JP3520801B2 - ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物及びこれを含有する乳化組成物 - Google Patents
ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物及びこれを含有する乳化組成物Info
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Description
れたO/W型微細乳化能を有し、かつ、風味の良いポリ
グリセリン脂肪酸エステル(以下、「PoGE」と略す
る。)組成物、およびこれを含有する乳化組成物に関す
るものである。
界面活性剤として知られており、主に食品用乳化剤とし
て利用されている他、最近では医薬、化粧品、或いは工
業用途にも幅広く利用されている。PoGEは、ポリグ
リセリンの平均重合度や構成脂肪酸の鎖長、置換度をコ
ントロールすることで、親水性から親油性まで広範囲の
物性を有するものが得られる。中でも炭素数12〜22
の不飽和脂肪酸を構成成分とするPoGEは、他の食品
用乳化剤にない優れた耐酸性・耐塩性・耐熱性を有し、
タレ・ドレッシング・マヨネーズ等に代表される酸性或
いは高塩濃度下でのO/W型乳化に有効である。また単
独使用では耐酸性に問題のある他の乳化剤にPoGEを
併用することにより、酸性条件下でも安定な乳化物を得
ることができる。特に8重量%Na2 SO4 水溶液中
で、1重量%溶液の曇点が65〜90℃のPoGE組成
物が好適である。
造方法は、ポリグリセリンと脂肪酸とをアルカリ触媒の
存在下直接エステル化させる方法が一般的であるが、こ
の反応においては、アルカリ触媒が脂肪酸と反応して脂
肪酸のアルカリ金属塩(石鹸)を生成し、製品であるP
oGE組成物中に石鹸が混入する。この脂肪酸のアルカ
リ金属塩(石鹸)を精製除去することは通常困難であ
り、市販されているPoGE組成物中の石鹸含有量は通
常1〜4重量%程度である。この石鹸は親水性の高いア
ニオン性界面活性剤であるので、水に溶解しやすく苦み
を呈し風味に影響を及ぼす。
解決されたPoGEを提供することを目的として種々検
討した結果、通常の方法より得られたPoGE組成物中
は1〜4重量%程度の脂肪酸のアルカリ金属塩を含有す
るが、この含有量を0.2重量%以下にすることで風味
の良い良好な商品となることを見出した。すなわち本発
明の要旨は、構成脂肪酸が炭素数12〜22の不飽和脂
肪酸であり、かつ、8重量%Na2 SO4 水溶液中での
1重量%溶液の曇点が65〜90℃であって、かつ脂肪
酸アルカリ金属塩の含有量が0.2重量%以下であるポ
リグリセリン脂肪酸エステル組成物、及びこれを含有す
る乳化組成物に存する。
する。本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステル組
成物は、通常、ポリグリセリンと脂肪酸とを反応させて
得られるものである。ポリグリセリンとの平均重合度
は、通常6〜12であって、好ましくは10〜12であ
る。構成脂肪酸としては、炭素数12〜22の不飽和脂
肪酸から選ばれるが、好ましくは炭素数18〜22であ
る。この様な脂肪酸の例としてはオレイン酸、リノール
酸、リノレン酸、エルカ酸等が挙げられるが、中でもオ
レイン酸が好ましい。これらの脂肪酸は目的に応じて2
種類以上の組み合わせで用いることも出来るが、構成脂
肪酸の70%以上がオレイン酸であることが好ましい。
成物の曇点は、8重量%Na2 SO 4 水溶液中での1重
量%溶液の曇点が65〜90℃である。曇点に関して
は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの曇点をその製品管
理に用いる方法が、 特開平9−157386号公報に開
示されており、その利点が以下のように説明されてい
る。PoGEの分析にはこれまで種々の化学的分析方法
が用いられてきた。例えば、エステル化度や残存脂肪酸
量を把握するため、酸価、エステル価、水酸基価がしば
しば用いられ、また、石鹸あるいは残存触媒量を知るた
めの強熱残留物の分析等による評価方法も用いられてき
た。
グリセリンの重縮合物であるために重合度分布を有する
組成物であり、直鎖状の重合体ばかりでなく分岐状重合
体や環状重合体等も含まれている。一般的にPoGは重
合度の上昇に伴い粘度が増し、重縮合物から環状重合体
を分離する等の精製は非常に困難であるため、PoGの
水酸基を脂肪酸類でエステル化して得られる反応生成物
のPoGEは通常、PoG骨格が異なる種々のエステル
化度のPoGEと未反応PoGとを含む組成物となる。
さらに、エステル化反応生成物には反応に使用されるア
ルカリ触媒と原料の脂肪酸類との反応で生ずる副生成物
の石鹸類や、エステル化反応が不十分な場合及び化学量
論量を越えた脂肪酸類が過剰に使われた場合等には未反
応の脂肪酸類が含まれることもある。このようにPoG
Eは複雑な混合物であるために、例えばPoGEの平均
エステル化度が近似又は同じであっても、乳化安定性等
の物性が格段に異なることもあり、平均エステル化度や
未反応PoG等従来の化学的分析手法のみでは物性を十
分に把握できず、物性評価方法において不都合が生じて
いた。
価方法としては、例えばエチレンオキシドより誘導され
たポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤等における
曇点を用いる方法が知られている(油脂用語辞典:日本
油化学協会編(幸書房))。一般に曇点はエチレンオキ
シドより誘導された非イオン界面活性剤水溶液が温度の
上昇により2相に分離し不均質となる現象の起こる温度
として定義され、この系は温度が降下すると再び系が均
質になるとされるものである(油脂用語辞典)。ポリオ
キシエチレン系の界面活性剤においては曇点と親水性基
であるポリオキシエチレン鎖の平均重合度との間に相関
があり、ポリオキシエチレンのエチレンオキシドの平均
重合度が増加し親水性が高くなるにつれ、曇点は上昇す
ることが知られている。そして、目的とする界面活性剤
を製造する際には曇点を測定しエチレンオキシドの付加
重合度が適性な範囲に入るように反応条件を選択してき
た。このような製造操作が可能であったのは、この種の
界面活性剤のエチレンオキシド重合体中に存在するエー
テル基の親水性が温度の上昇と共に低下するためである
と説明されてきた。
はグリセリンの重縮合体であるために、ポリオキシエチ
レン鎖と異なり水酸基及びエーテル基が同時に存在する
のみならずこの水酸基の存在により分岐縮合や環状縮重
合が起こっており極めて複雑な組成となっており、Po
GEの曇点測定は難しいとされていたが、PoGEに塩
類及び/又は多価アルコールを添加して均一相水溶液を
調製し、該水溶液の温度を上昇させて不均一相水溶液を
形成することによりPoGEの曇点を測定することが可
能となった。前記の酸価、エステル価、水酸基価、強熱
残留物の分析等の化学的分析方法では差が明確に現れな
いPoGEでも、曇点では差が明確に出来る。また、乳
化能・可溶化能等の機能と曇点とは強い相関があるの
で、PoGEの製品管理に曇点を用いることは非常に有
用である(葛城俊哉, NEWSLETTER, 23(1), 10 (199
8))。
%の塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウム溶液にポリグ
リセリン脂肪酸エステルを溶解後、測定する必要があ
り、その条件は対象となる試料の溶解性により異なる
が、本発明の場合、まず、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル組成物を1重量%となるように8重量%硫酸ナトリウ
ム水溶に分散し、加熱しながら攪拌し、均一な水溶液と
する。そして得られたポリグリセリン脂肪酸エステル水
溶液を、0℃以上100℃以下の任意の温度で2〜5℃
刻みに振とう攪拌・静地し、ポリグリセリン脂肪酸エス
テルが油状あるいはゲル状のごとく分離し、不均一水溶
液となった状態を測定する。この不均一状態を「曇点」
と呼び、本発明ではその際の温度を求める。0℃未満で
は氷の融点以下、100℃を越えると水の沸点以上とな
るため、正確な水溶液状態の観察が難しく曇点測定が困
難となるので好ましくない。
テル組成物は、8重量%硫酸ナトリウム水溶液中におけ
る1重量%溶液の曇点が65〜90℃である。曇点が6
5℃未満であると、疎水性が高くなり、安定な微細乳化
組成物の形成が困難となり、乳化組成物の透過率の低下
が起こることが分かった。また、 曇点が90℃を越える
ようなPoGEは、非常に重合度の大きいPOGを原料
として用いない限り、PoGに対する脂肪酸の仕込み比
率を非常に少なくして合成しなければ得られず、そのた
め、そうしたPoGEは製品中の残存PoGの量が多く
なり、正味のPoGE量が減少し、乳化能が低下するお
それがある。本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル組
成物中の脂肪酸アルカリ金属塩(石鹸)の含有量は0.
2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、更に好ま
しくは0.05重量%以下、0.001重量%以上であ
る。石鹸含有量が多いと風味の良いO/W型(水中油
型)微細乳化物を得ることができなくなる。
ル化反応時のナトリウム触媒を少量に抑制し、比較的高
温で長時間反応することにより製造することが出来る。
具体的には、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル
化反応において、原料に対して0.001〜0.025
重量%の極めて少量のアルカリ触媒を用い、しかも反応
温度200〜300℃、好ましくは脂肪酸の転化率が少
なくとも70%に達する迄の反応温度を200〜240
℃とし、以降、反応温度を更に20〜60℃高めて反応
させることによって製造することができる。本発明で用
いるアルカリ触媒の量は、原料であるポリグリセリンと
脂肪酸との総和に対して0.001〜0.025重量
%、好ましくは0.002〜0.02重量%である。ア
ルカリ触媒の使用量が上記範囲より少ない場合、エステ
ル化反応が進行しにくい。また、使用量が上記範囲を超
える場合、製品の着色や、原料PoGの重合等の不都合
が生じる。アルカリ触媒としては、例えば炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ムなどが挙げられる。反応は通常、撹拌槽タイプの反応
器にポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、撹拌しな
がら所定温度に加熱して、生成水を反応系外へ留去しな
がら行う。なお、一連の反応中は反応器気相部に窒素等
の不活性ガスを流通させておくのが好ましい。
成物は、乳化用途に於いて、酸性条件下でも高い透過率
を保ち、さらに風味の良い微細乳化組成物を生じせしめ
ることのできる。本発明のポリグリセリン脂肪酸エステ
ル組成物は、油溶性香料、油溶性色素類、動植物油脂
類、中鎖飽和脂肪酸トリグリセライド類、油溶性ビタミ
ン類、抗酸化剤、DHA等の機能性脂肪酸等の可食性油
性材料を水中に乳化させる為に使用することが出来る。
脂肪酸エステル組成物で乳化した乳化組成物(通常、可
食性油性材料は4〜20重量%、最終乳化組成物が透明
である必要がある場合は4〜5重量%含まれ、PoGE
組成物は4〜40重量%含まれる)を、飲食品、例えば
清涼飲料、蛋白飲料、果汁飲料、豆乳飲料、醗酵乳飲
料、栄養ドリンクなどの飲料類;ムース、ケーキ、チョ
コレート、キャンディー、チューインガム等の菓子類;
フルーツジャム及びプレザーブ類;かまぼこ、はんぺ
ん、ちくわ、魚肉ハム及びソーセージなどの水産練り製
品;ハム、ベーコン、コーンビーフなどの畜肉製品;漬
物、佃煮、珍味食品類;ソース類;調味料類等に添加す
ることにより、香気、フレーバー、色調などの香味及び
外観が長期間安定な飲食品(最終乳化組成物)を製造す
ることができる。通常、最終乳化組成物中のPoGE組
成物は0.004〜0.040重量%である。
が、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に
限定されるものではない。本実施例で使用するポリグリ
セリン脂肪酸エステル組成物の脂肪酸アルカリ金属塩含
有量、曇点は以下の方法で測定した。 [PoGE中の脂肪酸アルカリ金属塩(石鹸)含有量]
基準油脂分析試験法(日本油化学協定制定)に準じて以
下の方法に従い測定した。 1)トールビーカーに反応生成物を約10g精秤し、T
HF/エタノール/水=10/2/1VOL%溶液10
0mlに溶解させる。 2)自動滴定装置(三菱化学(株)社製GT−05)に
より滴定する。まずN/10塩酸エタノール性溶液を過
剰に滴定し、次にN/10水酸化ナトリウムエタノール
性溶液で逆滴定し、滴定値−電位曲線の変曲点から当量
点を求める。 3)両滴定値を基に下記の式から、試料中の総酸・総ア
ルカリ量を計算し、総酸>総アルカリから製品中のアル
カリ金属が全て脂肪酸塩となっていることを確認する。 総アルカリ量(mol/g)=滴定量(ml)×
0.1×力価×1000×試料(g) 総酸量(mol/g)=(第2滴定値−第1滴定
値)(ml)×0.1×力価×1000×試料(g) 4)総アルカリ量から石鹸含有量を計算する。 石鹸含有量(wt%)=総アルカリ量(mol/g)×
石鹸分子量×100
8重量%硫酸ナトリウム水溶液に、PoGE濃度1重量
%となるようにPoGEを溶解してこの溶液をガラス管
に封入した。このガラス管を加熱・攪拌して溶液を均一
にした後、所定温度に設定した恒温槽に浸漬し、数分な
いし1時間位放置した後にガラス管内の溶液の分離の有
無を目視観察する方法で行った。恒温槽の温度を5℃き
ざみで昇温して、上記の方法を繰り返して、初めてPo
GEが分離し溶液が白濁する温度と溶液が均一であった
最高温度との中間の温度を曇点とした。
料仕込み口を備えた容量2リッターの反応容器に、ま
ず、PoG(平均重合度10)を1200g仕込んだ。
ついで、同じ反応容器に、オレイン酸(純度82%)と
10%水酸化ナトリウム水溶液とを仕込んだ。なお、オ
レイン酸の仕込み量は、オレイン酸/PoGモル比が
0.7/1となる様にした。水酸化ナトリウム量は、P
oGとオレイン酸との総量に対して0.0025重量%
とした。窒素気流下、常圧で、内温を240℃に昇温
し、この温度で3時間反応させた後、内温をさらに26
0℃に昇温し、この温度で4時間反応させた。反応終了
後、内温を常温まで冷却し、液状のポリグリセリンオレ
イン酸エステル(PoGE−A)を得た。得られた反応
生成物について、上記方法で曇点および石鹸含有量を測
定した。結果を表−1に示す。
1と同様にして、ポリグリセリンオレイン酸エステル
(PoGE−B)を得た。得られた反応生成物につい
て、上記方法で曇点および石鹸含有量を測定した。結果
を表−1に示す。 [製造例3]PoGE−Cの製造例 製造例1で得られたPoGE−Aに対し、オレイン酸ナ
トリウムを1%添加し、溶融混合をおこなって、ポリグ
リセリンオレイン酸エステル(PoGE−C)を得た。
得られた反応生成物について、上記方法で曇点および石
鹸含有量を測定した。その結果を表1に示す。
グリセリン脂肪酸エステルとしてPoGE−Aを8g加
えて溶解し、さらに、MCT(ミドルチェーントリグリ
セライド)を8gを加えた後、TK−ホモミキサーで3
000rpmで30min攪拌し、乳化組成物136g
を得た。この乳化組成物0.17gを0.1%クエン酸
水溶液19.83gと混合した。この希釈液の透過率
を、島津製UVー1200を用いて室温で650nmに
おいて測定した。また、この希釈液を専門パネラー3人
が官能評価試験を行った。
ルとしてPoGE−Bを用いた以外は実施例1と同様に
して乳化組成物を製造後、クエン酸水溶液の希釈液を調
整し、同様に透過率の測定及び官能評価試験を行った。 [比較例2]ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてPo
GE−Cを用いた以外は実施例1と同様にして乳化組成
物を製造後、クエン酸水溶液の希釈液を調整し、同様に
透過率の測定及び官能評価試験を行った。実施例1、比
較例1、2の結果を表1に示す。
過率が高く、 かつ、風味も問題ないことがわかる。これ
に対し比較例1の希釈液は風味は問題ないが、透過率が
低いことがわかる。比較例2の希釈液は、透過率は高い
が、石鹸成分由来と思われる苦みを呈し風味に問題があ
ることがわかる。
組成物は、酸性条件下でも優れたO/W型微細乳化に優
れた効果を有し、かつ風味のよい乳化組成物を提供する
ものである。
Claims (5)
- 【請求項1】 構成脂肪酸が炭素数12〜22の不飽和
脂肪酸であり、且つ8重量%Na2 SO4 水溶液中での
1重量%溶液の曇点が65〜90℃であり、且つ脂肪酸
アルカリ金属塩の含有量が0.2重量%以下であるポリ
グリセリン脂肪酸エステル組成物。 - 【請求項2】 該脂肪酸アルカリ金属塩の含有量が0.
05重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の
ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物。 - 【請求項3】 該構成脂肪酸の70%以上がオレイン酸
であることを特徴とする請求項1または2記載のポリグ
リセリン脂肪酸エステル組成物。 - 【請求項4】 請求項1乃至3記載のポリグリセリン脂
肪酸エステル組成物を含有することを特徴とする乳化組
成物。 - 【請求項5】 該乳化組成物が、油溶性香料、油溶性色
素、抗酸化剤あるいは機能性脂肪酸を乳化したものであ
ることを特徴とする請求項4記載の乳化組成物。
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