JP3540908B2 - 車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアコンアンプユニット(親局)と1つ以上のドアアクチュエータ(子局)とを1本の通信線と1本の電源線を介して接続することでLAN(ローカルエリアネットワークlocal area network)化し、複数のドアの開度を制御する車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用エアコンシステムとしては、例えば、特開平6−8746号公報に記載されているように、エアコンアンプユニットに各ドアアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動回路を組み込み、エアーミックスドア用,モードドア用,インテークドア用の各アクチュエータと駆動回路をハーネスで接続するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両用エアコンシステムにあっては、駆動回路と各ドアアクチュエータとをそれぞれ5本〜9本のハーネスにより接続するものであり、ハーネス本数及び重量が多大になるし、また、各ドアアクチュエータはポテンショ方式やエンコーダ方式等のように種類が異なり、量産効果を望めないし、さらに、エアコンアンプユニットにアクチュエータ駆動回路を組み込んでいることでアンプが大型化するしマイコン負荷も大きくなる。
【0004】
そこで、これらの問題の解決策となるのが、エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線により接続するLAN化である。
【0005】
すなわち、LAN化の採用により、ハーネス本数の削減,アクチュエータの統合化,アンプの小型化を達成することができ、この結果、システム軽量化やシステムコストの低減という優れた長所を得ることができる。
【0006】
しかしながら、現行システムに代えてLAN化システムを採用しようとしても下記の解決しなければならない課題が残る。
【0007】
現行システムでは、エアコンアンプユニットのアクチュエータ駆動回路からの駆動指令信号により各ドアアクチュエータのそれぞれが駆動され、ドアアクチュエータからは動作位置のフィードバック信号がリアルタイムでエアコンアンプユニットに戻されるため、駆動指令信号に対応するフィードバック信号のチェックによりドアが正常に開閉動作しているかどうかリアルタイムで判定できる。
【0008】
しかし、LAN化を採用した場合、予め決められたローテーションに従って各ドアのドア目標停止位置データ等を一方的にドアアクチュエータに送信するようにした場合、正常であるか異常であるかのチェックを行なうことができない。
【0009】
そこで、通信データにドアアクチュエータからエアコンアンプユニットに対してフィードバックされる返信信号を加えることになるが、この返信信号は通信時間を長くしたくないという観点からドアアクチュエータの動作と停止をハイとローの信号レベルの違いにより伝える信号となる。
【0010】
この場合、システムが正常であるか異常であるかの自己診断は、エアコンアンプユニットからドアアクチュエータへの指示値を変更し、ドア動作や通信の遅れ時間を待って返信信号をチェックし、返信信号が待ち時間の間にハイからローに変化し、チェックタイミングでは停止を示すロ−となっていれば正常と判定し、逆に、動作を示すハイならば異常と判定することで行なわれる。
【0011】
しかし、この自己診断手法によれば、通信線が接地ショートした場合、返信信号がローのままであるため、正常であると判定してしまう。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、複数のドアアクチュエータを駆動制御する車両用エアコンシステムにおいて、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、通信線が接地ショートした場合に通信エラーを判定可能な通信エラー判定装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(解決手段1)
上記課題の解決手段1(請求項1)は、図1(イ) のクレーム対応図に示すように、モードスイッチや温度調整ダイヤル等のスイッチ類が設けられている操作部aを有するコントローラbと、
内蔵しているマイコンによってスイッチ類やセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、空調システムに設けられているファンモータcや複数のドアアクチュエータd,e,fを駆動制御するエアコンアンプユニットgを備えた車両用エアコンシステムにおいて、
前記エアコンアンプユニットgと複数のドアアクチュエータd,e,fとを1本の通信線hと1本の電源線iを介して接続し、
前記エアコンアンプユニットgから各ドアアクチュエータd,e,fへはドア目標停止位置データ等の指示値を1本の通信線hを介して順次送り、この送信データに各ドアアクチュエータd,e,fの動作を示すハイまたは停止を示すローの返信信号を加える通信フォーマットとし、
前記エアコンアンプユニットgに、エアコンアンプユニットgからドアアクチュエータd,e,fへの指示値を変更し、遅れ時間を待って返信信号をチェックし、返信信号がロ−ならば正常と判定し、ハイならば異常と判定する自己診断手段jと、
エアコンアンプユニットgが出力したい送信データとエアコンアンプユニットgが受信した受信データとを対比し、送信データでハイの信号レベルに対応する受信データがローの信号レベルであれば接地ショートによる通信エラーと判定する第1通信エラー判定手段kを設けたことを特徴とする。
【0014】
(解決手段2)
上記課題の解決手段2(請求項2)は、図1(ロ) のクレーム対応図に示すように、請求項1記載の車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置において、
前記第1通信エラー判定手段kに代えて、前記エアコンアンプユニットgに、エアコンアンプユニットgからドアアクチュエータd,e,fへの指示値変更時点から返信信号のチェックを開始し、返信信号が設定時間を経過してもハイとはならずローのままであれば接地ショートによる通信エラーと判定する第2通信エラー判定手段mを設けたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は、解決手段1に対応する車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置である。
【0016】
まず、構成を説明する。
【0017】
図2は実施の形態1の通信エラー判定装置が適用された車両用エアコンシステム図である。
【0018】
エアコンシステムのメカ系として、図2の上部に示すように、インテークユニットケース1、外気側吸入口2、室内側吸入口3、ブロアファン4、ブロアファンモータ5、インテークドア6、クーリングユニットケース7、エバポレータ8、ヒータユニットケース9、ベント吹出口10、デフ吹出口11、フット吹出口12、ヒータコア13、バイレベルドア14、ミックスドア15、ベントドア16、デフドア17、フットドア18を備えている。
【0019】
前記バイレベルドア14は、エバポレータ7からミックスドア15を介して配置されるヒータコア13が設けられた送風通路19aを迂回し、エバポレータ7からの冷風をベント吹出口10に導くバイパス通路19bに設けられている。
【0020】
エアコンシステムの制御系として、図2の中部から下部に示すように、ファンコントロール回路20、インテークドアアクチュエータ21、バイレベルドアアクチュエータ22、エアミックスドアアクチュエータ23、モードドアアクチュエータ24、エアコンアンプユニット25、水温センサ26、冷媒温度センサ27、内気センサ28、外気センサ29、日射センサ30、吸込温度センサ31、コントローラ32を備えている。
【0021】
前記ファンコントロール回路20は、エアコンアンプユニット25からの指令によりブロアファンモータ5への印加電圧を無段階に制御する。
【0022】
前記インテークドアアクチュエータ21は、エアコンアンプユニット25にてインテークドア6のドア開度(内気,半外気,外気)が決定されると、インテークドア6を決定したドア開度に動かす。
【0023】
前記バイレベルドアアクチュエータ22は、ベントモードでミックスドア15の開度がフルコールドの場合、または、温度調節を頭寒足熱とするバイレベルモードの場合、バイレベルドア14を全開とし、その他の場合、バイレベルドア14を閉じる。
【0024】
前記エアミックスドアアクチュエータ23は、モータエアコンアンプユニット25にて仮想ドア開度XPBR が決定されると、仮想ドア開度XPBR のデータを受信して仮想ドア開度XPBR に一致するドア開度が得られるようにミックスドア15を動作させる。
【0025】
前記モードドアアクチュエータ24は、エアコンアンプユニット25にて目標モードドア位置が決定されると、モードドア(ベントドア16,デフドア17及びフットドア18の総称)を開閉させる。
【0026】
前記エアコンアンプユニット25は、内蔵しているマイコンによって各スイッチやセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、ブロアファンモータ5や各ドアアクチュエータ21,22,23,24や図外のコンプレッサ等を総合的に制御する。
【0027】
前記水温センサ26はエンジン冷却水温を、冷媒温度センサ27は冷媒温度を、内気センサ28は内気温度TINC を、外気センサ29は外気温度Tamを、日射センサ30は日射量QSUN を、吸込温度センサ31は吸込温度TINT をそれぞれ検出し、エアコンアンプユニット25に入力する。
【0028】
前記コントローラ32は、車室内のコントロールパネル部に装備され、モードやファン速度や温度等を表示する表示部32aと、モードスイッチや温度調節ダイヤル等が設けられている操作部32bと、表示部32aへの表示出力や操作部32bからのスイッチ入力やエアコンアンプユニット25とのデータ通信を行なう操作・表示・通信回路32cによって構成されている。操作・表示・通信回路32cとエアコンアンプユニット25とは、操作データ線33とクロック信号線24と表示通信データ線35により接続されている。
【0029】
図3はアンプ/アクチュエータ間のネットワークを示す図であり、エアコンアンプユニット25と各ドアアクチュエータ21,22,23,24は、図3に示すように、1本の通信線36と1本の電源線37により接続されていて、エアコンアンプユニット25は各ドアアクチュエータ21,22,23,24のアドレスとモータの目標位置データを送信し、該当するアドレスを持つアクチュエータはこのデータを受信し、目標位置へモータを回転させる。
【0030】
図4はアンプ/アクチュエータ間の保護回路を省略したフィジカルレイヤ(ネットワークにおける回線の電気的な接続の確立,維持,解除等の機能を持つレイヤ)を示す図であり、通信信号としてクロック信号にデータを重畳させる3値式符号を用い、2種類のパルス振幅H/Lを表現する。アクチュエータのASICは通信信号よりクロックを抽出し、ASICの論理回路は、この抽出クロックにより通信信号のデコード(符号化されたデータを復元する操作)その他全動作を行なう。クロック信号はアンプからのみ供給されるため、通信速度はアンプのソフトで任意に設定可能である。
【0031】
図5(イ) はアンプの送信動作を示す送信タイミングチャートであり、CLK出力(クロック出力)がHの時はDATA出力(データ出力)に関係なくTr1により通信線36が接地される。CLK出力がLの時はDATA出力に応じたTr2のON/OFFにより通信線36は12VもしくはR1・R2 により決まる中間電位となる。
【0032】
図5(ロ) はアクチュエータの受信動作を示す受信タイミングチャートであり、データ抽出用コンパレータcmp1はLパルス振幅より大きい判定レベルを持ち、クロック抽出用コンパレータcmp2はLパルス振幅より小さい判定レベルを持つ。RXDATAでセット、RXCLKの立ち上がりでリセットした信号を、RXCLKのたち下がりでサンプリングすることによりデーコードを行なう。図中のNRZは抽出データである。
【0033】
次に、作用を説明する。
【0034】
[通信手順]
図6〜図9により通信手順について説明する。
【0035】
通信に用いる信号は、図6(イ) の通信波形に示すように、2種類のパルス振幅によりH/Lを定義する。そして、図6(ロ) の符号化テーブルに示すように、3つのパルスの組み合わせにより2bitのバイナリデータを表す。
【0036】
通信フォーマットは、図7に示すように、送信開始を表すSOM(Start Of Message)、送信対象とするアクチュエータのアドレスを表すADR(アドレス)、モータ駆動の許可あるいは禁止を表すENA(イネーブル)、ドアの目標停止位置を表すDATA(データ)、ADR,ENA,DATAのエラーをチェックするPRTY(奇数パリティ)、診断用アクチュエータ返信信号を表すPOS(制御終了信号)である。図8は通信フォーマットの実例を示すもので、斜線部分は常にHパルスとなる。
【0037】
受信シーケンスを説明すると、ASICは、通信フォーマットの始まりを示すSOMを受信することにより受信シーケンスを開始する。ASICは該当するアドレスを検出した時のみ、後に続くデータを取り込むが、符号化テーブルにない波形に組み合わせやパリティ異常を検出した場合は受信シーケンスを終了し受信データを放棄する。受信シーケンス中にSOMを受信すると、受信シーケンスは最初からやり直しとなる。ASICはイネーブルが1のときにのみモータ駆動を行ない、イネーブルが0のときはデータ更新を行なうだけでモータの駆動は行なわない。
【0038】
アクチュエータの返信を説明すると、アンプはPOS信号の部分では必ずTr2をOFFさせ、POS信号を表す2つのパルスは、通常双方ともHパルスとなる。アンプからの信号を受信したアクチュエータは、ドアの位置が目標位置に到達し制御が終了していれば、POS信号の2つめのパルスがLパルスとなるようなタイミングでTr3をONさせる。アンプはPOS信号の振幅をモニタすることによって、送信対象としたアクチュエータのドアが目標位置にあるか否かを判別することができる。アクチュエータの返信は正常受信完了時にのみ行なわれ、アドレス不一致時やエラー発生時には返信を行なわない。尚、図9(イ) は制御中のPOS信号を示し、図9(ロ) は制御終了時のPOS信号を示す。
【0039】
[自己診断作用]
図10は実施の形態1のエアコンアンプユニット25で行なわれるドアアクチュエータ制御系が正常か異常かを判定する自己診断作用での返信信号のチェックタイミングを示すタイムチャートである(請求項の自己診断手段に相当)。
【0040】
まず、特定の操作により開始される自己診断時、ドアアクチュエータへの指示値を変更すると、指示値変更時点t0 から遅れた時点t1 でドアアクチュエータの動作が開始され、さらに、ドアアクチュエータの動作開始から遅れた時点t2 で返信信号POSが停止を示すLo から動作を示すHi へ切り換わる。
【0041】
そして、ドアアクチュエータの動作が時点t3 で終了すると、動作終了時点t3 から遅れた時点t4 で返信信号POSが動作を示すHi から停止を示すLo へ切り換わる。
【0042】
よって、指示値の変更時点t0 から動作時間と通信の遅れ時間を考慮した設定時間(5〜15秒)を経過した時点t5 で返信信号をチェックすると、ドアアクチュエータ制御系が正常である限りは返信信号POSが停止を示すLo となり、返信信号POSを確認することでドアアクチュエータ制御系が正常であると判定することができる。
【0043】
一方、指示値の変更時点t0 から設定時間(5〜15秒)を経過した時点t5 で返信信号をチェックした場合、返信信号POSが動作を示すHi である場合には、通信エラーを含みドアアクチュエータ制御系が異常であると判定される。
【0044】
[通信エラー判定作用]
図11は実施の形態1のエアコンアンプユニット25で行なわれる接地ショートによる通信エラーの判定処理作動の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する(請求項1の第1通信エラー判定手段に相当)。
【0045】
ステップ50では、送信や受信の通信処理が行なわれる。
【0046】
ステップ51では、エアコンアンプユニット25が出力したい送信データがHi かどうかが判断される。
【0047】
ステップ52では、エアコンアンプユニット25が受信した受信データがHi かどうかが判断される。
【0048】
ステップ53では、ステップ51とステップ52とでYESと判断された時、通信エラーがなく正常であると判定される。
【0049】
ステップ54では、ステップ51でYES(Hi )と判断されているにもかかわらずステップ52とでYES(Lo )と判断された時、接地ショートによる通信エラーでの異常であると判定される。
【0050】
図12は実施の形態1のエアコンアンプユニット25で行なわれる通信エラーの判定を説明するタイムチャートである。
【0051】
まず、エアコンアンプユニット25が出力したい送信データは図12の上部に示すようにHi の信号とLo の信号が組み合わされたデータとなる(図8)。
【0052】
これに対し、接地ショートしている場合に通信線36を介して送られるデータは図12の中部に示すように、Lo の信号のみのデータとなる。
【0053】
よって、送信データがHi の信号の時にエアコンアンプユニット25により受信される受信データ(モニタデータ)がLo の信号であれば、接地ショートによる通信エラーと判定することができる。
【0054】
すなわち、上記自己診断によりドアアクチュエータ制御系が正常・異常を判定すると、接地ショートしている場合には返信信号POSが常にLo の信号となるため、ドアアクチュエータ制御系が正常であると誤判定される。この誤判定を補うのが、図10及び図11に示す送信データと受信データの信号レベル監視による通信エラーの判定である。
【0055】
次に、効果を説明する。
【0056】
エアコンアンプユニット25と複数のドアアクチュエータ21,22,24とを1本の通信線36と1本の電源線37を介して接続し、エアコンアンプユニット25から各ドアアクチュエータ21,22,24へはドア目標停止位置データDATA等を1本の通信線36を介して順次送り、この送信データに各ドアアクチュエータ21,22,24の動作または停止を示す返信信号POSを加える通信フォーマットとし、エアコンアンプユニット25に、ドア目標停止位置データDATAによる指示値を変更し、遅れ時間を待って返信信号POSをチェックし、返信信号POSがLo ならば正常と判定し、Hi ならば異常と判定する自己診断プログラムを設定すると共に、エアコンアンプユニット25が出力したい送信データとエアコンアンプユニット25が受信した受信データとを対比し、送信データでHi の信号レベルに対応する受信データがLo の信号レベルであれば接地ショートによる通信エラーと判定する通信エラー判定プログラムを設定したため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、通信線36が接地ショートした場合に通信エラーを判定可能な通信エラー判定装置を提供することができる。
【0057】
(実施の形態2)
請求項2記載の発明に対応する実施の形態2の通信エラー判定装置について説明する。
【0058】
実施の形態2の通信エラー判定装置が適用される車両用エアコンシステムの構成については、実施の形態1と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0059】
作用についても、通信手順及び自己診断作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0060】
[通信エラー判定作用]
図13は実施の形態2のエアコンアンプユニット25で行なわれる接地ショートによる通信エラーの判定処理作動の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する(請求項2の第2通信エラー判定手段に相当)。
【0061】
ステップ60では、エアコンアンプユニット25からドアアクチュエータへ送られる指示値が変更される。
【0062】
ステップ61では、返信信号POSがHi かどうかが判断される。
【0063】
ステップ62では、タイマ値がカウントアップされる。
【0064】
ステップ63では、タイマ値と設定タイマ値との比較によりチェック時間を経過しているかどうかが判断される。
【0065】
ステップ64では、ステップ61〜ステップ63を繰り返し、返信信号POSがLo のままでチェック時間を経過した場合、接地ショートによる通信エラーでの異常であると判定される。
【0066】
ステップ65では、ステップ61の判断で返信信号POSがHi となった場合、タイマ値がカウントクリアされる。
【0067】
ステップ66では、通信エラーがなく正常であると判定される。
【0068】
図14は実施の形態2のエアコンアンプユニット25で行なわれる通信エラーの判定を説明するタイムチャートである。
【0069】
エアコンアンプユニット25からドアアクチュエータへの指示値を変更した時点t0 から返信信号POSのチェックが開始される。そして、通信エラーがなく正常である場合には、遅れ時間を経過した時点t1 にて返信信号POSがLo からHi へと変化し、図13のフローチャートにおいて、ステップ61→ステップ65→ステップ66へと進む流れとなり、ステップ66では正常であると判定される。
【0070】
一方、接地ショートによる通信エラー時には、返信信号POSが時点t2 (チェック時間t0 〜t2 )を経過してもHi とはならずLo のままであるため、図13のフローチャートにおいて、ステップ61→ステップ62→ステップ63の流れを繰り返し、ステップ63の時間条件を満足すればステップ64へ進み、ステップ64では接地ショートによる通信エラーでの異常であると判定される。
【0071】
次に、効果を説明する。
【0072】
実施の形態1の通信エラー判定プログラムに代えて、エアコンアンプユニット25からドアアクチュエータへの指示値変更時点t0 から返信信号POSのチェックを開始し、返信信号POSがチェック時間を経過してもHi とはならずLo のままであれば接地ショートによる通信エラーと判定する通信エラー判定プログラムを設定したため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、通信線36が接地ショートした場合に通信エラーを判定可能な通信エラー判定装置を提供することができる。
【0073】
加えて、この通信エラー判定手法は、自己診断処理と同様に指示値の変更と返信信号POSの監視による手法であるため、自己診断処理の中に組み込んで行なうことができる。
【0074】
(その他の実施の形態)
実施の形態1,2では、4つのドアアクチュエータ21,22,24が設けられている例を示したが、4つ以外の複数のドアアクチュエータが設けられたシステムにも適用することができるのは勿論である。
【0075】
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、複数のドアアクチュエータを駆動制御する車両用エアコンシステムにおいて、エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線と1本の電源線を介して接続し、エアコンアンプユニットから各ドアアクチュエータへはドア目標停止位置データ等の指示値を1本の通信線を介して順次送り、この送信データに各ドアアクチュエータの動作を示すハイまたは停止を示すローの返信信号を加える通信フォーマットとし、エアコンアンプユニットに、エアコンアンプユニットからドアアクチュエータへの指示値を変更し、遅れ時間を待って返信信号をチェックし、返信信号がロ−ならば正常と判定し、ハイならば異常と判定する自己診断手段と、エアコンアンプユニットが出力したい送信データとエアコンアンプユニットが受信した受信データとを対比し、送信データでハイの信号レベルに対応する受信データがローの信号レベルであれば接地ショートによる通信エラーと判定する第1通信エラー判定手段を設けたため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、通信線が接地ショートした場合に通信エラーを判定可能な通信エラー判定装置を提供することができるという効果が得られる。
【0076】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置において、第1通信エラー判定手段に代えて、エアコンアンプユニットに、エアコンアンプユニットからドアアクチュエータへの指示値変更時点から返信信号のチェックを開始し、返信信号が設定時間を経過してもハイとはならずローのままであれば接地ショートによる通信エラーと判定する第2通信エラー判定手段を設けたため、アンプ/アクチュエータ間のLAN化によりシステム軽量化やシステムコストの低減を図りながら、通信線が接地ショートした場合に通信エラーを判定可能な通信エラー判定装置を提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置を示すクレーム対応図である。
【図2】実施の形態1の通信エラー判定装置が適用された車両用エアコンシステムの全体図である。
【図3】実施の形態1のアンプ/アクチュエータ間のネットワークを示す図である。
【図4】実施の形態1のアンプ/アクチュエータ間の保護回路を省略したフィジカルレイヤを示す図である。
【図5】図5(イ) はアンプの送信動作を示す送信タイミングチャートであり、図5(ロ) はアクチュエータの受信動作を示す受信タイミングチャートである。
【図6】図6(イ) は通信波形を示す図であり、図6(ロ) は符号化テーブルを示す図である。
【図7】データ通信に用いられる通信フォーマットを示す図である。
【図8】通信フォーマットの実例を示す図である。
【図9】図9(イ) は制御中のPOS信号を示し、図9(ロ) は制御終了時のPOS信号を示す。
【図10】
実施の形態1のエアコンアンプユニットで行なわれるドアアクチュエータ制御系が正常か異常かを判定する自己診断作用での返信信号のチェックタイミングを示すタイムチャートである。
【図11】実施の形態1のエアコンアンプユニットで行なわれる接地ショートによる通信エラーの判定処理作動の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施の形態1のエアコンアンプユニットで行なわれる通信エラーの判定を説明するタイムチャートである。
【図13】実施の形態2のエアコンアンプユニットで行なわれる接地ショートによる通信エラーの判定処理作動の流れを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2のエアコンアンプユニットで行なわれる通信エラーの判定を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
a 操作部
b コントローラ
c ファンモータ
d,e,f ドアアクチュエータ
g エアコンアンプユニット
h 通信線
i 電源線
j 自己診断手段
k 第1通信エラー判定手段
m 第2通信エラー判定手段
Claims (2)
- モードスイッチや温度調整ダイヤル等のスイッチ類が設けられている操作部を有するコントローラと、
内蔵しているマイコンによってスイッチ類やセンサ類からの入力信号をプログラムソフトにしたがって演算処理し、空調システムに設けられているファンモータや複数のドアアクチュエータを駆動制御するエアコンアンプユニットを備えた車両用エアコンシステムにおいて、
前記エアコンアンプユニットと複数のドアアクチュエータとを1本の通信線と1本の電源線を介して接続し、
前記エアコンアンプユニットから各ドアアクチュエータへはドア目標停止位置データ等の指示値を1本の通信線を介して順次送り、この送信データに各ドアアクチュエータの動作を示すハイまたは停止を示すローの返信信号を加える通信フォーマットとし、
前記エアコンアンプユニットに、エアコンアンプユニットからドアアクチュエータへの指示値を変更し、遅れ時間を待って返信信号をチェックし、返信信号がロ−ならば正常と判定し、ハイならば異常と判定する自己診断手段と、
エアコンアンプユニットが出力したい送信データとエアコンアンプユニットが受信した受信データとを対比し、送信データでハイの信号レベルに対応する受信データがローの信号レベルであれば接地ショートによる通信エラーと判定する第1通信エラー判定手段を設けたことを特徴とする車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置。 - 請求項1記載の車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置において、
前記第1通信エラー判定手段に代えて、前記エアコンアンプユニットに、エアコンアンプユニットからドアアクチュエータへの指示値変更時点から返信信号のチェックを開始し、返信信号が設定時間を経過してもハイとはならずローのままであれば接地ショートによる通信エラーと判定する第2通信エラー判定手段を設けたことを特徴とする車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP30630096A JP3540908B2 (ja) | 1996-11-18 | 1996-11-18 | 車両用エアコンシステムの通信エラー判定装置 |
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