JP3517949B2 - 複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法 - Google Patents

複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複合金属シアン化合物錯
体触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルキレンオキシドなどのモノエ
ポキシドを開環重合反応させる触媒として複合金属シア
ン化物錯体が知られている(US3278457,US
3278458,US3278459)。このとき用い
られる複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法はUS3
427256,US3941849,US447256
0,US4477589明細書などに提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】複合金属シアン化物錯
体触媒の製造方法においては、ハロゲン化金属塩水溶液
にアルカリ金属シアノメタレート水溶液を滴下すること
により複合金属シアン化物を合成し、次に水溶性有機配
位子を滴下して複合金属シアン化物錯体触媒を製造して
いるが、この方法では、触媒配位子として水溶性有機配
位子しか用いることができない。このため、使用できる
配位子が限定され、特徴のある複合金属シアン化物錯体
触媒が合成できないという欠点を有している。さらに、
この錯体触媒はその結晶形態により難濾過性を示すとい
う欠点も有している。
【0004】複合金属シアン化物錯体触媒のモノエポキ
シドを開環重合反応させる機構は必ずしも明確になって
いないが、複合金属シアン化物の有機配位子の種類およ
び配位状態が触媒の活性、触媒の寿命、重合反応生成物
の分子量分布に大きな影響を与えと考えられており、
水溶性の有機配位子以外の物質を配位させる方法が要望
されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の問題点を
解決すべくなされたものであり、ハロゲン化金属塩水溶
液とアルカリ金属シアノメタレート水溶液とを反応させ
て得られる反応生成物を難水溶性有機配位子中で熟成さ
せた後、相分離により水相除去を行い、次いで得られた
複合金属シアン化物錯体触媒を含んだ有機相を乾燥させ
ることを特徴とする複合金属シアン化物錯体触媒の製
造方法を提供する。
【0006】本発明に用いられるハロゲン化金属塩の金
属として、Zn(II)、Fe(II)、Fe(II
I)、Co(II)、Ni(II)、Mo(IV)、M
o(VI)、Al(III)、V(V)、Sr(I
I)、W(IV)、W(VI)、Mn(II)、Cr
(III)、Cu(II)、Sn(II)、およびPb
(II)から選ばれる少なくとも1種が好ましい。特に
Zn(II)またはFe(II)が好ましい。
【0007】アルカリ金属シアノメタレートのメタレー
ト部金属として、Fe(II)、Fe(III)、C
o(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(I
II)、Mn(II)、Mn(III)、Ni(I
I)、V(IV)、およびV(V)から選ばれる少なく
とも1種が好ましい。特にCo(III)またはFe
(III)が好ましい。
【0008】難水溶性有機配位子として、20℃にお
ける100gの水に対する溶解度が20g以下である、
エーテル、エステル、アルコール、アルデヒド、ケト
ン、アミド、ニトリル、およびスルフィドから選ばれる
少なくとも1種が好ましい。そのなかでもエーテルまた
はアルコールが好ましく、特に炭素数4以上のエーテル
またはアルコールが好ましい。ただし、tert−ブ
ルアルコールは水溶性であるので、好ましくない。具体
的には、イソプロピルエーテル、n−ブチルアルコ
、sec−ブチルアルコール、n−アミルアルコール
およびtert−アミルアルコールなどが挙げられる。
特に好ましくは、sec−ブチルアルコール、n−アミ
ルアルコールまたはtert−アミルアルコールであ
る。
【0009】ハロゲン化金属塩水溶液濃度は、0.1g
/cc以上、特には0.5g/cc以上、飽和濃度以下
好ましい。指定濃度以下の濃度領域においては複合金
属シアン化物錯体触媒に過剰のハロゲン化金属塩が取り
込まれずに触媒が合成され活性に不利になる。また飽和
濃度以上で行うと溶液混合が不均一になりやはり触媒
活性に不利な条件となる。
【0010】アルカリ金属シアノメタレート水溶液濃度
は、0.5g/cc以下、好ましくは0.02〜0.2
g/ccで用いる。指定濃度以上の条件で行うとハロゲ
ン化金属塩水溶液に滴下した場所が部分的にアルカリ金
属シアノメタレート過剰領域となり上記のハロゲン化金
属塩の濃度が低いときと同等の効果を生じ活性が低下す
る。また低濃度の条件で行うと複合金属シアン化物錯体
触媒に取り込ませたハロゲン化金属塩が水中に溶解する
ため活性に不利となる。
【0011】ハロゲン化金属塩水溶液とアルカリ金属シ
アノメタレート水溶液とを滴下する反応温度は0℃以上
70℃未満とすることが好ましく、特に30℃以上50
℃未満が好ましい。高温で反応を行うとハロゲン化金属
塩を含まない結晶性の高い複合金属シアン化物錯体触媒
が合成され、更に有機溶媒が配位できなくなり触媒活性
が生じない。また低温においては複合金属シアン化物錯
体触媒の合成反応が不充分となりやはり触媒活性に不
利な条件となる。
【0012】上記反応溶液中に有機溶媒を滴下し撹拌、
熟成させる熟成温度は反応温度以上125℃未満とする
ことが好ましく、特に30℃以上80℃以下が好まし
い。得られたスラリーから相分離により水相を除去す
る。さらに必要であれば複合金属シアン化物錯体触媒を
含んだ有機相に水および/または難水溶性有機配位子を
添加、洗浄し、さらに相分離を行い水相除去を行う操作
を1回以上行う。
【0013】得られた複合金属シアン化物錯体触媒有機
相を含んだ有機相を乾燥させて、目的の複合金属シアン
化物錯体触媒を得る。乾燥は加熱による乾燥方法、真空
状態での乾燥方法、または難揮発性液体と混合後揮発性
水分および有機配位子を除去する方法などで行い、0℃
以上300℃以下で行うことが好ましい。
【0014】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定さ
れない。
【0015】[実施例1] 塩化亜鉛10gを含んだ15ccの水溶液中にシアン酸
コバルトカリウム2gを含んだ90ccの水溶液を35
℃に保温しつつ30分間かけて滴下した。滴下終了後t
ert−アミルアルコールを80cc、水を120cc
添加し、70℃に昇温させた。1時間撹拌後2相分離に
より水相を除去した。この複合金属シアン化物錯体触媒
有機相を含んだ有機相を真空中で200℃で1時間乾燥
し、粉砕を行い、tert−アミルアルコール配位複合
金属シアン化物錯体触媒を得た。
【0016】[実施例2] 塩化亜鉛20gを含んだ15ccの水溶液中にシアン酸
コバルトカリウム3.24gを含んだ75ccの水溶液
を50℃に保温しつつ10分間かけて滴下した。滴下終
了後sec−ブチルアルコールを80cc添加し、8時
間撹拌後2相分離により水相を除去した。さらに、この
複合金属シアン化物錯体触媒有機相を含んだ有機相中に
水150ccを添加撹拌後、2相分離により水相を除去
した。この複合金属シアン化物錯体触媒有機相を含んだ
有機相を真空中で20℃で5時間乾燥し、粉砕を行い、
ec−ブチルアルコール配位複合金属シアン化物錯体
触媒を得た。
【0017】[比較例1] 塩化亜鉛10gを含んだ10ccの水溶液中にシアン酸
コバルトカリウム4.17gを含んだ75ccの水溶液
と50%のジエチレングリコールジメチルエーテル水溶
液100ccを反応温度35℃の条件下で添加、反応さ
せた。次に、この溶液を瀘過し、濾塊を得た。この濾塊
を30%ジエチレングリコールジメチルエーテル水溶液
で洗浄した後更に濾過をして濾塊を得、ついでジエチレ
ングリコールジメチルエーテル水溶液で洗浄し瀘過、乾
燥、粉砕を行い複合金属シアン化物錯体触媒を得た。
【0018】[比較例2] 塩化亜鉛とシアン酸コバルトカリウム水溶液とプロピル
アルコールにより複合金属シアン化物錯体触媒を合成
べく反応熟成液を濾過しようとしたが、難濾過性のため
濾過不能であり触媒の合成は不可能であった。
【0019】上記実施例1、実施例2および比較例1の
複合金属シアン化物錯体触媒を示差熱分析により分析し
た結果、実施例1および実施例2には、tert−アミ
ルアルコールおよびsec−ブチルアルコールが、比較
例1には、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、
各々配位していることが確認された。
【0020】
【発明の効果】本発明は、従来困難であった難水溶性で
ある有機配位子の配位した複合金属シアン化物錯体触媒
の製造方法であり、これにより、配位子に特徴のある複
合金属シアン化物錯体触媒が得られる。さらに、濾過操
作が不要となるため、難濾過性である複合金属シアン化
物錯体触媒の製造にとって有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−284850(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 37/36 C08G 65/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロゲン化金属塩水溶液とアルカリ金属シ
    アノメタレート水溶液とを反応させて得られる反応生成
    物を難水溶性有機配位子中で熟成させた後、相分離によ
    り水相除去を行い、次いで得られた複合金属シアン化物
    錯体触媒を含んだ有機相を乾燥させることを特徴とす
    複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
  2. 【請求項2】ロゲン化金属塩水溶液とアルカリ金属シ
    アノメタレート水溶液とを反応させて得られる反応生成
    物を難水溶性有機配位子中で熟成させた後、相分離によ
    り水相除去を行い、さらに複合金属シアン化物錯体触媒
    を含んだ有機相に水および/または難水溶性有機配位子
    を添加、洗浄し、相分離を行い水相除去を行う操作を1
    回以上行い、次いで得られた複合金属シアン化物錯体触
    媒を含んだ有機相を乾燥させることを特徴とする複合
    金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】難水溶性有機配位子が、20℃における1
    00gの水に対する溶解度が20g以下である、エーテ
    ル、エステル、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミ
    ド、ニトリル、およびスルフィドから選ばれる少なくと
    も1種である、請求項1または2に記載の複合金属シア
    ン化物錯体触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】難水溶性有機配位子が、炭素数4以上のア
    ルコール(tert−ブチルアルコールは除く)から選
    ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の複合金
    属シアン化物錯体触媒の製造方法。
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