実施例 について図示し、以下に説明する。なお、この開示は、発明の例示であり、本発 明を図示の特別な実施例に制限するものでないことを理解されたい。 第1A図から第1C図を参照すると、典型的な内燃エンジンが図示されており 、このエンジンは、シリンダボアB内を往復動可能なピストンPを備える。コン ロ ッドCRがピストンPを対応するクランクシャフトCに連結する。 第1A図から第1C図は、エンジンの通常作動中にピストンPが受ける揺動運 動の典型例を示す。第1A図に示すように、エンジンの圧縮ストロークの際のコ ンロッドCRのシリンダボアBに対する角度により、ほぼ矢印で示す方向に向け てシリンダボアに対するピストンのスラスト荷重が形成される。ピストンが上死 点を通過し(第1B図)、そのパワーストローク(第1C図)を通じて、スラス ト荷重がシリンダボアの反対側に作用する。上述のように、「副スラストサイド 」は、圧縮ストローク中にスラスト荷重を受けるシリンダボアの部分であり、一 方「主スラストサイド」は、パワーストロークの際にスラスト荷重を受けるシリ ンダボアの部分である。第1A図に示す配置からピストンが第1C図に示す配置 への移動は、いわゆる「ピストンスラップ」と称され、ピストンが受ける揺動状 の運動により生じる可聴現象である。 第3A図から第3C図は、ほぼ第1A図から第1C図に対応し、ピストンPと 、シリンダボアBに対する関連するピストンリングRの1つとを示す。シリンダ ボアB内における揺動状のピストンの運動は、ピストンリングRの上下の縁部に 応力を生じさせ、リングの外面を第3A図から第3C図に示すように丸くする。 明らかなように、この摩耗は不均一で、ピストンリングの面を丸めることがあり 、これにより、対応するシリンダボアとのシール作用を損なう。 第2図は、3本のリングを有する従来のスパーク着火ピストン組立体の部分断 面図を示し、ピストンPと、シリンダボアBと係合した頂部および第2圧縮リン グR−1,R−2とを備える。この一般的な従来構造では、トップリング溝とト ップリングR−1の後壁との間に半径方向間隙が、後壁領域あるいは後壁間隙を 形成し、これにより、ピストンリングがこのリング溝内で底つきするのを防止す る十分な間隙を形成する。第2図にBCで示す後壁間隙は、更に、燃焼ガスがピ ストンリングR−1の後壁に作用する領域を形成し、これにより、リングを外方 に付勢して、対応するシリンダボアとシール係合させる。上述のように、圧縮リ ングR−1は想像線CHで示すように面取りを設け、このガスシール作用を促進 することができる。第2ピストンリングR−2も燃焼ガスが作用するためにある 程度シール作用が促進され、あるいは、第2オイルスクレーパリングとして形成 し、オイルをシリンダ壁からエンジンのクランクケース領域内に可能に付勢させ ることもできる。場合によっては、全体で2本のリングだけを使用する場合は、 第2リングをオイルリングとし、トップリングR−1だけを圧縮リングとして用 いることができる。 第4図を参照すると、本発明の原理を具体化する通常の3本リングピストン組 立体10が記載されている(オイルリングは図示してない)。このピストン組立 体10は、ピストン12を備え、このピストンは頂部トッブランド部14と第2 ランド部16とを有し、これらのランド部はピストン12の周部に延びるピスト ントップリング溝18を形成する。 ピストン組立体は、リング溝18内に配置されたピストン頂部圧縮リング20 を備え、対応するシリンダボアBとシール係合する。ピストンリング20の上下 の軸方向面は、ピストンリング溝18に対し、リングの上面とトップランド部1 4のした面との間に示す軸方向間隙aを規定する寸法に形成されている。この軸 方向間隙は、リングが溝18に対してその最下位置に配置されたときに、リング の頂部とランド部14の底部との間に形成され、このとき、リング20の下側軸 方向面は第2リングランド部16で形成された溝面に押圧される。リング20の この位置では、組立体の符号BCで示す後壁領域あるいは後壁間隙が形成され、 これは、リングの内側あるいは半径方向溝面と、ランド部16の上面と、リング 溝18の後壁と、トップランド部14の下側縁部面とで規定される。 本発明によると、圧縮可能なサポート兼シール部材22がピストンリング20 とリング溝18との間の半径方向に配置される。この実施例では、サポート兼シ ール部材22は、リング溝18の周部に沿って連続的に延び、したがってピスト ンおよびこのピストンリング20の連続的なサポートを形成する。重要なことは 、サポート兼シール部材22がピストンリングおよび溝18の後壁に作用し、ピ ストンリングを後壁に対して支え、これにより、ピストン12のピストンリング 18および対応するシリンダボア壁Bに対する横方向移動を最小としつつ、リン グ20面とシリンダボア壁Bとの間の安定した接触およびシールを維持する。 後述するように、高温エラストマーを用いるときに、サイドクラッシュ(crush )当たり0.004インチのリング溝にサポート兼シール部材22を装填し、ピ スト ンPをシリンダボア内に挿入した状態で、0.008インチクラッシュのシリン ダボア(径)を横断する全静荷重を生じさせる(ボア径上に静的予荷重)ことが 好ましい。テストによると、一般に、3.0インチから4.0インチ径の範囲のピ ストンの0.008インチ(径を横断して)の予荷重が通常は理想的であること を示している。しかし、径として、荷重(出力)、毎分当たりの回転数、および 、ピストン重量が変化し、受入可能な静的クラッシュ条件も変化することが理解 される。経験によると、受入可能性の基準は、改善されたピストンの安定性およ びリングシールから選られる利得を、リングインターフェースにおけるリング対 シリンダ壁のかじり(drag)(摩擦)の増加と比較した上で、そのバランスを注意し て評価することが必要である。いつでもクラッシュあるいはサポート兼シール部 材22の予荷重が上昇すると、ピストンリング20の面の圧力も対応して増加す ることが明らかである。 以下の表2は2つの代表的なサイズのピストンに0.008インチのクラッシ ュを設けて形成したサポート兼シール部材22を採用したときの摩擦損失を測定 したデータを示す。テストしたピストンの1は、3.185インチ径で、他のピ ストンは、4.060インチ径である。テストはピストンに2本の圧縮リングの みを用いて行い、各ピストンから第3リングを取外した。一般的には、オイルリ ングがリングによるかじりの半分を形成するものであり、したがってこの取外し は、圧縮リング上の荷重の増大により受ける損失を、より効果的に測定可能とす る。 各ピストンは、標準の0.0625インチピストンリング(すなわちリング溝 軸方向寸法)を使用し、このようなリングは約0.060インチの軸方向距離と 、約0.154インチの半径方向寸法とを有する。サポート兼シール部材22は 、0リング状シールの形状に形成し、円形断面とし、約0.057インチの断面 幅とした。 テストボアは、800番グリットストーンでホーニング加工し、研磨布で滑ら かな表面に仕上げ加工した。この滑らかな仕上げ加工は、通常のなじみ運転によ る摩耗に近似させた(すなわち、10000マイル走行した後の自動車の内燃エ ンジンにおけるようななじみ摩耗と同じ量に近似させたもの)。テストは、1) ボアの一端から他端にピストンのみを移動する静的引張りテストと、2)クラン クシャフトおよびコンロッドを装着しかつ回転させたサイクリングピストンの回 転テストとからなる。各テストは、分離抵抗(break-away resistance)(ポン ド)および持続引張りあるいは回転(インチ・ポンド)を測定した。 以下の量的出力テスト(表2)は水ブレーキ動力試験機による結果を示し、第 4図および第6図に示す本発明の実施例にしたがって形成したピストン組立体を 従来のピストンリングと比較テストしたものである。表1で使用したものと同様 な3.185インチの同じ径のピストンをテストした。テスト装置、詳細および 手順については表2の後に詳述してある。 上記のエンジン動力試験機によるテストは、摩擦による「かじり」テスト(表 1)で上述した4本の同じ3.185″形式のピストンを用いた。ピストンは、 4シリンダ1.6リッターのエンジンに組込み、従来の形式のピストンリングを 装備した(第3オイルリングを使用した)エンジンの典型的な作動特性を見るた めに、基準線テスト(従来のピストンリング)を行った。測定は、トルク(TQ )と、出力(HP)と、制動定格燃費(BSFC、消費した燃料を時間当たりで 馬力当たりの量をポンドで測定した、lb/Hphr)、時間当たりの立方フィート単 位のピストンリングの漏洩(吹き抜けのCFH)とを観察して記録することによ り行った。全ての観察したは、温度、蒸気圧、および、その日の気圧に対し、工 業「標準修正結果」に変換した。基準線テストが完了した後、ピストンをエンジ ンから取外し、ピストンリングランド部を機械加工して本発明のリングサポート 兼シールを取付けた。リングランド部の半径方向深さを設定(後壁径)し、上記 の摩擦テスト(表1)で用いたのと同様に、トップリングに0.008インチ予 荷重を作用させた。機械加工の後、ピストンを再装着し、変更したエンジンを動 力試験機でテストし、基準線テストで記録したものと同様な関数を観察した。全 ての関数は、その日に対する「標準修正結果」に変換した。基準線および変更試 験のいずれの場合も、次のファクターについては一定に保持した。 冷媒 200°F オイル 190°F カーブ空気(Carb Air) 80°F 着火 38°BTDC 空気燃料 14.7から14.8(理論混合比) オイルPSI 32から35PSI(エンジンオイルポンプ) 4500RPMのスタートから全負荷開放スロットルの6000RPMのテス ト終了まで、基準線テストおよび変更構造(各構造について10回の完全走行) いずれも250RPMづつの10ステップでテストした。ステップテスト中、動 力試験機はコンピュータ制御し、エンジンが安定するまでテストポイントでそれ ぞれ250RPMに保持し、続いて、次の250RPM高い点まで上昇し、エン ジンが安定するまでそのRPMに保持し、更に次の250RPMにあげ、最終テ ストRPMに達するまで行った。この結果、本発明の2つの実施例を従来のピス トンおよびリング組立体と比較すると、第4図の変更ピストン組立体(サポート /シールピストンリング)は、平均して約8.5%出力(HPおよびTQ)が改 善し、燃料消費(BSFC)が6.2%減少し、シリンダの漏洩(吹き抜け)が 4.8%減少していることを示す。第6図の実施例によるピストン組立体は、平 均してほぼ9.7%出力が改善され、燃料消費が11.3%、シリンダ漏洩が1 4.2%減少している。 動力試験機によるテストは、本発明によるピストン組立体を使用することによ り、修正トルクおよび修正出力の双方で有意の利得が生じることを示す。駆動摩 擦出力損失は、出力およびトルク利得すなわちゲインは摩擦の減少によるもので はなく、改善されたピストン対シリンダのシール性および減少した吹き抜けを含 むリング効率の改善によるものである。ピストンスカートの摩擦は、サポート兼 シール部材組立体がピストンをシリンダボア内でより同心状に保持し、ピストン スカートとシリンダボア壁との接触が減少することから、減少すると考えられる 。 第4図に示す本発明の実施例の作動中、ピストン12は、安定され、垂直に直 立した状態を維持し、後壁間隙BCは、圧縮可能なサポート兼シール部材22の 作用により、ピストン12がどのような位置に配置され、どのような負荷を受け 、どのような速度であってもシールされる。サポート兼シール部材22が半径方 向に0.004インチの予荷重で装填されると、トップリング20はこのリング の外面でシリンダボアBを僅かに押圧して保持される。これにより、ピストン1 2は、このピストン12の全周を囲む圧縮可能なサポート兼シール部材22内に 実質的に吊り下げられた状態となる。ピストンのトップランド部14がいずれか の方向に移動すると、リング20の半径方向内側の後壁面と溝18の後壁との間 の距離が減少する。このような移動でサポート兼シール部材22が圧縮され、し たがって、ピストン12およびトップランド部14がシリンダボアBに向けてそ れ以上の移動継続に抵抗する。 通常、サポート兼シール部材22は、現在好ましい弾性材料から形成される場 合は、軽くのみ予荷重される(例えば半径方向に0.004インチ)ことが必要 で ある。このような材料には、デュロメータで65−95(ショアA)のデュポン 社から市販されている「Kalrez」等のフッ素樹脂(perfloroelastomer) が含まれる。他の好適な材料には、Viton(DuPont社)、Fluore l(3M社)、およびTechnoflon(Montedison社)の50 −95のデュロメータを示す弗化炭化水素ベースの化合物が含まれる。50−8 0のデュロメータを示すSilasticLS(DowCornig社)等のフ ルオロシリコンを用いることができる。25−80のデュロメータを示すSil atic(DowCornig社)等のシリコン材料を用いることも可能である 。 このような材料は、比較すると、抵抗率が増大するため、ピストン12および トップランド部14は、ピストンリング20の内面に向けてリング溝18の後壁 がそれぞれ0.001インチ移動する毎に、シリンダボアBに向くトップランド 部の移動に対する抵抗が大きくなる。デュロメータの等級およびサポート兼シー ル部材22の断面領域が適当である場合には、ピストン12に作用する上述の力 は、この力が後壁間隙BCを閉じるように作用するため、サポート兼シール部材 22により吸収される。したがって、頂部ランド部14とボアBとの間、および 、ピストン12のスカートの反対側とボアBの反対側(図示しない)との間の接 触が防止される。これにより、可聴のピストン側圧音が防止され、上述のピスト ン組立体と対向するシリンダボアとの摩耗が防止される。 更に、第4図に示す本発明の実施例の作動中、後壁間隙BCの閉鎖に抵抗する サポート兼シール部材22により、ピストンリング20のはね返りあるいはがた つきも抵抗を受けるようになる。ここでも、リング20の内側の後壁面に向けて リング溝18の後壁面が.001インチ毎に移動すると、がたつきおよびはね返 りに対する抵抗を増大し、これにより、シリンダボアに対するリング20の面の シールを増大する。 明らかなように、現在では、サポート兼シール部材22に対するデュロメータ の等級を約50から95の範囲(ショアA)に選定するが好ましい。後壁間隙B Cを適正に満たすために、約0.0625インチから約0.15625インチ(通 常はそれぞれ1/16″および5/32″)の軸方向リング溝寸法を有するピス トンリングに対して、0.057から0.061インチの断面寸法を有する円形断 面 のサポート部材を使用することが好ましいことが判明した。後壁間隙を閉鎖する ために抵抗を増大することが必要であると場合は、このような抵抗を増大するた めに複数の方法を採用することができる。例えばサポート兼シール部材22の断 面領域のデュロメータを増大し、あるいはサポート兼シール部材22の回りの後 壁間隙BCを減少してもよい。このような後壁間隙BCの減少は、例えば後壁間 隙BCを規定するトップランド部14の部分を下げ、あるいは、より完全に後壁 間隙を充填するために後壁間隙BCの断面に対して全体的に噛合い嵌合する(co mplemental)断面形状となるようにサポート兼シール部材22を形状的に嵌合( form fitting)させることにより、行うことができる。後壁間隙BCにおける溝 の面が下げられる場合は、ピストンリング20の内面との接触を防止するために 十分な間隙を設けることが必要である。「形状的嵌合」によるサポート兼シール 部材22が用いられる場合は、このような部材(矩形断面に形成されるような場 合)は、後壁間隙領域を部分的に満たす円形断面部材(同じデュロメータ等級に 対して)よりも十分大きな抵抗を有する。ここに開示の原則を維持しつつ、サポ ート兼シール部材22の断面形状を円形あるいは矩形以外のものとすることも可 能である。 第4図の好ましい実施例の作動に際し、サポート兼シール部材22は、ピスト ンリング20と溝18の後壁とランド部16の頂面とに完全に接触している場合 には、これらとの間で常に完全なシール作用をなす。上述の面との完全接触は、 サポート兼シール部材径を横切る非予荷重状態(ゼロクラッシュで接触)から高 予荷重状態(大きなクラッシュ)を含むに至るまでの最小の接触嵌合のときに行 われる。サポート兼シール部材22により、このような完全シール状態が形成さ れると、後壁間隙領域内に進入して圧力を上昇させるガスは、ピストンリング2 0がランド部16の上面から持上げられても、サポート兼シール部材22の回り を通過することができない。 ガスがリングの回りから逃げられないため、ガスはピストン12の周部に沿っ て通り、ガスがサポート兼シール部材22を押圧して溝18の保持面に向けて密 に係合させると、ピストンリング20の兆円および背面を下方に押圧する大きな シール力が形成される。 ピストンリング20の頂面および背面に作用する圧力の増加により、リング上 の圧力を一定に保持するように作用し、したがってピストンリングのはね返りお よびがたつきが減少し、リング面はシリンダボアBに対してより確実に保持され る。リングのはね返りあるいはがたつきを防止することにより、シリンダ壁のリ ング漏洩および損傷が低減され、エンジン効率、出力、燃費および放出が改善さ れる。 ピストンリング20およびその背面とサポート兼シール部材22に圧力を作用 させ燃焼、排気、および圧縮ストロークに対して、サポート兼シール部材22は 更にエンジンの吸気ストローク中にもシール作用を支援する。このエンジンの作 動段階では、リング20をランド部16から持ち上げる方向に力が作用する。従 来のピストンでは、吸気ストローク中に、ピストンリングの上昇でリングの上下 に開口スペースが形成されるのが通常であり、これによりリングの上の軸方向間 隙が減少する。このようなリングの過渡的な軸方向位置で、リングの回りに通路 が形成され、これにより、ピストンの上側のシリンダ内の負圧が、ガス(ピスト ンの下側のクランクケース内に存在する)を、リングの回りに一時的に形成され た通路を通してピストンの上のシリンダ内に吸引する。 サポート兼シール部材22が装備されて後壁間隙BCが好適にシールされた状 態では、このようなリングの回りの通路は、吸気ストロークの際のリングの過渡 的な軸方向位置にあるときに効果的にシールされる。このような吸気ストローク の際のピストンリングの確実なシール、および、吸気充填のクランクケースの希 釈の排除により、エンジンの一酸化炭素の放出レベルが低下する。更に、ピスト ンリングの周部の間隙領域に「ポンピング」作用がないため、通常は、吸気スト ロークで過渡的な通路に入り、排気ストロークまでそこに留まる未燃焼燃料は、 サポート兼シール部材22により「閉塞」されるため、減少する。ピストンリン グの上および背部の間隙領域内の「隠れた」残留燃料量は、未燃焼炭化水素のエ ンジン放出物を減少する点で望ましい。 サポート兼シール部材22をピストンに装備し、ピストンリングがシリンダボ アに作用させる力の増加を防止することが望ましい場合は、ピストンリングばね 張力とサポート兼シール部材デュロメータとサポート兼シール部材予荷重との間 をバランスさせる。デュロメータの有効ばね比圧縮と、サポート兼シール部材2 2の予荷重とは、計算でき、同様な材料の「比率」はピストンリング20の後壁 から除去でき、これはリングの有効ばね比を、サポート兼シール部材のばね比と 等しい量だけ減少する。このような変更では、ピストン溝18の半径方向寸法は 、ピストンリングの後面から除去された材料に対応する寸法だけ増加され(リン グに向けて)、これにより、サポート兼シール部材22の予荷重値を一定(所要 のクラッシュで)に維持し、一方、リング対シリンダ壁圧力は元の値よりも増加 しない。 本ピストン組立体の更に他の実施例が第5図に記載されている。この実施例で は、サスペンションあるいはサポートシステムおよびリング22面シールが、ピ ストンおよびピストンリング用に設けられ、上述のサポートおよびシール部材2 2のように後壁シールは設けてない。この実施例では、上述の実施例と同様な部 材には同様な参照符号を付してある。 第5図に示すように、ピストン組立体10はピストン12(断面で示す)を備 え、リング溝18内に周方向に延びるピストンリング20を配置されている(明 瞭にするため、リング20はシリンダボアBに対して離隔して示してあるが、通 常はリングは係合している)。この実施例では、ピストン12およびピストンリ ング20のサポートおよび安定化が、複数の周方向に離隔したサポート部材12 2によって行われ、これらああのサポート部材はリング溝18内に配置されてピ ストンリング20の後壁あるいは後面に係合する。 サポート部材122は、弾性材料を含む圧縮可能な材料から形成するのが好ま しく、符号123の想像線で示すようにピストン溝18の後壁内に差し込まれる 。しかし、溝の内面の座ぐりを防止するために他の形態で取付けることもできる 。例えば、サポート部材122はピストン溝18の内面に化学的に接着すること も可能である。サポート部材122はサポートおよびサスペンション機能をなし 、リング20がシリンダ壁に対向してシール作用のみをなすため(後壁のシール は行わない)、例えば符号123で示すような好適な挿入部内に配置される小さ なコイルばね用の金属材料をサポート部材に用いることができる。 第5図の実施例によるサポート部材は、後壁リング溝18を通って、燃焼ガス が下方に流れ、あるいは、クランクケースガスが上方に流れる用途に用いるのが 好ましく、これに設けられたリング20は関係しない。しかし、他の点に関して は、圧縮可能なサポート部材122は上述のサポート兼シール部材22と同様に 機能し、ピストン12のスラスト方向の移動は、ピストン溝の後壁面の方向のピ ストンリングの移動がサポート部材122の圧縮により抵抗を受ける状態とする 。ここでも、ピストンの安定性が達成され、揺動およびピストンスラップに対す る抵抗が改善され、はね返りおよびがたつきの状態から、シリンダ壁Bに対する ピストンリング20の面シールの損失を制御することが同様に達成される。図示 の実施例は6つのサポート部材122を示すが、このような別個の独立したサポ ート部材の特別の数および間隔は、ここに開示の範囲内で変更可能なことは明ら かである。 本発明の更に他の実施例が第6図に記載してあり、上述の実施例と同様な部材 には、同様な符号を付してある。この実施例は、第4図に示す実施例と異なり、 ピストンリング120が端部間隙シールリング121と共に設けてあり、ピスト ンリングの端部間隙をシールする。この実施例では、ピストンリング121は、 下側の軸方向面に、L字状の段付き溝が機械加工してあり、したがって、端部間 隙シールリング121はリング溝18内に保持してもよい。 端部間隙シールリング121は、リング120の溝内に装填され、典型的には 、かみ込みあるいはロックを防止するために、軸方向および半径方向の0.00 05インチの間隙が設けられている。本発明のサポート兼シール部材22と組み 合わせて端部間隙シールリング121を使用することは、ピストン12およびピ ストンリグ20のシールを更に効果的にする点で望ましい。このような場合には 、ピストンリング120の端部間隙は、シールリング121の端部間隙から18 0°に配置する(すなわち、端部間隙は、互いに径方向に対向する)。したがっ て、各リング120,121の固体部は、リングの他端の端部間隙に配置され、 油膜がリング120とシールリング121との間の密な間隙をシールする。これ は、望ましい態様で、ほぼ完全にトップリング120の暗部間隙をシールするよ うに作用する。本発明のこの実施例の動力計によるテストの結果は上述の通りで ある。 本発明について、ピストン組立体のトップリングおよび溝との関連で説明して きたが、種々の配置の組合わせも採用可能なことは明らかである。本発明のサポ ート兼シール部材を、下側あるいは第2リングおよびピストンの溝と共に設け、 あるいはトップリングおよび第2リングの双方および組合わせられた溝およびこ れらの他の変更例に設けることも、本発明の目的に含まれるものである。 上述から、本発明の真の精神および新規な考えの範囲から逸脱することなく、 種々の変更および変更が可能である。ここに示した特別の実施例に関して制限す ることを意図し、あるいは、示唆するものでもない。本明細書は請求の範囲を支 持するものであり、請求の範囲に含まれる全てのこのような変更も可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.内燃エンジン用ピストン組立体であって、 エンジンの対応するシリンダボア内を往復動するピストンを備え、このピスト ンは、その周部に延びる1又は複数のリング溝を形成し、更に、 前記溝のそれぞれに配置され、前記ピストンの周部に沿って延び、前記シリ ンダボアの内壁と摺動係合するピストンリングと、 このピストンリングと前記リング溝の少なくとも1の後壁との間に半径方向 に配置され、ピストンリングを前記後壁に対して支え、これにより前記ピストン リングおよびシリンダボアに対する前記ピストンの横方向移動を最小とするピス トンリングを圧縮可能なサポート手段と、を備えるピストン組立体。 2.前記ピストンリングサポート手段は、前記リング溝と前記ピストンとの全周 に沿って延びる請求項1に記載のピストン組立体。 3.前記ピストンリングサポート手段は、前記リング溝と前記ピストンとの周部 に沿って離隔した複数のサポート部材を備える請求項1に記載のピストン組立体 。 4.前記ピストンリングの少なくとも1に近接して位置する端部間隙シールリン グがその端部間隙をシールする請求項1に記載のピストンリンク組立体。 5.前記サポート部材のそれぞれは、弾性材料を備える請求項3に記載のピスト ン組立体。 6.前記サポート部材のそれぞれは、コイルばねを備える請求項3に記載のピス トン組立体。 7.前記サポート手段は、円形断面を有する弾性サポート部材を備える請求項2 に記載のピストン組立体。 8.前記サポート手段は、矩形断面を有する弾性サポート部材を備える請求項8 に記載のピストン組立体。 9.前記サポート手段は、前記リング溝とピストンリングとの間に形成される後 壁間隙の断面に対して、全体的に噛合う断面形状を有する弾性サポート部材を備 える請求項2に記載のピストン組立体。 10.内燃エンジン用ピストン組立体であって、 エンジンの対応するシリンダボア内を往復動するピストンを備え、このピス トンは、その周部に延びる1又は複数のリング溝を形成し、更に、 前記リング溝のそれぞれに配置され、前記ピストンの周部に沿って延び、前 記シリンダボアの内壁と摺動係合するピストンリングと、 このピストンリングと前記リング溝の少なくとも1の後壁との間に半径方向 に配置され、前記リング溝と前記ピストンリングとにシール係合し、これにより 前記ピストンリングの回りを前記ピストン溝を通り、前記ピストンリングの壁面 を越える上方および下方のガスの漏洩を最小とする圧縮可能なピストンリングシ ールと、を備えるピストン組立体。 11.前記ピストンリングの少なくとも1に近接配置された端部間隙シールリング を備え、この端部間隙リングは、前記ピストンリングで形成された端部間隙をシ ールする請求項10に記載のピストン組立体。 12.前記ピストンリングシールは、円形断面を有する弾性部材である請求項10 に記載のピストンリング組立体。 13.前記ピストンリングシールは、矩形断面を有する弾性部材を備える請求項1 0に記載のピストンリンク組立体。 14.前記サポート手段は、矩形断面を有する弾性サポート部材を備える請求項1 0に記載のピストン組立体。 15.前記サポート手段は、前記リング溝と前記ピストンリングとの間に形成され た後壁間隙の断面に対してほぼ噛合う断面形状の弾性サポート部材を備える請求 項10に記載のピストン組立体。 16.前記ピストンリングシールは、65から95のデュロメータを有する弾性部 材を備える請求項10に記載のピストンリング組立体。 17.シリンダボアを有する内燃エンジンのピストン組立体を支える方法であって 、 前記シリンダボア内を往復動可能なピストンを設け、このピストンがその周 部に沿って延びる1又は複数のリング溝を形成し、更に、 前記溝のそれぞれに配置され、前記ピストンの周部に沿って延び、前記シリ ンダボアの内壁に摺動係合するピストンリングを設け、 前記ピストンリングを、前記ピストンリングと前記リング溝の少なくとも1 の後壁との間に半径方向に配置された少なくとも1の圧縮可能なサポート部材で 支え、前記ピストンリングを前記後壁に対して支え、これにより、前記ピストン リングおよびシリンダボアに対する前記ピストンの横方向運動を最小とする、方 法。 18.前記ピストンリングを、前記リング溝の全周に沿って連続的に支える請求項 17に記載のピストン組立体を支える方法。 19.前記リング溝の周部に沿う複数の離隔した位置で、前記ピストンリングを支 える請求項17に記載のピストン組立体を支える方法。 20.前記ピストンリングの少なくとも1の近部に配置された第2端部間隙シール リングを設けることにより、前記ピストンリングの端部間隙をシールすることを 備える請求項18に記載のピストン組立体を支える方法。 21.シリンダボアを有する内燃エンジン用ピストン組立体のシール方法であって 、 前記シリンダボア内を往復動可能なピストンを設け、このピストンがその周 部に沿って延びる1又は複数のリング溝を形成し、更に、 前記溝のそれぞれに配置され、前記ピストンの周部に沿って延び、前記シリ ンダボアの内壁に摺動係合するピストンリングを設け、 このピストンリングと前記リング溝の少なくとも1の後壁との間に半径方向 に配置された少なくとも1の圧縮可能なサポート部材で、このピストンリングを 支え、前記ピストンリングと前記後壁とにシール係合し、これにより、前記ピス トンリングの回りを、前記リング溝を通しかつ前記ピストンリングのシリンダ壁 面を越える上方および下方のガスの漏洩を最小とする、方法。 22.前記シール部材を弾性材料から形成し、前記シール部材を円形断面に形成す ることを含む請求項21に記載のピストン組立体のシール方法。 23.前記シール部材を弾性材料から形成し、前記シール部材を矩形断面に形成す ることにより前記ピストンリングをシールすることを含む請求項21に記載のピ ストン組立体のシール方法。 24.前記シール部材を弾性材料から形成し、前記シール部材を、前記リング溝と 前記ピストンリングとの間に形成された後壁間隙の断面と全体的に噛合う断面形 状とすることにより、前記ピストンリングをシールすることを含む請求項 21に記載のピストン組立体のシール方法。 25.前記ピストンリングに近接配置された端部間隙シールリングを設けることに より、前記ピストンリングの端部間隙をシールすることを含む請求項21に記載 のピストン組立体のシール方法。
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