JP2553272B2 - クッション構造体およびその製造方法 - Google Patents

クッション構造体およびその製造方法

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JP2553272B2
JP2553272B2 JP3351851A JP35185191A JP2553272B2 JP 2553272 B2 JP2553272 B2 JP 2553272B2 JP 3351851 A JP3351851 A JP 3351851A JP 35185191 A JP35185191 A JP 35185191A JP 2553272 B2 JP2553272 B2 JP 2553272B2
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信男 高橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性複合繊維による熱
固着点を散在させた新規クッション構造体並びにその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家具、ベッドなどに用いられるクッショ
ン構造体の分野においては、発泡ウレタンフォーム、非
弾性ポリエステル系捲縮短繊維詰綿、ポリエステル系捲
縮短繊維を接着した樹脂綿や固綿などが使用されてい
る。
【0003】しかしながら、発泡ウレタンフォームは、
その製造中に使用される薬品等の取り扱いが難しく、か
つフロンを排出するという問題がある。また、得られた
発泡ウレタンフォームの圧縮特性は圧縮初期が硬く、そ
の後急に沈み込むという独特の特性を示すために、クッ
ション性に乏しいばかりか、底突き感が大きいという欠
点がある。しかも、該フォームは通気性に乏しいので蒸
れやすく、クッション構造体として好まれないことが多
い。さらに、ウレタンフォームは軟らかく、かつ発泡し
ているために、圧縮に対する反撥力に乏しいという欠点
がある。反撥力を上げるためには、ウレタンフォームの
密度を高くすればよいわけであるが、この場合は重量が
増え、かつ通気性がさらに悪化するという致命的欠陥が
生じる。次に、非弾性ポリエステル系短繊維詰綿におい
ては、集合体構造が固定されていないため、使用中に形
が崩れ易く、構成短繊維が移動したり、該短繊維の捲縮
がへたったりして嵩性や反撥性が大きく低下するという
欠点がある。
【0004】一方、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集
合体を樹脂(例えばアクリル酸エステルポリマー)や、
マトリックス短繊維を構成するポリマーの融点よりも低
い融点を有するポリマーで構成されるバインダー繊維
(特開昭58―31150号公報)で固着した樹脂綿や
固綿などでは、固着力が弱く、ポリマー皮膜の伸度が小
さく、かつ伸張に対する回復性が低いために固着点の耐
久性が低く、使用中に固着点に変形を受けると破壊され
たり、変形に対して回復が悪く、その結果形態安定性や
反撥性が大巾に低下する。また、固着点は伸度が小さい
ポリマーで固く、モービリティがないため、クッション
性に乏しいものしか得られない。クッション性を高める
ための一手段として、特開昭62―102712号公報
には、ポリエステル系捲縮短繊維の交叉部を発泡ウレタ
ンのバインダーで固着したクッション構造体が提案され
ている。しかし、ここでは溶液型の架橋性ウレタンを含
浸しているので、加工斑が発生し易く、そのため処理液
の取扱いが煩雑である、ウレタンとポリエステル繊維と
の接着性が低い、バインダーが架橋されるため伸度が低
くなり、かつ樹脂部が発泡しているため変形が部分的に
集中しやすいので、繊維交叉部の発泡ウレタンが大変形
したときに破壊されやすい、耐久性が低いなどといった
問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に短繊維
同士の交叉点における固着状態が著しく安定化され、そ
れによりクッション性、および圧縮反撥性、圧縮耐久性
並びに圧縮回復性の改善された、新規なクッション構造
体を提供しようとするものである。さらに、本発明は、
加工斑が発生しない、より簡便な方法で、上記のクッシ
ョン構造体を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による新規なクッ
ション構造体は、密度が0.005〜0.10g/c
m3 、厚さが5mm以上であるクッション構造体におい
て、非弾性ポリエステルポリマーの融点より40℃以上
低い融点を有する熱可塑性エラストマーと、非弾性ポリ
エステルからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出し
た弾性複合繊維(コンジュゲート・ステープルファイバ
ー)よりなり、その際該クッション構造体中には、
(A)該弾性複合繊維同士が交叉した状態で互いに熱融
着により形成されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着
点、が散在し、かつ、隣り合う可撓性熱固着点の間
(A)―(A)間、に存在する弾性複合繊維群にあっ
て、一部の複合繊維には長手方向に沿って少なくとも1
ケの紡錘状の節部が存在することを特徴とするものであ
る。
【0007】また、本発明による上記の新規クッション
構造体の製造方法は、短繊維を構成する非弾性ポリエス
テルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱
可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、
前者が繊維表面の少なくとも1/2を占める弾性複合繊
維よりなり、少なくとも30cm3/gの嵩性を有するウ
ェッブを形成することにより弾性複合繊維同士間に立体
的繊維交叉点を形成せしめた後、該ポリエステルポリマ
ーの融点より低く、そして該エラストマーの融点より1
0〜60℃高い温度で熱処理して、これら繊維交叉点の
うちの少なくとも一部の繊維交叉点を熱融着させること
を特徴とするものである。
【0008】
【作用】本発明を具体的により詳細に説明する。図1は
該短繊維を構成するポリエステルポリマーの融点より4
0℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと、非
弾性ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表
面に露出した弾性複合繊維であり、分散混入されている
状態を示している。この図を通して、特徴的なことは、
クッション構造体中には、 (A)で示されるような、弾性複合繊維同士が交叉し
た状態で熱可塑性エラストマー同士の熱融着により形成
されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着点が散在する
こと 隣り合う可撓性熱固着点間(A)―(A)間、に存在
する弾性複合繊維群にあって、それら一部の繊維には長
手方向に沿って少なくとも1ケの紡錘状の節部1が存在
することである。
【0009】ここで、“全方位的可撓性熱固着点”と
は、クッション構造体に荷重が加えられたとき、したが
って該固着点にも荷重が加えられたとき、この固着点が
荷重の方向に沿って自由自在に変形可能であり、かつ回
復可能であるような可撓性を有する熱固着点を意味す
る。そして、(A)で示されるように、弾性複合繊維同
士が交叉した状態で熱可塑性エラストマー同士の熱融着
により発生するアメーバー状のものである。
【0010】ところで、弾性複合繊維はこのもの同士で
交叉した状態をつくり、この状態で熱融着処理されると
き、該弾性複合繊維の長手方向に沿って、図1〜2で示
される紡錘状の節部が間歇的に発生することが判明し
た。この節部1は弾性複合繊維の一構成成分である熱可
塑性エラストマーが、溶融粘度、表面張力の関係で繊維
軸方向に移動して生じるものであって、可撓性熱固着点
(A)が形成される際に、それらの繊維交叉点には流動
状態の熱可塑性エラストマーが移動・凝集してアメーバ
ー状に形成されるのである。つまり、弾性複合繊維同士
の熱融着によって生じる熱固着点は、結局紡錘状の節部
1同士の熱融着であるので、アメーバー状形状を呈する
に至る。
【0011】前記の紡錘状の節部1が熱可塑性エラスト
マーの局所的移動・凝集によって生じるという現象はク
ッション構造体中における可撓性熱固着点(A)の形成
確率がそれだけ増加することを意味する。勿論、融着に
関与しなかった紡錘状の節部1はそのまま残る。
【0012】上記のような可撓性熱固着点を形成するに
際しては、クッション構造体自身の密度も関係してく
る。この密度が0.10g/cm3 よりも高くなると、繊
維密度が過度に高くなり熱可塑性エラストマー同士が過
密に相互融着しやすくなる。したがって、このような構
造のものは厚み方向の弾力性が著しく低下し、通気性も
極度に小さくなり、また蒸れやすくなり、最早クッショ
ン構造体として供し得なくなる。
【0013】一方、この密度が0.005g/cm3 未満
になると、このような構造体では反撥性が乏しくなり、
該構造体に荷重が加えられると一本一本の繊維に歪や応
力がかかり過ぎて、構造体そのものが変形し易く耐久性
もなくなるので、クッション構造体として供し得ない。
【0014】この点、特開昭58―197312号公報
や特開昭52―85575号公報では、大部分の弾性複
合繊維同士を実質的に断面方向から観て平行状態で互い
に相互融着させることが推奨されている。しかし、本発
明においてはこのような事態は絶対に避けるべきであ
る。
【0015】ここで、本発明のクッション構造体を、従
来のクッション構造体と比較すると、両者の間には次の
ような顕著な差異がある。
【0016】従来品においては、例えばマトリックスを
構成する非弾性捲縮短繊維同士の交叉点のみが非繊維で
ある樹脂、あるいは溶液型の架橋性ウレタン(低伸度)
で固着されるのに対して、本発明のクッション構造体に
おいては、固着点は弾性複合繊維同士の交叉点で弾性複
合繊維中の高伸度弾性熱可塑性エラストマーの熱融着に
より形成される。低融点非弾性ポリマーを融着成分とす
る複合繊維をバインダーとして用いたクッション構造体
においては、熱固着点は点接着的形状に近く、本発明の
ようなアメーバー状の形をとることはなく、しかもこの
固着点は非可撓性であり、これら固着点間に存在するバ
インダー繊維自身に紡錘状の節部を有することなく、ま
た変形からの回復性に乏しいものである。本発明のそれ
は、全方位的な可撓性を呈するものであり、かつこれら
の可撓性固着点間は変形回復性に富んだ弾性複合繊維に
よって連結されている。
【0017】以上のことから、本発明のクッション構造
体中には、全方位的可撓性を呈する熱固着点(A)、さ
らにはこれらの熱固着点を連絡する弾性複合繊維が存在
し三次元的弾性構造をなしているので、圧縮反撥性並び
に圧縮回復性に優れたクッション構造体が実現されるこ
とになる。
【0018】ここで、本発明の可撓性熱固着点(A)の
特徴について触れておく。該点は複合繊維中の熱可塑性
エラストマーの移動・凝集によって生じるものであるの
で、繊維の交叉点を広範囲に覆い、かつその表面は平滑
である。また、繊維の交叉点外周では双曲線のような曲
面を呈する。したがって、 (i)応力集中がない。 (ii)強度、伸度は著しく向上するので繰り返し圧縮に
対しても破壊されることがない。 (iii )圧縮に対して変形し難い(変形に対する反撥が
強い)。 (iv)一旦変形されたときは、どの方向にも(全方位的
に)変形し易い。 (v)また、如何なる方向からの変形に対しても、円滑
に回復し易い。 (vi)隣り合う熱固着点は互いに弾性複合繊維で連絡さ
れているので、熱固着点が変位しても元の位置に戻り易
い。
【0019】次に、本発明のクッション構造体に付随す
る要件について述べる。
【0020】先ず、アメーバー状全方位的可撓性熱固着
点(A)は、W/Dが2.0〜4.0の範囲にあること
が好ましい。ここにWは熱固着点の巾であって、図1に
示されるように、W1 とW2 の平均値である。Dは熱固
着に関与する弾性複合繊維の平均直径であり、各直径は
図1に示すように固着点の根元に隣接する部分の直径
(d1 ,d2 ,d3およびd4 )である。また、これら
熱固着点の間に位置する弾性複合繊維には、少なくとも
10-2cmの間隔で紡錘状の節部1が存在する場合が多
い。。さらにこれら熱固着点の間に位置する弾性複合繊
維はループ状に弯曲した形で、あるいは時としてコイル
状弾性捲縮を発現した形で存在することがある。
【0021】本発明における全方位的可撓性熱固着点
(単に“熱固着点”と呼ぶことがある。)は、クッショ
ン構造体に荷重(圧縮力)が加わった際の応力、歪に呼
応して自在に変形して、これら応力、歪を分散させるこ
とによって、繊維に加わる応力・歪を軽減する機能を有
するものであるから、該熱固着点の物性も見落とすわけ
にはいかない。これらの物性としては、後で定義する破
断強度、破断伸度および10%伸長弾性回復率が挙げら
れる。破断強度としては、0.3g/de〜5.0g/de
の範囲にあることが好ましい。この破断強度が0.3g
/de未満ではクッション構造体に圧縮の大変形(例えば
初期の厚みの75%等)が加わった場合、熱固着点が破
壊され易くなって、耐久性、形態安定性が低下する懸念
がある。
【0022】一方、熱固着点の強度が5g/deを越える
場合は、かなりの高温で長時間熱融着加工が必要とな
り、コア成分の捲縮が低下して、反撥性が低くなってし
まう。
【0023】破断伸度については、15〜200%の範
囲にあることが好ましい。破断伸度が15%未満では、
クッション構造体に圧縮による大変形が加わった場合、
これら熱固着点にはさらに大きな変位やズレが生じるば
かりか、交叉角も変形限界を越えて変化して、結局固着
点は破壊され易くなってしまう。
【0024】一方、この伸度が100%を越えると同様
の変位が加わった際に熱固着点のズレが起こり易く、こ
のため耐久性も低下するおそれがある。
【0025】さらに、10%伸長弾性回復率について
は、80%以上、特に80〜95%の範囲にあることが
好ましい。この10%伸長弾性率が80%未満では熱固
着点に応力や変位が生じた際に、変形に対する回復性が
低下して、繰返し圧縮に対する耐久性や寸法安定性が悪
くなるおそれがある。
【0026】本発明で重要な役割を果す熱固着点を形成
するために用いられる弾性複合繊維は、熱可塑性エラス
トマーと非弾性ポリエステルとで形成される。その際、
前者が繊維表面の少なくとも1/2を占めるものが好ま
しい。重量割合でいえば、前者と後者が複合比率で10
/90〜70/30の範囲にあるのが適当である。弾性
複合繊維の形態としては、サイド・バイ・サイド、シー
ス・コア型のいずれであってもよいが、好ましいのは後
者である。このシース・コア型においては、勿論非弾性
ポリエステルがコアとなるが、このコアは同心円状ある
いは偏心状にあってもよい。特に偏心型のものにあって
は、コイル状弾性捲縮が発現するので、より好ましい。
【0027】熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレ
タン系エラストマーやポリエステル系エラストマーが好
ましい。
【0028】ポリウレタン系エラストマーとしては、分
子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例え
ばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステ
ル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリ
エステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシ
アネート、例えばp,p′―ジフェニルメタンジイソシ
アネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、2,6―ジイソシア
ネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリ
コール、アミノアルコールあるいはトリオールとの反応
により得られるポリマーである。これらのポリマーのう
ち、特に好ましいものはポリオールとしてポリテトラメ
チレングリコール、またはポリ―ε―カプロラクトンあ
るいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンで
ある。この場合、有機ジイソシアネートとしてはp,
p′―ジフェニルメタンジイソシアネートが好適であ
る。また、鎖伸長剤としては、p,p′―ビスヒドロキ
シエトキシベンゼンおよび1,4―ブタンジオールが好
適である。
【0029】一方、ポリエステル系エラストマーとして
は、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポ
リ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメン
トとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック
共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレン―2,6―ジカルボン酸、ナ
フタレン―2,7―ジカルボン酸、ジフェニル―4,
4′―ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、3―スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカ
ルボン酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから
選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4―ブ
タンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオー
ル、あるいは1,1―シクロヘキサンジメタノール、
1,4―シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカ
ンジメタノール等の脂環族ジオール、またはこれらのエ
ステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少
なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000
程度の、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2―およ
び1,3―プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テ
トラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシド
とプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシド
とテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレ
ンオキシド)グリコールのうち少なくとも1種から構成
される三元共重合体である。
【0030】しかしながら、非弾性ポリエステル系捲縮
短繊維との接着性や温度特性、強度の面からすれば、ポ
リブチレン系テレフタレートをハードセグメントとし、
ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとす
るブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好まし
い。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステ
ル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオー
ル成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテ
レフタレートである。勿論、この酸成分の一部(通常3
0モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボ
ン酸成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成
分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール
成分以外のジオキシ成分で置換されていてもよい。
【0031】また、ソフトセグメントを構成するポリエ
ーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分
で置換されたポリエーテルであってもよい。なお、ポリ
マー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、
艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて
配合されていてもよい。
【0032】このポリエステル系エラストマーの重合度
は、固有粘度で0.8〜1.7、特に0.9〜1.5の
範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎる
と、形成される熱固着点が破壊され易くなる。一方、こ
の粘度が高すぎると、熱融着時に紡錘状の節部やアメー
バー状全方位的可撓性熱固着点が形成されにくくなる。
【0033】熱可塑性エラストマーの基本的特性として
は、後で定義する破断伸度が500%以上が好ましく、
更に好ましくは800%以上である。この伸度が低すぎ
ると、クッション構造体が圧縮されその変形が熱固着点
におよんだとき、この部分の結合が破壊され易くなる。
【0034】一方、熱可塑性エラストマーの300%の
伸長応力は0.8kg/mm2 以下が好ましく、更に好まし
くは0.6kg/mm2 以下である。この応力が大きすぎる
と、熱固着点が、クッション構造体に加わる力を分散し
にくくなり、クッション構造体が圧縮されたとき、その
力で該熱固着点が破壊されるおそれがある。
【0035】また、熱可塑性エラストマーの300%伸
長回復率は60%以上が好ましく、さらに好ましくは7
0%以上である。この伸長回復率が低いと、クッション
構造体が圧縮されて熱固着点は変形しても、もとの状態
に戻りにくくなるおそれがある。
【0036】この熱可塑性エラストマーは、該短繊維を
構成する非弾性ポリエステルポリマーの融点より40℃
以上、特に60℃以上低いことが好ましい。かかる熱可
塑性エラストマーの融点は例えば130〜220℃の範
囲の温度であることができる。
【0037】この融点差が40℃より少ないと、以下に
述べる融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、非弾
性ポリエステルの捲縮のへたりを惹起し、また該繊維の
力学的特性を低下させてしまう。なお、熱可塑性エラス
トマーについて、その融点が明確に観察されないとき
は、融点を軟化点をもって代替する。
【0038】一方、上記の熱可塑性エラストマーの相手
方成分として用いられる非弾性ポリエステルとしては、
通常のポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ
テトラメチレンテレフタレート、ポリ1―4―ジメチル
シクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロラクトン又
はこれらの共重合エステルが用いられるがそのなかで
も、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく採用さ
れる。
【0039】また、クッション構造体は、厚み方向に圧
縮されて反撥する材料であるから、その性能を発揮する
には、少なくとも5mm以上、好ましくは10mm以上、更
に好ましくは20mm以上の厚みを有していることが好ま
しい。このように、厚みは通常5〜30mm程度である
が、ある場合には約1〜2mに達する場合もある。
【0040】本発明のクッション構造体の製造に際して
は、非弾性ポリエステルポリマーの融点より40℃以上
低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエ
ステルとからなり、前者が繊維表面の少なくとも1/2
を占める弾性複合繊維を、少なくとも30cm3 /gの嵩
性を有するウェッブを形成することにより、複合繊維同
士間に立体的な繊維交叉点を形成せしめた後、該エラス
トマーの融点より10〜60℃高い温度で熱処理して、
繊維交絡点の少なくとも一部を熱融着させる。
【0041】更に、好ましくは捲縮を発現した弾性複合
繊維塊をカードを通してウェッブを得る。ウェッブには
弾性複合繊維同士の無数の繊維交叉点が形成される。次
に、このようなウェッブを所定の密度になるように金型
に入れ、ポリエステルポリマーの融点よりも低くそして
弾性複合繊維中の熱可塑性エラストマーの融点(または
流動開始点)より10〜60℃高い温度で融着処理する
ことにより、上記繊維交叉点でエラストマー成分が融着
され、既に述べた(A)のアメーバー状全方位的可撓性
熱固着点を形成するものである。
【0042】ここで、立体的な繊維交叉点とは、文字通
り、ウェッブの厚み方向と平行な面に対して90°未満
の角度で存在する交叉点のことである。勿論、このウェ
ッブにおいては、ウェッブの水平面と平行な面にも多数
の繊維交叉点が同時に生じる。しかし、これらはクッシ
ョン構造体に比べて密度がはるかに高い人工皮革のよう
な集合体(例えば不織布)にむしろ特徴的に見られる。
この点、本発明の方法にあっては、上記の平面的繊維交
叉点に加えて、ウェッブ密度を30cm3 /g以上とする
ことにより、立体的繊維交叉点を形成させる点に特徴が
ある。そして、熱融着処理後に0.1g/cm3 以下のク
ッション構造体が形成されたときにも、この立体的繊維
交叉点の大半は維持されている。
【0043】弾性複合繊維は公知の紡糸法によって得る
ことができる。その際、用いるポリマー、単繊維太さに
ついては、既に説明したとおりである。唯、紡出後1.
5倍以上延伸されていることが好ましい。延伸された繊
維により構成したクッション構造体は、延伸されていな
い繊維を用いたクッション構造体に比べて反撥性に優
れ、へたりもすくない。この理由としては、延伸をうけ
短繊維化され弛緩状態になる過程で非晶部の緩和が起り
非晶部がランダム化し、より弾性の優れた繊維構造にな
り、それが溶融固化後も維持されやすいためと推察され
る。また、弾性複合繊維は熱収縮が低い方がよい。熱収
縮が高いと、熱融着時に熱可塑性エラストマーが溶融す
るまでに著しく収縮してしまい、繊維交叉点のうち熱固
着点に転化される数が減少する。弾性複合繊維の熱収縮
を低下させるには、延伸後に40〜120℃の温度で2
0秒以上熱処理すればよい。
【0044】複合繊維に付与する捲縮は、押込捲縮で十
分である。その場合の捲縮数としては5〜15ケ/inch
(JIS L1045により測定)が好ましく、8〜1
2ケ/inch(同)がより好ましい。しかしながら、繊維
の紡出時に異方冷却等の手段により繊維構造に異方性を
与えて潜在捲縮能を付与してから、更に押込捲縮を施す
ことも有用である。
【0045】
【効果】本発明のクッション構造体は、発泡ウレタンフ
ォームに比べて圧縮における初期の硬さがなく、反撥性
が大きく、かつ圧縮量にほぼ比例して大きくなるため底
突き感が極めて少ない。しかも、構造体自体が低密度で
あるため、通気性が高く蒸れる心配もない。
【0046】また、繰り返し圧縮に対する耐久性に関し
ても、熱固着点が破壊されにくく、変形した場合でも除
重後原形に戻り易く、その圧縮耐久性も優れている。
【0047】一方、この構造体の製造に際しては、短繊
維のウェッブを乾熱処理するだけの簡単で短い工程で均
一なクッション構造体が得られ、しかも構造体におい
て、部分的に硬さを変えたり、厚み方向の硬さを変える
ことも繊維の構成あるいは、密度を変えることによって
簡単にできる。
【0048】従って、本発明のクッション構造体は、ク
ッション性、反撥性、耐久性および回復性に優れ、しか
も通気性が高いので蒸れにくいという特徴がある。ま
た、製造に際しても、加工のムラが出来にくく、加工で
の多様化も図りやすく、しかも短い工程で製造できる。
したがって、この構造体の利用範囲は、各種のクッショ
ン材、例えば家具、ベッド、寝具、各種座席のクッショ
ン材用として好適である。
【0049】本発明を、更に実施例により説明する。実
施例中下記の測定が行なわれた。
【0050】熱固着点の破断強度および破断伸度の測定 クッション構造体において、2本の繊維が45°〜90
°の交叉角で交叉し、かつ交叉点が固着された部分を異
なる2本の繊維を含むようにしてサンプリングを行う。
次に、熱固着点をほぼ中央にし互いに固着してつながっ
た該2本の異なる繊維を試料長2mmの間隔で引張り試験
機のつかみ部に取り付け2mm/分のスピードで引張り、
初荷重0.3gをかけた時の伸びを緩みとして読み、さ
らに試料を引張り、試料の固着点が破壊するまでの最大
荷重(g)およびそのときの伸びを測定し、次式により
熱固着点の破断強度および破断伸度を算出した。破断強
度を算出する試験回数は、ランダムにサンプリングされ
た固着点(A)10個の平均値で表わす。
【0051】破断強度(g/de)= [切断時の荷重(g)]/(試料中の2本の短繊維の平
均デニール) 破断伸度(%)=[(E2 −E1 )/(L+E1 )]×
100 E1 ;緩み(mm) E2 ;最大応力時の伸び(mm) L ;つかみ間隔(mm)
【0052】熱固着点の10%伸長弾性回復率の測定 熱固着点の破断強力、破断伸度の測定の場合と同じよう
にサンプリング、サンプル取付けを行い、初荷重0.3
gをかけた所をL0 の試長とし引張りを2mm/分でスタ
ートする。試長に対し10%伸度になるまで引張り後、
直ちに同じスピードで除重し、除重した状態で2分間放
置後再び同じスピードで引張る。最初の0.3gの初荷
重のかかった試長と、再度引張り0.3gの荷重のかか
った時の試長の差l(mm)から次式により10%伸長弾
性回復率を求めた。試験回数およびサンプリングは前記
の破断強度の測定の場合と同様とする。
【0053】 10%伸長弾性回復=(1−l/l0 )×100 l0 ;10%伸長長さ(mm)=L0 ×0.1 l ;残留伸び(mm) (最初の0.3g初荷重をかけた時の試長−2回目の
0.3g荷重のかかった時の試長)
【0054】クッション材の厚みと密度の測定 平板状に調整されたクッション構造体の目付(g/
2 )を測定し、0.5g/cm2 の荷重下での厚み(c
m)を測定し密度(g/cm3 )を算出した。
【0055】ポリエステル弾性体の固有粘度の測定 ポリエステル弾性体をフェノールとテトラクロルエタン
との等重量混合溶剤を用いて、35℃で極限粘度を測定
した。
【0056】ウェッブの嵩性の測定 短繊維をウェッブ化し重ね合わせて目付を1000g/
2 として切り出したサンプルに10g/cm2 の荷重を
1分間かけ、解放1分後に0.5g/cm2 の荷重下で厚
みを測定し嵩性(cm3 /g)を算出した。
【0057】熱可塑性ポリマーの物性の測定 (1)測定用フィルムの作成 ポリマーを300℃の窒素雰囲気中で溶融し、脱泡後1
00℃でクリアランスが0.5mmに設定された1組の金
属ローラ間を20m/min で通して圧延し、厚み約0.
5mmのフィルムを得た。そのフィルムから縦方向に5mm
の幅で長さが50mmのサンプルを打抜いて熱可塑性ポリ
マーの物性測定用フィルムとした。
【0058】(2)破断伸度の測定 物性測定用フィルムを試長50mmとし、引張スピードを
50mm/min として破断伸度を測定した。
【0059】(3)300%伸長応力の測定 物性測定用フィルムの試長を50mmとし、引張スピード
を50mm/min として300%引張り、その時の応力を
サンプルの初期の断面積(厚み×幅)で割り、算出した
値を300%、伸長応力(kg/mm2)とした。
【0060】(4)300%伸長回復率の測定 物性測定用フィルムの試長を50mmとし、引張スピード
を50mm/min として300%引張り、その後、スピー
ド50mm/minで元の零点に戻し2分間放置後に再び引
張スピード50mm/min で引張った。初期の応力の立上
りと放置後の立上り(2g応力)から試料の緩み長さ
(mm)を求め、伸長量150mmに対する比率(%)を
(1―緩み長さ/150)×100(%)により算出
し、300%伸長回復率とした。
【0061】(5)融点 Du Pont 社製、熱示差分析計990型を使用し、昇温速
度20℃/分で測定し、融解ピーク温度を求めた。
【0062】(6)軟化点 微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、約3gのポ
リマーを2枚のカバーガラスの間に挟み、ピンセットで
軽く抑えながら、昇温速度約10℃/分で昇温し、ポリ
マーの熱変化を観察する。その際ポリマーが軟化して流
動し始めた温度を、軟化点とする。
【0063】クッション材の圧縮反撥性と圧縮耐久性の
測定 平板状に調整された密度0.035g/cm3 、厚み5cm
のクッション構造体を断面積20cm2 の平坦な下面を有
する円柱ロッドで1cm圧縮しその応力(初期応力)を測
定し、これを圧縮反撥性とした。測定後に800g/cm
2 の荷重で10秒間圧縮したのち除重して5秒間放置の
操作を360回繰り返し、24時間後再び圧縮応力を測
定した。この初期応力に対する繰り返し圧縮後の応力の
比率%をクッション材の圧縮耐久性とした。
【0064】クッション構造体の圧縮回復性の測定 平板状に調整された密度0.035g/cm3 、厚み5cm
のクッション構造体を断面積20cm2 の平坦な下面を有
する円柱ロッドで500g/cm2 の荷重になるまで10
0mm/分スピードで圧縮した後、直ちに100mm/分の
スピードで除重し、この測定によって描き出された圧縮
長―応力の曲線(図3)から得られる面積より圧縮回復
性(Rc)を算出した。
【0065】圧縮回復性(RC)%= [(ODABによって囲まれる面積)/(OCABによって囲ま
れる面積)]×100
【0066】
【実施例1】テレフタル酸とイソフタル酸とを80/2
0(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールと
を重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38
%(重量%)を更にポリブチレングリコール(分子量2
000)62%(重量%)と加熱反応させ、ブロック共
重合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。こ
の熱可塑性エラストマーの固有粘度は1.0、融点15
5℃、フィルムでの破断伸度は1500%、300%伸
長応力は0.3kg/mm2 、300%伸長回復率は75%
であった。
【0067】この熱可塑性エラストマーをシースに、ポ
リブチレンテレフタレートをコアに、コア/シースの重
量比で30/70になるように常法により紡糸した。な
お、この複合繊維は、偏心シース・コア型複合繊維であ
る。この繊維を2.0倍に延伸し64mmに切断した後9
5℃の温水で熱処理し、低収縮化と捲縮発現をさせ乾燥
後、油剤を付与した。なお、ここで得られた弾性複合繊
維の単繊維の太さは6デニールであった。
【0068】この弾性複合繊維をカードにより、嵩性が
50cm3 /gのウェッブを得た。このウェッブを重ね、
厚み5cm、密度0.035g/cm3 になるように平板型
の金型に入れ、200℃で10分間熱処理して、平板型
のクッション材を得た。
【0069】このクッション構造体を電子顕微鏡で詳し
く観察したところ、図1に示される構造を呈しており、
弾性複合繊維同士の交叉点が熱可塑性エラストマーによ
り融着一体化されてアメーバー状の熱固着点が散在状態
で形成されていることが観察された。(A)の熱固着点
のW/D(n=10)は3.20であった。また、
(A)の熱固着点の破断強度は1g/deで破断伸度は8
2%、10%伸張弾性率は86%であった。そして、ク
ッション構造体の密度は0.035g/cm3 と低く、弾
性複合繊維同士が立体的に緊密に相互融着している部分
が相当数見受けられた。さらに、図1に示すような節部
1も多数見受けられた。
【0070】従って、クッション構造体の通気性は非常
に優れていた。また、このクッション構造体は、ウレタ
ンフォームに見られるような圧縮に対する初期の硬さも
なく、クッション性に優れていた。さらに圧縮反撥性お
よび圧縮耐久性は夫々2.3kgおよび65%といずれも
高く、また圧縮回復性は78%までに改善されており、
極めて理想的なクッション構造体であった。
【0071】
【参考例】テレフタル酸とイソフタル酸とを60/40
(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールと
ジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合
したジオール成分とから共重合ポリエステルを得た。こ
のポリマーの固有粘度は0.8であった。融点は明確で
ないが、100℃付近から軟化して流動し始めたので、
この110℃をもって軟化点とした。このフィルムの強
度は実施例1と同程度であったが破断伸度は5%と低く
硬いポリマーであった。
【0072】このポリマーを複合繊維のシース成分とし
て用いることと熱処理温度を150℃とすること以外
は、実施例1と同じ方法でクッション構造体を得た。得
られたクッション構造体の結合形態を電子顕微鏡で観察
したところ、本発明でいうアメーバー状の熱固着点程の
ものは見受けられず、また紡錘状の節部も認めることは
できなかった。因みに、熱固着点のW/Dは1.8であ
った。また熱固着点の破断強度は0.2g/de、破断伸
度は6%であった。従って熱固着点の10%伸張弾性率
は測定不可能であった。
【0073】このクッション構造体のクッション性は悪
く、初回の圧縮反撥性は6kgと高かったが、2回目以降
の圧縮では、圧縮反撥性が大巾に低下した。更に繰返し
圧縮により大幅に低下した。実際に、圧縮耐久性および
圧縮回復性を調べてみると、夫々10%および35%で
あり、耐久性に極めて問題のあるクッション構造体であ
った。
【0074】
【比較例1〜2】密度を0.12g/cm3 になるように
ウェッブを金型にいれて、熱処理する以外は実施例1と
同様にして得た構造体は、ルーズな紙の密度に相当する
程に密度が高すぎるために、弾性複合繊維同士が構造体
内部で立体的結合状態をとり得ず、実質的に平行状態で
相互が融着して緊密化し、また表面も緻密化を始めてい
るため非常に重量感があった。また、圧縮に対しても非
常に硬く、樹脂の固まりの様相を呈しクッション構造体
としては到底供し得なかった。
【0075】また、ウェッブ密度を0.004g/cm3
になるようにウェッブを金型にいれて、熱処理したもの
は、形態が不安定で形が保てず、反撥性が著しく低かっ
た。
【0076】
【比較例3〜4】実施例1での熱処理温度を160℃と
した場合、得られたクッション構造体は、交叉部に熱可
塑性エラストマーが集まらず、かろうじて熱融着してい
るだけで、アメーバー状の形態をとっていなかった。そ
して、この熱固着点の強度は0.2g/deで、この熱固
着点ははずれやすく、クッション構造体の圧縮耐久性も
20%と低かった。また、熱処理温度を220℃とした
場合は、熱可塑性エラストマーが黄変して弾性がなく、
構造体は圧縮に対する反撥がなく、圧縮耐久性および圧
縮回復性も、夫々20%および30%と低かった。
【0077】
【実施例2】脱水された水酸基化価が102のポリメチ
レングリコールと1,4―ビス(ヒドロキシエトキシ)
ベンゼンとをジャケット付きルーダーで攪拌しながら混
合溶解したのち、85℃でp,p′―ジフェニルメタン
ジイソシアネートを加えて反応させ粉末状熱可塑性ポリ
ウレタンエラストマー(軟化点:151℃)を得、これ
を押出機によりペレット化した。この熱可塑性ポリウレ
タン系エラストマーをシースに、ポリブチレンテレフタ
レートをコアに用いて、弾性複合繊維(重量比30/7
0)を得、実施例1とほぼ同様にしてクッション構造体
を得た。
【0078】得られたクッション構造体は、形態的に
は、複合繊維の交叉点がポリウレタンエラストマーによ
り融着一体化されており、密度0.035g/cm3 であ
り、通気性も高いものであった。熱固着点の破断強度は
0.8g/de、破断伸度は20%、10%伸張弾性回復
率は93%と高かった。
【0079】このクッション構造体は圧縮に対してソフ
トで容易に圧縮され、圧縮反撥性は、2.0kgで、やや
低目であった。一方、圧縮耐久性および圧縮回復性は、
夫々49%および65%と高くクッション構造体として
有用なものであった。
【0080】
【比較例5】単繊維の太さが6デニール、繊維長64mm
の中空断面ポリエチレンテレフタレート短繊維をカード
によりウェッブ化した。一方、バインダー溶液としてウ
レタンプレポリマー(三井日曹ウレタンMN3050と
T―80により合成したNCO%=5%)にシリコン整
泡剤を0.2%加えた、40重量%濃度のトリクレン溶
液に該ウェッブを浸漬した後、遠心脱水機に投入し、乾
燥後ウレタン付着率が30%になるように脱液した。
【0081】その後、穴あき平板プレート金型内に含浸
処理したウェッブを詰め込んだ状態で100℃の水蒸気
を吹き込んで上記ウレタンバインダーを硬化させ、さら
に120℃で乾燥後、繊維構造体を取出した。
【0082】この構造体の密度は0.035g/cm3
あった。しかし、該構造体を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、非弾性短繊維同士の交叉点がウレタン樹脂で固着さ
れてはいたが、固着部間にあっては樹脂付着量のムラが
大きく、しかもウレタン樹脂部は発泡状態にあり、穴が
見受けられた。この固着点の強度は0.2g/deと低
く、伸度は14%であった。また、固着点の10%伸張
弾性率は78%であった。
【0083】このクッション構造体の圧縮耐久性は45
%とやや低く、圧縮回復率も60%とやや低く、耐久性
に問題のあるクッション構造体であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクッション構造体中に、特異な固着点
として散剤するアメーバー状全方位的可撓性熱固着点の
正面図であって、図2の電子顕微鏡写真(350倍)か
ら写したもの。
【図2】本発明のクッション構造体中に、特異な固着点
として散在するアメーバー状全方位的可撓性熱固着点の
電子顕微鏡写真(350倍)。
【図3】クッション構造体の圧縮回復性を算出するため
に用いるグラフ。
【符号の説明】
1 紡錘状の節部 A アメーバー状全方位的可撓性熱固着点 W1 ,W2 熱固着点の巾 d1 ,d2 ,d3 ,d4 弾性複合繊維の直径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 元洋 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人 株式会社 大阪研究センター内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.005〜0.10g/cm3
    厚さが5mm以上であるクッション構造体において、非弾
    性ポリエステルポリマーの融点より40℃以上低い融点
    を有する熱可塑性エラストマーと、非弾性ポリエステル
    とからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出した弾性
    複合繊維により構成され、該クッション構造体中には、
    該弾性複合繊維同士が交叉した状態で互いに熱融着によ
    り形成されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着点
    (A)が散在し、かつ隣り合う可撓性熱固着点の間に存
    在する複合繊維群にあって、一部の複合繊維には長手方
    向に沿って少なくとも1ケの紡錘状の節部が存在するこ
    とを特徴とするクッション構造体。
  2. 【請求項2】 アメーバー状全方位的可撓性熱固着点の
    融着状態が、2.0<W/D<4.0を満足する、請求
    項1記載のクッション構造体。ここで、Wは、熱固着点
    の巾Dは、熱固着点に関与する繊維の平均直径である。
  3. 【請求項3】 非弾性ポリエステルポリマーの融点より
    40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非
    弾性ポリエステルとからなり、前者が繊維表面の少なく
    とも1/2を占める弾性複合繊維からなり、少なくとも
    30cm3/gの嵩性を有するウェッブを形成することに
    より複合繊維同士間に立体的な繊維交叉点を形成せしめ
    た後、該ポリエステルポリマーの融点よりも低くそして
    該エラストマーの融点より10〜60℃高い温度で熱処
    理して、これら繊維交絡点のうちの少なくとも一部の繊
    維交絡点を熱融着させることを特徴とするクッション構
    造体の製造方法。
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