JP3161402B2 - 加工密着性及び色調に優れたラミネート鋼板 - Google Patents

加工密着性及び色調に優れたラミネート鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉化加工2ピー
ス缶用ラミネート鋼板に用いる、加工密着性及び色調に
優れたラミネート鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食缶もしくは飲料缶を製缶する場
合、金属板に絞り、しごき、引張、曲げ等の加工を施
し、缶底部および缶胴部を一体成形する2ピース缶製造
方法が行われている。2ピース缶には、金属板を成形し
た後に塗装を施したものの他に、予め金属板に有機樹脂
フィルムを熱融着させたラミネート鋼板に成形加工を加
えたものがあり、特開平3−101930号公報に開示
されている方法により実用化されている。ラミネート鋼
板を成形し2ピース缶体を製造する場合、下地の金属板
には電解クロメート処理鋼板(ティンフリースチール、
以下TFSと称する)が用いられている。TFSの表面
には金属クロム層とさらにその表層にはクロムの水和酸
化物層が形成されており、ラミネートする際有機樹脂フ
ィルムとの間に水素結合を持つことにより密着性を維持
し、製缶加工において金属板と有機樹脂フィルムの界面
での剥離を防止している。
【0003】一方近年製缶メーカーでは材料節減の観点
から缶体の薄肉化が進められており、2ピース缶におい
ては成形時の加工度増大という手段が講じられている。
加工度の増大に従い成型時の変形は大きくなるためフィ
ルム剥離の危険性が高くなる。 さらに、レトルト処理
を施す場合には高温水蒸気による密着界面の攻撃による
密着性劣化が起こるため、加工後密着力がより高く維持
されていなければならない。従ってレトルト処理を要す
る内容物についても、ラミネート時に従来よりもより大
きな密着性が求められる。
【0004】ラミネートフィルム密着性を改善するため
の考え方として、TFS表面の金属クロムの粒状突起の
密度とPETフィルムのTピール試験に基づく接着強度
の関係を調査した和泉らの報告(CAMP−ISIJ
vol.8(1995)−718)がある。そこではT
FS表面の粒状突起の存在により、TFSとフィルムの
密着面の表面積が増大し密着性向上に寄与するという知
見が得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
和泉らの報告においては評価手段としてPETフィルム
をTFSで挟み込み、フィルムを完全溶融させて圧着さ
せた後、Tピール試験により、その引張強度を調査した
に過ぎず、2ピース缶体を製造する場合に問題となる加
工密着性に関する検討は全くなされていない。鋼板上に
電解処理により金属クロムの粒状突起を形成させる例と
しては、溶接缶用クロムメッキ鋼板の製造法として、特
公昭63−26200号公報、特開昭63−18689
4号公報などに開示されている。そこでは粒径5〜10
00nmの粒状突起が混在するクロムメッキ鋼板が得ら
れており、粒状突起の密度と溶接性と塗装後耐食性の向
上との因果関係が論じられているが、ラミネート鋼板と
しての適合性は一切論じられていない。また一方では、
ラミネート鋼板を成形し2ピース缶体を製造する場合、
成形後の缶体外面に印刷を行う際の意匠性を確保するた
めに、ラミネート鋼板の色調の制御が必要とされる。具
体的には下地の鋼板の明度が不十分であったり、色相が
不適切である場合、白色フィルムをラミネートした際に
印刷の色映えがしない。
【0006】特開平7−197295号公報においてT
FSの色調を制御する検討が行われており、色調を良好
とするためのTFSの条件として、クロム水和酸化物の
付着量を25mg/m2 に保持し、かつTFS表面の金
属クロムの粒状突起の個数を20個/μm2 以下にする
ことが必要であるとの知見が得られている。しかしなが
ら、色調に及ぼす粒状突起の粒径を考慮に入れた詳細な
密度の検討はこれまでなされていない。本発明の目的は
かかる事情を鑑み、ラミネート加工密着性に優れ、同時
に薄肉化加工2ピース缶用として十分良好な表面色調を
満足するラミネート鋼板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明の鋼板は、鋼板の表面に、付着量:70〜
200mg/m2 の金属クロム層と、金属クロム換算で
付着量:7〜25mg/m2 のクロム水和酸化物層と、
ポリエステル系フィルムとを順に積層してなるラミネー
ト鋼板において、前記金属クロム層に、最大粒径50n
m以下の粒状突起が形成されており、かつ該粒状突起の
占有面積の総和が鋼板表面積の5〜80%であることを
特徴とする、加工密着性及び色調に優れたラミネート鋼
板である。
【0008】(2)本発明の鋼板は、鋼板の表面に、付
着量:70〜200mg/m2 の金属クロム層と、金属
クロム換算で付着量:10〜20mg/m2 のクロム水
和酸化物層と、ポリエステル系フィルムとを順に積層し
てなるラミネート鋼板において、前記金属クロム層に、
最大粒径50nm以下の粒状突起が形成されており、か
つ該粒状突起の占有面積の総和が鋼板表面積の20〜7
0%であることを特徴とする、加工密着性及び色調に優
れたラミネート鋼板である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の課題を解決
するために、ラミネート加工密着性及びラミネート色調
に及ぼすTFS表面の金属クロムの粒状突起の粒径及び
密度の影響を詳細に調査した結果、以下の知見を得るに
至った。
【0010】TFSの表面に金属クロムの粒状突起が存
在する場合、TFS最表層のクロム水和酸化物とラミネ
ートフィルムの密着界面の面積は増大するため密着性は
向上する。しかし同時にTFSの色調は明度及び色相と
もに劣化する。
【0011】図1に種々の粒径及び密度の粒状突起を有
するTFSに厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム
をラミネートしたラミネート鋼板の可視領域の分光反射
率曲線におよぼす影響を示す。
【0012】分光反射率の波長積分値は反射光の強度を
反映し、明度と密接な相関を持つ。すなわち、図1中に
おいて曲線が上に位置するほど明るい色調を呈する。ま
た、この曲線における480nm〜700nm間の10
nm間隔で測定した反射率−波長の勾配の平均値を10
00nmあたりの反射率差に補正した値を、特開平3−
193897号公報の定めるところに従いK値(%/1
000nm)と称する。K値はTFS表面色相を評価す
るのに有効な手段であり、この値が小さいほど、すなわ
ち図1中の曲線の勾配が急なほど、短波長側の反射が強
いため青っぽく知覚され、ラミネート鋼板の色相として
は良好である。逆にK値が大きい場合、赤みが強く感じ
られラミネート鋼板の色相としては好ましくない。
【0013】図1中では、粒状突起を全く持たない平板
状金属クロム(サンプルE)が最も明るくかつ青みが強
く良好な色調であることを示している。これに対し粒状
突起が存在する場合、平板状金属クロムの曲線に比べ、
反射率の低下が見られる。最も良好な曲線Eからの差は
A→B→C→Dの順に大きくなる。粒径50nmの突起
が高密度に存在するAは、短波長側で若干反射率が低下
しているのみで、曲線Eとほぼ同様のスペクトルを示
す。一方、B〜Dの粒径150nmの突起が存在する場
合、短波長から長波長の全波長領域で反射率が低下し明
度が下がっていることがわかる。また粒状突起の密度が
増すにつれ、短波長側の反射率が大きく低下し、相対的
に赤みが増す傾向が認められ色相的に好ましくなくな
る。
【0014】ラミネート後におけるTFSの分光反射曲
線の変化に及ぼす粒状突起の影響は粒状突起による光の
散乱によって説明される。平坦な面で可視光が反射する
場合、平面上に波長よりもはるかに小さい凹凸がある場
合、光は凹凸の影響を受けずに全反射するが、凹凸のサ
イズが大きくなり、波長のオーダーに近づくにつれ、入
射光は凹凸によって散乱され、反射率が低下するように
なる。従って可視光の表面散乱は凹凸が大きくなるにつ
れ、まず短波長光から散乱を受け、凹凸サイズが小さい
うちは長波長光の散乱は少ないが、凹凸のサイズが大き
くなるに従い、可視領域全体で表面散乱が起きるように
なる。TFSの場合、粒状突起の粒径が50nmの場
合、短波長域のみ反射率が低下し、150nmでは全可
視光域で反射率が低下したのはこの理由による。また、
粒状突起の密度が高くなるほど表面散乱が増すため反射
光率は低下し、明度の低下が著しい。しかしながら粒径
50nmのAの場合150nmのB〜Dよりも1桁多い
粒状突起が存在するにも関わらず明度の低下は極めて小
さく、色調は良好である。以上の理由から、TFSのラ
ミネート色調への悪影響が極めて小さい粒状突起の粒径
及び密度の範囲が存在することがわかる。本発明者らは
ラミネート色調に悪影響を及ぼさない粒径及び密度を綿
密に調査した結果、その範囲を限定することができた。
【0015】以上の知見に基づき、本発明者らは、鋼板
表面に施す金属クロム層とその上層のクロム水和酸化物
層の各々の付着量及び前記クロム層の粒状突起の最大粒
径と密度を一定範囲内に制御するようにして、加工密着
性及び色調ともに優れたラミネート鋼板を見出し、本発
明を完成させた。
【0016】すなわち、本発明は、ラミネート鋼板の皮
膜を下記範囲に限定することにより、ラミネート加工密
着性に優れ、同時に薄肉化加工2ピース缶用として十分
良好な表面色調を満足するラミネート鋼板を提供するこ
とができる。
【0017】以下に、本発明のラミネート鋼板の皮膜の
限定理由について説明する。 (1)ラミネート鋼板の皮膜 本発明のラミネート鋼板は、鋼板の表面に、付着量:7
0〜200mg/m2の金属クロム層と、金属クロム換
算で付着量:7〜25mg/m2 のクロム水和酸化物層
と、ポリエステル系フィルムとを順に形成してなる。前
記金属クロム層に、最大粒径50nm以下の粒状突起が
形成されており、かつ該粒状突起の占有面積の総和が鋼
板表面積の5〜80%である。金属クロム層の付着量が
70〜200mg/m2 である理由は、まず70mg/
2 未満では十分なラミネート加工密着性が得られない
ためであり、上限が200mg/m2 であるのは、これ
以上付着量を増やしてもラミネート加工密着性の向上が
見られず、徒に付着量を多くする必要がないためであ
る。
【0018】水和クロム酸化物付着量が金属クロム換算
で7〜25mg/m2 である理由は、7mg/m2 未満
の場合、いかに金属クロムの粒状突起を表層に配するこ
とにより密着面積を大きくしても、水和クロム酸化物の
絶対量が不足するため被覆性が下がり、ラミネートフィ
ルムとの密着性が不十分となるためである。より高い密
着性を安定して得るには水和クロム酸化物付着量は10
mg/m2 以上が望ましい。一方、水和酸化物が25m
g/m2 を上回ると、下地が粒状突起を有さない平板状
の金属クロムであっても、水和酸化物自身の持つ色によ
り茶色く色付き、色調が変化するからである。さらに、
より良好な色調を必要とするならば、水和クロム酸化物
付着量の上限は20mg/m2 であるのが望ましい。
【0019】表面に存在する金属クロムの粒状突起の粒
径をすべて50nm以下に限定した理由は、50nmを
上回る粒状突起が存在、もしくは混在する場合、色調は
最大粒径の表面散乱によって支配され、全波長領域で反
射光の減少が見られるためである。色調を平板状金属ク
ロム並に良好と知覚するためにはまず、粒状突起のすべ
ての粒径は50nmを上回らないことが必要である。ま
た、粒状突起の占有面積の総和を鋼板表面積の5〜80
%に限定した理由は、まず、5%未満では粒状突起の存
在による密着界面積の増大が小さいため密着性の改善が
認められないためである。従って、密着性の向上には粒
状突起の占有面積の総和は鋼板表面積の5%以上が必要
であり、望むべくは20%以上でさらに良好である。ま
た80%を上回る場合は、粒径が50nm以下であって
表面散乱が可視光の短波長領域のみに限定されるとは言
え、反射光量が不足し明度が低下するのと同時に青みが
不足することによる色相の劣化が無視できなくなるから
である。従って、良好な色調を得るには、粒状突起の占
有面積の総和は鋼板表面積の80%以下、望ましくは7
0%以下であることが必要である。
【0020】なお、粒状突起の粒径及び占有面積比(粒
状突起の占有面積の総和/鋼板表面積)の測定方法につ
いては、特に限定されるものではないが、鋼板表面の金
属クロム層にクロム水和酸化物を被覆した状態のサンプ
ル表面の10000倍の走査透過電子顕微鏡(TEM)
写真を撮影し、その写真から粒状突起の粒径や占有面積
比を測定することが望ましい(粒径測定が容易かつ観察
面積確保が可能なため)。実際にサンプルの粒状突起の
粒径や占有面積比を求めるに際しては、写真に撮影され
ている範囲(視野面積)の粒状突起の最大粒径(最大外
径)とし、占有面積比については、画像解析により求め
た粒の総面積と視野面積の比とする。
【0021】また、上記粒状突起の最大粒径及び占有面
積比の測定は、少なくとも300μm2 以上でないと粒
状突起の測定数が少なく適当な最大粒径及び占有面積比
が得られない。
【0022】なお、ここでいう粒状突起の形態について
は、一定していないので特に定義しないが、主に下地結
晶方位と同方向の単結晶粒が形成されるため、(10
0)面に依存する4回対称(4角形)や(111)面に
依存する6回対称(6角形)が多く見られる(めっき形
態に係る粒以外の突起は考慮に入れない。)。上記のラ
ミネート鋼板の皮膜に限定することにより、ラミネート
加工密着性に優れ、同時に薄肉化加工2ピース缶用とし
て十分良好な表面色調を満足するラミネート鋼板を得る
ことが可能となる。以下に本発明の実施例を挙げ本発明
の効果を立証する。
【0023】
【実施例】(供試材)すべての供試材(本発明例1〜6
及び比較例1〜8)は、低炭素Alキルド鋼で板厚0.
20mmのT4CA材を原板鋼帯として用い、縦型のT
FSラインによって、表1中に記載の様々な付着量、粒
径及び占有面積比(粒状突起の占有面積の総和/鋼板表
面積)の粒状突起を含む金属クロム層と、様々な付着量
のクロム水和酸化物とを析出させたTFSを製造し、そ
の後以下に示す条件でフィルムラミネートを行った。
【0024】フィルムラミネートは、一方の面に透明フ
ィルムを、もう一方の面に白色フィルムを用い、以下に
示した単一条件で行った。 a.透明フィルム面 フィルム材質:透明二軸配向ポリエステルフィルム(ポ
リエチレングリコールとテレフタル酸/イソフタル酸の
共重合体)、フィルム厚さ:25μm、フィルムの融
点:229℃、ラミネート直前鋼板温度:230℃、ラ
ミネート後残存二軸配向度:17〜19%。
【0025】b.白色フィルム面 フィルム材質:白色二軸配向ポリエステルフィルム(ポ
リエチレングリコールとテレフタル酸/イソフタル酸の
共重合体に平均粒径0.3μm酸化チタンを12重量%
添加したもの)、フィルム厚さ:10μm、フィルムの
融点:229℃、ラミネート直前鋼板温度:230℃、
ラミネート後残存二軸配向度:20〜24%。
【0026】上記の透明フィルム面,白色フィルム面と
もにラミネート速度は40m/分で行った。 (加工密着性評価)ラミネート鋼板より、ブランク径が
80mmの円板を打ち抜き、絞り加工を行った後にレト
ルト処理を行い、深絞りカップの内面のフィルムの剥離
程度をルーペで観察し、剥離無しを5、全面剥離を1と
し、5段階で評価した。なお、絞り加工及びその後のレ
トルト条件の組み合わせで以下に示す条件1〜2の2段
階の試験条件を設け、より過酷な加工度及びレトルト条
件下での密着性を調べた。
【0027】a.加工密着性試験条件(絞り加工及びレ
トルト条件) 条件1:絞り加工比=1.6,レトルト条件=110℃
×30分、条件2:絞り加工比=2.0,レトルト条件
=125℃×30分。
【0028】より加工度の厳しい条件2において評点4
以上のものを加工密着性良好と判定した。 (色調)ラミネート鋼板の白色フィルム面の明度をJI
S Z 8729において規定される10度視野の明度
指数L* 値に基づき5段階で評価した(評点が高いほど
良好)。
【0029】評点5:L* ≧83、評点4:83>L*
≧77、評点3:77>L* ≧70、評点2:70>L
* ≧60、評点1:60>L* 。また、K値を用いて色
相の評価を行う際、白色フィルムラミネート面では色相
の違いを数値化するのが困難であり、透明フィルムラミ
ネート面での色相で比較する方が優劣を付けやすい。ラ
ミネート後のTFSのK値を指標に色相の優劣を5段階
で評価した(評点が高いほど良好)。
【0030】評点5:−20≧K、評点4:−15≧K
>−20、評点3:−10≧K>−15、評点2:−5
≧K>−10、評点1:K>−5 上記加工密着性及び色調の評価結果も併せて表1に記載
する。
【0031】同表より、本発明例1〜6は、金属クロム
の粒状突起の粒径及び占有面積比(粒状突起の占有面積
の総和/鋼板表面積)、金属クロム及びクロム水和酸化
物付着量が本発明の範囲内であるラミネート鋼板であ
り、低加工度、高加工度のいずれの加工条件に対しても
ラミネートの剥離に対しては良好な水準にあり、かつ色
調にも問題を生じていない結果が得られている。特に、
本発明例1及び5の条件は本発明の請求項2に当てはま
り、高加工を経ても剥離は全く起こらず、密着性は極め
て良好であり、しかも色調の劣化は全く見られない。一
方、比較例1は粒状突起を持たない平板状の金属クロム
に、本発明における付着量上限のクロム水和酸化物を付
着させたラミネート鋼板である。色調は問題ないが、ラ
ミネート加工密着性に関しては高加工度の条件2におい
て剥離を起こし、不十分である。比較例2,3は粒状突
起の粒径が本発明の範囲を越えて大きいため、色調の劣
化が見られる。比較例4は本発明範囲上限の粒径及び占
有面積比を持つが、クロム水和酸化物の絶対量が不足し
ているため加工密着性が劣る。比較例5は粒状突起の占
有面積比が小さく、加工密着性の向上が不十分である。
比較例6は逆に占有面積比が大きく色調の劣化が見られ
る例である。比較例7は粒径、占有面積比は本発明の範
囲であるが、クロム水和酸化物の付着量が多すぎるた
め、加工密着性は良好であるが色調が悪い。比較例8は
金属クロム付着量の本発明における下限を下回った例で
あり、加工密着性が不十分である。
【0032】以上のように本発明に係る金属クロムの粒
状突起の粒径及び占有面積比の範囲内にあさめ、かつ金
属クロム及びクロム水和酸化物の付着量を限定すること
により、ラミネート加工密着性及びラミネート色調とも
に優れた電解クロメート処理鋼板を提供できることが確
認された。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればラ
ミネート鋼板の皮膜を特定することにより、ラミネート
密着性及びラミネート色調がともに優れるラミネート鋼
板を提供でき、薄肉化加工2ピース缶の加工度の増大に
対応でき、また、レトルト処理を要する内容物に適応可
能となるため、その経済的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明フィルムラミネート鋼板の分光反射曲線に
及ぼす金属クロム粒状突起の影響を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−241865(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 B21D 22/20 B65D 1/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面に、付着量:70〜200m
    g/m2 の金属クロム層と、金属クロム換算で付着量:
    7〜25mg/m2 のクロム水和酸化物層と、ポリエス
    テル系フィルムとを順に積層してなるラミネート鋼板に
    おいて、 前記金属クロム層に、最大粒径50nm以下の粒状突起
    が形成されており、かつ該粒状突起の占有面積の総和が
    鋼板表面積の5〜80%であることを特徴とする、加工
    密着性及び色調に優れたラミネート鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板の表面に、付着量:70〜200m
    g/m2 の金属クロム層と、金属クロム換算で付着量:
    10〜20mg/m2 のクロム水和酸化物層と、ポリエ
    ステル系フィルムとを順に積層してなるラミネート鋼板
    において、 前記金属クロム層に、最大粒径50nm以下の粒状突起
    が形成されており、かつ該粒状突起の占有面積の総和が
    鋼板表面積の20〜70%であることを特徴とする、加
    工密着性及び色調に優れたラミネート鋼板。
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