JP3516812B2 - アクリル系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

アクリル系ブロック共重合体の製造方法

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JP3516812B2 JP19547896A JP19547896A JP3516812B2 JP 3516812 B2 JP3516812 B2 JP 3516812B2 JP 19547896 A JP19547896 A JP 19547896A JP 19547896 A JP19547896 A JP 19547896A JP 3516812 B2 JP3516812 B2 JP 3516812B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリメタクリル酸
アルキルエステルブロックとポリアクリル酸アルキルエ
ステルブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6−93060号公報には、有機
希土類金属化合物を重合開始剤として用いて、メタクリ
ル酸アルキルエステルから誘導された少なくとも2個の
シンジオタクチック重合体ブロックとアクリル酸アルキ
ルエステルから誘導された少なくとも1個のアタクチッ
ク重合体ブロックとを有するアクリル系ブロック共重合
体を製造する方法が提案され、該アクリル系ブロック共
重合体が耐熱性と耐衝撃性ないしエラストマー的性質に
優れていることが記載されている。
【0003】上記公開特許公報の記載によれば、有機希
土類金属化合物を重合開始剤として用いて、−100℃
〜+100℃の温度で、まずメタクリル酸アルキルエス
テルの重合を行い、引き続いてアクリル酸アルキルエス
テルの重合およびメタクリル酸アルキルエステルの重合
を交互に1回以上行うことによって、上記のアクリル系
ブロック共重合体が製造されるとされている。該公報に
は、その製造方法の具体例として、0℃で、メタクリル
酸メチルの重合、アクリル酸n−ブチルの重合およびメ
タクリル酸メチルの重合を順次行うことによって、ポリ
アクリル酸n−ブチル(PnBA)ブロックの両末端に
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロックが結合し
た形(PMMA−PnBA−PMMA)の3元ブロック
共重合体を製造した例が記載されている。そして、この
具体的製造例によれば、重合終了後、再沈殿法で分離す
ることによって、所望の3元ブロック共重合体を39.
5%または74%の収率で得ている。また、該公報に
は、具体的製造例について、再沈殿によって、所望の3
元ブロック共重合体以外に、2度目のメタクリル酸メチ
ルの重合を行う前のPMMA−PnBAの2元ブロック
共重合体が分離回収されたことが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のとおり、特開平
6−93060号公報に記載された具体的製造例では、
PMMA−PnBA−PMMAの3元ブロック共重合体
の収率が39.5%または74%であり、PMMA−P
nBAの2元ブロック共重合体が副生している。これら
の記載事項から明らかなように、該公開特許公報に記載
された方法では、アクリル酸アルキルエステルの重合工
程によって生成した中間体ポリマーが、アクリル酸アル
キルエステルブロックの活性アニオン末端が失活した
(重合開始能を失った)重合体分子を少なくない割合で
含有するため、所望のアクリル系ブロック共重合体の収
率が低くなってしまう。
【0005】また、重合途中で失活した重合体が所望の
アクリル系ブロック共重合体中に混入すると、該アクリ
ル系ブロック共重合体本来の特性(耐衝撃性、力学特
性、熱可塑性エラストマー的特徴)が低下するので、こ
の点からも、重合途中での失活を抑制することによっ
て、アクリル系ブロック共重合体を所望の構造および分
子量に制御しながら製造できることが望まれる。
【0006】本発明の目的は、有機希土類金属化合物を
重合開始剤として用いて、メタクリル酸アルキルエステ
ルから誘導された少なくとも2個のシンジオタクチック
重合体ブロックとアクリル酸アルキルエステルから誘導
された少なくとも1個のアタクチック重合体ブロックと
を有するアクリル系ブロック共重合体の製造方法におい
て、該アクリル系ブロック共重合体を、所望の構造およ
び分子量に制御しながら、収率よく、しかも比較的短い
時間で製造することが可能な方法を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討を行った結果、有機希土類金属化
合物を重合開始剤として用いてアクリル系ブロック共重
合体を製造するに際し、アクリル酸アルキルエステルの
重合を特定の温度で行うことにより、重合途中での失活
が抑制され、その結果、アクリル系ブロック共重合体が
収率よく、かつ比較的短い時間で製造され、しかも、原
料モノマーの仕込み条件によって化学構造が制御可能で
あり、かつ分子量分布も狭いため、得られるアクリル系
ブロック共重合体の再現性にも優れることを見い出し
た。
【0008】本発明によれば、上記の目的は、有機希土
類金属化合物を重合開始剤として用いて、メタクリル酸
アルキルエステルの重合とアクリル酸アルキルエステル
の重合とを交互に行うことによって、該メタクリル酸ア
ルキルエステルから誘導された少なくとも2個のシンジ
オタクチック重合体ブロックと該アクリル酸アルキルエ
ステルから誘導された少なくとも1個のアタクチック重
合体ブロックとを有するアクリル系ブロック共重合体を
製造するに際し、該アクリル酸アルキルエステルの重合
を−100℃〜−5℃の範囲内の温度で行うことを特徴
とするアクリル系ブロック共重合体の製造方法を提供す
ることによって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いる有機希土類
金属化合物は、必ずしも限定されるものではないが、例
えば、下記の一般式(I)または(II)で示される。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】[各式中、R1、R2、R3、R4、R5
6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ、水素原
子、炭素数1〜5の1価の炭化水素基もしくは炭素数1
〜5のアルキルシリル基を表すか、または隣接する2者
が一緒になって炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表
し;Mはスカンジウム原子、イットリウム原子またはラ
ンタノイド原子を表し;Aは水素原子またはケイ素原子
を含有していてもよい炭素数1〜10の1価の炭化水素
基を表し;Bは炭素数1〜3のアルキレン基または炭素
数1〜3のアルキルシリレン基を表し;Dは溶媒分子を
表し;mは0または1を表し;nは0〜3の範囲内の整
数を表す。]
【0013】なお、上記一般式(I)または(II)中の
Mが表すスカンジウム原子(Sc)、イットリウム原子
(Y)またはランタノイド原子(La、Ce、Pr、N
d、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、YbまたはLu)のうち、サマリウム原子
(Sm)、ユウロピウム原子(Eu)およびイッテルビ
ウム原子(Yb)は2価の希土類金属原子および3価の
希土類金属原子の両方に属し、他の金属原子は3価の希
土類金属原子に属する。Mが2価の希土類金属原子であ
る場合、上記一般式中のmは0であり、Mが3価の希土
類金属原子である場合、mは1である。
【0014】前記の一般式(I)または(II)で示され
る有機希土類金属化合物の代表例としては、次の化合物
を挙げることができる。
【0015】(1)2価の希土類金属原子を含む有機希
土類金属化合物の代表例:ビス(シクロペンタジエニ
ル)サマリウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエ
ニル)サマリウム、ジメチルシリレンビス[2,4−ビ
ス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル]サマリ
ウム、ジメチルシリレンビス(2−トリメチルシリル−
4−t−ブチルシクロペンタジエニル)サマリウム、ビ
ス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ユウロピウ
ム、ビス(シクロペンタジエニル)イッテルビウム、ビ
ス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イッテルビウ
ム、ジメチルシリレンビス[2,4−ビス(トリメチル
シリル)シクロペンタジエニル]イッテルビウム、ジメ
チルシリレンビス(2−トリメチルシリル−4−t−ブ
チルシクロペンタジエニル)イッテルビウム、前記化合
物のエーテラートまたはテトラヒドロフラネート等。
【0016】(2)3価の希土類金属原子を含む有機希
土類金属化合物の代表例:ビス(ペンタメチルシクロペ
ンタジエニル)スカンジウムハイドライド、ビス(ペン
タメチルシクロペンタジエニル)スカンジウムメチル、
ビス(シクロペンタジエニル)イットリウムハイドライ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)イットリウムメチ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)イットリウムビス
(トリメチルシリル)メチル、ビス(ペンタメチルシク
ロペンタジエニル)イットリウムハイドライド、ビス
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イットリウムメ
チル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イッ
トリウムビス(トリメチルシリル)メチル、ビス(シク
ロペンタジエニル)ランタンハイドライド、ビス(シク
ロペンタジエニル)ランタンメチル、ビス(シクロペン
タジエニル)ランタンビス(トリメチルシリル)メチ
ル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ランタ
ンハイドライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエ
ニル)ランタンメチル、ビス(ペンタメチルシクロペン
タジエニル)ランタンビス(トリメチルシリル)メチ
ル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)セリウ
ムメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ネオジウムメチル、ビス(シクロペンタジエニル)サマ
リウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)サ
マリウムメチル、ビス(シクロペンタジエニル)サマリ
ウムビス(トリメチルシリル)メチル、ビス(ペンタメ
チルシクロペンタジエニル)サマリウムハイドライド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム
メチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サ
マリウムエチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエ
ニル)サマリウムブチル、ビス(ペンタメチルシクロペ
ンタジエニル)サマリウムビス(トリメチルシリル)メ
チル、ビス[1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロ
ペンタジエニル]サマリウムメチル、ビス(1,3−ジ
−t−ブチルシクロペンタジエニル)サマリウムメチ
ル、ジメチルシリレンビス[2,4−ビス(トリメチル
シリル)シクロペンタジエニル]サマリウムメチル、ジ
メチルシリレンビス(2−トリメチルシリル−4−t−
ブチルシクロペンタジエニル)サマリウムメチル、ビス
(シクロペンタジエニル)ユウロピウムハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ユウロピウムメチル、ビ
ス(シクロペンタジエニル)ユウロピウムビス(トリメ
チルシリル)メチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル)ユウロピウムハイドライド、ビス(ペンタメ
チルシクロペンタジエニル)ユウロピウムメチル、ビス
(シクロペンタジエニル)イッテルビウムハイドライ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)イッテルビウムメチ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)イッテルビウムビス
(トリメチルシリル)メチル、ビス(ペンタメチルシク
ロペンタジエニル)イッテルビウムハイドライド、ビス
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イッテルビウム
メチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イ
ッテルビウムビス(トリメチルシリル)メチル、ビス
[1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエ
ニル]イッテルビウムメチル、ビス(1,3−ジ−t−
ブチルシクロペンタジエニル)イッテルビウムメチル、
ジメチルシリレンビス[2,4−ビス(トリメチルシリ
ル)シクロペンタジエニル]イッテルビウムメチル、ジ
メチルシリレンビス(2−トリメチルシリル−4−t−
ブチルシクロペンタジエニル)イッテルビウムメチル、
ビス(シクロペンタジエニル)ルテチウムハイドライ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ルテチウムメチル、
ビス(シクロペンタジエニル)ルテチウムビス(トリメ
チルシリル)メチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル)ルテチウムハイドライド、ビス(ペンタメチ
ルシクロペンタジエニル)ルテチウムメチル、ビス(ペ
ンタメチルシクロペンタジエニル)ルテチウムビス(ト
リメチルシリル)メチル、ビス[1,3−ビス(トリメ
チルシリル)シクロペンタジエニル]ルテチウムメチ
ル、ビス(1,3−ジ−t−ブチルシクロペンタジエニ
ル)ルテチウムメチル、ジメチルシリレンビス[2,4
−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル]ル
テチウムメチル、ジメチルシリレンビス(2−トリメチ
ルシリル−4−t−ブチルシクロペンタジエニル)ルテ
チウムメチル、前記化合物のエーテラートまたはテトラ
ヒドロフラネート等。
【0017】前記の有機希土類金属化合物の中でも、一
般式(I)においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R
7、R8、R9およびR10がそれぞれメチル基である場合
の有機希土類金属化合物(すなわち、ペンタメチルシク
ロペンタジエニル基を配位子として有する有機希土類金
属化合物)が好ましい。
【0018】上記の有機希土類金属化合物は、例えば、
ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエ
ティー(J.Am.Chem.Soc.)第110巻、
第976頁(1988年);同第107巻、第8103
頁(1985年);同第107巻、第8091頁(19
85年);同第105巻、第1401頁(1983年)
等に記載された公知の方法に従って合成することができ
るが、合成方法は必ずしも限定されるものではない。な
お、合成方法によっては、有機希土類金属化合物中に、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ト
リイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物
が不純物として含有されることがあるが、その含有率が
有機希土類金属化合物を基準として10倍モル以下程度
の低いものであれば、本発明に従う重合反応を支障なく
行うことができる。
【0019】本発明においては、メタクリル酸アルキル
エステルとして、例えば、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル
酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリ
ル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イ
ソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ペ
ンタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル
酸ラウリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸ビニル
等の1種以上を使用することができるが、上記例示のも
のに限定されるものではない。ただし、耐熱性、剛性等
において特に優れたアクリル系ブロック共重合体を得る
目的においては、メタクリル酸アルキルエステルとし
て、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル等の、
メタクリル酸と炭素数3以下のアルコールとのエステル
を主成分として使用することが好ましい。
【0020】本発明においては、アクリル酸アルキルエ
ステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロ
ピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、ア
クリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n
−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル
酸ラウリル、アクリル酸アリル、アクリル酸ビニル等の
1種以上を使用することができるが、上記例示のものに
限定されるものではない。
【0021】本発明に従う、前記有機希土類金属化合物
を重合開始剤として用いた重合反応は、不活性ガスの雰
囲気下、有機溶媒中、メタクリル酸アルキルエステルと
アクリル酸アルキルエステルを所定量ずつ交互に添加し
ながら段階的に行うことが好ましい。
【0022】有機希土類金属化合物の使用量は、必ずし
も限定されるものではないが、使用するモノマーを基準
として1×10-4〜1×10-2倍モルの範囲内となる割
合が好ましい。
【0023】重合に使用するメタクリル酸アルキルエス
テルおよびアクリル酸アルキルエステルは、予め、水素
化カルシウム、モレキュラーシーブス等の脱水・乾燥剤
を用いて不活性気流下で十分に乾燥処理しておくことが
好ましい。
【0024】重合反応の雰囲気として好ましい不活性ガ
スとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げること
ができ、特に好ましくはアルゴンである。
【0025】上記の有機溶媒としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;クロロホ
ルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水
素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の
エーテル系溶媒などを、単独で、または組み合わせて使
用するのが好ましい。使用する有機溶媒は、予め、脱
気、脱水精製しておくことが好ましい。有機溶媒の使用
量としては、必ずしも限定されるものではないが、使用
するモノマーを基準として2〜20倍重量の範囲内とな
る割合が好ましい。もっとも、本発明に従う重合反応
は、溶媒の不存在下で行うことも可能である。
【0026】2価の希土類金属原子を含む有機希土類金
属化合物を重合開始剤として用いる場合には、重合反応
操作は、アクリル酸アルキルエステルの重合を行う第1
段階の重合工程およびメタクリル酸アルキルエステルの
重合を行う第2段階の重合工程を含む2段階以上の重合
工程からなる。第1段階の重合工程で、活性アニオン末
端を主鎖両端に有するポリアクリル酸アルキルエステル
のリビングポリマーが生成し、続く第2段階の重合工程
で、活性アニオン末端を主鎖両端に有するポリメタクリ
ル酸アルキルエステル−ポリアクリル酸アルキルエステ
ル−ポリメタクリル酸アルキルエステルの3元ブロック
のリビングポリマーが生成する。5元以上のブロック共
重合体を製造する場合には、所望に応じて、さらにアク
リル酸アルキルエステルの重合およびメタクリル酸アル
キルエステルの重合を交互に行えばよい。
【0027】3価の希土類金属原子を含む有機希土類金
属化合物を重合開始剤として用いる場合には、重合反応
操作は、メタクリル酸アルキルエステルの重合を行う第
1段階の重合工程、アクリル酸アルキルエステルの重合
を行う第2段階の重合工程およびメタクリル酸アルキル
エステルの重合を行う第3段階の重合工程を含む3段階
以上の重合工程からなる。第1段階の重合工程で、活性
アニオン末端を主鎖片末端に有するポリメタクリル酸ア
ルキルエステルのリビングポリマーが生成し、第2段階
の重合工程で、活性アニオン末端をポリアクリル酸アル
キルエステルブロックの片末端に有するポリメタクリル
酸アルキルエステル−ポリアクリル酸アルキルエステル
の2元ブロックのリビングポリマーが生成し、続く第3
段階の重合工程で、活性アニオン末端を一方のポリメタ
クリル酸アルキルエステルブロックの片末端に有するポ
リメタクリル酸アルキルエステル−ポリアクリル酸アル
キルエステル−ポリメタクリル酸アルキルエステルの3
元ブロックのリビングポリマーが生成する。4元以上の
ブロック共重合体を製造する場合には、所望に応じて、
さらにアクリル酸アルキルエステルの重合およびメタク
リル酸アルキルエステルの重合を交互に行えばよい。
【0028】本発明に従う重合反応ではアクリル酸アル
キルエステルの重合温度を−100℃〜−5℃の範囲内
の温度に設定することが重要である。該重合温度が−5
℃より高い場合には、アクリル酸アルキルエステルの重
合反応によって形成されたポリアクリル酸アルキルエス
テル部分の末端の活性が失われやすく、次にメタクリル
酸アルキルエステルを添加してもそれ以上重合反応が進
まない重合体分子の割合が高くなるため、最終的には、
所望のアクリル系ブロック共重合体の収率の低下に繋が
り、さらに所望のアクリル系ブロック共重合体中への副
生重合体の混入による物性低下にも繋がる。これらのこ
とは、所望のアクリル系ブロック共重合体を、モノマー
の仕込み条件によって制御することが困難であることを
意味する。また、副生重合体が混入していないアクリル
系ブロック共重合体を取得する場合には、煩雑な分離処
理が必要となる。一方、該重合温度が−100℃より低
い場合には、重合速度が低くなり重合に長時間を要する
ために、実用性に欠ける。
【0029】上記のようなポリアクリル酸アルキルエス
テル部分の末端の失活の抑制の効果および重合速度の低
下の防止の効果が特にバランスよく両立される点におい
て、アクリル酸アルキルエステルの重合温度を−95℃
〜−55℃の範囲内の温度に設定することが好ましい。
【0030】一方、メタクリル酸アルキルエステルの重
合については、採用可能な重合温度範囲はより広いが、
ポリメタクリル酸アルキルエステル部分の末端の活性の
高さおよび重合速度の高さの両面を考慮すれば、好まし
くは−100℃〜+50℃の範囲内の温度であり、特に
好ましくは−70℃〜+20℃の範囲内の温度である。
【0031】以上のように、アクリル酸アルキルエステ
ルの重合温度とメタクリル酸アルキルエステルの重合温
度とは、それぞれ独立に設定することができるが、両者
の重合温度の差が大きいと、所定の温度に調節するため
に長い時間を要することになる。したがって、メタクリ
ル酸アルキルエステルの重合を−70℃〜+20℃の範
囲の温度で行い、アクリル酸アルキルエステルの重合を
該メタクリル酸アルキルエステルの重合より低い温度で
行い、かつ該メタクリル酸アルキルエステルの重合と該
アクリル酸アルキルエステルの重合との間の温度差を2
0℃〜80℃の範囲内となるような条件を採用すること
が、アクリル酸アルキルエステルの重合とメタクリル酸
アルキルエステルの重合の両方における反応速度が高め
られることから好ましい。
【0032】重合反応系は、反応系が均一になるよう
に、十分な攪拌条件下におくことが好ましい。各重合工
程における重合時間は、適宜選択することができるが、
短すぎると未反応モノマーの割合が多くなり、逆に長す
ぎると形成されたリビング活性末端が失活しやすくなる
ので、モノマーの転化率が90%以上となり、かつリビ
ング活性末端をあまり失活させないような時間とするこ
とが好ましい。各重合工程における好ましい重合時間
は、重合温度等の重合条件に応じて必ずしも一様ではな
いが、一般には、0.1時間〜5時間の範囲内で選択さ
れる。
【0033】所定のメタクリル酸アルキルエステルおよ
びアクリル酸アルキルエステルの重合を全て終えた際、
反応混合物にメタノール等のプロトン性化合物を添加す
ることにより重合を停止させることができる。プロトン
性化合物の使用量としては、特に限定されるものではな
いが、重合開始剤として使用した有機希土類金属化合物
を基準として1〜100倍モルの範囲内となる割合が好
ましい。なお、所定のメタクリル酸アルキルエステルお
よびアクリル酸アルキルエステルの重合を全て終えた
際、重合を停止させる前に、反応混合物にε−カプロラ
クトン、バレロラクトン等のラクトン類を添加してもよ
い。その場合、アクリル系ブロック共重合体のリビング
活性末端が活用されて、そこでラクトン類の重合がさら
に起こるので、末端に水酸基が形成される。
【0034】重合停止後、反応混合物からのアクリル系
ブロック共重合体の取り出しは、反応混合物を貧溶媒に
注ぐことからなる再沈殿法、反応混合物から溶媒を留去
することからなる凝固法等の公知の任意の方法により行
うことができる。本発明に従う重合方法によれば、所望
のアクリル系ブロック共重合体(すなわち、メタクリル
酸エステルとアクリル酸エステルの添加回数の和と同一
のブロック数を有する多元ブロック共重合体)が選択率
よく生成するため、目的とするアクリル系ブロック共重
合体と副生重合体との分離は必ずしも必要ではないが、
所望により、重合体の溶媒への溶解度差を利用した溶媒
分別法などの方法によって分離することができる。
【0035】また、反応混合物から取り出したアクリル
系ブロック共重合体に、重合開始剤として用いた有機希
土類金属化合物に由来する希土類金属成分が残存してい
ると、それから作製した成形品がアクリル系ブロック共
重合体本来の特性を十分には発揮できない場合があるの
で、必要に応じて、重合停止後の反応混合物に対して、
酸性水溶液による洗浄、メタノール中での再沈殿、イオ
ン交換樹脂での処理などの任意の処理を施すことによっ
て、希土類金属成分の除去を行ってもよい。
【0036】本発明の方法によれば、所望のアクリル系
ブロック共重合体を、一般には80%以上の収率で製造
することができ、多くの場合、90%以上の収率で製造
することができる。なお、本発明の方法によって得られ
るアクリル系ブロック共重合体は、各種の成形品の素材
などとして有用である。
【0037】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0038】[実施例1] (1)メタクリル酸メチルの重合 アルゴンで置換した内容積1000mlのフラスコ内
に、ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得
たトルエン500mlと、3価の希土類金属原子を含む
有機希土類金属化合物であるビス(ペンタメチルシクロ
ペンタジエニル)サマリウムメチル・テトラヒドロフラ
ナート錯体〔(C5Me52SmMe(THF)〕1.0
2g(2.0mmol)の乾燥トルエン溶液100ml
を加えた。これに、0℃でメタクリル酸メチル(MM
A)を16.0ml(150mmol)加え、0℃で3
0分間攪拌した。系中から20mlの試料を抜き出し、
メタノール300ml中に注いで析出した白色沈殿物
[ポリメタクリル酸メチル(PMMA)]を取り出し、
減圧乾燥したところ収量は0.48g(収率98%)で
あった。また、この時の濾液(メタノール溶液)をガス
クロマトグラフィー(以下、GCで表す)で測定したと
ころ、痕跡量のMMAしか検出できず、MMAの転化率
は98%以上であることが判明した。得られたPMMA
をテトラヒドロフラン(THF)の溶液にしてゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCで表
す)で測定したところ、数平均分子量(Mn)は760
0、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量比;M
w/Mn)は1.08であった。さらに、このPMMA
1H−NMRで分析したところ、シンジオタクチシチ
ーはトライアッド(rr)で83.6%であった。
【0039】(2)アクリル酸n−ブチルの重合 上記のMMAの重合後、重合反応系を−78℃まで冷却
し、第2番目のモノマーとしてアクリル酸n−ブチル
(nBA)66.6ml(0.47mol)を加え、−7
8℃で3時間攪拌を行った。系中から20mlの試料を
抜き出し、ヘキサン300ml中に注いで析出した析出
物を取り出し、減圧乾燥したところ、収量は2.20g
(収率98%)であった。また、この時の濾液(ヘキサ
ン溶液)をGCで測定したところ、痕跡量のnBAしか
検出できず、nBAの転化率は98%以上であることが
判明した。得られた析出物をTHF溶液にしてGPCで
測定したところ、シングルピークであり、Mn=738
00、Mw/Mn=1.06であった。析出物を1H−N
MRで分析した結果、メタクリル酸メチルの構成単位が
19重量%、アクリル酸n−ブチルの構成単位が81重
量%であり、PMMAブロック部のシンジオタクチシチ
ーが83.6%であることが判明した。さらに、析出物
13C−NMRで分析した結果、PnBAブロック部が
アタクチックであることが判明した。以上のことから、
PMMA−b−PnBAの二元ブロック共重合体が得ら
れたことが判明した。
【0040】(3)メタクリル酸メチルの重合 上記のnBAの重合後、この重合系に、第3番目のモノ
マーとしてMMA16.0ml(150mmol)を−
78℃で添加して溶液を攪拌した。溶液が均一になった
後、0℃に昇温して、さらに1時間攪拌した。得られた
反応混合液に、メタノールを50ml加えて室温で2時
間反応させることによって、活性末端を失活させ、重合
を停止させた。得られた混合液から20mlの試料を抜
き出し、ヘキサン300mlに注いで、析出物を濾別
し、濾液(ヘキサン溶液)をGCで測定したところ、痕
跡量のMMAしか検出できず、MMAの転化率は98%
以上であることが判明した。試料を抜き出した残りの混
合液全量をヘキサン8リットルに注ぎ、得られた析出物
を取り出して減圧乾燥したところ、収量は82.3g
(収率97%)であった。この析出物の一部をTHF溶
液にしてGPCで測定したところ、シングルピークであ
り、Mn=82700、Mw/Mn=1.09であっ
た。1H−NMRで分析した結果、メタクリル酸メチル
の構成単位が31重量%、アクリル酸n−ブチルの構成
単位が69重量%であり、PMMAブロック部のシンジ
オタクチシチーが83.6%であることが判明した。さ
らに、析出物を13C−NMRで分析した結果、PnBA
ブロック部がアタクチックであることが判明した。以上
のことから、PMMA−b−PnBA−b−PMMAの
三元ブロック共重合体が得られ、その組成割合はPMM
A(16重量%)−PnBA(69重量%)−PMMA
(15重量%)であることが判明した。
【0041】[実施例2]第1段階の重合工程におい
て、3価の希土類金属原子を含む有機希土類金属化合物
[(C5Me52SmMe(THF)]の量を0.45g
に、MMAの量を13.3mlに、重合温度を−20℃
に、重合時間を1.5時間にそれぞれ変更し;第2段階
の重合工程において、nBAの量を27.8mlに、重
合温度を−60℃に、重合時間を1.5時間にそれぞれ
変更し;第3段階の重合工程において、MMAの量を1
3.3mlに、重合温度を−20℃に、重合時間を2時
間にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の操作を
行った。その結果、PMMA−b−PnBA−b−PM
MAの三元ブロック共重合体が45.6g得られた(収
率97%)。得られた三元ブロック共重合体について
は、Mnが112000、Mw/Mnが1.07であ
り、組成割合がPMMA(27重量%)−PnBA(4
9重量%)−PMMA(24重量%)であり、PMMA
ブロック部のシンジオタクチシチーが86.3%であ
り、PnBAブロック部がアタクチックであった。
【0042】[実施例3]第1段階の重合工程におい
て、3価の希土類金属原子を含む有機希土類金属化合物
[(C5Me52SmMe(THF)]の量を0.51g
に、MMAの量を8.0mlに、重合温度を−60℃
に、重合時間を4時間にそれぞれ変更し;第2段階の重
合工程において、BAの量を40.0mlに、重合温度
を−60℃に、重合時間を1.5時間にそれぞれ変更
し;第3段階の重合工程において、MMAの量を10.
0mlに、重合温度を−60℃に、重合時間を5時間に
それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の操作を行っ
た。その結果、PMMA−b−PnBA−b−PMMA
の三元ブロック共重合体が48.3g得られた(収率9
7%)。得られた三元ブロック共重合体については、M
nが116000、Mw/Mnが1.08であり、組成
割合がPMMA(13重量%)−PnBA(69重量
%)−PMMA(18重量%)であり、PMMAブロッ
ク部のシンジオタクチシチーが91.5%であり、Pn
BAブロック部がアタクチックであった。
【0043】[実施例4]第1段階の重合工程におい
て、3価の希土類金属原子を含む有機希土類金属化合物
[(C5Me52SmMe(THF)]の量を0.62g
に、MMAの量を5.0mlに、重合温度を−20℃
に、重合時間を1.5時間にそれぞれ変更し;第2段階
の重合工程において、nBAの量を42.0mlに、重
合温度を−90℃に、重合時間を4.5時間にそれぞれ
変更し;第3段階の重合工程において、MMAの量を
5.0mlに、重合温度を−20℃に、重合時間を2時
間にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の操作を
行った。その結果、PMMA−b−PnBA−b−PM
MAの三元ブロック共重合体が43.0g得られた(収
率97%)。得られた三元ブロック共重合体について
は、Mnが82000、Mw/Mnが1.07であり、
組成割合がPMMA(9重量%)−PnBA(80重量
%)−PMMA(11重量%)であり、PMMAブロッ
ク部のシンジオタクチシチーが86.7%であり、Pn
BAブロック部がアタクチックであった。
【0044】[比較例1]第1段階の重合工程におい
て、3価の希土類金属原子を含む有機希土類金属化合物
[(C5Me52SmMe(THF)]の量を1.50g
(3.0mmol)に、MMAの重合時間を10分間に
それぞれ変更し;第2段階の重合工程において、nBA
の量を44.0ml(309mmol)に、重合温度を
0℃に、重合時間を10分間にそれぞれ変更し;第3段
階の重合工程において、MMAの重合時間を20分間に
変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その
結果、PMMA−b−PnBA−b−PMMAの三元ブ
ロック共重合体が24.2g(収率35%)、PMMA
−b−PnBAの二元ブロック共重合体が44.1g
(収率63%)得られた。得られた三元ブロック共重合
体については、Mnが42500、Mw/Mnが1.1
9であり、組成割合がPMMA(12重量%)−PnB
A(32重量%)−PMMA(56重量%)であった。
また、得られた二元ブロック共重合体については、Mn
が24500、Mw/Mnが1.18であり、組成割合
がPMMA(27重量%)−PnBA(73重量%)で
あった。
【0045】[比較例2]第1段階の重合工程におい
て、3価の希土類金属原子を含む有機希土類金属化合物
[(C5Me52SmMe(THF)]の量を0.74g
(1.5mmol)に、MMAの重合時間を20分間に
それぞれ変更し;第2段階の重合工程において、nBA
の量を105.0mlに、重合時間を30分間にそれぞ
れ変更し;第3段階の重合工程において、MMAの量を
11.0mlに、重合時間を1時間にそれぞれ変更した
以外は、比較例1と同様の操作を行った。その結果、P
MMA−b−PnBA−b−PMMAの三元ブロック共
重合体が78.1g得られた(収率69%)。得られた
三元ブロック共重合体については、Mnが11500
0、Mw/Mnが1.18であり、組成割合がPMMA
(8重量%)−PnBA(78重量%)−PMMA(1
4重量%)であった。
【0046】[比較例3]第1段階の重合工程におい
て、3価の希土類金属原子を含む有機希土類金属化合物
[(C5Me52SmMe(THF)]の量を1.26g
(2.48mmol)に、MMAの量を10.0ml(9
4mmol)に、重合温度を−40℃に、重合時間を6
時間にそれぞれ変更し;第2段階の重合工程において、
nBAの量を30ml(211mmol)に、重合温度
を−110℃に、重合時間を7時間にそれぞれ変更し;
第3段階の重合工程において、MMAの量を10ml
(94mmol)に、重合温度を−40℃に、重合時間
を6時間にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の
操作を行った(重合操作に要した時間は、計19時間で
あった)。その結果、PMMA−b−PnBA−b−P
MMAの三元ブロック共重合体が42.0g得られた
(収率97%)。得られた三元ブロック共重合体につい
ては、Mnが33000、Mw/Mnが1.12であ
り、組成割合がPMMA(20重量%)−PnBA(5
8重量%)−PMMA(22重量%)であった。
【0047】[実施例5] (1)アクリル酸n−ブチルの重合 アルゴンで置換した内容積1000mlのフラスコ内
に、ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得
たトルエン500mlと、2価の希土類金属原子を含む
有機希土類金属化合物であるビス(ペンタメチルシクロ
ペンタジエニル)サマリウム・ビステトラヒドロフラナ
ート錯体〔(C5Me52Sm(THF)2〕0.52g
(0.9mmol)の乾燥トルエン溶液100mlを加
えた。これに、−78℃でnBAを33.0ml(23
2mmol)加え、−78℃で3時間攪拌を行った。系
中から20mlの試料を抜き出し、メタノール300m
l中に注いで静置し、析出した沈殿物(PnBA)を取
り出し、減圧乾燥したところ収量は0.92g(収率9
8%)であった。また、この時の濾液(メタノール溶
液)をGCで測定したところ、痕跡量のnBAしか検出
できず、nBAの転化率は98%以上であることが判明
した。得られたPnBAをTHFの溶液にしてGPCで
測定したところ、Mnは92400、Mw/Mnは1.
09であった。さらに、このPnBAを1H−NMRお
よび13C−NMRで分析したところ、アタクチックであ
った。
【0048】(2)メタクリル酸メチルの重合 上記のnBAの重合後、この重合系に、第2番目のモノ
マーとしてMMA13.5ml(127mmol)を−
78℃で添加して溶液を攪拌した。溶液が均一になった
後、−20℃に昇温して、さらに3時間攪拌した。得ら
れた反応混合液に、メタノールを50ml加えることに
よって、活性末端を失活させ、重合を停止させた。得ら
れた混合液から20mlの試料を抜き出し、ヘキサン3
00ml中に注いで、析出物を濾別し、濾液(ヘキサン
溶液)をGCで測定したところ、痕跡量のMMAしか検
出できず、MMAの転化率は98%以上であることが判
明した。試料を抜き出した残りの混合液全量をヘキサン
8リットルに注ぎ、得られた析出物を取り出して減圧乾
燥したところ、収量は38g(収率92%)であった。
この析出物の一部をTHF溶液にしてGPCで測定した
ところ、シングルピークであり、Mn=123000、
Mw/Mn=1.12であった。さらに1H−NMRおよ
13C−NMRで分析した結果、MMAの構成単位が2
9重量%、nBAの構成単位が71重量%であり、PM
MAブロック部のシンジオタクチシチーが85.6%で
あることが判明した。以上のことから、PMMA−b−
PnBA−b−PMMAの三元ブロック共重合体が得ら
れたことが判明した。
【0049】
【発明の効果】上記の実施例から明らかなとおり、本発
明の製造方法によれば、ポリアクリル酸エステルブロッ
クの両末端に高シンジオタクチックのポリメタクリル酸
エステルブロックが結合した構造を分子内の少なくとも
1部分に有するアクリル系ブロック共重合体を、所望の
構造および分子量に制御しながら、収率よく、しかも比
較的短い時間で製造することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−142692(JP,A) 特開 昭62−290708(JP,A) 特開 平3−255116(JP,A) 特開 平6−93060(JP,A) 特開 平8−269149(JP,A) 特表 平5−507737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 297/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機希土類金属化合物を重合開始剤とし
    て用いて、メタクリル酸アルキルエステルの重合とアク
    リル酸アルキルエステルの重合とを交互に行うことによ
    って、該メタクリル酸アルキルエステルから誘導された
    少なくとも2個のシンジオタクチック重合体ブロックと
    該アクリル酸アルキルエステルから誘導された少なくと
    も1個のアタクチック重合体ブロックとを有するアクリ
    ル系ブロック共重合体を製造するに際し、該アクリル酸
    アルキルエステルの重合を−100℃〜−5℃の範囲内
    の温度で行うことを特徴とするアクリル系ブロック共重
    合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 アクリル酸アルキルエステルの重合を−
    95℃〜−55℃の範囲内の温度で行う請求項1記載の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 2価の希土類金属原子を含む有機希土類
    金属化合物を重合開始剤として用い、かつ、アクリル酸
    アルキルエステルの重合を行う第1段階の重合工程およ
    びメタクリル酸アルキルエステルの重合を行う第2段階
    の重合工程を含む2段階以上の重合工程からなる請求項
    1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 3価の希土類金属原子を含む有機希土類
    金属化合物を重合開始剤として用い、かつ、メタクリル
    酸アルキルエステルの重合を行う第1段階の重合工程、
    アクリル酸アルキルエステルの重合を行う第2段階の重
    合工程およびメタクリル酸アルキルエステルの重合を行
    う第3段階の重合工程を含む3段階以上の重合工程から
    なる請求項1または2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 メタクリル酸アルキルエステルの重合を
    −70℃〜+20℃の範囲の温度で行い、アクリル酸ア
    ルキルエステルの重合を該メタクリル酸アルキルエステ
    ルの重合より低い温度で行い、かつ該メタクリル酸アル
    キルエステルの重合と該アクリル酸アルキルエステルの
    重合との間の温度差を20℃〜80℃の範囲内とする請
    求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の製造方法。
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