JP3528114B2 - 多条式の移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、圃場に広い幅状に
形成した畝に対して、野菜等のポット苗を多数条に沿っ
て移植するための多条式の移植機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の移植機は、例えば、特開
平４−１７３００５号公報等に記載されているように、
左右の走行車輪にて支持された車体フレームに、エンジ
ンを搭載すると共に、複数の苗収容部を備えた苗トレイ
を搬送する苗搬送台と、前記苗トレイの苗収納部からポ
ット苗を取り出したのち畝に植付ける移植体等からなる
移植部とを搭載すると言う構成であっが、この移植機で
は、一つの畝に対して、ポット苗を一条に沿ってしか移
植することができないのであった。

【０００３】そこで、最近では、車体フレームを、その
左右両側の各々に前輪と後輪とを設けて、広幅の畝を跨
いで走行するように構成し、前記車体フレームに、エン
ジン、複数の苗収容部を備えた苗トレイを搬送する苗搬
送台、及び前記苗トレイの苗収納部からポット苗を取り
出したのち畝に植付ける移植体等からなる移植装置を、
前記車体フレームにおける幅方向に摺動可能に搭載し、
前記車体フレームに、両後輪又は前輪に対する駆動車軸
を、横方向に延びるように軸支する一方、前記移植部に
は、そのエンジンからの動力を前記駆動車軸に伝達する
ためので伝動部を、駆動車軸に対してその長手方向に摺
動自在に構成し、車体フレームを、移植装置におけるエ
ンジンから駆動車軸を介しての両後輪又は両前輪への動
力伝達により広幅の畝を跨いだ状態で走行させ、この走
行状態のままで、前記移植装置を車体フレームの幅方向
に移動できるよう構成することにより、一つの広幅の畝
に対して、ポット苗を、多数条に沿って移植できるよう
に構成した多条式の移植機が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この多条式の
移植機は、その左右両車輪間のトレッドを、広幅の畝を
跨ぐように可成り大きい寸法に構成しなければならない
ために、このままでは、トラックの荷台に積み込むこと
ができず、その都度、トレッドを狭めるように、車体フ
レームの全体、及び前記移植装置を車体フレームの横方
向に往復動するための往復動機構を分解するようにしな
ければならないから、この移植機を、その格納箇所から
圃場に搬送すること、及び、圃場から格納箇所に搬送す
ることに多大の手数を必要とすると言う問題があった。

【０００５】また、左右両車輪間のトレッドを容易に狭
めることができないから、枕地での旋回半径が大きくな
るばかりか、狭い道路での路上走行ができないことも問
題であった。本発明は、これらの問題を解消した多条式
の移植機を提供することを技術的課題とするものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため本発明は、「車体フレームを構成する左右一対の
サイド部材の各々に前輪と後輪とを設けて、広幅の畝を
跨いで走行するように構成し、この車体フレームに、エ
ンジン、苗トレイの苗搬送台及び移植体等からなる移植
装置を、前記車体フレームの幅方向に移動可能に搭載し
て成る多条式の移植機において、前記車体フレームにお
ける両サイド部材の相互間に、前後一対のガイド部材を
装架して、この各ガイド部材にて前記移植装置を幅方向
に移動可能にガイドするように構成し、前記各ガイド部
材の一端を、前記両サイド部材のうち他方のサイド部材
に固着する一方、この各ガイド部材の他端を、前記両サ
イド部材のうち一方のサイド部材に、当該一方のサイド
部材が前記他方のサイド部材に向かって移動できるよう
に摺動可能に貫通し、更に、前記車体フレームのうち前
記他方のサイド部材寄りの部分に、前記移植装置を車体
フレームの横方向に往復動するための往復動機構を設け
る。」と言う構成にした。

【０００７】

【発明の作用・効果】この構成において、移植装置を車
体フレームの幅方向の所定位置まで移動した状態で、車
体フレームを前進走行してポット苗の移植を行うことに
より、一つの広幅の畝に対して、ポット苗を、多数条に
沿って移植できる。そして、左右両車輪間のトレッドを
狭めるに際しては、移植装置を、車体フレームにおける
左右両サイド部材のうち他方のサイド部材寄りの部分に
設けられている往復動機構にて前記他方のサイド部材に
近付けるように移動したのち、車体フレームにおける横
幅寸法を、その両サイド部材のうち一方のサイド部材を
他方のサイド部材に近付けるように狭めることにより、
左右両車輪間のトレッドを、車体フレーム及び往復動機
構の分解を必要とすることなく、広幅の畝を跨ぐ広い状
態から狭めることができ、また、逆の操作を行うこと
で、前記トレッドを広げることができるのである。この
場合において、前記各ガイド部材の一端を、前記両サイ
ド部材のうち他方のサイド部材に固着する一方、この各
ガイド部材の他端を、前記両サイド部材のうち一方のサ
イド部材に、当該一方のサイド部材が前記他方のサイド
部材に向かって移動できるように摺動可能に貫通すると
いう構成にしたことにより、一方のサイド部材が他方の
サイド部材に向かって移動できるように構成するときの
構造を簡単化できる。

【０００８】従って、本発明によると、左右両車輪間の
トレッドを変更することが容易にできるから、多条式移
植機のトラックにて搬送することに要する手数を大幅に
軽減できると共に、枕地において小さい半径に旋回でき
るばかりか、狭い道路での路上走行ができて、その作業
能率を大幅に向上できる効果を有する。特に、請求項２
に記載したように、移植装置を一方のサイド部材に近付
けた状態でその間を着脱自在な連結手段にて連結すると
言う構成にすることにより、左右両車輪間のトレッドを
変更するに際して、移植装置及び一方のサイド部材を、
往復動機構にて同時に移動することができるから、前記
トレッドの変更をより簡単化できる。

【０００９】また、請求項３に記載した構成にすること
により、左右両車輪間のトレッドを容易に変更できる状
態のもとで、各車輪を一斉に上下動して、圃場に対する
高さを任意に変更できる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面について説明する。図において符号１は、広幅の畝を
跨ぐように構成した車体フレームを示し、この車体フレ
ーム１は、その両端部において前後方向に延びる左右一
対のサイド部材２，３と、この両サイド部材２，３の相
互間を連結するように横方向に延びる前後一対のガイド
杆４，５とにて平面視において枠型に構成されている。
更に、この車体フレーム１を、当該車体フレーム１にお
ける両サイド部材２，３の外側面の各々に、左右一対の
前輪６，７をスイングアーム６ａ，７ａを介して取付け
ると共に、左右一対の後輪８，９をスイングケース８
ａ，９ａを介して取付けることにより、広幅の畝を跨い
で走行するように構成する。

【００１１】この場合において、前記車体フレーム１
は、その両サイド部材２，３間の間隔を狭めることがで
きるように構成されている。すなわち、例えば、両ガイ
ド杆４，５の一端を、前記両サイド部材２，３のうち右
側のサイド部材３に対して固着する一方、他端を、図４
に示すように、左側のサイド部材２に穿設した貫通孔４
ａ，５ａ内に摺動自在に挿入することにより、この左側
のサイド部材２を、両ガイド杆４，５に沿って右側のサ
イド部材３に向かって自在に接近動できるようにして、
車体フレーム１を、その両サイド部材２，３間の間隔を
狭めることができるように構成する。なお、左側のサイ
ド部材２には、その任意の移動位置において、各ガイド
杆４，５に対して移動不能に固定するためのボルト２
ａ，２ｂ等の固定手段が設けられている。

【００１２】また、前記車体フレーム１には、駆動車軸
１０を、横方向に延びるように軸支し、この駆動車軸１
０の両端を前記両後車輪８，９に対するスイングケース
８ａ，９ａの基端部内に挿入することにより、この駆動
車軸１０の回転を、前記スイングケース８ａ，９ａ内に
チエン８ｂ，９ｂを介して両後輪８，９に伝えるように
構成する。この場合において、前記駆動車軸１０の一端
部は、右側のサイド部材２に取付くスイングケース８ａ
の基端部内を摺動自在に貫通するように挿入されてい
る。

【００１３】一方、符号１２は、移植装置を示し、この
移植装置１２は、前部にエンジン１４を備えた機体１３
と、この機体１３の後部から後方に延びるハンドル部１
５とからなり、前記機体１３の後部とハンドル部１５と
の間には、複数の苗収容部を備えた苗トレイ１６を搬送
する苗搬送台１７、及び前記苗トレイ１６の苗収納部か
らポット苗を取り出したのち畝に植付ける移植体１８等
が設けられており、前記ハンドル部１５には、各種の操
作レバー１９ａ，１９ｂが取付けられている。

【００１４】この移植装置１２を、前記車体フレーム１
における両ガイド杆４，５に対して、ガイド杆を上下か
ら挟むように複数個のコロを備えたガイド部２０，２１
を介して両ガイド杆４，５の長手方向に移動自在に装着
する。このとき、前記駆動車軸１０が、移植装置１２に
おける機体１３内を摺動自在に貫通するようにして、こ
の駆動車軸１０のうち前記機体１３内の部分に、歯車２
２を、回転不能・摺動自在に被嵌して、この歯車２２
に、前記エンジン１４からの回転を伝達することによ
り、移植装置１２が車体フレーム１における幅方向のい
ずれの位置にあっても、前記駆動車軸１０を、回転駆動
できるように構成する。

【００１５】なお、前記両後輪８，９に対するスイング
ケース８ａ，９ａ等のような駆動車軸１０から両後輪
８，９への伝動部の各々には、駆動車軸１０から両後輪
８，９への動力伝達を適宜断続するようにした方向旋回
用のサイドクラッチ機構（図示せず）が設けられてい
る。一方、前記車体フレーム１のうち右側のサイド部材
３寄りの部分には、複動式の往復動用油圧シリンダ２３
にて略水平方向に往復回動するようにしたスイングアー
ム２４を設けて、このスイングアーム２４の先端のピン
２４ａを、前記移植装置１２の側面に取付く部材２５に
穿設した長溝孔２６に係合することにより、前記移植装
置１２を、前記往復動用油圧シリンダ２３にて横方向に
往復動するように構成する。

【００１６】また、前記車体フレーム１における両サイ
ド部材２，３の間には、外軸２７ａと、その内部に回転
不能・摺動自在に挿入した内軸２７ｂとで軸方向に伸縮
自在に構成した昇降軸２７を、横方向に延びるように回
転自在に装架し、この昇降軸２７の一端に、前記左側の
サイド部材２に取付くスイングアーム６ａ及びスイング
ケース８ａを、他端に、右側のサイド部材３に取付くス
イングアーム７ａ及びスイングケース７ａを各々連結機
構２８，２９を介して連結することにより、前記昇降軸
２７の回動にて、左右両前輪６，７及び両後輪８，９を
一斉に上下動するように構成する一方、前記車体フレー
ム１のうち右側のサイド部材３寄りの部分には、単動式
の昇降用油圧シリンダ３０を設けて、この油圧シリンダ
３０のピストン杆３０ａの先端を、前記昇降軸２７から
突出するアーム２７ａに、当該ピストン杆３０ａの油圧
による突出動にて昇降軸２７を各車輪の下降動の方向に
回動するように連結することにより、前記昇降用油圧シ
リンダ３０への油圧の供給・排出にて、各車輪を一斉に
上下動するように構成する。

【００１７】更にまた、前記移植装置１２には、当該移
植装置１２を図２に実線で示すように左側のサイド部材
２寄りに位置したときにおいて、左側のサイド部材２に
対して着脱自在に連結するようにした連結片３１が設け
られている。この構成において、移植装置１２を、図２
に実線で示す位置にした状態で、車体フレーム１を前進
走行しながらポット苗の移植を行い、次いで、移植装置
１２を、その連結片３１における左側のサイド部材２へ
の連結した解除し、往復動用油圧シリンダ２３にて、図
２に二点鎖線で示すように、距離Ｓの位置に移動した状
態で前進走行しながらポット苗の移植を行うことによ
り、一つの広幅畝に対して、多数条に沿ってポット苗の
移植を行うことができるのである。

【００１８】この場合において、圃場に対する高さは、
昇降用油圧シリンダ３０にて、右側の前後車輪６，８及
び左側の前後車輪７，９を一斉に上下動することによ
り、任意に設定できる。そして、左右両車輪間にトレッ
ドを、広幅の畝を跨ぐ状態から狭めるように変更するに
際しては、先づ、前記移植装置１２を、その往復動用油
圧シリンダ２３にて、図２に実線で示すように左側のサ
イド部材２寄りの位置に移動して、その連結片３１を左
側のサイド部材２に対して連結し、次いで、右側の前後
車輪６，８を、前記移植装置１２又は各ガイド杆４，５
に設けた折り畳式のスタンド（図示せず）等にて浮かし
た状態にし、この状態で、移植装置１２を、図５に示す
ように、その往復動用油圧シリンダ２３にて、右側のサ
イド部材２に近付けるように移動することにより、この
移植装置１２と一緒に前記左側のサイド部材３も、右側
のサイド部材２に近付くように移動することになるか
ら、右側の前後車輪６，８と、左側の前後車輪７，９と
の間のトレッドを、広幅の畝を跨ぐ状態のトレッドＷ１
から、トラックの荷台に積み込めるような状態の最小ト
レッドＷ２にまで狭めることができるのである。

【００１９】また、逆の操作を行うことにより、右側の
前後車輪６，８と左側の前後車輪７，９との間のトレッ
ドを、広幅の畝を跨ぐ状態のトレッドＷ１まで広げるこ
とができると言うように、右側の前後車輪６，８と左側
の前後車輪７，９との間のトレッドを、任意に変更する
ことができるのであり、このトレッドの変更に追従して
昇降軸２７が伸縮ことになるから、昇降用油圧シリンダ
３０による高さ調節を、任意のトレッド位置においても
行うことができるのである。

【００２０】なお、前記昇降用油圧シリンダ３０は単動
式であることのために、トレッドの変更に際して、右側
の前後車輪６，８をスタンド（図示せず）等にて浮かし
た状態にしたとき、この右側の前後車輪６，８は、それ
自身の重量で下降動することになるが、これを防止する
には、図３に示すように、前記昇降用油圧シリンダ３０
に、そのピストン杆３０ａの突起片３０ａ′に対してば
ね３３にて着脱自在に係合するように係合片３２を設け
て、ピストン杆３０ａが突出動しないように保持するよ
うに構成すれば良いのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す側面図で図２のＩ−
Ｉ視側面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図２のIII −III 視拡大断面図である。

【図４】各ガイド杆と一方のサイド部材との連結部を示
す斜視図である。

【図５】トレッドを狭めた状態の平面図である。

【符号の説明】

１ 車体フレーム ２，３ サイド部材 ４，５ ガイド杆 ６，７ 前輪 ６ａ，７ａ スイングアーム ８，９ 後輪 ８ａ，９ａ スイングケース １０ 駆動車軸 １２ 移植装置 １３ 移植装置の機体 １４ エンジン １７ 苗搬送台 １８ 移植体 ２３ 往復動用油圧シリンダ ２７ 昇降軸 ３０ 昇降用油圧シリンダ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平９−154330（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01C 11/00 - 11/02 303 A01C 11/02 334

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体フレームを構成する左右一対のサイド
   部材の各々に前輪と後輪とを設けて、広幅の畝を跨いで
   走行するように構成し、この車体フレームに、エンジ
   ン、苗トレイの苗搬送台及び移植体等からなる移植装置
   を、前記車体フレームの幅方向に移動可能に搭載して成
   る多条式の移植機において、前記車体フレームにおける両サイド部材の相互間に、前
   後一対のガイド部材を装架して、この各ガイド部材にて
   前記移植装置を幅方向に移動可能にガイドするように構
   成し、前記各ガイド部材の一端を、前記両サイド部材の
   うち他方のサイド部材に固着する一方、この各ガイド部
   材の他端を、前記両サイド部材のうち一方のサイド部材
   に、当該一方のサイド部材が前記他方のサイド部材に向
   かって移動できるように摺動可能に貫通し、更に、 前記
   車体フレームのうち前記他方のサイド部材寄りの部分
   に、前記移植装置を車体フレームの横方向に往復動する
   ための往復動機構を設けたことを特徴とする多条式の移
   植機。
2. 【請求項２】前記請求項１の記載において、前記移植装
   置を前記一方のサイド部材に近付けた状態で、その間を
   着脱自在に連結するようにした連結手段を設けたことを
   特徴とする多条式の移植機。
3. 【請求項３】前記請求項１又は２の記載において、前記
   両サイド部材の間に、前記車体フレームの幅方向に延び
   且つ軸方向に伸縮自在に構成した昇降軸を回転自在に装
   架し、この昇降軸に、前記両前輪及び両後輪を、当該昇
   降軸の回動により各車輪を一斉に上下するように連動連
   結する一方、前記車体フレームのうち前記他方のサイド
   部材寄りの部分に、前記昇降軸を回動するための昇降動
   機構を設けたことを特徴とする特徴とする多条式の移植
   機。