JP3540906B2 - 車両用エアコンシステムの空調制御装置 - Google Patents

車両用エアコンシステムの空調制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアコンアンプユニット(親局)と1つ以上のドアアクチュエータ(子局)とを1本の通信線と1本の電源線を介して接続することでLAN(ローカルエリアネットワークlocal area network)化し、複数のドアの開度を制御する車両用エアコンシステムの空調制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用エアコンシステムの空調制御装置としては、例えば、特開平6−8746号公報に記載されているように、エアコンアンプユニットに各ドアアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動回路を組み込み、エアーミックスドア用,モードドア用,インテークドア用の各アクチュエータと駆動回路をハーネスで接続するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両用エアコンシステムの空調制御装置にあっては、駆動回路と各ドアアクチュエータとをそれぞれ5本〜9本のハーネスにより接続するものであり、ハーネス本数及び重量が多大になるし、また、各ドアアクチュエータはポテンショ方式やエンコーダ方式等のように種類が異なり、量産効果を望めないし、さらに、エアコンアンプユニットにアクチュエータ駆動回路を組み込んでいることでアンプが大型化するしマイコン負荷も大きくなる。
【0004】
そこで、これらの問題の解決策となるのが、エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線により接続するLAN化である。
【0005】
すなわち、LAN化の採用により、ハーネス本数の削減,アクチュエータの統合化,アンプの小型化を達成することができ、この結果、システム軽量化やシステムコストの低減という優れた長所を得ることができる。
【0006】
しかしながら、現行システムに代えてLAN化システムを採用しようとしても下記の解決しなければならない課題が残る。
【0007】
現行システムでは、モードドア動作中あるいはベントモードでのエアミックスドアのフルホット側動作中にファンモータ電圧の目標値が8.5V以上となると、ファンモータ電圧の最大電圧値を8.5Vに制限し、ドアを動作させるためのトルクを確保するファンモータの最大電圧制限を行なっていた。
【0008】
しかし、LAN化の採用で1本の通信線を介してアンプからアクチュエータに対しドア開度データ等を一方的に送信するようにした場合、例えば、モードドアが動作中であるかどうかを判断することができず、ファンモータ電圧の8.5V制限を行なおうとしても、制限解除の条件検出ができずファンモータ電圧が8.5Vのままとなってしまうので、8.5V制限を廃止せざるを得ない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、ファンモータや複数のドアアクチュエータを駆動制御する車両用エアコンシステムの空調制御装置において、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、ファンモータの最大電圧制限によりドア動作中にドア駆動トルクの確保を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(解決手段1)
上記課題の解決手段1(請求項1)は、図1のクレーム対応図に示すように、内蔵しているマイコンによって各スイッチやセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、空調システムに設けられているファンモータaや複数のドアアクチュエータb,c,dを駆動制御するエアコンアンプユニットeを備え、
ドアの動作中にファンモータ目標電圧が最大電圧値以上となった時、ファンモータ電圧を最大電圧値に制限する車両用エアコンシステムの空調制御装置において、
前記エアコンアンプユニットeと複数のドアアクチュエータb,c,dとを1本の通信線fと1本の電源線gを介して接続し、
1本の通信線fを介して送る通信信号を、ドア目標停止位置データを含むドアアクチュエータb,c,dへの送信信号とドアアクチュエータb,c,dからの返信信号による双方向信号とし、前回送ったドア目標停止位置データと今回送ったドア目標停止位置データが異なる時、前記最大電圧制限を働かせ、ドアアクチュエータb,c,dからエアコンアンプユニットeに返信される信号が、ドア位置が目標位置に到達し制御が終了していることを示す制御終了信号である時、最大電圧制限を解除するファンモータ最大電圧制限制御手段hを設けたとを特徴とする。
【0011】
(解決手段2)
上記課題の解決手段2(請求項2)は、請求項1記載の車両用エアコンシステムの空調制御装置において、
前記ファンモータ最大電圧制限制御手段hを、モードドアの動作中もしくはエアミックスドアのフルホット側動作中にファンモータ電圧を最大電圧値に制限する手段としたことを特徴とする。
【0012】
(解決手段3)
上記課題の解決手段3(請求項3)は、請求項1または請求項2記載の車両用エアコンシステムの空調制御装置において、
前記1本の通信線fを介して送る通信信号として、エアコンアンプユニットeから供給されるクロック信号にデータを重畳させる3値式符号を用い、2種類のパルス振幅でハイとローを表現し、送信信号の最後部分をドアアクチュエータb,c,dからの返信信号とし、返信信号は制御中の時に2つのパルスが両方共にハイであり、制御終了時には2つめのパルスをローとしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は、解決手段1ないし解決手段3に対応する車両用エアコンシステムの空調制御装置である。
【0014】
まず、構成を説明する。
【0015】
図2は実施の形態1の空調制御装置が適用された車両用エアコンシステム図である。
【0016】
エアコンシステムのメカ系として、図2の上部に示すように、インテークユニットケース1、外気側吸入口2、室内側吸入口3、ブロアファン4、ブロアファンモータ5、インテークドア6、クーリングユニットケース7、エバポレータ8、ヒータユニットケース9、ベント吹出口10、デフ吹出口11、フット吹出口12、ヒータコア13、ミックスドア15、ベントドア16、デフドア17、フットドア18を備えている。
【0017】
エアコンシステムの制御系として、図2の中部から下部に示すように、ファンコントロール回路20、インテークドアアクチュエータ22、エアミックスドアアクチュエータ23、モードドアアクチュエータ24、エアコンアンプユニット25、水温センサ26、冷媒温度センサ27、内気センサ28、外気センサ29、日射センサ30、吸込温度センサ31、コントローラ32を備えている。
【0018】
前記ファンコントロール回路20は、エアコンアンプユニット25からの指令によりブロアファンモータ5への印加電圧を無段階に制御する。
【0019】
前記インテークドアアクチュエータ22は、エアコンアンプユニット25にてインテークドア6のドア開度(内気,半外気,外気)が決定されると、インテークドア6を決定したドア開度に動かす。
【0020】
前記エアミックスドアアクチュエータ23は、モータエアコンアンプユニット25にて仮想ドア開度XPBR が決定されると、仮想ドア開度XPBR のデータを受信して仮想ドア開度XPBR に一致するドア開度が得られるようにミックスドア15を動作させる。
【0021】
前記モードドアアクチュエータ24は、エアコンアンプユニット25にて目標モードドア位置が決定されると、モードドア(ベントドア16,デフドア17及びフットドア18の総称)を開閉させる。
【0022】
前記エアコンアンプユニット25は、内蔵しているマイコンによって各スイッチやセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、ブロアファンモータ5や各ドアアクチュエータ22,23,24や図外のコンプレッサ等を総合的に制御する。
【0023】
前記水温センサ26はエンジン冷却水温を、冷媒温度センサ27は冷媒温度を、内気センサ28は内気温度TINC を、外気センサ29は外気温度Tamを、日射センサ30は日射量QSUN を、吸込温度センサ31は吸込温度TINT をそれぞれ検出し、エアコンアンプユニット25に入力する。
【0024】
前記コントローラ32は、車室内のコントロールパネル部に装備され、モードやファン速度や温度等を表示する表示部32aと、モードスイッチや温度調節ダイヤル等が設けられている操作部32bと、表示部32aへの表示出力や操作部32bからのスイッチ入力やエアコンアンプユニット25とのデータ通信を行なう操作・表示・通信回路32cによって構成されている。操作・表示・通信回路32cとエアコンアンプユニット25とは、操作データ線33とクロック信号線24と表示通信データ線35により接続されている。
【0025】
図3はアンプ/アクチュエータ間のネットワークを示す図であり、エアコンアンプユニット25と各ドアアクチュエータ22,23,24は、図3に示すように、1本の通信線36と1本の電源線37により接続されていて、エアコンアンプユニット25は各ドアアクチュエータ22,23,24のアドレスとモータの目標位置データを送信し、該当するアドレスを持つアクチュエータはこのデータを受信し、目標位置へモータを回転させる。
【0026】
図4はアンプ/アクチュエータ間の保護回路を省略したフィジカルレイヤ(ネットワークにおける回線の電気的な接続の確立,維持,解除等の機能を持つレイヤ)を示す図であり、通信信号としてクロック信号にデータを重畳させる3値式符号を用い、2種類のパルス振幅H/Lを表現する。アクチュエータのASICは通信信号よりクロックを抽出し、ASICの論理回路は、この抽出クロックにより通信信号のデコード(符号化されたデータを復元する操作)その他全動作を行なう。クロック信号はアンプからのみ供給されるため、通信速度はアンプのソフトで任意に設定可能である。
【0027】
図5(イ) はアンプの送信動作を示す送信タイミングチャートであり、CLK出力(クロック出力)がHの時はDATA出力(データ出力)に関係なくTr1により通信線36が設置される。CLK出力がLの時はDATA出力に応じたTr2のON/OFFにより通信線36は12VもしくはR1・R2 により決まる中間電位となる。
【0028】
図5(ロ) はアクチュエータの受信動作を示す受信タイミングチャートであり、データ抽出用コンパレータcmp1はLパルス振幅より大きい判定レベルを持ち、クロック抽出用コンパレータcmp2はLパルス振幅より小さい判定レベルを持つ。RXDATAでセット、RXCLKの立ち上がりでリセットした信号を、RXCLKのたち下がりでサンプリングすることによりデーコードを行なう。図中のNRZは抽出データである。
【0029】
次に、作用を説明する。
【0030】
[通信手順]
図6〜図9により通信手順について説明する。
【0031】
通信に用いる信号は、図6(イ) の通信波形に示すように、2種類のパルス振幅によりH/Lを定義する。そして、図6(ロ) の符号化テーブルに示すように、3つのパルスの組み合わせにより2bitのバイナリデータを表す。
【0032】
通信フォーマットは、図7に示すように、送信開始を表すSOM(Start Of Message)、送信対象とするアクチュエータのアドレスを表すADR(アドレス)、モータ駆動の許可あるいは禁止を表すENA(イネーブル)、ドアの目標停止位置を表すDATA(データ)、ADR,ENA,DATAのエラーをチェックするPRTY(奇数パリティ)、診断用アクチュエータ返信信号を表すPOS(制御終了信号)である。図8は通信フォーマットの実例を示すもので、斜線部分は常にHパルスとなる。
【0033】
受信シーケンスを説明すると、ASICは、通信フォーマットの始まりを示すSOMを受信することにより受信シーケンスを開始する。ASICは該当するアドレスを検出した時のみ、後に続くデータを取り込むが、符号化テーブルにない波形に組み合わせやパリティ異常を検出した場合は受信シーケンスを終了し受信データを放棄する。受信シーケンス中にSOMを受信すると、受信シーケンスは最初からやり直しとなる。ASICはイネーブルが1のときにのみモータ駆動を行ない、イネーブルが0のときはデータ更新を行なうだけでモータの駆動は行なわない。
【0034】
アクチュエータの返信を説明すると、アンプはPOS信号の部分では必ずTr2をOFFさせ、POS信号を表す2つのパルスは、通常双方ともHパルスとなる。アンプからの信号を受信したアクチュエータは、ドアの位置が目標位置に到達し制御が終了していれば、POS信号の2つめのパルスがLパルスとなるようなタイミングでTr3をONさせる。アンプはPOS信号の振幅をモニタすることによって、送信対象としたアクチュエータのドアが目標位置にあるか否かを判別することができる。アクチュエータの返信は正常受信完了時にのみ行なわれ、アドレス不一致時やエラー発生時には返信を行なわない。尚、図9(イ) は制御中のPOS信号を示し、図9(ロ) は制御終了時のPOS信号を示す。
【0035】
[ファンモータ最大電圧制限制御]
図10はエアコンアンプユニット25で行なわれるファンモータ最大電圧制限制御作動の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
【0036】
ステップ50では、FAN電圧制限フラグが、最大電圧非制限時を示す“0”か最大電圧制限時を示す“1”かが判断される。
【0037】
ステップ51では、FAN電圧制限フラグ=0の時、モードドアアクチュエータ24が動作中かどうかが判断される。
【0038】
この判断は、エアコンアンプユニット25から送信される信号のうちADR(アドレス)が示す送信対象がモードドアアクチュエータ24であり、イネーブルがモータ駆動許可を示す“1”であり、且つ、DATA(データ)が前回送ったドア目標停止位置のデータと今回送ったドア目標停止位置のデータが異なるとの判断により行なわれる。
【0039】
ステップ52では、FAN電圧制限フラグ=0でステップ51でNOと判断された時、エアミックスドアアクチュエータ23がフルホット側からフルクール側へ一定開度まで動作中かどうかが判断される。
【0040】
この判断は、エアコンアンプユニット25から送信される信号のうちADR(アドレス)が示す送信対象がエアミックスドアアクチュエータ23であり、イネーブルがモータ駆動許可を示す“1”であり、且つ、DATA(データ)がフルホット側の領域を示す値であると共に前回送ったドア目標停止位置のデータと今回送ったドア目標停止位置のデータが異なるとの判断により行なわれる。
【0041】
ステップ53では、ステップ51でモードドアアクチュエータ24が動作中であると判断された時、あるいは、ステップ52でエアミックスドアアクチュエータ23がフルホット側での動作中であると判断された時、演算処理により得られた目標電圧が8.5V以上であってもファンモータ5への出力電圧の最大値を8.5Vまでに制限するファンモータ出力電圧制限が開始される。
【0042】
ステップ54では、FAN電圧制限フラグが“0”から“1”へ書き換えられる。
【0043】
ステップ55では、ステップ50の判断でFAN電圧制限フラグ=1の時、診断用アクチュエータ返信信号であるPOS信号がローかどうかが判断される。
【0044】
この判断は、エアコンアンプユニット25へ返信される信号振幅をモニタし、図9(イ) に示すハイ・ハイによる制御中信号から図9(ロ) に示すハイ・ローによる制御終了信号に切り換わったかどうかで行なわれる。
【0045】
ステップ56では、ステップ55でPOS信号がローとなりドア位置が目標位置に到達し制御が終了すると、ファンモータ5への出力電圧の最大値を8.5Vまでに制限するファンモータ出力電圧制限が解除される。
【0046】
ステップ57では、FAN電圧制限フラグが“1”から“0”へ書き換えられる。
【0047】
[ファンモータ最大電圧制限作用]
3種類のドア16,17,18を動作させることで負荷の大きなモードドア動作中あるいは送風抵抗を受けることで負荷が大きくなるエアミックスドア15のフルホット側動作中は、図10においてステップ50→ステップ51またはステップ52→ステップ53へと進む流れとなり、ステップ53では、目標電圧が8.5V以上であってもファンモータ5への出力電圧の最大値を8.5Vまでに制限される。
【0048】
よって、ドアと同時に駆動しているファンモータ5への出力電圧の最大値が制限されることで、ドアを動作させるために必要なモータ駆動トルクが確保され、応答良くドアの開閉制御を行なうことができる。
【0049】
そして、ドア位置が目標位置に到達しドア制御が終了すると、図10において、ステップ50→ステップ55→ステップ56へと進む流れとなり、ステップ56では、ファンモータ5への出力電圧の最大値を8.5Vまでに制限するファンモータ出力電圧制限が解除される。
【0050】
よって、モードドア動作中等の特定のドア動作中を除いてファンモータ5への出力電圧の最大値制限が解除され、ファンモータ5は目標電圧に一致する出力電圧により駆動され、最適な風量制御等が達成される。
【0051】
すなわち、アンプ/アクチュエータ間のLAN化を採用した場合であって、1本の通信線を介してアンプからアクチュエータへ送信信号のみを送るようにした場合、モードドア等のドア位置が目標位置に到達しドア制御が終了したのを判断することができず、ファンモータ5への出力電圧の最大値を8.5Vまでに制限すると、その後、8.5V制限のままとなってしまうことから、8.5V制限を廃止せざるを得なくなる。
【0052】
これに対し、本願では、アクチュエータ側からアンプ側へ制御中か制御終了かを表す返信信号を設定し、返信信号が制御終了を示す信号となったら8.5V制限を解除するようにしたことで、アンプ/アクチュエータ間のLAN化を採用したにもかかわらず8.5V制限を残すことができる。
【0053】
次に、効果を説明する。
【0054】
(1)エアコンアンプユニット25と複数のドアアクチュエータ22,23,24とを1本の通信線36と1本の電源線37を介して接続し、1本の通信線36を介して送る通信信号を、ドア目標停止位置のデータを含むドアアクチュエータ22,23,24への送信信号とドアアクチュエータ22,23,24からの返信信号による双方向信号とし、前回送ったドア目標停止位置データと今回送ったドア目標停止位置データが異なる時、ファンモータ5の最大電圧制限を働かせ、ドアアクチュエータ22,23,24からエアコンアンプユニット25に返信されるPOS信号が、ドア位置が目標位置に到達し制御が終了していることを示す制御終了信号である時、ファンモータ5の最大電圧制限を解除する制御を行なう装置としたため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、ファンモータ5の最大電圧制限によりドア動作中にドア駆動トルクの確保を図ることができる。
【0055】
(2)ファンモータ最大電圧制限制御では、モードドア16,17,18の動作中もしくはエアミックスドア15のフルホット側動作中にファンモータ電圧を最大電圧値(8.5V)に制限する装置としたため、ドア動作のなかで駆動負荷の大きな特定のドア動作中の時にのみ最大電圧制限を生かし、他の場合には最大電圧が制限されないファンモータ5の駆動制御を確保することができる。
【0056】
(3)1本の通信線36を介して送る通信信号として、エアコンアンプユニット25から供給されるクロック信号にデータを重畳させる3値式符号を用い、2種類のパルス振幅でハイとローを表現し、送信信号の最後部分をドアアクチュエータ22,23,24からの返信信号であるPOS信号とし、POS信号は制御中の時に2つのパルスが両方共にハイであり、制御終了時には2つめのパルスをローとしたため、POS信号のパルス振幅をモニタするだけの簡単な処理により最大電圧制限の解除条件である制御終了情報を得ることができる。
【0057】
(その他の実施の形態)
実施の形態1では、3つのドアアクチュエータ22,23,24が設けられている例を示したが、バイパスドア等が加わることで3つ以上のドアアクチュエータが設けられたシステムにも適用することができる。
【0058】
実施の形態1では、モードドアの動作中もしくはエアミックスドアのフルホット側動作中にファンモータ電圧を最大電圧値に制限する例を示したが、ファンモータの最大電圧制限が実施の形態1以外の条件により実行されるものも含む。
【0059】
実施の形態1では、ドアアクチュエータからアンプへ返送される信号として2つのパルス信号によるPOS信号を用いる例を示したが、ドア位置が目標位置に到達し制御が終了していることが判別できる信号であればPOS信号に限られるものではない。
【0060】
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、ファンモータや複数のドアアクチュエータを駆動制御する車両用エアコンシステムの空調制御装置において、エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線と1本の電源線を介して接続し、1本の通信線を介して送る通信信号を、ドア目標停止位置データを含むドアアクチュエータへの送信信号とドアアクチュエータからの返信信号による双方向信号とし、前回送ったドア目標停止位置データと今回送ったドア目標停止位置データが異なる時、ファンモータの最大電圧制限を働かせ、ドアアクチュエータからエアコンアンプユニットに返信される信号が、ドア位置が目標位置に到達し制御が終了していることを示す制御終了信号である時、最大電圧制限を解除するファンモータ最大電圧制限制御手段を設けたため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、ファンモータの最大電圧制限によりドア動作中にドア駆動トルクの確保を図ることができるという効果が得られる。
【0061】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の車両用エアコンシステムの空調制御装置において、ファンモータ最大電圧制限制御手段を、モードドアの動作中もしくはエアミックスドアのフルホット側動作中にファンモータ電圧を最大電圧値に制限する手段としたため、上記効果に加え、ドア動作のなかで駆動負荷の大きな特定のドア動作中の時にのみ最大電圧制限を生かし、他の場合には最大電圧が制限されないファンモータの駆動制御を確保することができる。
【0062】
請求項3記載の発明にあっては、請求項1または請求項2記載の車両用エアコンシステムの空調制御装置において、1本の通信線を介して送る通信信号として、エアコンアンプユニットから供給されるクロック信号にデータを重畳させる3値式符号を用い、2種類のパルス振幅でハイとローを表現し、送信信号の最後部分をドアアクチュエータからの返信信号とし、返信信号は制御中の時に2つのパルスが両方共にハイであり、制御終了時には2つめのパルスをローとしたため、上記効果に加え、返信信号のパルス振幅をモニタするだけの簡単な処理により最大電圧制限の解除条件である制御終了情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用エアコンシステムの空調制御装置を示すクレーム対応図である。
【図2】実施の形態1の空調制御装置が適用された車両用エアコンシステムの全体図である。
【図3】実施の形態1のアンプ/アクチュエータ間のネットワークを示す図である。
【図4】実施の形態1のアンプ/アクチュエータ間の保護回路を省略したフィジカルレイヤを示す図である。
【図5】図5(イ) はアンプの送信動作を示す送信タイミングチャートであり、図5(ロ) はアクチュエータの受信動作を示す受信タイミングチャートである。
【図6】図6(イ) は通信波形を示す図であり、図6(ロ) は符号化テーブルを示す図である。
【図7】データ通信に用いられる通信フォーマットを示す図である。
【図8】通信フォーマットの実例を示す図である。
【図9】図9(イ) は制御中のPOS信号を示し、図9(ロ) は制御終了時のPOS信号を示す。
【図10】エアコンアンプユニットで行なわれるファンモータ最大電圧制限制御作動の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
a ファンモータ
b,c,d ドアアクチュエータ
e エアコンアンプユニット
f 通信線
g 電源線
h ファンモータ最大電圧制限制御手段

Claims (3)

  1. 内蔵しているマイコンによって各スイッチやセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、空調システムに設けられているファンモータや複数のドアアクチュエータを駆動制御するエアコンアンプユニットを備え、
    ドアの動作中にファンモータ目標電圧が最大電圧値以上となった時、ファンモータ電圧を最大電圧値に制限する車両用エアコンシステムの空調制御装置において、
    前記エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線と1本の電源線を介して接続し、
    1本の通信線を介して送る通信信号を、ドア目標停止位置データを含むドアアクチュエータへの送信信号とドアアクチュエータからの返信信号による双方向信号とし、前回送ったドア目標停止位置データと今回送ったドア目標停止位置データが異なる時、前記最大電圧制限を働かせ、ドアアクチュエータからエアコンアンプユニットに返信される信号が、ドア位置が目標位置に到達し制御が終了していることを示す制御終了信号である時、最大電圧制限を解除するファンモータ最大電圧制限制御手段を設けたことを特徴とする車両用エアコンシステムの空調制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用エアコンシステムの空調制御装置において、
    前記ファンモータ最大電圧制限制御手段を、モードドアの動作中もしくはエアミックスドアのフルホット側動作中にファンモータ電圧を最大電圧値に制限する手段としたことを特徴とする車両用エアコンシステムの空調制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の車両用エアコンシステムの空調制御装置において、
    前記1本の通信線を介して送る通信信号として、エアコンアンプユニットから供給されるクロック信号にデータを重畳させる3値式符号を用い、2種類のパルス振幅でハイとローを表現し、送信信号の最後部分をドアアクチュエータからの返信信号とし、返信信号は制御中の時に2つのパルスが両方共にハイであり、制御終了時には2つめのパルスをローとしたことを特徴とする車両用エアコンシステムの空調制御装置。
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