JP3567521B2 - ガス識別装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はガス識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス識別装置として、ガソリン蒸気と軽油蒸気とを識別するガス識別装置について例示する。
近年、ガソリンスタンドにおいては給油機の多機能化により、ガソリンと軽油とを1台の給油機で車両に給油できるようになっている。この便利さは、裏からみれば、誤操作または誤判断をすると、ガソリンと軽油とを間違えて車両に給油するという、誤給油を引き起こす可能性が高くなることを意味している。たとえば、誤給油をすると、車両はエンストを起こすことがある。
【0003】
このような誤給油を防止する対策として、給油の直前に車両の燃料タンク内の蒸気を抽出して燃料タンクの燃料がガソリンか軽油かを識別し、その車両がガソリン車がディーゼル車かを判別するシステムの開発が進められている。
【0004】
このシステムのガス識別装置としては、当初、よく知られている接触燃焼式ガスセンサを使用していたが、(1)システムの要求仕様が5年であるのに対してその接触燃焼式ガスセンサセンサの寿命が1年程度と短いこと、(2)接触燃焼式ガスセンサは水抜き剤のアルコールに対して誤動作することがあること、(3)接触燃焼式ガスセンサは応答時間が遅いなどの問題が見出され、接触燃焼式ガスセンサを用いた実用化には到らず、現在は、接触燃焼式ガスセンサを用いたシステムの開発は見送られている。
【0005】
上記接触燃焼式ガスセンサに代わるガス識別装置として、現在は、車両の燃料タンクから吸引したガスに超音波を照射し、その反射波の特性の違いから識別(検知)の対象となるガス(被検ガス)がガソリンガスか否かを判別する方法が試みられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、超音波方式のガス識別装置を用いた場合、(1)軽油ガスと空気との識別ができないためガス吸引ポンプが故障した場合に誤判定を起こす、(2)ガスの濃度が低い場合に不定領域を持ち、ガスの識別が正確にできない、(3)超音波発信・受信装置の価格が20〜30万円と高価格であり、システム全体の価格が高くなるという問題を有している。つまり、超音波方式のガス識別装置を用いる場合、信頼性、正確性、価格の面で、問題がある。
【0007】
なお、ガソリンガスと軽油ガスとの識別には適用が試みられてはいないが、一般的にみると、ガス識別装置としては、実開昭59−146760号公報、特開昭52−48397号公報、特開昭56−148047号公報などに開示されている熱伝導式ガスセンサが知られている。
熱伝導式ガスセンサは、抵抗温度特性の顕著な抵抗線からなるガス検知素子を電気的に自己加熱させてこれに被検ガスを接触させたときにガス検知素子から奪われる熱量がガスの種類および濃度によって変化し、これがガス検知素子の電気抵抗の変化として現れるのでこれを検出することによりガスの種類を識別することを検出原理としている。したがって、熱伝導式ガスセンサは、理論的には、熱伝導度の異なる殆どのガスを検知できるという利点を有している。
しかしながら、熱伝導式ガスセンサはガスの種類に対する選択性は殆どない。そこで、ガスを識別するには、熱伝導式ガスセンサは、基準となるガスに対して正側負側逆の熱伝導度を有する2種のガスについて両者を同時に存在させないという条件を設けて動作させて初めて、熱伝導式ガスセンサでガスの種類と濃度を検知することができる。
また熱伝導度は各ガスに対して固有の値を持つが、あらゆる条件下で一定ではなく温度に対して変化することが知られている。
特開昭52−48397号公報は、そのようなガス検知素子として、半導体物質の単結晶からなり、正の温度係数を有する低比抵抗の薄膜に高温に耐える電極を設けて構成することが好ましいことを開示している。
【0008】
しかしながら、これらの文献に開示されている熱伝導式ガスセンサはそのままではガソリンガスの識別または軽油ガスの識別には利用できない。
実開昭59−146760号公報は、上述した熱伝導式ガスセンサの特質を考慮して、水素ガスとメタンガスとを検知可能にするため、ブリッジ回路に2つのガス検知素子を接続し、水素ガス検知のための電圧とメタンガス検知のための電圧を交互にブリッジ回路に印加するように構成したガス警報器を開示している。しかしながら、実開昭59−146760号公報に開示されたガス警報器は、ガソリンと軽油との識別には使用できない。また1つのブリッジ回路の2つの辺に2つのガス検知素子を接続しており、正確なガス識別を行うことができない。
【0009】
特開昭56−148047号公報も、実開昭59−146760号公報に開示された事項と同様に上述した熱伝導式ガスセンサの特質を考慮して、検知対象とするガスをその検知の妨害となるガスの影響を受けることなく選択的に検出するガス識別装置を開示しており、この場合、妨害となるガスの影響を相殺するため、妨害となるガスの種類だけガス検知素子をブリッジ回路に組み込んで、その検出信号をキャンセルに使用する回路を提案している。キャンセル演算を行うためには、n次元1次連立方程式の解を求めるために係数乗算器、加算器、減算器を設ける。
しかしながら、特開昭56−148047号公報に開示された熱伝導式ガスセンサをガソリンガスと軽油ガスの識別に用いる場合を仮定すると、ガソリンガスを識別する場合に妨害になるガスの影響をキャンセルするための回路と、軽油ガスを識別する場合に妨害になるガスの影響をキャンセルするための回路との2系列の複雑な回路が必要になるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、ガソリンと軽油とを正確に、信頼性高く識別可能なガス識別装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、低価格で、ガソリンと軽油とを識別可能なガス識別装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、応答性の良好で、ガソリンと軽油とを識別可能なガス識別装置を提供することにある。
本発明の目的は、長期間、安定に使用可能な、ガソリンと軽油とを識別可能なガス識別装置を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、ガソリンと軽油の識別に限らず、ある被検ガスを信頼性高く識別可能なガス識別装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(a)第1のヒータ、該第1のヒータを収容する密閉容器を有し、該密閉容器内に一定の濃度の標準ガスを封入した第1の熱伝導式ガス検知部と、(b)第2のヒータと、該第2のヒータを収容し該第2のヒータに接触する被検ガスを導入する開口を有する容器とを有する第2の熱伝導式ガス検知部と、(c)前記第1の熱伝導式ガス検知部の前記第1のヒータに電力を印加し、その時の第1のヒータの抵抗値を検出する第1の電力印加・ヒータ特性検出手段と、(d)前記第2の熱伝導式ガス検知部の前記第2のヒータに電力を印加し、その時の前記第2のヒータの抵抗値を検出する第2の電力印加・ヒータ特性検出手段と、(e)前記第1の電力印加・ヒータ特性検出手段で検出した前記第1のヒータの抵抗値と前記第2の電力印加・ヒータ特性検出手段で検出した前記第2のヒータの抵抗値とが等しいときは前記被検ガスを前記標準ガスと識別し、標準ガスと異なる被検ガスについては、前記第2のヒータに印加する電力を変化させて得られた第2のヒータの抵抗値の変化パターンに基づいて被検ガスの種類を識別する、識別処理手段とを有するガス識別装置が提供される。
【0013】
好ましくは、前記第2のヒータの抵抗値の変化パターンにより複数種類のガスを識別する。
特定的には、前記第2のヒータの抵抗値の変化パターンにより識別される複数種類のガスは、ガソリン蒸気および軽油蒸気であり、前記第1の熱伝導式ガス検知部の前記密閉容器に封入された前記標準ガスは一定圧力の空気である。
【0014】
また好ましくは、(a)前記第1の電力印加・ヒータ特性検出手段は、前記第1のヒータを組み込んだ第1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路に電力を印加する第1の電源とを有し、前記第1のブリッジ回路に一定の電力を印加し、前記第1のブリッジ回路に前記電力が印加されたときの前記第1のヒータの抵抗値を検出し、(b)前記第2の電力印加・ヒータ特性検出手段は、前記第2のヒータを組み込んだ第2のブリッジ回路と、前記第2のブリッジ回路に電力を印加する第2の電源とを有し、前記第2のブリッジ回路に前記第2のヒータの温度が変化するように電力を変化させて印加し、前記第2のブリッジ回路に前記電力が印加されたときの前記第2のヒータの抵抗値を検出する。
【0015】
また好ましくは、前記識別処理手段で識別した被検ガスの種類を出力する出力手段をさらに備えることができる。
【0016】
さらに好ましくは、前記識別処理手段で識別した被検ガスの種類を出力する出力手段をさらに備える。
【0017】
【作用】
本発明においては、上述した特質を有する熱伝導式ガスセンサを2つ設ける。2つの熱伝導式ガスセンサの一方を密閉容器に封入した標準ガスを用いて参照用熱伝導式ガスセンサとし、他方を被検ガスを導入する被検ガス用熱伝導式ガスセンサとする。
ガスの種類によって熱伝導度が異なる。従って、ヒータと接触するガスの種類によってヒータの放熱特性、すなわち、抵抗値が変化する。また、ガスの濃度によっても、ヒータの放熱特性(抵抗値)が変化する。さらにヒータの動作温度によっても、ヒータの放熱特性が変化する。ガス識別装置で識別の対象とするガスの種類を予め定めておき、そのガスに対するヒータの放熱特性も事前に調査しておく。
標準ガスを用いた一方の熱伝導式ガスセンサの検出出力と、被検ガスが導入される他方の熱伝導式ガスセンサの検出出力とが一致していれば、被検ガスは標準ガスとして識別できる。一致しないときは、他方の熱伝導式ガスセンサの検出出力が事前に調査したヒータの抵抗値の変化パターンを参照してパターン認識すれば、被検ガスが識別できる。
【0018】
ガソリン蒸気か軽油蒸気かを識別するときは、標準ガスとしては空気が都合がよい。その理由は、給油機を用いる場合の周囲のガスは空気であり、被検ガスとしてガソリンガスまたは軽油ガスが存在しない場合は、検出出力が0を示すからパターン認識が容易である上、ガソリンガスか軽油ガスかの識別が確実であるからである。さらに、空気は安価であり、取扱が容易であるからである。
【0019】
【実施例】
本発明のガス識別装置の実施例として、被検ガスとしてガソリン蒸気か軽油蒸気かを識別する給油機に適用するガス識別装置について例示する。
図1は給油機に適用可能なガス識別装置の構成図である。
このガス識別装置は、基台8に第1の熱伝導式ガス検知部としての参照用素子3と、第2の熱伝導式ガス検知部としての検出用素子7とが搭載された熱伝導式ガス検出部10を有する。
参照用素子3は、所定の圧力の標準ガス2Aを封入している密閉容器2と、密閉容器2の内部に収容されている参照用ヒータ1とを有しており、参照用ヒータ1には基台8を貫通して外部から参照用ヒータ1への電線12が接続されている。参照用ヒータ1としては特開昭52−48397号公報に示されている材質のものを用いることができる。
ここで、密閉容器2内に封入されている標準ガス2Aは空気である。標準ガス2Aとして空気を用いる理由は、給油機を用いる場合の周囲のガスは空気であり、被検ガスとしてガソリンガスまたは軽油ガスが存在しない場合は、後述するように、検出出力が0を示すからパターン認識が容易である上、ガソリンガスまたは軽油ガスの識別が容易であり、空気は安価であり、取扱が容易であるからである。
【0020】
検出用素子7は、外壁に第1のガス流入口6aと第2のガス流入口6bとからなるガス流入口6が設けられている容器5と、容器5の内部に収容されているガス検出用ヒータ4を有しており、ガス検出用ヒータ4には基台8を貫通して外部からガス検出用ヒータ4への電線14が接続されている。ガス検出用ヒータ4としては特開昭52−48397号公報に示されているものを用いることができる。
【0021】
ガス識別装置はまた、参照用ヒータ1への電線12を介して参照用ヒータ1に電力(電流)を供給するとともに、標準ガス2Aが参照用ヒータ1に接触することによって変化する参照用ヒータ1の抵抗を検出する回路を有する参照用ヒータ用(第1の)電力印加および抵抗検出回路16を有する。
参照用ヒータ1および第1の電力印加および抵抗検出回路16の好適な回路例としては、たとえば、特開昭56−148047号公報にも開示されているような、ブリッジ回路である。
その回路を図2に示す。図2において、抵抗器161〜163と共にブリッジ回路を構成するように、ブリッジ回路160の1辺に、参照用ヒータ1への電線12を介して参照用ヒータ1が接続されている。このブリッジ回路160には電源164が接続されており、ブリッジ回路160を介して参照用ヒータ1に電流が印加される。標準ガス2Aとしての空気と接して変化する参照用ヒータ1の電気抵抗がブリッジ回路160に接続された増幅回路166を介して検出され、その検出信号が識別処理装置22に入力される。
参照用素子3と第1の電力印加および抵抗検出回路16とで、熱伝導式ガスセンサを構成している。
【0022】
またガス識別装置は、ガス検出用ヒータ4への電線14を介してガス検出用ヒータ4に電力(電流)を供給するとともに、第1のガス流入口6aおよび第2のガス流入口6bから導入された被検ガスがガス検出用ヒータ4に接触することによって変化するガス検出用ヒータ4の抵抗を検出する回路を有するガス検出用ヒータ用(第2の)電力印加および抵抗検出回路18を有する。
ガス検出用ヒータ4と第2の電力印加および抵抗検出回路18の好適な回路例としては、図2に示すようなブリッジ回路である。ただし、この場合、図2に示した電源164は、ガス検出用ヒータ4への電力印加が、識別処理装置22からの指令に応じて、変化可能に構成されていることが望ましい。その理由は、後述するように、ガス検出用ヒータ4へ印加する電力の大きさに応じてガス検出用ヒータ4の温度を変化させることができ、ヒータ4の温度変化に応じた放熱特性が得られるからである。
【0023】
また、ガス識別装置は、参照用ヒータ用電力印加および抵抗検出回路16からの参照用ヒータ1の放熱特性検出信号、具体的には、参照用ヒータ1の抵抗値と、ガス検出用ヒータ用電力印加および抵抗検出回路18からのガス検出用ヒータ4の放熱特性検出信号、具体的には、ガス検出用ヒータ4の抵抗値とを入力して、事前に調査したヒータの放熱特性(抵抗値変化パターン)を参照してパターン認識することにより、被検ガスを識別する識別処理装置22を有している。
さらに、ガス識別装置は識別処理装置22の識別結果を出力する識別結果出力装置24を有する。
好適には、識別処理装置22における識別条件などを設定し、変更する条件設定装置26を有する。
【0024】
図1および図2に図解した構成から明らかなように、参照用素子3と電力印加および抵抗検出回路16とを組合せた構成、および、検出用素子7と電力印加および抵抗検出回路18を組み合わせた構成は、特開昭56−148047号公報にも記載されている特質を有する熱伝導式ガスセンサである。
本発明においても、特開昭56−148047号公報の第2図に図解されたと同様のブリッジ回路が2つ設けられることになるが、特開昭56−148047号公報においては、一方は妨害ガスの影響を除去するためのブリッジ回路であるのに対して、本発明は標準ガス2A(たとえば、空気)を密閉し、この標準ガス2Aに対する参照用素子3のためのブリッジ回路であり、その目的は全く異なる。
つまり、参照用素子3は標準ガス20として封入された空気を検出する熱伝導式ガス検知部である。また、検出用素子7は第1のガス流入口6aおよび第2のガス流入口6bから容器5内に導入されてガス検出用ヒータ4に接触する被検ガスを検出する熱伝導式ガス検知部である。
【0025】
本発明の実施例の熱伝導式ガスセンサの検出原理を述べる。
ガスの種類およびその濃度に応じて熱伝導度が異なる。ヒータは従って、接触するガスの種類とその濃度に応じて放熱特性が異なることになる。またこの放熱特性はヒータの動作温度、換言すれば、ヒータに印加する電力の大小によっても異なる。
勿論、参照用素子3には、密閉容器2の中に密閉状態で標準ガス20としての空気が所定圧力(一定の濃度)で封入されており、この空気が参照用ヒータ1と接触するから、参照用ヒータ1の放熱特性は一定である。しかしながら、検出用素子7のガス検出用ヒータ4にはガソリン蒸気または軽油蒸気が被検ガスとして接触するから、これら被検ガスの種類と濃度に応じてガス検出用ヒータ4の放熱特性が変化する。
【0026】
参照用ヒータ1への電線12およびガス検出用ヒータ4への電線14から、図2に示したブリッジ回路を有する第1の電力印加および抵抗検出回路16および第2の電力印加および抵抗検出回路18から、参照用ヒータ1およびガス検出用ヒータ4に、ある大きさの電力(電流)を印加して、参照用ヒータ1およびガス検出用ヒータ4を加熱する。
参照用素子3内の参照用ヒータ1は密閉されている標準ガス2Aとしての空気が接触するから、被検ガスの有無、種類に依らず一定の放熱量を示し、その出力は、標準ガス20としての空気によって規定される一定の値である。
一方、検出用素子7内のガス検出用ヒータ4の放熱量は被検ガスの種類、濃度に応じて変化するから、その出力は第1のガス流入口6aおよび第2のガス流入口6bからガス検出用ヒータ4に導かれた被検ガスの種類、濃度に応じて変化する。
その例として、市販のガソリンと軽油とに対する実験した結果を図3(A)、(B)に示す。この実験では、ガス検出用ヒータ4に印加する電流を、4mA、6mA、8mA、10mAと変化させたときの、ガス検出用ヒータ4への電力印加(駆動電流)値および抵抗検出回路18の出力(電圧)をプロットしたものである。測定雰囲気温度は25°C、相対湿度50%であった。
なお、抵抗検出回路18は上述したように、図2に図解した抵抗検出回路16と同様の回路構成をしている。したがって、抵抗検出回路18の出力は、図2におけるブリッジ回路160の端子電圧を増幅回路166で増幅した値を示しており、増幅回路166の出力値は、結果的に、ブリッジ回路160の一辺に接続されたヒータ4の抵抗値を示している。
ガス検出用ヒータ4への電力印加(駆動電流)値および抵抗検出回路18の出力をプロットすると、図3(A)に示したガソリンガスの放熱特性は、主として、+側で上に凸状の曲線であり、図3(B)に示した軽油ガスの放熱特性は−側で下降する曲線である。なお、ガソリンガスの濃度および軽油ガスの濃度を変えると、出力の値は変化するが、曲線のパターンは第3図(A)、(B)に図解した曲線と同様の形になった。
【0027】
このように、ガソリンガスと軽油ガスとでは、熱伝導特性が大きく異なるから、上記の放熱特性のパターンを参照して、この相違を考慮すると、ガソリンガスと軽油ガスとを識別できる。
識別処理装置22には、マイクロコンピュータが内蔵されており、参照用ヒータ用電力印加および抵抗検出回路16からの検出出力とガス検出用ヒータ用電力印加および抵抗検出回路18からの検出出力とを、図3(A)、(B)に例示した事前に求められ識別処理装置22に記憶されている放熱特性のパターンを参照してパターン認識して、被検ガスを識別する。
識別処理装置22は識別した結果を識別結果出力装置24に出力する。たとえば、識別結果出力装置24はガソリンであることを示す発光ダイオードと軽油であることを示す発光ダイオードとが設けられており、識別されたガスを示す発光ダイオードが点灯する。
【0028】
本発明のガス識別装置の動作をより具体的に述べる。
参照用ヒータ用の電力印加および抵抗検出回路16と、ガス検出用ヒータ用の電力印加および抵抗検出回路18とは、参照用ヒータ1の動作温度とガス検出用ヒータ4の動作温度とが異なるように、参照用ヒータ1とガス検出用ヒータ4に給電を行う。なお、参照用ヒータ1への給電は一定でよい。つまり、参照用ヒータ1への電力印加および抵抗検出回路16は参照用ヒータ1に一定の電流を印加する。これに対して、好適には、ガス検出用ヒータ4への電力印加および抵抗検出回路18は識別処理装置22からの指令に基づいて、ガス検出用ヒータ4の温度が変化するようにガス検出用ヒータ4への印加電流を変化させる。つまり、図1の破線で示したように、識別処理装置22とガス検出用ヒータ4への電力印加および抵抗検出回路18とが協働して、図2に示した電源164の出力電流を変化させて、ガス検出用ヒータ4の印加電流を変化させる。
このようにして互いに動作温度の異なる温度で動作させた参照用ヒータ1とガス検出用ヒータ4の放熱特性を示す信号、つまり、ヒータの電気抵抗値を識別処理装置22が、参照用ヒータ用の電力印加および抵抗検出回路16、および、ガス検出用ヒータ用の電力印加および抵抗検出回路18を介して入力し、識別処理装置22は、図3(A)、(B)に示したようなガスの種類に応じた特異なパターンを参照して、たとえば、ニューラルネットワークによるパターン認識、または、多変量解析の1種の主成分分析法などを適用して、ガス検出用ヒータ4に接触した被検ガスの種類を識別する。識別結果は識別結果出力装置24に出力される。
【0029】
なお、識別処理装置22におけるパターン認識条件を変更する場合、または、ガス検出用ヒータ4の加熱条件を変更する場合は、条件設定装置26を用いて識別処理装置22の関連する条件を変更する。
【0030】
以上述べたように、本実施例のガス識別装置においては、参照用ヒータ1とガス検出用ヒータ4との温度差をその抵抗値の変化として検出できるから、被検ガスの検知に際して化学反応を伴わず高速に応答する。
ガス感応部分は参照用ヒータ1およびガス検出用ヒータ4であるから、つまり、ヒータであるから、長期的に安定して動作するから、寿命が長い。
また、標準ガス2Aとして空気を用いているから、被検ガスが空気の場合、出力が0となり、給油機に本実施例のガス識別装置を適用した場合でも、ガス吸引ポンプの故障があっても、誤判定になることがない。ガソリンガスと軽油ガスとの識別も容易である。
さらに本実施例のガス識別装置は正確に信頼性高く被検ガスを識別できる。
本実施例のガス識別装置は超音波を用いるガス識別装置に比較して低価格で製造できる。
【0031】
本発明の実施に際しては上述した実施例に限定されない。
たとえば、識別処理装置22における識別アルゴリズムとしては、上述したニューラルネットワークによるパターン認識、または、主成分分析法などに限定されず、識別処理装置22に内蔵させているマイクロコンピュータの信号処理を活用する他のパターン認識方法を適用することができる。
【0032】
また本発明のガス識別装置は、ガソリンガスと軽油ガスの識別にのみ限定されず、他の被検ガスの識別にも適用できる。勿論、その場合は、標準ガス2Aを空気から他の適切なガスに置き換え、参照用ヒータ用の電力印加および抵抗検出回路16およびガス検出用ヒータ用の電力印加および抵抗検出回路18のブリッジ回路の条件、電力印加方法を変え、識別処理装置22の識別アルゴリズムも適宜変更する。
【0033】
【発明の効果】
本発明のガス識別装置をガソリンガスおよび軽油ガスの識別のためのガス識別装置として構成した場合、たとえば、給油機に本発明のガス識別装置を適用した場合、ガス吸引ポンプの故障があっても、誤判定になることがない。
本発明のガス識別装置は超音波を用いるガス識別装置に比較して低価格で製造できる。
特に、標準ガスとしては空気を用いているので、パターン認識が容易である上、ガソリンガスまたは軽油ガスの識別が確実である。さらに、空気は安価であり、取扱が容易である。
【0034】
また本発明のガス識別装置を一般的なガス識別装置として考えた場合、参照用ヒータとガス検出用ヒータとの温度差をその抵抗値の変化として検出できるから、被検ガスの検知に際して化学反応を伴わず高速に応答する。
ガス感応部分は参照用ヒータおよびガス検出用ヒータを用いており、長期的に安定して動作するから、信頼性が高く、寿命が長い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス識別装置の実施例としてのガソリンと軽油を識別するガス識別装置の構成図である。
【図2】図1に示した参照用素子または検出用素子と協働する電力印加および抵抗検出回路の回路構成例を示す図である。
【図3】図1に示したガス識別装置で識別する被検ガスに応じた特性を示すグラフであり、図3(A)はガソリン蒸気の特性図であり、図3(B)は軽油蒸気の特性図である。
【符号の説明】
1・・参照用ヒータ
2・・密閉容器
3・・参照用素子(第1の熱伝導式ガス検知部)
4・・ガス検出用ヒータ
5・・容器
6・・ガス流入口
6a・・第1のガス流入口
6b・・第2のガス流入口
7・・検出用素子(第2の熱伝導式ガス検知部)
8・・基台
10・・熱伝導式ガス検出部
12・・参照用ヒータへの電線
14・・ガス検出用ヒータへの電線
16・・参照用ヒータ用(第1)の電力印加および抵抗検出回路
18・・ガス検出用ヒータ用(第2)の電力印加および抵抗検出回路
20・・電源
22・・識別処理装置
24・・識別結果出力装置
26・・条件設定装置
Claims (5)
- 第1のヒータ、該第1のヒータを収容する密閉容器を有し、該密閉容器内に一定の濃度の標準ガスを封入した第1の熱伝導式ガス検知部と、
第2のヒータと、該第2のヒータを収容し該第2のヒータに接触する被検ガスを導入する開口を有する容器とを有する第2の熱伝導式ガス検知部と、
前記第1の熱伝導式ガス検知部の前記第1のヒータに電力を印加し、その時の第1のヒータの抵抗値を検出する第1の電力印加・ヒータ特性検出手段と、
前記第2の熱伝導式ガス検知部の前記第2のヒータに電力を印加し、その時の前記第2のヒータの抵抗値を検出する第2の電力印加・ヒータ特性検出手段と、
前記第1の電力印加・ヒータ特性検出手段で検出した前記第1のヒータの抵抗値と前記第2の電力印加・ヒータ特性検出手段で検出した前記第2のヒータの抵抗値とが等しいときは前記被検ガスを前記標準ガスと識別し、標準ガスと異なる被検ガスについては、前記第2のヒータに印加する電力を変化させて得られた第2のヒータの抵抗値の変化パターンに基づいて被検ガスの種類を識別する、識別処理手段と
を有するガス識別装置。 - 前記第2のヒータの抵抗値の変化パターンにより複数種類のガスを識別する、
請求項1記載のガス識別装置。 - 前記第2のヒータの抵抗値の変化パターンにより識別される複数種類のガスは、ガソリン蒸気および軽油蒸気であり、
前記第1の熱伝導式ガス検知部の前記密閉容器に封入された前記標準ガスは一定圧力の空気である、
請求項2記載のガス識別装置。 - 前記第1の電力印加・ヒータ特性検出手段は、前記第1のヒータを組み込んだ第1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路に電力を印加する第1の電源とを有し、前記第1のブリッジ回路に一定の電力を印加し、前記第1のブリッジ回路に前記電力が印加されたときの前記第1のヒータの抵抗値を検出し、
前記第2の電力印加・ヒータ特性検出手段は、前記第2のヒータを組み込んだ第2のブリッジ回路と、前記第2のブリッジ回路に電力を印加する第2の電源とを有し、前記第2のブリッジ回路に前記第2のヒータの温度が変化するように電力をが変化させて印加し、前記第2のブリッジ回路に前記電力が印加されたときの前記第2のヒータの抵抗値を検出する、
請求項3記載のガス識別装置。 - 前記識別処理手段で識別した被検ガスの種類を出力する出力手段をさらに備えた、
請求項1〜4いずれか記載のガス識別装置。
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