JP3529801B2 - マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法 - Google Patents

マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法

Info

Publication number
JP3529801B2
JP3529801B2 JP28598492A JP28598492A JP3529801B2 JP 3529801 B2 JP3529801 B2 JP 3529801B2 JP 28598492 A JP28598492 A JP 28598492A JP 28598492 A JP28598492 A JP 28598492A JP 3529801 B2 JP3529801 B2 JP 3529801B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
maleimide compound
compound
maleimide
primary amines
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP28598492A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06135931A (ja
Inventor
和夫 岸野
浩一 中川
裕一 喜多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP28598492A priority Critical patent/JP3529801B2/ja
Priority to PCT/JP1993/000112 priority patent/WO1993015048A1/ja
Priority to KR1019940702587A priority patent/KR950700249A/ko
Priority to EP93902550A priority patent/EP0627420B1/en
Priority to DE69334126T priority patent/DE69334126T2/de
Publication of JPH06135931A publication Critical patent/JPH06135931A/ja
Priority to KR94702587A priority patent/KR0137690B1/ko
Application granted granted Critical
Publication of JP3529801B2 publication Critical patent/JP3529801B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Pyrrole Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変色などの起きにく
い、貯蔵安定性の改良されたマレイミド化合物に関す
る。さらに詳しくは、このマレイミド化合物は、AS樹
脂やABS樹脂などの耐熱性重合体の製造原料等として
有用なマレイミドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】マレイミド化合物は、常温で固体ないし
は液体であるため、種々の形態で貯蔵される。例えば、
固体状のマレイミドは、常温においてタブレット、フレ
ーク、粉体などの形態で取り扱われ、その貯蔵時の荷姿
もフレコンバック入り、ドラム缶入り、ガロン缶入り、
紙袋入り、タンクコンテナ入りなど様々である。加熱溶
融状態のマレイミド化合物は、液体として貯蔵タンクな
どに備蓄される。
【0003】このような固体状態または液体状態での貯
蔵する時、貯蔵期間中に徐々に茶色に変色し、ひどい場
合にはやや青みを帯びた黒褐色に変色してしまうという
問題があった。マレイミド化合物が変色する速度は、貯
蔵するマレイミド化合物の形態、荷姿、貯蔵条件などに
よって変わり、遅速があるけれども、貯蔵期間中におけ
るマレイミド化合物の変色は不可避であった。
【0004】このマレイミド化合物の変色は、マレイミ
ド化合物を使用するにあたり大きな問題であった。すな
わち、マレイミド化合物は、それ自体AS樹脂、ABS
樹脂などのスチレン系樹脂、メチルメタクリレート樹
脂、塩化ビニル樹脂など各種熱可塑性樹脂の耐熱性を改
良する目的で用いられる原料単量体であるため、このマ
レイミド化合物の変色は、これら各種熱可塑性樹脂をも
変色させ、当該熱可塑性樹脂の商品価値を大幅に低下さ
せることになるため、このような変色の問題を解決する
必要がある。
【0005】また、これら熱可塑性樹脂は、塊状重合
法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など各種重合
法によって製造されるが、これらの重合反応中において
も、マレイミド化合物の変色による着色は軽減されるこ
とがなく、最終製品の着色にも影響してしまう。熱可塑
性樹脂の変色を防止するためには、マレイミド化合物の
変色を根本的に防止する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明の課
題は、変色などが起こりにくく、安定して、マレイミド
化合物を輸送あるいは貯蔵する方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題を
解決するために、マレイミド化合物に変色が起きる原因
を鋭意検討したところ、マレイミド化合物の変色は、マ
レイミド化合物それ自身の経時変化によるものではな
く、マレイミド化合物中に含有されるマレイミド化合物
の合成原料である第1アミン類によるものであること、
反応過程で生成する2−アミノ−N−置換スクシンイミ
ド化合物が、その着色を助長することが判明し、その含
有量をある範囲以内に抑えれば良いことを見出して、こ
の発明を完成させるに至った。
【0008】本発明は、マレイミド化合物を輸送あるい
は貯蔵するにあたり、マレイミド化合物中の第1アミン
類の含有量500ppm以下、2−アミノ−N−置換
スクシンイミド化合物の含有量300ppm以下、
つ塩素化合物の含有量を塩素原子として10ppm以下
にすることを特徴とするマレイミド化合物の輸送あるい
は貯蔵方法である。
【0009】
【0010】この発明においては、マレイミド化合物中
の、常圧における沸点が200℃以下の揮発性成分を2
000ppm以下にするのが好ましい。
【0011】以下に、この発明をさらに詳しく説明す
る。この発明に係るマレイミド化合物とは、N−メチル
マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヘキシルマレ
イミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイ
ミド等のN−アルキルマレイミド;N−ベンジルマレイ
ミド;N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロア
ルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド;N−ニト
ロフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミ
ド、N−メチルフェニルマレイミド、N−カルボキシフ
ェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミ
ド、N−クロルフェニルマレイミド、N−ジメチルフェ
ニルマレイミド、N−ジクロルフェニルマレイミド、N
−ブロムフェニルマレイミド、N−ジブロムフェニルマ
レイミド、N−トリクロルフェニルマレイミド、N−ト
リブロムフェニルマレイミド等のニトロ基、アルコキシ
ル基、アルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、
ハロゲン原子等が置換してなるN−置換フェニルマレイ
ミドなどが挙げられるが、これらに限定されるものでは
ないが、このうち好ましくは、芳香族置換マレイミド化
合物にである。
【0012】上記のマレイミド化合物の貯蔵安定性を向
上させるには、上記マレイミド化合物中に第1アミン類
の含有量を500ppm以下、好ましくは、0.5〜4
00ppm、さらに好ましくは1〜300ppmにする
ように調整し、かつ2−アミノ−N−置換スクシンイミ
ド化合物含有量を300ppm以下、好ましくは0.5
〜200ppm、さらに好ましくは1〜120ppmの
範囲で含有されることである。
【0013】即ち、これら第1アミン類と2−アミノ−
N−置換スクシンイミド化合物の含有量を上記の量以下
に制限することにより、マレイミド化合物の着色を使用
の許容範囲程度にまで抑えることができ、また、これら
第1アミン類と2−アミノ−N−置換スクシンイミド化
合物との含有量が上記値を越えるときは、マレイミド化
合物の着色が著しくなり、好ましくないものである。
【0014】上記、第1アミン類と2−アミノ−N−置
換スクシンイミド化合物に加えて、マレイミド化合物中
の塩素化合物の含有量を塩素原子として10ppm以下
にするとにより、着色を防止するでき、特に5ppm以
下であることが好ましい。塩素含有量が10ppm以下
なら問題はないが、それを越えると着色速度が早くなる
ものである。また、この塩素化合物は、マレイミド化合
物の製造時に用いられる触媒、溶媒、脱水剤、水、ある
いは原料の無水マレイン酸などから持ち込まれる微量の
塩素化合物が原因となるものである。
【0015】これらの塩素化合物としては、クロロホル
ム、四塩化炭素等のアルキル塩素化合物、クロルベンゼ
ン、ジクロルベンゼン等の芳香族塩素化合物、塩化亜
鉛、塩化ナトリウム、塩酸、クロル硫酸等の無機塩素化
合物、トリス(2−クロロエチル)ホスヘート、トリス
(ジクロロプロピル)ホスヘート、オクチルジクロロプ
ロピルホスヘート、フェニルジクロロプロピルホスヘー
ト等の塩素アルキル基及び塩素化アリール基を有する有
機リン酸エステル、トリクロル酢酸有機酸又は塩化スル
フィニル等がある。
【0016】さらに、マレイミド化合物中に揮発性の成
分が含有される場合、この揮発性成分の蒸発にともなっ
て、マレイミド化合物中に含まれる第1アミン類と塩素
化合物が局部的に濃縮されるため、貯蔵容器中のマレイ
ミド化合物の一部分が著しく変色するなど、好ましくな
い影響が出てくる。この揮発成分とは、常圧での沸点が
200℃以下であるような化合物をいい、例えば、ベン
ゼン、トルエン、沸点が50〜120℃の石油留分、キ
シレン類、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ク
メン、メシチレン、tert−ブチルベンゼン、プソイ
ドクメン、トリメチルヘキサン、オンタン、テトラクロ
ルエタン、ノナン、クロルベンゼン、エチルシクロヘキ
サン、沸点120℃〜170℃の石油留分、m−ジクロ
ルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、p−ジクロルベ
ンゼン、デカン、p−シメン、o−ジクロルベンゼン、
ブチルベンゼン、デカハイドロナフタリン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド等がある。この揮発
性成分がマレイミド化合物中に2000ppm以下、好
ましくは1000ppm以下に抑える必要があり、20
00ppmを越えて含まれる場合には、特に影響が出や
すいものである。
【0017】また、無水マレイン酸と第1アミン類とか
らマレイミド化合物を製造する場合、その製造条件によ
って、最終マレイミド化合物中に種々の化合物が原料か
らの不純物として、また反応の副生物として混入するの
が、通常である。
【0018】発明者らの知見によれば、特に、マレイミ
ド類の製造条件によって未反応原料たる第1アミン類の
含有量が大きく変化する。例えば、原料たる無水マレイ
ン酸と第1アミン類の反応モル比が1に近い場合や、第
1アミン類の方が過剰である場合には、製品中に第1ア
ミン類が多く含まれることになる。また、マレイミド合
成反応によって生成したマレイミド化合物を精製するた
めに、反応液を水洗処理することが行なわれるが、この
工程中に、せっかく生成したマレイミド化合物が水によ
って加水分解し、再び原料である第1アミン類を生成し
てしまう場合がある。マレイミド化合物の製造工程中、
反応、精製などで原料の第1アミン類から副成した不純
物が熱により分解し、原料の第1アミン類を再び遊離す
る場合もある。
【0019】また、最終マレイミド化合物中の2−アミ
ノ−N−置換スクシンイミド化合物の含有量が大きく変
化する。例えば、無水マレイン酸と第1アミン類のモル
比が1に近いときや、第1アミン類の方が過剰であると
きは、製品中に2−アミノ−N−置換スクシンイミド化
合物が多く含まれることになる。また、マレイミド合成
反応によって生成したマレイミド化合物を精製するため
に、反応液を水洗処理することが行なわれるが、この工
程中に、反応により、副生した不純物が水によって加水
分解され、2−アミノ−N−置換スクシンイミド化合物
が生成することがある。この2−アミノ−N−置換スク
シンイミド化合物の生成を抑制するには、無水マレイン
酸と第1アミン類の反応モル比を1以上とするか、また
は反応後半に無水マレイン酸を添加し、2−アミノ−N
−置換スクシンイミド化合物を分解する方法が採用され
る。
【0020】以下に、この発明にかかるマレイミド化合
物の製造方法を示す。
【0021】(1)トルエン、キシレン、クロロベンゼン
等の非極性溶媒、あるいは、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、スルホラ
ン等の極性溶媒と上記非極性溶媒との混合物を希釈剤と
して用いて、酸触媒の存在下、マレインアミド酸類を加
熱脱水してイミド化させる方法。
【0022】(2)希釈剤を用いないで、マレインアミド
酸類を酸触媒の存在下に直接加熱脱水してイミド化させ
る方法。
【0023】(3)無水酢酸のような脱水剤を用いてマレ
インアミド酸類を脱水しイミド化させる方法。
【0024】(4)酸触媒と安定剤の存在下、有機溶媒を
希釈剤として用い、マレインアミド酸類を加熱脱水して
イミド化させる方法。
【0025】ところで、上記マレインアミド酸類は無水
マレイン酸と第1アミン類を付加反応させて得るが、こ
のとき、未反応の第1アミンがマレインアミド酸類に含
まれて上記(1)〜(4)の反応液に入り込む。そのため、上
記いずれの方法による場合であっても、マレインアミド
酸類の脱水反応後の反応液中に混入残存する第1アミン
類量はできるだけ少ないこと(好ましくは1〜1000
0ppm程度)が好ましい。そのためには、無水マレイン
酸と第1アミン類の付加反応の反応条件を第1アミン類
が未反応で残らないように調整するのが良い。例えば、
反応に用いる無水マレイン酸(M)と第1アミン(A)
のモル比(M/A)を1以上にしてマレインアミド酸類
を得るようにするのが良い。しかしながら、たとえ反応
系において上記範囲を外れた場合であっても、前記脱水
反応工程に続く後述の精製工程において、この精製工程
での負担は大きくなるが、前記第1アミン類や2−アミ
ノ−N−置換スクシンイミド化合物を除去することも可
能である。
【0026】前記脱水反応により得られた粗製マレイミ
ド化合物は、つづいて精製工程に供され、精製処理が施
される。この精製工程においては、反応液から析出した
マレイミドの結晶を水洗する。あるいは、反応液のまま
の形で水洗処理を施して、反応液中に含有される第1ア
ミン類、無水マレイン酸、フマル酸、マレインアミド酸
類、その他、水可溶性の不純物を除去する。この水洗処
理においては、粗製マレイミド化合物は有機溶媒に溶解
しておく方が、水洗処理が容易となるので、好ましい。
このときに用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼ
ン、シメン、クロロベンゼン等が好んで用いられるが、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メ
チルピロリドン、スルホラン等の極性溶媒を含んでいて
もよい。特に、マレイミド化合物の製造工程において、
上記のような有機溶媒が用いられる場合には、反応液を
そのまま水洗処理に供することができるので、特に好ま
しい。
【0027】ところで、この水洗処理工程においては、
マレイミド化合物は、水との接触により容易に加水分解
し、マレインアミド酸類を経由して、第1アミン類を再
生成してしまうため、水との接触時間についてはできる
だけ短くするよう特に注意を払う必要がある。そのため
に、たとえば一例として、このような目的からバッチ式
による水洗処理よりも、むしろ連続式による短時間の効
率の良い水洗処理が推奨される。具体的には、マレイミ
ド化合物を含有する反応液である有機溶媒層と水層とを
20〜90°Cの範囲内で、空塔あるいは充填塔、段塔
の中で、連続的に0.1秒〜60分の間接触させること
により、加水分解による第1アミン類の生成を抑制しな
がら、効率良く水可溶性成分を除去することができる。
【0028】続いて、水洗処理した反応液から有機溶媒
を加熱留去するが、このとき、粗製マレイミド化合物中
に含有されている不純物が熱によって分解し、第1アミ
ン類を再生成してしまう。そこで、マレイミド化合物が
高温にさらされる時間は短いほど好ましい。そのため、
この溶媒留去工程においても、水洗処理工程と同じくバ
ッチ式よりも連続式により高温下での滞留時間を短くす
るよう工夫する。そのため、たとえば、このような目的
に合うよう液膜流下式濃縮器、あるいは、薄膜蒸発器等
が好んで用いられる。
【0029】上で述べたように、第1アミン類の含有量
は、極力少なくすることが好ましいが、マレイミドの現
在の製造技術および精製技術では、その含有量を1pp
m未満にすることは経済的に不利になるだけである。
【0030】このような第1アミン類の再生成は、マレ
イミド化合物の製造工程中の各所にある。そこで、マレ
イミド化合物の原料アミン類による汚染を防止するため
には、マレイミド化合物の製造工程の諸条件を注意深く
検討し、原料たる第1アミン類の再生成をできうる限り
防ぐ条件を設定するようにしなければならない。
【0031】そして、以上のように第1アミン類の再生
成をできる限り防ぐ条件を設定した上に、さらに、製品
中の2−アミノ−N−置換スクシンイミド化合物を特定
の条件に入るよう、その含有量を調整することにより、
著しい貯蔵安定性の向上効果が得られる。
【0032】ここでいう、2−アミノ−N−置換スクシ
ンイミド化合物とは、次式に示される。
【0033】
【化1】
【0034】上記化学式中のR1およびR2は、炭素数1
〜20のアルキル基;シクロアルキル基;フェニル基;
ニトロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン等を置換してなるフェニル基を示す。
【0035】製品中の2−アミノ−N−置換スクシンイ
ミド化合物の量については、最終製品のマレイミド化合
物中に1〜300ppmとなるように調整されることが
必要である。300ppmを越えると、貯蔵中におい
て、マレイミド化合物の変色が助長される。この理由は
明らかでないが、第1アミン類が2−アミノ−N−置換
スクシンイミド化合物の介在により、着色成分に変化す
るものと考えられる。さらに、この2−アミノ−N−置
換スクシンイミド化合物はマレイミド化合物を用いてな
る樹脂製品の耐熱性を低下させたり、あるいは、成形品
に銀条を発生させるなど、その品質に悪影響を及ぼすこ
とになり好ましくないからである。また、2−アミノ−
N−置換スクシンイミド化合物の含有量は、極力少ない
方が好ましいが、0.5ppm以下にすることは、マレ
イミド化合物との分離に多大のコストがかかり、経済的
ではない。
【0036】第1アミン類と2−アミノ−N−置換スク
シンイミド化合物が原因となる着色性物質の生成を助長
する効果のある塩素化合物や揮発性成分も、できるだけ
マレイミド化合物の製品中に混入させないようにしなけ
ればならない。例えば、塩素系化合物が、マレイミド化
合物の合成に必要な触媒、溶媒、脱水剤、水、原料の無
水マレイン酸などの製造時に必要な場合には、その混入
が不可避となる。そのため、マレイミド化合物の製造に
あたってはかかる塩素化合物を含有しない化合物群を原
料として用いるようにするべきである。
【0037】反応溶媒などの揮発性成分は、マレイミド
化合物の精製工程において出来るだけ分離除去するよう
にしなければならない。さらにつけ加えるならば、マレ
イミド化合物の製品容器への充填にあたり、揮発性成分
を少なくするように、不活性ガスでマレイミド化合物を
通気することも有効である。
【0038】
【実施例】以下、実施例に基づき、この本発明をさらに
詳しく説明する。
【0039】−実施例1〜2および比較例1〜3− 表1記載の形状と不純物組成を有するN−フェニルマレ
イミド100kgを直径59cm、高さ89cmのステ
ンレススチール製ドラム内に密封して室内で保存した。
保存温度を10〜40°Cに保ち、直射日光はあたらな
いようにした。貯蔵期間は1年間であり、この間、3ヶ
月ごとに中身を取り出して、外観を観察した。
【0040】
【表1】
【0041】−実施例3および比較例4− 表2記載の形状および不純物組成を有するN−フェニル
マレイミド100gを縦9.5cm、横6.0cmの透
明なポリエチレン製容器にいれて密封した。このように
して包装したN−フェニルマレイミドを室内で10〜4
0°Cに保ち、直射日光をさけて保存した。保存期間
中、外観を目視観察した。
【0042】
【表2】
【0043】これらの表にみるように、実施例は、比較
例よりも、不純物含有量が少ないため、着色が起きにく
く、貯蔵安定性に優れている。
【0044】
【発明の効果】この発明にかかるマレイミド化合物は、
このように、第1アミン類および2−アミノ−N−置換
スクシンイミド化合物の含有量を特定量以下に調整し、
さらに好ましくは、塩素含有量や揮発性成分含有量を特
定量以下になるように調整しているため、著しい貯蔵安
定性を示す。このような貯蔵安定性の改良されたマレイ
ミド化合物は、輸送あるいは貯蔵するにあたり、全く安
定であるため、最終製品である熱可塑性樹脂製品の色ぶ
れを起こさない有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−128264(JP,A) 特開 昭61−22056(JP,A) 特開 平1−283264(JP,A) 特開 昭61−229862(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 207/00 - 207/50 C08F 222/40 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイミド化合物を輸送あるいは貯蔵す
    るにあたり、マレイミド化合物中の第1アミン類の含有
    500ppm以下、2−アミノ−N−置換スクシン
    イミド化合物の含有量300ppm以下、かつ塩素化
    合物の含有量を塩素原子として10ppm以下にするこ
    とを特徴とするマレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方
    法。
  2. 【請求項2】 常圧における沸点が200℃以下の揮発
    性成分の含有量を2000ppm以下にする請求項1ま
    たは2記載のマレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方
    法。
  3. 【請求項3】 マレイミド化合物が芳香族置換マレイミ
    ド化合物である請求項1または2記載のマレイミド化合
    物の輸送あるいは貯蔵方法。
JP28598492A 1992-01-30 1992-10-23 マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法 Expired - Lifetime JP3529801B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28598492A JP3529801B2 (ja) 1992-10-23 1992-10-23 マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法
PCT/JP1993/000112 WO1993015048A1 (en) 1992-01-30 1993-01-29 Maleimide compound improved in storage stability
KR1019940702587A KR950700249A (ko) 1992-01-30 1993-01-29 저장 안정성이 개량된 말레이미드 화합물
EP93902550A EP0627420B1 (en) 1992-01-30 1993-01-29 Process for the synthesis of maleimide compound improved in storage stability
DE69334126T DE69334126T2 (de) 1992-01-30 1993-01-29 Verfahren zur herstellung maleimidverbindung mit verbesserter lagerstabilität
KR94702587A KR0137690B1 (en) 1992-01-30 1994-07-27 Maleimide compound

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28598492A JP3529801B2 (ja) 1992-10-23 1992-10-23 マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06135931A JPH06135931A (ja) 1994-05-17
JP3529801B2 true JP3529801B2 (ja) 2004-05-24

Family

ID=17698515

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28598492A Expired - Lifetime JP3529801B2 (ja) 1992-01-30 1992-10-23 マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3529801B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5998556A (en) * 1995-09-27 1999-12-07 Nippon Shokubai Co., Ltd. Raw material used for producing heat-resistant resins, heat-resistant resins, and process for producing heat-resistant resins
TWI522347B (zh) * 2011-03-24 2016-02-21 Nippon Catalytic Chem Ind A N-phenylmaleimide compound and a copolymer composition obtained using the same
KR102111638B1 (ko) 2017-12-26 2020-05-15 주식회사 엘지화학 N-치환 말레이미드 정제방법
US11970556B2 (en) 2018-10-16 2024-04-30 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Methacrylic resin, method of manufacturing methacrylic resin, methacrylic resin composition, shaped article, optical components, and automotive part
JP7280163B2 (ja) * 2018-10-16 2023-05-23 旭化成株式会社 メタクリル系樹脂の製造方法
CN112812219B (zh) * 2019-11-15 2023-02-17 旭化成株式会社 甲基丙烯酸系树脂及其制造方法、甲基丙烯酸系树脂组合物、成型体、及汽车部件

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06135931A (ja) 1994-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3529801B2 (ja) マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法
JP3463813B2 (ja) マレイミド化合物の製造方法
EP2336106B1 (en) Production method of N-vinyl-2-pyrrolidone
JP3463814B2 (ja) マレイミド化合物の製造方法
TWI428368B (zh) 儲存及/或運輸雙酚丙酮之方法及製備芳族聚碳酸酯之方法
JPH02243668A (ja) メチル−2−tert−ブチル−5−チオフェノールの製造法
JP3207267B2 (ja) N−アルキルマレイミド化合物の輸送ないし貯蔵方法
EP0627420B1 (en) Process for the synthesis of maleimide compound improved in storage stability
JP2002037774A (ja) 貯蔵安定性の改良されたマレイミド化合物
JP2002020371A (ja) 貯蔵安定性の改良されたマレイミド化合物
US5087714A (en) Method of preventing discoloration of vinylacetoxysilanes
JP2676910B2 (ja) 高純度0‐トルイル酸の製造法
US5278328A (en) Process for producing carboxylic acid chloride
US6509486B2 (en) Process for the synthesis of 2-carboxyanthraquinone by oxidation of 2-ethylanthraquinone with nitric acid
KR0138343B1 (ko) 말레인아미드산, 그 에스테르 및 말레이미드의 제조방법
JPS59112947A (ja) 4−ニトロジフエニルアミンの製法
JPH0672133B2 (ja) マレイミド類のアクリロニトリル溶液の輸送ならびに貯蔵方法
JPS63141945A (ja) 高純度0−トルイル酸の製造方法
JPH01250347A (ja) マレイミド類のアクリロニトリル溶液の輸送ならびに貯蔵方法
JP2000229940A (ja) 高純度ピロリドン類の製造法
SU1047943A1 (ru) Способ стабилизации канифоли
JPH0314542A (ja) アルキレングリコールモノソルベートの製造法及び保存法
JP2732798B2 (ja) マレイミド類のアクリロニトリル溶液の輸送ならびに貯蔵方法
JPH07316130A (ja) N−ビニルピロリドンの安定化法
JPH01156958A (ja) マレイミド類のアクリロニトリル溶液の輸送ならびに貯蔵方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090305

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100305

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100305

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110305

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120305

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120305

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130305

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130305

Year of fee payment: 9