JP3511117B2 - 電解用陽イオン交換膜及び高純度水酸化カリウムの製造方法 - Google Patents

電解用陽イオン交換膜及び高純度水酸化カリウムの製造方法

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JP3511117B2 JP19553896A JP19553896A JP3511117B2 JP 3511117 B2 JP3511117 B2 JP 3511117B2 JP 19553896 A JP19553896 A JP 19553896A JP 19553896 A JP19553896 A JP 19553896A JP 3511117 B2 JP3511117 B2 JP 3511117B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解用含フッ素陽
イオン交換膜及び該陽イオン交換膜を隔膜として使用し
て塩化カリウム水溶液を電解することにより高純度水酸
化カリウムを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】陽イオン交換膜で区画された陽極室及び
陰極室を有する電解槽により塩化アルカリ水溶液を電解
して水酸化アルカリと塩素を製造する方法は、水銀法に
比べて公害問題という難点がなく、またアスベスト隔膜
法に比して高純度、高濃度の水酸化カリウムを高効率で
得ることができる方法として開発され、実用化されてい
る。そしてこの方法に使用する陽イオン交換膜について
も、これまで種々の開発がなされ、提案がなされてい
る。
【0003】上記陽イオン交換膜の一つとしてスルホン
酸型膜を主体層とする膜があるが、この陽イオン交換膜
としては、膜表面を還元処理及び/又は酸化処理するこ
とにより表面のスルホン酸基をカルボン酸型薄層に変成
させた膜、スルホン酸型膜からなる主体層にカルボン酸
基等の弱酸性層を積層させた膜、さらに特定構造のスル
ホン酸型膜で低い比伝導度膜層を形成せしめた膜等が提
案されている。
【0004】また、カルボン酸型膜を主体層とする膜と
しては、陽イオン交換膜の含水量を特定範囲にした膜の
ほか、カルボン酸型膜を主体層とし、その一方の表面が
特定のイオン交換容量を持つスルホン酸型膜層で、もう
一方の表面がカルボン酸型膜層である3層の複層構成の
膜があり(特開昭60ー243129号公報)、特に水
酸化カリウム製造に適用した膜としては、特定のイオン
交換容量を有するカルボン酸型膜を主体層とし、陽極室
側に特定のスルホン酸型膜を積層した膜が知られている
(特開昭60ー251290号公報)。
【0005】また、特公昭62ー1652号公報の陽イ
オン交換膜は、陽イオン交換基を有する含フッ素重合体
の第1フィルムと、下記(A)、(B)及び(C)の繰
り返し単位を有するカルボン酸基をイオン交換基とする
含フッ素重合体とからなり、上記第1のフィルムより小
さい、厚みが5〜50μmで、且つ比電気抵抗の大きい
第2のフィルムとを積層せしめたことを特徴とする含フ
ッ素陽イオン交換膜であり、これを用いれば塩化アルカ
リ水溶液の電解を可及的に高電流効率で行うことができ
るものである〔(A)〜(C)中、X、X′は−F、−
Cl又は−CF3 、Rfは炭素数1〜10のパ−フルオ
ロアルキル基、Mは水素又はアルカリ金属、Yは−(C
2x−、−O−(CF2x−、−(O−CF2−CF
Z)x−、−(O−CFZ−CF2x−O−(CFZ)y
− から選ばれるが、x、yは1〜10であり、
Zは−F又はRfと同じである〕。
【化2】(A) −( CF2−CXX′)−
【0006】上記特開昭60ー251290号公報で
は、主体層としてのカルボン酸基をイオン交換基とする
パーフルオロカーボン重合体膜と、陽極室側にスルホン
酸基をイオン交換基とするパーフルオロカーボン重合体
表面層と、両膜間にカルボン酸基とスルホン酸基が共存
するパーフルオロカーボン重合体からなる共存層を介し
て一体化された少なくとも三層からなる陽イオン交換膜
を使用して塩化カリウム水溶液を電解することにより高
電流効率且つ低抵抗の下に水酸化カリウムを製造するこ
とができる。
【0007】しかし、上記特開昭60ー243129号
公報や特開昭60ー251290号公報でも指摘されて
いるように、高濃度水酸化カリウムを製造しようとする
場合には、塩化カリウムの陽極室から陰極室への洩れを
防止することが困難であり、その結果として生成水酸化
カリウムの純度を低下させる。かくして、従来イオン交
換膜を使用した塩化カリウム水溶液の電解により、高純
度、特に塩化カリウムの濃度が5ppm以下の試薬グレ
ードの高濃度の水酸化カリウムを高エネルギー効率で製
造することは困難であった。
【0008】本発明においては、これらの電解用含フッ
素陽イオン交換膜についてさらに改良、改善を加えると
ともに、この新規な含フッ素陽イオン交換膜を塩化カリ
ウム水溶液の電解用に使用することにより、洩れ不純物
がきわめて少ない高純度の水酸化カリウムを製造する方
法を開発するに至ったものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明の目
的は、電解用として、新規且つ有用な含フッ素陽イオン
交換膜を提供するとともに、この膜を用いた電解によ
り、電圧の上昇を伴わずに水酸化カリウム中の塩化カリ
ウム濃度を5ppm(50%水酸化カリウム中)以下の
試薬グレードの高純度水酸化カリウムの製造方法を提供
することにある。
【0010】本発明で提供される新規且つ有用な含フッ
素陽イオン交換膜は、塩化カリウム水溶液の電解に限ら
ず、水、酸又はアルカリ水溶液や他のハロゲン化アルカ
リ水溶液の電解にも使用でき、高電流効率、低電解電圧
に電解生成物を製造することができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、スルホン酸基
を有する含フッ素重合体フィルムの少なくとも2層から
構成され、陰極に面する第一の層が下記の単体(A)、
(B)及び(C)の三元共重合体からなり、厚みが50
〜150μmであり、第二の層の厚みが50〜300μ
mであることを特徴とする電解用陽イオン交換膜及びこ
の陽イオン交換膜を用いることを特徴とする高純度水酸
化カリウムの製造方法である。
【化3】(A) CF2=CF(OCF2CFCF3m
O(CF2n SO3M 〔ここでm=0又は1、n=1〜5、Mは水素又はアルカ
リ金属である〕 (B) CF2=CF2 〔ここでm=0又は1、Rfは炭素数1〜10のパーフ
ルオロアルキル基である〕
【0012】本発明で提供する含フッ素陽イオン交換膜
は、電解において優れた性能、すなわち高い電流効率と
低い電解電圧、及び陰極室に生成する水酸化カリウム中
の塩化カリウム含有量をきわめて少なくするという性能
を有するのと同時に、第一の層の含フッ素重合体フィル
ムと第二の層の含フッ素重合体フィルムとがロールプレ
ス積層のごとく簡便な方法により積層され得るという優
れた性質を兼ね備えている。これは本発明による陽イオ
ン交換膜を構成する第一の層が下記のごとき(A)、
(B)及び(C)の含フッ素三元共重合体からなること
に起因する。
【0013】すなわち、第一の層に使用する含フッ素三
元共重合体の構成要素に(C)ユニットが含まれるた
め、比較的低いイオン交換容量でもポリマーの結晶性を
低くすることが出来る。これに対して、(C)ユニット
を含まない、(A)ユニット及び(B)ユニットのみか
ら成る二元共重合体においては、低いイオン交換容量で
は、結晶性が高いため、成形性が著しく悪く、かつ第二
の層との密着性が悪く、電解使用中にふくれ、あるいは
剥離を生ずる場合がある。第一の層を形成する含フッ素
三元共重合体の(A)、(B)、(C)ユニットの組成
は、C/(A+B+C)のモル比が、好ましくは0.0
1〜0.2、特には0.02〜0.1にせしめるのが適
当である。この比率が小さい場合には製膜性の改善が小
さくなり、逆に大きい場合には、フィルムの機械的低下
するなどして好ましくない。
【0014】本発明において、第一の層を形成する含フ
ッ素重合体フィルムは上記のように下記の(A)、
(B)及び(C)の三元共重合体からなる。
【化4】(A) CF2=CF(OCF2CFCF3m
O(CF2n SO3M 〔ここでm=0又は1、n=1〜5、Mは水素又はアルカ
リ金属である〕 (B) CF2=CF2 〔ここでm=0又は1、Rfは炭素数1〜10のパーフ
ルオロアルキル基である〕
【0015】これらの好ましい例としては、CF2=C
FOCF2CFCF3O(CF22-5SO3M とCF2
CF2とCF2=CFOCF2CF2CF3との三元共重合
体が挙げられる。かかる三元共重合体のフィルムは、こ
れを第一の層として使用した場合、イオン交換膜性能を
最大限に発揮させるために、第一の層のフィルム厚は、
好ましくは50〜150μm、特に好ましくは60〜1
00μmである。該厚みが小さすぎる場合は生成水酸化
カリウムの純度が不安定となり、大きすぎる場合は膜抵
抗を高めるため好ましくない。一方、第二の層を形成す
る含フッ素重合体フィルムは、上記第一の層を形成する
三元共重合体中の(A)及び(B)の二元共重合体から
なり、好ましい一例としては CF2=CFOCF2CF
CF3O(CF22-5SO3M とCF2=CF2との二元
共重合体が挙げられる。かかる第二の層は厚みを第一の
層よりも好ましくは大きくし、好ましくは50〜300
μm、特に好ましくは100〜200μmから選ばれ
る。第二の層は、厚みが小さい場合は膜全体の強靱性向
上への寄与が小さくなり好ましくなく、逆に大きい場合
は膜抵抗を高めるため好ましくない。
【0016】本発明において重要な役割をする第一の層
のイオン交換容量は好ましくは0.5〜1.0ミリ当量
/g乾燥樹脂、特に好ましくは0.7〜0.9ミリ当量
/g乾燥樹脂が適当である。イオン交換容量がこの範囲
外では、塩化カリウムの洩れ防止の点で不利となる。一
方、第二の層は、機械的強度が十分である限りイオン交
換容量を大きくして、比電気抵抗を小さくするのが好ま
しい。すなわち第二の層のイオン交換容量は、第一の層
よりも好ましくは0.1〜0.4ミリ当量/g乾燥樹
脂、特に好ましくは0.2〜0.3ミリ当量/g乾燥樹
脂大きくなるようにし、好ましくは0.6〜1.4ミリ
当量/g乾燥樹脂、特に好ましくは0.8〜1.2ミリ
当量/g乾燥樹脂から選ばれる。
【0017】本発明では、更に第二の層の陽極側に第二
の層と同じ含フッ素二元共重合体からなる第三の層を積
層することにより、更に性能の改善、特に低抵抗化がは
かれる。該第三の層を形成する含フッ素重合体フィルム
は、厚さが好ましくは5〜50μmの厚みであり、特に
は10〜30μmが好ましい。イオン交換容量は、第二
の層よりも好ましくは0.1〜0.4ミリ当量/g乾燥
樹脂、特には0.2〜0.3ミリ当量/g乾燥樹脂大き
くなるようにし、好ましくは0.7〜1.8ミリ当量/
g乾燥樹脂、特に好ましくは1.0〜1.5ミリ当量/
g乾燥樹脂から選ばれる。
【0018】上記第一の層、第二の層及び第三の層の含
フッ素重合体フィルムは、既知の種々の方法で製造され
る。また各フィルムを複層一体化する方法としては、平
板プレス、ロールプレス等が挙げられる。複層化すると
きのプレス温度は好ましくは60〜280℃、圧力は平
板で好ましくは0.1〜100kg/cm2 の範囲、ロ
ールプレスで好ましくは0.1〜100kg/cmの範
囲にて行われる。また各層のフィルムの積層は、その有
するイオン交換基の分解を招かないような適宜のイオン
交換基の形態、これがスルホン酸基のときには、−SO
2F型 で行うのが好ましく、しかるのち−SO3M(M
=H又はアルカリ金属) に転換される。また積層後の
イオン交換膜の全厚みは好ましくは100〜450μ
m、特には150〜300μmにするのが適切である。
【0019】本発明の含フッ素陽イオン交換膜は、必要
に応じ、好ましくはポリテトラフルオロエチレンなどの
含フッ素重合体からなる織布、不織布、フィブリル、多
孔体又は金属製のメッシュなどで補強することができ
る。また本発明で使用する含フッ素陽イオン交換膜は、
そのままでももちろん優れた特性を発揮するが、必要に
応じてその一方又は両方の膜面にガス及び液透過性を有
しかつ電極活性粒子を含む多孔質層(米国特許第422
4121号等参照)、或いは、ガス及び液透過性を有し
かつ電極不活性粒子からなる多孔質層(特開平6ー33
281号公報等参照)を設けて、その性質を一層改良す
ることができる。
【0020】本発明の含フッ素陽イオン交換膜を使用し
た電解槽は、単極型でも複極型でもよい。また電解槽を
構成する材料は、例えば塩化カリウム水溶液の電解の場
合、陽極室には塩化カリウム水溶液及び塩素に耐性があ
るもの、例えば弁金属、チタンが使用され、陰極室には
水酸化カリウム及び水素に耐性がある鉄、ステンレス又
はニッケルなどが使用される。また本発明の含フッ素陽
イオン交換膜を使用して塩化カリウム水溶液の電解を行
うプロセス条件としては、従来既知のものを含めた種々
の条件が採用できる。
【0021】例えば、陽極室には好ましくは2.0〜
4.5規定(N)の塩化カリウム水溶液を供給し、陰極
室には水又は希釈水酸化カリウム水溶液を供給し、好ま
しくは温度80℃〜120℃、電流密度10〜100A
/cm2 で電解される。この場合、塩化カリウム水溶液
中のカルシウム及びマグネシウムなどの不純物イオンは
含フッ素イオン交換膜の性能の劣化を招くので、それら
を可及的に少なくするのが好ましい。また陽極における
酸素の発生を極力防止するために塩酸などの酸を塩化カ
リウム水溶液に添加することもできる。また、塩化カリ
ウム水溶液の濃度が2.0〜4.5規定(N)であると
き、水酸化カリウム水溶液の濃度が20〜40重量%に
て電解を行うことが好ましい。
【0022】
【作用】本発明において、上記含フッ素陽イオン交換膜
を採用することにより、濃度25〜35%というような
高濃度水酸化カリウムであっても90%以上の高い電流
効率の達成が可能であり、しかも低抵抗でかつ製品とな
る水酸化カリウム中の不純物である塩化カリウム含有量
は5ppm(50%水酸化カリウム中)以下という高品
質のものを取得できる。この理由は以下のように考えら
れるが、この記述により本発明を何ら限定するものでは
ない。すなわち、高純度水酸化カリウムを製造しようと
場合における塩化カリウムの陽極室から陰極室への洩れ
は、陽イオン交換膜の陰極に面する層の含水率が高いこ
とに起因すると考えられる。そこで陰極に面する層とし
て、低含水率を有する特定のスルホン酸基を有する層を
存在させることにより、陰極室への塩化カリウムイオン
の浸入を防止できると考えられる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明するが、本
発明がこれにより何ら制限をうけないことはもちろんで
ある。
【0024】《実施例1》 内容量10l(10リットル)のステンレス製耐圧反応
容器に、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペン
タフルオロプロパンを2.86kg、a,a′−アゾビ
スイソブチロニトリル2.9gを仕込み、次いで3.7
2kgの(A)モノマーである、
【化5】 と780gの()モノマーのCF2=CFOC37
仕込んだ。充分脱気を行なった後、重合温度70℃まで
昇温し、()モノマーである、四弗化エチレンにて所
定圧11.2kg/cm2 まで昇温し、反応を行なわせ
た。四弗化エチレンを導入しつつ重合を行ない、圧力を
該所定圧に保った。8時間後に反応を停止し、得られた
ポリマーを充分に洗浄、乾燥してイオン交換容量0.8
2ミリ当量/gの三元共重合体3.1kgを得た。この
三元共重合体中のC/(A+B+C)のモル比は0.04
3であり、以下この三元共重合体をAとする。
【0025】次に、同じ反応容器に、1,3−ジクロロ
−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンを2.
57kg、a,a′−アゾビスイソブチロニトリル7.
8gを仕込み、次いで、
【化6】 を3.40kg仕込んだ。充分脱気を行なった後、重合
温度70℃まで昇温し、四弗化エチレンにて所定圧1
1.4kg/cm2 まで昇温し、四弗化エチレンを導入
しつつ重合を行ない、圧力を該所定圧に保った。
【0026】7時間後に反応を停止し、得られたポリマ
ーを充分に洗浄し、乾燥を行ない、イオン交換容量0.
91ミリ当量/g乾燥樹脂の共重合体を3.0kg得
た。以下この二元共重合体をBとする。三元共重合体A
を温度220℃で押出製膜し、厚さ80μmのフィルム
(以下、適宜フィルムAと云う)とした。次に二元共重
合体Bを温度220℃で押出製膜し、厚さ120μmの
フィルム(以下、適宜フィルムBと云う)とした。三元
共重合体フィルムAと二元共重合体フィルムBを温度2
20℃でロールを用いて積層を行ない2層膜とした後、
ジメチルスルホキシド30重量%、水酸化カリウム15
重量%の水溶液中に浸漬し、次いで水に浸漬することに
より、含フッ素陽イオン交換膜を得た。
【0027】次に、上記で得た含フッ素陽イオン交換膜
を電解槽内でフィルムAが陰極に面するように配置し
て、以下の如く塩化カリウム水溶液の電解を行なった。
電解槽として有効膜面積:0.25dm2 、陽極:Ru
2 被覆Ti製エクスパンドメタル、陰極:活性ニッケ
ル被覆Fe製エクスパンドメタル、極間:3mmからな
る電解槽を使用し、180g/リットルの塩化カリウム
水溶液及び水をそれぞれ陽極室及び陰極室に供給しなが
ら、陰極室の水酸化カリウム濃度を32重量%に保ちつ
つ、温度90℃、電流密度30A/dm2 の条件で電解
を行なった。この結果電流効率は97.0%であり、電
圧は3.35Vであった。生成水酸化カリウム溶液中の
塩化カリウム含量は4ppmであった。電解を30日行
なった後、膜を観察したが異常は認められなかった。
【0028】《実施例2》実施例1に記載した方法と同
様にして、イオン交換容量が1.10ミリ当量/g乾燥
樹脂である、
【化7】 とCF2=CF2との二元共重合体Cを得た。次にこの二
元共重合体Cを温度220℃で押出製膜し、厚さ30μ
mのフィルムとした(以下、このフィルムを適宜フィル
ムCと云う)。実施例1で使用したフィルムA、Bを使
用し、さらに第三の層としてフィルムCを使用した。こ
れらA、B及びCのフィルムをこの順序で実施例1と同
様にしてロールを用いて積層を行ない、3層膜を製造し
た。こうして得た陽イオン交換膜を実施例1に記載した
のと同様の条件で加水分解をし、電解槽内でフィルムA
が陰極に面するように配置し、実施例1に記載したのと
同様の条件で電解を行なった。この結果電流効率は9
7.2%であり、電圧は3.15%であった。生成水酸
化カリウム溶液中の塩化カリウム含量は4ppmであっ
た。電解を150日行なった後、膜を観察したが異常は
認められなかった。
【0029】《比較例1》
【化8】 とCF2=CF2を共重合してイオン交換量が0.82ミ
リ当量/g乾燥樹脂である二元共重合体を得、これを押
出製膜して厚さ80μmのフィルムを得た。以下このフ
ィルムをDとする。次にフィルムDと実施例1で用いた
フィルムBとを使用し、実施例1と同様な方法でロール
を用いて220℃の温度で積層して陽イオン交換膜を製
造した。該陽イオン交換膜を使用して実施例1と同様な
方法で塩化カリウム水溶液の電解を行なったところ、電
流効率は97%であった。しかし、電圧が除々に上昇し
たため、解体して膜を調べたところ電解15日後、積層
界面にて一部剥離を生じていた。
【0030】《比較例2》内容量10l(10リット
ル)のステンレス製耐圧反応容器に、イオン交換水65
00g、C817COONH4 を13g、Na2HPO4
・12H2Oを32.5g、NaH2PO4・2H2Oを1
9.5g、(NH4228 を1.7g仕込み、次い
で1300gのCF2=CFO(CF23COOCH3
仕込んだ。充分脱気を行なった後、重合温度57℃に昇
温し、四弗化エチレンを11.0kg/cm2 まで導入
し反応を行なわせた。4.5時間後に反応を終了し、得
られたポリマーを充分に洗浄、乾燥してイオン交換容量
1.44ミリ当量/g乾燥樹脂の二元共重合体1520
gを得、これにPTFE粒子を2.7%添加し、温度2
30℃で押出製膜し厚さ260μmのフィルムを得た。
【0031】次に上記と同じ反応容器にイオン交換水6
500g、C817COONH4を13g、Na2HPO4
・12H2Oを32.5g、NaH2PO4・2H2Oを1
9.5g、(NH4228を1.7g、イソプロパノ
ールを0.46g仕込み、次いで845gのCF2=C
FO(CF23COOCH3 と450gのCF2=CF
OC37を仕込んだ。充分脱気を行なった後、重合温度
57℃に昇温し、四弗化エチレンを12.4kg/cm
2 まで導入して反応を行なわせた。4.5時間後に反応
を終了し、得られたポリマーを充分に洗浄、乾燥してイ
オン交換容量0.86ミリ当量/gの三元共重合体12
90gを得た。この三元共重合体を温度230℃で押出
製膜し厚さ20μmのフィルムを得た。
【0032】次いで、以上で得た2種類のフィルムを2
30℃でロールを用いて積層を行ない2層膜とした後、
12重量%の水酸化カリウム水溶液で加水分解した。こ
うして得たカルボン酸基をイオン交換基とする膜を用
い、実施例1と同様な方法で塩化カリウム水溶液の電解
を行なったところ、電流効率は95%であった。生成水
酸化カリウム溶液中の塩化カリウム含量は20ppm
(50%換算)であった。電解を150日行なった後、
膜を観察したが異常は認められなかった。本比較例2の
膜は前述特公昭62ー1652号公報に準じて製造した
ものであるが、本発明の場合、生成水酸化カリウム溶液
中の塩化カリウム含量の点でさらに改善されたことが認
められる。
【0033】
【発明の効果】水、酸、アルカリ又は塩化アルカリ水溶
液などの種々の電解に使用される高性能の新規な含フッ
素陽イオン交換膜が提供されるとともに、陽イオン交換
膜を用いる塩化カリウム水溶液の電解により不純物であ
る塩化カリウム含有量が5ppm以下の試薬グレードの
高純度水酸化カリウムを高エネルギー効率にて製造する
ことができる。また本含フッ素陽イオン交換膜はその使
用時にふくれや剥離を生ずることがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−92185(JP,A) 特開 昭57−39186(JP,A) 特開 昭55−58228(JP,A) 特開 昭63−8425(JP,A) 特開 昭60−243129(JP,A) 特開 昭60−251290(JP,A) 特開 昭62−1652(JP,A) 特開 平6−33281(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25B 13/08 302 C08J 5/22 101 C25B 1/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スルホン酸基を有する含フッ素重合体フィ
    ルムの少なくとも2層から構成され、陰極に面する第一
    の層が下記の単量体(A)、(B)及び(C)の三元
    重合体からなり、厚みが50〜150μmであり、第二
    の層の厚みが50〜300μmであることを特徴とする
    電解用陽イオン交換膜。 【化1】(A) CF2=CF(OCF2CFCF3m
    O(CF2n SO3M 〔ここでm=0又は1、n=1〜5、Mは水素又はアルカ
    リ金属である〕 (B) CF2=CF2 〔ここでm=0又は1、Rfは炭素数1〜10のパーフ
    ルオロアルキル基である〕
  2. 【請求項2】第一の層のイオン交換容量が0.5〜1.
    0ミリ当量/g乾燥樹脂であり、第二の層のイオン交換
    容量が0.6〜1.4ミリ当量/g乾燥樹脂であり、第
    二の層のイオン交換容量が第一の層のそれよりも0.1
    〜0.4ミリ当量/g乾燥樹脂大きい請求項1記載の電
    解用陽イオン交換膜。
  3. 【請求項3】第二の層の陽極側に、イオン交換容量が、
    第二の層のそれよりも大きい0.7〜1.8ミリ当量/
    g乾燥樹脂であり、スルホン酸基を有する含フッ素重合
    体フィルムの第三の層を有する請求項1又は2記載の電
    解用陽イオン交換膜。
  4. 【請求項4】陽イオン交換膜により区画された陽極室及
    び陰極室を有する電解槽の陽極室に塩化カリウム水溶液
    を供給して電解し、陰極室に水酸化カリウムを生成せし
    める高純度水酸化カリウムの製造方法において、上記陽
    イオン交換膜として請求項1、2又は3の陽イオン交換
    膜を使用することを特徴とする高純度水酸化カリウムの
    製造方法。
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