JP2003342864A - クッション構造体及びその製造方法 - Google Patents

クッション構造体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003342864A
JP2003342864A JP2002147427A JP2002147427A JP2003342864A JP 2003342864 A JP2003342864 A JP 2003342864A JP 2002147427 A JP2002147427 A JP 2002147427A JP 2002147427 A JP2002147427 A JP 2002147427A JP 2003342864 A JP2003342864 A JP 2003342864A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
cushion structure
heat
thermoplastic elastomer
short fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002147427A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3935776B2 (ja
Inventor
Atsushi Suzuki
篤 鈴木
Eiji Takahashi
英治 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2002147427A priority Critical patent/JP3935776B2/ja
Publication of JP2003342864A publication Critical patent/JP2003342864A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3935776B2 publication Critical patent/JP3935776B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたクッション性と耐久性だけでなく、十
分な反発性をも有するクッション構造体及びその製造方
法を提供すること。 【解決手段】 繊維形成性ポリエステルポリマーと該繊
維形成性ポリエステルポリマーの融点より40℃以上低
い融点を有する熱可塑性エラストマーとからなり、前者
が少なくとも繊維表面に露出した複合繊維を用いて複合
短繊維となした後、熱可塑性エラストマーの融点より5
〜50℃低い温度で5〜30分熱処理した後、該複合短
繊維でウエッブを形成し、複合短繊維間に繊維交叉点を
形成せしめた後、前記繊維形成性ポリエステルポリマー
の融点よりも低く、かつ前記熱可塑性エラストマーの融
点よりも10〜80℃高い温度で熱処理して、繊維交叉
点のうちの少なくとも一部の繊維交差点を熱融着させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合短繊維による
熱固着点を散在させた、新規クッション構造体及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、家具、ベッド、ブラパッドなどに
用いられるクッション構造体の分野においては、発泡ウ
レタンフォーム、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維詰
綿、ポリエステル系捲縮短繊維を接着した樹脂綿や固綿
などが使用されている。
【0003】しかるに、発泡ウレタンフォームは、その
製造中に使用される薬品等の取り扱いが難しく、かつフ
ロンを排出するという問題がある。また、得られた発泡
ウレタンフォームの圧縮特性は圧縮初期が硬く、その後
急に沈み込むという独特の特性を示すために、クッショ
ン性に乏しいばかりか、底突き感が大きいという欠点が
ある。しかも、該フォームは通気性に乏しいので蒸れや
すく、クッション構造体として好まれないことが多い。
【0004】他方、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維詰
綿においては、集合体構造が固定されていないため、使
用中に形が崩れ易く、構成短繊維が移動したり、該短繊
維の捲縮がへたったりして嵩性や反発性が大きく低下す
るという欠点がある。
【0005】また、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集
合体をアクリル酸エステルポリマーなどの樹脂や低融点
バインダー繊維(例えば、特開昭58−31150号公
報)で固着させた樹脂綿や固綿などでは、固着力が弱い
ため容易に破壊されたり、固着点が硬くモービリテイが
ないため、クッション性に乏しいものしか得られないと
いう欠点があった。
【0006】このようなクッション性と耐久性を高める
ため、例えば、特開平5−179549号公報では、非
弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をマトリックスと
し、弾性複合繊維で熱固着点を形成する方法が提案され
ている。かかる方法により、クッション性と耐久性が向
上するものの、用途によってはさらに高いクッション性
と耐久性が求められている。
【0007】このため、例えば、特開平5−16365
4号公報では、熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエス
テルとで形成された弾性複合繊維からなるクッション構
造体が提案されている。しかるに、このように弾性複合
繊維だけで構成されたクッション構造体においては、高
いクッション性と耐久性が得られるものの、弾性複合繊
維を熱融着させる際の熱処理により反発性が低下してし
まうという問題があり、その解決が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題を解消するためになされたものであり、その課
題は、優れたクッション性と耐久性だけでなく、十分な
反発性をも有するクッション構造体及びその製造方法を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成するため鋭意検討した結果、熱可塑性エラスト
マーと繊維形成性ポリエステルポリマーからなり、前者
が少なくとも繊維表面に露出した複合繊維を複合短繊維
化してウエッブを形成する際、該複合短繊維に前もって
特定の加熱条件で熱処理を施すことによりクッション構
造体作製時の熱収縮を押えることができ、その結果、優
れたクッション性と耐久性だけでなく、優れた反発性を
も有するクッション構造体が得られることを見出した。
そして、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明に到
達した。
【0010】かくして、本発明によれば、「熱可塑性エ
ラストマーと繊維形成性ポリエステルポリマーからな
り、前者が少なくとも繊維表面に露出した複合短繊維で
構成された、密度が0.005〜0.15g/cm3
厚さが5mm以上のクッション構造体であって、該クッ
ション構造体に、前記複合短繊維同士が交叉した状態で
互いに熱接着により形成された熱固着点が散在し、かつ
下記(1)〜(3)の要件を同時に満足することを特徴
とするクッション構造体」が提供される。 (1)クッション構造体の反発弾性が50%以上。 (2)クッション構造体の25%圧縮硬さが300N以
下。 (3)クッション構造体の圧縮耐久性歪が13%以下。
【0011】その際、前記の複合短繊維が偏心芯鞘構造
を有し、かつ鞘部が熱可塑性エラストマーからなり、他
方の芯部が繊維形成性ポリエステルポリマーからなるこ
とが好ましい。かかる熱可塑性エラストマーとしてはポ
リエステル系エラストマーが好適であり、他方の繊維形
成性ポリエステルポリマーとしてはポリブチレンテレフ
タレートが好適である。また、優れたクッション性を得
る上で、隣り合う熱固着点間に存在する複合短繊維がコ
イル状弾性捲縮及び/又は弾性ループを発現した形で存
在することが好ましい。
【0012】前記のクッション構造体は繊維形成性ポリ
エステルポリマーと該繊維形成性ポリエステルポリマー
の融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラス
トマーとからなり、後者が少なくとも繊維表面に露出し
た複合繊維を用いて複合短繊維となした後、前記熱可塑
性エラストマーの融点より5〜50℃低い温度で5〜3
0分熱処理した後、該複合短繊維でウエッブを形成し、
複合短繊維間に繊維交叉点を形成せしめた後、前記繊維
形成性ポリエステルポリマーの融点よりも低く、かつ前
記熱可塑性エラストマーの融点よりも10〜80℃高い
温度で熱処理して、繊維交叉点のうちの少なくとも一部
の繊維交差点を熱融着させることを特徴とするクッショ
ン構造体の製造方法により容易に得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0014】まず、本発明のクッション構造体を構成す
る複合短繊維は、熱可塑性エラストマーと繊維形成性ポ
リエステルポリマーとで形成され、前者の熱可塑性エラ
ストマーが少なくとも繊維表面に露出している必要があ
る。熱可塑性エラストマーが繊維表面に露出していない
場合は、後記の特性を有するクッション構造体が得られ
ず好ましくない。重量割合としては、前者と後者が30
/70〜70/30の範囲が適当である。かかる複合短
繊維の複合形態としては、サイドバイサイド型、偏心芯
鞘型のいずれであってもよいが、鞘部が熱可塑性エラス
トマーからなり、他方の芯部が熱可塑性ポリエステルポ
リマーからなる偏心芯鞘構造が好ましい。かかる偏心芯
鞘構造を採用することにより、複合短繊維がコイル状捲
縮を発現しやすく、本発明の主目的のひとつである優れ
たクッション性が得られやすい。なお、該複合短繊維の
断面形状としては、中空、中実、異型いずれでもよい。
【0015】前記の熱可塑性エラストマーとしては、破
壊伸度が大きく、伸張回復特性が良いものが好ましい。
このような熱可塑性エラストマーを採用することによ
り、クッション構造体中の熱固着点に変形応力が付加、
除荷された際、熱固着点が容易に変形回復することがで
きる。かかる熱可塑性エラストマーとしてはポリエステ
ル系エラストマーが好ましく例示される。
【0016】ポリエステル系エラストマーとしては、熱
可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(ア
ルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとし
て共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合
体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタ
ル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン
−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スル
ホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカル
ボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セパシン
酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸
またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれた
ジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオ
ール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、ある
いは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノ
ール等の脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成
性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1
種、および平均分子量が約400〜5000程度の、ポ
リエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−
プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレ
ンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレ
ンオキシドとの共重合体等のポリ(アルキレンオキシ
ド)グリコールのうち少なくとも1種から構成される三
次元重合体が例示される。
【0017】なかでも、ポリブチレン系テレフタレート
をハードセグメントとし、ポリオキシブチレングリコー
ルソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテル
ポリエステルが好ましい。この場合、ハードセグメント
を構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフ
タル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分
であるポリブチレンテレフタレートである。もちろん、
この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカル
ボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても
よく、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以
下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置
換されていてもよい。また、ソフトセグメントを構成す
るポリエーテル成分は、テトラメチレングリコール以外
のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってもよ
い。なお、ポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収
剤、増粘分枝剤、艶消し剤、着色剤、その他各種改良剤
等も必要に応じて配合されていてもよい。
【0018】このポリエステル系エラストマーの重合度
は、固有粘度で0.8〜1.7、特に0.9〜1.5の
範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎる
と、形成される熱固着点が破壊され易くなる。逆に、こ
の固有粘度が高すぎると、熱固着点が形成されにくくな
る恐れがある。
【0019】前記熱可塑性エラストマーは、後記の繊維
形成性ポリエステルポリマーの融点よりも40℃以上、
特に60℃以上低いことが好ましい。かかる熱可塑性エ
ラストマーの融点は例えば130〜220℃の範囲の温
度であることができる。
【0020】この融点差が40℃よりも小さいと、後記
の融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、複合短繊
維の力学特性が低下する恐れがある。なお、熱可塑性エ
ラストマーについて、その融点が明確に観察されないと
きは、軟化点をもって融点の代替とする。
【0021】一方、上記の熱可塑性エラストマーの相手
方成分として用いられる繊維形成性ポリエステルポリマ
ーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
が例示され、なかでもポリブチレンテレフタレートがよ
り好ましく例示される。
【0022】この複合短繊維は、後記のクッション構造
体特性を得る上で、また、クッション構造体を製造する
際の工程安定上、単糸繊度は、0.5〜150dtex
(より好ましくは1〜70dtex)であることが好ま
しい。該繊度が、0.5dtexよりも小さいと結合点
が増えすぎて充分なクッション性が得られない恐れがあ
る。逆に、該繊度が150dtexよりも大きいと、結
合点が少ないため充分な反発性が得られなかったり、硬
い風合いになる恐れがある。複合短繊維のカット長さは
25〜255mm(より好ましくは32〜178m
m)、捲縮数は、4〜50個/2.54cm(より好ま
しくは6〜35個/2.54cm)であることが、クッ
ション構造体のクッション性、圧縮耐久性、クッション
構造体の製造工程の安定上好ましい。
【0023】本発明のクッション構造体において、前記
複合短繊維同士が交叉した状態で互いに熱接着により形
成された熱固着点が散在する必要がある。かかる熱固着
点は、熱可塑性エラストマー同士の熱融着により形成さ
れた熱固着点でもよいし、熱可塑性エラストマーと繊維
形成性ポリエステルポリマーとの熱融着により形成され
た熱固着点でもよいが、前者であることが好ましい。熱
可塑性エラストマー同士の熱融着により形成された熱固
着点は優れた可撓性を有するため、クッション構造体に
荷重が加えれたとき、すなわち、該固着点にも荷重が加
えられたとき、この固着点が荷重の方向に沿って、自由
自在に変形回復可能となる。そして、かかる熱固着点の
間に位置する複合短繊維は、コイル状弾性捲縮及び/又
は弾性ループを発現した形で存在することがクッション
性の点で好ましい。
【0024】次に、本発明のクッション構造体の密度
は、0.005〜0.15g/cm3(好ましくは0.
008〜0.12g/cm3)の範囲にある必要があ
る。該密度が、0.005g/cm3よりも小さいと、
構造体の反発性が乏しくなり、構造体に荷重が加えられ
ると1本1本の繊維に歪みや応力がかかりすぎて、構造
体そのものが変形し易く耐久性もなくなるので、好まし
くない。逆に、該密度が0.15g/cm3よりも大き
くなると、繊維密度が過度に高くなり、熱可塑性エラス
トマー同士が過密に相互融着しやすくなる。このような
構造のものは厚み方向のクッション性が著しく低下し、
通気性も極度に小さくなり蒸れ易いので好ましくない。
【0025】なお、前記の密度は、下記の方法により求
めた値を用いるものとする。すなわち、平板状に調整さ
れたクッション構造体の目付け(g/m2)を測定し、
0.49cN/cm2(0.5grf/cm2)の荷重下
での厚み(cm)を測定し、密度(g/cm3)を算出
するものとする。
【0026】また、本発明のクッション構造体の厚み
は、反発性の点で5mm以上である必要がある。該厚み
は10mm以上(さらに好ましくは20mm以上)であ
ることが好ましい。用途によっては約10〜20cmに
達しても良い。なお、前記の厚みは0.49cN/cm
2(0.5grf/cm2)の荷重下での厚み(cm)を
測定するものとする。
【0027】さらに、本発明のクッション構造体は、下
記(1)〜(3)の要件を同時に満足する必要がある。 (1)クッション構造体の反発弾性が50%以上(より
好ましくは60%以上)である。 (2)クッション構造体の25%圧縮硬さが300N以
下(より好ましくは270N以下)である。 (3)クッション構造体の圧縮耐久性歪が13%以下
(より好ましくは12%以下)である。
【0028】ここで、前記の反発弾性と25%圧縮硬さ
はJIS K−6401により測定した値を用いるもの
とする。また、前記の圧縮耐久性歪は、下記の測定方法
で測定した値を用いるものとする。
【0029】すなわち、平板状に調整された、初期厚み
5cmのクッション構造体に7.84N/cm2(80
0grf/cm2)の荷重で10秒間圧縮したのち除重
して5秒間放置する操作を360回繰り返し、24時間
後再び該クッション構造体の厚みを測定する。そして、
初期厚みに対する繰り返し圧縮後の厚みの比率(%)を
クッション構造体の圧縮耐久性歪とする。
【0030】本発明のクッション構造体において、上記
の要件を全て満足する範囲内であれば、他の短繊維及び
/又は長繊維が少量含まれていてもさしつかえない。
【0031】次に、本発明のクッション構造体の製造方
法について説明する。まず、繊維形成性ポリエステルポ
リマーと該繊維形成性ポリエステルポリマーの融点より
40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーを用
いて、公知の紡糸方法により、複合繊維を得る。その
際、用いるポリマー、複合形態、単糸繊度については、
すでに説明した通りである。ここで、該複合繊維は、紡
出後1.5倍以上に延伸されていることが好ましい。延
伸された繊維により構成されたクッション構造体は、延
伸されていない繊維を用いたクッション構造体に比べて
反発性に優れ、へたりも少ない。この理由としては、延
伸を受けていると、短繊維化され弛緩状態になる過程で
非晶部の緩和が起こり非晶部がランダム化し、より弾性
の優れた繊維構造になり、それが溶融固化後も維持され
やすいと推察される。
【0032】次に、かかる複合繊維を、常法の工程によ
り、複合短繊維化する。その際、カト長、捲縮数につい
ては先に説明した通りである。ここで、複合繊維を複合
短繊維化する前に、複合繊維の捲縮を発現させるため
に、40〜120℃の温度、20秒以上で、湿式又は乾
式熱処理してもよい。
【0033】次に、かかる複合短繊維は、前記熱可塑性
エラストマーの融点より5〜50℃(より好ましくは1
0〜25℃)低い温度で、5〜30分(より好ましくは
8〜20分)熱処理する必要がある。該熱処理は乾式で
あってもよいし、湿式であってもよいが、乾式が好まし
い。かかる熱処理により、複合短繊維の熱収縮が十分低
下することによって、構造体作製時の熱収縮を押さえる
ことができ、最終的に得られるクッション構造体は優れ
た反発性を有することになる。ここで、前記熱処理温度
が前記範囲よりも低いと、充分な熱処理効果が得られず
収縮が十分押さえることができず好ましくない。逆に、
該熱処理温度が前記範囲よりも高いと、複合短繊維同士
が熱融着するため好ましくない。
【0034】そして、前記の複合短繊維でウエッブを形
成し、複合短繊維間に繊維交叉点を形成せしめた後、前
記繊維形成性ポリエステルポリマーの融点よりも低く、
かつ前記熱可塑性エラストマーの融点よりも10〜80
℃高い温度で熱処理して、繊維交叉点のうちの少なくと
も一部の繊維交差点を熱融着させることにより、本発明
のクッション構造体が容易に得られる。この際、前記ウ
エッブは必要に応じて積層された後、圧縮されながら熱
処理されることが好ましい。かかる加熱圧縮方法として
は、パンチングプレートで構成される平板やキャタピラ
ー式の上下パンチングプレートによるコンベアーにウエ
ッブを挟み込んで加熱圧縮する方法やパンチングプレー
トなどで作製された金型に複合短繊維を吹き込み、加熱
圧縮する方法などが例示される。
【0035】上記の方法で得られたクッション構造体
は、複合短繊維でウエッブを形成する前に、該複合短繊
維に前記の熱処理が施されているため、クッション構造
体の反発性が損なわれることがない。さらに、熱可塑性
エラストマーと繊維形成性ポリエステルポリマーからな
り前者が少なくとも繊維表面に露出した複合短繊維で構
成されるため、優れたクッション性と耐久性をも有す
る。
【0036】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例を詳述する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。 <クッション構造体の厚み>0.49cN/cm
2(0.5grf/cm2)の荷重下での厚み(cm)を
測定した。 <クッション構造体の密度>平板状に調整されたクッシ
ョン構造体の目付け(g/m2)を測定し、0.49c
N/cm2(0.5grf/cm2)の荷重下での厚み
(cm)を測定し、密度(g/cm3)を算出した。 <反発性>JIS K−6401により反発弾性(%)
を測定した。 <25%圧縮硬さ>JIS K−6401により25%
圧縮硬さ(N)を測定した。 <圧縮耐久性歪>平板状に調整された、初期厚み5cm
のクッション構造体に7.84N/cm2(800gr
f/cm2)の荷重で10秒間圧縮したのち除重して5
秒間放置する操作を360回繰り返し、24時間後再び
該クッション構造体の厚みを測定する。そして、初期厚
みに対する繰り返し圧縮後の厚みの比率(%)をクッシ
ョン構造体の圧縮耐久性歪(%)とした。
【0037】[実施例1]まず、テレフタル酸とイソフ
タル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分とブ
チレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系
テレフタレート38%(重量%)を更にポリテトラメチ
レングリコール(分子量2000)62%(重量%)と
加熱反応させ、熱可塑性エラストマーとしてブロック共
重合ポリエーテルポリエステルエラストマー(固有粘度
1.0、融点155℃)を得た。該熱可塑性エラストマ
ーを鞘部に、ポリブチレンテレフタレート(融点224
℃)を芯部に、鞘/芯の重量比で50/50になるよう
に常法により紡糸した。なお、この複合繊維は、偏心芯
鞘型複合繊維であり、熱可塑性エラストマーが繊維表面
に存在するものであった。この繊維を2.0倍に延伸し
80℃の温水で熱処理し、捲縮発現させ乾燥後、油剤を
付与し、64mmに切断した。
【0038】得られた複合短繊維に140℃、10分間
の乾式熱処理を施した後、開繊し、常法のカードにより
ウエッブ化し、該ウエッブを積層することによって積層
ウエッブを得た。
【0039】次に、該積層ウエッブを、通気性を有する
平板形モールドに挟み込み、200℃の熱風炉で10分
間加圧・加熱処理後、冷却し、平板状のクッション構造
体を得た。
【0040】このクッション構造体を電子顕微鏡で観察
したところ、複合短繊維同士が交叉した状態で、熱可塑
性エラストマー同士の熱融着により形成された熱固着点
が散在していた。また、隣り合う熱固着点間に存在する
複合短繊維がコイル状弾性捲縮を発現した形で存在して
いた。
【0041】かかるクッション構造体は、優れたクッシ
ョン性と耐久性を有し、さらには、充分な反発性を有す
るものであった。評価結果を表1に示す。
【0042】[実施例2]実施例1と同様にして積層ウ
エッブを得て、該積層ウエッブを実施例1よりも多く、
モールドに挟み込み、200℃の熱風炉で20分間加圧
・加熱処理する以外は実施例1と同様にして平板状のク
ッション構造体を得た。
【0043】このクッション構造体を電子顕微鏡で観察
したところ、複合短繊維同士が交叉した状態で、熱可塑
性エラストマー同士の熱融着により形成された熱固着点
が散在していた。また、隣り合う熱固着点間に存在する
複合短繊維がコイル状弾性捲縮を発現した形で存在して
いた。
【0044】かかるクッション構造体は、優れたクッシ
ョン性と耐久性を有し、さらには、充分な反発性を有す
るものであった。評価結果を表1に示す。
【0045】[比較例1]実施例1において、複合短繊
維に熱処理を施さずにウエッブ化した以外は実施例1と
同様にして平板状のクッション構造体を得た。この時、
クッション構造体の収縮は非常に大きなものであり、密
度が高いものとなった。かかるクッション構造体におい
て、耐久性は充分であるものの、反発性は不十分であっ
た。評価結果を表1に示す。
【0046】[比較例2]実施例1で用いたものと同じ
複合短繊維30重量%と、常法にて得られたポリエチレ
ンテレフタレート短繊維(13dtex、カット長64
mm、捲縮数9個/2.54cm、捲縮度30%、融点
256℃、断面形状中空)70重量%とを混綿し、常法
によりウエッブ化する以外は実施例1と同様にして、平
板状のクッション構造体を得た。かかるクッション構造
体は、硬く、耐久性に劣るものであった。評価結果を表
1に示す。
【0047】[比較例3]比較例2において、複合短繊
維とポリエチレンテレフタレート短繊維との重量比率を
(複合短繊維/ポリエチレンテレフタレート短繊維)で
(90/10)に変える以外は、比較例2と同様にして
平板状のクッション構造体を得た。かかるクッション構
造体は、少し硬く、やや耐久性に劣るものであった。評
価結果を表1に示す。
【0048】[比較例4]比較例2において、モールド
内へのウエッブの挟み込み量を変える以外は、比較例2
と同様にして平板状のクッション構造体を得た。かかる
クッション構造体、クッション性が改善されたものであ
ったが、耐久性の点で非常に劣るものであった。評価結
果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、優れたクッション性と
耐久性を有するだけでなく、十分な反発性をも有するク
ッション構造体を得ることができる。かかるクッション
構造体は、寝具、ベビーべッドや病院用ベッドのクッシ
ョン、ブラジャーの中材や芯材、乗り物用クッション、
衛材等に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B096 AD04 BA01 4L047 AA21 AA27 AB10 BA08 BA23 CA20 CB10 CC16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマーと繊維形成性ポリ
    エステルポリマーからなり前者が少なくとも繊維表面に
    露出した複合短繊維で構成された、密度が0.005〜
    0.15g/cm3、厚さが5mm以上のクッション構
    造体であって、該クッション構造体に、前記複合短繊維
    同士が交叉した状態で互いに熱接着により形成された熱
    固着点が散在し、かつ下記(1)〜(3)の要件を同時
    に満足することを特徴とするクッション構造体。 (1)クッション構造体の反発弾性が50%以上。 (2)クッション構造体の25%圧縮硬さが300N以
    下。 (3)クッション構造体の圧縮耐久性歪が13%以下。
  2. 【請求項2】 複合短繊維が偏心芯鞘構造を有し、かつ
    鞘部が熱可塑性エラストマーからなり、他方の芯部が繊
    維形成性ポリエステルポリマーからなる請求項1に記載
    のクッション構造体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマーがポリエステル系
    エラストマーである請求項1又は請求項2に記載のクッ
    ション構造体。
  4. 【請求項4】 繊維形成性ポリエステルポリマーがポリ
    ブチレンテレフタレートである請求項1〜3のいずれか
    に記載のクッション構造体。
  5. 【請求項5】 隣り合う熱固着点間に存在する複合短繊
    維がコイル状弾性捲縮及び/又は弾性ループを発現した
    形で存在する請求項1〜4のいずれかに記載のクッショ
    ン構造体。
  6. 【請求項6】 繊維形成性ポリエステルポリマーと該繊
    維形成性ポリエステルポリマーの融点より40℃以上低
    い融点を有する熱可塑性エラストマーとからなり、後者
    が少なくとも繊維表面に露出した複合繊維を用いて複合
    短繊維となした後、前記熱可塑性エラストマーの融点よ
    り5〜50℃低い温度で5〜30分熱処理した後、該複
    合短繊維でウエッブを形成し、複合短繊維間に繊維交叉
    点を形成せしめた後、前記繊維形成性ポリエステルポリ
    マーの融点よりも低く、かつ前記熱可塑性エラストマー
    の融点よりも10〜80℃高い温度で熱処理して、繊維
    交叉点のうちの少なくとも一部の繊維交差点を熱融着さ
    せることを特徴とするクッション構造体の製造方法。
JP2002147427A 2002-05-22 2002-05-22 クッション構造体の製造方法 Expired - Fee Related JP3935776B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002147427A JP3935776B2 (ja) 2002-05-22 2002-05-22 クッション構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002147427A JP3935776B2 (ja) 2002-05-22 2002-05-22 クッション構造体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003342864A true JP2003342864A (ja) 2003-12-03
JP3935776B2 JP3935776B2 (ja) 2007-06-27

Family

ID=29766526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002147427A Expired - Fee Related JP3935776B2 (ja) 2002-05-22 2002-05-22 クッション構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3935776B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006304969A (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Asahi Kasei Fibers Corp クッション材
WO2009028564A1 (ja) 2007-08-31 2009-03-05 Kuraray Kuraflex Co., Ltd. 緩衝材用基材及びその用途

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006304969A (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Asahi Kasei Fibers Corp クッション材
WO2009028564A1 (ja) 2007-08-31 2009-03-05 Kuraray Kuraflex Co., Ltd. 緩衝材用基材及びその用途
US9200390B2 (en) 2007-08-31 2015-12-01 Kuraray Co., Ltd. Buffer substrate and use thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP3935776B2 (ja) 2007-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2772576B1 (en) Fibrous Network Structure Having Excellent Compression Durability
CA2063732C (en) Cushion structure and process for producing the same
KR20080080144A (ko) 고탄성 섬유 구상체로 이루어지는 성형품
WO2001049909A1 (fr) Fibres polyester frisees et structure fibreuse les comprenant
JP4376408B2 (ja) 繊維構造体
JP3935776B2 (ja) クッション構造体の製造方法
JP5966472B2 (ja) 振動吸収性の高い弾性網状構造体
JP2013090657A (ja) 寝具
JP3157393B2 (ja) 繊維成型高弾性クッション材
JP4018836B2 (ja) ポリエステル系熱接着性複合繊維及びそれからなる繊維構造体
JP6428868B2 (ja) 網状構造体の製造方法
JPH05311559A (ja) 新規高性能クッション構造体およびその製造方法
JPH05156561A (ja) クッション構造体およびその製造方法
JPH05163658A (ja) クッション構造体およびその製造方法
JP2000345457A (ja) ファイバーボールの製造方法
JP2553272B2 (ja) クッション構造体およびその製造方法
JP2713667B2 (ja) クッシヨン材
JPH05179549A (ja) クッション構造体およびその製造方法
JP3150846B2 (ja) 繊維成型クッション材
JP2548477B2 (ja) 新規クッション構造体およびその製造方法
KR940011590B1 (ko) 신규쿠션 구조체 및 그 제조방법
JP2941539B2 (ja) クッション構造体およびその製造方法
JP3288857B2 (ja) 繊維成型クッション積層構造物およびその製造方法
JPH10117891A (ja) 繊維製成型クッション材及びその製造方法
JP2001098452A (ja) 再度の熱処理により性能が復元されるクッション材

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Effective date: 20041028

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061002

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061130

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061226

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20070130

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20070227

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070320

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110330

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees