JP3505891B2 - 油種識別装置および油種識別方法 - Google Patents

油種識別装置および油種識別方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2種類のガスセン
サを用いて、被検ガスの種類、たとえばガソリンの蒸気
および軽油の蒸気のいずれであるかを識別することがで
きる油種識別装置およびガス識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ガソリンスタンドにおいては給油
機の多機能化によりガソリンと軽油の両方を1台の給油
機で給油できるようになった。ところが、これに伴い、
ガソリンと軽油とを間違えるという誤給油によるエンス
ト事故が多発するようになり問題となっている。この対
策として、給油の直前に車両の燃料タンク内の蒸気を吸
い出し、ガソリンか軽油かを識別しガソリン車とディー
ゼル車の判別を行うシステムの開発が進められている。
現在、このシステムのガス検出手段としては、吸引した
ガスに超音波をあて、その反射波から被検ガスがガソリ
ンか否かを判別する方式等が採用されている。ここで、
ガソリン車とディーゼル車とにおける燃料タンク内の蒸
気成分の違いは、そのガス濃度にある。すなわち、低沸
点成分を主成分とするガソリンは、燃料タンク内で高濃
度の蒸気を発生するのに対して、沸点が100〜200
℃の成分を多く含む軽油は、室温では燃料タンク内で極
めて低い濃度の蒸気を発生する。従って、室温において
燃料タンク内の蒸気からガソリン車およびディーゼル車
の識別を行うためには、数百ppm〜数十%という極め
て広範囲の濃度のガスに対して安定した感度を持つガス
センサが必要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の油種識別装置では、軽油の蒸気の濃度が極めて
低いことから、それを検出できる高価な超音波発受信機
(1式20〜30万円)を用いる必要があり、装置が高
価格化するという問題がある。また、従来の超音波発受
信機を用いた油種識別装置では、被検ガスが空気である
場合と軽油の蒸気である場合とでその出力が同じであ
る。そのため、燃料タンク内の蒸気を被検ガスとして吸
引するための被検ガス吸引ポンプが故障したり、被検ガ
ス吸引ノズルが目づまりするなどの異常事態が生じ、空
気に対して識別が行われた場合に、それを軽油の蒸気で
あるとして誤って識別してしまうことがある。そのた
め、このような異常事態が生じると、ガソリン車の燃料
タンクに軽油を給油してしまう可能性があるという問題
がある。
【0004】本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑
みてなされ、ガソリンと軽油とを安定して正確にしかも
安価な装置で識別できる油種識別装置およびその方法を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明の油種識別装置は、被検ガスの濃度に応
じた放熱量に基づいて、前記被検ガスがガソリンの蒸気
である場合に出力がハイレベルになり、前記被検ガスが
軽油の蒸気である場合に前記出力がローレベルとなる熱
伝導型ガスセンサと、前記被検ガスに反応して酸化され
当該酸化により電子物性が変化する金属酸化物半導体を
有し、当該金属酸化物半導体の前記電子物性の変化に基
づいて、前記被検ガスが前記ガソリンまたは前記軽油の
蒸気である場合に出力がハイレベルになる金属酸化物半
導体型ガスセンサと、前記熱伝導型ガスセンサの出力お
よび前記金属酸化物半導体型ガスセンサの出力の双方が
前記ハイレベルの場合に、前記被検ガスはガソリンの蒸
気であると識別し、前記熱伝導型ガスセンサの出力が前
記ローレベルであり、且つ前記金属酸化物半導体型ガス
センサの出力が前記ハイレベルの場合に、前記被検ガス
は軽油の蒸気であると識別する判別手段とを有する。
【0006】 本発明の油種識別装置は、好ましくは、
前記判別手段は、さらに、前記熱伝導型ガスセンサの出
力および前記金属酸化物半導体型ガスセンサの出力の双
方が前記ローレベルの場合に、前記被検ガスは空気であ
ると識別する。
【0007】 本発明の油種識別方法は、熱伝導型ガス
センサが、被検ガスの濃度に応じた放熱量に基づいて、
前記被検ガスがガソリンの蒸気である場合にハイレベル
を示す出力を行い、前記被検ガスが軽油の蒸気である場
合にローレベルを示す出力を行う第1の工程と、金属酸
化物半導体型ガスセンサが、前記被検ガスに反応して酸
化され当該酸化により電子物性が変化する金属酸化物半
導体の前記電子物性の変化に基づいて、前記被検ガスが
前記ガソリンまたは前記軽油の蒸気である場合に前記ハ
イレベルを示す出力を行う第2の工程と、前記第1の工
程の前記熱伝導型ガスセンサの出力および前記第2の固
定の前記金属酸化物半導体型ガスセンサの出力の双方が
前記ハイレベルを示す場合に、前記被検ガスはガソリン
の蒸気であると識別し、前記第1の工程の前記熱伝導型
ガスセンサの出力が前記ローレベルを示し、且つ前記第
2の工程の前記金属酸化物半導体型ガスセンサの出力が
前記ハイレベルを示す場合に、前記被検ガスは軽油の蒸
気であると識別する第3の工程とを有する。
【0008】 本発明の油種識別方法は、好ましくは、
前記第3の工程は、前記第1の工程の前記熱伝導型ガス
センサの出力および前記第2の工程の前記金属酸化物半
導体型ガスセンサの出力の双方が前記ローレベルを示す
場合に、前記被検ガスは空気であると識別する。
【0009】
【0010】
【作用】本発明の油種識別装置では、第1ガスセンサに
よって、比較的高濃度な被検ガスとしての第1油の蒸気
が検出される。この第1ガスセンサでは、比較的低濃度
な被検ガスとしての第2の油の蒸気を検出することはで
きない。そこで、本発明では、第2ガスセンサによって
比較的低濃度な被検ガスとしての第2油の蒸気を検出す
る。したがって、本発明では、判別手段によって、前記
第1ガスセンサおよび第2ガスセンサの出力パターンに
基づいて、前記被検ガスがガソリンなどの第1油の蒸気
か、第2油としての軽油の蒸気かのいずれであるかを識
別することができる。
【0011】さらに具体的に説明すると、本発明の油種
識別装置では、装置内部に被検ガスが流入されると、こ
の被検ガスの雰囲気中に、第1ガスセンサおよび第2ガ
スセンサが置かれる。この被検ガスによる第1ガスセン
サの出力および第2ガスセンサの出力が判別手段に入力
される。判別手段では、前記第1ガスセンサの出力およ
び前記第2ガスセンサの出力の双方が基準値以上の場合
に、前記被検ガスがガソリンの蒸気であると識別する。
また、判別手段では、前記第1ガスセンサの出力が基準
値以下であり、前記第2ガスセンサの出力が基準値以上
の場合に、前記被検ガスが軽油の蒸気であると識別す
る。これは、低沸点成分を主成分とするガソリンは、高
濃度の蒸気を発生するのに対して、沸点が100〜20
0℃の成分を多く含む軽油は、室温では極めて低い濃度
の蒸気を発生するという事実に基づく。
【0012】また、本発明の油種識別装置において、前
記判別手段によって、前記第1ガスセンサの出力および
前記第2ガスセンサの出力の双方が基準値以下の場合に
は、前記被検ガスが空気であると識別する。これは、第
1ガスセンサは低濃度のガスに対しては応答せず、第2
ガスセンサは低濃度のガスに対して高感度で応答する
が、低濃度のガスと空気との区別も高感度で行うことが
できるからである。
【0013】本発明のガス識別方法では、第1ガスセン
サが比較的高濃度の被検ガスに応答する。また、第2ガ
スセンサが比較的低濃度の被検ガスに応答する。そし
て、本発明の方法では、前記第1ガスセンサおよび第2
ガスセンサの出力パターンに基づいて、前記被検ガスの
種類、たとえばガソリンの蒸気および軽油の蒸気のいず
れであるかを識別する。
【0014】本発明の油種識別方法では、流入する被検
ガスの雰囲気中に、第1ガスセンサおよび第2ガスセン
サが置かれる。そして、第1ガスセンサの出力および第
2ガスセンサの出力の双方が基準値以上の場合に、前記
被検ガスはガソリンの蒸気であると識別される。また、
前記第1ガスセンサの出力が基準値以下であり、前記第
2ガスセンサの出力が基準値以上の場合に、前記被検ガ
スは軽油の蒸気であると識別される。これは、低沸点成
分を主成分とするガソリンは、高濃度の蒸気を発生する
のに対して、沸点が100〜200℃の成分を多く含む
軽油は、室温では極めて低い濃度の蒸気を発生するとい
う事実に基づく。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に係る油
種識別装置およびその方法について説明する。本実施形
態に係る油種識別装置は、例えばガソリンスタンドにお
いて、ガソリンと軽油とを切り換えて給油を行う給油機
に装着して用いられる。
【0016】第1実施形態 図1は、本実施形態に係る油種識別装置21の構成図で
ある。図1に示すように、油種識別装置21は、センサ
部23および識別部24で構成される。
【0017】まず、図1に示すセンサ部23について説
明する。図2は、図1に示すセンサ部23の構成図であ
る。図2に示すように、センサ部23は、図中左側の側
面に形成され被検出ガスを流入する流入口20aと、図
中右側の側面に形成され被検出ガスを流出する流出口2
0bとを有する容器20を有する。容器20の内部に
は、第1ガスセンサとしての熱伝導型ガスセンサ1と、
第2ガスセンサとしての金属酸化物半導体型ガスセンサ
2とが設けてある。
【0018】図2に示す熱伝導型ガスセンサ1について
説明する。熱伝導型ガスセンサ1は、参照用センサ部5
とガス検出用センサ部9とで構成される。参照用センサ
部5は、密封された容器4の内部に参照用ヒータ3を収
納して構成される。参照用ヒータ3の両端には、電源2
2から電圧Vが印加される。このとき、参照用ヒータ3
は、密封された容器4の内部に位置するため、容器20
に流入される被検出ガスの影響を受けず、常に、一定の
放熱量を持つ。本実施形態では、容器4の内部には標準
ガスとして空気を入れている。また、本実施形態では、
電源22の電圧Vとして、例えばヒータ印加電流が8m
Aとなる電圧を用いている。
【0019】ガス検出用センサ部9は、被検出ガス流出
入口8が形成された容器7の内部にガス検出用ヒータ6
を収納して構成される。ガス検出用ヒータ6の両端に
は、参照用ヒータ3と同様に、電源22から電圧Vが印
加される。このとき、流入口20aを介して容器20に
被検出ガスが流入されると、流出入口8を介して容器7
に被検出ガスが流入し、ガス検出用ヒータ6は流入ガス
の雰囲気中に置かれる。そのため、ガス検出用ヒータ6
の放熱量は、流入された被検出ガスの種類や濃度に応じ
て変化する。
【0020】熱伝導型ガスセンサ1では、参照用センサ
部5とガス検出用センサ部9との放熱量の差分を検出
し、この検出結果に応じて被検ガスの有無を判断でき
る。放熱量の差分は、たとえば端子14,14間に印加
される電力と、端子15,15間に印加される電力との
差を検出すれば良い。図1に示すように、この検出結果
に応じたセンサ出力S1は、熱伝導型ガスセンサ1から
識別部24に出力される。この熱伝導型ガスセンサ1
は、数%〜数十%程度の比較的高濃度のガスに対してリ
ニアな感度を持つ。本実施形態では、被検ガスがガソリ
ンである場合には、センサ出力S1は図3(A)に示す
出力30aのようにハイレベル(「1」)になる。ま
た、被検ガスが軽油である場合には、センサ出力S1は
図3(B)に示す出力30bのようにローレベル
(「0」)になる。さらに、被検ガスが空気である場合
には、センサ出力S1は図3(C)に示す出力30cの
ようにローレベルになる。
【0021】次に、図2に示す金属酸化物半導体型ガス
センサ2について説明する。図2に示すように、金属酸
化物半導体型ガスセンサ2は、絶縁基板10の表面に形
成された一対の対向電極11を薄膜状の金属酸化物半導
体12で覆った構成になっている。絶縁基板10の裏面
には基板加熱用ヒータ13が設けてある。この基板加熱
用ヒータ13には、端子16から電力が供給される。ま
た、対向電極11には、検出用端子17,17がそれぞ
れ接続してある。本実施形態では、金属酸化物半導体1
2としてSnO2 (酸化すず)を用いており、動作温度
を400℃としている。金属酸化物半導体12として
は、その他、Fe23 、ZnOあるいはその他の金属
酸化物などを用いることができる。
【0022】金属酸化物半導体型ガスセンサ2では、金
属酸化物半導体12が被検ガス雰囲気中に置かれると、
被検ガスが金属酸化物半導体12の表面の酸素に反応し
て酸化され、金属酸化物半導体12から酸素が奪われ
る。このとき、かかる反応に伴い、被検ガスと金属酸化
物半導体12との間で電子の授受が行われ、その結果、
金属酸化物半導体12の電子物性が変化する。この金属
酸化物半導体12の電子物性の変化は電極間抵抗値の変
化として現れることから、金属酸化物半導体型ガスセン
サ2では、電極間抵抗値の変化を検出することで、被検
ガスの有無を判断する。この金属酸化物半導体12によ
れば、数千ppm以下の低濃度ガスに対しても優れた感
度を有する。
【0023】本実施形態では、この検出された電極間抵
抗値に応じた図1に示すセンサ出力S2が金属酸化物半
導体型ガスセンサ2から識別部24に出力される。本実
施形態では、被検ガスがガソリンである場合には、熱伝
導型ガスセンサ2からのセンサ出力S2は図3(A)に
示す出力31aのようにハイレベルになる。また、被検
ガスが軽油である場合には、センサ出力S2は図3
(B)に示す出力31bのようにハイレベルになる。さ
らに、被検ガスが空気である場合には、センサ出力S2
は図3(C)に示す出力31cのようにローレベルにな
る。
【0024】図4(A)は被検ガスのガス濃度と熱伝導
型ガスセンサ1および金属酸化物半導体型ガスセンサ2
のセンサ出力S1’,S2’との関係を示すグラフであ
り、図4(B)は図4(A)におけるガス濃度1%付近
を拡大して示したグラフである。図4(A),(B)に
示すように、熱伝導型ガスセンサ1のセンサ出力S1’
は、被検ガスのガス濃度の増加に比例して線形的に増加
する。熱伝導型ガスセンサ1では、被検ガスが図4
(A),(B)に示す点線の部分、すなわちガス濃度0
〜1%付近の場合には、センサ出力S1’はノイズの影
響が大きく、殆ど「0」に近くなり、検出不能になる。
本実施形態では、識別部24において、熱伝導型ガスセ
ンサ1からのセンサ出力S1’を、図4(B)に示すし
きい値Aを用いて2値化してセンサ出力S1を生成す
る。このとき、センサ出力S1は、被検ガスがガソリン
の蒸気である場合にはハイレべル、軽油の蒸気である場
合にはローレベル、空気である場合にはローレベルにな
る。
【0025】また、図4(A),(B)に示すように、
金属酸化物半導体型ガスセンサ2のセンサ出力S2’
は、被検ガスのガス濃度の増加に比例して曲線的に増加
する。金属酸化物半導体型ガスセンサ2では、その特性
から、ガス濃度1%以下の場合でも高精度なガス検出を
行うことができる。本実施形態では、識別部24におい
て、図4(A),(B)に示す金属酸化物半導体型ガス
センサ2からのセンサ出力S2’を、図4(B)に示す
しきい値Bを用いて2値化することでセンサ出力S2を
生成する。このとき、センサ出力S2は、被検ガスがガ
ソリンの蒸気である場合にはハイレベル、軽油の蒸気で
ある場合にはハイレベル、空気である場合にはローレベ
ルになる。
【0026】以上、本実施形態に係る油種識別装置21
およびその方法によれば、被検ガスがガソリンの蒸気、
軽油の蒸気および空気のいずれであるかを正確に識別で
きる。そのため、燃料タンク内の蒸気を被検ガスとして
吸引するための被検ガス吸引ポンプが故障したり、被検
ガス吸引ノズルが目づまりするなどの異常事態が生じ、
空気に対して識別が行われた場合でも、被検ガスを軽油
の蒸気であるとして誤って識別することはない。その結
果、かかる異常事態が生じても、ガソリン車の燃料タン
クに軽油を給油することを回避できる。また、本実施形
態に係る油種識別装置21およびその方法によれば、高
価な超音波受発信機を用いる必要がなくなり、装置の低
価格化が図れる。
【0027】なお、理論的には、油種識別装置21にお
いて、熱伝導型ガスセンサ1を用いずに、金属酸化物半
導体型ガスセンサ2のみを用いて、油種の識別を行うこ
とも可能である。しかしながら、金属酸化物半導体型ガ
スセンサ2は、ガソリンの蒸気などの高ガス濃度の被検
ガスの識別において経時変化が大きく長期的安定性に欠
けるといった問題がある。一方、本実施形態に係る油種
識別装置21においては、ガソリンの蒸気の識別を熱伝
導型ガスセンサ1を用いて行っているため、長期間安定
した識別を行うことができる。
【0028】第2実施形態 次に、本発明の他の実施形態に係る油種識別装置につい
て説明する。本実施形態に係る油種識別装置は、基本的
には、図1に示す装置と同様であるが、センサ部23の
構成が相違する。すなわち、本実施形態に係るセンサ部
23aは、第1ガスセンサとしての熱伝導型ガスセンサ
1と、第2ガスセンサとしての表面電位型ガスセンサ2
aとを有する。本実施形態のセンサ部23aは、図2に
示すセンサ部23と比較し、金属酸化物半導体型ガスセ
ンサ2の代わりに、表面電位型ガスセンサ2aを用いて
いる点のみが相違し、その他は同一なので、共通する部
分の説明は一部省略し、相違する点に関して説明する。
【0029】図5に示す表面電位型ガスセンサ2aは、
たとえばシリコンなどで構成される半導体基板12a上
に絶縁膜として薄い酸化膜11aを形成し、さらにその
表面に、吸着活性な貴金属触媒からなる薄膜10aを形
成してある。半導体基板12aとしては、たとえばp型
シリコン基板などが用いられる。酸化膜11aは、たと
えば半導体基板12の表面を熱酸化することにより得る
ことができ、その厚さは、約10nm程度である。貴金
属触媒から成る薄膜10aとしては、たとえば蒸着法に
より成膜された厚さ10nm程度のパラジウム層が好ま
しく用いられる。
【0030】半導体基板12aの裏面には触媒金属膜1
0aと対向する位置に電極13aが形成され、触媒金属
膜10aとの対向電極を構成する。還元性の被検ガス
が、この触媒金属膜10aに吸着すると、その該金属膜
10aの仕事関数が変化し、この結果、絶縁膜11aと
半導体基板12aとの界面の電子濃度が変化する。これ
を、電極間の電位変化、あるいは静電容量変化として、
検出用端子17aから検出する。
【0031】本実施形態の表面電位型ガスセンサ2a
は、以上の様な動作原理から、数千ppm以下の低濃度
ガスに対しても優れた感度を示すといった特徴を持って
いる。また、熱伝導型センサ1は、第1実施形態で前述
したように、数%〜数十%程度の比較的高濃度のガスに
対してリニアな感度を持つ。
【0032】一方、ガソリン車、軽油車における燃料タ
ンク内蒸気成分の違いはそのガス濃度にある。すなわ
ち、低沸点成分を主成分とするガソリンでは燃料タンク
内で高濃度の蒸気を発生するのに対し、沸点が100〜
200°Cの成分を多く含む軽油では温室で発生する蒸
気は極めて低濃度なものとなる。従って、燃料タンク内
蒸気成分からガソリン車、軽油車の判別を行うには、数
百ppm〜数十%という極めて広範囲のガス濃度に対し
安定な感度を持つガスセンサが必要となる。しかしなが
ら、一般にこういった性能を単一のガスセンサに求める
のは不可能である。
【0033】本実施形態では、上述の様な特徴を持つ2
種類のガスセンサを組合わせることで、このような、ガ
ソリン蒸気と軽油蒸気の識別を可能ならしめるものであ
る。すなわち、本実施形態によれば、図3(A)に示す
ように、ガソリン蒸気に対しては熱伝導型ガスセンサ1
および表面電位型ガスセンサ2aの双方が、軽油蒸気に
対しては、表面電位型ガスセンサ2aのみが応答し、ま
た、空気に対してはいずれも応答しないというように、
これら2種類のガスセンサの応答特性の組合わせ(出力
パターン)が、ガソリン、軽油、空気に対し、それぞれ
ガス種に応じた特有のものとなる。このため、これらの
出力パターンを比較することで、ガス種の識別が容易と
なる。
【0034】また、実際の給油機においては、ガス吸引
ポンプの故障、ガス吸引ノズルの目ずまりといった異常
発生が懸念されるが、この場合、従来の超音波法では空
気および軽油に対しいずれも出力が『0』となるため、
この『0』出力が軽油蒸気に対するものなのか、あるい
は、これら異常事態に起因するものなのかが区別できな
い。このため、例えば、ガス吸引ポンプが故障した場合
に、ガソリン蒸気を軽油蒸気と誤認識してしまうという
ことが避けられなかった。これに対し、本実施形態にお
いては、図3(B),(C)に示すように、軽油と空気
とで異なった出力パターンが得られるため、上述の様な
異常が発生しても、ガソリンか軽油かの判定を下さない
状態を維持し続けるので、誤給油という最悪の事態を招
くことなく、従業員に対し異常事態を察知するようにし
むけることが可能となる。
【0035】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れず、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば前述した実施形態では、第1油の蒸気として、
ガソリンの蒸気を検出し、第2油の蒸気として軽油の蒸
気を検出するように構成したが、本発明では、第1油お
よび第2油の蒸気として、沸点が相違するその他の油の
蒸気の識別に用いることもできる。また、本発明のガス
識別方法では、油以外の沸点の異なる液体の蒸気の識別
も可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明の油種識別装置によれば、第1ガ
スセンサおよび第2ガスセンサの出力パターンから被検
ガスがガソリンなどの第1油の蒸気か、軽油などの第2
油の蒸気かのいずれであるかを正確に識別できる。その
ため、本発明の油種識別装置およびその方法をガソリン
スタンドの給油機などに用いれば、車両に誤った油を給
油することを回避できる。また、本発明の油種識別装置
およびその方法によれば、高価な超音波受発信機を用い
る必要がなくなり、装置の低価格化が図れる。また、本
発明の油種識別装置によれば、第1ガスセンサの出力お
よび第2ガスセンサの出力が基準値以上であるか以下で
あるかを判断することで、被検ガスがガソリンの蒸気お
よび軽油の蒸気のいずれであるかを正確に識別できる。
また、本発明の油種識別装置によれば、被検ガスが空気
であることを識別することができる。そのため、装置が
故障して被検ガスとして空気が流入された場合に、装置
の故障をユーザが容易に知ることができる。また、本発
明のガス識別方法によれば、第1ガスセンサおよび第2
ガスセンサの出力パターンから、被検ガスの種類、たと
えばガソリンの蒸気および軽油の蒸気のいずれであるか
を正確に識別できる。さらに、本発明のガス識別方法に
よれば、第1ガスセンサの出力および第2ガスセンサの
出力が基準値以上であるか以下であるかを判断すること
で、被検ガスがガソリンの蒸気および軽油の蒸気のいず
れであるかを正確に識別できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る油種識別装置の構成図
である。
【図2】図1に示すセンサ部の構成図である。
【図3】被検ガスの種類に応じた図1に示す熱伝導型ガ
スセンサおよび金属酸化物半導体型ガスセンサの出力を
説明するための図であり、(A)は被検ガスのガソリン
の蒸気の場合、(B)は被検ガスが軽油の蒸気の場合、
(C)は被検ガスが空気である場合の図である。
【図4】(A)は被検ガスのガス濃度と熱伝導型ガスセ
ンサおよび金属酸化物半導体型ガスセンサのセンサ出力
の関係を示すグラフ、(B)は(A)におけるガス濃度
1%付近を拡大して示したグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係る油種識別装置の構成図
である。
【符号の説明】
1… 熱伝導型ガスセンサ 2… 金属酸化物半導体型ガスセンサ 2a… 表面電位型ガスセンサ 3… 参照用ヒータ 4,7,20… 容器 5… 参照用センサ部 6… ガス検出用ヒータ 8… 流出入口 9… ガス検出用センサ部 10… 絶縁基板 10a… 薄膜 11… 対向電極 11a… 絶縁膜 12… 金属酸化物半導体 12a… 半導体基板 13… 基板加熱用ヒータ 13a… 電極 23,23a… センサ部 24… 識別部 25… 制御装置

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検ガスの濃度に応じた放熱量に基づい
    て、前記被検ガスがガソリンの蒸気である場合に出力が
    ハイレベルになり、前記被検ガスが軽油の蒸気である場
    合に前記出力がローレベルとなる熱伝導型ガスセンサ
    と、 前記被検ガスに反応して酸化され当該酸化により電子物
    性が変化する金属酸化物半導体を有し、当該金属酸化物
    半導体の前記電子物性の変化に基づいて、前記被検ガス
    が前記ガソリンまたは前記軽油の蒸気である場合に出力
    がハイレベルになる金属酸化物半導体型ガスセンサと、 前記熱伝導型ガスセンサの出力および前記金属酸化物半
    導体型ガスセンサの出力の双方が前記ハイレベルの場合
    に、前記被検ガスはガソリンの蒸気であると識別し、前
    記熱伝導型ガスセンサの出力が前記ローレベルであり、
    且つ前記金属酸化物半導体型ガスセンサの出力が前記ハ
    イレベルの場合に、前記被検ガスは軽油の蒸気であると
    識別する判別手段とを有する油種識別装置。
  2. 【請求項2】前記判別手段は、さらに、前記熱伝導型ガ
    スセンサの出力および前記金属酸化物半導体型ガスセン
    サの出力の双方が前記ローレベルの場合に、前記被検ガ
    スは空気であると識別する請求項1に記載の油種識別装
    置。
  3. 【請求項3】熱伝導型ガスセンサが、被検ガスの濃度に
    応じた放熱量に基づいて、前記被検ガスがガソリンの蒸
    気である場合にハイレベルを示す出力を行い、前記被検
    ガスが軽油の蒸気である場合にローレベルを示す出力を
    行う第1の工程と、 金属酸化物半導体型ガスセンサが、前記被検ガスに反応
    して酸化され当該酸化により電子物性が変化する金属酸
    化物半導体の前記電子物性の変化に基づいて、前記被検
    ガスが前記ガソリンまたは前記軽油の蒸気である場合に
    前記ハイレベルを示す出力を行う第2の工程と、 前記第1の工程の前記熱伝導型ガスセンサの出力および
    前記第2の固定の前記金属酸化物半導体型ガスセンサの
    出力の双方が前記ハイレベルを示す場合に、前記被検ガ
    スはガソリンの蒸気であると識別し、前記第1の工程の
    前記熱伝導型ガスセンサの出力が前記ローレベルを示
    し、且つ前記第2の工程の前記金属酸化物半導体型ガス
    センサの出力が前記ハイレベルを示す場合に、前記被検
    ガスは軽油の蒸気であると識別する第3の工程とを有す
    る油種識別方法。
  4. 【請求項4】前記第3の工程は、前記第1の工程の前記
    熱伝導型ガスセンサの出力および前記第2の工程の前記
    金属酸化物半導体型ガスセンサの出力の双方が前記ロー
    レベルを示す場合に、前記被検ガスは空気であると識別
    する請求項3に記載の油種識別方法。
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