JP3529801B2 - マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法 - Google Patents
マレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方法Info
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Description
い、貯蔵安定性の改良されたマレイミド化合物に関す
る。さらに詳しくは、このマレイミド化合物は、AS樹
脂やABS樹脂などの耐熱性重合体の製造原料等として
有用なマレイミドに関するものである。
は液体であるため、種々の形態で貯蔵される。例えば、
固体状のマレイミドは、常温においてタブレット、フレ
ーク、粉体などの形態で取り扱われ、その貯蔵時の荷姿
もフレコンバック入り、ドラム缶入り、ガロン缶入り、
紙袋入り、タンクコンテナ入りなど様々である。加熱溶
融状態のマレイミド化合物は、液体として貯蔵タンクな
どに備蓄される。
蔵する時、貯蔵期間中に徐々に茶色に変色し、ひどい場
合にはやや青みを帯びた黒褐色に変色してしまうという
問題があった。マレイミド化合物が変色する速度は、貯
蔵するマレイミド化合物の形態、荷姿、貯蔵条件などに
よって変わり、遅速があるけれども、貯蔵期間中におけ
るマレイミド化合物の変色は不可避であった。
ド化合物を使用するにあたり大きな問題であった。すな
わち、マレイミド化合物は、それ自体AS樹脂、ABS
樹脂などのスチレン系樹脂、メチルメタクリレート樹
脂、塩化ビニル樹脂など各種熱可塑性樹脂の耐熱性を改
良する目的で用いられる原料単量体であるため、このマ
レイミド化合物の変色は、これら各種熱可塑性樹脂をも
変色させ、当該熱可塑性樹脂の商品価値を大幅に低下さ
せることになるため、このような変色の問題を解決する
必要がある。
法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など各種重合
法によって製造されるが、これらの重合反応中において
も、マレイミド化合物の変色による着色は軽減されるこ
とがなく、最終製品の着色にも影響してしまう。熱可塑
性樹脂の変色を防止するためには、マレイミド化合物の
変色を根本的に防止する必要がある。
題は、変色などが起こりにくく、安定して、マレイミド
化合物を輸送あるいは貯蔵する方法を提供することにあ
る。
解決するために、マレイミド化合物に変色が起きる原因
を鋭意検討したところ、マレイミド化合物の変色は、マ
レイミド化合物それ自身の経時変化によるものではな
く、マレイミド化合物中に含有されるマレイミド化合物
の合成原料である第1アミン類によるものであること、
反応過程で生成する2−アミノ−N−置換スクシンイミ
ド化合物が、その着色を助長することが判明し、その含
有量をある範囲以内に抑えれば良いことを見出して、こ
の発明を完成させるに至った。
は貯蔵するにあたり、マレイミド化合物中の第1アミン
類の含有量を500ppm以下、2−アミノ−N−置換
スクシンイミド化合物の含有量を300ppm以下、か
つ塩素化合物の含有量を塩素原子として10ppm以下
にすることを特徴とするマレイミド化合物の輸送あるい
は貯蔵方法である。
の、常圧における沸点が200℃以下の揮発性成分を2
000ppm以下にするのが好ましい。
る。この発明に係るマレイミド化合物とは、N−メチル
マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヘキシルマレ
イミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイ
ミド等のN−アルキルマレイミド;N−ベンジルマレイ
ミド;N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロア
ルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド;N−ニト
ロフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミ
ド、N−メチルフェニルマレイミド、N−カルボキシフ
ェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミ
ド、N−クロルフェニルマレイミド、N−ジメチルフェ
ニルマレイミド、N−ジクロルフェニルマレイミド、N
−ブロムフェニルマレイミド、N−ジブロムフェニルマ
レイミド、N−トリクロルフェニルマレイミド、N−ト
リブロムフェニルマレイミド等のニトロ基、アルコキシ
ル基、アルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、
ハロゲン原子等が置換してなるN−置換フェニルマレイ
ミドなどが挙げられるが、これらに限定されるものでは
ないが、このうち好ましくは、芳香族置換マレイミド化
合物にである。
上させるには、上記マレイミド化合物中に第1アミン類
の含有量を500ppm以下、好ましくは、0.5〜4
00ppm、さらに好ましくは1〜300ppmにする
ように調整し、かつ2−アミノ−N−置換スクシンイミ
ド化合物含有量を300ppm以下、好ましくは0.5
〜200ppm、さらに好ましくは1〜120ppmの
範囲で含有されることである。
N−置換スクシンイミド化合物の含有量を上記の量以下
に制限することにより、マレイミド化合物の着色を使用
の許容範囲程度にまで抑えることができ、また、これら
第1アミン類と2−アミノ−N−置換スクシンイミド化
合物との含有量が上記値を越えるときは、マレイミド化
合物の着色が著しくなり、好ましくないものである。
換スクシンイミド化合物に加えて、マレイミド化合物中
の塩素化合物の含有量を塩素原子として10ppm以下
にするとにより、着色を防止するでき、特に5ppm以
下であることが好ましい。塩素含有量が10ppm以下
なら問題はないが、それを越えると着色速度が早くなる
ものである。また、この塩素化合物は、マレイミド化合
物の製造時に用いられる触媒、溶媒、脱水剤、水、ある
いは原料の無水マレイン酸などから持ち込まれる微量の
塩素化合物が原因となるものである。
ム、四塩化炭素等のアルキル塩素化合物、クロルベンゼ
ン、ジクロルベンゼン等の芳香族塩素化合物、塩化亜
鉛、塩化ナトリウム、塩酸、クロル硫酸等の無機塩素化
合物、トリス(2−クロロエチル)ホスヘート、トリス
(ジクロロプロピル)ホスヘート、オクチルジクロロプ
ロピルホスヘート、フェニルジクロロプロピルホスヘー
ト等の塩素アルキル基及び塩素化アリール基を有する有
機リン酸エステル、トリクロル酢酸有機酸又は塩化スル
フィニル等がある。
分が含有される場合、この揮発性成分の蒸発にともなっ
て、マレイミド化合物中に含まれる第1アミン類と塩素
化合物が局部的に濃縮されるため、貯蔵容器中のマレイ
ミド化合物の一部分が著しく変色するなど、好ましくな
い影響が出てくる。この揮発成分とは、常圧での沸点が
200℃以下であるような化合物をいい、例えば、ベン
ゼン、トルエン、沸点が50〜120℃の石油留分、キ
シレン類、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ク
メン、メシチレン、tert−ブチルベンゼン、プソイ
ドクメン、トリメチルヘキサン、オンタン、テトラクロ
ルエタン、ノナン、クロルベンゼン、エチルシクロヘキ
サン、沸点120℃〜170℃の石油留分、m−ジクロ
ルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、p−ジクロルベ
ンゼン、デカン、p−シメン、o−ジクロルベンゼン、
ブチルベンゼン、デカハイドロナフタリン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド等がある。この揮発
性成分がマレイミド化合物中に2000ppm以下、好
ましくは1000ppm以下に抑える必要があり、20
00ppmを越えて含まれる場合には、特に影響が出や
すいものである。
らマレイミド化合物を製造する場合、その製造条件によ
って、最終マレイミド化合物中に種々の化合物が原料か
らの不純物として、また反応の副生物として混入するの
が、通常である。
ド類の製造条件によって未反応原料たる第1アミン類の
含有量が大きく変化する。例えば、原料たる無水マレイ
ン酸と第1アミン類の反応モル比が1に近い場合や、第
1アミン類の方が過剰である場合には、製品中に第1ア
ミン類が多く含まれることになる。また、マレイミド合
成反応によって生成したマレイミド化合物を精製するた
めに、反応液を水洗処理することが行なわれるが、この
工程中に、せっかく生成したマレイミド化合物が水によ
って加水分解し、再び原料である第1アミン類を生成し
てしまう場合がある。マレイミド化合物の製造工程中、
反応、精製などで原料の第1アミン類から副成した不純
物が熱により分解し、原料の第1アミン類を再び遊離す
る場合もある。
ノ−N−置換スクシンイミド化合物の含有量が大きく変
化する。例えば、無水マレイン酸と第1アミン類のモル
比が1に近いときや、第1アミン類の方が過剰であると
きは、製品中に2−アミノ−N−置換スクシンイミド化
合物が多く含まれることになる。また、マレイミド合成
反応によって生成したマレイミド化合物を精製するため
に、反応液を水洗処理することが行なわれるが、この工
程中に、反応により、副生した不純物が水によって加水
分解され、2−アミノ−N−置換スクシンイミド化合物
が生成することがある。この2−アミノ−N−置換スク
シンイミド化合物の生成を抑制するには、無水マレイン
酸と第1アミン類の反応モル比を1以上とするか、また
は反応後半に無水マレイン酸を添加し、2−アミノ−N
−置換スクシンイミド化合物を分解する方法が採用され
る。
物の製造方法を示す。
等の非極性溶媒、あるいは、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、スルホラ
ン等の極性溶媒と上記非極性溶媒との混合物を希釈剤と
して用いて、酸触媒の存在下、マレインアミド酸類を加
熱脱水してイミド化させる方法。
酸類を酸触媒の存在下に直接加熱脱水してイミド化させ
る方法。
インアミド酸類を脱水しイミド化させる方法。
希釈剤として用い、マレインアミド酸類を加熱脱水して
イミド化させる方法。
マレイン酸と第1アミン類を付加反応させて得るが、こ
のとき、未反応の第1アミンがマレインアミド酸類に含
まれて上記(1)〜(4)の反応液に入り込む。そのため、上
記いずれの方法による場合であっても、マレインアミド
酸類の脱水反応後の反応液中に混入残存する第1アミン
類量はできるだけ少ないこと(好ましくは1〜1000
0ppm程度)が好ましい。そのためには、無水マレイン
酸と第1アミン類の付加反応の反応条件を第1アミン類
が未反応で残らないように調整するのが良い。例えば、
反応に用いる無水マレイン酸(M)と第1アミン(A)
のモル比(M/A)を1以上にしてマレインアミド酸類
を得るようにするのが良い。しかしながら、たとえ反応
系において上記範囲を外れた場合であっても、前記脱水
反応工程に続く後述の精製工程において、この精製工程
での負担は大きくなるが、前記第1アミン類や2−アミ
ノ−N−置換スクシンイミド化合物を除去することも可
能である。
ド化合物は、つづいて精製工程に供され、精製処理が施
される。この精製工程においては、反応液から析出した
マレイミドの結晶を水洗する。あるいは、反応液のまま
の形で水洗処理を施して、反応液中に含有される第1ア
ミン類、無水マレイン酸、フマル酸、マレインアミド酸
類、その他、水可溶性の不純物を除去する。この水洗処
理においては、粗製マレイミド化合物は有機溶媒に溶解
しておく方が、水洗処理が容易となるので、好ましい。
このときに用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼ
ン、シメン、クロロベンゼン等が好んで用いられるが、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メ
チルピロリドン、スルホラン等の極性溶媒を含んでいて
もよい。特に、マレイミド化合物の製造工程において、
上記のような有機溶媒が用いられる場合には、反応液を
そのまま水洗処理に供することができるので、特に好ま
しい。
マレイミド化合物は、水との接触により容易に加水分解
し、マレインアミド酸類を経由して、第1アミン類を再
生成してしまうため、水との接触時間についてはできる
だけ短くするよう特に注意を払う必要がある。そのため
に、たとえば一例として、このような目的からバッチ式
による水洗処理よりも、むしろ連続式による短時間の効
率の良い水洗処理が推奨される。具体的には、マレイミ
ド化合物を含有する反応液である有機溶媒層と水層とを
20〜90°Cの範囲内で、空塔あるいは充填塔、段塔
の中で、連続的に0.1秒〜60分の間接触させること
により、加水分解による第1アミン類の生成を抑制しな
がら、効率良く水可溶性成分を除去することができる。
を加熱留去するが、このとき、粗製マレイミド化合物中
に含有されている不純物が熱によって分解し、第1アミ
ン類を再生成してしまう。そこで、マレイミド化合物が
高温にさらされる時間は短いほど好ましい。そのため、
この溶媒留去工程においても、水洗処理工程と同じくバ
ッチ式よりも連続式により高温下での滞留時間を短くす
るよう工夫する。そのため、たとえば、このような目的
に合うよう液膜流下式濃縮器、あるいは、薄膜蒸発器等
が好んで用いられる。
は、極力少なくすることが好ましいが、マレイミドの現
在の製造技術および精製技術では、その含有量を1pp
m未満にすることは経済的に不利になるだけである。
イミド化合物の製造工程中の各所にある。そこで、マレ
イミド化合物の原料アミン類による汚染を防止するため
には、マレイミド化合物の製造工程の諸条件を注意深く
検討し、原料たる第1アミン類の再生成をできうる限り
防ぐ条件を設定するようにしなければならない。
成をできる限り防ぐ条件を設定した上に、さらに、製品
中の2−アミノ−N−置換スクシンイミド化合物を特定
の条件に入るよう、その含有量を調整することにより、
著しい貯蔵安定性の向上効果が得られる。
ンイミド化合物とは、次式に示される。
〜20のアルキル基;シクロアルキル基;フェニル基;
ニトロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン等を置換してなるフェニル基を示す。
ミド化合物の量については、最終製品のマレイミド化合
物中に1〜300ppmとなるように調整されることが
必要である。300ppmを越えると、貯蔵中におい
て、マレイミド化合物の変色が助長される。この理由は
明らかでないが、第1アミン類が2−アミノ−N−置換
スクシンイミド化合物の介在により、着色成分に変化す
るものと考えられる。さらに、この2−アミノ−N−置
換スクシンイミド化合物はマレイミド化合物を用いてな
る樹脂製品の耐熱性を低下させたり、あるいは、成形品
に銀条を発生させるなど、その品質に悪影響を及ぼすこ
とになり好ましくないからである。また、2−アミノ−
N−置換スクシンイミド化合物の含有量は、極力少ない
方が好ましいが、0.5ppm以下にすることは、マレ
イミド化合物との分離に多大のコストがかかり、経済的
ではない。
シンイミド化合物が原因となる着色性物質の生成を助長
する効果のある塩素化合物や揮発性成分も、できるだけ
マレイミド化合物の製品中に混入させないようにしなけ
ればならない。例えば、塩素系化合物が、マレイミド化
合物の合成に必要な触媒、溶媒、脱水剤、水、原料の無
水マレイン酸などの製造時に必要な場合には、その混入
が不可避となる。そのため、マレイミド化合物の製造に
あたってはかかる塩素化合物を含有しない化合物群を原
料として用いるようにするべきである。
化合物の精製工程において出来るだけ分離除去するよう
にしなければならない。さらにつけ加えるならば、マレ
イミド化合物の製品容器への充填にあたり、揮発性成分
を少なくするように、不活性ガスでマレイミド化合物を
通気することも有効である。
詳しく説明する。
イミド100kgを直径59cm、高さ89cmのステ
ンレススチール製ドラム内に密封して室内で保存した。
保存温度を10〜40°Cに保ち、直射日光はあたらな
いようにした。貯蔵期間は1年間であり、この間、3ヶ
月ごとに中身を取り出して、外観を観察した。
マレイミド100gを縦9.5cm、横6.0cmの透
明なポリエチレン製容器にいれて密封した。このように
して包装したN−フェニルマレイミドを室内で10〜4
0°Cに保ち、直射日光をさけて保存した。保存期間
中、外観を目視観察した。
例よりも、不純物含有量が少ないため、着色が起きにく
く、貯蔵安定性に優れている。
このように、第1アミン類および2−アミノ−N−置換
スクシンイミド化合物の含有量を特定量以下に調整し、
さらに好ましくは、塩素含有量や揮発性成分含有量を特
定量以下になるように調整しているため、著しい貯蔵安
定性を示す。このような貯蔵安定性の改良されたマレイ
ミド化合物は、輸送あるいは貯蔵するにあたり、全く安
定であるため、最終製品である熱可塑性樹脂製品の色ぶ
れを起こさない有用なものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 マレイミド化合物を輸送あるいは貯蔵す
るにあたり、マレイミド化合物中の第1アミン類の含有
量を500ppm以下、2−アミノ−N−置換スクシン
イミド化合物の含有量を300ppm以下、かつ塩素化
合物の含有量を塩素原子として10ppm以下にするこ
とを特徴とするマレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方
法。 - 【請求項2】 常圧における沸点が200℃以下の揮発
性成分の含有量を2000ppm以下にする請求項1ま
たは2記載のマレイミド化合物の輸送あるいは貯蔵方
法。 - 【請求項3】 マレイミド化合物が芳香族置換マレイミ
ド化合物である請求項1または2記載のマレイミド化合
物の輸送あるいは貯蔵方法。
Priority Applications (6)
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JPH06135931A JPH06135931A (ja) | 1994-05-17 |
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Family Applications (1)
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KR102111638B1 (ko) | 2017-12-26 | 2020-05-15 | 주식회사 엘지화학 | N-치환 말레이미드 정제방법 |
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-
1992
- 1992-10-23 JP JP28598492A patent/JP3529801B2/ja not_active Expired - Lifetime
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