JP3498140B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
半導体発光素子Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、人間の視感度曲
線に極めて近い発光特性で発光する白色半導体発光素子
に関する。 【0002】 【従来の技術】現在、半導体を用いた白色発光素子(L
ED)としては、2つの方式が存在する。これらを図2
及び図3を用いて説明する。最初に登場した白色LED
(図2参照)は、青色LEDの周りを黄色発光の蛍光体
で覆い、青色LEDから黄色発光の蛍光体を透過して直
接外部に届く青色の光及び青色LEDからの青色光を一
旦黄色発光の蛍光体で吸収し、そこから発せられる黄色
の光とを合成したものである。しかし、この方式は、青
色を一旦吸収して発光する分、効率が低下している。ま
た、作製プロセス上も通常のLEDより、蛍光体を介在
させる分だけ工程が多くなっている。次に、第2の方式
の白色LED(図3参照)は、青色ZnSe LEDのZnSe
基板からの蛍光を利用した白色LEDで、これも基板の
蛍光を利用する分効率が下がっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】白色LEDは、白熱電
球や蛍光灯と比較すると、発光効率が良く、発熱が極め
て少なく、低消費電力なため、白熱電球や蛍光灯に変わ
る光源として注目され、携帯電話等のバックライトに既
に使用されているが、より広く普及させるには、さらに
効率がよく、簡便に大きな面積を作製できることが望ま
れている。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで、ZnO系半導体とG
aN系半導体との接合構造により、人間の視感度曲線に極
めて近い発光特性にて発光する白色LEDを、蛍光体を
使わずに、簡易に製作することとした。ここで、ZnO
系半導体とはZnO, ZnCdO, ZnMgO, ZnCdMgO, ZnOSe, ZnO
S等及びその組み合わせである、ZnCdMgOSSeである。ま
た、GaN系半導体とはGaN, GaInN, AlGaN 及び AlGaI
nNである。 【0005】 【発明の原理及び作用】本願発明のLEDは、次のような
原理により発光する。従来の半導体発光素子は、全て同
じ半導体のp形半導体とn形半導体のpn接合により発光さ
せる仕組みであった。本願発明の発光原理は、異なる半
導体のp形半導体とn形半導体のpn接合により発光させる
新しい原理である。従来のダブルへテロ構造に用いられ
ているヘテロ構造は、屈折率や禁制帯幅が異なると言う
意味でのヘテロであるが、実際は同族半導体の混晶比を
変化したものにすぎなかった。従来の技術では、同族半
導体の混晶比を変化したものですら画期的であったが、
本発明のヘテロ構造は、完全に異族半導体間接合による
ヘテロ構造であり、従来、発光素子作製は困難とされて
きた。 【0006】図1に、p形GaN半導体とn形ZnO半導体とと
を接合した発光デバイスの例を示す。なお、現状では、
ワイドバンドギャップ半導体で、実用に耐えるp形半導
体が実現されているのは、GaN半導体のみであること、
及び、異族半導体においてGaNとZnOほど格子定数が近接
している例は他にないので、p形GaN半導体とn形ZnO半導
体の組み合わせ以外のものにおいても白色半導体発光素
子となる可能性は低いと思われる。 【0007】白色発光は、異種(ヘテロ)半導体接合
(あるいは、異族(ヘテロ)半導体接合と呼んだ方が、
正確かも知れない。)により発生する禁制帯中の準位を
利用する新しい原理を用いて発生させる。サブ準位が形
成される機構として、次のようなサブバンド形成が考え
られる。2-6族と3-5族のような族まで異なる半導体にお
いては、接合界面において結合する電子の過不足が生
じ、このため、同じ4配位でも2と6,3と5であるので、
余って結合しない電子(ダングリングボンド)、足りな
くて電子の穴が空く(ベーカンシー)ようなものを接合
界面に作って電子の過不足を補正しようとする。このよ
うなものが、サブバンドを形成する原因と考えられる。
また、寄与は少ないと思われるが、次のような効果も若
干含まれるものと考えられる。すなわち、バンドギャッ
プが同じであっても、つまり価電子帯と伝導帯の差が同
じでも、実際の価電子帯や伝導帯の位置が微妙に違って
いると考えられるので、接合界面にはポテンシャルの段
差(バンドオフセット)が生じ、それがサブバンドのよ
うに新たな発光再結合プロセスを形成して禁制帯幅中の
エネルギーでの発光を引き起こしているとも考えられ
る。 【0008】このことにより、蛍光体や蛍光剤は不要と
なる。また、上述のように、異族半導体間接合界面のダ
ングリングボンドなどの形成は、その電子の過不足の補
い方が空間構造的に無数の組み合わせが可能で不特定多
数のサブ準位が形成されるために、上記界面準位は、連
続的に分布する。このため、人間の視感度曲線に極めて
近い白色発光スペクトルをもつ発光が可能となる。 【0009】また、n形半導体部分にはZnO系半導体、p
形半導体部分にはCaN系半導体を用い、特に、n形半導体
部分にはエッチングが容易なZnO系半導体を用いること
により、素子への加工性が向上する特徴を持つ。 【0010】 【実施例】本願発明の実施例を第1図を用いて説明す
る。第1図おいて、p形層として、サファイア(0001)面
基板上にMOCVD法を用いてMgをドーピングしてp形GaN層
を積層する。上記p-GaN層上に、n形ZnO層を作製して、p
n接合を形成する。ここで、族の異なるヘテロ接合作製
技術が必要となる。まず、超高真空中でp-GaN層を水素
プラズマ照射により、エッチングを施し、優れた界面形
成の下準備を行う。その水素プラズマ表面処理を経て、
ZnO層の成長を行う。実施例のデバイスにおいては、発
光層として、不純物を添加していないi-ZnO層を導入し
ている。その積層方法としては、MBE法を用いた。超高
純度Zn(純度7N)はKセルから、酸素源は高純度酸素
(純度6N)のプラズマを用いたRFラジカルセルから
それぞれ供給し、10nm程度の極薄いi-ZnO層を成長し
た。成長温度は、450〜600℃程度、成長中の成長室真空
度は10の-6乗Torr程度である。 【0011】最後に極薄いi-ZnO層上に、Gaを高濃度に
ドーピングしたn形ZnO層を成長させる。これも、i-ZnO
層に引き続きMBE法を用い、超高純度Zn(純度7N)はK
セルから、酸素源は高純度酸素(純度6N)のプラズマ
を用いたRFラジカルセルから、そして、ドーピング用
の超高純度Ga(純度7N)は、Kセルから供給した。成
長膜厚は、200nm程度。成長温度は、i-ZnO層より若干低
く350〜450℃程度、成長中の成長室真空度は10の-6乗To
rr程度である。 【0012】電極構造を作製するために、i-ZnO層とn-Z
nO層を塩酸でエッチングする。本発明の発光素子製造過
程の利点のひとつとして、エッチングにはウェットエッ
チングが利用できることが挙げられる。塩酸系エッチャ
ントだと、ZnO系酸化物半導体は良好にエッチングさ
れ、GaN系窒化物半導体は全くエッチングされないとい
う、ほぼ完全な選択エッチング特性が存在する。これ
は、製造プロセスに大きなアドバンテージがあるのみな
らず、将来的にこの異族半導体間ヘテロ接合を利用した
半導体レーザー等構造の複雑なデバイスを作製する際、
選択エッチングが容易で、塩酸で易しくエッチングされ
るZnO系半導体部分にさまざまな構造を作り込むことが
可能となる。半導体レーザークラスの構造の複雑なデバ
イスになると、その構造の形体は現在でも無数に存在す
ることから、新たな短波長系レーザーダイオードの構造
操作の世界が開ける。現在の窒化物半導体レーザーの構
造は、そのエッチングのしにくさから、構造がおのずと
限られ、短波長レーザー構造の発展の妨げとなってい
る。そういった意味でも、本発明のZnO/GaN異族半導体
間ヘテロ接合は新たな可能性を開くものである。 【0013】最後に、n-ZnO層成長表面に負極電極をと
り、エッチングした後に露出するp-GaN層に正極(+)電
極をとる。負極電極金属にはインジウムを、正極電極に
は金を用いる。 【0014】上記説明において、p形GaN層の下地の基
板は、必ずしも上述のサファイア(0001)面基板である必
要はなく、むしろ導電性のある基板としてSiC基板や、
最近開発されつつあるGaN基板の上や、同じサファイア
基板上でも、ELOG(epitaxial lateral pver growth)の
ような技術を応用したGaN層上に作製されたものの方
が、特性が向上する可能性がある。 【0015】また、一部キャリア電子オーバーフロー防
止層として、p-GaN層上にp-AlGaN層を作製してもよい。 【0016】実際発光デバイスを作製する場合には、量
子井戸層などより多くの層が必要となってくる。有力な
活性層と呼ばれる発光層の候補としてZnCdO混晶半導体
が挙げられる。この場合、Cdの含有量によって発光特性
を制御することが可能となる。 【0017】本願発明の図1のLEDを実際に作製して電
流駆動させた時の発光特性を図4に示す。図4は、pn接合
に電流を流したときの発光強度特性と、電圧特性を表し
ている。異種半導体間ヘテロpn接合にもかかわらず、通
常半導体pn接合に見られる整流特性とLED特性が得られ
ている。発光しきい値電圧は約4Vで、注入電流密度は約
50A/cm2であった。 【0018】本願発明の図1のLEDを実際に作製して発
光させた波長特性評価の結果を図5に示す。図5は、いか
なる波長の光がどういった強度で発光しているかを示し
ている。図中の背景の黒い部分は、人間の視覚の視感度
曲線である。従来の白色LEDは、青色発光と蛍光の両方
の発光を利用するので、図6のように2つのピークを持
ち、視感度曲線と重ならないが、本願発明のLEDでは、
連続的に分布するヘテロ接合の界面準位によりスムーズ
で連続的な曲線をもち視感度曲線に近い発光スペクトル
が得られる。 【0019】本願発明の特徴であるn形半導体部分にはZ
nO系半導体、p形半導体部分にはGaN系半導体を用いた異
種半導体間ヘテロpn接合の発光素子の場合、界面準位を
制御することにより、図7のような違う発光特性をもっ
たLEDを作製することも可能である。実際に青緑色に発
光するLEDを作製して発光させた結果を図7に示す。この
ように、本願発明のLEDでは、紫外線領域から、可視光
全域、赤外波長領域にまで、分布するヘテロ接合の界面
準位を制御することにより発光色を変化させることが可
能である。 【0020】 【発明の効果】 本願発明の半導体発光素子は、人間の
視感度曲線と非常に近い連続的に分布する白色発光曲線
を有することから、白熱電球や蛍光灯にとって替わる新
しい時代の照明として普及する可能性がある。また、新
しい半導体ZnOを用いることにより、低消費電力の白色L
EDの普及を向上させることができ、環境対策、省エネル
ギーに貢献することができる。さらに、スピンコートや
スパッタ蒸着により作製できる可能性があるZnO系半導
体を用いることで、高い生産効率が得られることから、
大面積低コスト化が可能であり、白熱電球や蛍光灯にと
って替わる新しい時代の照明として普及する時の普及率
の高さも期待できる。
線に極めて近い発光特性で発光する白色半導体発光素子
に関する。 【0002】 【従来の技術】現在、半導体を用いた白色発光素子(L
ED)としては、2つの方式が存在する。これらを図2
及び図3を用いて説明する。最初に登場した白色LED
(図2参照)は、青色LEDの周りを黄色発光の蛍光体
で覆い、青色LEDから黄色発光の蛍光体を透過して直
接外部に届く青色の光及び青色LEDからの青色光を一
旦黄色発光の蛍光体で吸収し、そこから発せられる黄色
の光とを合成したものである。しかし、この方式は、青
色を一旦吸収して発光する分、効率が低下している。ま
た、作製プロセス上も通常のLEDより、蛍光体を介在
させる分だけ工程が多くなっている。次に、第2の方式
の白色LED(図3参照)は、青色ZnSe LEDのZnSe
基板からの蛍光を利用した白色LEDで、これも基板の
蛍光を利用する分効率が下がっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】白色LEDは、白熱電
球や蛍光灯と比較すると、発光効率が良く、発熱が極め
て少なく、低消費電力なため、白熱電球や蛍光灯に変わ
る光源として注目され、携帯電話等のバックライトに既
に使用されているが、より広く普及させるには、さらに
効率がよく、簡便に大きな面積を作製できることが望ま
れている。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで、ZnO系半導体とG
aN系半導体との接合構造により、人間の視感度曲線に極
めて近い発光特性にて発光する白色LEDを、蛍光体を
使わずに、簡易に製作することとした。ここで、ZnO
系半導体とはZnO, ZnCdO, ZnMgO, ZnCdMgO, ZnOSe, ZnO
S等及びその組み合わせである、ZnCdMgOSSeである。ま
た、GaN系半導体とはGaN, GaInN, AlGaN 及び AlGaI
nNである。 【0005】 【発明の原理及び作用】本願発明のLEDは、次のような
原理により発光する。従来の半導体発光素子は、全て同
じ半導体のp形半導体とn形半導体のpn接合により発光さ
せる仕組みであった。本願発明の発光原理は、異なる半
導体のp形半導体とn形半導体のpn接合により発光させる
新しい原理である。従来のダブルへテロ構造に用いられ
ているヘテロ構造は、屈折率や禁制帯幅が異なると言う
意味でのヘテロであるが、実際は同族半導体の混晶比を
変化したものにすぎなかった。従来の技術では、同族半
導体の混晶比を変化したものですら画期的であったが、
本発明のヘテロ構造は、完全に異族半導体間接合による
ヘテロ構造であり、従来、発光素子作製は困難とされて
きた。 【0006】図1に、p形GaN半導体とn形ZnO半導体とと
を接合した発光デバイスの例を示す。なお、現状では、
ワイドバンドギャップ半導体で、実用に耐えるp形半導
体が実現されているのは、GaN半導体のみであること、
及び、異族半導体においてGaNとZnOほど格子定数が近接
している例は他にないので、p形GaN半導体とn形ZnO半導
体の組み合わせ以外のものにおいても白色半導体発光素
子となる可能性は低いと思われる。 【0007】白色発光は、異種(ヘテロ)半導体接合
(あるいは、異族(ヘテロ)半導体接合と呼んだ方が、
正確かも知れない。)により発生する禁制帯中の準位を
利用する新しい原理を用いて発生させる。サブ準位が形
成される機構として、次のようなサブバンド形成が考え
られる。2-6族と3-5族のような族まで異なる半導体にお
いては、接合界面において結合する電子の過不足が生
じ、このため、同じ4配位でも2と6,3と5であるので、
余って結合しない電子(ダングリングボンド)、足りな
くて電子の穴が空く(ベーカンシー)ようなものを接合
界面に作って電子の過不足を補正しようとする。このよ
うなものが、サブバンドを形成する原因と考えられる。
また、寄与は少ないと思われるが、次のような効果も若
干含まれるものと考えられる。すなわち、バンドギャッ
プが同じであっても、つまり価電子帯と伝導帯の差が同
じでも、実際の価電子帯や伝導帯の位置が微妙に違って
いると考えられるので、接合界面にはポテンシャルの段
差(バンドオフセット)が生じ、それがサブバンドのよ
うに新たな発光再結合プロセスを形成して禁制帯幅中の
エネルギーでの発光を引き起こしているとも考えられ
る。 【0008】このことにより、蛍光体や蛍光剤は不要と
なる。また、上述のように、異族半導体間接合界面のダ
ングリングボンドなどの形成は、その電子の過不足の補
い方が空間構造的に無数の組み合わせが可能で不特定多
数のサブ準位が形成されるために、上記界面準位は、連
続的に分布する。このため、人間の視感度曲線に極めて
近い白色発光スペクトルをもつ発光が可能となる。 【0009】また、n形半導体部分にはZnO系半導体、p
形半導体部分にはCaN系半導体を用い、特に、n形半導体
部分にはエッチングが容易なZnO系半導体を用いること
により、素子への加工性が向上する特徴を持つ。 【0010】 【実施例】本願発明の実施例を第1図を用いて説明す
る。第1図おいて、p形層として、サファイア(0001)面
基板上にMOCVD法を用いてMgをドーピングしてp形GaN層
を積層する。上記p-GaN層上に、n形ZnO層を作製して、p
n接合を形成する。ここで、族の異なるヘテロ接合作製
技術が必要となる。まず、超高真空中でp-GaN層を水素
プラズマ照射により、エッチングを施し、優れた界面形
成の下準備を行う。その水素プラズマ表面処理を経て、
ZnO層の成長を行う。実施例のデバイスにおいては、発
光層として、不純物を添加していないi-ZnO層を導入し
ている。その積層方法としては、MBE法を用いた。超高
純度Zn(純度7N)はKセルから、酸素源は高純度酸素
(純度6N)のプラズマを用いたRFラジカルセルから
それぞれ供給し、10nm程度の極薄いi-ZnO層を成長し
た。成長温度は、450〜600℃程度、成長中の成長室真空
度は10の-6乗Torr程度である。 【0011】最後に極薄いi-ZnO層上に、Gaを高濃度に
ドーピングしたn形ZnO層を成長させる。これも、i-ZnO
層に引き続きMBE法を用い、超高純度Zn(純度7N)はK
セルから、酸素源は高純度酸素(純度6N)のプラズマ
を用いたRFラジカルセルから、そして、ドーピング用
の超高純度Ga(純度7N)は、Kセルから供給した。成
長膜厚は、200nm程度。成長温度は、i-ZnO層より若干低
く350〜450℃程度、成長中の成長室真空度は10の-6乗To
rr程度である。 【0012】電極構造を作製するために、i-ZnO層とn-Z
nO層を塩酸でエッチングする。本発明の発光素子製造過
程の利点のひとつとして、エッチングにはウェットエッ
チングが利用できることが挙げられる。塩酸系エッチャ
ントだと、ZnO系酸化物半導体は良好にエッチングさ
れ、GaN系窒化物半導体は全くエッチングされないとい
う、ほぼ完全な選択エッチング特性が存在する。これ
は、製造プロセスに大きなアドバンテージがあるのみな
らず、将来的にこの異族半導体間ヘテロ接合を利用した
半導体レーザー等構造の複雑なデバイスを作製する際、
選択エッチングが容易で、塩酸で易しくエッチングされ
るZnO系半導体部分にさまざまな構造を作り込むことが
可能となる。半導体レーザークラスの構造の複雑なデバ
イスになると、その構造の形体は現在でも無数に存在す
ることから、新たな短波長系レーザーダイオードの構造
操作の世界が開ける。現在の窒化物半導体レーザーの構
造は、そのエッチングのしにくさから、構造がおのずと
限られ、短波長レーザー構造の発展の妨げとなってい
る。そういった意味でも、本発明のZnO/GaN異族半導体
間ヘテロ接合は新たな可能性を開くものである。 【0013】最後に、n-ZnO層成長表面に負極電極をと
り、エッチングした後に露出するp-GaN層に正極(+)電
極をとる。負極電極金属にはインジウムを、正極電極に
は金を用いる。 【0014】上記説明において、p形GaN層の下地の基
板は、必ずしも上述のサファイア(0001)面基板である必
要はなく、むしろ導電性のある基板としてSiC基板や、
最近開発されつつあるGaN基板の上や、同じサファイア
基板上でも、ELOG(epitaxial lateral pver growth)の
ような技術を応用したGaN層上に作製されたものの方
が、特性が向上する可能性がある。 【0015】また、一部キャリア電子オーバーフロー防
止層として、p-GaN層上にp-AlGaN層を作製してもよい。 【0016】実際発光デバイスを作製する場合には、量
子井戸層などより多くの層が必要となってくる。有力な
活性層と呼ばれる発光層の候補としてZnCdO混晶半導体
が挙げられる。この場合、Cdの含有量によって発光特性
を制御することが可能となる。 【0017】本願発明の図1のLEDを実際に作製して電
流駆動させた時の発光特性を図4に示す。図4は、pn接合
に電流を流したときの発光強度特性と、電圧特性を表し
ている。異種半導体間ヘテロpn接合にもかかわらず、通
常半導体pn接合に見られる整流特性とLED特性が得られ
ている。発光しきい値電圧は約4Vで、注入電流密度は約
50A/cm2であった。 【0018】本願発明の図1のLEDを実際に作製して発
光させた波長特性評価の結果を図5に示す。図5は、いか
なる波長の光がどういった強度で発光しているかを示し
ている。図中の背景の黒い部分は、人間の視覚の視感度
曲線である。従来の白色LEDは、青色発光と蛍光の両方
の発光を利用するので、図6のように2つのピークを持
ち、視感度曲線と重ならないが、本願発明のLEDでは、
連続的に分布するヘテロ接合の界面準位によりスムーズ
で連続的な曲線をもち視感度曲線に近い発光スペクトル
が得られる。 【0019】本願発明の特徴であるn形半導体部分にはZ
nO系半導体、p形半導体部分にはGaN系半導体を用いた異
種半導体間ヘテロpn接合の発光素子の場合、界面準位を
制御することにより、図7のような違う発光特性をもっ
たLEDを作製することも可能である。実際に青緑色に発
光するLEDを作製して発光させた結果を図7に示す。この
ように、本願発明のLEDでは、紫外線領域から、可視光
全域、赤外波長領域にまで、分布するヘテロ接合の界面
準位を制御することにより発光色を変化させることが可
能である。 【0020】 【発明の効果】 本願発明の半導体発光素子は、人間の
視感度曲線と非常に近い連続的に分布する白色発光曲線
を有することから、白熱電球や蛍光灯にとって替わる新
しい時代の照明として普及する可能性がある。また、新
しい半導体ZnOを用いることにより、低消費電力の白色L
EDの普及を向上させることができ、環境対策、省エネル
ギーに貢献することができる。さらに、スピンコートや
スパッタ蒸着により作製できる可能性があるZnO系半導
体を用いることで、高い生産効率が得られることから、
大面積低コスト化が可能であり、白熱電球や蛍光灯にと
って替わる新しい時代の照明として普及する時の普及率
の高さも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るZnO/GaNヘテロ接合白色LED
の模式図。 【図2】従来のInGaN系白色LEDの模式図。 【図3】従来のZnSe系白色LEDの模式図。 【図4】本願発明に係る白色LEDの発光特性図。 【図5】本願発明の白色LEDの発光スペクトル。 【図6】従来のInGaN系白色LEDの発光スペクトル。 【図7】本願発明に係る青緑色LEDの発光スペクト
ル。
の模式図。 【図2】従来のInGaN系白色LEDの模式図。 【図3】従来のZnSe系白色LEDの模式図。 【図4】本願発明に係る白色LEDの発光特性図。 【図5】本願発明の白色LEDの発光スペクトル。 【図6】従来のInGaN系白色LEDの発光スペクトル。 【図7】本願発明に係る青緑色LEDの発光スペクト
ル。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平10−93134(JP,A)
特開2000−277534(JP,A)
特開 平9−293936(JP,A)
特開2000−269605(JP,A)
特開 昭57−10280(JP,A)
特開2001−210865(JP,A)
特開 平9−208396(JP,A)
国際公開00/016411(WO,A1)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01L 33/00
H01S 5/00 - 5/50
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 n形半導体部分にはZnO系半導体、p形半
導体部分にはGaN系半導体を用いる半導体発光素子にお
いて、発光部分には、ZnO系半導体とGaN系半導体との接
合構造の界面準位を発光準位として利用し、白色発光さ
せることを特徴とする半導体発光素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001017486A JP3498140B2 (ja) | 2001-01-25 | 2001-01-25 | 半導体発光素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001017486A JP3498140B2 (ja) | 2001-01-25 | 2001-01-25 | 半導体発光素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002222991A JP2002222991A (ja) | 2002-08-09 |
JP3498140B2 true JP3498140B2 (ja) | 2004-02-16 |
Family
ID=18883688
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001017486A Expired - Lifetime JP3498140B2 (ja) | 2001-01-25 | 2001-01-25 | 半導体発光素子 |
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