JP3518301B2 - フィルム密着性及び色調に優れた電解クロメート処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents

フィルム密着性及び色調に優れた電解クロメート処理鋼板及びその製造方法

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JP3518301B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉化加工2ピー
ス缶用ラミネート鋼板に用いる、フィルム密着性及び色
調に優れた電解クロメート処理鋼板及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食缶もしくは飲料缶を製缶する場
合、金属板に絞り、しごき、引張、曲げ等の加工を施
し、缶底部および缶胴部を一体成形する2ピース缶製造
方法が行われている。2ピース缶には、金属板を成形し
た後に塗装を施したものの他に、予め金属板に有機樹脂
フィルムを熱融着させたラミネート鋼板に成形加工を加
えたものがあり、特開平3−101930号公報に開示
されている方法により実用化されている。ラミネート鋼
板を成形し2ピース缶体を製造する場合、下地の金属板
には電解クロメート処理鋼板(ティンフリースチール、
以下TFSと称する)が用いられている。TFSの表面
には金属クロム層とさらにその表層にはクロムの水和酸
化物層が形成されており、ラミネートする際有機樹脂フ
ィルムとの間に水素結合を持つことにより密着性を維持
し、製缶加工において金属板と有機樹脂フィルムの界面
での剥離を防止している。
【0003】一方近年製缶メーカーでは材料節減の観点
から缶体の薄肉化が進められており、2ピース缶におい
ては成形時の加工度増大という手段が講じられている。
加工度の増大に従い成型時の変形は大きくなるためフィ
ルム剥離の危険性が高くなる。 さらに、レトルト処理
を施す場合には高温水蒸気による密着界面の攻撃による
密着性劣化が起こるため、加工後密着力がより高く維持
されていなければならない。従ってレトルト処理を要す
る内容物についても、ラミネート時に従来よりもより大
きな密着性が求められる。
【0004】ラミネートフィルム密着性を改善するため
の考え方として、TFS表面の金属クロムの粒状突起の
密度とPETフィルムのTピール試験に基づく接着強度
の関係を調査した和泉らの報告(CAMP−ISIJ
vol.8(1995)−718)がある。そこではT
FS表面の粒状突起の存在により、TFSとフィルムの
密着面の表面積が増大し密着性向上に寄与するという知
見が得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
和泉らの報告においては評価手段としてPETフィルム
をTFSで挟み込み、フィルムを完全溶融させて圧着さ
せた後、Tピール試験により、その引張強度を調査した
に過ぎず、2ピース缶体を製造する場合に問題となる加
工密着性に関する検討は全くなされていない。金属クロ
ムの粒状突起を有する溶接缶用クロムメッキ鋼板の製造
法として、特公昭63−26200号公報、特開昭63
−186894号公報などに、クロム酸溶液中で陰極電
解処理に引き続き陽極電解を行い、再度陰極処理を行う
ことにより、粒径5〜1000nmの粒状突起の混在す
る金属クロム層を形成できると開示されている。そこで
は粒径5〜1000nmの粒状突起が混在するクロムメ
ッキ鋼板が得られており、粒状突起の密度と溶接性と塗
装後耐食性の向上との因果関係が論じられているが、ラ
ミネート鋼板としての適合性は一切論じられていない。
また一方では、ラミネート鋼板を成形し2ピース缶体を
製造する場合、成形後の缶体外面に印刷を行う際の意匠
性を確保するために、ラミネート鋼板の色調の制御が必
要とされる。具体的には下地の鋼板の明度が不十分であ
ったり、色相が不適切である場合、白色フィルムをラミ
ネートした際に印刷の色映えがしない。
【0006】特開平7−197295号公報においてT
FSの色調を制御する検討が行われており、色調を良好
とするためのTFSの条件として、クロム水和酸化物の
付着量を25mg/mに保持し、かつTFS表面の金
属クロムの粒状突起の個数を20個/μm以下にする
ことが必要であるとの知見が得られている。しかしなが
ら、色調に及ぼす粒状突起の粒径を考慮に入れた詳細な
密度の検討はこれまでなされていない。本発明の目的は
かかる事情を鑑み、フィルム加工密着性に優れ、同時に
薄肉化加工2ピース缶用として十分良好な表面色調を満
足するラミネート用電解クロメート処理鋼板及びその製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明の鋼板は、鋼板の表面に、付着量:70〜
200mg/mの金属クロム層と、その上層に金属ク
ロム換算で付着量:7〜25mg/mのクロム水和酸
化物層とを形成してなるラミネート用電解クロメート処
理鋼板において、前記金属クロム層に、最大粒径50n
m以下の粒状突起が形成されており、かつ該粒状突起の
占有面積の総和が鋼板表面積の5〜80%であることを
特徴とする、フィルム密着性及び色調に優れたラミネー
ト用電解クロメート処理鋼板である。
【0008】(2)本発明の製造方法は、上記(1)に
記載のラミネート用電解クロメート処理鋼板を製造する
方法において、6価クロムを含む化合物を主剤とし、F
と、重量比でSO 2−/F≦0.05を満たす量
のSO 2−とを含有する水溶液中で、鋼板に対して1
パス以上の陽極電解処理と1パス以上の陰極電解処理を
施す工程を備え、鋼板に対して施す最終パスが前記陰極
電解処理であり、かつ前記陽極電解処理の通電電気量が
0.05〜2C/dmである断続的電解処理を施すこ
とを特徴とする、フィルム密着性及び色調に優れたラミ
ネート用電解クロメート処理鋼板の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の課題を解決
するために、フィルム加工密着性及び色調に及ぼすTF
S表面の金属クロムの粒状突起の粒径及び密度の影響を
詳細に調査した結果、以下の知見を得るに至った。
【0010】TFSの表面に金属クロムの粒状突起が存
在する場合、TFS最表層のクロム水和酸化物とラミネ
ートフィルムの密着界面の面積は増大するため密着性は
向上する。しかし同時にTFSの色調は明度及び色相と
もに劣化する。
【0011】図1に種々の粒径及び密度の粒状突起を有
するTFSに厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム
をラミネートしたラミネート鋼板の可視領域の分光反射
率曲線におよぼす影響を示す。
【0012】分光反射率の波長積分値は反射光の強度を
反映し、明度と密接な相関を持つ。すなわち、図1中に
おいて曲線が上に位置するほど明るい色調を呈する。ま
た、この曲線における480nm〜700nm間の10
nm間隔で測定した反射率−波長の勾配の平均値を10
00nmあたりの反射率差に補正した値を、特開平3−
193897号公報の定めるところに従いK値(%/1
000nm)と称する。K値はTFS表面色相を評価す
るのに有効な手段であり、この値が小さいほど、すなわ
ち図1中の曲線の勾配が急なほど、短波長側の反射が強
いため青っぽく知覚され、ラミネート鋼板の色相として
は良好である。逆にK値が大きい場合、赤みが強く感じ
られラミネート鋼板の色相としては好ましくない。
【0013】図1中では、粒状突起を全く持たない平板
状金属クロム(サンプルE)が最も明るくかつ青みが強
く良好な色調であることを示している。これに対し粒状
突起が存在する場合、平板状金属クロムの曲線に比べ、
反射率の低下が見られる。最も良好な曲線Eからの差は
A→B→C→Dの順に大きくなる。粒径50nmの突起
が高密度に存在するAは、短波長側で若干反射率が低下
しているのみで、曲線Eとほぼ同様のスペクトルを示
す。一方、B〜Dの粒径150nmの突起が存在する場
合、短波長から長波長の全波長領域で反射率が低下し明
度が下がっていることがわかる。また粒状突起の密度が
増すにつれ、短波長側の反射率が大きく低下し、相対的
に赤みが増す傾向が認められ色相的に好ましくなくな
る。
【0014】ラミネート後TFSの分光反射曲線の変化
に及ぼす粒状突起の影響は粒状突起による光の散乱によ
って説明される。平坦な面で可視光が反射する場合、平
面上に波長よりもはるかに小さい凹凸がある場合、光は
凹凸の影響を受けずに全反射するが、凹凸のサイズが大
きくなり、波長のオーダーに近づくにつれ、入射光は凹
凸によって散乱され、反射率が低下するようになる。従
って可視光の表面散乱は凹凸が大きくなるにつれ、まず
短波長光から散乱を受け、凹凸サイズが小さいうちは長
波長光の散乱は少ないが、凹凸のサイズが大きくなるに
従い、可視領域全体で表面散乱が起きるようになる。T
FSの場合、粒状突起の粒径が50nmの場合、短波長
域のみ反射率が低下し、150nmでは全可視光域で反
射率が低下したのはこの理由による。また、粒状突起の
密度が高くなるほど表面散乱が増すため反射光率は低下
し、明度の低下が著しい。しかしながら粒径50nmの
Aの場合150nmのB〜Dよりも1桁多い粒状突起が
存在するにも関わらず明度の低下は極めて小さく、色調
は良好である。以上の理由から、TFSのラミネート色
調への悪影響が極めて小さい粒状突起の粒径及び密度の
範囲が存在することがわかる。本発明者らはラミネート
色調に悪影響を及ぼさない粒径及び密度を綿密に調査し
た結果、その範囲を、金属クロムの粒状突起の粒径がす
べて50nm以下であり、かつ該粒状突起の占有面積の
総和が鋼板表面積の5〜80%と定めた。
【0015】しかしながら、上記の粒径及び密度の粒状
突起を有する金属クロム層を形成するにあたり、粒径を
50nm以下に制御しつつ粒状突起の占有面積の総和を
鋼板表面積の5〜80%に制御することは非常に困難で
あり、既往の研究においては、例えば5〜1000nm
の粒径分布を有する粒状突起を発生せしめることは可能
であっても粒径を50nm以下に制御することは不可能
であった。
【0016】そこで、本発明者らは陽極電解を行うクロ
ム酸溶液の組成を詳しく検討した結果、SO4 2-を全く
含まない、F- 添加のクロム酸溶液中で陽極電解処理を
施す場合、図2に示すように、金属クロムの付着量が5
0〜500mg/m2 の範囲で50nmを越える粒状突
起が混在しない金属クロム層の形成が可能であることを
見出した。
【0017】また、図3に示すように、SO4 2-/F-
が重量比で0.05以下の場合粒状突起は50nmを越
える大きさのものは形成されないが、SO4 2-/F-
重量比で0.05を越えると50nmを越えるものが混
入し始めた。
【0018】以上の知見に基づき、本発明者らは、電解
クロメート処理溶液中のSO4 2-の濃度及び陽極電解処
理の通電電気量を調整して、鋼板表面に施す金属クロム
層とその上層のクロム水和酸化物層の各々の付着量及び
前記クロム層の粒状突起の最大粒径と密度を一定範囲内
に制御するようにして、フィルム加工密着性及び色調と
もに優れた電解クロメート処理鋼板及びその製造方法を
見出し、本発明を完成させた。
【0019】すなわち、本発明は、電解クロメート処理
鋼板の皮膜、及び電解処理条件を下記範囲に限定するこ
とにより、フィルム加工密着性に優れ、同時に薄肉化加
工2ピース缶用として十分良好な表面色調を満足する電
解クロメート処理鋼板及びその製造方法を提供すること
ができる。
【0020】以下に、本発明の電解クロメート処理鋼板
の皮膜の限定理由及び電解処理条件の限定理由について
説明する。 (1)電解クロメート処理鋼板の皮膜 本発明の電解クロメート処理鋼板は、鋼板の表面に、付
着量:70〜200mg/m2 の金属クロム層と、その
上層に金属クロム換算で付着量:7〜25mg/m2
クロム水和酸化物層とを形成してなり、前記クロム層に
は最大粒径50nm以下の粒状突起が形成されており、
かつ該粒状突起の占有面積の総和が鋼板表面積の5〜8
0%である。
【0021】金属クロム層の付着量が70〜200mg
/m2 である理由は、まず70mg/m2 未満では十分
なフィルム加工密着性が得られないためであり、上限が
200mg/m2 であるのは、これ以上付着量を増やし
てもフィルム加工密着性の向上が見られず、徒に付着量
を多くする必要がないためである。
【0022】水和クロム酸化物付着量が金属クロム換算
で7〜25mg/m2 であるのは、7mg/m2 未満の
場合、いかに金属クロムの粒状突起を表層に配すること
により密着面積を大きくしても、水和クロム酸化物の絶
対量が不足するため被覆性が下がり、ラミネートフィル
ムとの密着性が不十分となるためである。一方、水和酸
化物が25mg/m2 を上回ると、下地が粒状突起を有
さない平板状の金属クロムであっても、水和酸化物自身
の持つ色により茶色く色付き、色調が劣化するからであ
る。
【0023】金属クロム層表面に存在する金属クロムの
粒状突起の粒径をすべて50nm以下に限定した理由
は、50nmを上回る粒状突起が存在、もしくは混在す
る場合、色調は最大粒径の表面散乱によって支配され、
全波長領域で反射光の減少が見られるためである。色調
を平板状金属クロム並に良好にするためには、粒状突起
のすべての粒径は50nmを上回らないことが必要であ
る。また、粒状突起の占有面積の総和を鋼板表面積の5
〜80%に限定した理由は、まず、5%未満では粒状突
起の存在による密着界面積の増大が小さいためフィルム
密着性の改善が認められないためである。従って、フィ
ルム密着性の向上には粒状突起の占有面積の総和は鋼板
表面積の5%以上が必要である。また80%を上回る場
合は、粒径が50nm以下であって表面散乱が可視光の
短波長領域のみに限定されるとは言え、反射光量が不足
し明度が低下するのと同時に青みが不足することによる
色相の劣化が無視できなくなるからである。従って、良
好な色調を得るには、粒状突起の占有面積の総和は鋼板
表面積の80%以下であることが必要である。
【0024】なお、粒状突起の粒径及び占有面積比(粒
状突起の占有面積の総和/鋼板表面積)の測定方法につ
いては、特に限定されるものではないが、鋼板表面の金
属クロム層にクロム水和酸化物を被覆した状態のサンプ
ル表面の10000倍の走査透過電子顕微鏡(TEM)
写真を撮影し、その写真から粒状突起の粒径や占有面積
比を測定することが望ましい(粒径測定が容易かつ観察
面積確保が可能なため)。実際にサンプルの粒状突起の
粒径や占有面積比を求めるに際しては、写真に撮影され
ている範囲(視野面積)の粒状突起の最大粒径(最大外
径)とし、占有面積比については、画像解析により求め
た粒の総面積と視野面積の比とする。また、上記粒状突
起の最大粒径及び占有面積比の測定は、図4に示すよう
に、少なくとも300μm2 以上でないと粒状突起の測
定数が少なく適当な最大粒径及び占有面積比が得られな
い。
【0025】なお、ここでいう粒状突起の形態について
は、一定していないので特に定義しないが、主に下地結
晶方位と同方向の単結晶粒が形成されるため、(10
0)面に依存する4回対称(4角形)や(111)面に
依存する6回対称(6角形)が多く見られる(めっき形
態に係る粒以外の突起は考慮に入れない。)。上記の電
解クロメート処理鋼板の皮膜に調整することにより、フ
ィルム加工密着性に優れ、同時に薄肉化加工2ピース缶
用として十分良好な表面色調を満足する電解クロメート
処理鋼板を得ることが可能となる。
【0026】このような特性の鋼板は、以下の製造方法
により製造することができる。 (2)電解クロメート処理鋼板製造工程 (製造方法)6価クロムを含む化合物を主剤とし、F-
と、重量比でSO4 2-/F- ≦0.05を満たす量のS
4 2-とを含有する水溶液中で、鋼板に対して1パス以
上の陽極電解処理と1パス以上の陰極電解処理を施す工
程を備え、鋼板に対して施す最終パスが前記陰極電解処
理であり、かつ前記陽極電解処理の通電電気量が0.0
5〜2C/dm2 である断続的電解処理を施す。
【0027】まず、6価クロムを含む化合物(無水クロ
ム酸)を主剤とし、F- を助剤とし、重量比でSO4 2-
/F- ≦0.05を満たす量のSO4 2-とを含有する水
溶液を用いる点については、上記したように、粒状突起
の成長を抑制する上で必要である。即ち、SO4 2-/F
- が0.05を越えると粒状突起の最大粒径が50nm
を越えてしまう。そのような溶液中で断続的に2回以上
電解処理を行い、その内の最終の電解を除くいずれかの
電解において、少なくとも1回の陽極処理を行い、残り
の電解においては陰極処理を行う理由については、陽極
電解が次なる陰極電解において優先析出し粒状突起を発
生させるサイト形成に必要な処理であるからであって、
当然ながら電解の最終段階に陽極処理を行うことは無意
味である。
【0028】陽極電解処理の通電電気量が0.05〜2
C/dm2 である断続的電解処理を施す理由は、通電電
気量が0.05C/dm2 未満では、粒状突起の形成が
不十分であり占有面積比が5%未満となる。一方、2C
/dm2 を越えると粒状突起の占有面積比が80%を越
えてしまい、色調が劣化する。また、陽極電解処理によ
る金属Crの酸化溶解により電解効率低下が顕著となり
不経済である。
【0029】なお、本発明において断続的電解処理を施
す理由は、連続電解処理では所望の表面処理鋼板が得ら
れないからである。すなわち、有限の電極長を持つめっ
き設備でめっきする際、通常所望のめっき付着量を得る
には連続電解(1パスで電解することと同義)では電極
長が長くなりすぎ、めっきタンクも巨大化しなくてはな
らないので、複数の電極で分けて電解する。その際、図
5に示すように通電部と無電解部ができてしまうため、
電解は必然的に断続電解となるのである。陽極電解によ
る粒状突起の形成メカニズムは不明な点も多いが、概ね
以下のメカニズムによって形成されると考えられてい
る。すなわち、陰極電解もしくはクロム酸溶液への浸漬
により予め形成された鉄もしくはクロムの表層酸化物層
が陽極電解処理によりミクロレベルで不均一溶解を起こ
し、金属下地の露出あるいは酸化物層の希薄となった箇
所が多数発生し、これが次なる陰極電解において優先析
出し粒状突起を発生させるサイトとなる。陽極電解処理
におけるSO4 2-の作用は、鉄もしくはクロムの表層酸
化物層を不均一溶解する際のエッチング能に関連してお
り、F- よりも強いエッチング能を有していると考えら
れる。すなわち不均一溶解が起こる際、F- が吸着して
いるサイトに比べ、SO4 2-が吸着しているサイトにお
いては、酸化物のエッチング速度が高く、粒状突起の発
生サイトとしては比較的広く領域が確保される結果、陰
極処理において大きい粒状突起が発生する。
【0030】SO4 2-はF- に比べ吸着能が高いため、
競争吸着により比較的少量の添加であっても大きな粒状
突起の発生を引き起こす。検討の結果SO4 2-/F-
重量比0.05近傍を境に競争吸着でF- が支配的な状
態からSO4 2-が支配的な状態へと遷移すると考えられ
る。
【0031】また、上記の説明から粒径制御がF- とS
4 2-の競争吸着によって、可不可が決定することか
ら、SO4 2-/F- が重量比で0.05以下のクロム酸
溶液であれば、陽極電解を行うのは金属クロムとクロム
水和酸化物を同時に析出させる1液法、主として金属ク
ロム層を形成させた後にクロム水和酸化物を析出させる
2液法の前半及び後半のいずれでも良く、いずれの処理
法に対しても本発明の処理を行うことで効果が得られ
る。以下に本発明の実施例を挙げ本発明の効果を立証す
る。
【0032】
【実施例】(供試材)すべての供試材(本発明例1〜6
及び比較例1〜7)は、低炭素Alキルド鋼で板厚0.
20mmのT4CA材を原板鋼帯として用い、縦型のT
FSラインによって、以下に示すような種々の電解クロ
メート処理条件にて表1に記載の様々な付着量、粒径及
び占有面積比(粒状突起の占有面積の総和/鋼板表面
積)の粒状突起を含む金属クロム層と、様々な付着量の
クロム水和酸化物とを析出させたTFSを製造し、その
後以下に示す条件でフィルムラミネートを行った。
【0033】(1)電解クロメート処理条件 (本発明例1):1液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:4g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より) b.電解処理 1パス目に陽極電解処理(電流密度5A/dm2 ,処理
時間0.08秒)を行い、引き続いて2〜6パスにおい
て陰極電解処理(電流密度50A/dm2 )した。陽極
電解処理の通電電気量は0.4C/dm2 である。 (本発明例2):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より) b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より) c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目の陽極電解処理(電流密度
10A/dm2 ,処理時間0.12秒)に引き続き2〜
5パス目に陰極電解処理(電流密度40A/dm2 )し
た。上記化成浴にて、1〜4パス目に陰極電解処理(電
流密度30A/dm2 )した。陽極電解処理の通電電気
量は1.2C/dm2 である。
【0034】(本発明例3):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より) b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より) c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目の陰極電解処理(電流密度
40A/dm2 )に引き続き2パス目に陽極電解処理
(電流密度2A/dm2 ,処理時間0.3秒)を行い、
引き続き3〜5パス目に陰極電解処理(電流密度40A
/dm2 )を行った。上記化成浴にて、1〜4パス目に
陰極電解処理(電流密度30A/dm2 )を行った。陽
極電解処理の通電電気量は0.6C/dm2 である。
【0035】(本発明例4):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :175g/l、Na2 SiF6 :5g/l、
SO4 2-:0.6g/l。
【0036】b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0037】c.電解処理 上記めっき浴にて、1〜4パス目に陰極電解処理(電流
密度40A/dm2 )を行った。上記化成浴にて、1パ
ス目に陽極電解処理(電流密度2A/dm2 ,処理時間
0.3秒)を行い、引き続き2〜5パス目に陰極電解処
理(電流密度30A/dm2 )を行った。陽極電解処理
の通電電気量は0.6C/dm2 である。
【0038】(本発明例5):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO
4 2-:0.13g/l。
【0039】b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0040】c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目に陽極電解処理(電流密度
10A/dm2 ,処理時間0.12秒)を行い、引き続
き2〜5パス目に陰極電解処理(電流密度40A/dm
2 )を行った。上記化成浴にて、1〜4パス目に陰極電
解処理(電流密度30A/dm2 )を行った。陽極電解
処理の通電電気量は1.2C/dm2 である。
【0041】(本発明例6):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0042】b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0043】c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目の陰極電解処理(電流密度
40A/dm2 )に引き続き2,3パス目に陽極電解処
理(電流密度1A/dm2 ,処理時間0.3秒)を行
い、引き続き4パス目に陰極電解処理(電流密度40A
/dm2 )を行った。上記化成浴にて、1〜3パス目に
陰極電解処理(電流密度20A/dm2 )を行った。陽
極電解処理の通電電気量は0.6C/dm2 である。 (比較例1):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO
4 2-:0.65g/l。 b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0044】c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目に陽極電解処理(電流密度
10A/dm2 ,処理時間0.12秒)を行い、引き続
き2〜5パス目に陰極電解処理(電流密度40A/dm
2 )を行った。上記化成浴にて、1〜4パス目に陰極電
解処理(電流密度30A/dm2 )を行った。陽極電解
処理の通電電気量は1.2C/dm2 である。 (比較例2):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0045】b.化成浴組成 CrO3 :35g/l、NH4 F:1.2g/l、SO
4 2-<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に
混入する濃度,ICP分析より)。
【0046】c.電解処理 上記めっき浴にて、1〜3パス目に陰極電解処理(電流
密度60A/dm2 )を行った。上記化成浴にて、1〜
4パス目に陰極電解処理(電流密度30A/dm2 )を
行った。
【0047】(比較例3):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0048】b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0049】c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目に陽極電解処理(電流密度
10A/dm2 ,処理時間0.12秒)を行い、引き続
き2パス目に陰極電解処理(電流密度30A/dm2
を行った。上記化成浴にて、1〜3パス目に陰極電解処
理(電流密度30A/dm2 )を行った。陽極電解処理
の通電電気量は1.2C/dm2 である。 (比較例
4):1液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:8g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0050】b.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目に陽極電解(電流密度10
A/dm2 ,処理時間0.1秒)を行い、引き続き2〜
6パス目に陰極電解処理(電流密度50A/dm2 )を
行った。陽極電解処理の通電電気量は1C/dm2 であ
る。
【0051】(比較例5):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0052】b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:1g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0053】c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目に陽極電解処理(電流密度
10A/dm2 ,処理時間0.1秒)を行い、引き続き
2〜5パス目に陰極電解処理(電流密度40A/dm
2 )を行った。上記化成浴にて、1〜5パス目に陰極電
解処理(電流密度30A/dm2 )を行った。陽極電解
処理の通電電気量は1C/dm2 である。
【0054】(比較例6):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0055】b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0056】c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目の陰極電解処理(電流密度
40A/dm2 )に引き続き、2パス目に陽極電解処理
(電流密度2A/dm2 ,処理時間0.6秒)を行い、
3パス目に陰極電解処理(電流密度40A/dm2 )を
行い、4パス目に陽極電解処理(電流密度2A/dm
2 ,処理時間0.6秒)を行い、5,6パス目に陰極電
解処理(電流密度40A/dm2 )を行った。上記化成
浴にて、1〜4パス目に陰極電解処理(電流密度30A
/dm2 )を行った。陽極電解処理の通電電気量は2.
4C/dm2 である。
【0057】(比較例7):2液法 a.めっき浴組成 CrO3 :100g/l、NaF:6g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0058】b.化成浴組成 CrO3 :50g/l、NH4 F:2g/l、SO4 2-
<0.01g/l(メッキ薬品に由来の不可避的に混入
する濃度,ICP分析より)。
【0059】c.電解処理 上記めっき浴にて、1パス目の陽極電解処理(電流密度
0.2A/dm2 ,処理時間0.1秒)に引き続き、2
〜5パス目に陰極電解処理(電流密度40A/dm2
を行った。上記化成浴にて、1〜4パス目に陰極電解処
理(電流密度30A/dm2 )を行った。陽極電解処理
の通電電気量は0.02C/dm2 である。
【0060】(2)フィルムラミネート条件 フィルムラミネートは、鋼板の一方の面に透明フィルム
を、もう一方の面に白色フィルムを用い、以下に示した
単一条件で行った。
【0061】a.透明フィルム面 フィルム材質:透明二軸配向ポリエステルフィルム(ポ
リエチレングリコールとテレフタル酸/イソフタル酸の
共重合体)、フィルム厚さ:25μm、フィルムの融
点:229℃、ラミネート直前鋼板温度:230℃、ラ
ミネート後残存二軸配向度:17〜19%。
【0062】b.白色フィルム面 フィルム材質:白色二軸配向ポリエステルフィルム(ポ
リエチレングリコールとテレフタル酸/イソフタル酸の
共重合体に平均粒径0.3μm酸化チタンを12重量%
添加したもの)、フィルム厚さ:10μm、フィルムの
融点:229℃、ラミネート直前鋼板温度:230℃、
ラミネート後残存二軸配向度:20〜24%。
【0063】上記の透明フィルム面,白色フィルム面と
もにラミネート速度は40m/分で行った。 (加工密着性評価)ラミネート鋼板より、ブランク径が
80mmの円板を打ち抜き、絞り加工を行った後にレト
ルト処理を行い、深絞りカップの内面のフィルムの剥離
程度をルーペで観察し、剥離無しを5、全面剥離を1と
し、5段階で評価した。なお、絞り加工及びその後のレ
トルト条件の組み合わせで以下に示す条件1〜2の2段
階の試験条件を設け、より過酷な加工度及びレトルト条
件下での密着性を調べた。
【0064】a.加工密着性試験条件(絞り加工及びレ
トルト条件) 条件1:絞り加工比=1.6,レトルト条件=110℃
×30分、条件2:絞り加工比=2.0,レトルト条件
=125℃×30分。
【0065】より加工度の厳しい条件2において評点4
以上のものを加工密着性良好と判定した。 (色調)ラミネート鋼板の白色フィルム面の明度をJI
S Z 8729において規定される10度視野の明度
指数L* 値に基づき5段階で評価した(評点が高いほど
良好)。
【0066】評点5:L* ≧83、評点4:83>L*
≧77、評点3:77>L* ≧70、評点2:70>L
* ≧60、評点1:60>L* 。 また、K値を用いて色相の評価を行う際、白色フィルム
ラミネート面では色相の違いを数値化するのが困難であ
り、透明フィルムラミネート面での色相で比較する方が
優劣を付けやすい。ラミネート後のTFSのK値を指標
に色相の優劣を5段階で評価した(評点が高いほど良
好)。
【0067】評点5:−20≧K、評点4:−15≧K
>−20、評点3:−10≧K>−15、評点2:−5
≧K>−10、評点1:K>−5 上記加工密着性及び色調の評価結果も併せて表1に記載
する。
【0068】表1より、本発明の製造条件によって製造
された本発明例1〜6は、金属クロム及びクロム水和酸
化物付着量、金属クロムの粒状突起の粒径及び占有面積
比(粒状突起の占有面積の総和/鋼板表面積)が本発明
の範囲内であるラミネート鋼板であり、低加工度(条件
1)、高加工度(条件2)のいずれの加工条件に対して
もフィルムの剥離に対しては良好な水準にあり、かつ色
調にも問題を生じていない結果が得られている。
【0069】一方、比較例1は電解処理溶液中のSO4
2-濃度が本発明の範囲を逸脱しており、ラミネートフィ
ルム加工密着性には優れるものの粒状突起の粒径が本発
明の範囲を越えて大きいため、色調の劣化が見られる。
比較例2は粒状突起を持たない平板状の金属クロムに、
本発明における付着量上限のクロム水和酸化物を付着さ
せたラミネート鋼板である。色調は問題ないが、フィル
ム加工密着性に関しては高加工度の条件2において剥離
を起こし、不十分である。比較例3はめっき浴中での陰
極電解処理のパス数が少ないため、金属クロムの付着量
が不足しており、加工密着性が劣っている。比較例4は
電解処理溶液中のF- 濃度が高いため、電解中のクロム
水和酸化物の溶解が顕著となりクロム水和酸化物の付着
量が不足し、加工密着性が劣っている。比較例5は粒
径、占有面積比は本発明の範囲内であるが、化成浴中で
の陰極電解処理のパス数が多いため、クロム水和酸化物
の付着量が多すぎ、加工密着性は良好であるが色調が悪
い。比較例6は陽極電解処理の通電電気量が本発明の範
囲を越えているため粒状突起の占有面積比が大きくな
り、色調が優れない。比較例7は逆に陽極電解処理の通
電電気量が本発明の範囲を下回っているため粒状突起の
占有面積比が小さくなり、加工密着性の向上に乏しい。
【0070】以上のように本発明の製造条件に従い、金
属クロム及び水和酸化物の付着量を本発明の範囲内に限
定し、所定の金属クロムの粒状突起の粒径及び占有面積
比の範囲内におさめることにより、フィルム加工密着性
及び色調ともに優れた電解クロメート処理鋼板を製造で
きることが確認された。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば電
解クロメート処理鋼板の皮膜及び電解処理条件を特定す
ることにより、フィルム密着性及び色調ともに優れる電
解クロメート処理鋼板の製造方法を提供できる。
【0073】本発明の製造方法を用いることにより、薄
肉化加工2ピース缶の加工度の増大に対応でき、また、
密着性の向上に従い、レトルト処理を要する内容物に適
応可能となるため、その経済的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明フィルムラミネート鋼板の分光反射曲線に
及ぼす金属クロム粒状突起の影響を示す図。
【図2】金属クロム付着量と粒状突起の粒径の関係を示
す図。
【図3】金属クロム粒状突起の粒径変化に及ぼすSO4
2-/F- の影響を示す顕微鏡写真。
【図4】本発明の実施の形態に係る視野面積と粒占有面
積率の関係を示す図。
【図5】本発明の実施の形態に係る断続的電解処理めっ
き設備の概要を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−287591(JP,A) 特開 平3−177599(JP,A) 特開 昭63−186894(JP,A) 特開 昭60−56097(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面に、付着量:70〜200m
    g/mの金属クロム層と、その上層に金属クロム換算
    で付着量:7〜25mg/mのクロム水和酸化物層と
    を形成してなるラミネート用電解クロメート処理鋼板に
    おいて、 前記金属クロム層に、最大粒径50nm以下の粒状突起
    が形成されており、かつ該粒状突起の占有面積の総和が
    鋼板表面積の5〜80%であることを特徴とする、フィ
    ルム密着性及び色調に優れたラミネート用電解クロメー
    ト処理鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のラミネート用電解クロ
    メート処理鋼板を製造する方法において、 6価クロムを含む化合物を主剤とし、Fと、重量比で
    SO 2−/F≦0.05を満たす量のSO 2−
    を含有する水溶液中で、鋼板に対して1パス以上の陽極
    電解処理と1パス以上の陰極電解処理を施す工程を備
    え、 鋼板に対して施す最終パスが前記陰極電解処理であり、
    かつ前記陽極電解処理の通電電気量が0.05〜2C/
    dmである断続的電解処理を施すことを特徴とする、
    フィルム密着性及び色調に優れたラミネート用電解クロ
    メート処理鋼板の製造方法。
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