JP3539698B2 - 水平フック継手をもつセグメント - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は水平フック継手をもつシールドトンネル覆工用セグメントに係るものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のボルト継手をもつセグメントは、相隣るセグメントを突き合わせて、ボルトによって結合した連結構造が普通であった。しかしこのようにボルト継手をもつセグメントは、（イ）ボルトボックスがあるので、同ボルトボックスの充填処理や二次覆工を必要とする。（ロ）セグメント内面に継手金具が露出しているので、防錆処理が必要である。（ハ）ボルト継手はボルト締結に多くの時間を要し、セグメント組立には熟練工を必要とした。このためセグメント組立の自動化や急速施工に不利であった。（ニ）更に継手金具の材料、製作費に占める率が大きく、コストダウンを阻害する原因となっていた。
【０００３】
本発明者等はこのような欠点を防止するために、シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行な継手面に設けた凹溝内に夫々複数の、切羽方向に指向して次第に拡開した傾斜嵌合部を有する雌金具と、切羽の反対方向に指向して延びる雄金具とよりなる継手金具を装着し、前記セグメントをリング状に組み立てるのに際して、前記雌金具を雄金具に嵌入、楔止してフック継手を構成するフック継手をもつセグメントを提案した。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなトンネルの横断面内にアンカー部分を有するフック継手においては、セグメントの幅当りのフック継手の金具配置数には限界があり、またフック金具の大きさもセグメント厚さに対して制限がある。このため、強度の大きい継手を必要とする場合には、継手金具の肉厚を厚くして対応することになるが、肉厚の鋼板類は加工が面倒であるし、またアンカー部分のセグメント本体への接続が難しくなり、同部分の構造が複雑になり、その結果として構造上の欠陥がでやすくなる。
【０００５】
またセグメント継手面に曲げモーメントが作用する場合、アンカー部の一部分だけが引張力に抵抗するにすぎない。本発明は前記の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、施工性が優れ、セグメントリングの組立が効率よく行なわれ、構造上合理的で、経済性の優れた、水平フック継手をもつセグメントを提供する点にある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項１に係る本発明として、シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行なセグメント継手面に、切羽方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ雌金具と、切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ雄金具とで構成されるフック継手をもち、前記雌雄各金具が共に鋼鉄板で構成されるとともに、セグメントに埋設される同各金具のアンカー部分がトンネル軸に直角方向に形成されてなることを特徴とする水平フック継手をもつセグメントが提供される。
【０００７】
請求項２に係る本発明として、前記雌雄各金具は、一方の金具を鉤形断面に形成し、他方の金具を前記鉤形断面と係合する倒Ｌ形断面に形成し、両金具のアンカー部分がセグメントの厚さ方向に対して同じ位置に位置するように形成されてなる請求項１記載の水平フック継手をもつセグメントが提供される。
【０００８】
【作用】
上記請求項１記載の本発明においては、シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行なセグメント継手面に、夫々鋼鉄板より構成された切羽方向に拡開した嵌合部を持つ雌金具と、切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ雄金具とより構成され、セグメントに埋設される前記各金具のアンカー部分がトンネル軸に直角方向にアンカーされるようになっているので、アンカー部の幅をセグメント幅まで拡大でき、アンカー部断面をすべて有効に利用することが可能で、必要なアンカー力を容易に確保することができる。またセグメントの厚さ方向に複数段の水平フック金具を配置することにより、正負の曲げモーメントに対して同等且つ、強力に抵抗できる。
【０００９】
上記請求項２記載の本発明においては、前記雌雄各金具について、一方の金具を鉤形断面に形成し、他方の金具を前記鉤形断面と係合する倒Ｌ形断面に形成し、両金具のアンカー部分がセグメントの厚さ方向に対して同じ位置に位置するように形成した。セグメント厚さに対するアンカー部の位置を同一にすることにより、前記継手金具を介して力の伝達が円滑に行われ、継手に局部的に応力が発生することがない。また、相隣るセグメントが確実に、かつ連続した状態で接続される。
【００１０】
【実施例】
以下、本発明を図示の実施例について説明する。図１乃至図７に示す実施例において、Ａはコンクリート製のトンネル覆工用セグメントで、トンネル軸に平行なセグメント継手面に設けられた切羽方向に延びる溝状の凹部１に、同切羽方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ水平の鋼鉄製の雌金具２と切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ水平の鋼鉄製の雄金具３が装着されている。図２に示される例では、前記雌金具２は鉤形断面部２ａが形成され、雄金具３は同鉤形断面部に係止する係止片３ａが設けられた倒Ｌ形断面に形成され、前記鉤形断面部２ａと係止片３ａによるアンカー部分がトンネル軸に直角方向に構成されている。
【００１１】
図中、４はアンカー筋、５はセグメントＡの切羽に対向する面に設けられたほぞで、通しボルト６の挿通孔が設けられている。７は接合モルタルの注入孔、８は排気孔である。図５及び図６は夫々水平フック継手を２段に配設した場合を示し、図７は水平フック継手を１段に配設した場合を示す。
【００１２】
而して一方のセグメントＡの雌金具２の鉤形断面部に他方のセグメントＡの雄金具３の係止片を切羽方向に亘って係合し、前記注入孔７よりモルタルを注入して同モルタル中に混入した空気を排気孔８より排除して、前記両セグメントＡの継手面にモルタルを充填してセグメントＡを継接する。次に前記した水平フック継手をもつセグメントの組立方法について説明する。
【００１３】
矩形セグメントの場合（３Ａ＋２Ｂ＋Ｋの場合）三つのＡセグメント中のインバートセグメントでは、その二つのセグメント継手面に継手金具ａとして雌金具を配置し、残りの二つのＡセグメントと二つのＢセグメントでは、継手金具ａとして一方のセグメント継手面に雄金具、他方のセグメント継手面に雌金具を配置し、Ｋセグメントでは、その二つのセグメント継手面に雄金具を配置する。
【００１４】
以上のようなセグメントをリング状に組み立てるには、第一にインバートセグメントＡ1 を既設のセグメントリングのインバートの位置のセグメントにあわせて取り付ける。リング継手面にほぞ５があるから、ほぞを嵌合させるだけで位置決めが可能である。また、位置決めができれば、通しボルト６によってセグメントを既設リングのセグメントに固定する。
【００１５】
第二は、インバートセグメントＡ1 に隣接するＡ2 ，Ａ3 セグメントを取り付ける。この場合、雄金具のあるセグメント継手面をインバートセグメントの雌金具のあるセグメント継手面に近づけ、双方の金具が嵌合し始めたらセグメントをトンネル軸方向にスライドさせて押し込む。この操作とセグメントリング継手面のほぞ嵌合とによって必然的に位置決めが可能となる。なお、このときセグメント継手面にもほぞを設けておけば位置決めはより確実になる。位置決めができれば、通しボルト６によってセグメントを既設リングに固定する。
【００１６】
次いでＫセグメントに隣接するＢセグメント（Ａ4 ，Ａ5 ）を左右交互に取り付ける。取付方法は前述の場合と同じである。最後にＫセグメントＡ6 を挿入する。ＫセグメントＡ6 の二つのセグメント継手面には雄金具がついており、ＫセグメントＡ6 が押し込まれることにより、これら雄金具が両側のＢセグメントのＡ4 ，Ａ5 の雌金具に嵌合する。ＫセグメントＡ6 が挿入できれば通しボルト６で既設のセグメントリングと締結してセグメントリングの組立ては完了する。（図８参照）次に等大台形セグメントの場合（台形３＋逆台形３の場合）について述べる三つの台形セグメントでは二つのセグメント継手面に継手金具ａとして雌金具を、三つの逆台形セグメントでは二つのセグメント継手面に継手金具ａとして雄金具を配置する。したがって、セグメントの種類は２種類となる。
【００１７】
組立てにあたっては、第一に台形セグメントの一つＡ1 をインバートセグメントとして既設のセグメントリングに取り付ける。同様に他の二つの台形セグメントＡ2 ，Ａ3 も各々の間に逆台形セグメントＡ4 ，Ａ5 ，Ａ6 を挿入できるように所定の間隔をおいて取り付ける。これらの操作は三つのセグメントについて同時に行うことも可能である。セグメントの取り付けにあたっては、リング継手面にほぞがあるため、これを既設リングのリング継手面のほぞに挿入するだけで位置決めができる。位置決めができれば、通しボルトなどによってセグメントを既設リングに固定する。
【００１８】
逆台形セグメントの取付は、二つのセグメント継手面に雄金具を配置したものであるから、既に取り付け終わった台形セグメントの間に挿入するだけである。なお、リング継手面に配置したほぞは、位置決めを容易かつ確実にする上で有効である。逆台形セグメントの挿入が終われば、通しボルト６で既設セグメントと締結してセグメントリングの組立ては完了する。（図９参照）
【００１９】
【発明の効果】
本発明によれば前記したように、シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行なセグメント継手面に、切羽方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ鋼鉄板製雌金具と、切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ鋼鉄板製雄金具とで構成されるフック継手をもち、セグメントに埋設される前記雌雄各金具のアンカー部分がトンネル軸に直角方向に形成されているので、必要に応じてセグメント幅までアンカー部の幅を拡大できる。従って必要なアンカーを容易に確保することができ、強度の大きいセグメント継手を構成しうるものである。また前記水平フック継手金具をセグメントの厚さ方向に複数段配置することによって、曲げ抵抗力が正負のモーメントに対して同等、且つ強大な継手を形成することができる。
【００２０】
また本発明によれば、セグメント厚さに対する水平フック継手のアンカー部の位置を同じにすることができるので、継手を介しての力の授受が円滑に行なわれ、セグメント継手部に局所的応力が作用せず、合理的継手構造を構成することができる。更にまたセグメント継手面に曲げモーメントが作用する場合、本発明によれば水平フック継手アンカー部の断面がすべて有効に抵抗するものである。
【００２１】
また本発明の水平フック継手をもつセグメントは内面が平滑であるから二次覆工を施さなくても耐久性に富み、かつトンネル内空間の利用度を拡げたトンネル覆工体が得られる。更に内面に金物が露出していないので防錆処理が不要である。更にまた水平フック継手をもつセグメントは、トンネル軸方向からセグメントを挿入するだけで組立可能となり、組立手間、組立時間が短縮され、セグメント組立の自動化や急速施工に有利である。また、前記継手金物は鋼鉄板製のため製作が容易である。
【００２２】
請求項２の発明は、前記雌雄各金具は、一方の金具を鉤形断面に形成し、他方の金具を前記鉤形断面と係合する倒Ｌ形断面に形成し、両金具のアンカー部分がセグメントの厚さ方向に対して同じ位置に位置するようにしたので、各金具のアンカー部分をセグメントの厚さ方向において同じ位置にしたため、相隣るセグメントは正確にしかも強固に所定位置に、接続され、相隣るセグメント間に不陸を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る水平フック継手をもつセグメントの一実施例を示す斜視図である。
【図２】前記セグメントの継手部の一部を欠截して示した斜視図である。
【図３】雄金具の斜視図である。
【図４】雌金具の斜視図でる。
【図５】２段水平フック継手を示す斜視図である。
【図６】２段水平フック継手の他の実施例を示す斜視図である。
【図７】１段フック継手を示す斜視図である。
【図８】矩形セグメントの１リング当りのフック継手の構成を示す説明図である。
【図９】等大台形セグメントの１リング当りの継手の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
Ａ，Ａ1 ，Ａ2 ，Ａ3 ，Ａ4 ，Ａ5 ，Ａ6 …セグメント、ａ…継手金具、１…凹部、２…雌金具、２ａ…鉤形断面部、３…雄金具、３ａ…係止片、４…アンカー筋、５…ほぞ、６…通しボルト、７…注入孔、８…排気孔
【産業上の利用分野】
本発明は水平フック継手をもつシールドトンネル覆工用セグメントに係るものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のボルト継手をもつセグメントは、相隣るセグメントを突き合わせて、ボルトによって結合した連結構造が普通であった。しかしこのようにボルト継手をもつセグメントは、（イ）ボルトボックスがあるので、同ボルトボックスの充填処理や二次覆工を必要とする。（ロ）セグメント内面に継手金具が露出しているので、防錆処理が必要である。（ハ）ボルト継手はボルト締結に多くの時間を要し、セグメント組立には熟練工を必要とした。このためセグメント組立の自動化や急速施工に不利であった。（ニ）更に継手金具の材料、製作費に占める率が大きく、コストダウンを阻害する原因となっていた。
【０００３】
本発明者等はこのような欠点を防止するために、シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行な継手面に設けた凹溝内に夫々複数の、切羽方向に指向して次第に拡開した傾斜嵌合部を有する雌金具と、切羽の反対方向に指向して延びる雄金具とよりなる継手金具を装着し、前記セグメントをリング状に組み立てるのに際して、前記雌金具を雄金具に嵌入、楔止してフック継手を構成するフック継手をもつセグメントを提案した。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなトンネルの横断面内にアンカー部分を有するフック継手においては、セグメントの幅当りのフック継手の金具配置数には限界があり、またフック金具の大きさもセグメント厚さに対して制限がある。このため、強度の大きい継手を必要とする場合には、継手金具の肉厚を厚くして対応することになるが、肉厚の鋼板類は加工が面倒であるし、またアンカー部分のセグメント本体への接続が難しくなり、同部分の構造が複雑になり、その結果として構造上の欠陥がでやすくなる。
【０００５】
またセグメント継手面に曲げモーメントが作用する場合、アンカー部の一部分だけが引張力に抵抗するにすぎない。本発明は前記の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、施工性が優れ、セグメントリングの組立が効率よく行なわれ、構造上合理的で、経済性の優れた、水平フック継手をもつセグメントを提供する点にある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項１に係る本発明として、シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行なセグメント継手面に、切羽方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ雌金具と、切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ雄金具とで構成されるフック継手をもち、前記雌雄各金具が共に鋼鉄板で構成されるとともに、セグメントに埋設される同各金具のアンカー部分がトンネル軸に直角方向に形成されてなることを特徴とする水平フック継手をもつセグメントが提供される。
【０００７】
請求項２に係る本発明として、前記雌雄各金具は、一方の金具を鉤形断面に形成し、他方の金具を前記鉤形断面と係合する倒Ｌ形断面に形成し、両金具のアンカー部分がセグメントの厚さ方向に対して同じ位置に位置するように形成されてなる請求項１記載の水平フック継手をもつセグメントが提供される。
【０００８】
【作用】
上記請求項１記載の本発明においては、シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行なセグメント継手面に、夫々鋼鉄板より構成された切羽方向に拡開した嵌合部を持つ雌金具と、切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ雄金具とより構成され、セグメントに埋設される前記各金具のアンカー部分がトンネル軸に直角方向にアンカーされるようになっているので、アンカー部の幅をセグメント幅まで拡大でき、アンカー部断面をすべて有効に利用することが可能で、必要なアンカー力を容易に確保することができる。またセグメントの厚さ方向に複数段の水平フック金具を配置することにより、正負の曲げモーメントに対して同等且つ、強力に抵抗できる。
【０００９】
上記請求項２記載の本発明においては、前記雌雄各金具について、一方の金具を鉤形断面に形成し、他方の金具を前記鉤形断面と係合する倒Ｌ形断面に形成し、両金具のアンカー部分がセグメントの厚さ方向に対して同じ位置に位置するように形成した。セグメント厚さに対するアンカー部の位置を同一にすることにより、前記継手金具を介して力の伝達が円滑に行われ、継手に局部的に応力が発生することがない。また、相隣るセグメントが確実に、かつ連続した状態で接続される。
【００１０】
【実施例】
以下、本発明を図示の実施例について説明する。図１乃至図７に示す実施例において、Ａはコンクリート製のトンネル覆工用セグメントで、トンネル軸に平行なセグメント継手面に設けられた切羽方向に延びる溝状の凹部１に、同切羽方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ水平の鋼鉄製の雌金具２と切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ水平の鋼鉄製の雄金具３が装着されている。図２に示される例では、前記雌金具２は鉤形断面部２ａが形成され、雄金具３は同鉤形断面部に係止する係止片３ａが設けられた倒Ｌ形断面に形成され、前記鉤形断面部２ａと係止片３ａによるアンカー部分がトンネル軸に直角方向に構成されている。
【００１１】
図中、４はアンカー筋、５はセグメントＡの切羽に対向する面に設けられたほぞで、通しボルト６の挿通孔が設けられている。７は接合モルタルの注入孔、８は排気孔である。図５及び図６は夫々水平フック継手を２段に配設した場合を示し、図７は水平フック継手を１段に配設した場合を示す。
【００１２】
而して一方のセグメントＡの雌金具２の鉤形断面部に他方のセグメントＡの雄金具３の係止片を切羽方向に亘って係合し、前記注入孔７よりモルタルを注入して同モルタル中に混入した空気を排気孔８より排除して、前記両セグメントＡの継手面にモルタルを充填してセグメントＡを継接する。次に前記した水平フック継手をもつセグメントの組立方法について説明する。
【００１３】
矩形セグメントの場合（３Ａ＋２Ｂ＋Ｋの場合）三つのＡセグメント中のインバートセグメントでは、その二つのセグメント継手面に継手金具ａとして雌金具を配置し、残りの二つのＡセグメントと二つのＢセグメントでは、継手金具ａとして一方のセグメント継手面に雄金具、他方のセグメント継手面に雌金具を配置し、Ｋセグメントでは、その二つのセグメント継手面に雄金具を配置する。
【００１４】
以上のようなセグメントをリング状に組み立てるには、第一にインバートセグメントＡ1 を既設のセグメントリングのインバートの位置のセグメントにあわせて取り付ける。リング継手面にほぞ５があるから、ほぞを嵌合させるだけで位置決めが可能である。また、位置決めができれば、通しボルト６によってセグメントを既設リングのセグメントに固定する。
【００１５】
第二は、インバートセグメントＡ1 に隣接するＡ2 ，Ａ3 セグメントを取り付ける。この場合、雄金具のあるセグメント継手面をインバートセグメントの雌金具のあるセグメント継手面に近づけ、双方の金具が嵌合し始めたらセグメントをトンネル軸方向にスライドさせて押し込む。この操作とセグメントリング継手面のほぞ嵌合とによって必然的に位置決めが可能となる。なお、このときセグメント継手面にもほぞを設けておけば位置決めはより確実になる。位置決めができれば、通しボルト６によってセグメントを既設リングに固定する。
【００１６】
次いでＫセグメントに隣接するＢセグメント（Ａ4 ，Ａ5 ）を左右交互に取り付ける。取付方法は前述の場合と同じである。最後にＫセグメントＡ6 を挿入する。ＫセグメントＡ6 の二つのセグメント継手面には雄金具がついており、ＫセグメントＡ6 が押し込まれることにより、これら雄金具が両側のＢセグメントのＡ4 ，Ａ5 の雌金具に嵌合する。ＫセグメントＡ6 が挿入できれば通しボルト６で既設のセグメントリングと締結してセグメントリングの組立ては完了する。（図８参照）次に等大台形セグメントの場合（台形３＋逆台形３の場合）について述べる三つの台形セグメントでは二つのセグメント継手面に継手金具ａとして雌金具を、三つの逆台形セグメントでは二つのセグメント継手面に継手金具ａとして雄金具を配置する。したがって、セグメントの種類は２種類となる。
【００１７】
組立てにあたっては、第一に台形セグメントの一つＡ1 をインバートセグメントとして既設のセグメントリングに取り付ける。同様に他の二つの台形セグメントＡ2 ，Ａ3 も各々の間に逆台形セグメントＡ4 ，Ａ5 ，Ａ6 を挿入できるように所定の間隔をおいて取り付ける。これらの操作は三つのセグメントについて同時に行うことも可能である。セグメントの取り付けにあたっては、リング継手面にほぞがあるため、これを既設リングのリング継手面のほぞに挿入するだけで位置決めができる。位置決めができれば、通しボルトなどによってセグメントを既設リングに固定する。
【００１８】
逆台形セグメントの取付は、二つのセグメント継手面に雄金具を配置したものであるから、既に取り付け終わった台形セグメントの間に挿入するだけである。なお、リング継手面に配置したほぞは、位置決めを容易かつ確実にする上で有効である。逆台形セグメントの挿入が終われば、通しボルト６で既設セグメントと締結してセグメントリングの組立ては完了する。（図９参照）
【００１９】
【発明の効果】
本発明によれば前記したように、シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行なセグメント継手面に、切羽方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ鋼鉄板製雌金具と、切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ鋼鉄板製雄金具とで構成されるフック継手をもち、セグメントに埋設される前記雌雄各金具のアンカー部分がトンネル軸に直角方向に形成されているので、必要に応じてセグメント幅までアンカー部の幅を拡大できる。従って必要なアンカーを容易に確保することができ、強度の大きいセグメント継手を構成しうるものである。また前記水平フック継手金具をセグメントの厚さ方向に複数段配置することによって、曲げ抵抗力が正負のモーメントに対して同等、且つ強大な継手を形成することができる。
【００２０】
また本発明によれば、セグメント厚さに対する水平フック継手のアンカー部の位置を同じにすることができるので、継手を介しての力の授受が円滑に行なわれ、セグメント継手部に局所的応力が作用せず、合理的継手構造を構成することができる。更にまたセグメント継手面に曲げモーメントが作用する場合、本発明によれば水平フック継手アンカー部の断面がすべて有効に抵抗するものである。
【００２１】
また本発明の水平フック継手をもつセグメントは内面が平滑であるから二次覆工を施さなくても耐久性に富み、かつトンネル内空間の利用度を拡げたトンネル覆工体が得られる。更に内面に金物が露出していないので防錆処理が不要である。更にまた水平フック継手をもつセグメントは、トンネル軸方向からセグメントを挿入するだけで組立可能となり、組立手間、組立時間が短縮され、セグメント組立の自動化や急速施工に有利である。また、前記継手金物は鋼鉄板製のため製作が容易である。
【００２２】
請求項２の発明は、前記雌雄各金具は、一方の金具を鉤形断面に形成し、他方の金具を前記鉤形断面と係合する倒Ｌ形断面に形成し、両金具のアンカー部分がセグメントの厚さ方向に対して同じ位置に位置するようにしたので、各金具のアンカー部分をセグメントの厚さ方向において同じ位置にしたため、相隣るセグメントは正確にしかも強固に所定位置に、接続され、相隣るセグメント間に不陸を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る水平フック継手をもつセグメントの一実施例を示す斜視図である。
【図２】前記セグメントの継手部の一部を欠截して示した斜視図である。
【図３】雄金具の斜視図である。
【図４】雌金具の斜視図でる。
【図５】２段水平フック継手を示す斜視図である。
【図６】２段水平フック継手の他の実施例を示す斜視図である。
【図７】１段フック継手を示す斜視図である。
【図８】矩形セグメントの１リング当りのフック継手の構成を示す説明図である。
【図９】等大台形セグメントの１リング当りの継手の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
Ａ，Ａ1 ，Ａ2 ，Ａ3 ，Ａ4 ，Ａ5 ，Ａ6 …セグメント、ａ…継手金具、１…凹部、２…雌金具、２ａ…鉤形断面部、３…雄金具、３ａ…係止片、４…アンカー筋、５…ほぞ、６…通しボルト、７…注入孔、８…排気孔
Claims (2)
- シールドトンネル覆工用セグメントにおけるトンネル軸に平行なセグメント継手面に、切羽方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ雌金具と、切羽と反対方向に指向して放射状に拡開した嵌合部を持つ雄金具とで構成されるフック継手をもち、前記雌雄各金具が共に鋼鉄板で構成されるとともに、セグメントに埋設される同各金具のアンカー部分がトンネル軸に直角方向に形成されてなることを特徴とする水平フック継手をもつセグメント。
- 前記雌雄各金具は、一方の金具を鉤形断面に形成し、他方の金具を前記鉤形断面と係合する倒Ｌ形断面に形成し、両金具のアンカー部分がセグメントの厚さ方向に対して同じ位置に位置するようにした請求項１記載の水平フック継手をもつセグメント。
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|---|---|---|---|
| JP04058495A JP3539698B2 (ja) | 1995-02-28 | 1995-02-28 | 水平フック継手をもつセグメント |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04058495A JP3539698B2 (ja) | 1995-02-28 | 1995-02-28 | 水平フック継手をもつセグメント |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08232585A JPH08232585A (ja) | 1996-09-10 |
| JP3539698B2 true JP3539698B2 (ja) | 2004-07-07 |
Family
ID=12584555
Family Applications (1)
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| JP04058495A Expired - Lifetime JP3539698B2 (ja) | 1995-02-28 | 1995-02-28 | 水平フック継手をもつセグメント |
Country Status (1)
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN105134252B (zh) * | 2015-09-24 | 2017-07-25 | 济南轨道交通集团有限公司 | 一种盾构隧道管片纵向预应力加固结构及施工方法 |
-
1995
- 1995-02-28 JP JP04058495A patent/JP3539698B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH08232585A (ja) | 1996-09-10 |
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