JP3524522B2 - スライドアンカーを有するプラスチックサッシ - Google Patents

スライドアンカーを有するプラスチックサッシ

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JP3524522B2 JP2001205726A JP2001205726A JP3524522B2 JP 3524522 B2 JP3524522 B2 JP 3524522B2 JP 2001205726 A JP2001205726 A JP 2001205726A JP 2001205726 A JP2001205726 A JP 2001205726A JP 3524522 B2 JP3524522 B2 JP 3524522B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単窓タイプの窓と
して使用されるプラスチックサッシ、特に、プレキャス
トコンクリート板(以下、「PC板」という。)に取り
付けられたり、コンクリート躯体の開口部に取り付けら
れたり、建築物の外壁コンクリートに直接取り付けられ
たりするのに適したスライドアンカーを有するプラスチ
ックサッシに関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム製サッシ(以下、「アルミ
サッシ」という。)の周囲にコンクリートを打ち込むこ
とにより成形されたアルミサッシ付きPC板は、所謂P
C打込みアルミサッシとして知られている。このアルミ
サッシ付きPC板は、アルミサッシを周囲に配筋してP
C板養生ベッド上にセットして固定し、そのアルミサッ
シの上に重いサッシ押さえ型枠を載せた状態でそれらの
周囲にコンクリートを打設し、次いで養生が行われて形
成される。
【0003】ところで、アルミサッシ、スチールサッシ
等の金属製サッシは、結露したり、かびが発生したり、
電波障害の発生源になったり、断熱性が劣る等の問題が
あるため、近年、かかる問題解消のため、プラスチック
サッシ、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)製、FRP
製、ポリカーボネート製等のプラスチックサッシが広く
使用され、それに伴って、プラスチックサッシ付きPC
板の採用も検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、コンクリート
とプラスチックサッシとは熱膨張率が異なるため、前記
アルミサッシ付きPC板の形成手法を用いて、プラスチ
ックサッシ付きPC板を形成した場合、あるいは建築物
の外壁コンクリートに直接取り付けた場合、以下に詳述
するように種々の問題が発生する。
【0005】プラスチックサッシの代表例である塩化ビ
ニル樹脂製サッシ(以下、適宜「塩ビサッシ」とい
う。)についてみると、塩ビサッシ付きPC板の形成時
に、塩ビサッシには、コンクリートの凝固時の反応熱に
よる伸び、コンクリート打込み終了時の温度降下による
縮み、あるいは、蒸気養生時の温度上昇(30〜80
℃)による伸び、蒸気養生終了に伴う温度降下による縮
み等が生じるので、塩ビサッシ付きPC板が形成される
までに、PC板及び塩ビサッシ相互に種々の応力が加え
続けられる。その結果、PC板のコンクリートに割れ、
亀裂、表面の脹らみ、歪みが発生するという問題があ
り、同時に塩ビサッシには歪みが発生するという問題が
ある。
【0006】また、塩ビサッシ付きPC板が建物外壁の
開口部に取り付けられると、日射に曝され、長期に亘り
熱膨張、熱収縮を繰り返すこととなり、その結果、やは
り同じように、PC板に割れ、亀裂、表面の脹らみ、歪
み、部分的剥離が発生し、塩ビサッシには歪みが発生す
るという問題がある。
【0007】また、塩ビサッシ付きPC板は、塩ビサッ
シとコンクリートとの付着性、接着性が劣るため、PC
板等に確実に保持させることができないので、PC板等
からの抜け外れ防止のために、アンカーで塩ビサッシを
PC板等に固定する必要がある。
【0008】この場合、塩ビサッシに複数個の固定アン
カーを固着し、この塩ビサッシをPC板に取り付けて一
体構造とすると、固定アンカーが固着された塩ビサッシ
は、やはりコンクリートとの熱膨張率の差による影響を
受ける。
【0009】その結果、塩ビサッシの熱膨張、熱収縮に
より、PC板が破損したり、固定アンカーが破損した
り、外れたり、あるいは塩ビサッシが変形するという問
題がある。また、固定アンカーが破損すると、塩ビサッ
シ付きPC板の形成途上において、あるいは該PC板が
建物に取り付けられて使用された場合、塩ビサッシがP
C板等から外れる恐れがあるという問題がある。
【0010】さらに、建築物の外壁コンクリートに塩ビ
サッシを直接取り付ける場合、塩ビサッシに複数個の固
定アンカーを固着し、この固定アンカーを外壁コンクリ
ートにボルトなどで固着して直接取り付ける。しかし、
塩ビサッシが日射に曝され、長期に亘り熱膨張、熱収縮
を繰り返すと、外壁コンクリートが破損したり、固定ア
ンカーが破損したり、外れたり、あるいは塩ビサッシが
変形するという問題があり、固定アンカーが破損する
と、建物から塩ビサッシが外れ落ちる恐れがあるという
問題がある。以上の問題は、塩ビサッシに限らず、他の
プラスチックサッシにも共通する。
【0011】そこで、本発明は、前述したような問題点
を解消し、PC板にプラスチックサッシが取り付けられ
て、両者が一体構造として形成された場合、あるいは外
壁コンクリートにプラスチックサッシが直接取り付けら
れた場合、温度変化の影響を受けてプラスチックサッシ
が熱膨張、熱収縮により伸縮しても、PC板や外壁コン
クリートが破損したり、アンカーが破損したり、外れた
りしないと共に、プラスチックサッシに歪みが発生しな
いようにしたスライドアンカーを有するプラスチックサ
ッシを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に係る本発明は、プラスチックサッシの枠
材外側面に固着された金属製のレールと、金属製のスラ
イドアンカーとが設けてあり、前記スライドアンカー
は、前記レールに保持されつつスライドする基台と、該
基台に設けられた中間部材と、該中間部材に取り付けら
れたアンカー部材とで形成されており、基台がレールに
スライド自在な状態としてアンカー部材がPC板又はコ
ンクリートに埋設固定されるスライドアンカーを有する
プラスチックサッシ、という構成としたものであり、請
求項2に係る本発明は、前記請求項1のスライドアンカ
ーを有するプラスチックサッシにおいて、前記中間部材
に、回動かつ固定可能にアンカー部材が取り付けられて
いる、という構成としたものであり、請求項3に係る本
発明は、前記請求項1又は2のスライドアンカーを有す
るプラスチックサッシにおいて、前記プラスチックサッ
シの枠材の長手方向略々中央の枠材外側面に、固定アン
カーが固着されている、という構成としたものである。
【0013】
【作用】本発明のスライドアンカーを有するプラスチッ
クサッシは、その枠材外側面に固着された金属製のレー
ルと、金属製のスライドアンカーとが設けてあり、前記
スライドアンカーは、前記レールに保持されつつスライ
ドする基台と、該基台に設けられた中間部材と、該中間
部材に取り付けられたアンカー部材とで形成されてお
り、基台がレールにスライド自在な状態としてアンカー
部材がPC板又はコンクリートに埋設固定されるので、
プラスチックサッシがPC板に取り付けられたり、建物
の外壁コンクリートに取り付けられた場合、スライドア
ンカーに対してプラスチックサッシの枠材がフリー状態
となり、プラスチックサッシが熱膨張、熱収縮により伸
縮しても、PC板や外壁コンクリートが破損したり、ス
ライドアンカーが破損したり、プラスチックサッシから
外れることはない。
【0014】また、本発明のスライドアンカーを有する
プラスチックサッシは、アンカー部材取付用の中間部材
に、回動かつ固定可能に金属製のアンカー部材が取り付
けられている場合には、コンクリート打設前に、PC板
等の開口部にプラスチックサッシを設置する際、アンカ
ー部材を回動することにより、アンカー部材が邪魔にな
らないようになる。
【0015】さらに、本発明のプラスチックサッシは、
プラスチックサッシの枠材の長手方向略々中央の枠材外
側面に、固定アンカーが固着されている場合、プラスチ
ックサッシのコーナー部側に対するプラスチックサッシ
の伸縮量が半減される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施例1を図1、図2〜
図7に基づき説明する。図1には、塩ビサッシの使用態
様の1つである単窓タイプの塩ビサッシ付きPC板1の
概略を示す。この実施例1の塩ビサッシ付きPC板1
は、その形成時にアンカー部材がPC板に埋設固定され
る、アンカー同時埋設式である。図1において、2はP
C板本体、3は塩ビサッシ、5は塩ビサッシ3の枠材
(上枠、下枠、竪枠等の枠材)3aに設けられた金属製
のスライドアンカー、8は塩ビサッシ3のコーナー部に
貼り付けられているクッション部材、9は塩ビサッシ3
の枠材3aの略々中央部に固着されている固定アンカー
である。
【0017】塩ビサッシ3には、その枠材3aの外側面
3bに複数個の短尺チャンネル形状の金属製のレール4
がビス(図示略)止めされ、該レール4に沿って自由に
動けるスライドアンカー5が設けられる(図2〜図4参
照。)。このチャンネル形状の金属製のレール4は、長
手方向に亘ってフランジ4aを有し、このフランジ4a
によりスライドアンカー5を構成する基台5aがレール
4内に保持されつつ移動可能となる。
【0018】図5に、スライドアンカー5を塩ビサッシ
3に取り付けた場合の近傍を示すが、同図中の3cは、
枠材3aの長手方向に亘って設けられた補強用のスチー
ルフレームであり、ビス3dで枠材3aに固着され、塩
ビサッシの枠材3aとスチールフレーム3cとが一体に
なることにより、線膨張係数が軽減し枠材3aの伸縮が
抑制される。また、3eは戸当たり部材である。
【0019】スライドアンカー5は、レール4内に保持
されつつスライドする基台5aと、基台5aに設けられ
た中間部材(垂直部)5bと、中間部材5bにビス5d
で回動かつ固定可能に取り付けられたアンカー部材5c
とからなり、基台5aと中間部材5bとは断面略々T字
状に一体形成されたものである。
【0020】このアンカー部材5cは、傾斜部の先端に
屈曲部片5eを有し、また、塩ビサッシ3をPC板養生
ベッド11上にセットするとき、回動させて配筋に当た
らないようにするために回動可能となっている。また、
図2、図3等に示されるように、コンクリート打設時に
は中間部材5bに倒立固定して、枠材3aの外側方に突
出させる。
【0021】スライドアンカー5を枠材3aの外側面3
bに取り付ける場合、短尺のレール4を枠材3aの外側
面にビス止め固定し、レール4内にスライドアンカー5
の基台5aを挿入してから、レール4の両端部側で枠材
3a表面あるいはレール4底面に、ブロック状のクッシ
ョン部材6を貼り付ける。このクッション部材6は、基
台5aの移動を緩衝しながら受け止めると共に、レール
内へのコンクリートの侵入防止のためのものである。
【0022】また、レール4のフランジ4aとフランジ
4aとの間からレール4内へコンクリートが侵入するの
を防止するため、コンクリート侵入防止材7を中間部材
(垂直部)5bに嵌め込み、フランジ4a間の隙間を塞
ぐ。このフランジ4a間の隙間を塞ぐためには、コンク
リート侵入防止材7を設ける代わりに、シーリング材を
充填してもよい。
【0023】この場合、必要に応じて、塩ビサッシ枠材
3aの長手方向略々中央の枠材3a外側面に、固定アン
カー9が固着される。この固定アンカー9は、スライド
アンカー5と同一構造のもので、図示は省略するが、同
一符号を付して説明すると、基台5aと、基台5aに設
けられた中間部材(垂直部)5bと、中間部材5bにビ
ス5dで回動かつ固定可能に取り付けられたアンカー部
材5cとからなるもので、基台5aが枠材3a外側面に
ビス等で固着される。
【0024】上記構成からなるスライドアンカー5を有
する塩ビサッシ3は、以下詳述するように、PC板本体
2の開口部2aに、クッション部材8をコーナー部に介
在させて取り付けられて、PC板本体と塩ビサッシとが
一体構造となっている塩ビサッシ付きPC板1が形成さ
れる。
【0025】すなわち、図6、図7に示されるように、
塩ビサッシ3がPC板養生ベッド11上に仮止め固定さ
れ、その周囲に配筋2b、外型枠12が設置され、塩ビ
サッシ3の上に押さえ型枠13が載せられる。この状態
で、押さえ型枠13の周囲14からコンクリートが打設
され、基台5aの中間部材5b、アンカー部材5c等が
PC板本体2内に埋設固定されることにより、該PC板
本体2と塩ビサッシ3とが一体構造となる。
【0026】この場合、スライドアンカー5のアンカー
部材5c、あるいは固定アンカー9のアンカー部材5c
が配筋2bに固定されていても、固定されていなくても
よい。
【0027】このように形成された塩ビサッシ付きPC
板1は、成形時の温度上昇、温度降下により塩ビサッシ
3が伸縮しても、塩ビサッシの枠材3aに固着された金
属製のレール4に沿って移動する金属製のスライドアン
カー5が設けられていることにより、塩ビサッシの枠材
3aとスライドアンカー5とがフリー状態となり、塩ビ
サッシ3の伸縮に関係なくスライドアンカー5をPC板
本体に強固に固着することができ、PC板本体から塩ビ
サッシ3が外れるのを防止することができる。
【0028】また、クッション部材8をコーナー部に介
在させて塩ビサッシ3が取り付けられることにより、塩
ビサッシ3が伸縮しても、クッション部材8が応力を吸
収し、PC板本体コンクリートの割れ、亀裂、表面の脹
らみ、歪みが発生するのを防止することができ、同時に
塩ビサッシの歪み発生を防止することができる。この場
合、コーナー部に介在させるクッション部材8は、窓が
小さく塩ビサッシが小形の場合には設けられなくてもよ
い。
【0029】なお、塩ビサッシの枠材3aの長手方向略
々中央にアンカー部材を有する固定アンカー9が固着さ
れている場合、コーナー部側に対する塩ビサッシの伸縮
量を半減することができる。
【0030】以上、塩ビサッシ付きPC板1について、
スライドアンカー5や固定アンカー9のアンカー部材5
cを配筋2bに連結しないもの、あるいは連結固定した
ものについて説明したが、アンカー部材5cを配筋2b
に固定しない場合は、アンカー部材5c先端側の屈曲部
片5eにより、PC板本体2のコンクリートからの抜け
出しが防止され、PC板本体中に確実に埋設固定され
る。また、塩ビサッシ3の枠材3aに固着した固定アン
カー9を必ずしも設ける必要はなく、少なくともスライ
ドアンカー5が設けられていればよい。
【0031】ここで、ブロック状のクッション部材6、
コンクリート侵入防止材7、コーナー部のクッション部
材8は、いずれも、ポリエチレン、ポリスチロール、ポ
リ塩化ビニル、ポリウレタン等を素材とするプラスチッ
ク、あるいはその発泡体等からなるが、ポリエチレンを
素材とするものが好ましい。
【0032】実施例2を図1、図8〜図11に基づいて
説明する。この実施例2の単窓タイプの塩ビサッシ付き
PC板1’は、スライドアンカー5を有する塩ビサッシ
3の他の使用態様であり、予めPC板本体に埋設固定し
たアンカー部材にスライドする基台の中間部材(垂直
部)を連結固定し、次いでモルタルに埋め込むアンカー
後埋設式である。以下、実施例1と塩ビサッシ3、スラ
イドアンカー5等は共通するので、同一態様部材につい
ては同一符号を用いて説明する。
【0033】塩ビサッシ3には、その枠材3aの外側面
3bに複数個の短尺チャンネル形状の金属製のフランジ
4a付きレール4がビス止めされ、該レール4に沿って
自由に動けるスライドアンカー5を構成する中間部材
(垂直部)5bを備えた基台5a(図11)が設けられ
る。この状態では、中間部材(垂直部)5bにアンカー
部材5cは取り付けられていない。
【0034】また、前記実施例1と同じように、レール
4の両端部側で枠材3a表面あるいはレール4底面に、
ブロック状のクッション部材6を貼り付けると共に、コ
ンクリート侵入防止材7を中間部材(垂直部)5bに嵌
め込み、塩ビサッシ3のコーナー部にはクッション部材
8を貼り付ける。
【0035】一方、PC板本体2’は、開口部2’aを
設けて予め形成されたもので、図8、図9に示すよう
に、配筋2bにアンカー部材5cを固定し、このアンカ
ー部材5cがPC板本体内に埋設固定されると共に、開
口部2’a内側に突出するようにして形成される。
【0036】PC板本体2’と塩ビサッシ3とで塩ビサ
ッシ付きPC板1’を形成するには、図9に示すよう
に、このPC板本体2’を養生ベッド11上に載置し、
上方からスライドする基台5aを設けた塩ビサッシ3を
開口部2’aに嵌め込み、図10に示すように、アンカ
ー部材5cと基台5aに設けられた中間部材5bとをビ
ス5dで連結固定する。
【0037】この状態で、PC板本体2’の開口部2’
aと塩ビサッシ3の枠材3aとの隙間にモルタルを充填
することにより、PC板本体2’と塩ビサッシ3とが一
体構造となり、中間部材(垂直部)5b及びアンカー部
材5cはモルタルに埋設固定される。
【0038】この場合、塩ビサッシ3の枠材3aの長手
方向略々中央に、固定アンカー9の基台5aを固着し、
この基台5aの中間部材5bとPC板本体2’に予め埋
設固定されたアンカー部材5cとを連結固定する。この
ようにすると、中間部材5b及びアンカー部材5cもモ
ルタルに埋設固定される。
【0039】上記のように構成された塩ビサッシ付きP
C板1’は、実施例1の塩ビサッシ付きPC板1と同じ
効果を奏する。すなわち、塩ビサッシの伸縮に関係なく
アンカー部材をPC板本体に強固に埋設固定することが
でき、PC板本体2’から塩ビサッシ3が外れるのを防
止することができる。
【0040】また、クッション部材8がコーナー部に設
けられていることにより、塩ビサッシ3が伸縮しても、
クッション部材8に応力が吸収され、PC板本体コンク
リートの割れ、亀裂、表面の脹らみ、歪みが発生するの
を防止することができ、同時に塩ビサッシの歪み発生を
防止することができる。
【0041】上記実施例2として、PC板本体2’の開
口部2’aと塩ビサッシ3の枠材3aとの隙間にモルタ
ルを充填するものについて説明したが、これの変形例と
して、隙間にモルタルを充填しないで、アンカー部材5
cと基台5aに設けられた中間部材5bとをビス5dで
連結固定するだけにしておいてもよい。この場合、温度
変化により塩ビサッシ3が伸縮しても、塩ビサッシの枠
材3aとスライドアンカー5の基台5aとがフリー状態
であるから、塩ビサッシの歪み発生を防止することがで
きる。また、モルタルが充填されないので、クッション
部材6,コンクリート侵入防止材8が不要となる。
【0042】実施例3を図12に基づいて説明する。こ
の実施例3は、スライドアンカー5を有する塩ビサッシ
3の他の使用態様であり、建築物の外壁コンクリートに
塩ビサッシを直接取り付けるものである。以下、実施例
1と塩ビサッシ3、スライドアンカー5等は共通するの
で、同一態様部材については同一符号を用いて説明す
る。
【0043】塩ビサッシ3には、その枠材3aの外側面
3bに複数個の短尺チャンネル形状の金属製のフランジ
4a付きレール4がビス止めされ、該レール4に沿って
自由に動けるスライドアンカー5を構成する中間部材
(垂直部)5bを備えた基台5aが設けられる。ここで
は、中間部材(垂直部)5bにアンカー部材5cは取り
付けられていない。また、塩ビサッシ3には、クッショ
ン部材6、コンクリート侵入防止材7、クッション部材
8が設けられていない。
【0044】一方、建物の外壁コンクリート21には、
アンカーボルト22により、スライドアンカー5を構成
するアンカー部材5cが固着されている。このアンカー
部材5cと塩ビサッシ3に移動可能に設けられた基台5
aの中間部材5bとをビス5dで連結固定することによ
り、外壁コンクリート21に塩ビサッシ3が取り付けら
れる。なお、図12中における23は窓枠、24はヒン
ジ、25は化粧タイルである。
【0045】このように建物の外壁コンクリート21に
取り付けられた塩ビサッシ3は、日射に曝されて塩ビサ
ッシ3が伸縮しても、塩ビサッシの枠材3aに固着され
た金属製のレール4に沿って移動する金属製のスライド
アンカー5が設けられていることにより、塩ビサッシの
枠材3aとスライドアンカー5とがフリー状態となり、
塩ビサッシ3の伸縮に関係なくスライドアンカー5を外
壁コンクリート21に強固に固定することができ、塩ビ
サッシ3の歪み発生を防止することができる。
【0046】以上、実施例1〜3として、塩ビサッシ3
の枠材3aに固着されるレール4が短尺のものについて
説明したが、他の態様として、図13に示すように、長
尺のレール4’としてもよく、この場合は、レール4’
に複数個のスライドアンカーが設けられる。
【0047】この長尺のレール4’を塩ビサッシ3に取
り付ける場合は、レール4’を塩ビサッシ3の枠材3a
の外側面3bに仮固定し、スライドアンカー5の基台5
aをレール4’の終端部から挿入して、所定の位置にお
いて基台5aの両端側で、レール4’をビスにて固着
(本固定)し、次いでフランジ4’aに形成された切欠
部4’bにブロック状のクッション部材6を嵌入して貼
り付け、コンクリート侵入防止材7をアンカー部材5c
の上から嵌入する。
【0048】また、アンカー部材5cは、傾斜部がない
ものでもよく、図14に変形例として示すように、その
先端側が屈曲部片5e’となって、コンクリート中に埋
設されたとき抜け出しが防止されるものであればよい。
また、基台5aは、図11に示すように、長孔5b’を
中間部材5bに有する基台5aでもよく、この場合は、
中間部材5bとアンカー部材5cとはボルト・ナットで
固定される。
【0049】さらに、スライドアンカー5は、上記実施
例として示したもの以外のものでもよく、以下、スライ
ドアンカーの変形例を図15〜図18に基づいて、適宜
同一態様部材には同一符号を付与して説明する。
【0050】図15に示すスライドアンカー51は、フ
ランジを有するチャンネル形状のレール41に保持され
つつスライドする基台51aと、基台51aに設けられ
たL字状の中間部材51bと、中間部材51bにボルト
・ナット51fで取り付けられた屈曲したアンカー部材
51cとで形成されている。
【0051】図16に示すスライドアンカー52は、フ
ランジを有するL字状のレール42に保持されつつスラ
イドする基台52aと、基台52aに設けられた板状の
中間部材52bと、中間部材52bにビス52dで取り
付けられた屈曲したアンカー部材52cとで形成されて
いる。
【0052】図17に示すスライドアンカー53は、切
欠円形状のレール43に保持されつつスライドする基台
53aと、基台53aに設けられた中間部材53bと、
中間部材53bにビス51dで取り付けられた屈曲した
アンカー部材53cとで形成されている。
【0053】図18に示すスライドアンカー54は、縦
配置されたフランジを有するチャンネル形状のレール4
4に保持されつつスライドする基台54aと、基台54
aに設けられた略々L字状の中間部材54bと、中間部
材54bにボルト・ナット54fで取り付けられた屈曲
したアンカー部材54cとで形成されている。
【0054】以上、本発明の実施例、変形例について説
明したが、プラスチックサッシとしては、塩化ビニルプ
ラスチックサッシ(塩ビサッシ)に限らず、FRP製、
ポリカーボネート製等のサッシとしてもよい。
【0055】また、レール4及びスライドアンカーを構
成する基台、中間部材、アンカー部材等は、アルミニウ
ム系、鉄系の金属からなるが、レールは、コンクリート
の付着を避けるために、電着塗装による表面処理が施さ
れていることが好ましく、また、スライドアンカーは、
コンクリートとの付着が良好な金属であればよい。さら
に、スライドアンカーを構成する基台は、レール内面と
接触する部分に滑りをよくするために、テフロン加工が
施されていることが好ましい。
【0056】
【発明の効果】請求項1に係る本発明によれば、スライ
ドアンカーを有する塩ビサッシは、スライドアンカー
が、プラスチックサッシの枠材外側面に固着された金属
製のレールに保持されつつスライドする基台と、該基台
に設けられた中間部材と、該中間部材に取り付けられた
アンカー部材とで形成されており、基台がレールにスラ
イド自在な状態で該アンカー部材がPC板又はコンクリ
ートに埋設固定されるので、プラスチックサッシがPC
板に取り付けられたり、建物の外壁コンクリートに取り
付けられた場合、スライドアンカーに対してプラスチッ
クサッシの枠材がフリー状態となり、プラスチックサッ
シの枠材が熱膨張、熱収縮により伸縮しても、PC板や
外壁コンクリートが破損したり、スライドアンカーが破
損したり、枠材から外れたりするのを防止することがで
きる。
【0057】請求項2に係る本発明によれば、アンカー
部材取付用の中間部材に、回動かつ固定可能に金属製の
アンカー部材が取り付けられているので、コンクリート
打設前に、PC板等の開口部にプラスチックサッシを設
置する際、アンカー部材を回動することにより、アンカ
ー部材が邪魔にならないようにすることができる。
【0058】請求項3に係る本発明によれば、プラスチ
ックサッシの枠材の長手方向略々中央の外側面に、固定
アンカーが固着されているので、プラスチックサッシの
コーナー部側に対するプラスチックサッシの伸縮量を半
減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例1の単窓タイプの塩ビサッシを
取り付けた塩ビサッシ付きPC板の概略平面図である。
【図2】 実施例1における塩ビサッシのコーナー部近
傍の斜視図である。
【図3】 同上、スライドアンカーを短尺レールに設け
た斜視図である。
【図4】 同上、短尺レールへのスライドアンカー取付
け説明図である。
【図5】 同上、スライドアンカー取付部近傍の断面図
である。
【図6】 塩ビサッシ付きPC板形成における、押さえ
型枠載置前の一部切欠平面図である。
【図7】 同上、押さえ型枠載置後の一部切欠断面図で
ある。
【図8】 実施例2におけるPC板本体の一部切欠平面
図である。
【図9】 同上、PC板本体への塩ビサッシ取付け説明
図である。
【図10】 同上、中間部材とアンカー部材との連結説
明図である。
【図11】 同上、中間部剤を備えた基台の斜視図であ
る。
【図12】 実施例3における塩ビサッシ取付け状態の
説明図である。
【図13】 長尺レールへのスライドアンカー取付け説
明図である。
【図14】 スライドアンカーの変形例を示す斜視図で
ある。
【図15】 スライドアンカーの変形例を示し、その取
付部近傍の断面図である。
【図16】 スライドアンカーの変形例を示し、その取
付部近傍の断面図である。
【図17】 スライドアンカーの変形例を示し、その取
付部近傍の断面図である。
【図18】 スライドアンカーの変形例を示し、その取
付部近傍の断面図である。
【符号の説明】
1、1’ 単窓タイプの塩ビサッシ付きPC板 2、2’ PC板本体、 2a、2’a 開口部 2b 配筋 3 塩ビサッシ 3a 枠材 3b 外側面 3c スチールフレーム 4、41、42、43、44 レール 4a フランジ 5、51、52、53、54 スライドアンカー 5a 基台 5b 垂直部 5c アンカー部材 5d ビス 5e,5e’ 屈曲部片 5f ボルト・ナット 6 ブロック状のクッション部材 7 コンクリート侵入防止材 8 クッション部材 9 固定アンカー 11 PC板養生ベッド 12 外型枠 13 押さえ型枠 14 周囲 21 建物外壁コンクリート 22 アンカーボルト 23 窓枠 24 ヒンジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相原 浩司 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−13342(JP,A) 特開2001−214668(JP,A) 特開 平8−199910(JP,A) 特開 平10−245461(JP,A) 特開 昭57−15788(JP,A) 実開 昭59−152087(JP,U) 実開 平4−34375(JP,U) 実開 昭57−8279(JP,U) 実開 平3−105688(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E06B 1/26,1/60 E04B 2/56 - 2/70 E04B 2/88 - 2/96

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックサッシの枠材外側面に固着
    された金属製のレールと、金属製のスライドアンカーと
    が設けてあり、前記スライドアンカーは、前記レールに
    保持されつつスライドする基台と、該基台に設けられた
    中間部材と、該中間部材に取り付けられたアンカー部材
    とで形成されており、基台がレールにスライド自在な状
    態としてアンカー部材がPC板又はコンクリートに埋設
    固定されることを特徴とするスライドアンカーを有する
    プラスチックサッシ。
  2. 【請求項2】 前記中間部材に、回動かつ固定可能にア
    ンカー部材が取り付けられていることを特徴とする請求
    項1に記載のスライドアンカーを有するプラスチックサ
    ッシ。
  3. 【請求項3】 前記プラスチックサッシの枠材の長手方
    向略々中央の枠材外側面に、固定アンカーが固着されて
    いることを特徴とする請求項1又は2に記載のスライド
    アンカーを有するプラスチックサッシ。
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