JP3520163B2 - 酸素センサの制御方法及び装置 - Google Patents
酸素センサの制御方法及び装置Info
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Description
の固体電解質層を多孔質電極で挟んでなる酸素ポンピン
グセル及び酸素濃度測定セルを備えた酸素センサの早期
活性化を達成するのに好適な酸素センサの制御方法及び
装置に関する。
中の酸素濃度から燃焼機器の燃焼状態(空燃比等)を検
出する酸素センサとして、ジルコニア等からなる酸素イ
オン伝導性の固体電解質層を白金等からなる一対の多孔
質電極で挟んで酸素ポンピングセル及び酸素濃度測定セ
ルを構成し、これら各セルを、夫々、各セルの一方の電
極が、拡散律速層を介して被測定ガス側に連通された測
定ガス室に接するように配置すると共に、酸素濃度測定
セルの測定ガス室とは反対側電極を閉塞して、その閉塞
空間内の酸素の一部を漏出抵抗部を介して外部に漏出可
能に形成した酸素センサが知られている(特開昭62−
76446号公報,特開昭62−190461号公報等
参照)。
酸素濃度測定セルに対して、測定ガス室中の酸素を閉塞
空間側に汲み出す方向に微小電流を流すことにより、そ
の閉塞空間を内部酸素基準源として機能させて、酸素濃
度測定セルの電極間に、この内部酸素基準源の酸素分圧
と測定ガス室中の酸素分圧との比に応じた検出電圧を発
生させ、更に、この検出電圧が所定の目標電圧となるよ
うに(換言すれば、測定ガス室中の酸素濃度が所定濃度
となるように)、酸素ポンピングセルに流れるポンプ電
流を制御して、そのポンプ電流を検出することにより、
被測定ガス中の酸素濃度を検出するようにされている。
度を正確に検出するには、各セルを所定の活性温度(例
えば650℃以上)まで加熱して活性化させる必要があ
ることから、各セルを加熱するためのヒータが別途設け
られている。そして、酸素センサを実際に使用する際に
は、例えば図5に示す如く、ヒータへの通電を開始する
と同時に、酸素濃度測定セルに内部酸素基準源生成のた
めの微小電流を流し(時点t11)、その後、酸素濃度測
定セルの電極間電圧が予め設定された活性判断電圧まで
低下すると、酸素濃度測定セルは略活性化されたと判断
し(時点t12)、更にその後、所定の待機時間(一定時
間)が経過した時(時点t13)に、各セルを確実に活性
化できたと判断して、ポンプ電流の制御を開始する、と
いった手順で、各セルを制御するようにしている。
る際には、ヒータへの通電と同時に、酸素濃度測定セル
に微小電流を流して、酸素濃度測定セルの電極間電圧を
検出することにより、温度上昇に伴い低下する酸素濃度
測定セルの内部抵抗を測定するのであるが、電極間電圧
だけで活性判断を行うと下記,の問題がある。
部抵抗だけでなく、被測定ガス中の酸素濃度によっても
変化するため、電極間電圧が活性判断電圧まで低下して
も、酸素濃度測定セルが所望温度に達しているのか否か
を正確に判断することができない。
分活性化できていない状態で、ポンプ電流の制御を開始
すると、酸素濃度測定セルの電極間電圧がその内部抵抗
による電圧降下分(=微小電流×内部抵抗)だけ大きく
なって、ポンプ電流を誤制御してしまうことになる。
題を確実に防止して、活性化判断後に被測定ガス中の酸
素濃度を正確に検出できるようにするために、酸素濃度
測定セルの電極間電圧が活性判断電圧まで低下してか
ら、更に一定の待機時間が経過して、酸素濃度測定セル
がその内部抵抗を無視できる程度に充分活性化された状
態で、各セルが活性化したと判断して、酸素ポンピング
セルへの通電(ポンプ電流の制御)を開始し、酸素濃度
を検出するようにしているのである。
の制御方法では、酸素濃度測定セルの内部抵抗の影響を
受けることなくポンプ電流の制御を開始することがで
き、ポンプ電流の誤制御やブラックニングの発生といっ
た問題を防止することはできるものの、ヒータへの通電
を開始してから、酸素濃度測定セルの電極間電圧が活性
判断電圧まで低下するまでの活性判断時間が経過し、更
に一定の待機時間が経過したときに、各セルの活性化を
判断して、ポンプ電流の制御,延いては酸素濃度の検出
を開始するので、ヒータへの通電開始後、酸素濃度を検
出できるようになるまでに時間がかり、実際には各セル
を充分活性化できているにもかかわらず酸素濃度を検出
することができないことがあった。
のであり、ヒータ通電開始後に被測定ガス中の酸素濃度
の検出を開始するまでの時間を必要最小限に抑えること
のできる酸素濃度センサの制御方法及び装置を提供する
ことを目的とする。
めになされた請求項1に記載の発明は、酸素イオン伝導
性の固体電解質層を多孔質電極で挟んでなる酸素ポンピ
ングセル及び酸素濃度測定セルを、夫々、各セルの一方
の電極が、拡散律速層を介して被測定ガス側に連通され
た測定ガス室に接するように配置すると共に、前記酸素
濃度測定セルの前記測定ガス室とは反対側電極を閉塞し
て、該閉塞空間内の酸素の一部を漏出抵抗部を介して外
部に漏出可能に形成してなるセンサ本体と、該センサ本
体を加熱して活性化させるヒータと、該ヒータに通電し
て前記酸素センサを加熱させるヒータ通電手段と、前記
酸素濃度測定セルに、前記測定ガス室中の酸素を前記閉
塞空間に汲み出す方向に微小電流を流して、該閉塞空間
を内部酸素基準源として機能させる微小電流通電手段
と、前記酸素濃度測定セルの電極間電圧を測定する測定
手段と、前記酸素ポンピングセルにポンプ電流を流すポ
ンプ電流制御手段と、を備え、該ポンプ電流制御手段に
より制御されるポンプ電流と前記測定手段により測定さ
れる前記酸素濃度測定セルの電極間電圧とから被測定ガ
ス中の酸素濃度を検出可能な酸素センサにおいて、前記
ヒータ通電手段による前記ヒータへの通電開始後に前記
酸素濃度を速やかに検出可能にするための制御方法であ
って、前記ヒータ通電手段による前記ヒータへの通電を
開始させるとともに、前記微小電流通電手段を動作させ
て、前記酸素濃度測定セルへ微小電流を流し、前記閉塞
空間を内部酸素基準源として機能させ、その後、予め設
定された一定時間が経過すると、前記微小電流通電手段
による前記酸素濃度測定セルへの微小電流の通電を停止
させるとともに、前記ポンプ電流制御手段によるポンプ
電流の制御を開始させることを特徴とする。
記載の酸素センサの制御方法において、前記ポンプ電流
の制御を開始させると、その後、該ポンプ電流制御によ
って前記酸素濃度測定セルの電極間電圧を所定の電圧に
制御できた時点で、前記センサ本体が活性化した旨を判
定することを特徴とし、更に、請求項3に記載の発明
は、請求項2に記載の酸素センサの制御方法において、
前記センサ本体の活性化を判定すると、前記微小電流通
電手段から前記酸素濃度測定セルへの微小電流の通電を
再開させることを特徴とする。
項1における酸素センサと同様に構成された酸素センサ
において、前記ヒータ通電手段による前記ヒータへの通
電開始後に前記酸素濃度を速やかに検出可能にするため
の制御装置であって、前記ヒータ通電手段による前記ヒ
ータへの通電を開始させるとともに、前記微小電流通電
手段を動作させて、前記酸素濃度測定セルへ微小電流を
流し、前記閉塞空間を内部酸素基準源として機能させる
微小電流通電開始手段と、該微小電流通電開始手段が前
記微小電流通電手段を動作させると、その後、予め設定
された一定時間が経過するのを計時する計時手段と、前
記微小電流通電手段による前記酸素濃度測定セルへの微
小電流の通電が一定時間経過すると、該微小電流の通電
を停止させる通電停止手段と、該通電の停止とともに、
前記ポンプ電流制御手段によるポンプ電流の制御を開始
させるポンプ電流制御開始手段と、を備えたことを特徴
とする。
に記載の酸素センサの制御装置において、前記ポンプ電
流制御開始手段が前記ポンプ電流制御手段によるポンプ
電流制御を開始させると、該ポンプ電流制御によって前
記酸素濃度測定セルの電極間電圧を所定の電圧に制御で
きたか否かを判断し、該電極間電圧が前記目標電圧に制
御された時点で、前記センサ本体が活性化した旨を判定
する活性化判定手段を備えたことを特徴とし、更に請求
項6に記載の発明は、請求項5に記載の酸素センサの制
御装置において、前記活性化判定手段が前記センサ本体
の活性化を判定すると、前記微小電流通電手段による前
記酸素濃度測定セルへの微小電流の通電を再開させる微
小電流通電再開手段を設けたことを特徴とする。
御方法においては、まず、ヒータへの通電を開始させる
とともに、酸素濃度測定セルへの微小電流の通電を開始
して、酸素濃度測定セルの測定ガス室とは反対側電極の
閉塞空間を内部酸素基準源として機能させ、その後、予
め設定された一定時間が経過すると、酸素濃度測定セル
への微小電流の通電を停止させるとともに、ポンプ電流
の制御を開始させる。そして、請求項2に記載の酸素セ
ンサの制御方法においては、このポンプ電流制御によっ
て、酸素濃度測定セルの電極間電圧を目標電圧に制御で
きた時に、センサ本体が活性化した旨を判定する。
うに、酸素濃度測定セルに微小電流を流して、その電極
間電圧(換言すればその内部抵抗)を検出し、その検出
結果に基づき各セルの活性化を判断してから、ポンプ電
流制御を開始するのではなく、酸素濃度測定セルに微小
電流を一定時間流して、酸素濃度測定セルの測定ガス室
とは反対側電極の閉塞空間を内部酸素基準源として機能
させた後、微小電流の通電を遮断して、ポンプ電流制御
を開始する。
しても、酸素濃度測定セルへの微小電流の通電は遮断さ
れているので、酸素濃度測定セルの電極間電圧は、閉塞
空間内の基準となる酸素分圧と測定ガス室中の酸素分圧
との比に応じた電圧となり、酸素濃度測定セルの内部抵
抗の影響を受けることはない。
本体が活性化していなくても、酸素濃度測定セルの電極
間電圧が、その内部抵抗の影響を受けて著しく大きくな
ることはなく、ポンプ電流を被測定ガスの検出に用いる
ことが可能となる。また、センサ本体が活性化していな
い状態では、酸素濃度測定セルの電極間電圧を目標電圧
に制御すべく、各電圧の偏差に応じてポンプ電流を制御
しても、酸素濃度測定セルの電極間電圧を目標電圧に制
御することは困難であるが、ヒータ通電によりセンサ本
体の温度が上昇するにつれて、酸素濃度測定セルの電極
間電圧が目標電圧に近付くことになる。
電流制御によって酸素濃度測定セルの電極間電圧を目標
電圧に制御できた時点で、センサ本体が活性化したと判
断する。従って、本発明(請求項2)によれば、ヒータ
通電開始後、センサ本体が、ポンプ電流制御によって酸
素濃度測定セルの電極間電圧を目標電圧に制御できるよ
うになった時点で、速やかに活性判断を行なうことがで
き、従来のように、活性化判断のための所要時間が不必
要に長くなるのを防止できる。
一定時間だけ、酸素濃度測定セルに内部酸素基準源生成
用の微小電流を流すようにしているが、これは、一定時
間経過後にポンプ電流制御を開始したとき、酸素濃度測
定セルの電極間電圧が活性化前の酸素濃度測定セルの内
部抵抗の影響を受けることなくポンプ電流制御を実行で
きるようにするためであり、センサ本体の温度が所望の
活性温度(例えば650℃)まで上昇して、センサ本体
が活性化していれば、酸素濃度測定セルの内部抵抗は充
分小さくなって、ポンプ電流制御を酸素濃度測定セルの
内部抵抗の影響を受けることなく実行できることから、
請求項3に記載のように、センサ本体の活性化判定後
は、微小電流通電手段による酸素濃度測定セルへの微小
電流の通電を再開させるようにすればよい。
に一定時間微小電流を流してから、少なくともポンプ電
流制御を実行してセンサ本体の活性化を判定するまでの
間は、酸素濃度測定セルへの微小電流の通電を遮断する
ため、この微小電流の通電遮断中に、酸素濃度測定セル
の閉塞空間内の酸素が漏出抵抗部から外部に漏れて、閉
塞空間内の酸素濃度が基準酸素濃度からずれないように
する必要がある。
通電によって閉塞空間内に蓄積された酸素は、瞬時に漏
出するようなことはなく、短時間であれば閉塞空間内の
酸素濃度を基準酸素濃度に保持できる。本発明者らが後
述実施例の酸素センサを用いて実験したところ、10秒
以上は保持できることが確認されている。
体の活性化を判定できるまでの時間が、閉塞空間内の基
準酸素濃度を保持できる時間となるように、ヒータの通
電開始と同時に酸素濃度測定セルに微小電流を通電する
時間(一定時間)を実験等で設定するようにすれば、ポ
ンプ電流制御実行時の酸素濃度測定セルの電極間電圧か
らセンサ本体の活性化を正確に判定することができる。
空間内の酸素濃度を基準酸素濃度に保持できる時間が短
く、微小電流の通電遮断後、センサ本体の活性化を判定
するまでの閉塞空間内の酸素濃度を基準酸素濃度に確保
できないことも考えられるが、このような場合には、酸
素濃度測定セルに微小電流を一定時間通電し、ポンプ電
流制御を開始してから、定期的に酸素濃度測定セルに微
小電流を流すようにすればよい。つまり、活性化判定の
ためのポンプ電流制御を開始してからも、酸素濃度測定
セルには定期的に微小電流を流すようにすれば、閉塞空
間内の酸素濃度を基準酸素濃度に保持することができ、
ポンプ電流制御実行時の酸素濃度測定セルの電極間電圧
から、センサ本体の活性化を正確に判定できるようにな
る。
小電流を流す際には、ポンプ電流制御を中断する必要は
ある。つまり、酸素濃度測定セルへの微小電流通電時に
もポンプ電流制御を実行すると、ポンプ電流が酸素濃度
測定セルの内部抵抗の影響を受けて大きくなり、ポンプ
電流を誤制御してしまうとか、場合によっては酸素ポン
ピングセルのブラックニングを招くといったこともある
ので、閉塞空間を内部酸素基準源として機能させるため
に、ポンプ電流制御を開始してから酸素濃度測定セルに
定期的に微小電流を流す際には、その微小電流通電時
に、ポンプ電流制御を中断するようにすればよい。
センサ本体が十分に活性化していないとしても、ポンプ
電流出力を被測定ガス検出に用いることができる。ただ
し、この場合、酸素ポンピングセルが十分に活性化して
いないことから、正確な空燃比を検出することはできな
いので、空燃比制御では、通常とは異なる制御モードで
制御する必要がある。
請求項1に記載の制御方法を実現する装置である。そし
て、この装置においては、ヒータ通電手段がヒータへの
通電を開始すると、まず、微小電流通電開始手段が、微
小電流通電手段を動作させて、酸素濃度測定セルへ微小
電流を流し、閉塞空間を内部酸素基準源として機能さ
せ、計時手段が、その後、予め設定された一定時間が経
過するのを計時する。そして、この計時手段にて一定時
間が計時されると、通電停止手段が、微小電流通電手段
による酸素濃度測定セルへの微小電流の通電を停止させ
るとともに、ポンプ電流制御開始手段が、ポンプ電流制
御手段によるポンプ電流の制御を開始させる。
判定手段が、そのポンプ電流制御によって酸素濃度測定
セルの電極間電圧を目標電圧に制御できたか否かを判断
し、電極間電圧が目標電圧に制御された時点で、センサ
本体が活性化した旨を判定する。
ば、上記請求項1に記載の制御方法を実現し、ヒータ通
電開始後に、ポンプ電流制御を速やかに開始させて、そ
のポンプ電流を被測定ガスの検出に用いるようにするこ
とができるようになり、更に、請求項5に記載の制御装
置によれば、上記請求項2に記載の制御方法を実現し
て、ヒータ通電開始後、センサ本体が酸素濃度を検出可
能になった旨(つまり活性化した旨)を速やかに判定す
ることができるようになり、従来装置のように活性化判
断のための所要時間が不必要に長くなるのを防止でき
る。
いては、活性化判定手段がセンサ本体の活性化を判定す
ると、微小電流通電手段による酸素濃度測定セルへの微
小電流の通電を再開させる。つまり、この装置は、請求
項3に記載の制御方法を実現する装置であり、活性化判
定後に酸素濃度測定セルへの微小電流の通電を再開する
ことにより、酸素濃度測定セルの測定ガス室とは反対側
電極の閉塞空間に酸素を供給する。この結果、微小電流
の通電停止が長時間続いて、閉塞空間が内部酸素基準源
としての機能を失うのを防止することができる。
する。図1は本発明が適用された実施例の空燃比センサ
及びその周辺装置を表わす概略構成図、図2は空燃比セ
ンサの一部破断斜視図である。
の排気管に取り付けられ、排気中の酸素濃度から内燃機
関に供給された燃料混合気の空燃比を検出するためのも
のであり、図2に示すように、板状に形成された固体電
解質層12aの両側に多孔質電極12b,12cを形成
した酸素濃度測定セル(以下、単に電池素子という)1
2と、同じく板状に形成された固体電解質層14aの両
側に多孔質電極14b,14cを形成した酸素ポンピン
グセル(以下、単にポンプ素子という)14と、これら
の両素子12,14の間に積層されて測定ガス室16を
形成するスペーサ18と、からなるセンサ本体を備えて
いる。そして、ポンプ素子14の外側には、スペーサ2
0により所定間隔を空けて、各セル12,14を加熱す
るヒータ30が取り付けられている。
は、イットリア−ジルコニア固溶体からなる固体電解質
層12a,14aの各々の両面に、矩形状の多孔質電極
12b,12c,14b,14cを形成したものであ
り、この多孔質電極12b,12c,14b,14c
は、共素地としてのイットリア−ジルコニア固溶体と残
部白金から形成されている。尚、上記固体電解質層12
a,14aの材料としては、イットリア−ジルコニア固
溶体の他に、カルシア−ジルコニア固溶体が知られてお
り、更に、二酸化セリウム、二酸化トリウム、二酸化ハ
フニウムの各固溶体、ペロブスカイト型固溶体、3価金
属酸化物固溶体等が使用できる。
極14cに対応する中空部26aを有したアルミナから
なる絶縁層26に覆われている。そしてその中空部26
aには、多孔質電極14cを覆って外部から保護する、
主にアルミナからなる多孔質の電極保護層27が形成さ
れている。
ポンプ素子14との間に、多孔質電極12c,14bに
対応した中空部を有するスペーサ18を挟んで接合する
ことにより形成され、その中空部からなる測定ガス室1
6の内側には、上記多孔質電極12c,14bが露出し
ている。なお、スペーサ18の素材としては、アルミ
ナ、スピネル、フォルステライト、ステアタイト、ジル
コニア等が用いられる。
と外部とを連通する連通孔が複数設けられており、各連
通孔には、アルミナからなる多孔質の充填材を詰めるこ
とによって拡散律速層17が形成され、被測定ガスの測
定ガス室16への流入等の律速が行われる。
極12bを覆うように固体電解質からなる遮蔽体24が
貼り付けられており、後述の検出回路52にて電池素子
12の多孔質電極12b側から多孔質電極12c側へと
微小電流iCPを流したときに、多孔質電極12b側が閉
塞空間となって、その空間内に汲み込まれた酸素がその
まま排出されないようにされている。また、電池素子1
2には、このように多孔質電極12b側に汲み込まれた
酸素の一部を測定ガス室16側に漏出させるための漏出
抵抗部12dが形成されている(図1参照)。この結
果、検出回路52による微小電流iCPの通電により、多
孔質電極12b側は一定の酸素濃度となり、電池素子1
2には、多孔質電極12b側の酸素濃度を基準とする測
定ガス室16内の酸素濃度に応じた起電力が発生するこ
とになる。
素子14側には、発熱パターン30aが設けられ、他方
の側には周知のマイグレーション防止パターン30bが
形成されている。次に図1に基づいて、上記空燃比セン
サ10の制御及び上記各素子12,14の活性化判定を
行う制御系の構成について説明する。
プ素子14の測定ガス室16に接した多孔質電極12c
及び14bは接地されており、他方の多孔質電極12b
及び14cは、夫々、ポンプ電流制御手段としての検出
回路52に接続されている。また遮蔽体24により閉塞
空間となった電池素子12の多孔質電極12bは、アナ
ログスイッチ等からなる開閉スイッチSWを介して、他
端に定電圧VCPが印加された抵抗器R1 に接続されてい
る。この抵抗器R1 は、電池素子12に略一定の微小電
流iCPを供給する微小電流通電手段としての機能を実現
するものであり、その抵抗値は、電池素子12の内部抵
抗に比べて充分大きな値となっている。
の多孔質電極12bが、差動増幅器AMPの−側入力端
子に接続されており、差動増幅器AMPの+側入力端子
には、基準電圧VCOが入力されている。このため、差動
増幅器AMPからは、基準電圧VCOと電池素子12の電
極間電圧Vsとの差に応じた電圧が出力される。そし
て、この差動増幅器AMPの出力は、抵抗器R3 を介し
て、ポンプ素子14のヒータ30側の多孔質電極14c
に接続されている。この結果、ポンプ素子14には、差
動増幅器AMPの出力に応じて、ポンプ電流ipが双方
向に流れることになる。
をONすれば、電池素子12に微小電流iCPを流して多
孔質電極12b側に酸素を汲み込み、多孔質電極12b
を内部酸素基準源として機能させて、電池素子12の電
極間に、測定ガス室16内の酸素濃度と内部酸素基準源
側の基準酸素濃度とに応じた電圧Vsを発生させること
ができ、更に、検出回路52を動作させれば、電池素子
12の電極間電圧Vsが基準電圧VCO(例えば、450
mV)となるように、差動増幅器AMPからポンプ素子
14にポンプ電流ipを供給して、測定ガス室16内の
酸素濃度を一定に保つことができる。
流ipは、周囲の被測定ガス雰囲気中の酸素濃度に対応
することから、検出回路52内で、そのポンプ電流ip
を抵抗器R3 により電圧信号に変換して、それを内燃機
関の排気中の酸素濃度,延いては空燃比を表す検出信号
として、内燃機関制御を行うマイクロコンピュータ等か
らなる電子制御回路(以下、ECUという)50に出力
するようにされている。
N・OFF状態及び検出回路52によるポンプ電流制御
の動作は、ECU50により制御される。またヒータ3
0の発熱パターン30aには、バッテリ電圧VB を受け
てヒータ通電用の電圧VH を出力するヒータ通電回路5
4が接続され、電池素子12には、その電極間電圧Vs
をECU50に直接入力するバッファ回路BUFが接続
されている。
共にヒータ通電回路54を動作させて、ヒータ30の発
熱パターン30aにヒータ電圧VH を印加させることに
より、電池素子12及びポンプ素子14を加熱させ、こ
の加熱によって各センサ素子12,14が活性化したか
どうかを、バッファ回路BUFから入力される電池素子
12の電極間電圧Vsに基づき判定する。そして本実施
例においては、活性化判定後に、空燃比センサ10を用
いた空燃比の検出並びにその検出結果に基づく内燃機関
の空燃比制御を開始する。
る各種制御処理の内、本発明にかかわる主要な処理であ
る、空燃比センサ10の活性化判定処理について、図3
に示すフローチャートに沿って説明する。このセンサ活
性化判定処理は、内燃機関の始動と共に実行される処理
であり、処理が開始されると、まず、S110(S:ス
テップを表わす)にて、ヒータ通電回路54を動作させ
て、ヒータ30の通電を開始する(ヒータON)と共
に、開閉スイッチSWをONして、電池素子12に微小
電流icpを流す、微小電流通電開始手段としての処理を
実行する。
間△T(例えば、5sec.)が経過したか否かを判断する
ことにより、微小電流通電後に一定時間が経過するのを
待つ、計時手段としての処理を実行し、所定時間△Tが
経過すると、S130に移行して、開閉スイッチSWを
オフし、電池素子12への微小電流icpの通電を停止さ
せ、更に、続くS140にて、検出回路52を動作(O
N)させて、上述のポンプ電流制御を開始させる、ポン
プ電流制御開始手段としての処理を実行する。
路BUFから入力される電池素子12の電極間電圧Vs
が、目標となる基準電圧VCOに対応して設定された活性
化判定電圧VSO(=VCO±α)に制御されているか否か
を判断することにより、検出回路52のポンプ電流制御
によって、電池素子12の電極間電圧Vsが基準電圧V
COに制御されるのを待つ、活性化判定手段としての処理
を実行する。
活性化判定電圧VSOに制御されていると判断されると、
空燃比センサ10は活性化したものとして、S160に
移行し、開閉スイッチSWをオンして、電池素子12へ
の微小電流iCPの通電を再開させる、微小電流通電再開
手段としての処理を実行し、当該活性化判定処理を終了
する。
性化判定処理終了後、ECU50は、検出回路52から
入力される抵抗器R3 の両端電圧を空燃比の検出信号と
して取り込み、この検出信号に応じて、空燃比が目標空
燃比となるように内燃機関への燃料供給量を制御する、
周知の空燃比制御処理を開始する。
に示す如く、内燃機関の始動と同時(時点t1)に、ヒ
ータ30の通電して、各センサ素子12,14の加熱を
開始すると共に、開閉スイッチSWをオンすることによ
り、電池素子12への微小電流iCPの通電を開始し、電
池素子12の多孔質電極12b側に酸素を汲み込ませ
る。そして、その後一定時間(例えば5sec.)△Tが経
過すると(時点t2)、電池素子12への微小電流iCP
の通電を停止するとともに、検出回路52を動作させ
て、ポンプ電流制御を開始させる。
子12への微小電流iCPの通電によって、電池素子12
の多孔質電極12b側の閉塞空間に充分酸素が汲み込ま
れ、その閉塞空間は内部酸素基準源として機能している
ことから、電池素子12の電極間には、測定ガス室16
内の酸素濃度に対応し、且つ、電池素子12の内部抵抗
の影響を受けない電圧が発生することになる。つまり、
ヒータ通電開始直後の電池素子12への微小電流iCPの
通電時には、電池素子12の温度が低いので、その内部
抵抗が大きく、電池素子12の電極間電圧Vsは、その
内部抵抗と微小電流iCPとによって生じる電圧降下分
(内部抵抗×iCP)によって極めて大きくなるが、本実
施例では、電池素子12への微小電流iCPの通電停止と
同時に、検出回路52によるポンプ電流制御を開始する
ので、ポンプ電流制御開始後(時点t2後)は、電池素
子12の電極間電圧Vsが電池素子12の内部抵抗の影
響を受けることはなく、電極間電圧Vsは、測定ガス室
16内の酸素濃度のみに対応した電圧となる。
に、電池素子12の電極間電圧と基準電圧VCOとの偏差
に対応した電圧を発生し、ポンプ素子14に、この電圧
に応じたポンプ電流ipを流すが、空燃比センサ10が
活性化するまでは、ポンプ素子14の内部抵抗も大きい
ので、検出回路52の動作によって、ポンプ素子14に
所望のポンプ電流ipを流すことができず、電池素子1
2の電極間電圧Vsを基準電圧VCOに制御することはで
きない。そして、空燃比センサ10がヒータ通電によっ
て充分加熱されて活性化すれば、電池素子12の電極間
電圧Vsを基準電圧VCOに制御して、排気中の酸素濃度
を正確に検出できるようになる。
燃比を検出することはできないが、測定ガスがリーンか
リッチかの判別は可能であるので、例えば、センサ本体
(空燃比センサ10)が十分に活性化されていない場合
には、空燃比制御を通常とは異なる制御モードで行うこ
とで、精度を落として空燃比制御を実行することは可能
である。そして、そのように空燃比制御を行うことで、
更に早期に空燃比制御を開始することができる。
ポンプ電流制御を開始した後、電池素子12の電極間電
圧Vsを監視することにより、この電極間電圧Vsが目
標電圧である基準電圧VCO(例えば450mV)に制御
されるのを待ち、電極間電圧Vsが基準電圧VCOに制御
されると(時点t3)、空燃比センサ10が排気中の酸
素濃度を正確に検出可能な状態になった(つまり活性化
した)と判断して、通常の空燃比制御に移行する。
判定方法に比べて、ヒータ通電開始後、空燃比センサ1
0の活性化を判定するまでの時間を短くでき、内燃機関
始動後、空燃比制御を開始するまでの時間を短くするこ
とができる。そして、このように内燃機関の始動後、空
燃比制御を開始するまでの時間を短くできるので、空燃
比制御による内燃機関の排気浄化を促進でき、空気中に
有害成分が排出されるのを抑制できる。
実施例について説明したが、本発明は、こうした実施例
に限定されることなく、種々の態様をとることができ
る。例えば、上記実施例では、センサ活性化判定処理に
おいて、ヒータ通電開始と同時に電池素子12に微小電
流iCPを流し、その後一定時間△Tが経過して、一旦、
微小電流iCPの通電を停止すると、その後、センサの活
性化が判定されるまでの間は、微小電流iCPの通電を禁
止するようにしたが、微小電流iCPの通電停止後、セン
サの活性化を判定するまでの時間内に、電池素子12の
多孔質電極12b側の閉塞空間内の酸素が測定ガス室1
6側に漏出して、その空間内の酸素濃度を基準酸素濃度
に保持できない虞がある場合には、ポンプ電流制御を開
始してからセンサの活性化を判定するまでの間(時点t
2−t3間)に、定期的に、ポンプ電流制御を中断し
て、電池素子12に微小電流iCPを通電するようにすれ
ばよい。つまり、このようにすれば、電池素子12の多
孔質電極12b側の閉塞空間内の酸素濃度を基準酸素濃
度に確実に保持することができ、ポンプ電流制御,延い
てはセンサの活性化判定を、より正確に行うことができ
るようになる。
構成を表わす概略構成図である。
破断斜視図である。
性化判定処理を表わすフローチャートである。
ャートである。
ートである。
セル) 14…ポンプ素子(酸素ポンピングセル) 12a,
14a…固体電解質層 12b,12c,14b,14c…多孔質電極 12
d…漏出抵抗部 16…測定ガス室 17…拡散律速層 18,20
…スペーサ 24…遮蔽体 26…絶縁層 27…電極保護層
30…ヒータ 30a…発熱パターン 50…ECU(電子制御回
路) 52…検出回路 54…ヒータ通電回路 SW…開閉スイッチ R1…抵抗器(微小電流通電手段) BUF…バッフ
ァ回路
Claims (6)
- 【請求項1】 酸素イオン伝導性の固体電解質層を多孔
質電極で挟んでなる酸素ポンピングセル及び酸素濃度測
定セルを、夫々、各セルの一方の電極が、拡散律速層を
介して被測定ガス側に連通された測定ガス室に接するよ
うに配置すると共に、前記酸素濃度測定セルの前記測定
ガス室とは反対側電極を閉塞して、該閉塞空間内の酸素
の一部を漏出抵抗部を介して外部に漏出可能に形成して
なるセンサ本体と、 該センサ本体を加熱して活性化させるヒータと、 該ヒータに通電して前記酸素センサを加熱させるヒータ
通電手段と、 前記酸素濃度測定セルに、前記測定ガス室中の酸素を前
記閉塞空間に汲み出す方向に微小電流を流して、該閉塞
空間を内部酸素基準源として機能させる微小電流通電手
段と、 前記酸素濃度測定セルの電極間電圧を測定する測定手段
と、 前記酸素ポンピングセルにポンプ電流を流すポンプ電流
制御手段と、 を備え、該ポンプ電流制御手段により制御されるポンプ
電流と前記測定手段により測定される前記酸素濃度測定
セルの電極間電圧とから被測定ガス中の酸素濃度を検出
可能な酸素センサにおいて、前記ヒータ通電手段による
前記ヒータへの通電開始後に前記酸素濃度を速やかに検
出可能にするための制御方法であって、 前記ヒータ通電手段による前記ヒータへの通電を開始さ
せるとともに、前記微小電流通電手段を動作させて、前
記酸素濃度測定セルへ微小電流を流し、前記閉塞空間を
内部酸素基準源として機能させ、 その後、予め設定された一定時間が経過すると、前記微
小電流通電手段による前記酸素濃度測定セルへの微小電
流の通電を停止させるとともに、前記ポンプ電流制御手
段によるポンプ電流の制御を開始させることを特徴とす
る酸素センサの制御方法。 - 【請求項2】 前記ポンプ電流の制御を開始させると、
その後、該ポンプ電流制御によって前記酸素濃度測定セ
ルの電極間電圧を所定の電圧に制御できた時点で、前記
センサ本体が活性化した旨を判定することを特徴とする
請求項1に記載の酸素センサの制御方法。 - 【請求項3】 前記センサ本体の活性化を判定すると、
前記微小電流通電手段から前記酸素濃度測定セルへの微
小電流の通電を再開させることを特徴とする請求項2に
記載の酸素センサの制御方法。 - 【請求項4】 酸素イオン伝導性の固体電解質層を多孔
質電極で挟んでなる酸素ポンピングセル及び酸素濃度測
定セルを、夫々、各セルの一方の電極が、拡散律速層を
介して被測定ガス側に連通された測定ガス室に接するよ
うに配置すると共に、前記酸素濃度測定セルの前記測定
ガス室とは反対側電極を閉塞して、該閉塞空間内の酸素
の一部を漏出抵抗部を介して外部に漏出可能に形成して
なるセンサ本体と、 該センサ本体を加熱して活性化させるヒータと、 該ヒータに通電して前記酸素センサを加熱させるヒータ
通電手段と、 前記酸素濃度測定セルに、前記測定ガス室中の酸素を前
記閉塞空間に汲み出す方向に微小電流を流して、該閉塞
空間を内部酸素基準源として機能させる微小電流通電手
段と、 前記酸素濃度測定セルの電極間電圧が所定の目標電圧と
なるように、前記酸素ポンピングセルにポンプ電流を流
すポンプ電流制御手段と、 を備え、該ポンプ電流制御手段により制御されるポンプ
電流から被測定ガス中の酸素濃度を検出可能な酸素セン
サにおいて、前記ヒータ通電手段による前記ヒータへの
通電開始後に前記酸素濃度を速やかに検出可能にするた
めの制御装置であって、 前記ヒータ通電手段による前記ヒータへの通電を開始さ
せるとともに、前記微小電流通電手段を動作させて、前
記酸素濃度測定セルへ微小電流を流し、前記閉塞空間を
内部酸素基準源として機能させる微小電流通電開始手段
と、 該微小電流通電開始手段が前記微小電流通電手段を動作
させると、その後、予め設定された一定時間が経過する
のを計時する計時手段と、 前記微小電流通電手段による前記酸素濃度測定セルへの
微小電流の通電が一定時間経過すると、該微小電流の通
電を停止させる通電停止手段と、 該通電の停止とともに、前記ポンプ電流制御手段による
ポンプ電流の制御を開始させるポンプ電流制御開始手段
と、 を備えたことを特徴とする酸素センサの制御装置。 - 【請求項5】 前記ポンプ電流制御開始手段が前記ポン
プ電流制御手段によるポンプ電流制御を開始させると、
該ポンプ電流制御によって前記酸素濃度測定セルの電極
間電圧を所定の電圧に制御できたか否かを判断し、該電
極間電圧が前記目標電圧に制御された時点で、前記セン
サ本体が活性化した旨を判定する活性化判定手段を備え
たことを特徴とする請求項4に記載の酸素センサの制御
装置。 - 【請求項6】 請求項5に記載の酸素センサの制御装置
において、前記活性化判定手段が前記センサ本体の活性
化を判定すると、前記微小電流通電手段による前記酸素
濃度測定セルへの微小電流の通電を再開させる微小電流
通電再開手段を設けたことを特徴とする酸素センサの制
御装置。
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