JP3534193B2 - クッション構造体及びその製造法 - Google Patents

クッション構造体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蒸れ感が少なく、クッシ
ョン性、耐へたり性に優れた複雑な形状に成型可能な特
に車輌用座席、家具などに好適な繊維製クッション材に
関する。
【0002】
【従来の技術】車輌用座席、家具などのクッション材と
してポリウレタンフォームが多く使われている。ポリウ
レタンフォームはクッション性、耐へたり性に優れ安価
で、また、モールド加工などにより、複雑な形状に成型
することも容易である。しかしながら廃棄する場合、焼
却すると有毒ガスを多く発生し、これを除去しながら処
分する必要があり、焼却コストが高くなるため、埋立て
処分されることが多い。しかし埋立て処分するにしても
非常に嵩高であり、自然分解しないなど多くの問題があ
る。
【0003】近年、上記問題を解決するため、リサイク
ルの容易なポリエステル繊維をポリエステル系熱接着繊
維で接着固定したいわゆる固綿をクッション材に使用す
ることが提案されている。このようなポリエステル繊維
のみで製造された固綿はリサイクルが容易であり、通気
性、透湿性に富むため蒸れ感が少なくなるなどの長所も
あるものの、長期間使用によるへたりが大きく、また複
雑な形状に成型する事が難かしいため、車輌用座席、家
具などのクッション材として使用に至っていないのが実
情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来の問
題点を解決し、ポリエステル系繊維100%のクッショ
ン材で、複雑な形状に成型可能で、蒸れ感が少なく、ク
ッション性、耐へたり性に優れた特に車輌用座席、家具
などに好適な繊維製クッション材を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち本発明は、立体捲縮を有するポリエステル
繊維と熱接着性繊維が混合され部分的に接着固定された
繊維構造体の小片塊の集合構造体であり、該小片塊は相
互に部分的に接着固定されており、相互の小片塊によっ
て成形される空隙が集合体全容積に対して40%以下で
あり、集合構造体の見掛密度が0.01〜0.1g/c
3 であることを特徴とするクッション構造体および立
体捲縮を有するポリエステル繊維と熱接着繊維を混合分
散した繊維集合体を圧縮しながら熱接着繊維が溶融する
温度以上に加熱し、次いで冷却して得られた圧縮成形構
造体を小片塊に切断し、次いで該小片塊を所定の形状の
型枠内に相互の小片塊が形成する空隙が全容積の40%
以下および見掛密度が0.01〜0.1g/cm3 とな
るように集積し、熱接着繊維が溶融する温度以上に加熱
し、次いで冷却して隣接する小片塊を相互に部分的に接
着固定することを特徴とするクッション構造体の製造法
である。
【0006】本発明に用いられる立体捲縮を有するポリ
エステル繊維は非対称冷却法や複合紡糸法などの方法で
得られる。断面形状は中実、中空、異形など特に限定す
るものではないが、弾発性、クッション性の面から中空
又は異形中空が好ましい。繊度については、やはり、弾
発性クッション性の面から6デニール以上が好ましい繊
維長については後に繊維構造体を小片に切断するため特
に限定するものでなく、熱接着繊維との混合分散を阻害
しない範囲およびカード法、エアレイ法など繊維集合体
の成形を阻害しない範囲で選定すれば良い。このポリエ
ステル繊維が立体捲縮を有しない場合、クッション材の
弾発性、クッション性が著しく劣り、またへたりが大き
くなるので好ましくない。
【0007】本発明に用いられる熱接着繊維は上記立体
捲縮を有するポリエステル繊維より融点の低い熱可塑性
重合体を熱接着成分とした通常の複合紡糸法により得ら
れるが、リサイクルが容易である点からポリエステル系
成分のみの組み合わせで構成されるのが好ましい。すな
わち、クッション材の全素材がポリエステル系繊維で構
成される場合は、メタノール分解等の方法でモノマーに
分解して回収が容易になるためである。熱接着成分とし
ては非エラストマー系、エラストマー系のポリエステル
が知られているが、エラストマー系の方が耐へたり性が
向上するので好ましい。ポリエステルエラストマーとは
ポリエステルポリエーテルエラストマーでハードセグメ
ントとソフトセグメントがブロック共重合されたゴム弾
性を示すポリエステルである。
【0008】上記の立体捲縮を有するポリエステル繊維
と熱接着繊維を混合分散した繊維集合体の製造方法は通
常の方法で実施される。すなわち、カード法やエアレイ
法などて製造したウエブを積層することにより、あるい
は吹き込み法などで製造することができる。該繊維集合
体を1対のコンベヤなどで圧縮しながら熱風またはスチ
ームなどで熱接着成分の融点以上に加熱し、次いで冷却
することによって、立体捲縮を有するポリエステル繊維
が部分的に熱接着繊維で接着固定された繊維構造体を製
造することができる。
【0009】該繊維構造体は平板状のブロック形状で製
造されることが多く、多少の成型性は有しているものの
車輌用座席などの複雑な形状のクッション材に成型する
ことは不可能である。また上記方法で製造した繊維構造
体は繊維の配列が平面状であり、3次元方向にランダム
な繊維配列の構造体を製造することは不可能である。そ
のため荷重に対しその分散が不均一になり、一部分に荷
重が集中しやすく接着点の変形、破壊を生じ、残留歪の
増大およびクッション性、硬さの低下などのへたりが大
きくなり、長期間の使用に耐えることは困難である。
【0010】そこで本発明は該繊維構造体を小片塊に切
断し、所定の型枠にランダムに充填する手段をとる。小
片塊の形状は特に限定するものではないが最長外寸法は
4cm以下とすることが好ましい。小片塊の最長外寸法
が4cmを越えると部分的に小片塊が形成する空隙率の
バラツキが発生し、クッション性が著しく低下する。一
方、小片塊の最長外寸法が1cm未満であると、切断に
多大の労力が必要であり、特に好ましくは1〜3cmの
範囲とする事が好ましい。
【0011】型枠内への該小片塊の充填は空気流やベル
トコンベヤなどにより実施される。従って複雑な形状の
型枠へも充填可能であり、必要により、充填後に型枠を
部分的に圧縮する事により最終の形状にされる。型枠内
に充填された繊維構造体の小片塊の集合体を再度熱やス
チームにより、熱接着繊維の融点以上に加熱し、次いで
冷却する事により、該小片塊相互の熱接着繊維が隣接し
た小片塊の繊維と部分的に接着固定し、1体構造の成型
クッション材となる。熱接着繊維の割合が15重量%未
満であると、この時の接着点が少なくなり、クッション
材としての保型性が悪く型崩れしやすい。また熱接着繊
維の割合が50重量%を越えると、保型性には優れるも
のの、立体捲縮を有するポリエステル繊維の割合が減少
することにより、弾発性、クッション性が悪くなり、ク
ッション材としては好ましくない。
【0012】このようにして製造されるクッション材の
見掛密度は0.01〜0.1g/cm3 であり、また小
片塊間の空隙率が40%以下とすることが必要である。
見掛密度が0.01g/cm3 未満および0.1g/c
3 を越えると必要なクッション性を得ることができな
い。また小片塊間の空隙率が40%を越えると小片塊間
の接着点が少なくなり、保型性が悪くなるとともに荷重
の分散が不充分になり、型崩れやへたりが生じやすくな
る。
【0013】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するなお本発
明の評価に用いた特性値の測定は、次のように行った。
【0014】(見掛け密度)クッション材から任意の部
分を切り取り、その重量及び見掛体積から算出した。
【0015】(小片塊間空隙率)成型クッション材の見
掛け密度(A)および成型クッション材の各所から切り
取った繊維構造体小片塊20個の平均見掛け密度(B)
から算出した。即ち、 小片塊間空隙率=(1−A/B)×100
【0016】(硬さ)JIS K6401に基づき31
4cm2 の圧縮板で初期厚みの1/4、圧縮するのに必
要な荷重を測定した。
【0017】(繰返し圧縮試験)JIS K6401に
基づき初期厚みの1/2に1HZで8万回繰返し圧縮し
た時の厚みおよび硬さの減少率をそれぞれ圧縮残留歪、
硬さ低下率とした。
【0018】(通気性)試料の厚みを5cmにし、JI
S・L1096A法に準拠して測定した。
【0019】(座り心地)5人のパネラーが実際に座っ
た時の感覚を総合評価した。即ち、 ◎:クッション性が優れている。 ○:クッション性が普通(ウレタンフォームと同等) △:クッション性がやや劣る ×:クッション材としては不適格
【0020】実施例1〜4 繊度13デニール繊維長64mmの非対称冷却法で紡糸
した中空丸断面の立体捲縮(捲縮数10、捲縮率25)
を有するポリエチレンテレフタレート繊維(a)と芯部
にポリエチレンテレフタレート、鞘部に酸成分としてテ
レフタレート酸とイソフタル酸を配合し、グリコール成
分としてエチレングリコールを用いて縮重させた軟化点
160℃のポリエステルの繊度4デニール繊維長51m
mの複合繊維(b)とを表1に示す熱接着繊維混率:重
量%で混合分散し、カード、クロスレイヤーにて積層し
た繊維集合体を得た。
【0021】該繊維集合体を圧縮しながら190℃の熱
風を3分間、次いで室温の空気を2分間貫通させ、
(a)と(b)及び(b)と(b)の繊維の交絡点を接
着固定させた繊維構造体を作製し、さらに該繊維構造体
を1片が1.5〜2.5cmの立方体に切断して、見掛
密度0.025g/cm2 の繊維集合体の小片塊を得
た。該小片塊を50×50×30cmのパンチング板で
つくられた立方形の型枠にランダムに集積し、見掛密度
が0.03〜0.05g/cm3 となる様に厚さ方向に
圧縮して、190℃の熱風を3分間、次いで室温の空気
を2分間貫通させて1本化した繊維構造物を得た。得ら
れた繊維構造物特性を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】比較例1 実施例1と同様にして繊維集合体を作製し、さらに同様
の方法で熱風、室温の空気を順次貫通させて見掛密度
0.04g/cm3 の繊維構造体を得た。該繊維構造体
を小片塊に切断しないで実施例1と同様に特性を測定
し、その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】比較例2〜3 熱接着繊維の混合比率を表1、2のようにした以外は実
施例1と同一の方法で繊維構造物を得た。得られた繊維
構造物の特性を表2に示す。
【0026】比較例4 繊維構造体の1片が4cmの立方体とした以外は実施例
2と同一の方法で繊維構造物を得た。得られた繊維構造
物の特性を表2に示す。
【0027】実施例5 熱接着複合繊維(b)の鞘部を酸成分としてテレフタル
酸、グリコール成分としてブタンジオールを縮合させ、
次いでポリテトラメチレングリコールをブロック共重合
させた融点が160℃のポリエステルエラトマーとした
以外は実施例1と同一の方法で繊維構造物を得た。得ら
れた繊維構造物の特性を表1に示す。
【0028】
【発明の効果】本発明は小片塊に切断した繊維構造体を
使用するため自動車シートのクッション材など複雑な形
状の型枠に充填可能であり、成型性に優れているととも
に通気性、透湿性に富み、蒸れ感が少なく、まだ全体で
見ると繊維がランダム方向に集合し、個々の繊維構造体
小片塊間の荷重分散性が良く、クッション性良好な、へ
たり難いクッション材が得られる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B68G 1/00 - 15/00 D04H 1/00 - 18/00 D03D 1/00 - 27/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 立体捲縮を有するポリエステル繊維と熱
    接着性繊維が混合され部分的に接着固定された繊維構造
    体の小片塊の集合構造体であり、該小片塊は相互に部分
    的に接着固定されており、相互の小片塊によって形成さ
    れる空隙が集合構造体全容積に対して40%以下であ
    り、集合構造体の見掛密度が0.01〜0.1g/cm
    3 であることを特徴とするクッション構造体。
  2. 【請求項2】 立体捲縮を有するポリエステル繊維と熱
    接着性繊維を混合分散した繊維集合体を圧縮しながら、
    熱接着繊維が溶融する温度以上に加熱し、次いで冷却し
    て得られた圧縮成形構造体を小片塊に切断し、次いで該
    小片塊を所定の形状の型枠内に相互の小片塊が形成する
    空隙が全容積の40%以下および見掛密度が0.01〜
    0.1g/cm3 となるように集積し、熱接着繊維が溶
    融する温度以上に加熱し、次いで冷却して隣接する小片
    塊を相互に部分的に接着固定することを特徴とするクッ
    ション構造体の製造法。
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AU2005100A (en) * 1999-02-09 2000-08-29 Kanebo Gohsen Limited Non-woven fabric structure and method for producing the same
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