JP3540378B2 - アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水素を可逆的に吸蔵、放出する水素吸蔵合金の製造方法に関し、詳しくは、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からよく用いられる蓄電池として、鉛蓄電池及びニッケルカドミウム電池がある。
しかし、近年、これらの蓄電池より軽量で且つ高容量となる可能性があるということで、常圧で負極活物質である水素を可逆的に吸蔵及び放出することのできる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金電極を負極に用い、水酸化ニッケル等の金属水酸化物を正極活物質とする電極を正極に用いた、金属−水素アルカリ蓄電池が注目されている。
【0003】
ところで、この金属−水素アルカリ蓄電池では、高容量化を図るためさまざまな試みが行なわれている。その1つに、水素吸蔵合金電極の体積エネルギー密度を向上させるというものがあり、具体的には、以下のようなことが行なわれている。
特開平3−116655号公報、特開平3−216959号公報開示の水素吸蔵合金電極では、水素吸蔵合金電極の体積エネルギー密度を向上させるために、、形状が球状、略球状、砲弾状、鶏卵状のいずれかまたはこれらの混合物である水素吸蔵合金粒子を電極材料として用いている。
【0004】
上記のような形状の水素吸蔵合金は、流動性が高いので、より多くの水素吸蔵合金を電極中に充填できるので、電極の体積当たりのエネルギー密度が向上し、ひいては電池の高容量化を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した球状或いはこれに類似した形状の水素吸蔵合金は遠心噴霧法、ガスアトマイズ法等の急冷凝固法でのみ作製が可能である。
このように、急冷凝固法により作製した水素吸蔵合金粉末粒子中の結晶粒は非常に小さいために、結晶粒界(結晶粒同士が接触し合った部分)が多く存在し、この各結晶粒界で不均一歪みが生じるので、合金の不均一歪みの値が大きい。
【0006】
水素吸蔵合金では、水素を吸収する際に合金中の各結晶粒が膨張し、結晶粒界部分から亀裂が生じ新たな面が生じるので、上記したように結晶粒が小さく結晶粒界が多く存在する水素吸蔵合金即ち不均一歪みが大きい水素吸蔵合金を用いて電極を作製すると、充放電サイクル時に水素吸蔵合金に多数の亀裂が生じ微粉化が起こってしまう。
【0007】
微粉化によって新たな反応面が出現すると、充放電効率が上昇するようにも考えられる。しかしながら、実際には、新たに生じた反応面が酸化し、この表面は不活性な状態になり、充放電効率が低下し、この結果、微粉化しすぎる場合には、充放電サイクル寿命が短くなるという新たな問題を生じる。
そこで、急冷凝固法で作製した球状の水素吸蔵合金粉末の不均一歪みを小さくする方法に、特開平5−114403号公報に開示の水素吸蔵合金に熱処理を行なう方法が考えられる。
【0008】
しかしながら、このような熱処理を単に球状、あるいは、類似形状の水素吸蔵合金に施すと、熱処理中に水素吸蔵合金粉末粒子同士の焼結が起こる。このような焼結が起こると、焼結したものを粉砕しなければならず、水素吸蔵合金粉末粒子は、球状を維持することができない。従って、水素吸蔵合金の電極への充填密度を向上することができなくなってしまう。
【0009】
但し、熱処理の温度によっては、一部が焼結しないので、焼結しなかったものだけを電極用の水素吸蔵合金として用いることも考えられるが、これでは、生産性が悪く、また焼結したものとしなかったものとを分ける工程も必要となり、効率が大変悪い。
なお、焼結式の電極では、上記のような形状が球状で不均一歪みの大きな水素吸蔵合金を電極材料に用いても、電極を加熱焼結させ作製する過程で、不均一歪みが小さくなるので、充填密度が高い状態でしかも微粉化が起こり難い状態の電極が作製できる。しかしながら、この電極自体は柔軟性が乏しく、円筒型電池のように捲回して用いる電極には適しておらず、使用範囲が限られてしまう。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み行なわれたものであり、アルカリ蓄電池用電極への充填密度が高く、しかもアルカリ蓄電池のサイクル特性を向上させる水素吸蔵合金を効率よく作製できる製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法において、急冷凝固法により形状が球形、ほぼ球状、砲弾状、鶏卵状のいずれかの水素吸蔵合金粉末を作製する第一のステップと、
上記水素吸蔵合金粉末を運動させた状態で熱処理を行なう第二のステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記第二のステップにおいて、熱処理容器に振動或いは、回転を加えることによって水素吸蔵合金粉末を運動させることを特徴とする。
また、上記第二のステップおいて、熱処理容器内の水素吸蔵合金粉末を攪拌することによって、水素吸蔵合金粉末を運動させた状態にすることを特徴とする。
また、上記熱処理を700℃以上、1100℃以下で行なうことを特徴とする。
【0013】
また、上記熱処理を30分以上施すことを特徴とする。
【0014】
【作用】
先ず、第一のステップにおいて、急冷凝固法で形状が球形、ほぼ球状、砲弾状、鶏卵状のいずれかの水素吸蔵合金粉末を作製すれば、電極への充填密度の高い水素吸蔵合金が作製できる。
次に、第二のステップにおいて、上記第一のステップで作製した水素吸蔵合金粒子の不均一歪みを低下させるための熱処理を行なう。この熱処理の際に、水素吸蔵合金粒子は運動した状態で加熱されるので、熱処理中に同じ水素吸蔵合金粒子同士が長時間接することはない。従って、熱処理中に水素吸蔵合金粒子同士が焼結することが防止される。
【0015】
水素吸蔵合金を運動させる方法としては、水素吸蔵合金を内部に入れた状態の熱処理容器に振動或いは、回転を加える方法があり、このようにすると水素吸蔵合金粉末が振動或いは回転等の運動をする。
また、水素吸蔵合金粉末を攪拌することによっても、水素吸蔵合金粉末が振動或いは回転等の運動する。
【0016】
また、熱処理を700℃以上、1100℃以下で行なうことにより、水素吸蔵合金同士が焼結することなく、しかもサイクル特性を向上させるために不均一歪みを低下させることができる。
さらに、熱処理を30分以上行なうことによって、水素吸蔵合金の不均一歪みの値をサイクル特性を向上させるのに適した値にまで低下させることができる。
【0017】
【実施例】
本発明の一例に係る実施例について以下に説明を行なう。
(実施例1)
以下に本実施例のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法を示す。
(アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法)
(1)基本となる水素吸蔵合金の作製
先ず、市販のMm(ミッシュメタルであって、希土類元素の混合物)とNiとCoとMnとAlとを元素比で1:3.4:0.8:0.2:0.6の割合と成るように秤量し、十分に混合、攪拌した後高周波溶解炉内で溶解して溶湯を作製する。この溶湯をガスアトマイズ法により、粒径10〜100μm(平均粒径60μm)の球状または、これに類似した形状の水素吸蔵合金粉末を作製した。
【0018】
このように作製した水素吸蔵合金粉末を、以下MH1 合金粉末と称する。
さらに、MH1 合金粉末に対して以下に示すような熱処理を行いアルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金を作製した。
(2)熱処理方法
本実施例の熱処理は、図1に示すような装置を用いて行なった。
【0019】
図1に示すように、台Bの上には微細に振動する振動板(図中不図示)が設けられており、この振動板上には、台Aが設けられており、またこの台A上には、電気炉1が嵌め込まれた状態で設けられている。さらに、電気炉1内には、熱処理を行なう水素吸蔵合金粉末を入れるアルミナ製の容器2が据え付けられている。
【0020】
熱処理は、上記容器2内にMH1 合金粉末2kgを入れ、振動板を振動させることによって、台Aを振動させ、これにより電気炉1も振動し、容器2内の水素吸蔵合金に振動を与えながら加熱が行なわれる。これにより、水素吸蔵合金粉末は運動しながら熱処理される。
尚、詳しい熱処理条件は、以下の通りである。
【0021】
振動板の振動数 :5Hz
振動のストローク :1cm
電気炉及び容器内の雰囲気 :Arガス
熱処理温度 :1000℃
熱処理時間 :30分(上記温度での保持時間)
このような熱処理を行なうことによって、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末が作製された。
【0022】
このアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を、以下MH1 a合金粉末と称する。
尚、熱処理後の粉末の状態としては、粉末粒子間の焼結は見られなかった。
(実施例2)
以下に本実施例のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法を示す。
(アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法)
(1)基本となる水素吸蔵合金の作製
上記実施例1と同様にしてMH1 合金粉末を作製した。
【0023】
さらに、MH1 合金粉末に対して以下に示すような熱処理を行いアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金を作製した。
(2)熱処理方法
本実施例の熱処理は、図2に示すような装置を用いて行なった。
図2に示すように、台A上に設けられた電気炉1内には、円筒状の密閉可能なアルミナ製の容器3がその周面3aが電気炉の天板及び底面と対向するように設けられており、さらに、この円筒状の容器の天板3b及び底壁3cには、回転軸4が設けられており、この回転軸4を回転させることにより、容器が回転可能なように構成されている。
【0024】
熱処理は、上記容器3内にMH1 合金粉末2kgを入れ、容器3を密閉し、容器3に取り付けられた回転軸4を回転させ、容器3を回転させながら、電気炉による加熱を行なう。これにより、容器内の水素吸蔵合金粉末は運動しながら熱処理される。
尚、詳しい熱処理条件は、以下の通りである。
【0025】
ポットの回転数 :10rpm
電気炉及び容器内の雰囲気 :Arガス
熱処理温度 :1000℃
熱処理時間 :30分(上記温度での保持時間) このような熱処理を行なうことによって、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末が作製された。
【0026】
このアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を、以下MH1 b合金粉末と称する。
尚、熱処理後の粉末の状態としては、粉末粒子間の焼結は見られなかった。
(実施例3)
以下に本実施例のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法を示す。
(アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法)
(1)基本となる水素吸蔵合金の作製
上記実施例1と同様にしてMH1 合金粉末を作製した。
【0027】
さらに、MH1 合金粉末に対して以下に示すような熱処理を行いアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を作製した。
(2)熱処理方法
本実施例の熱処理は、図3に示すような装置を用いて行なった。
図3に示すように、台A上に設けられた電気炉1内には、アルミナ製の容器2が据え付けられている。さらに、この容器2内には、アルミナ製の攪拌羽5aを有する攪拌機5が挿入されている。
【0028】
熱処理は、容器2内にMH1 合金粉末が2kgをいれ、攪拌機5を作動させ、MH1 合金粉末を攪拌羽5aで攪拌しながら電気炉1による加熱が行なわれる。
これにより、容器内の水素吸蔵合金粉末は運動しながら熱処理が施される。
尚、詳しい熱処理条件は、以下の通りである。
攪拌羽の回転数 :10rpm
電気炉及び容器中の雰囲気 :Arガス
熱処理温度 :1000℃
熱処理時間 :30分(上記温度での保持時間)
このような熱処理を行なうことによって、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末が作製された。
【0029】
このアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を、以下MH1 c合金粉末と称する。
尚、熱処理後の粉末の状態としては、粉末粒子間の焼結は見られなかった。
(実施例4)
以下に本実施例のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法を示す。
(アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法)
(1)基本となる水素吸蔵合金の作製
上記実施例1の水素吸蔵合金と同じ組成で、同様に溶融させた溶湯を作製し、この溶湯を10000〜20000rpmで回転するディスク状に滴下させる遠心噴霧法により粒径10〜100μm(平均粒径:60μm)の球状または、これに類似した形状の水素吸蔵合金粉末を作製した。
【0030】
このように作製した水素吸蔵合金粉末を、以下MH2 合金粉末と称する。
さらに、このMH2 合金粉末に対して以下に示すような熱処理を行いアルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金を作製した。
(2)熱処理方法
MH2 合金粉末に対して上記実施例1と同様の熱処理を施し、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を作製した。
【0031】
このアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を、以下MH2 a合金粉末と称する。
熱処理後の粉末の状態としては、粉末粒子間の焼結は見られなかった。
(実施例5)
以下に本実施例のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法を示す。
(アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法)
上記実施例4と同様にしてMH2 合金粉末を作製し、さらに、このMH2 合金粉末に対して上記実施例2と同様の熱処理を施し、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を作製した。
【0032】
このアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を、以下MH2 b合金粉末と称する。
尚、熱処理後の粉末の状態としては、粉末粒子間の焼結は見られなかった。
(実施例6)
以下に本実施例のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法を示す。
(アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法)
上記実施例4と同様にしてMH2 合金粉末を作製し、このMH2 合金粉末に対して上記実施例3と同様の熱処理を施し、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を作製した。
【0033】
この、アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金粉末を、以下MH2 c合金粉末と称する。
尚、熱処理後の粉末の状態としては、粉末粒子間の焼結は見られなかった。
(比較例1、2)
上記MH1 合金粉末、MH2 合金粉末、に対して、上記実施例のような振動等を加えることなく600℃、700℃で熱処理を施した。
【0034】
このような処理がなされたMH1 合金粉末を、以下MH1 X合金粉末、MH1 Y合金粉末と称し、このような処理がなされたMH2 合金粉末を、以下MH2 X合金粉末、MH2 Y合金粉末と称する。
熱処理後の粉末の状態としては、600℃で熱処理をおこなったものは、粉末粒子間の焼結は見られなかったが、700℃で熱処理した粉末では、一部焼結したものが認められた。
【0035】
上記したように、単に熱処理を行なっただけでは、700℃の時点で粒子間の焼結が生じたが、本発明の熱処理方法では、1000℃という高温で熱処理を行なっても粉末粒子が焼結することはなく、各粒子の球状の形を熱処理後も維持することができた。
尚、上記のアルカリ蓄電用水素吸蔵合金粉末作製時の、処理温度、処理時間、について一覧表にしたので下記表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003540378
【0037】
(実験1)
上記実施例1〜6において作製した熱処理済の水素吸蔵合金粉末(MH1 a〜MH1 c合金粉末、MH2 a〜MH2 c合金粉末)と、比較例において作製した熱処理済の水素吸蔵合金粉末(MH1 X、MH1 Y合金粉末、MH2 X、MH2 Y合金粉末)、さらに、実施例1、3で作製された熱処理を行なう前の水素吸蔵合金粉末(MH1 合金粉末、MH2 合金粉末)を用いて、これら水素吸蔵合金の不均一歪みを測定した。さらに、これらの水素吸蔵合金粉末を用いて、水素吸蔵合金電極、試験セルを作製し、サイクル特性を調べたので、下記表2にその結果を示す。
【0038】
尚、実験結果の記載をする前に、実験の条件についての記載を行なう。
Figure 0003540378
(2)データ収集
標準試料であるSi粉末〔4N〜6N、200メッシュ以下品(83μm以下)〕をそのままサンプルホルダーに充填し、111、220、311、400、331面の回折線について測定を行なった。
【0039】
次に、各ピークについてピーク高さ、面積をもとめ、積分幅(=面積/高さ)を算出した。
また、分析試料(MH1 a〜MH1 c合金粉末、MH2 a〜MH2 c合金粉末MH1 X、MH1 Y合金粉末、MH2 X、MH2 Y合金粉末、MH1 合金粉末、MH2 合金粉末)をそれぞれ、ふるいにより分級して25μm以下のものだけ用いて、上記した標準試料の場合と同様に積分幅を算出した。
(3)不均一歪みの算出方法
本来、不均一歪みを算出する場合は、標準試料の分析幅、分析試料の積分幅、Kα1 ,Kα2 の2重線の補正値(二重線の分離角)から結晶粒の大きさによる回折線の広がりを求め、Scherrerの式、Hallの方法によって結晶粒の平均の大きさ、不均一歪みを同時に求めるべきであるが、非常に複雑であるため粒子径による影響は小さいと仮定して無視し、結晶粒の大きさについても本実験では不必要であるため以下に記述する方法にて不均一歪みによる半値幅の拡がりを算出した。
【0040】
▲1▼ 上記(2)のデータ収集において求めた標準試料の積分幅を縦軸にとり、横軸に回折角をとりグラフにプロットする。
▲2▼ 分析試料の各回折線の2θ(回折角)から各々に相当する標準試料の積分幅の値を上記▲1▼で作製したグラフから読み取る。
▲3▼ 分析試料の回折線の積分幅からその回折角での標準試料の積分幅を減算する。
【0041】
(但し、分析試料と標準試料の積分幅の値はKαから求めた値、或いはKα1 から求めた値のいずれかに統一する。)
不均一歪みが小さく、Kα1 、Kα2 の分離精度がよい場合にはKα2 を分離し、Kα1 からの数値のみを用いた。また、分離精度が悪い場合にはKα2 を分離せずにそのままの値を用いた。
【0042】
▲4▼ 下記数1に示す式により各ピークの不均一歪みを算出した。(尚、下記の式中のB−BSiは、上記▲3▼で行なわれた演算を示している。)
【0043】
【数1】
Figure 0003540378
【0044】
▲5▼上記のようにして算出した各ピークの不均一歪みの値の平均値を求め、分析試料の不均一歪み値とした。
(サイクル特性の測定)
(1)試験セルの作製方法
サイクル特性を調べるために作製した試験セルは、以下のようにして作製した。
【0045】
各水素吸蔵合金粉末に結着剤として、ポリテトラフルオロエチレン粉末を活物質重量に対して5重量%加えて混練し、ペーストを作製する。このペーストをパンチングメタルからなる集電体の両面に圧着後プレスして水素吸蔵合金電極を作製した。
上記のように作製した水素吸蔵合金電極と公知の焼結式ニッケル極とを不織布からなるセパレータを介して巻回し、電極群を作製した。この電極群を外装缶に挿入し、電解液を注液後、外装缶を密閉して理論容量1000mAhのニッケルー水素蓄電池を作製した。
【0046】
尚、熱処理を行なうことによって、粉末粒子間に焼結を生じたMH1 Y合金粉末、MH2 Y合金粉末については、粉砕を行い、粒径の影響をなくすため、粒径が10〜100μmになるように粒径の調整してから、水素吸蔵合金電極を作製した。
(2)サイクル特性の試験条件
上記のように作製した試験セルを注液後2時間放置したのち、100mAで16時間充電し、この後、200mAで終止電圧がI.0Vになるまで放電するというサイクルを5サイクル行なった。
【0047】
そののち、1000mAで1.2時間充電し、1000mAで終止電圧が1.0Vになるまで放電するというサイクルを繰り返しおこなった。電池の寿命は、電池容量が500mAhに達した時点とした。
(実験結果)
【0048】
【表2】
Figure 0003540378
【0049】
上記表2から明らかなように、本発明の方法で作製したMH1 a〜MH1 c合金粉末、MH2 a〜MH2 c合金粉末、及び比較例のMH1 X、MH1 Y合金粉末、MH2 X、MH2 Y合金粉末、とも全く熱処理を行なわなかったMH1 合金粉末、MH2 合金粉末と比べて、不均一歪みを、低下させることができた。
また、サイクル特性についは、本発明の水素吸蔵合金を用いた場合は、サイクル特性が飛躍的に向上している。
【0050】
これは、先ず、上記したように本発明の水素吸蔵合金は粒子の形状が熱処理前と変化ない球状なので、充填密度を高くすることができ、しかも、不均一歪みの値も十分小さく、微粉化が起こりにくいため、サイクル特性がよくなった。
一方、熱処理を全く行なわなかった比較例のMH1 合金粉末、MH2 合金粉末については、熱処理による形状の変化は起こらないので、充填密度は高い、しかしながら、不均一歪みが高いため、水素吸蔵合金に微粉化が起こり、サイクル特性が本発明のものと比較して良くなかったと思われる。
【0051】
比較例MH1 X合金粉末、MH2 X合金粉末については、熱処理の温度が600℃と低いために、粉末粒子の焼結はみられなかったが、不均一歪みの値を充分に小さくすることができず、サイクル特性が本発明の方法で作製した合金と比較して良くなかったと思われる。
また、比較例MH1 Y合金粉末、MH2 Y合金粉末については、熱処理により、粉末粒子が焼結してしまったために、粉砕を行なわなければならず、これにより、熱処理前の形状を維持することができず、充填密度が小さくなってしまったからである。
(実験2)
熱処理の温度と、不均一歪み及び充放電サイクルとの関係を調べたので、下記の表3、4に示す。
(実験条件)
熱処理時間を60分、熱処理温度を600℃、700℃、900℃、1100℃、1200℃とした以外は、上記実施例1、4と同様の条件で、MH1 合金粉末、MH2 合金粉末に対して熱処理をおこなった。
(実験結果)
【0052】
【表3】
Figure 0003540378
【0053】
【表4】
Figure 0003540378
【0054】
表3、4から明らかなように、700℃〜1100℃の間でサイクル特性の良好な水素吸蔵合金が得られた。
600℃の場合は、不均一歪みを十分低下させることができなかったため、サイクル特性が向上しなかった。
また、1200℃の場合は、不均一歪みは低い値であるが、熱処理の際に一部焼結してしまった。このため、焼結したものを粉砕した水素吸蔵合金粉末を電極材料として用いたため、熱処理前の形状を維持することが出来ず、電極の充填容量が低下し、サイクル特性が低下してしまった。
【0055】
以上のような結果から、熱処理温度は700℃〜1100℃であることが望ましい。
(実験3)
熱処理の時間と、不均一歪み及び充放電サイクルとの関係を調べたので、下記の表5、6に示す。
【0056】
熱処理の温度を1100℃とし、熱処理時間を15分、30分、60分、90分、180分、300分とした以外は、上記実施例1、4と同様にMH1 合金粉末、MH2 合金粉末に対して熱処理をおこなった。
(実験結果)
【0057】
【表5】
Figure 0003540378
【0058】
【表6】
Figure 0003540378
【0059】
上記表から明らかなように、30分以上とした場合に、水素吸蔵合金の不均一歪みの値は、小さくサイクル特性も良好な値を示した。
また、何れの処理時間でも焼結は見られなかった。
従って、熱処理時間は30分以上行なうのが望ましい。
(その他の事項)
▲1▼ 上記した実施例では、水素吸蔵合金粉末を運動させた状態で熱処理させるために、容器を水素吸蔵合金粉末が入った容器を振動させたり、回転させたり、或いは、水素吸蔵合金粉末自体を攪拌させたりしたが、本発明は、上記方法に限ることはない。
▲2▼また、熱処理の際に使用した装置も上記に限ることはない。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、球形ほぼ球状、砲弾状、鶏卵状の1種或いは、1種以上の水素吸蔵合金粉末を運動させた状態で熱処理を行なうことによって、熱処理中に水素吸蔵合金粉末が焼結することはない。従って、充填密度を向上させるための形状を保ちながらしかも不均一歪みの小さい水素吸蔵合金電極を効率良く作製できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素吸蔵合金粉末の熱処理の様子を示す図である。
【図2】水素吸蔵合金粉末の熱処理の様子を示す図である。
【図3】水素吸蔵合金粉末の熱処理の様子を示す図である。
【符号の説明】
1 電気炉
2 容器
3 容器
4 回転軸
5 攪拌機

Claims (5)

  1. 急冷凝固法により形状が球形、ほぼ球状、砲弾状、鶏卵状の1種、あるいは1種類以上の水素吸蔵合金粉末を作製する第一のステップと、
    上記水素吸蔵合金粉末を運動させた状態で熱処理を行なう第二のステップと、を有することを特徴とするアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  2. 上記第二のステップにおいて、熱処理容器に振動或いは、回転を加えることによって水素吸蔵合金粉末を運動させた状態にすることを特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  3. 上記第二のステップにおいて、熱処理容器内の水素吸蔵合金粉末を攪拌することによって、水素吸蔵合金粉末を運動させた状態にすることを特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  4. 上記第二のステップにおいて、前記熱処理を700℃以上、1100℃以下で行なうことを特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
  5. 上記第二のステップにおいて、前記熱処理を30分以上施すことを特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法。
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