JP3512547B2 - 薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタの製造方法

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JP3512547B2
JP3512547B2 JP02054196A JP2054196A JP3512547B2 JP 3512547 B2 JP3512547 B2 JP 3512547B2 JP 02054196 A JP02054196 A JP 02054196A JP 2054196 A JP2054196 A JP 2054196A JP 3512547 B2 JP3512547 B2 JP 3512547B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非単結晶半導体薄膜を
有する薄膜トランジスタ(TFT)およびその製造方法
と、その製造装置に関するものであり、特に、ソース/
ドレイン等を作製するためのN型もしくはP型の導電型
を付与する不純物のドーピング方法及び、ドーピング装
置に関するものである。
【0002】なお、本発明によって作製される薄膜トラ
ンジスタは、ガラス等の絶縁基板上、又は単結晶シリコ
ン等の半導体基板上、いずれに形成されるものをも対象
とする。
【0003】
【従来の技術】最近、絶縁基板上に、薄膜状の活性層
(活性領域ともいう)を有する絶縁ゲイト型の半導体装
置の研究がなされている。特に、薄膜状の絶縁ゲイト型
トランジスタ、いわゆる薄膜トランジスタ(TFT)が
熱心に研究されている。これらは、利用する半導体の材
料・結晶状態によって、アモルファスシリコンTFTや
結晶性シリコンTFTというように区別されている。結
晶性シリコンとは言っても、単結晶ではない非単結晶の
ものである。
【0004】一般にアモルファス状態の半導体の電界移
動度は小さく、したがって、高速動作が要求されるTF
Tには利用できない。また、アモルファスシリコンで
は、P型の電界移動度は著しく小さいので、Pチャネル
型のTFT(PMOSのTFT)を作製することができ
ない。したがって、Nチャネル型TFT(NMOSのT
FT)と組み合わせて、相補型のMOS回路(CMO
S)を作製することができない。
【0005】他方、結晶半導体はアモルファス半導体よ
りも電界移動度が大きく、このため、高速動作が可能で
ある。したがって、結晶性シリコンではNMOSのTF
Tのみでなく、PMOSのTFTも同様に得られるの
で、CMOS回路を作製することが可能である。また、
より良い特性を得るには、単結晶半導体のMOSICで
おこなわれているようなLDD(低濃度ドレイン)構造
を設けることが好ましいと指摘されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、結晶性
シリコン半導体を得るには、アモルファスシリコンを熱
アニールすることが必要で、そのためには600℃以上
の高温で長時間の加熱処理が必要である。そのため、耐
熱温度の高い基板を使用する必要があり、一般に高価な
石英が使用されている。
【0007】これに対し、本発明人らは、ニッケル、
鉄、コバルト、白金、パラジウム等の金属元素がアモル
ファスシリコンの結晶化を促進する触媒効果を有するこ
とを見出した。以下、シリコンの結晶化を促進させるこ
れらの金属元素を結晶化触媒元素、または、単に触媒元
素という。このような触媒元素をアモルファスシリコン
に添加することにより、従来よりも低温・短時間の熱ア
ニールにより結晶性シリコン膜を得ることができた。即
ち、この結晶化方法を採用することにより、耐熱温度の
低い、安価なガラス基板を使用することが可能になる。
【0008】さらに、結晶化触媒元素を有するシリコン
膜においては、その後にイオンドーピング法等の手段に
よってN型やP型の不純物イオンを照射・注入すること
により、ソース/ドレイン等の不純物領域を形成した後
の不純物元素の活性化も、従来に比較してより低温の熱
アニールによっておこなうことができることが明らかに
なった。このような目的には、触媒元素の濃度は1×1
15〜1×1019原子/cm3 が好ましかった。
【0009】この範囲に達しない低濃度では、結晶化が
促進されず、また、この範囲を越える高濃度ではシリコ
ン半導体特性に悪影響をもたらした。なお、この場合の
触媒元素の濃度は、2次イオン質量分析法(SIMS)
によって、分析された値であり、多くの場合、触媒元素
は膜中において分布を示すが、上記の値はシリコン膜に
おける触媒元素の最低値を意味する。
【0010】従来は、ドーピング不純物の活性化を低温
でおこなうにはレーザー等の強光の照射(光アニール)
によらざるを得なかったが、光アニールは再現性・制御
性において重大な問題を有しており、量産化が困難であ
った。結晶化触媒元素を用いることにより、光アニール
に匹敵する低温での活性化が可能となったことの意味は
大きい。
【0011】しかしながら、結晶化触媒元素の使用によ
り、新たな問題が生ずる。これはドーピング不純物を熱
アニールによって活性化する際に、結晶化触媒元素が移
動して、不純物領域(ソース/ドレイン等)とチャネル
との境界付近に凝集してまうという問題である。チャネ
ルとソース/ドレインとの境界はTFTにおいては極め
て微妙な部分であり、この部分の欠陥はTFT特性を著
しく悪化させる。
【0012】即ち、このような部分に結晶化触媒元素
(これらはいずれもシリコン半導体にとっては好ましい
材料ではない)の濃度が高まることにより、TFT特性
の悪化(特に、ゲイト電圧をゼロもしくは逆バイアスと
したときのソース/ドレイン間のリーク電流(オフ電流
という)が増大すること)、信頼性の低下(長時間の使
用によってTFT特性が劣化すること)がもたらされ
る。
【0013】結晶化触媒元素の移動メカニズムについて
図4を用いて説明する。図4(A)はゲイト電極を作製
した段階を示す。基板1(もしくはその上に適当な下地
膜(バッファー層ともいう)を形成してもよい)上に、
島状のシリコン領域(活性層ともいう)2を形成し、さ
らにゲイト絶縁膜3、ゲイト電極4を形成する。この段
階では、特開平6−244104で開示された技術にし
たがい、島状シリコン領域2中には結晶化触媒元素がほ
ぼ均等に分布している。(図4(A))
【0014】次に、不純物として、例えば、燐をドーピ
ングする。これはイオンドーピング法等によっておこな
えばよい。この結果、ソース5、ドレイン6が形成され
るが、ソース5、ドレイン6には、イオン照射の結果と
して、多くの欠陥や歪みが生じている。(図4(B))
【0015】その後、特開平6−267989、同6−
333951に開示される技術にしたがって熱アニール
をおこない、ドーピングされた不純物の活性化をおこな
うと、触媒元素は、欠陥等に選択的に捕獲される性質が
あるので、チャネル7部分に存在していた触媒元素がソ
ース/ドレイン5、6の方向に移動する。このような触
媒元素の移動は400℃以上の熱アニールによって顕著
に観察される。(図4(C))
【0016】特に、チャネル7とソース/ドレイン5、
6の境界部(図における矢印の部分)で、移動してきた
触媒元素が集中し、チャネル7部分の触媒元素の濃度が
低下するものの、チャネルとソース/ドレイン5、6の
境界で非常に濃度の高い部分が発生することとなる。
【0017】図4(D)は島状シリコン領域2中の触媒
元素の濃度分布のグラフ図であり、点線は図4(A)の
状態を模式的に示したもので、島状シリコン領域2には
均一に触媒元素が添加されている。他方、実線は図4
(C)の状態を模式的に示したものであり、熱アニール
することにより、矢印で示すように、ソース/ドレイン
5、6とチャネル7の境界部において、部分的に初期の
濃度よりも1桁も高い濃度で触媒元素が凝集してしま
う。このように、高密度に触媒元素が存在すると、薄膜
トランジスタの特性や信頼性を低下させてしまう。
【0018】本発明の目的は、上述の問題点を解消し
て、触媒元素により結晶化されたシリコン膜を使用し
て、特性、信頼性の優れた薄膜トランジスタを製造する
方法、及びその製造装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述したように触媒元素
が偏在するのは、明らかに、不純物ドーピングの際に、
島状シリコン領域に欠陥・歪み等が発生するためであ
る。したがって、欠陥や歪み発生させないようなドーピ
ング方法を採用すればよい。イオンドーピング工程にお
いて、基板を200℃に加熱しておこなうと、その後に
熱アニール等による活性化が不要であるという報告があ
る(Y.Mishima他:J.Appl,Phys.
74(193)7114)。
【0020】本発明人はこの研究を詳細に検討した結
果、イオン照射による欠陥はただちに(その場で)修復
されるため、イオンドーピング後に欠陥が残らないこと
を見出した。さらに、本発明人は、温度範囲についても
考察を進め、基板温度を100〜400℃、より好まし
くは200〜350℃にして、イオンドーピングをおこ
なうと、シリコン膜に欠陥が生じないことを見出した。
【0021】本発明は以下の構成を有する。すなわち、
特開平6−244104、同6−267989、同6−
333951に開示される技術にしたがって、結晶化触
媒元素の添加された島状の結晶性シリコン領域を形成す
る。触媒元素の濃度は、1×1015〜1×1019原子/
cm3 であると好ましい。1×1019原子/cm3 以上
の高濃度ではシリコンに金属的性質がもたらされ、半導
体特性が消滅してしまう。
【0022】なお、触媒元素の濃度は、2次イオン質量
分析法(SIMS)によって、分析された値であり、多
くの場合、触媒元素は膜中において分布を示すが、上記
の値はシリコン膜における触媒元素の最低値を意味す
る。
【0023】その後、基板を100〜400℃、より好
ましくは200〜350℃に加熱した状態で、イオンド
ーピング法等の方法により、N型もしくはP型の導電型
を付与する不純物イオンを照射する。不純物イオンに加
えて、水素イオンもしくはハロゲンのイオンも照射する
と、活性化をより効果的におこなうことができる。
【0024】また、基板の加熱は不純物イオンを照射し
ている最中におこなってもよいが、或いは、直前まで加
熱して、不純物イオン照射時には意図的には加熱しなく
ても良い。この場合には、時間の経過とともに基板温度
が低下するが、断熱を十分におこなうことにより、通常
のドーピング作業の間、100〜400℃の温度を保持
できる。
【0025】このような方式のドーピング装置では、基
板を加熱する手段を有するチャンバーと、基板を実効的
に加熱する手段を有しないチャンバーという少なくとも
2つのチャンバーが必要である。
【0026】本発明に係るドーピング装置の概念図を図
5に示す。ドーピング装置は大きく3つのチャンバーに
より構成されている。すなわち、第1の予備室(基板投
入室)501、ドーピング室502、第2の予備室(基
板取り出し室)503で構成されている。いずれのチャ
ンバーも内部の圧力を適切に調節するための機構が設け
られている。
【0027】第1の予備室501には、ヒーターを有す
るサセプター504が設けられており、これによって基
板505を適切な温度に加熱する。ドーピング室502
は、通常のイオンドーピング装置と同じ構成を有し、ド
ーピングガス導入系510、排気系511、基板ホルダ
ー506、プラズマ室508、加速等のための制御電極
509がそれぞれ設けられている。基板507はホルダ
ー506上に設置される。第2の予備室人503から処
理された基板512を取り出す。
【0028】第1の予備室501において、基板505
の投入と取り出しを兼務させれば、第2の予備室503
は設けなくても構わない。第1の予備室501では基板
は適当な温度に加熱される。重要なことは、第1の予備
室501で、基板が加熱される温度ではなく、ドーピン
グ室502におけるドーピングの間の基板507の温度
であり、特にドーピングされる半導体領域の温度が10
0〜400℃、好ましくは200〜350℃の温度に保
持されることにある。
【0029】
【作用】もとより、本発明ではイオン照射によって、シ
リコン膜中に欠陥や歪みが生じることがなく、Mish
ima他の開示するとおり、ドーピング工程後に、熱ア
ニールによる活性化工程が不要もしくは極めて短時間で
済むので、触媒元素が凝集することを回避することがで
きる。
【0030】仮に、何らかの目的により、ドーピング後
に400℃以上の温度で熱アニールをおこなう必要があ
ったとしても、ドーピングにおいて、シリコン中に欠陥
や歪みが残らないために、チャネル中に存在する触媒元
素が移動して、ソース/ドレインとチャネルの境界に凝
集することがなく、触媒元素の濃度分布は初期の状態が
保たれる。
【0031】
【実施例】
〔実施例1〕図1に本実施例を示す。まず、基板(コー
ニング7059)101上にスパッタリング法によって
厚さ2000Åの酸化珪素の下地膜102を形成した。
さらに、プラズマCVD法によって、厚さ200〜15
00Å、例えば500Åの真性(I型、すなわち、III
価またはV価の不純物が、1×1015〜1×1018原子
/cm3 の濃度である。または、チャネルが発生しない
条件を満たすことを意味する)のアモルファスシリコン
膜103を形成する。
【0032】そして、アモルファスシリコン膜103表
面を酸化処理する。そして、1〜100ppmの酢酸ニ
ッケル水溶液を塗布して、乾燥させて、酢酸ニッケル層
104を形成する。酢酸ニッケル層104は極めて薄い
ので、膜状となっているとは限らない。(図1(A))
【0033】そして、このアモルファスシリコン膜10
3を窒素雰囲気中、550℃、4時間熱アニールして結
晶化させる。熱アニール後にエキマーレーザー等を用い
て光アニールをおこなってもよい。熱アニール後、シリ
コン膜をエッチングして、島状シリコン領域105を形
成する。さらに、プラズマCVD法によって厚さ120
0Åの酸化珪素膜106をゲイト絶縁膜として堆積す
る。酸化珪素膜106を作製するには、プラズマCVD
法の代わりに熱CVD法を採用してもよい。(図1
(B))
【0034】引き続いて、減圧CVD法によって、厚さ
3000〜8000Å、例えば6000Åの多結晶シリ
コン膜(0.1〜2%の燐を含む)を堆積する。この多
結晶シリコン膜をエッチングして、ゲイト電極107を
形成する。(図1(C))
【0035】次に、イオンドーピング法によって、島状
シリコン領域105にゲイト電極107をマスクとして
不純物(燐)を注入する。ドーピングガスとして、水素
で1〜10%に希釈したフォスフィン(PH3 )を用い
る。加速電圧は60〜90kV、例えば80kVとし、
ドーズ量は1×1013〜8×1015原子/cm2 、例え
ば、2×1014原子/cm2 とする。イオンドーピング
時にはヒーター110によって、基板を250℃に加熱
する。この結果、N型の不純物領域108(ソース)、
109(ドレイン)がそれぞれ形成される。(図1
(D))
【0036】続いて、厚さ6000Åの酸化珪素膜11
1を層間絶縁物としてプラズマCVD法によって形成
し、これにコンタクトホールを形成する。そして、金属
材料、例えば、チタンとアルミニウムの多層膜によって
TFTのソース、ドレインの電極・配線112,113
を形成した。(図1(E))
【0037】2次イオン質量分析(SIMS)法によっ
てニッケルの濃度を調べたところ、TFTの不純物領
域、チャネルとも、1×1018〜5×1018原子/cm
3 の濃度であり、特に、チャネルの部分の触媒元素の濃
度が低下している様子は観察されなかった。
【0038】従来例では、活性化工程の後に、水素雰囲
気等で200〜350℃の熱アニールもしくはプラズマ
処理が必要であったが、本発明では不要であった。ま
た、本発明によって得られたTFT(チャネル長×チャ
ネル幅=8μm×8μm)では、オフ電流(ゲイト電圧
が−17V、ドレイン電圧が+1Vの状態で)は0.2
〜0.5pA程度である。他方、ドーピング工程では基
板温度を室温とし、活性化工程では基板温度をを500
℃とし、加熱時間を1時間とした以外は、本実施例と全
く同じ条件で、同じ大きさで作製したTFTでは、オフ
電流は5〜20pAであった。
【0039】〔実施例2〕図2に本実施例を示す。ま
ず、基板(コーニング7059)201上にプラズマC
VD法によって厚さ4000Åの酸化珪素の下地膜20
2を形成する。さらに、プラズマCVD法によって、厚
さ200〜1500Å、例えば500Åの真性(I型)
のアモルファスシリコン膜203を形成する。そして、
アモルファスシリコン膜203の表面を酸化処理して、
図示しない酸化膜を形成する。そして、1〜100pp
mの酢酸ニッケル水溶液を塗布して、乾燥させて、酢酸
ニッケル層204を形成する。
【0040】そして、特開平6−318701に開示さ
れている技術にしたがって、アモルファスシリコン膜2
03にKrFエキシマーレーザー光(波長248nm)
を照射し、結晶化せしめた。レーザー光の照射前に、2
50〜500℃で予備的に熱アニールを施してもよい。
また、レーザー照射の際に、基板201を250〜40
0℃に加熱してもよい。さらに、レーザー照射後に40
0〜550℃で熱アニールを1〜4時間施すと、結晶の
歪みを除去するうえで有効である。(図2(A))
【0041】その後、結晶化されたシリコン膜203を
エッチングして、島状シリコン領域を形成する。さら
に、プラズマCVD法によって厚さ1200Åの酸化珪
素膜205を堆積する。そして、その上に厚さ4000
Åの多結晶シリコン膜(0.1〜2%の燐を含む)を堆
積して、エッチングして、ゲイト電極206を形成す
る。
【0042】次に、基板を加熱しながら、ゲイト電極2
06をマスクにして、イオンドーピング法によって、島
状シリコン領域に不純物(硼素)を注入する。ドーピン
グガスとして、水素で1〜10%に希釈したジボラン
(B26 )を用いる。加速電圧は60〜90kV、例
えば80kVとし、ドーズ量は1×1012〜1×1014
原子/cm2 、例えば、1×1013原子/cm2 とす
る。また、イオンドーピング時には、ヒーター209に
よって、基板を350℃に加熱する。この結果、P型の
低濃度不純物領域207、208が形成される。(図2
(B))
【0043】次に、プラズマCVD法によって堆積した
酸化珪素膜を異方性エッチングして、サイドウォール2
10を形成する。サイドウォール210の形成方法につ
いては公知のLDD(低濃度ドレイン)形成技術を用い
ればよい。本実施例では、サイドウォール210形成時
に酸化珪素膜205をもエッチングする。このため、ゲ
イト電極206およびサイドウォール210の下部には
酸化珪素のゲイト絶縁膜211が残る。(図2(C))
【0044】そして、再び、基板を加熱しながら、イオ
ンドーピング法により、P型不純物を導入する。ドーピ
ングガスとして、水素で1〜10%に希釈したジボラン
(B26 )を用いた。加速電圧は10〜30kV、例
えば20kV、ドーズ量は1×1014〜8×1016原子
/cm2 、例えば、1×1015原子/cm2 とした。イ
オンドーピング時にはヒーター214によって、基板を
350℃に加熱した。この結果、P型の高濃度不純物領
域212(ソース)、213(ドレイン)がそれぞれ形
成される。
【0045】一方、サイドウォール210の下の低濃度
不純物領域207、208には、ドーピングされず、低
濃度ソース215、低濃度ドレイン216が形成され
る。(図2(D)) 続いて、プラズマCVD法によって厚さ4000Åの酸
化珪素膜217を層間絶縁物として堆積し、これにコン
タクトホールを形成して、アルミニウムのソース、ドレ
イン電極・配線218,219を形成する。(図2
(E))
【0046】本実施例では、ドーピング工程後には、熱
アニールによる活性化を行わないので、工程を短縮する
うえで極めて有効であった。従来の方法(特開平6−2
67989)では、高濃度の不純物が存在する領域は比
較的低温の熱アニールによって活性化できたが、低濃度
不純物領域では、熱アニール温度を高めにすることが必
要であった。しかしながら、本実施例では、そもそも活
性化のために熱アニールをおこなう必要がないので、そ
のような問題は一切生じなかった。
【0047】〔実施例3〕図3に本実施例を示す。ま
ず、基板(コーニング1737)301上にプラズマC
VD法によって厚さ3000Åの酸化珪素の下地膜30
2を堆積する。さらに、プラズマCVD法によって、厚
さ200〜1500Å、例えば500Åの真性(I型)
のアモルファスシリコン膜303を堆積する。さらに、
プラズマCVD法によって、厚さ300Åの酸化珪素膜
304を堆積する。これらの成膜は連続的におこなう。
【0048】そして、酸化珪素膜304を選択的にエッ
チングして、その一部に開孔部305を形成し、さら
に、実施例1および2と同様に酢酸ニッケル層306を
形成する。その後、基板301を450〜580℃、例
えば、550℃で8時間の熱アニール処理をおこなうこ
とによりアモルファスシリコン膜303を結晶化させ
る。結晶化は、特開平6−244104にも記述されて
いるように、開孔部305から周囲に図の矢印に沿って
進行した。上記の熱アニール工程の後に、レーザー光等
を用いて光アニールをおこなってもよかった。(図3
(A))
【0049】その後、結晶化されたシリコン膜をエッチ
ングして、島状シリコン領域308を形成し、さらに、
プラズマCVD法によって厚さ1200Åの酸化珪素膜
309を堆積する。(図3(B))
【0050】そして、その上に厚さ6000Åのアルミ
ニウム膜(0.1〜0.3%のスカンジウムを含む)の
ゲイト電極310を形成する。ゲイト電極310を形成
するには、特開平5−267667に示されるゲイト電
極の陽極酸化技術によって、ゲイト電極310の側面お
よび上面をバリヤ型陽極酸化物被膜311で被覆すれば
よい。本実施例ではバリヤ型陽極酸化物被膜311の厚
さは1500〜2000Åとする。また、酸化珪素膜3
09をエッチングして、ゲイト絶縁膜312を形成す
る。その際、ゲイト電極部(ゲイト電極310とその周
囲のバリヤ型陽極酸化物被膜311を含む)の端面とゲ
イト絶縁膜312の端面をxだけずらした構造とする。
(図3(C))
【0051】次に、ゲイト電極部およびゲイト絶縁膜3
12をマスクにして、イオンドーピング法によって、島
状シリコン領域308に不純物(燐)を注入する。ドー
ピングガスとして、水素で1〜10%に希釈したフォス
フィン(PH3 )を用いる。ドーピングは2段階に分け
ておこなう。最初は、加速電圧は60〜90kV、例え
ば80kVとし、ドーズ量は1×1012〜1×1014
子/cm2 、例えば、1×1013原子/cm2 とする。
2度目は、加速電圧は10〜30kV、例えば20k
V、ドーズ量は1×1014〜8×1015原子/cm2
例えば、1×1015原子/cm2 とする。
【0052】いずれのドーピングにおいても、ヒーター
315によって、基板301を300℃に加熱する。高
い加速電圧の低濃度ドーピング(最初のドーピング)の
結果、低濃度ソース316、低濃度ドレイン317がそ
れぞれ形成され、次に、低い加速電圧の高濃度ドーピン
グ(後のドーピング)の結果、ソース313、ドレイン
314がそれぞれ形成される。(図3(D))
【0053】続いて、プラズマCVD法によって厚さ5
000Åの酸化珪素膜318を層間絶縁物として堆積
し、これにコンタクトホールを形成して、チタンのソー
ス、ドレイン電極・配線319,320を形成する。
(図3(E))
【0054】実施例2においては、同様なLDD構造を
得るために、低濃度ドーピング工程後、成膜工程等をお
こない、その後、再び、高濃度ドーピング工程をおこな
うようにしたため、ドーピング工程が不連続であるが、
本実施例は実施例2と異なり、低濃度および高濃度のド
ーピングを連続的におなうことができるため、極めて量
産性が高い。
【0055】〔実施例4〕実施例3ではLDD構造を得
るために、ゲイト電極の周囲に緻密な陽極酸化物を形成
するようにしたが、本実施例は緻密な陽極酸化物を形成
しないで、LDD構造を形成するようにしたものであ
る。
【0056】図6、7は本実施例の薄膜トランジスタの
作製工程を示す断面図であり、図6(A)に示すよう
に、ガラス基板(コーニング7059)601上に、ス
パッタリング法により厚さ2000Åの酸化珪素を下地
膜602として形成する。さらに、プラズマCVD法に
よって、真性(I型)のアモルファスシリコン膜503
を500Åの厚さに形成する。
【0057】アモルファスシリコン膜603表面を酸化
して、図示しない酸化膜を極薄く形成する。この酸化膜
の表面に、1〜100ppmの酢酸ニッケル水溶液を塗
布して、乾燥して、酢酸ニッケル層604を形成する。
(図6(A))
【0058】次に、窒素雰囲気中、550℃、4時間熱
アニールする。加熱により、酢酸ニッケル層604がニ
ッケルに分解して、アモルファスシリコン膜603中に
均一に拡散するのに伴って、アモルファスシリコン膜6
03が結晶化される。熱アニールの後に、エキマーレー
ザー等を用いて光アニールを行ってもよい。
【0059】次に、結晶化されたシリコン膜をエッチン
グして、島状シリコン領域605を形成する。さらに、
プラズマCVD法によって厚さ1000Åに酸化珪素膜
606を堆積する。(図6(B))
【0060】次に、スパッタ法によって、アルミニウム
膜を5000Åの厚さに堆積する。このアルミニウム膜
は後にゲイト電極607になるものであり、アルミニウ
ムには、予めスカンジウムを0.2wt含有させて、ヒ
ロックやウィスカーが発生するのを抑制する。
【0061】そして、アルミニウム膜を電解液中で陽極
酸化して、表面に緻密な陽極酸化膜608を100Å程
度の厚さに形成する。この場合には、電解液には、酒石
酸、ほう酸、又は硝酸が3〜10%含有されたエチレン
グリコール溶液を、PHを7程度に調整した溶液を使用
する。緻密な陽極酸化膜608の厚さはアルミニウム膜
に印加する電圧で制御することができる。緻密な陽極酸
化膜608は、レジストの密着度を高める作用を有す
る。この後、フォトレジスタストのマスク609を形成
して、このマスク609を利用して、アルミニウム膜を
エッチングして、ゲイト電極607を形成する。(図6
(C))
【0062】更に、フォトレジスタストのマスク609
を着けたままで、ゲイト電極607を陽極にして、再び
陽極酸化する。電解溶液には、クエン酸、シュウ酸、ク
ロム酸又は硫酸を3〜20%含有した酸性溶液を使用す
る。この場合には、ゲイト電極607の表面にフォトレ
ジスタストのマスク609と、緻密な陽極酸化膜608
が存在するために、ゲイト電極607の側面のみに多孔
質の陽極酸化物610が形成される。
【0063】この多孔質の陽極酸化物610の成長距離
は、ゲイト電極607に電流を流す時間で制御すること
ができ、この成長距離により、低濃度不純物領域の長さ
が決定される。本実施例では、多孔質の陽極酸化物61
0を5000Åの厚さに成長させる。(図6(D))
【0064】次に、フォトレジスタストのマスク609
を使用して、酸化珪素膜606をエッチングして、ゲイ
ト絶縁膜611を形成する。(図6(E))
【0065】そして、図7(A)に示すように、フォト
レジスタストのマスク609、緻密な陽極酸化膜60
8、多孔質の陽極酸化物610を順次に除去して、ゲイ
ト電極607を露出させる。
【0066】次に、フォトレジスタストのマスク609
を専用の剥離液により除去する。緻密な陽極酸化膜60
8はバッファーフッ酸を用いて、エッチングする。緻密
な陽極酸化膜608は極めて薄いため、選択的に除去す
ることが可能である。多孔質の陽極酸化物610は、燐
酸、酢酸及び硝酸を混合した混酸を用いて、エッチング
する。多孔質の陽極酸化物610は容易に除去できるた
め、ゲイト電極607がエッチングされることがない。
【0067】そして、ヒロックやウィスカーの発生を抑
制するために、露出されたゲイト電極607の表面をオ
ゾン水で洗浄して、図示しない酸化膜を形成する。な
お、後の工程で、ヒロックやウィスカーの発生を抑制で
きるならば、酸化膜を形成しなくてもよい。
【0068】次に、ゲイト電極607ををマスクにし
て、イオンドーピング法によって、島状シリコン領域6
05に不純物を注入する。本実施例では、燐を注入する
ために、ドーピングガスとして、水素で1〜10%に希
釈したフォスフィン(PH3 )を用いる。ドーピングは
2段階に分けておこなう。また、ドーピングの間には、
ヒーター612によって、基板601を300℃に加熱
する。
【0069】1度目のドーピングは、加速電圧は60〜
90kVとし、ドーズ量は1×1012〜1×1014原子
/cm2 とする。本実施例では、加速電圧を80kVと
して、ドーズ量を1×1013原子/cm2 とする。この
際には、加速電圧が比較的大きいため、燐イオンはゲイ
ト電極607は透過しないが、ゲイト絶縁膜611を透
過して、島状シリコン領域605にドープされるが、ド
ーズ量が小さいために、低濃度不純物領域613、61
4が形成される。また、ゲイト電極607の直下には燐
イオンがドープされないため、チャネル形成領域615
となる。(図7(A))
【0070】2度目のドーピングは、1度目よりも、加
速電圧を小さくして、10〜30kVとし、ドーズ量は
大きくして、1×1014〜8×1015原子/cm2
る。本実施例では、加速電圧を20kVとし、ドーズ量
を1×1015原子/cm2 とする。このため、燐イオン
はゲイト絶縁膜612を透過できず、主に、島状シリコ
ン領域605の露出された部分に高濃度にドープされ、
ソース/ドレイン領域616、617が形成される。ま
た、ゲイト絶縁膜612の下部は低濃度不純物領域61
3、614、チャネル形成領域615のまま残存する。
(図7(B))
【0071】本実施例では、イオンドーピイングを2度
に分けて行うようにしたが、1度のドーピング工程で、
図7(B)に示すような、低濃度不純物領域613、6
14と、高濃度不純物であるソース/ドレイン領域61
6、617とをそれぞれ形成することもできる。この場
合には、ゲイト絶縁膜612が半透過なマスクとして機
能するように、加速電圧、ドーズ量等の条件を適宜に設
定すればよい。
【0072】イオンドーピングの後に、プラズマCVD
法により窒化珪素膜618を300Åの厚さに形成す
る。後に実施される水素化工程等において、ゲイト電極
607が加熱されるために、アルミニウムが異常成長し
て、クラックやヒロックが発生するおそれがある。本実
施例では、ゲイト電極607を窒化珪素膜618で覆う
ことにより、クラックやヒロックの発生を防止する。
【0073】続いて、厚さ6000Åの酸化珪素膜を層
間絶縁物619としてプラズマCVD法によって形成
し、これにコンタクトホールを形成する。そして、この
コンタクトホールに、金属材料、例えば、チタンとアル
ミニウムの多層膜によってTFTのソース、ドレインの
電極・配線620、621を形成する。最後に、350
℃の水素雰囲気中において、1時間の加熱処理する。以
上の工程を経て、薄膜トランジスタが完成される。(図
7(C))
【0074】本実施例の薄膜トランジスタは、チャネル
形成領域615とドレイン領域617の間に低濃度不純
物領域614を配置する構成としたため、チャネル形成
領域615とドレイン領域617の間に高電圧が印加さ
れることを防ぐことができる。更に、オフ電流を小さく
することもできる。
【0075】本実施例では、ドーピング工程後に、熱ア
ニール、レーザーアニールによる活性化を行わないの
で、工程の短縮化が図れる。また、高濃度の不純物が存
在する領域は比較的低温の熱アニールによって活性化で
きるが、低濃度不純物領域は熱アニール温度を高めにす
ることが必要である。しかしながら、本実施例では、そ
もそも活性化のために熱アニールをおこなう必要がない
ので、プロセスの低温化が推進される。
【0076】なお、本実施例では、窒化珪素膜618を
形成して、ゲイト電極607を保護するようにしたが、
熱アニール、レーザーアニールを行なう必要がないの
で、クラックやヒロックが発生することがなければ、窒
化珪素膜618を形成しなくてもよい。
【0077】〔実施例5〕本実施例では、N型薄膜トラ
ンジスタとP型薄膜トランジスタとを相補的に組み合わ
せたCMOS薄膜トランジスタを形成する例を示す。図
8に本実施例を示す。
【0078】まず、上面に下地膜を形成したガラス基板
(コ−ニング7059又は1737)801上に、プラ
ズマCVD法により真性(I型)のアモルファスシリコ
ン膜を500Åの厚さに形成する。下地膜としては、例
えば2000Åの厚さの酸化珪素膜を用いる。次に、ア
モルファスシリコン膜を適当な結晶化方法によって結晶
化し、結晶化されたシリコン膜をエッチングして、島状
シリコン領域802、803を形成する。さらに、プラ
ズマCVD法により厚さ1500Åの酸化珪素膜804
を堆積する。
【0079】次に、スパッタ法によりアルミニウム膜を
4000Åの厚さに堆積する。このアルミニウム膜はの
ちにゲイト電極805、806になるものである。この
アルミニウム膜には、予めスカンジウムを0.2wt含
有させてヒロックやウィスカ−が発生するのを抑制す
る。
【0080】次に、アルミニウム膜を電解液中で陽極酸
化して、図示しないが表面に100Å程度の緻密な陽極
酸化膜を形成し、その上にフォトレジストのマスクを形
成してパタ−ニングを行う。このフォトレジストのマス
クを利用して、アルミニウム膜をエッチングして、ゲイ
ト電極805、806を形成する。
【0081】更に、フォトレジストのマスクを着けたま
まで、ゲイト電極805、806を再度陽極酸化する。
電解溶液には、クエン酸、シュウ酸、クロム酸又は硫酸
を3〜20%含有した酸性溶液、例えば3%シュウ酸水
溶液を使用する。この場合には、ゲイト電極805、8
06の表面にはフォトレジストのマスクと緻密な陽極酸
化膜が存在するため、ゲイト電極805、806の側面
のみに多孔質の陽極酸化物807、808が形成され
る。この多孔質の陽極酸化物807、808の成長距離
は、陽極酸化の処理時間で制御することができる。この
成長距離は、後に低濃度不純物領域(LDD領域)の長
さを決定する。本実施例では、多孔質の陽極酸化物80
7、808を7000Åの長さに成長させる。
【0082】再びゲイト電極805、806を陽極酸化
して、緻密で強固な陽極酸化膜809、810を形成す
る。本実施例では、電解溶液として3%酒石酸のエチレ
ングリコ−ル溶液を、アンモニア水でPH6.9に中和
して使用する。(図8(A))
【0083】次に、陽極酸化物807、808、80
9、810をマスクとして、酸化珪素膜804をエッチ
ングする。エッチングは陽極酸化物807、808、8
09、810をエッチングせず、酸化珪素膜804のみ
をエッチング可能であれば、ウェットエッチングでも、
ドライエッチングでも構わない。本実施例では、ClF
3 ガスを用いたドライエッチングによって、酸化珪素膜
804をエッチングして、ゲイト絶縁膜811、812
を形成する。(図8(B))
【0084】次に、図示しない緻密な陽極酸化物、多孔
質な陽極酸化物807、808を順次除去する。図示し
ない緻密な陽極酸化物はバッファ−フッ酸で除去し、多
孔質の陽極酸化物807、808は、燐酸、酢酸及び硝
酸を混合した混酸を用いて除去する。多孔質の陽極酸化
物807、808は容易に除去できるため、緻密で強固
な陽極酸化物809、810がエッチングされることは
ない。
【0085】次に、ゲイト電極805、806をマスク
にして、イオンド−ピング法により、島状シリコン80
2、803に不純物を注入する。本実施例では、まず燐
を注入するために、ド−ピングガスとして、水素で1〜
10%に希釈したフォスフィン(PH3)を用いる。ド
−ピングは2段階に分けて行う。また、ド−ピングの間
は、ヒ−タ−により、基板801を250℃〜350℃
に加熱する。
【0086】1度目のド−ピングは、加速電圧を10〜
30kVとし、ド−ズ量は1×1014〜8×1015原子
/cm2 とする。本実施例では、加速電圧を10kVと
し、ド−ズ量を1×1015原子/cm2 とする。この際
には、加速電圧が比較的小さいため、燐イオンはゲイト
絶縁膜811、812を透過できず、主に、島状シリコ
ン802、803の露出された部分に注入され、ソ−ス
領域813、816、ドレイン領域814、815が形
成される。その際、燐はソ−ス/ドレイン領域の比較的
浅い領域にピ−クを有するように注入される。
【0087】2度目のド−ピングは、1度目のド−ピン
グよりも加速電圧を大きくして、60〜90kVとし、
ド−ズ量は1×1012〜5×1013原子/cm2 とす
る。本実施例では、加速電圧を80kVとし、ド−ズ量
を1.5 ×1013原子/cm2とする。この際には、加
速電圧が比較的大きいため、燐イオンはゲイト電極80
5、806を透過しないが、ゲイト絶縁膜811、81
2を透過して、島状シリコン802、803に注入され
る。しかし、ゲイト絶縁膜直下はゲイト絶縁膜に遮られ
て燐の注入量が小さいために、低濃度不純物領域(LD
D領域)817、818が形成される。また、ゲイト電
極805、806の直下は燐が注入されないため、チャ
ネル形成領域819、820となる。この場合、燐はソ
−ス/ドレイン領域の比較的深い領域にピ−クを有する
ように注入される。このため、1度目と2度目のド−ピ
ングにより、燐はソ−ス/ドレイン領域に一様に存在す
る様になる。(図8(C))
【0088】次に、ポリイミド又は耐熱性レジスト82
1で被覆し、パタ−ニングにより、P型トランジスタと
なる部分のみのレジストを除去する。(図8(D))
【0089】続いて、N型をP型に反転させるための不
純物として、硼素をイオンド−ピング法により注入す
る。本実施例では、1度目のド−ピングを、加速電圧を
65kVとし、ド−ズ量を1〜5×1014原子/cm2
となるようにする。次いで、2度目のド−ピングを、加
速電圧を10kVとし、ド−ズ量を2×1015原子/c
2 となるようにする。ポリイミド又は耐熱性レジスト
821で被覆された領域は、硼素が注入されないためN
型のまま残存する。
【0090】イオンド−ピング終了後、レジスト821
を除去する。そして、厚さ1μmの酸化珪素膜を層間絶
縁膜822としてプラズマCVD法により形成し、これ
にコンタクトホ−ルを形成する。そして、このコンタク
トホ−ルに、金属材料、例えばチタンとアルミニウムの
多層膜により、ソ−ス/ドレインの電極、配線823、
824、825を形成する。最後に、350℃の水素雰
囲気中において、2時間の加熱処理を行う。以上の工程
を経て、CMOS薄膜トランジスタが完成される。(図
8(E))
【0091】本実施例の薄膜トランジスタは、N型トラ
ンジスタとP型トランジスタを相補的に組み合わせたC
MOS構造を形成するため、トランジスタを駆動する際
に、低電力化が図れる。また、チャネル形成領域81
9、820とドレイン領域814、815の間に低濃度
不純物領域817、818を配置する構成としたため、
チャネル形成領域819、820とドレイン領域81
4、815の間に高電界が形成されることを防ぐことが
出来る。また、ド−ピング工程後に熱アニ−ル、レ−ザ
−アニ−ルによる活性化を行わないので、工程の短縮化
が図れる。
【0092】〔実施例6〕本実施例では、N型薄膜トラ
ンジスタとP型薄膜トランジスタとを相補的に組み合わ
せたCMOS薄膜トランジスタを形成する例を示す。図
9に本実施例を示す。
【0093】図9(A)に示すように、上面に下地膜を
形成したガラス基板(コ−ニング7059又は173
7)901上に、プラズマCVD法により真性(I型)
のアモルファスシリコン膜を500Åの厚さに形成す
る。下地膜としては、例えば2000Åの厚さの酸化珪
素膜を用いる。次に、アモルファスシリコン膜を適当な
結晶化方法によって結晶化し、結晶化されたシリコン膜
をエッチングして、島状シリコン領域902、903を
形成する。さらに、ゲイト絶縁膜として、プラズマCV
D法により厚さ1500Åの酸化珪素膜904を堆積す
る。
【0094】次に、スパッタ法によりアルミニウム膜を
4000Åの厚さに堆積する。このアルミニウム膜はの
ちにゲイト電極905、906になるものである。アル
ミニウム膜には、予めスカンジウムを0.2wt含有さ
せてヒロックやウィスカ−が発生するのを抑制する。
【0095】次に、アルミニウム膜を電解液中で陽極酸
化して、図示しないが表面に100Å程度の緻密な陽極
酸化膜を形成し、その上にフォトレジストのマスクを形
成してパタ−ニングを行う。このフォトレジストのマス
クを利用して、アルミニウム膜をエッチングして、ゲイ
ト電極905、906を形成する。
【0096】更に、フォトレジストのマスクを着けたま
まで、ゲイト電極905、906を再度陽極酸化する。
電解溶液には、クエン酸、シュウ酸、クロム酸又は硫酸
を3〜20%含有した酸性溶液、例えば3%シュウ酸水
溶液を使用する。この場合には、ゲイト電極905、9
06の表面にはフォトレジストのマスクと緻密な陽極酸
化膜が存在するため、ゲイト電極905、906の側面
のみに多孔質の陽極酸化物909、910が形成され
る。この多孔質の陽極酸化物909、910の成長距離
は、陽極酸化の処理時間で制御することができ、この成
長距離は、後に低濃度不純物領域(LDD領域)の長さ
を決定する。本実施例では、多孔質の陽極酸化物90
9、910を7000Åの長さに成長させる。
【0097】さらに、再びゲイト電極905、906を
陽極酸化して、緻密で強固な陽極酸化膜911、912
を形成する。本実施例では、電解溶液として、3%酒石
酸のエチレングリコ−ル溶液を、アンモニア水でPH
6.9に中和して使用する。(図9(A))
【0098】次に、ゲイト電極905、906及び多孔
質の陽極酸化物909、910をマスクにして、イオン
ド−ピング法により、島状シリコン902、903に不
純物を注入する。本実施例では、まず燐を注入するため
に、ド−ピングガスとして、水素で1〜10%に希釈し
たフォスフィン(PH3)を用いる。また、ド−ピング
の間は、ヒ−タ−により、基板901を250℃〜35
0℃に加熱する。ド−ピングは、加速電圧を60〜90
kVとし、ド−ズ量を1×1014〜8×1015原子/c
2 となるようにする。本実施例では、加速電圧を80
kVとし、ド−ズ量を1×1015原子/cm2 とする。
【0099】この際には、加速電圧が比較的大きいた
め、燐イオンはゲイト電極905、906及び多孔質の
陽極酸化物909、910を透過しないが、ゲイト絶縁
膜904を透過して、島状シリコン902、903に注
入され、ソ−ス領域913、916及びドレイン領域9
14、915を形成する。その際、ゲイト電極905、
906の直下は燐が注入されないため、チャネル形成領
域917、918となる。(図9(B))
【0100】次に、図示しない緻密な陽極酸化物をバッ
ファ−フッ酸で除去し、次いで、燐酸、酢酸及び硝酸を
混合した混酸で、多孔質の陽極酸化物909、910を
除去する。多孔質の陽極酸化物909、910は容易に
除去できるため、緻密で強固な陽極酸化物911、91
2がエッチングされることはない。
【0101】次に、再び燐のド−ピングを行う。加速電
圧は60〜90kVとし、ド−ズ量は1×1012〜1×
1014原子/cm2 とする。本実施例では、加速電圧を
80kVとし、ド−ズ量を1×1014原子/cm2 とす
る。この際には、加速電圧が比較的大きいため、燐イオ
ンはゲイト電極905、906を透過しないが、ゲイト
絶縁膜904を透過して、島状シリコン902、903
に注入される。また、チャネル形成領域917、918
と、ソ−ス領域913、916及びドレイン領域91
4、915との間は燐の注入量が少ないため、低濃度不
純物領域(LDD領域)919、920が形成される。
(図9(C))
【0102】次に、ポリイミド又は耐熱性レジスト92
1で被覆し、パタ−ニングにより、P型トランジスタと
なる部分のみのレジストを除去する。(図9(D))
【0103】続いて、N型をP型に反転させるための不
純物として、硼素をイオンド−ピング法により注入す
る。本実施例では、加速電圧を80kVとし、硼素のド
−ズ量は2×1015原子/cm2 とする。ポリイミド又
は耐熱性レジスト921で被覆された領域は、硼素が注
入されないためN型のまま残存する。
【0104】この際、硼素の注入量が多いため、ドレイ
ン領域915、チャネル領域918の間に低濃度不純物
領域(LDD領域)は形成されない。続いて、レジスト
921を除去する。そして、厚さ1μmの酸化珪素膜を
層間絶縁膜922としてプラズマCVD法により形成
し、これにコンタクトホ−ルを形成する。そして、この
コンタクトホ−ルに、金属材料、例えばチタンとアルミ
ニウムの多層膜により、ソ−ス/ドレインの電極、配線
923、924、925を形成する。最後に、350℃
の水素雰囲気中において、2時間の加熱処理を行う。
(図9(E))
【0105】以上の工程を経て、CMOS薄膜トランジ
スタが完成される。本実施例の薄膜トランジスタは、N
型トランジスタとP型トランジスタを相補的に組み合わ
せたCMOS構造を形成するため、トランジスタを駆動
する際に、低電力化が図れる。また、チャネル形成領域
917とドレイン領域914の間に低濃度不純物領域9
19を配置する構成としたため、チャネル形成領域91
7とドレイン領域914の間に高電界が形成されること
を防ぐことが出来る。また、ド−ピング工程後に熱アニ
−ル、レ−ザ−アニ−ルによる活性化を行わないので、
工程の短縮化が図れる。
【0106】
【発明の効果】本発明により、結晶化触媒元素を用いて
も、低いオフ電流に代表されるような高いTFT特性と
信頼性を得ることができ、したがって、特開平6244
104、同6−267989、同6−318401、同
6−333951に示されるような、触媒元素を用いた
低温結晶化技術を発展させることが可能となった。この
ように本発明は工業上有益な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の作製工程断面図を示す。
【図2】 実施例2の作製工程断面図を示す。
【図3】 実施例3の作製工程断面図を示す。
【図4】 触媒元素の移動原理について説明する。
【図5】 本発明を実施するためのドーピング装置の
概念図を示す。
【図6】 実施例4の作製工程断面図を示す。
【図7】 実施例4の作製工程断面図を示す。
【図8】 実施例5の作製工程断面図を示す。
【図9】 実施例6の作製工程断面図を示す。
【符号の説明】
101・・・ガラス基板 102・・・下地絶縁膜(酸化珪素) 103・・・アモルファスシリコン膜 104・・・酢酸ニッケル層 105・・・島状シリコン領域 106・・・ゲイト絶縁膜(酸化珪素) 107・・・ゲイト電極(燐ドープされたシリコン) 108・・・ソース 109・・・ドレイン 110・・・ドーピング時の加熱用ヒーター 111・・・層間絶縁物(酸化珪素) 112・・・ソース電極(チタン/アルミニウム) 113・・・ドレイン電極(チタン/アルミニウム)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に1×1015〜1×1019原子/c
    3の濃度のシリコンの結晶化を促進させる金属元素を
    有する結晶性シリコン膜を形成し、 前記基板を200350℃に加熱した状態で前記結晶
    性シリコン膜にN型又 はP型の導電型を付与する不純
    物イオンと共にハロゲンのイオンを照射するこ とを特
    徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 【請求項2】基板上に1×1015〜1×1019原子/c
    3の濃度のシリコンの結晶化を促進させる金属元素を
    有する結晶性シリコン膜を形成し、前記基板を加熱する手段を有する第1のチャンバーで
    記基板を200350℃に加熱した後前記基板を加熱する手段を有しない第2のチャンバーで
    前記結晶性シリコン膜にN型又はP型の導電型を付与す
    る不純物イオンを照射する際、前記結晶性シリコン膜の
    温度は200〜350℃であることを特徴とする薄膜ト
    ランジスタの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2において、前記不純
    物イオンはイオンドーピング法によって照射されること
    を特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至請求項のいずれか一におい
    て、前記金属元素は、ニッケル、鉄、コバルト、白金、
    パラジウムの少なくとも1つであることを特徴とする薄
    膜トランジスタの製造方法。
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