JP3525633B2 - 不均質イオン交換膜 - Google Patents
不均質イオン交換膜Info
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Description
特に、水溶液中のイオンを吸着、または透過分離するた
めのイオン交換膜に関する。
許が報告されているが、もっとも実用的で有益なものと
して、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体系の均質イ
オン交換膜がある。これらはその耐薬品性、耐熱性に加
え、架橋剤であるジビニルベンゼンの含有量を変えるこ
とにより、イオン交換特性や選択透過性を制御できるこ
とから、あらゆる用途に対し多種の品種を合成し発展し
てきた。特に製塩に関わる電気透析による海水濃縮分野
においては、低電気抵抗で輸率が高く、1価イオンを選
択的に透過する高度な機能を有する膜が開発されてき
た。
ンゼン共重合体系のイオン交換膜は重合、反応という煩
雑で敏感な工程を伴うためコストがかかり、更にその際
に発生する発熱や寸法変化等のコントロールが難しく歩
留まりが低下し高価なものとなるという欠点を有してい
た。一方、イオン交換樹脂を粉砕したものとバインダー
ポリマーを混合し加熱押し出しや、溶媒を用いてキャス
ト製膜する不均質系イオン交換体は、重合や反応という
工程がなく比較的簡便な工程によりイオン交換体が安価
に得られるため、1950年頃から数多くの研究がなさ
れてきた。
ロピレンを用いた例がUSP−3,627,703、特
公昭47−24262に、ポリエチレンやポリプロピレ
ン等のポリオレフィンを用いた例がUSP−4,16
7,551、特公昭52−3912、特公昭53−18
472、特公昭51−12313に、ポリエチレン、ポ
リイソブチレン、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソプレ
ン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ニ
トリルゴム、塩化ビニル−脂肪酸ビニルエステル共重合
体を用いた例がUSP−2,681,319および2,
681,320に、また線状低密度ポリエチレンや高分
子量高密度ポリエチレンを用いた例がUSP−5,34
6,924、WO94−06850に記載されている。
らのバインダーを用いた不均質イオン交換体は電気抵抗
を低下させるためイオン交換樹脂の含有量を増大させよ
うとすると、ポリエチレンやポリプロピレンのような熱
可塑性樹脂単独の場合には強度が低下したり膜が脆くな
ったりし、また天然ゴムやブチルゴムのようなゴムの場
合には得られるイオン交換体が柔らかいため取り扱い性
が悪く表面が非常に疎で、膜形状に成形した場合にはピ
ンホールの多いものになるという欠点があった。また、
柔らかいため圧力変形に弱く、膜として電気透析槽に組
み込んで片側に圧力がかかると変形してピンホールが発
生し槽内を流れる液体が低圧側へ多量に漏洩するという
欠点があった。
低密度ポリエチレンと柔軟な素材であるエチレン−ビニ
ルアセテート共重合体およびポリイソブテンゴムの混合
物をバインダーポリマーとして用いる例が中国特許公開
1044411号に記載されているが、エチレン−ビニ
ルアセテート共重合体は耐薬品性および耐久性に劣るた
め長期使用に十分な性能を持つイオン交換膜が得られ難
いという欠点があった。
点を解決するためになされたものであり、イオン交換樹
脂とバインダーポリマーから構成される不均質イオン交
換膜であって、バインダーポリマーが、低密度ポリエチ
レンと、エチレン−プロピレンゴムまたはエチレン−プ
ロピレン−ジエンゴムとの混合物を40重量%以上含有
するポリマーである不均質イオン交換膜を提供するもの
である。
使用されるバインダーポリマーのうち、低密度ポリエチ
レンと、エチレン−プロピレンゴムまたはエチレン−プ
ロピレン−ジエンゴムとの混合物の含有率は40重量%
以上であることが好ましい。含有率が40重量%より小
さいと、得られる膜が脆くなったり、強度が低下するの
で好ましくない。含有率が60重量%以上の場合には膜
強度が比較的高いものが得られるので特に好ましい。
構成する低密度ポリエチレンとしては、密度が好ましく
は0.880〜0.930、特には0.900〜0.9
26、分子量の指標であるメルトフローレートがJIS
−K6760法による測定で3.0〜30g/10分の
ものが好ましい。また、ここでいう低密度ポリエチレン
は線状低密度ポリエチレンも含み、一般の低密度ポリエ
チレンおよび線状ポリエチレン単独で使用しても良い
し、混合して使用しても良い。混合物の場合は混合物の
物性が上記の範囲となるものであれば使用できる。一
方、エチレン−プロピレンゴムとしては、プロピレン含
有率が25〜50重量%、ムーニー粘度が35〜50の
ものが好ましい。エチレン−プロピレン−ジエンゴムの
場合には、プロピレン含有率が25〜50重量%、ムー
ニー粘度が40〜90のものが好ましい。
ポリエチレンと、エチレン−プロピレンゴムまたはエチ
レン−プロピレン−ジエンゴムとの混合物の物性として
は、表面硬度(ショアA)で80〜97、好ましくは8
6〜95、引っ張り破断強度で130kg/cm 2 以
上、好ましくは150kg/cm 2 以上、破断伸度で7
00〜900%、好ましくは750〜850%、ビカッ
ト軟化点で75〜130℃、好ましくは90〜120℃
の物性を有するポリマーが好ましく用いられる。表面硬
度が80より小さいと得られる膜が柔らかく、表面が疎
になり圧力変形に弱くなるので好ましくない。表面硬度
が97より大きいと膜は圧力変形には強いが脆くなるの
で好ましくない。引っ張り破断強度が130kg/cm
2 より小さいと、得られる膜の強度も小さくなるので好
ましくない。破断伸度が700%より小さいと、膜が破
断しやすくなり、また900%より大きいと得られる膜
が柔らかくなるので好ましくない。ビカット軟化点が7
5℃より低いと膜使用時に熱変形しやすくなり、130
℃より大きいと製膜時の温度が高くなり、イオン交換樹
脂のイオン交換基が分解しやすくなるので好ましくな
い。
度ポリエチレンとエチレン−プロピレンゴムまたはエチ
レン−プロピレン−ジエンゴムとの混合物中のエチレン
−プロピレンゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエン
ゴムの含有率は10〜50重量%が好ましく用いられ
る。ゴムの含有率が10重量%より少ないと得られる膜
が脆くなり、50重量%より大きいと膜が柔らかくなり
圧力変形に弱くなるので好ましくない。ゴムの含有率が
25〜35重量%のものは前記の物性面で優れたものが
得られ、成形も容易なので特に好ましい。
チレンと、エチレン−プロピレンゴムまたはエチレン−
プロピレン−ジエンゴムとの混合物に加えて他のポリマ
ーを混合して用いる場合、この混合するポリマーとして
は、高密度ポリエチレン、超高分子量高密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン等のポリ炭化水
素オレフィンが好適である。
酸性カチオン交換樹脂や強塩基性アニオン交換樹脂、両
性イオン交換樹脂などが使用でき、これらは単独で使用
してもよいしそれらを混合して使用してもよい。また、
イオン交換樹脂の粒子とバインダーポリマーを混合する
割合は、イオン交換樹脂/バインダーポリマーが40/
60〜70/30( 重量比)であることが好ましい。イ
オン交換樹脂が40重量%未満の場合は、得られる不均
質イオン交換膜の電気抵抗が著しく上昇するので好まし
くない。イオン交換樹脂が70重量%を超える場合は、
機械的強度が著しく低下し成形できなくなるので好まし
くない。
150μm以下で、100〜150μmの粒径のものが
イオン交換樹脂粒子原料全体の5重量%以下で、しかも
20μm以下の粒径のものが20重量%以下であること
が好ましい。最大粒径が150μm以上であると、また
100〜150μmの粒径のものが5重量%以上である
と、不均質イオン交換膜を成形したときにピンホールが
発生しやすくなり、また膜の機械的強度も低下するので
好ましくない。イオン交換樹脂の粒子の粒径が20μm
以下のものが20重量%以上であるとイオン交換樹脂粒
子の表面積が著しく増大し、バインダーポリマーとの混
練が不十分となり欠陥点が発生しやすくなるので好まし
くない。また、欠陥点をなくすために十分に加熱混練を
行うと、時間がかかったり混練温度が上昇するためイオ
ン交換基が分解し、膜の電気抵抗が著しく上昇するので
好ましくない。
水の脱塩、酸濃縮回収、有価金属回収などの電気透析や
酸回収等の拡散透析、2次電池等のセパレーターに有用
なイオン交換膜として使用することができる。特に、か
ん水の電気透析脱塩による工業用水および飲料水の製
造、イオン交換樹脂とイオン交換膜を組み合せて純水を
製造する自己再生型電気透析純水製造に有用である。
量%とエチレン−プロピレン−ジエンゴム30重量%を
ラボプラストミルで150℃、30分混合混練し、混合
物を得た。混合物の物性としては、表面硬度(ショア
A)で95、引っ張り破断強度で170kg/cm 2 、
破断伸度で780%、ビカット軟化点で105℃であっ
た。
オン交換樹脂である三菱化学製ダイヤイオンSK−1B
(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂、イオン交
換基−SO3Na型、みかけ密度0.825g/ml、
水分含有率43〜50重量%、イオン交換容量2.0m
eq/ml)を用い、60℃で24時間温風乾燥後、ジ
ェットミルにて粉砕を行った。粉砕した粒子はステンレ
スメッシュでふるい、粒径150μm以上の粒子を除い
た。得られた粒径150μm以下のイオン交換樹脂粉末
粒子の粒径分布をふるいにより測定したところ、粒径1
00〜150μmのものが1.2重量%で、粒径20μ
m以下の粒子が12重量%であった。このイオン交換樹
脂粒子と上記低密度ポリエチレン/エチレン−プロピレ
ン−ジエンゴム混合物を混合比60/40(重量比)で
混合し、ラボプラストミルで130℃、50rpm、2
0分混練した。得られた混練物を平板プレスにより16
0℃で加熱溶融プレスし、厚さ500μmのカチオン交
換膜を得た。得られた膜を50℃、2日間イオン交換水
に浸漬した後、膜の電気抵抗を0.5N食塩水中で交流
1000Hzで測定したところ、比抵抗は550Ω・c
mであった。またこの膜の破断強度は2.8MPa、破
断伸度は160%、破裂強度は0.15MPaであっ
た。また膜の片側に水を入れ0.35kg/cm 2 の圧
力をかけて水の透過性を測定したところ、水透過速度は
10ml/h・m 2 で低い値であり、圧力に対する変形
が少ない膜であった。 〔実施例2〕 実施例1において、イオン交換樹脂として強塩基性アニ
オン交換樹脂である三菱化学製ダイヤイオンSA−10
A(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂、イオン
交換基−N(CH 3 ) 3 Cl型、みかけ密度0.685
g/ml、水分含有率43〜47重量%、イオン交換容
量1.3meq/ml)を用いた他は同様にして厚さ5
00μmのアニオン交換膜を製造した。なお使用した粒
径150μm以下のイオン交換樹脂粉末粒子の粒径分布
は、粒径100〜150μmのものが0.9重量%で、
粒径20μm以下の粒子が8重量%であった。得られた
膜を50℃、2日間イオン交換水に浸漬した後、膜の電
気抵抗を0.5N食塩水中で交流1000Hzで測定し
たところ、比抵抗は300Ω・cmであった。またこの
膜の破断強度は2.5MPa、破断伸度は150%、破
裂強度は0.13MPaであった。また膜の片側に水を
入れ0.35kg/cm 2 の圧力をかけて水の透過性を
測定したところ、水透過速度は30ml/h・m 2 で低
い値であり、圧力に対する変形が少ない膜であった。 〔実施例3〕 バインダーポリマーとして、低密度ポリエチレン50重
量%とエチレンとヘキセン−1との共重合体(三菱化学
株式会社製、商品名三菱ポリエチC6−SF240)2
0重量%、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴム3
0重量%をラボプラストミルで150℃、30分間混合
混練し、混合物を得た。混合物の物性としては、表面硬
度(ショアA)で93、引っ張り破断強度で180kg
/cm 2 、破断伸度で800%、ビカット軟化点で98
℃であった。
使用した他は実施例1と同様にして厚さ500μmのカ
チオン交換膜を製造した。得られた膜を50℃、2日間
イオン交換水に浸漬した後、膜の電気抵抗を0.5N食
塩水中で交流1000Hzで測定したところ、比抵抗は
480Ω・cmであった。またこの膜の破断強度は2.
5MPa、破断伸度は130%、破裂強度は0.12M
Paであった。また膜の片側に水を入れ0.35kg/
cm 2 の圧力をかけて水の透過性を測定したところ、水
透過速度は18ml/h・m 2 で低い値であり、圧力に
対する変形が少ない膜であった。 〔実施例4〕 バインダーポリマーとして、低密度ポリエチレン30重
量%とエチレン/4−メチルペンテン−1共重合体(三
井石油化学株式会社製、商品名ウルトゼックス2020
L)35重量%、およびエチレン−プロピレン−ジエン
ゴム35重量%をラボプラストミルで150℃、30分
混合混練し、混合物を得た。混合物の物性としては、表
面硬度(ショアA)で90、引っ張り破断強度で160
kg/cm 2 、破断伸度で850%、ビカット軟化点で
90℃であった。
使用した他は実施例2と同様にして厚さ500μmのア
ニオン交換膜を製造した。得られた膜を50℃、2日間
イオン交換水に浸漬した後、膜の電気抵抗を0.5N食
塩水中で交流1000Hzで測定したところ、比抵抗は
250Ω・cmであった。またこの膜の破断強度は2.
0MPa、破断伸度は120%、破裂強度は0.12M
Paであった。また膜の片側に水を入れ0.35kg/
cm 2 の圧力をかけて水の透過性を測定したところ、水
透過速度は60ml/h・m 2 で低い値であり、圧力に
対する変形が少ない膜であった。 〔実施例5〕 実施例1で得られた低密度ポリエチレン/エチレン−プ
ロピレン−ジエンゴム混合物に高密度ポリエチレン(三
菱化学株式会社製、商品名三菱ポリエチHD−HJ29
0)を重量比で75/25の割合で混合し、バインダー
ポリマーとして使用した他は実施例1と同様にして厚さ
500μmのカチオン交換膜を製造した。得られた膜を
50℃、2日間イオン交換水に浸漬した後、膜の電気抵
抗を0.5N食塩水中で交流1000Hzで測定したと
ころ、比抵抗は400Ω・cmであった。またこの膜の
破断強度は2.0MPa、破断伸度は120%、破裂強
度は0.12MPaであった。また膜の片側に水を入れ
0.35kg/cm 2 の圧力をかけて水の透過性を測定
したところ、水透過速度は80ml/h・m 2 で低い値
であり、圧力に対する変形が少ない膜であった。 〔比較例1〕 実施例1において、バインダーポリマーとしてエチレン
/ヘキセン−1共重合体(三菱化学株式会社製、商品名
三菱ポリエチC6−SF240)を用いた他は実施例1
と同様にして厚さ500μmのカチオン交換膜を製造し
た。得られた膜を50℃、2日間イオン交換水に浸漬し
た後、膜の電気抵抗を0.5N食塩水中で交流1000
Hzで測定したところ、比抵抗は350Ω・cmと低い
値であったが、この膜の破断強度は1.3MPa、破断
伸度は70%、破裂強度は0.08MPaで強度が低い
ものであった。また膜の片側に水を入れ0.35kg/
cm 2 の圧力をかけて水の透過性を測定したところ、水
透過速度は500ml/h・m 2 と高い値であり、圧力
に対する変形が大きい膜であった。 〔比較例2〕 実施例1で得られた低密度ポリエチレン/エチレン−プ
ロピレン−ジエンゴム混合物と高密度ポリエチレン(三
菱化学株式会社製、商品名三菱ポリエチHD−HJ29
0)を重量比で25/75の割合で混合しバインダーポ
リマーとし、またアニオン交換樹脂粉末粒子と上記バイ
ンダーポリマーの混練条件を160℃、50rpm、2
0分とした他は実施例2と同様にして厚さ500μmの
アニオン交換膜を作製した。得られた膜を50℃、2日
間イオン交換水に浸漬した後、膜の電気抵抗を0.5N
食塩水中で交流1000Hzで測定したところ、比抵抗
は1000Ω・cmと高い値で、またこの膜の破断強度
は1.0MPa、破断伸度は60%、破裂強度は0.0
7MPaと強度が低い膜であった。また膜の片側に水を
入れ0.35kg/cm 2 の圧力をかけて水の透過性を
測定したところ、水透過速度は2500ml/h・m 2
と高い値であり、圧力に対する変形が大きい膜であっ
た。
は、安価なうえに電気抵抗が比較的低く、かつ機械的強
度も高い。
Claims (4)
- 【請求項1】イオン交換樹脂とバインダーポリマーから
構成される不均質イオン交換膜であって、バインダーポ
リマーが、低密度ポリエチレンと、エチレン−プロピレ
ンゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴムとの混
合物を40重量%以上含有するポリマーであることを特
徴とする不均質イオン交換膜。 - 【請求項2】前記の低密度ポリエチレンと、エチレン−
プロピレンゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴ
ムとの混合物が、表面硬度(ショアA)で80〜97、
引っ張り破断強度で130kg/cm 2 以上、破断伸度
で700〜900%、ビカット軟化点で75〜130℃
の物性を有するポリマーであることを特徴とする請求項
1に記載の不均質イオン交換膜。 - 【請求項3】前記の低密度ポリエチレンと、エチレン−
プロピレンゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴ
ムとの混合物が、エチレン−プロピレンゴムまたはエチ
レン−プロピレン−ジエンゴムを10〜50重量%含有
する混合物であることを特徴とする請求項1または2に
記載の不均質イオン交換膜。 - 【請求項4】不均質イオン交換膜における、イオン交換
樹脂/バインダーポリマー混合比が、40/60〜70
/30(重量比)である請求項1〜3の何れかに記載の
不均質イオン交換膜。
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