JPH05163652A - クッション構造体およびその製造方法 - Google Patents

クッション構造体およびその製造方法

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JPH05163652A
JPH05163652A JP3351167A JP35116791A JPH05163652A JP H05163652 A JPH05163652 A JP H05163652A JP 3351167 A JP3351167 A JP 3351167A JP 35116791 A JP35116791 A JP 35116791A JP H05163652 A JPH05163652 A JP H05163652A
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elastic
fiber
heat
fibers
cushion structure
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JP3351167A
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English (en)
Inventor
Motohiro Kitagawa
元洋 北川
Makoto Yoshida
吉田  誠
Tatsuro Yamaguchi
達郎 山口
Nobuo Takahashi
信男 高橋
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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  • Mattresses And Other Support Structures For Chairs And Beds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クッション性、耐久性、安定性、通気性が高
く、蒸れにくく、加工のムラができにくく、加工での多
様化も図りやすく、短い工程で製造しやすいクッション
材の提供を目的とする。 【構成】 非弾性ポリアミド系捲縮短繊維集合体中に、
短繊維を構成するポリアミドポリマーの融点より30℃
以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと、非弾性
ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に
露出した弾性複合繊維が分散・混入され、その際、該ク
ッション構造体中には、(A)該弾性複合繊維同士が交
叉した状態で互いに熱融着により形成されたアメーバー
状全方位的可撓性熱固着点、および(B)該弾性複合繊
維と該非弾性ポリアミド系短繊維とが交叉した状態で熱
融着により形成された準全方位的可撓性熱固着点とを散
在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非弾性ポリアミド系捲
縮短繊維をマトリックスとし、その中に弾性複合繊維に
よる熱固着点を散在させた新規クッション構造体並びに
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家具、ベッドなどに用いられるクッショ
ン構造体の分野においては、発泡ウレタンフォーム、非
弾性ポリエステル系捲縮短繊維詰綿、ポリエステル系捲
縮短繊維を接着した樹脂綿や固綿などが使用されてい
る。
【0003】しかしながら、発泡ウレタンフォームは、
その製造中に使用される薬品等の取り扱いが難しく、か
つフロンを排出するという問題がある。また、得られた
発泡ウレタンフォームの圧縮特性は圧縮初期が硬く、そ
の後急に沈み込むという独特の特性を示すために、クッ
ション性に乏しいばかりか、底突き感が大きいという欠
点がある。しかも、該フォームは通気性に乏しいので蒸
れやすく、クッション構造体として好まれないことが多
い。さらに、ウレタンフォームは軟らかく、かつ発泡し
ているために、圧縮に対する反撥力に乏しいという欠点
がある。反撥力を上げるためには、ウレタンフォームの
密度を高くすればよいわけであるが、この場合は重量が
増え、かつ通気性がさらに悪化するという致命的欠陥が
生じる。次に、非弾性ポリエステル系短繊維詰綿におい
ては、集合体構造が固定されていないため、使用中に形
が崩れ易く、構成短繊維が移動したり、該短繊維の捲縮
がへたったりして嵩性や反撥性が大きく低下するという
欠点がある。
【0004】一方、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集
合体を樹脂(例えばアクリル酸エステルポリマー)や、
マトリックス短繊維を構成するポリマーの融点よりも低
い融点を有するポリマーで構成されるバインダー繊維
(特開昭58―31150号公報)で固着した樹脂綿や
固綿などでは、固着力が弱く、ポリマー皮膜の伸度が小
さく、かつ伸張に対する回復性が低いために固着点の耐
久性が低く、使用中に固着点に変形を受けると破壊され
たり、変形に対して回復が悪く、その結果形態安定性や
反撥性が大巾に低下する。また、固着点は伸度が小さい
ポリマーで固く、モービリティがないため、クッション
性に乏しいものしか得られない。また固着された非弾性
ポリエステルは伸張弾性回復が低いため、変形に対し歪
が残りやすくなる、クッション性を高めるための一手段
として、特開昭62―102712号公報には、ポリエ
ステル系捲縮短繊維の交叉部を発泡ウレタンのバインダ
ーで固着したクッション構造体が提案されている。しか
し、ここでは溶液型の架橋性ウレタンを含浸しているの
で、加工斑が発生し易く、そのため処理液の取扱いが煩
雑である、ウレタンとポリエステル繊維との接着性が低
い、バインダーが架橋されるため伸度が低くなり、かつ
樹脂部が発泡しているため変形が部分的に集中しやすい
ので、繊維交叉部の発泡ウレタンが大変形したときに破
壊されやすい、耐久性が低いなどといった問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に短繊維
同士の交叉点における固着状態が著しく安定化され、そ
れによりクッション性、および圧縮反撥性、圧縮耐久性
並びに圧縮回復性の改善された、新規なクッション構造
体を提供しようとするものである。さらに、本発明は、
加工斑が発生しない、より簡便な方法で、上記のクッシ
ョン構造体を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による新規なクッ
ション構造体は、非弾性ポリアミド系捲縮短繊維集合体
をマトリックスとし、密度が0.005〜0.10g/
cm3 、厚さが5mm以上であるクッション構造体におい
て、該短繊維集合体中には、短繊維を構成するポリアミ
ドポリマーの融点より30℃以上低い融点を有する熱可
塑性エラストマーと、非弾性ポリエステルからなり、前
者が少なくとも繊維表面に露出した弾性複合繊維(コン
ジュゲート・ステープルファイバー)が分散・混入さ
れ、その際該クッション構造体中には、(A)該弾性複
合繊維同士が交叉した状態で互いに熱融着により形成さ
れたアメーバー状全方位的可撓性熱固着点、および
(B)該弾性複合繊維と該非弾性ポリアミド系短繊維と
が交叉した状態で熱融着により形成された準全方位的可
撓性熱固着点とが散在し、かつ、隣り合う可撓性熱固着
点の間((A)―(A)間、(A)―(B)間、および
(B)―(B)間)に存在する弾性複合繊維群にあっ
て、一部の複合繊維には長手方向に沿って少なくとも1
ケの紡錘状の節部が存在することを特徴とするものであ
る。
【0007】また、本発明による上記の新規クッション
構造体の製造方法は、非弾性ポリアミド系捲縮短繊維
と、該非弾性ポリアミド系捲縮短繊維を構成するポリア
ミドポリマーの融点より30℃以上低い融点を有する熱
可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、
前者が繊維表面の少なくとも1/2を占める弾性複合繊
維とを混綿して、少なくとも30cm3 /gの嵩性を有す
るウェッブを形成することにより弾性複合繊維同士間、
および該非弾性ポリアミド系捲縮短繊維と弾性複合繊維
との間に立体的繊維交叉点を形成せしめた後、該ポリア
ミドポリマーの融点より低く、そして該エラストマーの
融点より10〜50℃高い温度で熱処理して、これら繊
維交叉点のうちの少なくとも一部の繊維交叉点を熱融着
させることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】本発明を具体的により詳細に説明する。図1お
よび図2において、1はクッション構造体のマトリック
スとなる非弾性ポリアミド系捲縮短繊維、2は該短繊維
を構成するポリアミドポリマーの融点より30℃以上低
い融点を有する熱可塑性エラストマーと、非弾性ポリエ
ステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出し
た弾性複合繊維であり、マトリックス中に分散混入され
ている状態を示している。この図を通して、特徴的なこ
とは、クッション構造体中には、 (A)で示されるような、弾性複合繊維2同士が交叉
した状態で熱可塑性エラストマー同士の熱融着により形
成されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着点、および (B)で示されるような、弾性複合繊維2と、該非弾
性ポリアミド系短繊維1とが交叉した状態で、エラスト
マー成分の熱融着により形成された準全方位的可撓性熱
固着点とが散在すること(つまり、マトリックスとなる
短繊維同士の固着点は存在しない)、さらには 隣り合う可撓性熱固着点間((A)―(A)間、
(A)―(B)間、および(B)―(B)間)に存在す
る弾性複合繊維群にあって、それら一部の繊維には長手
方向に沿って少なくとも1ケの紡錘状の節部3が存在す
ることである。
【0009】ここで、“全方位的可撓性熱固着点”と
は、クッション構造体に荷重が加えられたとき、したが
って該固着点にも荷重が加えられたとき、この固着点が
荷重の方向に沿って自由自在に変形可能であり、かつ回
復可能であるような可撓性を有する熱固着点を意味す
る。そして、この熱固着点は2つに分類され、一つは上
記(A)で示されるように、弾性複合繊維同士が交叉し
た状態で熱可塑性エラストマー同士の熱融着により発生
するアメーバー状のもの、他の一つは(B)で示される
ように弾性複合繊維2中の熱可塑性エラストマー成分と
非弾性ポリアミド系捲縮短繊維1とが、図3に示すよう
に45°〜90°の交叉角θで交叉した状態で生じる熱
固着点である。
【0010】ところで、マトリックス中に分散・混入さ
れた弾性複合繊維2は確率的にこのもの同士、又は非弾
性ポリアミド系捲縮短繊維1と交叉した状態をつくり、
この状態で熱融着処理されるとき、該弾性複合繊維2の
長手方向に沿って、3で示される紡錘状の節部が間歇的
に発生することが判明した。この節部3は弾性複合繊維
2の一構成成分である熱可塑性エラストマーが、溶融粘
度、表面張力の関係で繊維軸方向に移動して生じるもの
であって、前記(A)、(B)の可撓性熱固着点が形成
される際に、それらの繊維交叉点には流動状態の熱可塑
性エラストマーが移動・凝集して、アメーバー状ないし
準アメーバー状の固着点が形成されるのである。つま
り、(A)のように、弾性複合繊維同士の熱融着によっ
て生じる熱固着点は、結局紡錘状の節部3同士の熱融着
であるので、アメーバー状形状を呈するに至り、他方、
(B)の熱固着点の形成に際しては、前記紡錘状の節部
3は単独で非弾性捲縮短繊維1を固着するので、(A)
のアメーバー形状との比較においては、準アメーバー形
状のものということができる。図3は、このアメーバー
状および準アメーバー状熱固着点の電子顕微鏡写真(3
50倍)から写した正面図である。
【0011】前記の紡錘状の節部3が熱可塑性エラスト
マーの局所的移動・凝集によって生じるという現象はク
ッション構造体中における可撓性熱固着点(A)、
(B)の形成確率がそれだけ増加することを意味する。
勿論、融着に関与しなかった紡錘状の節部3はそのまま
残り、結果的には熱固着点(A)―(A)、(A)―
(B)および(B)―(B)の間は、紡錘状の節部を一
部残した弾性複合繊維により連結されることがある。
【0012】上記のような可撓性熱固着点を形成するに
際しては、クッション構造体自身の密度も関係してく
る。この密度が0.10g/cm3 よりも高くなると、繊
維密度が過度に高くなり熱可塑性エラストマー同士が過
密に相互融着しやすくなる。したがって、このような構
造のものは厚み方向の弾力性が著しく低下し、通気性も
極度に小さくなり、また蒸れやすくなり、最早クッショ
ン構造体として供し得なくなる。
【0013】一方、この密度が0.005g/cm3 未満
になると、このような構造体では反撥性が乏しくなり、
マトリックスとなる非弾性ポリアミド系捲縮短繊維の構
成本数が少なくなる。その結果、該構造体に荷重が加え
られると一本一本の繊維に歪や応力がかかり過ぎて、構
造体そのものが変形し易く耐久性もなくなるので、クッ
ション構造体として供し得ない。
【0014】この点、特開昭58―197312号公報
や特開昭52―85575号公報では、大部分の弾性複
合繊維同士を実質的に断面方向から観て平行状態で互い
に相互融着させることが推奨されている。しかし、本発
明においてはこのような事態は絶対に避けるべきであ
る。
【0015】ここで、本発明のクッション構造体を、従
来のクッション構造体と比較すると、両者の間には次の
ような顕著な差異がある。
【0016】従来品においては、例えばマトリックスを
構成する非弾性捲縮短繊維同士の交叉点のみが非繊維で
ある樹脂、あるいは溶液型の架橋性ウレタンで固着され
るのに対して、本発明のクッション構造体においては、
マトリックスを構成する捲縮短繊維同士の交叉点には固
着点が形成されることはなく、該固着点は弾性複合繊維
同士の交叉点および弾性複合繊維とマトリックスを構成
する捲縮短繊維との交叉点においてのみ弾性複合繊維中
の熱可塑性エラストマーの熱融着により形成される。さ
らに、低融点非弾性ポリマーを融着成分とする複合繊維
をバインダーとして用いたクッション構造体において
は、熱固着点は点接着的形状に近く、本発明のようなア
メーバー状の形をとることはない。しかもこの固着点は
非可撓性であり、これら固着点間に存在するバインダー
繊維自身にも紡錘状の節部を有することなく、また変形
からの回復性に乏しいものである。本発明のそれは、全
方位的な可撓性を呈するものであり、かつこれらの可撓
性固着点間は変形回復性に富んだ弾性複合繊維によって
連結されている。
【0017】以上のことから、本発明のクッション構造
体中には、全方位的可撓性を呈する熱固着点(A)およ
び(B)、さらにはこれらの熱固着点を連絡する弾性複
合繊維が存在し三次元的弾性構造をなしているので、圧
縮反撥性並びに圧縮回復性に優れたクッション構造体が
実現されることになる。
【0018】ここで、本発明の全方位的可撓性熱固着点
(A)の特徴について触れておく。該点は複合繊維中の
熱可塑性エラストマーの移動・凝集によって生じるもの
であるので、繊維の交叉点を広範囲に覆い、かつその表
面は平滑である。また、繊維の交叉点外周では双局線よ
うな局面を呈する、したがって、 (i)応力集中がない。 (ii)強度、伸度は著しく向上するので繰り返し圧縮に
対しても破壊されることがない。 (iii )圧縮に対して変形し難い(変形に対する反撥が
強い)。 (iv)一旦変形されたときは、どの方向にも(全方位的
に)変形し易い。 (v)また、如何なる方向からの変形に対しても、円滑
に回復し易い。 (vi)隣り合う熱固着点は互いに弾性複合繊維で連絡さ
れているので、熱固着点が変位しても元の位置に戻り易
い。
【0019】一方、準全方位的可撓性熱固着点(B)
も、その程度は、(A)の熱固着点に比べて劣るものの
同様の傾向を示すことは容易に理解されるところであ
る。
【0020】次に、本発明のクッション構造体に付随す
る要件について述べる。先ず、アメーバー状全方位的可
撓性熱固着点は、W/Dが2.0〜4.0の範囲にある
ことが好ましい。ここにWは熱固着点の巾であって、図
3に示されるように、W1 とW2 の平均値である。Dは
熱固着に関与する弾性複合繊維の平均直径であり、各直
径は図3に示すように固着点の根元に隣接する部分の直
径(d1 、d2 、d3 およびd4 )である。また、これ
ら熱固着点の間に位置する弾性複合繊維には、少なくと
も10-2cmの間隔で紡錘状の節部3が存在する場合が多
い。さらにこれら熱固着点の間に位置する弾性複合繊維
は図1に見られるように、ループ状に弯曲した形4で、
あるいは時としてコイル状弾性捲縮を発現した形で存在
することがある。
【0021】本発明における全方位的ないし準全方位的
可撓性熱固着点(以下、両者を総称して単に“熱固着
点”と呼ぶことがある)は、クッション構造体に荷重
(圧縮力)が加わった際の応力、歪に呼応して自在に変
形して、これら応力、歪を分散させることによって、マ
トリックスを構成する捲縮短繊維に加わる応力・歪を軽
減する機能を有するものであるから、該熱固着点の物性
も見落とすわけにはいかない。これらの物性としては、
後で定義する破断強度、破断伸度および10%伸長弾性
回復率が挙げられる。破断強度としては、0.3g/de
〜5.0g/deの範囲にあることが好ましい。この破断
強度が0.3g/de未満ではクッション構造体に圧縮の
大変形(例えば初期の厚みの75%等)が加わった場
合、熱固着点が破壊され易くなって、耐久性、形態安定
性が低下する懸念がある。
【0022】一方、熱固着点の強度が5g/deを越える
場合は、かなりの高温での融着加工となり、その結果マ
トリックスを構成する捲縮短繊維自体の捲縮や物性が劣
化する。
【0023】破断伸度については、15〜200%の範
囲にあることが好ましい。破断伸度が15%未満では、
クッション構造体に圧縮による大変形が加わった場合、
これら熱固着点にはさらに大きな変位やズレが生じるば
かりか、交叉角θも変形限界を越えて変化して、結局固
着点は破壊され易くなってしまう。
【0024】一方、この伸度が100%を越えると同様
の変位が加わった際に熱固着点のズレが起こり易く、こ
のため耐久性も低下するおそれがある。
【0025】さらに、10%伸長弾性回復率について
は、80%以上、特に80〜95%の範囲にあることが
好ましい。この10%伸長弾性率が80%未満では熱固
着点に応力や変位が生じた際に、変形に対する回復性が
低下して、繰返し圧縮に対する耐久性や寸法安定性が悪
くなるおそれがある。
【0026】本発明において、マトリックスを構成する
非弾性ポリアミド系捲縮短繊維は、通常のナイロン6、
ナイロン66等から構成すればよい。これら短繊維ない
しそれら繊維の混綿体、または上記のポリマー成分のう
ちの2種以上からなる複合繊維等であり、特に耐熱性ク
ッション材としての反撥性よりナイロン6およびナイロ
ン66が好ましい。単繊維の断面形状は、円形、偏平、
異型または中空のいずれであってもよい。また、その単
繊維の太さは2〜500デニール、特に6〜300デニ
ールの範囲にあることが好ましい。この単繊維の太さが
小さいと、クッション構造体の密度が高くなって構造体
自身の弾力性が低下する場合が多い。また、単繊維の太
さが大きすぎると、取扱い性、特にウェッブの形成性が
悪化する。また構成本数も少なくなりすぎて、弾性複合
繊維との間に形成される交叉点の数が少なくなり、クッ
ション構造体の弾力性が発現しにくくなると同時に耐久
性も低下するおそれがある。更には風合も粗硬になりす
ぎる。
【0027】一方、本発明で重要な役割を果す熱固着点
を形成するために用いられる弾性複合繊維は、熱可塑性
エラストマーと非弾性ポリエステルとで形成される。そ
の際、前者が繊維表面の少なくとも1/2を占めるもの
が好ましい。重量割合でいえば、前者と後者が複合比率
で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当であ
る。弾性複合繊維の形態としては、サイド・バイ・サイ
ド、シース・コア型のいずれであってもよいが、好まし
いのは後者である。このシース・コア型においては、勿
論非弾性ポリエステルがコアとなるが、このコアは同心
円状あるいは偏心状にあってもよい。特に偏心型のもの
にあっては、コイル状弾性捲縮が発現するので、より好
ましい。
【0028】熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレ
タン系エラストマーやポリエステル系エラストマーが好
ましい。
【0029】ポリウレタン系エラストマーとしては、分
子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例え
ばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステ
ル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリ
エステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシ
アネート、例えばp,p′―ジフェニルメタンジイソシ
アネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、2,6―ジイソシア
ネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリ
コール、アミノアルコールあるいはトリオールとの反応
により得られるポリマーである。これらのポリマーのう
ち、特に好ましいものはポリオールとしてポリテトラメ
チレングリコール、またはポリ―ε―カプロラクトンあ
るいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンで
ある。この場合、有機ジイソシアネートとしてはp,
p′―ジフェニルメタンジイソシアネートが好適であ
る。また、鎖伸長剤としては、p,p′―ビスヒドロキ
シエトキシベンゼンおよび1,4―ブタンジオールが好
適である。
【0030】一方、ポリエステル系エラストマーとして
は、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポ
リ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメン
トとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック
共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレン―2,6―ジカルボン酸、ナ
フタレン―2,7―ジカルボン酸、ジフェニル―4,
4′―ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、3―スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカ
ルボン酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから
選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4―ブ
タンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオー
ル、あるいは1,1―シクロヘキサンジメタノール、
1,4―シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカ
ンジメタノール等の脂環族ジオール、またはこれらのエ
ステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少
なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000
程度の、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2―およ
び1,3―プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テ
トラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシド
とプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシド
とテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレ
ンオキシド)グリコールのうち少なくとも1種から構成
される三元共重合体である。
【0031】しかしながら、非弾性ポリアミド系捲縮短
繊維との接着性や温度特性、強度の面からすれば、ポリ
ブチレン系テレフタレートをハードセグメントとし、ポ
リオキシブチレングリコールをソフトセグメントとする
ブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好ましい。
この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部
分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成
分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフ
タレートである。勿論、この酸成分の一部(通常30モ
ル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸
成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成分の
一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分
以外のジオキシ成分で置換されていてもよい。
【0032】また、ソフトセグメントを構成するポリエ
ーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分
で置換されたポリエーテルであってもよい。なお、ポリ
マー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、
艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて
配合されていてもよい。
【0033】このポリエステル系エラストマーの重合度
は、固有粘度で0.8〜1.7、特に0.9〜1.5の
範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎる
と、マトリックスを構成する非弾性ポリアミド系捲縮短
繊維とで形成される熱固着点が破壊され易くなる。一
方、この粘度が高すぎると、熱融着時に紡錘状の節部が
形成されにくくなる。
【0034】熱可塑性エラストマーの基本的特性として
は、後で定義する破断伸度が500%以上が好ましく、
更に好ましくは800%以上である。この伸度が低すぎ
ると、クッション構造体が圧縮されその変形が熱固着点
におよんだとき、この部分の結合が破壊され易くなる。
【0035】一方、熱可塑性エラストマーの300%の
伸長応力は0.8kg/mm2 以下が好ましく、更に好まし
くは0.6kg/mm2 以下である。この応力が大きすぎる
と、熱固着点が、クッション構造体に加わる力を分散し
にくくなり、クッション構造体が圧縮されたとき、その
力で該熱固着点が破壊されるおそれがあるか、あるいは
破壊されない場合でもマトリックスを構成する非弾性ポ
リアミド系捲縮短繊維までを歪ませたり、捲縮をへたら
してしまうことがある。
【0036】また、熱可塑性エラストマーの300%伸
長回復率は60%以上が好ましく、さらに好ましくは7
0%以上である。この伸長回復率が低いと、クッション
構造体が圧縮されて熱固着点は変形しても、もとの状態
に戻りにくくなるおそれがある。
【0037】これらの熱可塑性エラストマーは、該非弾
性ポリアミド系捲縮短繊維を構成するポリマーよりも低
融点であり、かつ熱固着点の形成のための融着処理時に
該捲縮短繊維の捲縮を熱的にへたらせないものであるこ
とが必要である。この意味から、その融点は該短繊維を
構成するポリマーの融点より30℃以上、特に60℃以
上低いことが好ましい。かかる熱可塑性エラストマーの
融点は例えば130〜180℃の範囲の温度であること
ができる。
【0038】この融点差が30℃より少ないと、以下に
述べる融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、非弾
性ポリアミド系捲縮短繊維の捲縮のへたりを惹起し、ま
た該捲縮短繊維の力学的特性を低下させてしまう。な
お、熱可塑性エラストマーについて、その融点が明確に
観察されないときは、融点を軟化点をもって代替する。
【0039】一方、上記の熱可塑性エラストマーの相手
方成分として用いられる非弾性ポリエステルとしては、
繊維形成能のあるポリエステルであれば用いることがで
きるが、そのなかでも、ポリブチレンテレフタレートが
より好ましく採用される。
【0040】上述の複合繊維は、クッション構造体の重
量を基準として、10〜70%、好ましくは20〜60
%の範囲で分散・混入される。この分散・混入率が低す
ぎると、熱固着点の数が少なくなり、クッション構造体
が変形し易くなったり、弾力性、反撥性および耐久性が
低いものになりかねない。
【0041】一方、この分散・混入率が高すぎると、反
撥性を与える非弾性ポリアミド系捲縮短繊維の構成本数
があまりにも少なくなり、構造体としての反撥性が不足
してくる。
【0042】また、クッション構造体は、厚み方向に圧
縮されて反撥する材料であるから、その性能を発揮する
には、少なくとも5mm以上、好ましくは10mm以上、更
に好ましくは20mm以上の厚みを有していることが好ま
しい。このように、厚みは通常5〜30mm程度である
が、ある場合には約1〜2mに達する場合もある。
【0043】本発明のクッション構造体の製造に際して
は、非弾性ポリアミド系捲縮短繊維と、該非弾性ポリア
ミド系捲縮短繊維を構成するポリアミドポリマーの融点
より30℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマー
と非弾性ポリエステルとからなり、前者が繊維表面の少
なくとも1/2を占める弾性複合繊維とを混綿して、少
なくとも30cm3 /gの嵩性を有するウェッブを形成す
ることにより、複合繊維同士間、および該非弾性ポリア
ミド系捲縮短繊維と複合繊維間に立体的な繊維交叉点を
形成せしめた後、該エラストマーの融点より10〜50
℃高い温度で熱処理して、繊維交絡点の少なくとも一部
を熱融着させる。
【0044】更に詳しくは、捲縮が付与され、40cm3
/g、好ましくは60cm3 /gの嵩高性を有する非弾性
ポリアミド系短繊維塊(ないしウェッブ)と、好ましく
は捲縮を発現した弾性複合繊維塊とをカードを通して両
者が均一に混綿されたウェッブを得る。このような混綿
により、ウェッブには弾性複合繊維同士、および該複合
繊維と非弾性ポリアミド系捲縮短繊維間には無数の繊維
交叉点が形成される。次に、このようなウェッブを所定
の密度になるように金型に入れ、ポリアミドポリマーの
融点よりも低くそして弾性複合繊維中の熱可塑性エラス
トマーの融点(または流動開始点)より10〜50℃高
い温度で融着処理することにより、上記繊維交叉点でエ
ラストマー成分が融着され、既に述べた(A)のアメー
バー状全方位的可撓性熱固着点および(B)の準全方位
的可撓性熱固着点を形成するものである。
【0045】ここで、立体的な繊維交叉点とは、文字通
り、ウェッブの厚み方向と平行な面に対して90°未満
の角度で存在する交叉点のことである。勿論、このウェ
ッブにおいては、ウェッブの水平面と平行な面にも多数
の繊維交叉点が同時に生じる。しかし、これらはクッシ
ョン構造体に比べて密度がはるかに高い人工皮革のよう
な集合体(例えば不織布)にむしろ特徴的に見られる。
この点、本発明の方法にあっては、上記の平面的繊維交
叉点に加えて、ウェッブ密度を30cm3 /g以上とする
ことにより、立体的繊維交叉点を形成させる点に特徴が
ある。そして、熱融着処理後に0.1g/cm3 以下のク
ッション構造体が形成されたときにも、この立体的繊維
交叉点の大半は維持されている。
【0046】非弾性ポリアミド系捲縮短繊維、弾性複合
繊維は公知の紡糸法によって得ることができる。その
際、用いるポリマー、単繊維太さ、両者の混合比率等に
ついては、既に説明したとおりである。唯、双方の繊維
共、紡出後1.5倍以上延伸されていることが好まし
い。延伸された繊維により構成したクッション構造体
は、延伸されていない繊維を用いたクッション構造体に
比べて反撥性に優れ、へたりもすくない。この理由とし
ては、延伸をうけ短繊維化され弛緩状態になる過程で非
晶部の緩和が起り非晶部がランダム化し、より弾性の優
れた繊維構造になり、それが溶融固化後も維持されやす
いためと推察される。また、弾性複合繊維は熱収縮が低
い方がよい。熱収縮が高いと、熱融着時に熱可塑性エラ
ストマーが溶融するまでに著しく収縮してしまい、繊維
交叉点のうち熱固着点に転化される数が減少する。弾性
複合繊維の熱収縮を低下させるには、延伸後に40〜1
20℃の温度で20秒以上熱処理すればよい。
【0047】短繊維に付与する捲縮は、押込捲縮で十分
である。その場合の捲縮数としては5〜15ケ/inch
(JIS L1045により測定)が好ましく、8〜1
2ケ/inch(同)がより好ましい。しかしながら、夫々
の繊維の紡出時に異方冷却等の手段により繊維構造に異
方性を与えて潜在捲縮能を付与してから、更に押込捲縮
を施すことも有用である。また長繊維のまま仮撚を与え
熱セットを行ったのち解撚し、カットして得ても良い。
【0048】
【効果】本発明のクッション構造体は、発泡ウレタンフ
ォームに比べて圧縮における初期の硬さがなく、反撥性
が大きく、かつ圧縮量にほぼ比例して大きくなるため底
突き感が極めて少ない。しかも、構造体自体が低密度で
あるため、通気性が高く蒸れる心配もない。
【0049】また、繰り返し圧縮に対する耐久性に関し
ても、熱固着点が破壊されにくく、変形した場合でも除
重後原形に戻り易く、その圧縮耐久性も優れている。
【0050】一方、この構造体の製造に際しては、短繊
維のウェッブを乾熱処理するだけの簡単で短い工程で均
一なクッション構造体が得られ、しかも構造体におい
て、部分的に硬さを変えたり、厚み方向の硬さを変える
ことも繊維の混率や繊維の構成あるいは、密度を変える
ことによって簡単にできる。
【0051】従って、本発明のクッション構造体は、ク
ッション性、反撥性、耐久性および回復性に優れ、しか
も通気性が高いので蒸れにくいという特徴がある。ま
た、製造に際しても、加工のムラが出来にくく、加工で
の多様化も図りやすく、しかも短い工程で製造できる。
したがって、この構造体の利用範囲は、各種のクッショ
ン材、例えば家具、ベッド、寝具、各種座席のクッショ
ン材用として好適である。
【0052】本発明を、更に実施例により説明する。実
施例中下記の測定が行なわれた。
【0053】熱固着点の破断強度および破断伸度の測定
クッション構造体において、2本の繊維が45°〜9
0°の交叉角で交叉し、かつ交叉点が固着された部分を
異なる2本の繊維を含むようにしてサンプリングを行
う。次に、熱固着点をほぼ中央にし互いに固着してつな
がった該2本の異なる繊維を試料長2mmの間隔で引張り
試験機のつかみ部に取り付け2mm/分のスピードで引張
り、初荷重0.3gをかけた時の伸びを緩みとして読
み、さらに試料を引張り、試料の固着点が破壊するまで
の最大荷重(g)およびそのときの伸びを測定し、次式
により熱固着点の破断強度および破断伸度を算出した。
破断強度を算出する試験回数は、ランダムにサンプリン
グされた固着点(A)を10個、および固着点(B)を
10個とで試料数n=20とし、その平均値で表わす。
((A):(B)の個数1:1)
【0054】破断強度(g/de)=[切断時の荷重
(g)]/(試料中の2本の短繊維の平均デニール) 破断伸度(%)=[(E2 −E1 )/(L+E1 )]×
100 E1 ;緩み(mm) E2 ;最大応力時の伸び(mm) L ;つかみ間隔(mm)
【0055】熱固着点の10%伸長弾性回復率の測定 熱固着点の破断強力、破断伸度の測定の場合と同じよう
にサンプリング、サンプル取付けを行い、初荷重0.3
gをかけた所をL0 の試長とし引張りを2mm/分でスタ
ートする。試長に対し10%伸度になるまで引張り後、
直ちに同じスピードで除重し、除重した状態で2分間放
置後再び同じスピードで引張る。最初の0.3gの初荷
重のかかった試長と、再度引張り0.3gの荷重のかか
った時の試長の差l(mm)から次式により10%伸長弾
性回復率を求めた。試験回数およびサンプリングは前記
の破断強度の測定の場合と同様とする。
【0056】 10%伸長弾性回復=(1−l/l0 )×100 l0 ;10%伸長長さ(mm)=L0 ×0.1 l ;残留伸び(mm) (最初の0.3g初荷重をかけた時の試長−2回目の
0.3g荷重のかかった時の試長)
【0057】クッション材の厚みと密度の測定 平板状に調整されたクッション構造体の目付(g/
2 )を測定し、0.5g/cm2 の荷重下での厚み(c
m)を測定し密度(g/cm3 )を算出した。
【0058】ポリエステル弾性体の固有粘度の測定 ポリエステル弾性体をフェノールとテトラクロルエタン
との等重量混合溶剤を用いて、35℃で極限粘度を測定
した。
【0059】ウェッブの嵩性の測定 短繊維をウェッブ化し重ね合わせて目付を1000g/
2 として切り出したサンプルに10g/cm2 の荷重を
1分間かけ、解放1分後に0.5g/cm2 の荷重下で厚
みを測定し嵩性(cm3 /g)を算出した。
【0060】熱可塑性ポリマーの物性の測定 (1)測定用フィルムの作成 ポリマーを300℃の窒素雰囲気中で溶融し、脱泡後1
00℃でクリアランスが0.5mmに設定された1組の金
属ローラ間を20m/min で通して圧延し、厚み約0.
5mmのフィルムを得た。そのフィルムから縦方向に5mm
の幅で長さが50mmのサンプルを打抜いて熱可塑性ポリ
マーの物性測定用フィルムとした。
【0061】(2)破断伸度の測定 物性測定用フィルムを試長50mmとし、引張スピードを
50mm/min として破断伸度を測定した。
【0062】(3)300%伸長応力の測定 物性測定用フィルムの試長を50mmとし、引張スピード
を50mm/min として300%引張り、その時の応力を
サンプルの初期の断面積(厚み×幅)で割り、算出した
値を300%、伸長応力(kg/mm2)とした。
【0063】(4)300%伸長回復率の測定 物性測定用フィルムの試長を50mmとし、引張スピード
を50mm/min として300%引張り、その後、スピー
ド50mm/minで元の零点に戻し2分間放置後に再び引
張スピード50mm/min で引張った。初期の応力の立上
りと放置後の立上り(2g応力)から試料の緩み長さ
(mm)を求め、伸長量150mmに対する比率(%)を
(1―緩み長さ/150)×100(%)により算出
し、300%伸長回復率とした。
【0064】(5)融点 Du Pont 社製、熱示差分析計990型を使用し、昇温速
度20℃/分で測定し、融解ピーク温度を求めた。
【0065】(6)軟化点 微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、約3gのポ
リマーを2枚のカバーガラスの間に挟み、ピンセットで
軽く抑えながら、昇温速度約10℃/分で昇温し、ポリ
マーの熱変化を観察する。その際ポリマーが軟化して流
動し始めた温度を、軟化点とする。
【0066】クッション材の圧縮反撥性と圧縮耐久性の
測定 平板状に調整された密度0.035g/cm3 、厚み5cm
のクッション構造体を断面積20cm2 の平坦な下面を有
する円柱ロッドで1cm圧縮しその応力(初期応力)を測
定し、これを圧縮反撥性とした。測定後に800g/cm
2 の荷重で10秒間圧縮したのち除重して5秒間放置の
操作を360回繰り返し、24時間後再び圧縮応力を測
定した。この初期応力に対する繰り返し圧縮後の応力の
比率%をクッション材の圧縮耐久性とした。
【0067】クッション構造体の圧縮回復性の測定 平板状に調整された密度0.035g/cm3 、厚み5cm
のクッション構造体を断面積20cm2 の平坦な下面を有
する円柱ロッドで500g/cm2 の荷重になるまで10
0mm/分スピードで圧縮した後、直ちに100mm/分の
スピードで除重し、この測定によって描き出された圧縮
長―応力の曲線(図4)から得られる面積より圧縮回復
性(Rc)を算出した。
【0068】 圧縮回復性(RC)%=[(ODABによって囲まれる面積)
/(OCABによって囲まれる面積)]×100
【0069】
【実施例1】テレフタル酸とイソフタル酸とを80/2
0(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールと
を重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38
%(重量%)を更にポリブチレングリコール(分子量2
000)62%(重量%)と加熱反応させ、ブロック共
重合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。こ
の熱可塑性エラストマーの固有粘度は1.0、融点15
5℃、フィルムでの破断伸度は1500%、300%伸
長応力は0.3kg/mm2 、300%伸長回復率は75%
であった。
【0070】この熱可塑性エラストマーをシースに、ポ
リブチレンテレフタレートをコアに、コア/シースの重
量比で50/50になるように常法により紡糸した。な
お、この複合繊維は、偏心シース・コア型複合繊維であ
る。この繊維を2.0倍に延伸し64mmに切断した後9
5℃の温水で熱処理し、低収縮化と捲縮発現をさせ乾燥
後、油剤を付与した。なお、ここで得られた弾性複合繊
維の単繊維の太さは6デニールであった。
【0071】この弾性複合繊維40%(重量)と、常法
により得られた単繊維の太さが14デニール、繊維長が
64mm、捲縮数が9ケ/inchの中空断面ナイロン6短繊
維(ウェッブ嵩80cm3 /g、ナイロン6の融点215
℃)60%(重量)とをカードにより混綿し、嵩性が5
5cm3 /gのウェッブを得た。このウェッブを重ね、厚
み5cm、密度0.035g/cm3 になるように平板型の
金型に入れ、185℃で10分間熱処理して、平板型の
クッション材を得た(熱可塑性エラストマーは、クッシ
ョン構造体中で(20重量%)を占める。
【0072】このクッション構造体を電子顕微鏡で詳し
く観察したところ、図5,6および7に示される構造を
呈しており、弾性複合繊維同士の交叉点が熱可塑性エラ
ストマーにより融着一体化されてアメーバー状の熱固着
点が散在状態で形成されていること、さらに非弾性ポリ
アミド系捲縮短繊維と弾性複合繊維との交叉点が同様に
熱可塑性エラストマーにより融着一体化されて熱固着部
が散在状態で形成されていることが観察された。(A)
の熱固着点のW/D(n=10)は2.95であった。
また、(A)および(B)を含めた熱固着点の破断強度
は1.1g/deで破断伸度は58%、10%伸張弾性率
は94%であった。そして、クッション構造体の密度は
0.036g/cm3 と低く、弾性複合繊維同士が立体的
に緊密に相互融着している部分が相当数見受けられた。
さらに、図1〜3に示すような節部3も多数見受けられ
た。
【0073】従って、クッション構造体の通気性は非常
に優れていた。また、このクッション構造体は、ウレタ
ンフォームに見られるような圧縮に対する初期の硬さも
なく、クッション性に優れていた。さらに圧縮反撥性お
よび圧縮耐久性は夫々2.5kgおよび54%といずれも
高く、また圧縮回復性は65%までに改善されており、
極めて理想的なクッション構造体であった。
【0074】
【参考例】テレフタル酸とイソフタル酸とを60/40
(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールと
ジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合
したジオール成分とから共重合ポリエステルを得た。こ
のポリマーの固有粘度は0.8であった。融点は明確で
ないが、100℃付近から軟化して流動し始めたので、
この110℃をもって軟化点とした。このフィルムの強
度は実施例1と同程度であったが破断伸度は5%と低く
硬いポリマーであった。
【0075】このポリマーを複合繊維のシース成分とし
て用いることと熱処理温度を150℃とすること以外
は、実施例1と同じ方法でクッション構造体を得た。得
られたクッション構造体の結合形態を電子顕微鏡で観察
したところ、本発明でいうアメーバー状の熱固着点程の
ものは見受けられず、また紡錘状の節部も認めることは
できなかった。因みに、(A)の熱固着点のW/Dは
1.60であった。また(A)および(B)を含めた熱
固着点の破断強度は0.4g/de、破断伸度は6%であ
った。従って熱固着点の10%伸張弾性率は測定不可能
であった。
【0076】このクッション構造体のクッション性は悪
く、初回の圧縮反撥性は5kgと高かったが、2回目以降
の圧縮では、圧縮反撥性が大巾に低下した。実際に、圧
縮耐久性および圧縮回復性を調べてみると、夫々12%
および35%であり、耐久性に極めて問題のあるクッシ
ョン構造体であった。
【0077】
【比較例1〜2】密度を0.12g/cm3 になるように
ウェッブを金型にいれて、熱処理する以外は実施例1と
同様にして得た構造体は、ルーズな紙の密度に相当する
程に密度が高すぎるために、弾性複合繊維同士が構造体
内部で立体的結合状態をとり得ず、実質的に平行状態で
相互が融着して緊密化し、また表面も緻密化を始めてい
るため非常に重量感があった。また、圧縮に対しても非
常に硬く、樹脂の固まりの様相を呈しクッション構造体
としては到底供し得なかった。
【0078】また、ウェッブ密度を0.004g/cm3
になるようにウェッブを金型にいれて、熱処理したもの
は、反撥性が極めて低く、均一な構造とならず、得られ
た構造体は圧縮反撥力が0.3kgと著しく低いものであ
った。
【0079】
【比較例3〜4】実施例1での熱処理温度を158℃と
した場合、得られたクッション構造体は、非弾性ポリア
ミド系捲縮短繊維の交叉部に熱可塑性エラストマーが集
まらず、かろうじて熱融着しているだけであった。そし
て、この熱固着点の強度は0.15g/deで、この熱固
着点ははずれやすく、クッション構造体の圧縮耐久性も
28%と低かった。
【0080】
【実施例2】脱水された水酸基化価が102のポリメチ
レングリコールと1,4―ビス(ヒドロキシエトキシ)
ベンゼンとをジャケット付きルーダーで攪拌しながら混
合溶解したのち、85℃でp,p′―ジフェニルメタン
ジイソシアネートを加えて反応させ粉末状熱可塑性ポリ
ウレタンエラストマー(軟化点:151℃)を得、これ
を押出機によりペレット化した。この熱可塑性ポリウレ
タン系エラストマーをシースに、ポリブチレンテレフタ
レートをコアに用いて、弾性複合繊維(重量比50/5
0)を得、実施例1とほぼ同様にしてクッション構造体
を得た。
【0081】得られたクッション構造体は、形態的に
は、複合繊維同士、更には非弾性ポリアミド系捲縮短繊
維と複合繊維との交叉点がポリウレタンエラストマーに
より融着一体化されており、密度0.035g/cm3
あり、通気性も高いものであった。(A)の熱固着点の
W/Dは2.65であった。また、(A)および(B)
を含めた熱固着点の破断強度は0.4g/de、破断伸度
は14%、10%伸張弾性回復率は93%と高かった。
【0082】このクッション構造体は圧縮に対してソフ
トで容易に圧縮され、圧縮反撥性は、1.5kgで、やや
低目であった。一方、圧縮耐久性および圧縮回復性は、
夫々43%および72%と高くクッション構造体として
有用なものであった。
【0083】
【比較例5】実施例1で用いた単繊維の太さが14デニ
ール、繊維長64mmの中空断面ナイロン6短繊維をカー
ドによりウェッブ化した。一方、バインダー溶液として
ウレタンプレポリマー(三井日曹ウレタンMN3050
とT―80により合成したNCO%=5%)にシリコン
整泡剤を0.2%加えた、40重量%濃度のトリクレン
溶液に該ウェッブを浸漬した後、遠心脱水機に投入し、
乾燥後ウレタン付着率が30%になるように脱液した。
【0084】その後、穴あき平板プレート金型内に含浸
処理したウェッブを詰め込んだ状態で100℃の水蒸気
を吹き込んで上記ウレタンバインダーを硬化させ、さら
に120℃で乾燥後、繊維構造体を取出した。
【0085】この構造体の密度は0.035g/cm3
あった。しかし、該構造体を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、非弾性捲縮短繊維同士の交叉点がウレタン樹脂で固
着されてはいたが、固着部間にあっては樹脂付着量のム
ラが大きく、しかもウレタン樹脂部は発泡状態にあり、
穴が見受けられた。この固着点の強度は0.2g/deと
低く、伸度は14%であった。また、固着点の10%伸
張弾性率は78%であった。
【0086】このクッション構造体の圧縮耐久性は45
%とやや低く、圧縮回復率も60%とやや低く、耐久性
に問題のあるクッション構造体であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクッション構造体の断面図で、図5の
電子顕微鏡写真(50倍)から写したもの。
【図2】本発明のクッション構造体の断面図で、図6の
電子顕微鏡写真(100倍)から写したもの。
【図3】本発明のクッション構造体中に、特異な固着点
として散在するアメーバー状全方位的可撓性熱固着点お
よび準全方位的可撓性熱固着点の正面図であって、図7
の電子顕微鏡写真(350倍)から写したもの。
【図4】クッション構造体の圧縮回復性を算出するため
に用いるグラフ。
【図5】本発明のクッション構造体の構造を示す電子顕
微鏡写真(50倍)。
【図6】本発明のクッション構造体の構造を示す電子顕
微鏡写真(100倍)。
【図7】本発明のクッション構造体中に散在するアメー
バー状全方位的可撓性熱固着点および準全方位的可撓性
熱固着点の電子顕微鏡写真図(350倍)。
【符号の説明】
1 非弾性ポリアミド系捲縮短繊維 2 弾性複合繊維 3 紡錘状の節部 4 ループ A アメーバー状全方位的可撓性熱固着点 B 準全方位的可撓性熱固着点 θ 弾性複合繊維同士の交叉角 W1 ,W2 熱固着点の巾 d1 ,d2 ,d3 ,d4 弾性複合繊維の直径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 信男 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非弾性ポリアミド系捲縮短繊維集合体を
    マトリックスとし、密度が0.005〜0.10g/cm
    3 、厚さが5mm以上であるクッション構造体において、
    該短繊維集合体中には、短繊維を構成するポリアミドポ
    リマーの融点より30℃以上低い融点を有する熱可塑性
    エラストマーと、非弾性ポリエステルとからなり、前者
    が少なくとも繊維表面に露出した弾性複合繊維が分散・
    混入され、その際、該クッション構造体中には、(A)
    該弾性複合繊維同士が交叉した状態で互いに熱融着によ
    り形成されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着点、お
    よび(B)該弾性複合繊維と該非弾性ポリアミド系短繊
    維とが交叉した状態で熱融着により形成された準全方位
    的可撓性熱固着点とが散在し、かつ隣り合う可撓性熱固
    着点の間((A)―(A)間、(A)―(B)間および
    (B)―(B)間)に存在する複合繊維群にあって、一
    部の複合繊維には長手方向に沿って少なくとも1ケの紡
    錘状の節部が存在することを特徴とするクッション構造
    体。
  2. 【請求項2】 アメーバー状全方位的可撓性熱固着点の
    融着状態が、2.0<W/D<4.0を満足する、請求
    項1記載のクッション構造体。ここで、Wは、熱固着点
    の巾Dは、熱固着点に関与する繊維の平均直径である。
  3. 【請求項3】 非弾性ポリアミド系捲縮短繊維と、該非
    弾性ポリアミド系捲縮短繊維を構成するポリアミドポリ
    マーの融点より30℃以上低い融点を有する熱可塑性エ
    ラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が繊
    維表面の少なくとも1/2を占める弾性複合繊維とを混
    綿して、少なくとも30cm3 /gの嵩性を有するウェッ
    ブを形成することにより複合繊維同士間、および該非弾
    性ポリアミド系捲縮短繊維と複合繊維との間に立体的な
    繊維交叉点を形成せしめた後、該ポリアミドポリマーの
    融点よりも低くそして該エラストマーの融点より10〜
    50℃高い温度で熱処理して、これら繊維交絡点のうち
    の少なくとも一部の繊維交絡点を熱融着させることを特
    徴とするクッション構造体の製造方法。
JP3351167A 1991-12-13 1991-12-13 クッション構造体およびその製造方法 Pending JPH05163652A (ja)

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