JP4016076B2 - ガス識別方法 - Google Patents
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Description
法に関する。
るガスセンサが開発されている。そして、従来より、半導体、特に金属酸化物半導体が、
O2、N2O、COなどのガスと接触すると、導電率が変化することを利用したガスセンサが実用化されている。
化亜鉛)、Fe2O3(三酸化二鉄)などのn型の半導体を主成分として構成されている。可燃性ガスのない大気中では、前記感ガス部の表面に大気中の(電子吸引性を有した)酸素が吸着され、前記感ガス部の電気抵抗は極めて高くなっている。
と、可燃性ガスが前記感ガス部の表面に吸着されていた酸素と反応し、その結果、吸着酸
素が減少することになる。前記感ガス部の表面から電子吸引性を有した酸素が減少すると
、前記吸着酸素に捕獲されていた伝導電子が解放されるため、前記感ガス部の電気抵抗が
減少することになる。換言すれば、前記吸着酸素に捕獲されていた伝導電子が自由になっ
て導電率が上昇することになる。すなわち、前記ガスセンサは、この電気抵抗や導電率の
変化を利用したものである。また、前記ガスセンサには、上記の化学反応を促進させるた
め、前記感ガス部を加熱するヒーターが設けられ、前記感ガス部の表面の活性化が図られ
ている。
高いため、使い易いガスセンサとして広く用いられており、例えば、一般家庭用のガス漏
れ警報機にも採用されている。ところが、上記の動作原理から明らかなように、前記ガス
センサは、その種類を問わずほとんどの可燃性ガスに対して反応してしまうため、ガスの
選択性は低いという欠点を有していた。そのため、例えば、ヘアースプレーを使用した時
など、ガス漏れ以外でも反応してしまい、ガス漏れ警報機の誤動作を引き起こすおそれが
あった。
過させるフィルターで覆うなどの対策が採られていた。しかしながら、フィルターの種類
によってガスセンサで検出できるガスの種類が特定されてしまうため、汎用的に使用する
ことはできなかった。また、フィルターの作製が困難な対象ガスについては、対応できな
かった。
外に、ガスや臭いを選択性よく検出することのできる技術を採用することが考えられる。
このような技術については、種々提案されており、例えば、下記の特許文献1〜3に開示
されている。また、下記の特許文献4には、ガスの種類を識別する機能を有したガスメー
タについて開示されている。
組み合わせをパターン認識する情報処理装置とを備え、これら複数のガスセンサの出力の
うち、最大値を示すセンサの出力を「1.0」として全てのセンサ出力を基準化し、これ
ら基準化した出力の組み合わせを前記情報処理装置でパターン認識するようにした技術に
ついて記載されている。
力を、個別に取得する過渡応答出力取り込み工程と、これら複数の半導体式ガスセンサそ
れぞれについて取り込まれた出力に関し、周波数特性を得る周波数特性導出工程とを実行
し、各半導体式ガスセンサ毎に得られる識別対象ガスの周波数特性の関係に基づいて、識
別対象ガスを識別する技術について記載されている。
ければならず、また、複数のガスセンサの出力の組み合わせをパターン認識する機能や、
ガスの周波数特性の関係に基づいて、ガスを識別する機能などを設けなければならず、構
成が複雑になるという問題がある。
の波形の電圧を印加し、該印加された電圧の応答波形を観測し、該観測された応答波形を
フーリエ変換し、該フーリエ変換により得られたスペクトルに基づいて、前記被検ガスを
識別する(例えば、スペクトルのピーク値を予め定めた各ガスの標準ピーク値と比較して
前記被検ガスの種類を識別する)技術について記載されている。しかしながら、特許文献
3に記載されている技術では、フーリエ変換といった複雑な処理を行わなければならず、
高性能な情報処理部が必要になるという問題がある。
を識別することのできるガス識別方法を提供することを目的としている。
する感ガス部の表面の分子軌道計算や、前記感ガス部を加熱するヒーターの変調等によっ
て探ってきた。そして、前記ヒーターを変調させた(すなわち、前記感ガス部の表面温度
を変調させた)時に前記感ガス部からの応答がガスの種類により異なることに気づき、そ
の点に着目し、この応答の違いに基づいて、ガスの種類を識別することを考え、本発明を
完成するに至った。なお、この応答の違いは、ガスの吸脱着の動的特性を反映していると
考えられる。
ノール)雰囲気にしたデシケーター内に厚膜形ガスセンサを配置し、感ガス部を加熱する
ヒーターに対して印加する電圧を変調させて、前記感ガス部からの応答を調べた。「背景
技術」の項目でも説明したが、前記ヒーターに対して電圧が印加され、前記感ガス部の表
面温度が上昇すると、前記感ガス部の表面が活性化され、前記感ガス部の表面に吸着され
ていた酸素とガスとの反応が進み、吸着酸素が減少し、前記感ガス部の抵抗が減少するこ
とになる(すなわち、導電率が上昇することになる)。
からの応答結果を示したグラフである。なお、ここでの応答結果は、前記ヒーターに電圧
が印加され始めてから、導電率上昇のピークが50%になるまでの時間(遅れ時間)で表
している。図中の応答結果R5〜R8それぞれは、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール雰囲気での応答結果を示している。
したグラフである。図9から明らかなように、プロパノールが他の3種のアルコールより
も応答の遅れが小さく、また、メタノールが他の3種のアルコールよりも、ほとんどの場
合で、応答の遅れが大きくなっていることが分かる。
くなっているが、その逆に、電圧の立ち上がり速度が十分に大きい場合(すなわち、方形
波の場合)は、ブタノールがエタノールよりも応答の遅れが小さくなっている。このよう
に、前記ヒーターを変調させた時(すなわち、前記感ガス部の表面温度を変調させた時)
に前記感ガス部からの応答がガスの種類により異なることが分かる。
する加熱部に対して、立ち上がり速度の異なる複数の波形電圧を印加することによって、
前記感ガス部の表面温度を異なる複数の形態に変調させる工程と、これら異なる複数の変
調により得られる、前記感ガス部からの複数の応答結果に基づいて、前記感ガス部の応答
値がピーク関連値に達する遅れ時間の差からガスの種類を識別する工程とを有しているこ
とを特徴としている。
記感ガス部からの応答に基づいて、ガスの種類が識別される。上記したように、前記感ガ
ス部の表面温度を変調させた時に前記感ガス部からの応答がガスの種類により異なる。従
って、簡単な構成で、ガスの種類を識別することができる。これにより、前記感ガス部の
表面を特定のガスだけを通過させるフィルターで覆う必要がなく、汎用的に使用すること
ができる。また、従来、フィルターの作製が困難であったガスについても対応可能となる
。
/sec以上にすると(但し、57mV/sec付近は除く)、メタノールが他の3種のアルコー
ルよりも応答の遅れが大きくなる。また、立ち上がり速度を130mV/sec以下にすると
、エタノールはブタノールよりも応答の遅れが小さくなり、立ち上がり速度を140mV
/sec以上にすると、その逆に、ブタノールがエタノールよりも応答の遅れが小さくなる。
このように、立ち上がり速度を変えることによって違う応答結果を得ることができる。
らの複数の応答に基づいて、ガスの種類が識別される。上記したように、前記ヒーターに
対して印加する立ち上がりの速度が変わると、前記感ガス部から異なる応答結果が得られ
る。従って、識別可能な範囲を広げることができる。
さらに、上記ガス識別方法(1)によれば、前記感ガス部からの応答の時間変化の差に
基づいて、ガスの種類が識別される。図9から明らかなように、前記感ガス部の表面温度
を変調させた時に、前記感ガス部からの応答時間にガスの種類により違いが生じる。この
時間変化の差というのは、比較的容易に判断することができるため、識別処理の負荷を軽
減することができる。従って、処理を複雑にしなくても、ガスの種類を識別することがで
きる。
して、立ち上がり速度の異なる複数の波形電圧を印加することによって、異なる複数の前
記感ガス部の表面温度の変調形態が形成される。前記加熱部に印加される電圧は、温度(
すなわち、前記感ガス部の表面温度)に対応するので、前記感ガス部の表面温度を適切に
変調することができる。また、図9から明らかなように、前記感ガス部の表面を加熱する
前記加熱部(ヒーター)に対して印加する電圧の立ち上がり速度を変えることによって違
う応答結果が得られる。従って、識別可能な範囲を広げることができる。
施の形態(1)に係るガス識別方法を実施するために使用するガスセンサの要部を概略的
に示した図である。
2の表側に形成された一対の電極膜3と、これら一対の電極膜3を覆うように形成された
ガスを感知する感ガス部4と、基板2の裏側に形成された、感ガス部4を加熱するための
ヒーター5とを含んで構成されている。感ガス部4はSnO2を主成分として構成されて
いる。
である。ガスセンサ1を構成する感ガス部4には、感ガス部4の抵抗値を測定するための
電源6(ここでは、5V)と、負荷抵抗7(ここでは、10kΩ)とが接続されており、
負荷抵抗7の両端の電圧Voutを測定することができるようになっている。また、ガスセンサ1を構成するヒーター5には、三角波を発生する発振器8aと増幅器8bとを含んで
構成される三角波電源8が接続されている。
基づいて説明する。まず、立ち上がり速度が所定の大きさの三角波電圧をヒーター5に対
して印加することによって、感ガス部4の表面温度を変調させ(ステップS1)、その変
調により得られる感ガス部4からの応答結果を取得する(ステップS2)。具体的には、
負荷抵抗7の両端の電圧Voutの時間的変化を測定することによって、感ガス部4の抵抗値の時間的変化を測定する。そして、感ガス部4の表面温度の変調により得られる、感ガ
ス部4からの応答結果に基づいて、被検ガスの種類を識別する(ステップS3)。
なガスセンサ1を配置し、立ち上がり速度が43mV/secの三角波電圧をヒーター5に対
して印加することによって、感ガス部4の表面温度を変調させ、その変調により得られる
感ガス部4からの応答結果を示したグラフである。
、電圧Vout(V)を示している。図中の応答結果R1〜R4それぞれは、メタノール(
CH3OH )、エタノール(CH3CH2OH)、プロパノール(CH3(CH2)2OH )、ブタノール(CH3(
CH2)3OH )雰囲気での応答結果を示している。また、図5は、横軸を、ヒーター5に対し
て電力が供給され始めてからの時間(sec )とし、縦軸を、出力電圧Voutの時間変化、
すなわち時間で微分した値(V/sec)として示したグラフである。
ス部4の応答が現れるまでの時間(遅れ時間)がアルコールの種類によって異なっている
ことが分かる。立ち上がり速度が43mV/secの三角波電圧をヒーター5に対して印加し
た場合には、プロパノール(応答結果R3)の応答が最も早く、次いでエタノール(応答
結果R2)、ブタノール(応答結果R4)、そしてメタノール(応答結果R1)の順にな
っていることが分かる。例えば、電圧Voutがピークの50%になるまでの時間(遅れ時
間)は、最も応答の早いプロパノールで74.5sec 、最も応答の遅いメタノールで85
.75sec となり、その時間差は11sec 程度となる。
大きさの三角波電圧をヒーター5に対して印加することによって、感ガス部4の表面温度
を変調させ、その変調により得られる感ガス部4からの応答を観測することにより、ガス
の種類を識別することができる。
)に係るガス識別方法を実施するために使用するガスセンサ、及びガスセンサを含んで構
成されるガス識別装置としては、図1に示したガスセンサ、及び図2に示したガス識別装
置と同じもので良い。
て説明する。まず、立ち上がり速度が所定の大きさの三角波電圧をヒーター5に対して印
加することによって、感ガス部4の表面温度を変調させ(ステップS11)、その変調に
より得られる感ガス部4からの応答結果を取得する(ステップS12)。具体的には、負
荷抵抗7の両端の電圧Voutの時間的変化を測定することによって、感ガス部4の抵抗値
の時間的変化を測定する。
なる大きさの三角波電圧をヒーター5に対して印加し、感ガス部4の表面温度を変調させ
(ステップS14)、その変調により得られる感ガス部4からの応答結果を取得する(ス
テップS15)。
の変調により得られる、感ガス部4からの複数の応答結果(すなわち、立ち上がり速度を
変更したことによって得られる異なる複数の応答結果)に基づいて、被検ガスの種類を識
別する(ステップS16)。
ーター内に上記したようなガスセンサ1を配置し、立ち上がり速度が32mV/sec、43
mV/sec、84mV/sec、133mV/secの三角波電圧をヒーター5に対して印加するこ
とによって、感ガス部4の表面温度を変調させ、その変調により得られる感ガス部4から
の応答結果を示したグラフである。
、電圧Vout(V)を示している。図中の応答結果R1〜R4それぞれは、メタノール(
CH3OH )、エタノール(CH3CH2OH)、プロパノール(CH3(CH2)2OH )、ブタノール(CH3(
CH2)3OH )雰囲気での応答結果を示している。
する電圧の立ち上がり速度とし、縦軸を、ヒーター5に対して電力が供給され始めてから
、感ガス部4の応答(電圧Vout)のピークが50%になるまでの時間(遅れ時間)とし
て示したグラフである。また、図9は、プロパノールの遅れ時間と他の3種のアルコール
の遅れ時間との差を示したグラフである。
さく、また、メタノールが他の3種のアルコールよりも、ほとんどの場合で、応答の遅れ
が大きくなっていることが分かる。また、130mV/secくらいまでは、エタノールがブ
タノールよりも応答の遅れが小さくなっているが、その逆に、電圧の立ち上がり速度が十
分に大きい場合(すなわち、方形波の場合)は、ブタノールがエタノールよりも応答の遅
れが小さくなっている。このように、ヒーター5を変調させた時(すなわち、感ガス部4
の表面温度を変調させた時)に感ガス部4からの応答がガスの種類により異なることが分
かる。
に対して印加することによって、感ガス部4の表面温度を変調させ、その変調により得ら
れる感ガス部4からの複数の応答(すなわち、立ち上がり速度を変更したことによって得
られる異なる複数の応答)を観測することにより、ガスの種類を識別することができる。
上がり速度がそれまでと異なる大きさの三角波電圧をヒーター5に対して印加するといっ
た手順を繰り返すようにしているが、別の実施の形態に係るガス識別方法では、複数のガ
スセンサを設けて、立ち上がり速度が異なる複数の三角波電圧を同時進行で各ヒーターに
対して印加するようにしても良い。
ス識別方法と、上記実施の形態(2)に係るガス識別方法とを組み合わせたものとしても
良い。また、ここでは三角波電圧をヒーター5に対して印加するようにしているが、ヒー
ター5に対して印加する電圧波形は三角波に限定されるものではなく、方形波や、のこぎ
り波、正弦波などその他の波形のものであっても良い。
間の遅れが生じる。そのため、三角波やのこぎり波のような、直線的に上昇する波形電圧
をヒーター5に対して印加したとしても、ヒーター5の温度が直線的ではなく、弧を描い
て上昇するおそれがある。従って、別の実施の形態では、この点を考慮に入れて、ヒータ
ー5の温度が直線的に上昇するようにヒーター5に対して電圧を印加するようにしても良
い。なお、ヒーター5の温度を直線的に上昇させるための適切な電圧の印加方法について
は、試験等を行うことによって求めることができる。
2 基板
3 電極膜
4 感ガス部
5 ヒーター
6 電源
7 負荷抵抗
8 三角波電源
Claims (1)
- ガスを感知する感ガス部の表面を加熱する加熱部に対して、立ち上がり速度の異なる複
数の波形電圧を印加することによって、前記感ガス部の表面温度を異なる複数の形態に変
調させる工程と、
これら異なる複数の変調により得られる、前記感ガス部からの複数の応答結果に基づい
て、前記感ガス部の応答値がピーク関連値に達する遅れ時間の差からガスの種類を識別す
る工程とを有していることを特徴とするガス識別方法。
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2004
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