JP3539827B2 - 移送体の速度測定方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータ、エスカレータ、動く歩道等の移送体の移動速度を測定する移送体の速度測定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータ、エスカレータ、動く歩道等の移送体は乗客を乗せて移動する装置であるので、装置に故障が生じると乗客に多大の迷惑を及ぼすばかりでなく、場合によっては大きな危険を与えるおそれがある。このため、上記移送体に対しては定期的に保守を行い安全を期する必要がある。この保守は専門の保守員により行われ、多数の項目についてチェックが行われるが、その中でも、移送体の移動速度の測定は必要不可欠である。この保守員による速度の測定を油圧エレベータの例を挙げて説明する。
【0003】
油圧エレベータは、油圧シリンダのプランジャを伸縮させることにより、当該プランジャにロープで連結された乗りかごを、ガイドレールに沿って昇降させる構造となっている。保守員は、速度測定時にエレベータの乗りかごを基準階(例えば1階)に呼び、乗りかご天井に乗ってガイドレールに回転体を押しつけ、この状態で他の保守員が乗りかごを昇降運転することにより、回転体の回転を伝達装置により乗りかご内に持ち込んだ速度表示装置に伝達し、この速度表示装置において当該伝達された回転を速度に変換して表示し、乗りかご内の保守員が表示された速度を観察していた。
【0004】
しかし、このような速度測定方法は、測定に保守員2人を要すること、保守員が乗りかごの天井に登らねばならず大きな労力が必要であること、さらに、油圧エレベータは最上階停止位置における昇降路頂部と乗りかご天井との間隔が狭いので天井に乗った保守員が危険であるという問題があった。この問題を解決する測定装置が、例えば、実開平4−39244号公報で提案されている。これを図12により説明する。
【0005】
図12は油圧エレベータの概略構成を示す図である。この図で、1は乗りかご、2は油圧シリンダ、3はそのプランジャ、4はプランジャ3の頂部に固定されたプーリ、5はプーリ4に掛け渡され乗りかご1に連結されたロープである。6は乗りかご1の昇降を案内するガイドレール、7は乗りかご1の天井に固定されガイドレール6に可回転に接触するガイドローラ、8は昇降路頂部である。9は回転体、10は回転体9を支持する支持部材、11は回転体9の回転を伝達する伝達装置、12は速度表示装置である。Aは乗りかご1内の保守員を示す。上記支持部材10は保守員により乗りかご1の天井に着脱自在に取り付けられる。
【0006】
速度測定に際し、保守員Aは乗りかご1の天井に、回転体9がガイドレール6に押圧された状態で支持部材10を取り付けた後、乗りかご1を昇降させる。この昇降速度に応じて回転体9が回転し、その回転は伝達装置11により保守員Aが手にする速度表示装置12に伝達され、速度が表示される。なお、回転体9に代えてタコメータを使用することもでき、その場合、伝達装置11はタコメータの出力電圧を導くリード線となる。上記の装置を用いることにより、保守員Aは一人で測定を行うことができ、しかも、昇降路頂部8に衝突する危険を免れることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記装置によっても依然として保守員が天井に登る労力を省くことはできない。即ち、速度測定開始時に、保守員は基準階に乗りかご1を呼んだ後、乗りかご1の天井に登って支持部材10を天井に取り付けねばならず、さらに速度測定終了時にも、保守員は乗りかご1の天井に登って支持部材10を取り外さねばならない。又、回転体9を確実にガイドレールに取り付けるための支持部材10を携行しなければならないが、この支持部材10は持ち運びに不便である。さらに、速度測定時には乗客の利用を中止させねばならず乗客に不便を強いることになる。
【0008】
なお、ロープ式エレベータの速度測定では、機械室のガバナロープ等にタコメータを当接して測定を行う手段が主であるが、通常、機械室は建物の最上階に設置されているので、前記の手法を用いる場合でも、保守員は最上階までエレベータで昇り、さらに機械室に足を運ばねばならず、保守員の労力は大きい。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、保守員の労力を大幅に軽減することができる移送体の速度測定方法および装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、移送体に当該移送体の移動方向の加速度を検出する加速度センサを設置し、前記移送体の走行開始時から停止時までの間における前記加速度センサの検出値を積分して得られた値に基づいて前記移送体の速度を算出し、算出された速度を記憶部に記憶し、この記憶部に記憶された前記移送体の停止時における速度データを前記走行開始時から停止時までの時間またはこの時間の二乗値で除算した値と、前記記憶部に記憶された各時刻値とを乗算するとともに、前記記憶部に記憶された前記各時刻における各速度データから前記乗算値を減算することにより前記速度を補正するようにしたことを特徴とする。
【0011】
又、請求項2の発明は、移送体に取り付けられ当該移送体の移動方向の加速度を検出する加速度センサと、この加速度センサの検出値に基づいて前記移送体の速度を算出する速度演算手段と、この速度演算手段により算出された速度を記憶する記憶部と、前記移送体の走行開始を判断する走行開始判断手段と、前記移送体の停止を判断する停止判断手段と、当該移送体の走行開始から停止までの時間を測定する時間測定手段と、前記停止判断手段で停止と判断されたときの前記演算手段により算出された速度を前記走行開始時から停止時までの時間またはこの時間の二乗値で除算した値と、前記記憶部に記憶された各時刻値とを乗算するとともに、前記記憶部に記憶された前記各時刻における各速度データから前記乗算値を減算することにより前記速度を修正する速度修正手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項8の発明は、上記請求項2の構成に加えて、前記記憶部に記憶されている修正された速度を表示する表示部および当該速度を外部へ送信するデータ送信手段のうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るエレベータの速度測定方法および装置を示す図である。この図で、図12に示す部分と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この実施の形態では、従来の回転体9、支持部材10、伝達装置11等は使用しない。13は乗りかご1内に設置された速度測定装置を示す。この速度測定装置の構成を図2に示す。
【0014】
図2は速度測定装置13の構成を示すブロック図である。この図で、131は乗りかご1の昇降方向の加速度を検出する加速度センサであり、例えば乗りかご1の床面に永久磁石等で固定設置される。132はマイクロコンピュータより成る演算制御部、133は表示部である。演算制御部132は、A/D変換器132a、中央処理ユニット(CPU)132b、クロック132c、CPU132bの処理手順を格納するリードオンリメモリ(ROM)132d、演算制御の結果を格納するランダムアクセスメモリ(RAM)132e、およびD/A変換器132fで構成される。
【0015】
なお、加速度センサ131、演算制御部132、および表示部133はそれぞれ別構造とすることもでき、又、全部をケースに収納した一体構造とすることもできる。さらに、加速度センサ131と演算制御部132を一体構造とし、表示部を別構造とすることもでき、これとは逆に、加速度センサ131を別構造、演算制御部と表示部を一体構造とすることもできる。特に、近年、表示部を備えた携帯用コンピュータが開発され、これを保守員が作業現場に携行して保守作業に利用するが、演算制御部132および表示部133として当該携帯用コンピュータを利用することもできる。
【0016】
次に、上記実施の形態の動作を説明する。速度測定に際し、保守員Aは乗りかご1に乗り、図1に示すように乗りかご1の床(加速度センサ131が中央部分にあることが望ましい)に速度測定装置13を設置する。保守員Aは、乗りかご1が停止状態にあるとき加速度センサ131の0点補正を行い、次いで所定階の行先釦を押す。乗りかご1が走行を開始すると、加速度センサ131は、乗りかご1にかかる重力による乗りかご1の移動量に応じた加速度値を出力する。CPU132bはA/D変換器132aを介して加速度値を入力し、クロック132cの出力を用いて得られる一定時間毎に、その時間間隔間の加速度値を積分する。この積分により得られた値が、当該時間間隔の開始時における速度に対する差の速度となる。
【0017】
例えば、速度0における時刻t0 から、走行後の時刻t1 までの一定時間内の加速度値aを積分することにより値v1 が得られ、これが時刻t1 の速度v1 (0+v1 )となる。さらに、時刻t1 から時刻t2 までの一定時間内の加速度値aを積分して得られた値を、時刻t1 時の速度v1 に加えることにより、時刻t2 の速度v2 が得られる。以下、CPU132bにより同様の処理を、乗りかご1が上記所定階に停止するまで順次繰り返すことにより、各時刻における速度を得ることができ、いわゆるエレベータの走行曲線を得ることができる。
【0018】
図3はRAM132eの内容を説明する図である。CPU132bは、上記の処理により得られた各時刻ごとの各速度を、図3に示すように順次RAM132eの所定領域へ格納する。図3では、時刻t1 〜tn に対する速度v1 〜vn が示されている。なお、加速度a1 〜an は各時刻における加速度を示す。このようにして得られた各速度は表示部133に順次数値で表示してもよいし、又、順次又は所定階に停止した後、表示部133に曲線として表示してもよい。
【0019】
図4はある2つの階床間のエレベータの上昇時の速度と加速度の実測値を示す図である。この図で、横軸には時間、縦軸には加速度および速度がとってある。Aは加速度を示す曲線、Vは速度を示す曲線である。一方の階床からのエレベータの上昇開始時には、加速度がほぼ0から正方向に急激に増大し、このときその積分値の加算値である速度も急速に大きくなり、その後加速度が0近くに収束するとその積分値はほぼ0となって速度は一定となる。逆に、エレベータが他方の階床に近づいて減速、停止する場合には、負方向の加速度が急激に増大し、その積分値の加算値である速度は急速に減少し、その後、加速度がほぼ0になると速度も0(停止)になる。A1 はエレベータ停止時の衝撃による加速度を示す。
【0020】
このように、上記実施の形態によると、保守員は速度測定装置を携行し、その加速度センサをエレベータの乗りかご内の床に設置し、その出力を積分し、その積分値を順次加算し、その結果を表示部に表示するようにしたので、保守員は乗りかごの天井に登って回転体の支持部材の取り付け、取外しを行ったり、わざわざ機械室へ出向く必要はなく、保守員の労力を大幅に軽減することができる。又、乗客がいても測定が可能である。
【0021】
なお、上記実施の形態の説明では、加速度センサを乗りかごの床の中央に設置する例について説明したが、必ずしも中央でなくてもよい。又、床ではなく、壁部分に固定することもできるし、乗りかご上の作業を行う場合にはそこに載置しても良い。
又、上記実施の形態の説明では、時刻、加速度、速度を記憶する例について説明したが、記憶部の容量によっては加速度および速度のみを記憶するようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態の説明では、表示部を設ける例について説明したが、表示部を設けずに外部との通信手段を設け、記憶部に記憶された加速度および速度を、又は速度のみを、当該通信手段により外部の所定個所、例えば保守員が所属する営業所のパーソナルコンピュータへ送信することもできる。勿論、表示部と通信手段両者を備えてもよい。
【0022】
ところで、上記加速度センサ131として高精度のものを使用する場合には問題はないが、それ程の精度をもたないものを使用すると、その温度特性やその他の誤差成分により、正確な加速度を得ることができず、乗りかご1の停止後でも演算による速度が0にならない場合がある。そのような実測例を図5に示す。
【0023】
図5は1階床だけ上昇したときの実測走行曲線を示す図である。この図で、横軸には時間、縦軸には速度がとってある。V1 は正規の走行曲線、V2 は高精度ではない加速度センサを用いて演算した速度による走行曲線を示す。高精度ではない加速度センサを用いた場合には、誤差が積算されてゆくため、図示のように、時間軸が一点鎖線で示す直線T0 のように傾いた走行曲線となり(下降時には直線T0 は負方向に傾く)、乗りかご1が停止してもある速度Δvを示すことになる。演算制御部132はこのような速度の誤差を修正する機能を有する。この機能を、図4に示す加速度、速度曲線および図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0024】
図5に示すように、ある階床から次の階床までの上昇時、乗りかご1の上昇開始をみるため、CPU132bは加速度センサ131の出力が図4に示すようなある所定値「+α1 」になったか否かを判断し(図6に示す手順S1 )、所定値「+α1 」になっていれば、上昇が開始されたと判断してクロック132cにより乗りかご1が停止するまでの時間を測定するための時間計測を開始する(手順S2 )。次いで、乗りかご1の減速を判断するため加速度センサ131の出力が図4に示す所定値「−α2 」に達するのを待つ(手順S3 )。
【0025】
一方、手順S1 で所定値「+α1 」未満と判断された場合、今度は下降開始をみるための所定値「−α1 」になったか否かを判断する(手順S4 )。これら手順S1 、S4 の処理の繰り返しにより、下降時には加速度センサ131の出力が所定値「−α1 」となり、上昇時の場合と同様、時間計測を開始し(手順S5 )、加速度センサ131の出力が所定値「+α2 」になるのを待つ(手順S6 )。
【0026】
図5に示す場合は上昇状態であるので、上階に近づいて乗りかご1が減速すると、手順S3 の処理で所定値「−α2 」が検出される。これにより、CPU132bは減速を判断し、クロック132cの出力を用いてサンプリング時間の計測を開始する。このサンプリング時間は、加速度センサ131の出力がある所定の範囲を超えない値に収まったか否かを判断するための時間を規定するものであり、当該サンプリング時間内に加速度センサ131の出力が上記所定の範囲を超えなければ乗りかご1は停止したと判断する。上記所定の範囲が図4に値「β」で示されている。CPU132bは手順S8 の処理で加速度を取り込み、手順S9 の処理でサンプリング時間が経過したか否かを判断する。これら手順S8 、S9 の処理により順次加速度を取り込み、サンプリング時間に達したとき、サンプリング時間中に取り込んだ加速度のうち所定の範囲「β」を超えるものがあるか否かを判断する(手順S10)。あれば乗りかご1は停止していないと判断し、再び手順S7 、S8 、S9 、S10の処理を繰り返す。
【0027】
手順S10の処理で、サンプリング時間中に取り込んだ各加速度が所定の範囲「β」を超えないと判断されると、CPU132bは手順S2 で開始した時間計測を停止する(手順S11)。次いで、CPU132bはそのときの速度Δvと、計測した時間t0 (いずれも図5に示されている)とを取り込み(手順S12)、両者の比率(Δv/t0 )を演算し(手順S13)、この比率に基づいて各速度を修正する(手順S14)。この修正は、各速度からその速度に上記比率を乗じた値を減算(下降時は加算)することにより行われる。例えば、図3に示す時刻t3 における速度v3 に対する修正された速度をv30とすると、速度の修正は
v30=v3−t3 (Δv/t0 )
のように行われる。
【0028】
このように、演算制御部132に速度の修正手段を備えたので、加速度センサとしては精度の如何にかかわらずどのような加速度センサを用いても、精度良く速度を測定することができる。
【0029】
上記の修正手段は誤差が直線的に(直線T0 に沿って)積算されるとして修正を行うものである。しかし、速度は加速度を積分することにより得られるので加速度センサの誤差も積分されることになり、実際には誤差は直線的でなく二次曲線に沿う値となる。これを図7に示す。図7は図5に示すものと同じく1階床だけ上昇したときの実測走行曲線を示す図である。この図で図5に示す部分と同一部分には同一符号が付してある。T01は上記二次曲線を示す。この二次曲線を、速度をV、時間をT、係数をaとして表すと、
V=aT2
a=V/T2
図示のように時間t0 で速度ΔVであるから、
a=ΔV/t0 2
となる。したがって、上記のように図3に示す時刻t3 における速度v3 に対する修正された速度をv30とすると、速度の修正は
v30=v3−t3 (Δv/t0 2)
のように行われる。
なお、誤差を直線とした場合も、二次曲線とした場合も、加速度センサ131に高精度のものを使用する場合には、修正手段は必ずしも必要ではない。
【0030】
以上述べた本発明の実施の形態では、エレベータの乗りかご1の速度を加速度センサ131の出力に基づいて演算制御部132で演算することにより求めていた。しかし、必ずしも演算制御部132の演算に限ることはなく、他の手段により求めることもできる。これを図8により説明する。
【0031】
図8は本発明の他の実施の形態に係るエレベータの速度測定装置のブロック図である。この図で、131は図2に示すものと同じ加速度センサ、151は電圧周波数変換器、152はカウンタ、153はA/D変換器、154はマイクロコンピュータで構成される演算制御部、155は演算制御部154の電源となるバッテリである。
上記電圧周波数変換器151は、よく知られているように積分器、比較器および出力トランジスタで構成され、入力電圧は積分器により積分され、この積分器からの出力は比較器により鋸歯状波等の参照電圧と比較され、この比較の結果、積分器に入力された電圧に比例した周波数のパルスが出力トランジスタから出力される。
演算制御部154は、CPU154a、このCPU154aの処理手順を格納するROM154b、演算制御の結果等を格納するRAM154c、加速度データおよび速度データを格納するデータメモリ154d、外部からの入力信号を取り込む入力回路154e、外部装置、例えば保守員が所属する営業所のパーソナルコンピュータとの間の通信機能を備えた入出力インターフェース154f、および計時信号を出力するクロック154gで構成されている。なお、上記データメモリ154dは着脱自在のカード型のメモリを使用することもできる。
【0032】
図8の161は速度を表示する表示器、162は演算制御部154の電源をオン、オフする電源スイッチ、163は0点補正を指示するための0補正スイッチ、164は測定の開始と終了を指示する測定開始/終了スイッチ、165は表示器161に表示を行なうか否かを指示する表示スイッチ、166は上記各スイッチの状態を示す複数ランプである。
【0033】
次に、上記実施の形態の動作を説明する。速度測定に際し、保守員は乗りかご1に乗り、本実施の形態の速度測定装置を設置し、電源スイッチ162をオンとし、0補正スイッチ163により加速度センサ131の0点補正を行い、所定階の行先釦を押すとともに測定開始/終了スイッチ164により測定開始を指示する。乗りかご1が走行を開始すると、加速度センサ131は、乗りかご1にかかる重力による乗りかご1の移動量に応じた加速度値を出力する。加速度センサ131の出力電圧は、電圧周波数変換器151に入力され、当該出力電圧に比例した周波数のパルスに変換される。このパルスはカウンタ152でカウントされ、そのカウント値はCPU154aに取り込まれる。電圧周波数変換器151は加速度センサ131が検出した加速度を積分器で積分するので、当該カウント値は乗りかご1の速度に比例した値となる。
【0034】
一方、加速度センサ131の出力電圧はA/D変換器153によりディジタル値に変換され、CPU154aに取り込まれる。上記カウント値はそれに対応した速度データとしてデータメモリ154dに格納され、同じく、A/D変換器153で変換された値も加速度データとしてデータメモリ154dに格納される。このようにして、順次速度データおよび加速度データがデータメモリ154dに格納されてゆき、やがて所定階に到達して乗りかご1が停止すると同時に、保守員は測定開始/終了スイッチ164を作動させて測定の終了を指示する。以上の動作により、データメモリ154dに、所定の階床間における乗りかご1の速度データおよび加速度データが得られる。
【0035】
ところで、本実施の形態においても、加速度センサ131が高精度のものでない場合には速度の修正が行なわれる。これを図9に示すフローチャートを参照して説明する。CPU154aは測定開始/終了スイッチ164からのON指令(測定開始指令)を待つ(図9に示す手順S21)。保守員が測定開始/終了スイッチ164を押すと、測定開始指令が入力回路154eを介してCPU154aに取り込まれ、CPU154aはクロック154gの計時信号を取り込んで時間計測を開始し(手順S22)、カウンタ152から速度データ、A/D変換器153から加速度データを取り込む(手順S23)。次いで、測定開始/終了スイッチ164が再度押されて測定終了指令が出力されたか否かを判断し(手順S24)、測定終了指令が出力されるまで、順次カウンタ152、A/D変換器153から速度、加速度データの取り込みを継続する。乗りかご1が停止すると同時に保守員が測定開始/終了スイッチ164を押すと、測定終了指令が出力され、CPU154aは時間の計測を停止する(手順S25)。以後の処理手順S26、S27、S28は、図6に示す処理手順S12、S13、S14の処理と同一であるので、説明は省略する。ただし、手順S27における(ΔV/t0 )は(ΔV/t0 2)であってもよいのは、前述の説明から明らかである。結局、本実施の形態とさきの実施の形態における速度データの修正は、時間計測の開始と終了を加速度データに基づいて行なうか、又は測定開始/終了スイッチ164の操作で行なうかの点で相違するのみである。
【0036】
このようにして、データメモリ154dには、最終的には加速度データと修正された速度データとが格納された状態となる。この状態で、保守員が表示スイッチ165を操作すると表示器161に速度を表示することができる。又、図示しない入力部から送信先、例えば保守員が所属する営業所のパーソナルコンピュータを指定してデータ送信指令を入力すると、データメモリ154dの速度データと加速度データが当該送信先へ送信される。なお、当該送信先では、送信された加速度データと速度データのサンプリング時間が判っているので、それら各データに、図3に示すように時間を割り当てることもできる。
【0037】
図10は本実施の形態に係るエレベータの速度測定装置の上面図、図11は図10に示す矢印X方向からみた側面図である。これらの図で、図9に示す部分と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。160は収納ケースであり、この収納ケース160内に、図8に示す加速度センサ131、電圧周波数変換器151、カウンタ152、演算制御部154、およびバッテリ155が収納されている。167a、167bは表示送りスイッチであり、表示器161に速度が表示されている場合、表示送りスイッチ167aを1回押すと、データメモリ154dに格納された速度データのうちの1つ先のデータが表示され、表示送りスイッチ167bを1回押すと、データメモリ154dに格納された速度データのうちの1つ後のデータが表示され、表示送りスイッチ167a(又は167b)を所定時間(数秒)連続して押すと、表示器161にデータメモリ154dの速度データが採取された時間の経過に沿って順次(又は逆方向に)連続的に流れて表示されることになる。168は外部装置とのデータ通信のためのコネクタであり、収納ケース160の内部で入力インターフェース154fに接続されている。169は底面(図10に示す面と対向する面)に設けられた複数の足を示す。
【0038】
このように、図8〜図11に示す本実施の形態も、さきの実施の形態と同じ効果を奏するのは明らかである。又、1つの収納ケース160に全構成部品を収納することにより、全体を小型に構成することができ、保守員がの携行が容易となる。さらに、各種機能を収納ケース160の上面にまとめてあるので、乗りかご1の床面に収納ケース160を載置したとき当該面が上面となって保守員の操作が容易になる。
【0039】
なお、上記各実施の形態の説明では、移送体としてエレベータを例示して説明したが、エレベータに限ることはなく、前述のエスカレータ、動く歩道の他に、保守員による測定が必要なロープウエイの乗りかごや電車等の移送体の速度の測定のも適用可能である。ここで、エスカレータや動く歩道の場合、始動時や試験的な駆動、停止時に用いられる。又、得られた速度をさらに積分することにより距離を得ることもでき、このように距離を求めておけば、加速度、速度の異常発生位置の探索等に便利である。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、保守員が速度測定装置を携行し、その加速度センサを移送体に設置し、その出力を積分して速度を得るようにしたので、保守員は加速度センサを移送体に設置するだけで測定を行うことができる。又、乗客がいても測定が可能である。さらに、修正手段を備えることにより、加速度センサとして、どのよな精度のものも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るエレベータの速度測定方法および装置を示す図である。
【図2】図1に示す装置のブロック図である。
【図3】図2に示すRAMの内容を説明する図である。
【図4】2つの階床間のエレベータの上昇時の速度と加速度の実測値を示す図である。
【図5】1階床上昇時の実測走行曲線を示す図である。
【図6】図2に示す演算制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図7】1階床上昇時の実測走行曲線を示す図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るエレベータの速度測定装置のブロック図である。
【図9】図8に示す演算制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図10】収納ケースの上面図である。
【図11】収納ケースの側面図である。
【図12】油圧エレベータの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 乗りかご
2 油圧シリンダ
3 プランジャ
4 プーリ
5 ロープ
6 ガイドレール
13 速度測定装置
131 加速度センサ
132 演算制御部
133 表示部
Claims (11)
- 移送体に当該移送体の移動方向の加速度を検出する加速度センサを設置し、前記移送体の走行開始時から停止時までの間における前記加速度センサの検出値を積分して得られた値に基づいて前記移送体の速度を算出し、算出された速度を記憶部に記憶し、この記憶部に記憶された前記移送体の停止時における速度データを前記走行開始時から停止時までの時間またはこの時間の二乗値で除算した値と、前記記憶部に記憶された各時刻値とを乗算するとともに、前記記憶部に記憶された前記各時刻における各速度データから前記乗算値を減算することにより前記各速度を補正するようにしたことを特徴とする移送体の速度測定方法。
- 移送体に取り付けられ当該移送体の移動方向の加速度を検出する加速度センサと、この加速度センサの検出値に基づいて前記移送体の速度を算出する速度演算手段と、この速度演算手段により算出された速度を記憶する記憶部と、前記移送体の走行開始を判断する走行開始判断手段と、前記移送体の停止を判断する停止判断手段と、当該移送体の走行開始から停止までの時間を測定する時間測定手段と、前記停止判断手段で停止と判断されたときの前記演算手段により算出された速度を前記走行開始時から停止時までの時間またはこの時間の二乗値で除算した値と、前記記憶部に記憶された各時刻値とを乗算するとともに、前記記憶部に記憶された前記各時刻における各速度データから前記乗算値を減算することにより前記速度を修正する速度修正手段とを備えていることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項2において、前記速度演算手段は、前記移送体の走行開始時から停止時までの間における前記加速度センサの検出値を予め設定された時間間隔で積分し、この積分値に基づいて前記移送体の速度を算出する手段であることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項2において、前記速度演算手段は、前記移送体の走行開始時から停止時までの間における前記加速度センサの検出電圧をこれに応じた周波数に変換する電圧周波数変換手段であることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項4において、前記電圧周波数変換手段は、前記加速度センサの検出電圧を積分する積分器と、この積分器の出力を鋸歯状波の参照電圧と比較する比較器とで構成されていることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項2乃至請求項5において、前記走行開始判断手段および前記停止判断手段は、走行開始時および走行停止時に、前記加速度センサの検出値がそれぞれ設定された所定の値になったか否かをみて走行開始および走行停止を判断する手段であることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項2乃至請求項5において、前記走行開始判断手段および前記停止判断手段は、測定開始および測定終了のスイッチが操作されたか否かをみて走行開始および走行停止を判断する手段であることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項2乃至請求項7記載の移送体の速度測定装置において、前記記憶部に記憶されている修正された速度を表示する表示部および当該速度を外部へ送信するデータ送信手段のうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項2乃至請求項8において、前記加速度センサとその他の構成とは別体とされていることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項2乃至請求項8において、前記加速度センサとその他の構成とは1つのケースに収納されていることを特徴とする移送体の速度測定装置。
- 請求項9において、前記加速度センサは、前記移送体の適宜の個所に永久磁石で取り付けられることを特徴とする移送体の速度測定装置。
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