JP3535731B2 - レーザーダイオードのシミュレーション方法 - Google Patents

レーザーダイオードのシミュレーション方法

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JP3535731B2 JP7728998A JP7728998A JP3535731B2 JP 3535731 B2 JP3535731 B2 JP 3535731B2 JP 7728998 A JP7728998 A JP 7728998A JP 7728998 A JP7728998 A JP 7728998A JP 3535731 B2 JP3535731 B2 JP 3535731B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動電流をレーザ
ー光に変換するレーザーダイオードのシミュレーション
モデルに関する。
【0002】
【従来の技術】図9はレーザーダイオードの使用例の電
子写真システムの概念図である。即ち、図9は中間調画
像を印画可能なLBP及びデジタル複写機の一般的な概
念図である。
【0003】フォトダイオード13は、レーザ光源とし
ての半導体レーザ12が出力するレーザ光量を電流に変
換してモニタリングを行う。光量制御部14はモニタさ
れた光量に基づいて半導体レーザ12への印可電流を制
御し、フォトダイオード13からの出力電流が所定値と
なるように制御する。半導体レーザ12とフォトダイオ
ード13は合体されレーザーチップ11として構成され
るのが一般的である。
【0004】ポリゴンミラー6は、半導体レーザ12か
ら照射されたレーザビームを偏光するためのものであ
り、モータ軸に固定されて図中矢印方向への回転を行
い、感光ドラム10上にレーザービームを走査する。f
−θレンズ7は、偏光されたレーザビームを、感光ドラ
ム10上に線速度一定に集光するものである。BD(Be
amDetect)ミラー8は感光ドラム10と機械的に位置関
係が固定されており、反射レーザビームは受光ダイオー
ド9に入力され、感光ドラム10上の情報書き込み開始
位置を検出するために使用される。受光ダイオード9の
出力は水平同期信号発生回路19に入力されて水平同期
信号HDを発生する。水平同期信号HDは画素変調回路
16と画素変調データ発生源17に供給される。ブラン
キング回路18は、水平同期信号HDに基づいてBDミ
ラー8がレーザビームを検出すべきタイミングで半導体
レーザをオンさせるブランキング信号HBLを発生し画
素変調回路16に供給する。画素変調データ発生源17
より発生する画素変調データDV(一般に8ビット)は
画素変調回路16に供給される。画素変調回路16の出
力信号は半導体レーザ12をドライブ制御するレーザー
ドライバ15に供給される。画素変調回路16では水平
同期信号HDに同期して画素クロックSCKを発生し、
これに基づいて画素変調データDVのタイムベースを補
正する。また、画素クロックSCKと画素変調データD
Vに基づいて高速PWM信号を発生し、レーザー光量を
多段階に制御可能にして中間調画像の印画を可能にす
る。そして、ブランキング信号HBL発生時には半導体
レーザ12を強制的にフル点灯にしてBDミラー8にレ
ーザービームを必ず供給できる様にして水平同期信号H
Dを発生できる様にする。以上の様にレーザーダイオー
ドは電子写真システムにおいてその機能を実現する非常
に重要な素子である。
【0005】次にキーデバイスであるレーザーダイオー
ドについて簡単に説明する。一般的な内部構造はp型ク
ラッド層及びn型クラッド層及びこれらに挟まれた活性
層からなっている。p型クラッド層及びn型クラッド層
は各々はアノード及びカソード端子に接続される。カソ
ード端子に入力される注入電流量によってレーザー光を
出力するものである。しかし実際の動作は、注入電流量
によって直接的に決定されるものでなく活性層内のキャ
リア密度Nと活性層内の光子密度Nphで決定される。
これは次のレート方程式で基本的に示されることは衆知
である。
【0006】
【数1】 N :キャリア密度 Nph:光子密度 J :注入電流密度 D :活性層の厚さ tn :キャリアの寿命 tph:光子の寿命 G(N):レーザー(誘導放出)における変換ゲイン βsp:LED(自然放出)における変換ゲイン 1)式はキャリア密度Nに関するものであり、2)式は
光子密度Nphの時間的変化に関する方程式である。レ
ーザー(誘導放出)動作に遷移する臨界キャリア密度N
th以下のキャリア密度範囲では、1)式及び2)式の誘
導放出項G(N)Nphは存在しない。キャリア密度がN
thを超えると、2)式よりG(N)Nph項が発生し、こ
の光子による正帰還動作によって発生光子量が急速に増
大していく。一方、1)式より同じ誘導放出項G(N)
phによってキャリア密度も急速に減少するため、発生
光子量は無制限に増大しない。以上の様に1)式及び
2)式は、レーザーダイオード動作を非常に良く表現し
た簡潔なモデル式である。
【0007】従来のレーザーダイオード制御回路の開発
は以下のようであった。
【0008】上述の電子写真システムにおいて、光景制
御部14、レーザードライバ15及び画素変調回路16
はレーザーダイオードの発光制御をするものである。そ
して、これらは回路技術者によって集積回路化されて実
用化される。しかし前記理論方程式では、キャリア密度
N及び光子の密度Nphの取り扱いが回路技術者にとって
難しいとともに、注入電流量に対するレーザー発光量が
一義的に決定される過程が理解しずらい。このためLS
I開発において、回路技術者はレーザーダイオードの駆
動電流によってレーザー発光量が決定される過程をブラ
ックボックスとして考えて、駆動電流特性までを考慮し
て開発してきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
レーザーダイオード駆動制御回路の設計方法は以下に示
す課題をもっている。
【0010】第1の課題は以下のとおりである。
【0011】レーザーダイオードには発光遅延及び緩和
振動に代表される基本現象を持ち合わせており、駆動電
流特性までの管理では期待するレーザー発光特性が得ら
れない。高速印画がさらに要求されている電子写真シス
テムは、より高周波数で光量制御する必要があるためこ
の問題は大きくなっている。
【0012】第2の課題は以下のとおりである。
【0013】電子写真システムにおけるレーザーダイオ
ードの動作状態は光量ダイナミックレンジを十分確保す
るため、LED(自然放出)動作からレーザー(誘導放
出)動作に至る非線形かつ複雑な動作を行なう。このた
め、回路技術者が簡単に取り扱えることができ、レーザ
ーダイオードの動作現象を的確に示すシミュレーション
モデルが提言されていなかった。
【0014】本発明の目的は、自然放出動作から誘導放
出動作の非線型遷移過程を、充実に再現するレーザーダ
イオードのシミュレーションモデルを提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のレーザーダイオ
ードのシミュレーション方法は、駆動電流をレーザー光
に変換するレーザーダイオードのシミュレーション方法
において、レーザーダイオードの構成要素であるキャリ
ア的活性層を表わす電流モードの第1の時定数回路と、
レーザーダイオードの構成要素である光子的活性層を表
わす電圧モードの第2の時定数回路と、駆動電流を増幅
し、増幅された駆動電流を第1の時定数回路の端子に供
給する第1の電流増幅回路と、第1の時定数回路の端子
電圧に対して、臨界キャリア密度を代表するしきい値電
圧以下の近傍から関数電圧を発生し、関数電圧を第2の
時定数回路に供給する、レーザーダイオードの誘導放出
を表わす関数電圧発生部と、第2の時定数回路の回路電
流を増幅し、増幅された出力電流を第1の時定数回路の
端子に供給する第2の電流増幅回路とを含むレーザーダ
イオードのシミュレーションモデルを使ってシミュレー
ションを行う
【0016】また、第1の時定数回路の端子電圧を、活
性層のキャリア密度のプローブ端子として設けてもよ
い。
【0017】また、臨界キャリア密度を代表するしきい
値電圧を、第1の時定数回路の端子電圧と、ケース放熱
時定数とで制御する手段を有してもよい。
【0018】従って、発光特性の測定は光プローブなど
特殊かつ高価な測定器を必要とするばかりでなくその測
定は難しいが、本発明のレーザーダイオードモデルを使
用すれば駆動回路が実現されていない状態でも容易にシ
ステムシミュレーションできる。
【0019】特に、バイアス電流をスレッシュ電流以下
にして使用する電子写真システムの使用方法における、
自然放出動作から誘導放出動作の非線型遷移過程を、充
実に再現することによってシミュレーション精度を向上
できる。
【0020】また、臨界キャリア密度を代表するしきい
値電圧を、第1の時定数回路の端子電圧と、ケース放熱
時定数とで制御する手段を有することにより、温度特性
を再現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態である
レーザーダイオードモデルを示す図である。まず、レー
ザーダイオードモデルの構成について説明する。
【0022】カソード端子より入力される駆動電流I
drv は、L1、C1、R1、C2よりなるリード端子モ
デル1を介して、Q1、Q2、R2からなる端子電圧モ
デル2に入力される。端子電圧モデル2の出力電流は第
1の電流増幅回路である理想電流アンプAMP1の入力
を介しアノード端子に接続される。以上がレーザーダイ
オードの電気回路的モデルである。
【0023】AMP1の電流利得G1によって出力電流
がキャリア密度Nのプローブ端子N_probe に供給され
る。キャリア密度端子N_probe には、容量C3、抵抗
R3からなる電流モードの第1の時定数回路からなるキ
ャリア的活性層モデル3が接続されている。
【0024】抵抗R3を流れる電流は理想電流−電圧ア
ンプAMP2に入力され変換利得G2によって電圧を出
力し電圧加算回路ADD1に入力される。AMP2は自
然放出モデルである。
【0025】さらに端子N_probe は理想電圧アンプA
MP4の正極入力に入力され、AMP4の負極入力には
臨界キャリア密度を示すしきい値電圧Nthに係数k倍の
電圧が入力されている。AMP4の電圧利得G4により
決定される出力電圧は理想リミッタ回路LIM2に入力
され、その上限値及び下限値はVmax2及びVmin2に制限
される。LIM2の出力電圧は抵抗R4に入力され、電
圧制御型抵抗R5との間で減衰されてADD1に入力さ
れる。加えて端子N_probe は理想電圧アンプAMP3
の正極入力に入力され、負極入力には電圧Nthが入力さ
れている。AMP3の電圧利得G3による出力電圧は、
理想リミッタ回路LIM1に入力され、上限値及び下限
値をVmax1及びVmin1に制限する。LIM1の出力電圧
はexp関数アンプAMP5によって指数関数的に増幅
され、その出力電圧はR5の抵抗値を制御する。AMP
3、AMP4、LIM1、LIM2、AMP5、R4、
R5からなる構成が、第1の時定数回路の端子電圧に対
して、臨界キャリア密度を代表するしきい値電圧Nth
下の近傍から関数電圧を発生し、その関数電圧を第2の
時定数回路に供給する、関数電圧発生部である、誘導放
出モデル4である。
【0026】ADD1の出力電圧はインダクタL2と抵
抗R6からなる電圧モードの第2の時定数回路からなる
光子的活性層モデル5に供給される。
【0027】光子的活性層モデル5を流れる電流は第2
の電流増幅回路である理想電流アンプAMP6に入力さ
れ、電流ゲインG6による出力電流は端子N_probe
供給される。AMP6は光子−キャリアの負帰還モデル
である。
【0028】さらに光子的活性層モデル5を流れる電流
は電流−電圧アンプAMP7に入力され、電流−電圧変
換利得G7によって光出力端子Pout に電圧出力する。
【0029】次に、レーザーダイオードモデルの動作と
設計について説明する。
【0030】本発明の骨子ではない電気回路的モデル部
は容易に理解できるので説明に及ばない。図1の動作を
わかりやすく説明するために、前述のレート方程式を変
形して以下の様に発生(供給)側と消滅(消費)側に分
けて整理しておくと本発明を理解しやすい。
【0031】
【数2】 レート方程式を考慮する上で回路技術者がまず理解しな
ければならないのは、キャリア寿命tn 及び光子の寿命
phである。キャリアの寿命tn について注入電流及び
誘導放出が無い場合を考える。この時1)式は次の様に
表せる。
【0032】
【数3】 上式を変形すると、
【0033】
【数4】 上式を積分すると、 t=−tnloge(N)+to(toは定数)さらに整理
すると、
【0034】
【数5】 つまり、活性層内にある時存在したキャリアは指数関数
的に減少し、キャリアの寿命に相当する時間tn 経過後
にp型クラッド層において再結合し、1/eにキャリア
密度が減少することを意味する。再結合時のエネルギー
差は発生する光子エネルギーや熱エネルギーに変換され
る。
【0035】まったく同様に、2)式から活性層内にあ
る時存在した光子は指数関数的に減少し、光子の寿命に
相当する時間tph経過後、1/eに光子密度が減少する
ことを意味する。この現象は活性層の端面に位置する光
放出口から発生光子が外界に放出される過程を示す。さ
らに説明をわかり易くするため、電子写真システムに一
般的に使用される5mW級レーザーダイオードを例にし
てモデル設計を行いながら動作を説明する。
【0036】使用されるレーザーダイオードの例を以下
に示す。
【0037】 レーザー発光量:3mW(Idrv =30mA) スレッシュ電流Ith=20mA スロープ効率:0.3mW/mA まず、スレッシュ電流Ithの正規化を行なう。
【0038】スレッシュ電流Ithは個々のレーザーダイ
オードで異なるので、モデル設計を容易にするため、A
MP1電流利得G1によって正規化スレッシュ電流Ith
_nに変換して例えば下記の様に定義する。
【0039】Ith_n =20mA G1=1 3)式における注入キャリア項J/DqをAMP1の出
力電流として、活性層内のキャリア密度Nを端子電圧で
表す端子N_probe に供給する。
【0040】次に、臨界キャリア密度Nthの正規化を行
なう。
【0041】キャリア密度Nの定量値は、測定不能なた
め回路技術者には確定できない。このため、臨界キャリ
ア密度Nthをシミュレーション環境も考慮して正規化し
て以下のように定義しておく。
【0042】Nth=1v臨界キャリア密度Nthを正規化
するに際しての留意することは、集積回路の常用されて
いるSPICEを基本とするシミュレーション環境を考
慮しておくことである。SPICEは収束演算を基本と
しており、通常は収束条件を1μV程度にしており、こ
れより十分大きな電圧で動作するように設計しておかな
いと演算誤差が生ずる。また、収束条件を他の回路ブロ
ックに対して不要なほど小さくすることはシミュレーシ
ョン時間の点から望ましく無いことは明確である。
【0043】次に、キャリア的活性層モデルを決定す
る。
【0044】3)式におけるdN/dt+N/tn は、
キャリアからみた物理的活性層を示す。キャリアの寿命
n が含まれるが時定数と考えられ、図1におけるキャ
リア的活性層モデル3の様に容量C3と抵抗R3からな
る時定数tn の電流モードの時定数回路で表すことがで
きる。キャリアの寿命を例えばとtn =2.5nsとする
と、 tn =R3・C3=2.5ns また、Nth=1vと定義したので Nth=R3・Ith_n =1v 以上より R3=50Ω C3=50pF と決定される。
【0045】次に、光子的活性層モデルを決定する。
【0046】4)式におけるdNph/dt+Nph/tph
は、光子からみた物理的活性層を示す。光子の寿命tph
が含まれるが時定数と考えられ、図1における光子的活
性層モデル5の様にインダクタL2と抵抗R6からなる
時定数tphの電圧モードの時定数回路で表すことができ
る。発光量はL2及びR6を流れる電流が表すことにな
る。例えば光子の寿命をtph=200psとすると、 tph=L2/R6=200ps また発光量が3mWの時、光励起エネルギーを示す加算
器ADD1の出力電圧を3vと仮定し、この時のL2及
びR6を流れる電流値を3mAとすると、 R6=1kΩ L2=0.2μH R6及びL2は容易に決定できる。
【0047】次に、光励起エネルギーの自然放出モデル
を決定する。
【0048】4)式におけるβsp(N/tn )は、自然
放出項である。自然放出における光励起エネルギーはキ
ャリア的活性層モデル3における抵抗R3を流れる電流
をAMP2によって電圧に変換してADD1を介して光
子的活性層モデル5に供給することで表す。例えばスレ
ッシュ電流Ith_n における発光量を20μWとすると
AMP2の出力電圧を20mVにすれば良い。したがっ
てAMP2の電流−電圧変換利得G2は、 G2=1 と決定される。電流−電圧変換利得G2は自然放出ゲイ
ンβspを規定する。
【0049】次に、光励起エネルギーの誘導放出モデル
を決定する。
【0050】4)式のG(N)Nph項は誘導放出項であ
る。誘導放出における光励起エネルギーは図1に示す誘
導放出モデル4により発生した電圧により示し、ADD
1において自然放出における光励起エネルギーと加算さ
れて光子的活性層モデル5に供給される。以上は4)式
の左辺を表したことになる。
【0051】誘導放出のトリガはあくまでもキャリア密
度Nであるので誘導放出モデルの入力信号は図1に示す
様に端子N_probe である。端子N_probe はAMP4
の正極入力に入力され負極入力には臨界キャリア密度の
係数電圧kNthが入力されている。誘導放出動作は物理
現象であるので臨界キャリア密度Nthでデジタル的に発
生するわけでなく、Nth未満の近傍から徐々に発生して
いる。従って係数kは、k<1にする必要がある。例え
ば、k=0.9とする。AMP4の出力電圧Vo4は以
下のように示される。
【0052】 Vo4=G4(N−kNth) 5) Vo4は光励起エネルギーの元となるものであるが、
5)式では実際にはあり得ない負の値を持つ場合があ
る。これを避けるため、リミッタ回路LIM2を介し、
最小値を0にした出力電圧Vo4’を出力する。そして
抵抗R4と抵抗R5からなる減衰器に入力し、誘導放出
における光励起エネルギーを表す電圧V_laser を出力
する。
【0053】 V_laser =Vo4’・R5/(R4+R5) 6) 一方、端子N_probe はAMP3の正極入力にも入力さ
れ、負極入力には電圧Nthが入力されている。AMP
3の出力電圧Vo3は、 Vo3=G3(N−Nth) 7) Vo3を指数アンプAMP5に入力するのであるが、シ
ミュレーション上、指数演算には制限があるのでVo3
の値にリミッタ回路で制限を加えてVo3’を出力す
る。例えばリミッタ値は±20である。AMP5の出力
電圧Vo5は、 Vo5=exp(Vo3’) 8) 出力電圧Vo5は電圧制御型抵抗R5に入力され、この
抵抗値R5を次の9)式に示される様に制御する。
【0054】 R5=α×Vo5 9) αは定数であり、ここではα=1(Vo5=1vの時、
R5=1Ω)とする。誘導放出における光励起エネルギ
ーは5)式〜8)式で表し、G3、G4、R4の値でそ
の特性を決定する。この特性を決定する前に、誘導放出
時におけるキャリア密度Nの状態を考える必要がある。
レート方程式ではキャリア密度がNthに到達すると発生
光子量Nphが同数のキャリアを消滅するキャリアに対す
る完全帰還動作を表しているので、誘導放出動作ではキ
ャリア密度は発光量に関係なくNthに平衡すると考えら
れる。しかし実際の物理現象において完全帰還動作が行
われるとは考えづらい。そこで例えば、3mWの発光量
に対してキャリア密度がNthに対して1%上昇すると仮
定する。
【0055】つまり発光量Pwに対して、キャリア密度
Nを誘導放出時、次の様に考える。 N=(1+0.01(Pw/3mW))Nth 10) 次にG3=500及びG4=300の時、駆動電流I
drv が20mA、30mAの各々の状態の時の各部の状
態を図2に示す。
【0056】Idrv =30mAの時、発光量Pw=3m
Wであるので、光励起エネルギーに相当する電圧3vを
出力すれば良い。したがって、R4=1.484kΩと
決定する。Idrv =20mAの時、光励起エネルギーは
20mV程度の微小電圧を出力し20μW程度の微小光
量を発生する。
【0057】以上は、レート方程式からなる理論を仮定
によって崩すものではないことを意味する。
【0058】次に、光子−キャリア負帰還モデルを決定
する。
【0059】3)式におけるG(N)Nph項は、発生光
子がキャリアを消滅させることを表す。L2及びR6を
流れる電流が発光量Pwを表すので、これをAMP6に
入力し、電流利得G6によって変換された出力電流は端
子N_probe に供給されキャリア密度Nに相当する端子
電圧を減少させる。電流利得G6が光子−キャリア負帰
還特性を決定する。言い換えると端子N_probe の発光
量Pwに対する電圧特性を決定する。
【0060】Idrv =30mAの時、キャリア密度Nは
1.01Nthなのでキャリア的活性層モデル3における
抵抗R3を流れる電流は20.2mAである。したがっ
てAMP6の出力電流は9.8mAであればよい。この
時、入力電流は3mAなのでG5=3.2667と容易
に決定できる。誘導放出においてキャリア密度Nを光量
に対して微小に変動させたが、これはシミュレーション
における収束性をも考慮したものであるので、キャリア
密度Nの変動量に対して規定するものではない。
【0061】以上の説明でわかるように、本発明のレー
ザーダイオードモデルが理論方程式を回路的表現で忠実
に表現していることがわかる。図3は、図1のレーザー
ダイオードモデルの素子図であり、実際には確認不能な
キャリア密度Nのプローブ端子を備えている。本実施の
形態では、キャリア的活性層モデル3及び光子的活性層
モデル5を、各々電流モードの時定数回路及び電圧モー
ドの時定数回路で表現したが、使用モードに限定は無い
ことは明確であるとともに、回路技術者であれば容易に
構成を変更し設計できる。
【0062】次に、レーザーダイオードモデルによるシ
ミュレーション結果を示す。
【0063】図4は、駆動電流Idrv に対する発光量P
wを示す直流的特性である。レーザー温度Ta=nor
mal、Nth=1.0のラベルがついたものであり、発
光量Pwの絶対値を正確に再現しているとともに、発光
特性の直線性も実際に即して再現している。
【0064】図5は、図4のスレッシュ電流Ithの近傍
を拡大したものであり、自然放出動作から誘導放出動作
の非線型な遷移過程を実際に即して連続的に再現してい
ることがわかる。
【0065】図6は、駆動電流Idrv に対するキャリア
密度Nを示す直流的特性である。レーザー温度Ta=n
ormal、Nth=1.0のラベルがっいたものであ
り、誘導放出範囲におけるキャリア密度の平衡状態から
理論方程式の意味するところを再現していることが理解
される。
【0066】図7及び図8は、駆動電流Idrv を時刻t
=0から立ち上がる最大電流Imax=30mAのパルス
電流とし、加えてバイアス電流Ibiasを図に示す様に変
化させた時の特性を示すものである。図7からレーザー
ダイオードの基本的な動作現象であるキャリアの寿命t
n と密接な関係にある発光遅延と、主に光子の寿命tph
で振動周期が決まる緩和振動が再現される。そしてキャ
リア密度Nの特性を示す図8の結果を合わせて確認でき
ることによって容易に理解できる。
【0067】図4及び図5において、レーザー温度Ta
=high、Nth=1.2及びTa=low、Nth
0.8のラベルのついた特性は図1のレーザーダイオー
ドモデルにおける臨界キャリア密度Nthを変化させたと
きの特性を示す。レーザーダイオードの発光特性におい
て温度上昇とともにスレッシュ電流Ithが増加し特性が
右にスライドする現象を非常に簡単に表現したことにな
る。また温度によって臨界キャリア密度Nthが変化する
ことは物性上も推測できる。しかし、このことは図1が
さらに優れたレーザーダイオードモデルへと容易に発展
できることを予測できるものである。実際のレーザーダ
イオードでは、ある時点での発光量Pwは同一の駆動電
流でも異なることがある。つまりこれは、それ以前の発
光状態(駆動状態)によってレーザーダイオードの発熱
状態が異なることから引き起こされ、ドループ現象と呼
ばれている。
【0068】このドループ現象はレーザーダイオードが
収まるケースの放熱特性で異なる。例えば過去に消灯状
態のレーザーダイオードを点灯開始すると、発光量は点
灯開始点からある時定数曲線を描いてある値に漸近して
減衰していく。これはレーザーダイオードが電流(キャ
リア)注入によって徐々に暖められ、ケース放熱特性
(ケース放熱時定数)で決定される熱平衡状態に至る過
程を示している。また過去に点灯状態のレーザーダイオ
ードを所定時間消灯後に再び点灯開始すると、消灯以前
の発光量より消灯後の発光量の方が大きくなり、この差
は消灯時間が長いほど大きくなる。これは消灯期間中に
ケース放熱特性によってレーザーダイオードが冷やされ
ていくためである。以上の簡単な点灯及び消灯実験によ
って駆動状態に応じた発熱及び放熱特性を知ることがで
きる。そしてこの現象は、臨界キャリア密度Nthを点灯
時には注入電流の累算値、消灯時には消灯期間を使っ
て、実際の発光特性を示す様に関数化して、各々上昇及
び下降させることによって容易にモデル化できる。
【0069】このドループ現象は一般に数十μs程度で
平衡状態に達する。レーザーダイオードのケース放熱時
定数と活性層内のキャリア密度Nに関係すること(臨界
キャリア密度Nth以上のキャリアを誘起する注入キャリ
アは光エネルギーに変換される)を考慮すれば、図1の
レーザーダイオードモデルはこの現象を容易に再現でき
る。またパルス電流における駆動において、しばしば発
光起動タイミングで数nsの範囲でおこる発光オーバー
シュートが見かけられる。これは活性層内の非常に微視
的な発熱と推測でき、これも実際の特性から容易にモデ
ル化できる。
【0070】従って、臨界キャリア密度Nthを代表する
しきい値電圧を、キャリア密度Nを表わす第1の時定数
回路の端子電圧と、ケース放熱時定数とで制御するモデ
ル化が可能となる。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように本発明には、以下の
効果がある。
【0072】発光特性の測定は光プローブなど特殊かつ
高価な測定器を必要とするばかりでなくその測定は難し
いが、本発明のレーザーダイオードモデルを使用すれば
駆動回路が実現されていない状態でも容易にシステムシ
ミュレーションできる。
【0073】特に、バイアス電流をスレッシュ電流以下
にして使用する電子写真システムの使用方法における、
自然放出動作から誘導放出動作の非線型遷移過程を、充
実に再現することによってシミュレーション精度を向上
できる。
【0074】また、理論式の意味する物理現象を忠実に
再現しているため、過渡的温度特性も容易にモデル化で
きるなど拡張性を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であるレーザーダイオード
モデルを示す図である。
【図2】G3=500及びG4=300の時、駆動電流
drv が20mA、30mAの各々の状態の時の各部の
状態を示す図である。
【図3】レーザーダイオードモデルの素子図である。
【図4】図1を説明する駆動電流−発光量の直流的特性
を示す図である。
【図5】図4のスレッシュ電流Ithの近傍を拡大した図
である。
【図6】図1を説明する駆動電流−キャリア密度の直流
的特性を示す図である。
【図7】図1を説明するレーザー発光の過渡特性を示す
図である。
【図8】図1を説明するキャリア密度の過渡特性を示す
図である。
【図9】レーザーダイオードの使用例の電子写真システ
ムの概念図である。
【符号の説明】
1 リード端子モデル 2 端子電圧モデル 3 キャリア的活性層モデル 4 誘導放出モデル 5 光子的活性層モデル 6 ポリゴンミラー 7 f−θレンズ 8 BDミラー 9 受光ダイオード 10 感光ドラム 11 レーザーチップ 12 半導体レーザ 13 フォトダイオード 14 光量制御部 15 レーザードライバ 16 画素変調回路 17 画素変調データ発生源 18 ブランキング回路 19 水平同期信号発生回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−121068(JP,A) 特開 平10−79552(JP,A) 特開 平10−4242(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 G06F 17/50

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動電流をレーザー光に変換するレーザ
    ーダイオードのシミュレーション方法において、 レーザーダイオードの構成要素であるキャリア的活性層
    を表わす電流モードの第1の時定数回路と、 レーザーダイオードの構成要素である光子的活性層を表
    わす電圧モードの第2の時定数回路と、 前記駆動電流を増幅し、該増幅された駆動電流を前記第
    1の時定数回路の端子に供給する第1の電流増幅回路
    と、 前記第1の時定数回路の端子電圧に対して、臨界キャリ
    ア密度を代表するしきい値電圧以下の近傍から関数電圧
    を発生し、該関数電圧を前記第2の時定数回路に供給す
    る、レーザーダイオードの誘導放出を表わす関数電圧発
    生部と、 前記第2の時定数回路の回路電流を増幅し、該増幅され
    た出力電流を前記第1の時定数回路の端子に供給する第
    2の電流増幅回路とを含むレーザーダイオードのシミュ
    レーションモデルを使ってシミュレーションを行うこと
    を特徴とするレーザーダイオードのシミュレーション
  2. 【請求項2】 前記第1の時定数回路の端子電圧を、活
    性層のキャリア密度のプローブ端子として設けた請求項
    1に記載のレーザーダイオードのシミュレーション
  3. 【請求項3】 前記臨界キャリア密度を代表するしきい
    値電圧を、前記第1の時定数回路の端子電圧と、ケース
    放熱時定数とで制御する手段を有する請求項1に記載の
    レーザーダイオードのシミュレーション方法
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