JP3935776B2 - クッション構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合短繊維による熱固着点を散在させた、新規クッション構造体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、家具、ベッド、ブラパッドなどに用いられるクッション構造体の分野においては、発泡ウレタンフォーム、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維詰綿、ポリエステル系捲縮短繊維を接着した樹脂綿や固綿などが使用されている。
【0003】
しかるに、発泡ウレタンフォームは、その製造中に使用される薬品等の取り扱いが難しく、かつフロンを排出するという問題がある。また、得られた発泡ウレタンフォームの圧縮特性は圧縮初期が硬く、その後急に沈み込むという独特の特性を示すために、クッション性に乏しいばかりか、底突き感が大きいという欠点がある。しかも、該フォームは通気性に乏しいので蒸れやすく、クッション構造体として好まれないことが多い。
【0004】
他方、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維詰綿においては、集合体構造が固定されていないため、使用中に形が崩れ易く、構成短繊維が移動したり、該短繊維の捲縮がへたったりして嵩性や反発性が大きく低下するという欠点がある。
【0005】
また、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をアクリル酸エステルポリマーなどの樹脂や低融点バインダー繊維(例えば、特開昭58−31150号公報)で固着させた樹脂綿や固綿などでは、固着力が弱いため容易に破壊されたり、固着点が硬くモービリテイがないため、クッション性に乏しいものしか得られないという欠点があった。
【0006】
このようなクッション性と耐久性を高めるため、例えば、特開平5−179549号公報では、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をマトリックスとし、弾性複合繊維で熱固着点を形成する方法が提案されている。かかる方法により、クッション性と耐久性が向上するものの、用途によってはさらに高いクッション性と耐久性が求められている。
【0007】
このため、例えば、特開平5−163654号公報では、熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとで形成された弾性複合繊維からなるクッション構造体が提案されている。しかるに、このように弾性複合繊維だけで構成されたクッション構造体においては、高いクッション性と耐久性が得られるものの、弾性複合繊維を熱融着させる際の熱処理により反発性が低下してしまうという問題があり、その解決が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題を解消するためになされたものであり、その課題は、優れたクッション性と耐久性だけでなく、十分な反発性をも有するクッション構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、熱可塑性エラストマーと繊維形成性ポリエステルポリマーからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出した複合繊維を複合短繊維化してウエッブを形成する際、該複合短繊維に前もって特定の加熱条件で熱処理を施すことによりクッション構造体作製時の熱収縮を押えることができ、その結果、優れたクッション性と耐久性だけでなく、優れた反発性をも有するクッション構造体が得られることを見出した。そして、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明に到達した。
【0010】
かくして、本発明によれば、「繊維形成性ポリエステルポリマーと該繊維形成性ポリエステルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーとからなり、後者が少なくとも繊維表面に露出した複合繊維を用いて複合短繊維となした後、前記熱可塑性エラストマーの融点より5〜50℃低い温度で5〜30分熱処理した後、該複合短繊維のみでウエッブを形成し、複合短繊維間に繊維交叉点を形成せしめた後、前記繊維形成性ポリエステルポリマーの融点よりも低く、かつ前記熱可塑性エラストマーの融点よりも10〜80℃高い温度で熱処理して、繊維交叉点のうちの少なくとも一部の繊維交差点を熱融着させることにより、熱可塑性エラストマーと繊維形成性ポリエステルポリマーからなり前者が少なくとも繊維表面に露出した複合短繊維のみで構成された、密度が0.005〜0.15g/cm3、厚さが5mm以上のクッション構造体であって、該クッション構造体に、前記複合短繊維同士が交叉した状態で互いに熱接着により形成された熱固着点が散在し、かつ下記(1)〜(3)の要件を同時に満足するクッション構造体を製造することを特徴とするクッション構造体の製造方法。」が提供される。
(1)クッション構造体の反発弾性が50%以上。
(2)クッション構造体の25%圧縮硬さが300N以下。
(3)クッション構造体の圧縮耐久性歪が13%以下。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明のクッション構造体を構成する複合短繊維は、熱可塑性エラストマーと繊維形成性ポリエステルポリマーとで形成され、前者の熱可塑性エラストマーが少なくとも繊維表面に露出している必要がある。熱可塑性エラストマーが繊維表面に露出していない場合は、後記の特性を有するクッション構造体が得られず好ましくない。重量割合としては、前者と後者が30/70〜70/30の範囲が適当である。かかる複合短繊維の複合形態としては、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型のいずれであってもよいが、鞘部が熱可塑性エラストマーからなり、他方の芯部が熱可塑性ポリエステルポリマーからなる偏心芯鞘構造が好ましい。かかる偏心芯鞘構造を採用することにより、複合短繊維がコイル状捲縮を発現しやすく、本発明の主目的のひとつである優れたクッション性が得られやすい。なお、該複合短繊維の断面形状としては、中空、中実、異型いずれでもよい。
【0015】
前記の熱可塑性エラストマーとしては、破壊伸度が大きく、伸張回復特性が良いものが好ましい。このような熱可塑性エラストマーを採用することにより、クッション構造体中の熱固着点に変形応力が付加、除荷された際、熱固着点が容易に変形回復することができる。かかる熱可塑性エラストマーとしてはポリエステル系エラストマーが好ましく例示される。
【0016】
ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セパシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、あるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度の、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリ(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも1種から構成される三次元重合体が例示される。
【0017】
なかでも、ポリブチレン系テレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシブチレングリコールソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。もちろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていてもよい。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル成分は、テトラメチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってもよい。なお、ポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分枝剤、艶消し剤、着色剤、その他各種改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
【0018】
このポリエステル系エラストマーの重合度は、固有粘度で0.8〜1.7、特に0.9〜1.5の範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎると、形成される熱固着点が破壊され易くなる。逆に、この固有粘度が高すぎると、熱固着点が形成されにくくなる恐れがある。
【0019】
前記熱可塑性エラストマーは、後記の繊維形成性ポリエステルポリマーの融点よりも40℃以上、特に60℃以上低いことが好ましい。かかる熱可塑性エラストマーの融点は例えば130〜220℃の範囲の温度であることができる。
【0020】
この融点差が40℃よりも小さいと、後記の融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、複合短繊維の力学特性が低下する恐れがある。なお、熱可塑性エラストマーについて、その融点が明確に観察されないときは、軟化点をもって融点の代替とする。
【0021】
一方、上記の熱可塑性エラストマーの相手方成分として用いられる繊維形成性ポリエステルポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが例示され、なかでもポリブチレンテレフタレートがより好ましく例示される。
【0022】
この複合短繊維は、後記のクッション構造体特性を得る上で、また、クッション構造体を製造する際の工程安定上、単糸繊度は、0.5〜150dtex(より好ましくは1〜70dtex)であることが好ましい。該繊度が、0.5dtexよりも小さいと結合点が増えすぎて充分なクッション性が得られない恐れがある。逆に、該繊度が150dtexよりも大きいと、結合点が少ないため充分な反発性が得られなかったり、硬い風合いになる恐れがある。複合短繊維のカット長さは25〜255mm(より好ましくは32〜178mm)、捲縮数は、4〜50個/2.54cm(より好ましくは6〜35個/2.54cm)であることが、クッション構造体のクッション性、圧縮耐久性、クッション構造体の製造工程の安定上好ましい。
【0023】
本発明のクッション構造体において、前記複合短繊維同士が交叉した状態で互いに熱接着により形成された熱固着点が散在する必要がある。かかる熱固着点は、熱可塑性エラストマー同士の熱融着により形成された熱固着点でもよいし、熱可塑性エラストマーと繊維形成性ポリエステルポリマーとの熱融着により形成された熱固着点でもよいが、前者であることが好ましい。熱可塑性エラストマー同士の熱融着により形成された熱固着点は優れた可撓性を有するため、クッション構造体に荷重が加えれたとき、すなわち、該固着点にも荷重が加えられたとき、この固着点が荷重の方向に沿って、自由自在に変形回復可能となる。そして、かかる熱固着点の間に位置する複合短繊維は、コイル状弾性捲縮及び/又は弾性ループを発現した形で存在することがクッション性の点で好ましい。
【0024】
次に、本発明のクッション構造体の密度は、0.005〜0.15g/cm3(好ましくは0.008〜0.12g/cm3)の範囲にある必要がある。該密度が、0.005g/cm3よりも小さいと、構造体の反発性が乏しくなり、構造体に荷重が加えられると1本1本の繊維に歪みや応力がかかりすぎて、構造体そのものが変形し易く耐久性もなくなるので、好ましくない。逆に、該密度が0.15g/cm3よりも大きくなると、繊維密度が過度に高くなり、熱可塑性エラストマー同士が過密に相互融着しやすくなる。このような構造のものは厚み方向のクッション性が著しく低下し、通気性も極度に小さくなり蒸れ易いので好ましくない。
【0025】
なお、前記の密度は、下記の方法により求めた値を用いるものとする。すなわち、平板状に調整されたクッション構造体の目付け(g/m2)を測定し、0.49cN/cm2(0.5grf/cm2)の荷重下での厚み(cm)を測定し、密度(g/cm3)を算出するものとする。
【0026】
また、本発明のクッション構造体の厚みは、反発性の点で5mm以上である必要がある。該厚みは10mm以上(さらに好ましくは20mm以上)であることが好ましい。用途によっては約10〜20cmに達しても良い。なお、前記の厚みは0.49cN/cm2(0.5grf/cm2)の荷重下での厚み(cm)を測定するものとする。
【0027】
さらに、本発明のクッション構造体は、下記(1)〜(3)の要件を同時に満足する必要がある。
(1)クッション構造体の反発弾性が50%以上(より好ましくは60%以上)である。
(2)クッション構造体の25%圧縮硬さが300N以下(より好ましくは270N以下)である。
(3)クッション構造体の圧縮耐久性歪が13%以下(より好ましくは12%以下)である。
【0028】
ここで、前記の反発弾性と25%圧縮硬さはJIS K−6401により測定した値を用いるものとする。また、前記の圧縮耐久性歪は、下記の測定方法で測定した値を用いるものとする。
【0029】
すなわち、平板状に調整された、初期厚み5cmのクッション構造体に7.84N/cm2(800grf/cm2)の荷重で10秒間圧縮したのち除重して5秒間放置する操作を360回繰り返し、24時間後再び該クッション構造体の厚みを測定する。そして、初期厚みに対する繰り返し圧縮後の厚みの比率(%)をクッション構造体の圧縮耐久性歪とする。
【0030】
本発明のクッション構造体において、上記の要件を全て満足する範囲内であれば、他の短繊維及び/又は長繊維が少量含まれていてもさしつかえない。
【0031】
次に、本発明のクッション構造体の製造方法について説明する。まず、繊維形成性ポリエステルポリマーと該繊維形成性ポリエステルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーを用いて、公知の紡糸方法により、複合繊維を得る。その際、用いるポリマー、複合形態、単糸繊度については、すでに説明した通りである。ここで、該複合繊維は、紡出後1.5倍以上に延伸されていることが好ましい。延伸された繊維により構成されたクッション構造体は、延伸されていない繊維を用いたクッション構造体に比べて反発性に優れ、へたりも少ない。この理由としては、延伸を受けていると、短繊維化され弛緩状態になる過程で非晶部の緩和が起こり非晶部がランダム化し、より弾性の優れた繊維構造になり、それが溶融固化後も維持されやすいと推察される。
【0032】
次に、かかる複合繊維を、常法の工程により、複合短繊維化する。その際、カト長、捲縮数については先に説明した通りである。ここで、複合繊維を複合短繊維化する前に、複合繊維の捲縮を発現させるために、40〜120℃の温度、20秒以上で、湿式又は乾式熱処理してもよい。
【0033】
次に、かかる複合短繊維は、前記熱可塑性エラストマーの融点より5〜50℃(より好ましくは10〜25℃)低い温度で、5〜30分(より好ましくは8〜20分)熱処理する必要がある。該熱処理は乾式であってもよいし、湿式であってもよいが、乾式が好ましい。かかる熱処理により、複合短繊維の熱収縮が十分低下することによって、構造体作製時の熱収縮を押さえることができ、最終的に得られるクッション構造体は優れた反発性を有することになる。ここで、前記熱処理温度が前記範囲よりも低いと、充分な熱処理効果が得られず収縮が十分押さえることができず好ましくない。逆に、該熱処理温度が前記範囲よりも高いと、複合短繊維同士が熱融着するため好ましくない。
【0034】
そして、前記の複合短繊維でウエッブを形成し、複合短繊維間に繊維交叉点を形成せしめた後、前記繊維形成性ポリエステルポリマーの融点よりも低く、かつ前記熱可塑性エラストマーの融点よりも10〜80℃高い温度で熱処理して、繊維交叉点のうちの少なくとも一部の繊維交差点を熱融着させることにより、本発明のクッション構造体が容易に得られる。この際、前記ウエッブは必要に応じて積層された後、圧縮されながら熱処理されることが好ましい。かかる加熱圧縮方法としては、パンチングプレートで構成される平板やキャタピラー式の上下パンチングプレートによるコンベアーにウエッブを挟み込んで加熱圧縮する方法やパンチングプレートなどで作製された金型に複合短繊維を吹き込み、加熱圧縮する方法などが例示される。
【0035】
上記の方法で得られたクッション構造体は、複合短繊維でウエッブを形成する前に、該複合短繊維に前記の熱処理が施されているため、クッション構造体の反発性が損なわれることがない。さらに、熱可塑性エラストマーと繊維形成性ポリエステルポリマーからなり前者が少なくとも繊維表面に露出した複合短繊維で構成されるため、優れたクッション性と耐久性をも有する。
【0036】
【実施例】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<クッション構造体の厚み>0.49cN/cm2(0.5grf/cm2)の荷重下での厚み(cm)を測定した。
<クッション構造体の密度>平板状に調整されたクッション構造体の目付け(g/m2)を測定し、0.49cN/cm2(0.5grf/cm2)の荷重下での厚み(cm)を測定し、密度(g/cm3)を算出した。
<反発性>JIS K−6401により反発弾性(%)を測定した。
<25%圧縮硬さ>JIS K−6401により25%圧縮硬さ(N)を測定した。
<圧縮耐久性歪>平板状に調整された、初期厚み5cmのクッション構造体に7.84N/cm2(800grf/cm2)の荷重で10秒間圧縮したのち除重して5秒間放置する操作を360回繰り返し、24時間後再び該クッション構造体の厚みを測定する。そして、初期厚みに対する繰り返し圧縮後の厚みの比率(%)をクッション構造体の圧縮耐久性歪(%)とした。
【0037】
[実施例1]
まず、テレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート38%(重量%)を更にポリテトラメチレングリコール(分子量2000)62%(重量%)と加熱反応させ、熱可塑性エラストマーとしてブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラストマー(固有粘度1.0、融点155℃)を得た。該熱可塑性エラストマーを鞘部に、ポリブチレンテレフタレート(融点224℃)を芯部に、鞘/芯の重量比で50/50になるように常法により紡糸した。なお、この複合繊維は、偏心芯鞘型複合繊維であり、熱可塑性エラストマーが繊維表面に存在するものであった。この繊維を2.0倍に延伸し80℃の温水で熱処理し、捲縮発現させ乾燥後、油剤を付与し、64mmに切断した。
【0038】
得られた複合短繊維に140℃、10分間の乾式熱処理を施した後、開繊し、常法のカードによりウエッブ化し、該ウエッブを積層することによって積層ウエッブを得た。
【0039】
次に、該積層ウエッブを、通気性を有する平板形モールドに挟み込み、200℃の熱風炉で10分間加圧・加熱処理後、冷却し、平板状のクッション構造体を得た。
【0040】
このクッション構造体を電子顕微鏡で観察したところ、複合短繊維同士が交叉した状態で、熱可塑性エラストマー同士の熱融着により形成された熱固着点が散在していた。また、隣り合う熱固着点間に存在する複合短繊維がコイル状弾性捲縮を発現した形で存在していた。
【0041】
かかるクッション構造体は、優れたクッション性と耐久性を有し、さらには、充分な反発性を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0042】
[実施例2]
実施例1と同様にして積層ウエッブを得て、該積層ウエッブを実施例1よりも多く、モールドに挟み込み、200℃の熱風炉で20分間加圧・加熱処理する以外は実施例1と同様にして平板状のクッション構造体を得た。
【0043】
このクッション構造体を電子顕微鏡で観察したところ、複合短繊維同士が交叉した状態で、熱可塑性エラストマー同士の熱融着により形成された熱固着点が散在していた。また、隣り合う熱固着点間に存在する複合短繊維がコイル状弾性捲縮を発現した形で存在していた。
【0044】
かかるクッション構造体は、優れたクッション性と耐久性を有し、さらには、充分な反発性を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0045】
[比較例1]
実施例1において、複合短繊維に熱処理を施さずにウエッブ化した以外は実施例1と同様にして平板状のクッション構造体を得た。この時、クッション構造体の収縮は非常に大きなものであり、密度が高いものとなった。かかるクッション構造体において、耐久性は充分であるものの、反発性は不十分であった。評価結果を表1に示す。
【0046】
[比較例2]
実施例1で用いたものと同じ複合短繊維30重量%と、常法にて得られたポリエチレンテレフタレート短繊維(13dtex、カット長64mm、捲縮数9個/2.54cm、捲縮度30%、融点256℃、断面形状中空)70重量%とを混綿し、常法によりウエッブ化する以外は実施例1と同様にして、平板状のクッション構造体を得た。かかるクッション構造体は、硬く、耐久性に劣るものであった。評価結果を表1に示す。
【0047】
[比較例3]
比較例2において、複合短繊維とポリエチレンテレフタレート短繊維との重量比率を(複合短繊維/ポリエチレンテレフタレート短繊維)で(90/10)に変える以外は、比較例2と同様にして平板状のクッション構造体を得た。かかるクッション構造体は、少し硬く、やや耐久性に劣るものであった。評価結果を表1に示す。
【0048】
[比較例4]
比較例2において、モールド内へのウエッブの挟み込み量を変える以外は、比較例2と同様にして平板状のクッション構造体を得た。かかるクッション構造体、クッション性が改善されたものであったが、耐久性の点で非常に劣るものであった。評価結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、優れたクッション性と耐久性を有するだけでなく、十分な反発性をも有するクッション構造体を得ることができる。かかるクッション構造体は、寝具、ベビーべッドや病院用ベッドのクッション、ブラジャーの中材や芯材、乗り物用クッション、衛材等に好適である。
Claims (1)
- 繊維形成性ポリエステルポリマーと該繊維形成性ポリエステルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーとからなり、後者が少なくとも繊維表面に露出した複合繊維を用いて複合短繊維となした後、前記熱可塑性エラストマーの融点より5〜50℃低い温度で5〜30分熱処理した後、該複合短繊維のみでウエッブを形成し、複合短繊維間に繊維交叉点を形成せしめた後、前記繊維形成性ポリエステルポリマーの融点よりも低く、かつ前記熱可塑性エラストマーの融点よりも10〜80℃高い温度で熱処理して、繊維交叉点のうちの少なくとも一部の繊維交差点を熱融着させることにより、
熱可塑性エラストマーと繊維形成性ポリエステルポリマーからなり前者が少なくとも繊維表面に露出した複合短繊維のみで構成された、密度が0.005〜0.15g/cm3、厚さが5mm以上のクッション構造体であって、該クッション構造体に、前記複合短繊維同士が交叉した状態で互いに熱接着により形成された熱固着点が散在し、かつ下記(1)〜(3)の要件を同時に満足するクッション構造体を製造することを特徴とするクッション構造体の製造方法。
(1)クッション構造体の反発弾性が50%以上。
(2)クッション構造体の25%圧縮硬さが300N以下。
(3)クッション構造体の圧縮耐久性歪が13%以下。
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