JP3541451B2 - 自動車高周波用ガラスアンテナ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車電話等に用いられる自動車高周波用ガラスアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車電話に用いられる電波(900MHz〜1.5GHz)の送受信のためのアンテナとして、従来はポールアンテナが用いられていた。しかし、ポールアンテナは、アンテナとしての実用性能は得られるが、通常、取付車体面から棒状に突き出した形で用いるため、突起物として走行中に不快な風切り音を発生させ、外観的にも煩雑で美感上問題があり、また、人を傷つけるおそれがあり、駐車中にいたずらされる可能性もあるなどの問題があった。
【0003】
また、自動車電話に用いられる電波の送受信のためのガラスアンテナとしては、図7に示すガラスアンテナが本発明者により提案されている(特開平6−232617号公報)。
【0004】
図7において、11a、11bはアンテナ線、12は略コの字状の連結線、13、14は位相調整線、15は給電点、16はアース導体、20は自動車の窓のガラス板であり、アンテナ線11aとアンテナ線11b及び連結線12から、アンテナ導体は構成される。
【0005】
図7に示す従来のガラスアンテナは、アンテナ線11a、11bをコの字状の連結線12によって連結接続することからなるアンテナ導体と、給電点15と、アース導体16とを、自動車の窓のガラス板20上に設け、アンテナ導体を給電点15に接続し、かつ、アース導体16に位相調整線14を付設し、給電点15とアース導体16とを送受信のアンテナ端子として使用している。
【0006】
図7に示す従来のガラスアンテナは、自動車の窓のガラス板の中心より下側の位置に配置することによって、自動車電話の周波数帯の電波に対する送受信特性を従来のポールアンテナの受信感度とほぼ同等とすることができる。
【0007】
したがって、自動車の窓のガラス板の中心より上側の位置に配置することによって、自動車電話の周波数帯の電波に対する送受信特性を従来のポールアンテナの受信感度とほぼ同等にできるガラスアンテナの開発が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、自動車の窓のガラス板の中心より上側の位置に配された場合であっても、従来のポールアンテナの受信感度とほぼ同等の性能を発揮する自動車高周波用ガラスアンテナの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自動車の窓のガラス板に、ループ状の主アンテナ導体と、給電部と、給電部に接続された副アンテナ導体と、アース導体とを設け、主アンテナ導体と給電部とが接続線によって接続されており、送受信電波の波長をλ、ガラスアンテナの短縮率をKとするとき、接続線の長さを(λ/2)・K以下とすることを特徴とする自動車高周波用ガラスアンテナである。
【0010】
また、本発明は、主アンテナ導体が略長方形、略円形、略楕円形又は略多角形のループ状導体からなることを特徴とする上記自動車高周波用ガラスアンテナである。
【0011】
また、本発明は、副アンテナ導体に補助アンテナ導体を付設することを特徴とする上記自動車高周波用ガラスアンテナである。
【0012】
以下、図面に従って本発明を詳細に説明する。図1は本発明の自動車高周波用ガラスアンテナの代表例を示す正面図であり、図1において、1はループ状の主アンテナ導体、2は線状の副アンテナ導体、3aは線状の補助アンテナ導体、3bは別の線状の補助アンテナ導体、4は主アンテナ導体1と給電部5を接続する接続線、5は給電部、6は位相調整線、7はアース導体、9は自動車の窓のガラス板である。
【0013】
主アンテナ導体1の形状については、図1では、略縦方向に延びるループ状の長方形としたが、主アンテナ導体1のループ形状は、ループ状であれば図1の形状に限定されず、略長方形、略円形、略楕円形又は略多角形が使用できる他、コンパクト化し、主アンテナ導体1の実効長を確保するために、これらのループ状の図形を構成する導体の帯又は導体線が螺線状、ジグザグ状であってもよい。
【0014】
主アンテナ導体1のループ形状の全長L1 (ループ1周の長さ)は、所望の周波数帯で特性良く送受信できるように、ガラス板上で数1を満たすことが望ましい。ただし、λは所望の周波数の波長であり、Kはガラスアンテナの短縮率であって、0.64である。
【0015】
【数1】
【0016】
接続線4の形状は、図1では、直線状としたが、図1の形状に限定されず、曲線であってもよく、接続線4の実効長を確保するために、接続線4を構成する導体線が螺線状、ジグザグ状であってもよい。
【0017】
接続線4の全長L4 は、本発明の自動車高周波用ガラスアンテナ設置箇所周辺の自動車の構造等の条件によって適宜決定されるが、自動車の構造等がどのような状態であったとしても、全長L4 は、ガラス板上で数2を満たすことが必要である。
【0018】
【数2】
【0019】
全長L4 がλ・K/2超であると、全長L4 がλ・K/2以下である場合と比較して約1〜3dB受信感度が悪くなる。全長L4 の望ましい範囲はλ・K/4以下であり、特に望ましい範囲はλ・K/8以下である。全長L4 の範囲がλ・K/4以下である場合には、λ・K/4超である場合と比較して約1〜3dB受信感度がよくなる。また、全長L4 の範囲がλ・K/8以下である場合には、λ・K/8超である場合と比較して約1〜3dB受信感度がよくなる。このように全長L4 がλ・K/2以下の範囲であると受信感度がよくなることについての理由については、必ずしも明らかではない。
【0020】
副アンテナ導体2の形状については、図1では略L形状としたが、図1の形状に限定されず、略弧状、略直線状、曲線状、略L形状、略コの字状等であってもよく、コンパクト化し、副アンテナ導体2の実効長を確保するために、副アンテナ導体2を構成する導体帯又は導体線が螺線状、ジグザグ状であってもよい。
【0021】
副アンテナ導体2の全長L2 は、所望の周波数帯で特性良く送受信できるように、ガラス板上でほぼ1波長(L2 ≒λ・K)とするのが望ましい。
【0022】
補助アンテナ導体は、必要に応じて設けられるものであり、必須なものではないが、受信感度向上のためには設けた方がよい。また、図1では線状の補助アンテナ導体3a、3bを2本設けているが、これに限られず、1本又は2本以上であってもよい。
【0023】
また、補助アンテナ導体は、図1では線状としたが、これに限られず、略直線状、ループ状、曲線状、略L形状、略コの字形状、略弧形状等が使用でき、線状、ループ形状を組み合わせてもよい。補助アンテナ導体のそれぞれの全長L3 は、数3を満たすことが望ましい。
【0024】
【数3】
【0025】
全長L3 がλ・K/8未満であると、λ・K/8≦L3 ≦λ・K/2の場合と比較して約0.5〜1dB受信感度が低下し、全長L3 がλ・K/2超であると、λ・K/8≦L3 ≦λ・K/2の場合と比較して約0.5〜1dB受信感度が低下する。また、補助アンテナ導体の副アンテナ導体2上への付設位置は、受信感度の周波数特性が良くなるように、実験的に求める。
【0026】
位相調整線6は、本発明の自動車高周波用ガラスアンテナの出力インピーダンスを次段の受信機等の入力インピーダンスとインピーダンスマッチングさせる機能を有し、インピーダンスマッチングがなされている場合には、必須なものではない。また、図1では位相調整線6を1本設けているが、これに限られず、複数本設けてもよい。
【0027】
また、位相調整線6は、図1では線状としたが、これに限られず、略直線状、ループ状、曲線状、略L形状、略コの字形状、略弧形状等が使用でき、線状、ループ形状などを組み合わせてもよい。また、位相調整線6の実効長を確保するために、位相調整線6を構成する導体線が螺線状、ジグザグ状であってもよい。
【0028】
位相調整線6の全長L6 は、本発明の自動車高周波用ガラスアンテナ設置箇所周辺の車体構造等の条件や、車種によって適宜決定されるが、ガラス板上で波長の1/4波長以下(L6 ≦(λ/4)・K)の長さで良好な受信感度となり、望ましい。全長L6 がλ・K/4超であると、L6 ≦λ・K/4の場合と比較して位相調整の機能がほとんど作用しない。
【0029】
図2〜図5は、図1とは別のタイプの本発明の自動車高周波用ガラスアンテナの正面図であり、図2〜図5において、図1と同符号は同名称である。図3において、3は補助アンテナ導体、6a、6bは位相調整線であり、図5において、3cは補助アンテナ導体である。
【0030】
【実施例】
図1に記載された自動車高周波用ガラスアンテナと同形状のものを作製した。主アンテナ導体1等は、寸法W×H=約1600mm×800mmの自動車の窓のガラス板9の最上端から150mm付近に銀ペーストを膜厚約30μmで印刷により形成後、焼成して作製した。以下に各部の寸法を示す。
【0031】
アース導体7の中心と給電部5の中心との距離=20mm、
主アンテナ導体1の全長L1 =210mm、
副アンテナ導体2の全長L2 =220mm、
補助アンテナ導体3aの全長L3a=60mm、
補助アンテナ導体3bの全長L3b=60mm、
接続線4の全長L4 =5mm、
給電部5の寸法=8mm×8mm、
位相調整線6の全長L6 =35mm、
アース導体7の寸法=8mm×8mm。
【0032】
主アンテナ導体1、副アンテナ導体2、補助アンテナ導体3a、3b、接続線4、位相調整線6の線幅は1mmとした。
【0033】
図6に、実施例と従来のポールアンテナ(アンテナ長500mmのもの)の受信感度の周波数特性を示す。
【0034】
また、比較例として、図7に示す従来のガラスアンテナを寸法W×H=約1600mm×800mmの自動車の窓のガラス板9の最上端から150mm付近に(実施例の自動車高周波用ガラスアンテナが設けられた位置と同付近)銀ペーストを膜厚約30μmで印刷により形成後、焼成して作製した。図7の各部の寸法は以下の通りである。
【0035】
アンテナ線11aの全長=112mm、
アンテナ線11bの全長=112mm、
連結線12の長さ=55mm×2+1mm(全長111mm)、
位相調整線13の全長=45mm、
給電点15の寸法=10mm×10mm、
アース導体16の寸法=10mm×10mm、
位相調整線14の長さ=10mm(図7横幅)×50mm(図7縦右側)×20mm(図7縦左側)。
【0036】
また、アンテナ線11a、11bと連結線12及び位相調整線13、14の線幅は1mmとした。
【0037】
実施例と比較例の受信感度の周波数特性を比較したところ、実施例の方が860〜940MHzで平均約1.5dB受信感度がよかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車電話の周波数帯の電波に対する送受信特性を従来のポールアンテナの特性と同等にできるため、ポールアンテナをなくして自動車の車体面から突起物をなくすことができる。したがって、自動車の美観上望ましく、不快な風切り音をなくし、かつ、いたずらされることのない安全性の高い自動車高周波用ガラスアンテナを提供できる。
【0039】
図7に示す従来のガラスアンテナは、自動車の窓のガラス板の中心より下側の位置に配置することによって、自動車電話の周波数帯の電波に対する送受信特性を従来のポールアンテナの送受信特性とほぼ同等とすることができる。
【0040】
しかし、本発明の自動車高周波用ガラスアンテナは、自動車の窓のガラス板の中心より上側の位置に配された場合のみならず、自動車の窓のガラス板のどの位置に配された場合であっても、自動車電話の周波数帯の電波に対する送受信特性を従来のポールアンテナの送受信特性とほぼ同等にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車高周波用ガラスアンテナの代表例を示す正面図
【図2】図1の自動車高周波用ガラスアンテナと別の形の実施例を示す正面図
【図3】図1の自動車高周波用ガラスアンテナと別の形の実施例を示す正面図
【図4】図1の自動車高周波用ガラスアンテナと別の形の実施例を示す正面図
【図5】図1の自動車高周波用ガラスアンテナと別の形の実施例を示す正面図
【図6】実施例及び従来のポールアンテナの受信感度の周波数特性図
【図7】従来のガラスアンテナを示す正面図
【符号の説明】
1:ループ状の主アンテナ導体
2:線状の副アンテナ導体
3a:線状の補助アンテナ導体
3b:別の線状の補助アンテナ導体
4:主アンテナ導体1と給電部5を接続する接続線
5:給電部
6:位相調整線
7:アース導体
9:自動車の窓のガラス板
Claims (3)
- 自動車の窓のガラス板に、ループ状の主アンテナ導体と、給電部と、給電部に接続された副アンテナ導体と、アース導体とを設け、主アンテナ導体と給電部とが接続線によって接続されており、送受信電波の波長をλ、ガラスアンテナの短縮率をKとするとき、接続線の長さを(λ/2)・K以下とすることを特徴とする自動車高周波用ガラスアンテナ。
- 主アンテナ導体が略長方形、略円形、略楕円形又は略多角形のループ状導体からなることを特徴とする請求項1の自動車高周波用ガラスアンテナ。
- 副アンテナ導体に補助アンテナ導体を付設することを特徴とする請求項1又は2の自動車高周波用ガラスアンテナ。
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