JP3684841B2 - 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオードやレーザダイオード等の光デバイスに利用される窒化ガリウム系化合物半導体発光素子に係り、特に発光層の改良によって発光強度を高くし得た半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム(以下GaNと称する)系化合物半導体は、可視光発光デバイスや高温動作電子デバイス用の半導体材料として多用されるようになり、青色や緑色の発光ダイオードの分野での展開が進んでいる。
【0003】
このGaN系化合物半導体の製造方法は、サファイアやSiCを基板とし、この基板の表面に有機金属気相成長法によってGaN系半導体薄膜を成長させるというのがその基本である。図3に従来のGaN系化合物半導体発光素子の例を示す縦断面図を示す。
【0004】
図3において、サファイアを利用した基板1上にバッファ層2が形成され、このバッファ層2の上には、下から順にn型クラッド層3,発光層4,p型クラッド層5及びp型コンタクト層6が有機金属気相成長法によって積層されている。また、p型コンタクト層6の上にはp側電極7を形成し、p型クラッド層5及び発光層4の一部をエッチング除去して露出したn型クラッド層3の表面にはn側電極8が形成されている。そして、発光域となる発光層4は、たとえば特開平6−260281号公報に記載のように、MgまたはZn等のp型不純物がドープされたn型のInGaN層とすることが既に知られている。
【0005】
また、特開平8−46240号公報には、p型不純物であるアクセプタ不純物とn型不純物であるドナー不純物をドープしてp型とした発光層を形成する発光素子が開示されている。この公報によれば、発光層に正孔を高い濃度で持たせることができるとともに、電子を発光層の深くまで注入できる電子の注入量を増やせるので、正孔と再結合される電子の数が増加し、これによって発光輝度を向上し得るとされている。
【0006】
これらの公報に記載の発光素子は、p型またはn型の伝導型という面で互いに相違する構成ではある。しかしながら、p−n接合ではなく金属−絶縁層−n型半導体層接合のいわゆるMIS構造型の発光素子に比べると、p型またはn型の伝導型の違いに関係なく、発光強度を大幅に改善し得たことは既に知られているとおりである。そして、このような発光強度の改善により、屋外用のフルカラーディスプレイが実用化されるようになったが、視認性を高めるためにさらなる発光強度の向上が望まれている。
【0007】
ところで、GaN系化合物半導体を用いたものも含め、発光ダイオ−ドやレーザダイオード等に用いられる半導体発光素子は、一般的には、半導体のp型領域とn型領域とを結晶学的に接合させて形成したp−n接合部を含む構成である。すなわち、p型領域となる半導体のp型層と、n型領域となる半導体のn型層とを積層させた構造とし、p型層に正の極性、n型層に負の極性で電圧を印加することにより、p−n接合を介してp型層の側からn型層の側へ正孔が注入され、n型層の側からp型層の側へ電子が注入される。そして、p−n接合付近での電子と正孔の再結合により、p−n接合部の半導体のバンドギャップエネルギーに相当するエネルギーを持つ発光が得られるというものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図3の例における発光層4を特開平6−260681号公報に記載のようにn型とすると、このn型の発光層4とその表面に積層されたp型クラッド層5とによって、p−n接合が形成されることになる。このため、発光に寄与する電子と正孔の再結合は、発光層4とp型クラッド層5との接合部付近で起きる。したがって、所望の発光波長を得るために選択された半導体材料からなる発光層4の発光効率を高くすることが困難となり、発光強度の向上には上限がある。
【0009】
また、特開平8−46240号公報のように、発光層4をp型伝導型とする場合では、発光層4に接して形成されているn型クラッド層3との間でp−n接合が形成される。したがって、発光に寄与する電子と正孔の再結合が発光層4とn型クラッド層3との接合部付近で行われ、発光強度の向上には同様に上限がある。
【0010】
このように、InGaN等による発光層をn型またはp型のいずれかの伝導型とすると、p型クラッド層またはn型クラッド層との間のp−n接合が発光領域となってしまう。このため、電子と正孔の再結合を所望の発光波長を得るために材料選択された発光層内だけで有効に生じさせることができず、所望の発光波長において十分な発光効率が得られないという問題がある。
【0011】
本発明において解決すべき課題は、発光強度を更に向上させることにより屋外用フルカラーディスプレイ等により一層好適に利用できるGaN系化合物半導体発光素子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、GaN系化合物半導体発光素子の発光強度の向上を図るため、発光層について鋭意検討を行った。その結果、従来の技術に示したように発光層をn型またはp型のいずれかの伝導型とするのではなく、発光層にn型層とp型層とを含む構成とすることによって、発光強度の大幅な改善が得られることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明は、基板の上に、窒化ガリウム系化合物半導体からなるn型クラッド層と発光層とp型クラッド層とをこの順に積層または逆の順に積層する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、前記発光層を、前記n型クラッド層の側に設けたn型層と前記p型クラッド層の側に設けたp型層との積層体としてなることを特徴とする。このような構成においては、p−n接合を発光層の中に形成できるので、発光効率の高い発光素子が得られる。
【0014】
また、発光層は、前記n型クラッド層に接するn型層と、前記p型クラッド層に接するp型層と、これらのn型層とp型層との間に形成したi型層との積層体としてもよく、同様にp−n接合を発光層の中に形成できるので、発光効率を高めることができる。
【0015】
なお、レーザダイオードの場合では、発光層とn型及びp型のクラッド層との間には、発光層からの光をその近傍に閉じ込めて導波するとともに発光層へのキャリアの閉じ込みを助けるために光ガイド層が一般に形成される。この光ガイド層は、キャリアを発光層の中に閉じ込めるという点ではクラッド層と同様の作用を持つ。したがって、本発明は、p型及びn型のクラッド層はその単層とするかまたはこのような光ガイド層も備えた構成のいずれでもよいことを要件として含む。
【0016】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、基板の上に、窒化ガリウム系化合物半導体からなるn型クラッド層と発光層とp型クラッド層とをこの順に積層または逆の順に積層する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、前記発光層を、前記n型クラッド層の側に設けたn型層と前記p型クラッド層の側に設けたp型層との積層体としてなるものであり、p−n接合を発光層の中に形成できるので、発光層の中への電子と正孔の注入が促され、発光層での電子と正孔の再結合もより一層効率的に実現されるという作用を有する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、基板の上に、窒化ガリウム系化合物半導体からなるn型クラッド層と発光層とp型クラッド層とをこの順にまたは逆の順に積層する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、前記発光層を、前記n型クラッド層の側に設けたn型層と、前記p型クラッド層の側に設けたp型層と、これらのn型層とp型層との間に形成したi型層との積層体としてなるものであり、p−n接合を発光層の中に形成できるので、発光層の中への電子と正孔の注入が促され、発光層での電子と正孔の再結合もより一層効率的に実現されるという作用を有する。
【0018】
以下に、本発明の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るGaN系化合物半導体発光素子の構造を示す縦断面図である。なお、サファイアを利用した基板上に成膜するGaN化合物半導体の層は、発光層を除いて図3の従来の技術のものと同様であり、同じ部材については共通の符号で指示し、その詳細な説明は省略する。
【0019】
図1において、サファイアからなる基板1の上には、バッファ層2,n型クラッド層3,発光層4,p型クラッド層5及びp型コンタクト層6が積層されている。そして、p型コンタクト層6の上にはp側電極7を形成し、p型クラッド層5及び活性層4の一部をエッチング除去して露出したn型層3の表面にはn側電極8が形成されている。なお、n側電極8の材料としては、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の金属を用いることができ、p側及びn側の電極7,8のそれぞれはいずれも金属の蒸着法によって得られる。発光層4はn型クラッド層3及びp型クラッド層5よりもバンドギャップエネルギーの小さいInGaNやInGaAlN等のGaN系化合物半導体であることが好ましい。特に、所望の発光波長が得られるようなバンドギャップエネルギーを有するように、インジウムの組成比を適宜調整したInGaNとすることが望ましい。
【0020】
本発明においては、発光層4は、n型クラッド層3に接触する側をn型層41とし、このn型層41の上に積層されるとともにその上面をp型クラッド層5に接触させたp型層42との二重の積層体として形成されたものである。
【0021】
n型層41は、先に述べたInGaNやInGaAlN等のGaN系化合物半導体の気相成長過程において、SiやGe等のn型不純物をドープするか、あるいはn型不純物をドープせず、アンドープとしてn型伝導型としたものである。なお、GaN系化合物半導体は、SiやGe等のn型不純物をドープしなくてもn型の伝導型とすることができ、n型不純物を積極的にドープすることで発光層4への電子の注入効率の向上を図ることも可能である。
【0022】
p型層42は、同様にInGaNやInGaAlN等のGaN系化合物半導体の気相成長過程において、Mgをドープさせてp型伝導型としたものである。p型ドーパントとしては、Mgの他にもZnやCd,Be,Ca,C等の不純物が利用できる。この場合、発光層4の中で深い準位を形成しにくいMgを用いると、発光層4のバンド間遷移を利用した発光が得やすくなり、発光効率を高くすることができるので、発光輝度の向上の面からはMgをドーパントとすることが好ましい。
【0023】
また、発光層4の下側に位置してその表面にn型層41を積層するn型クラッド層3は、発光層4よりも大きいバンドギャップエネルギーを持つGaN系化合物半導体であればよい。たとえば、GaNやInGaN,InGaAlN等が用いられる。
【0024】
発光層4の上側に位置してp型層42の表面に積層されるp型クラッド層5も、同様に発光層よりも大きいバンドギャップエネルギーを持つGaN系化合物半導体であればよい。たとえば、GaNやInGaN,AlGaN,InGaAlN等を用いることができる。
【0025】
このように、発光層4をn型層41とp型層42との二重の層とすることによって、発光層4自身の中にn型層41とp型層42とによるp−n接合が確実に形成される。したがって、発光層4の中への電子と正孔の注入が促されるとともに、電子と正孔の再結合が発光層4の中で行われやすくなるので、発光効率が高くなり、発光強度の向上が可能となる。
【0026】
また、発光層4をp型層42とn型層41の二重層とするのに加えて、発光層4のn型層41はn型クラッド層3に接し、発光層4のp型層42はp型クラッド層5に接触している。このような積層構造では、p−n接合を発光層4の中に確実に形成できるとともに、n型クラッド層3から電子が効率的に発光層の中へ注入され、かつp型クラッド層5から正孔が効率的に発光層4の中へ注入される。したがって、発光層4の中での電子と正孔の再結合がさらに一層行われやすくなり、発光効率もより一層高められる。
【0027】
図2は請求項2の発明のGaN系化合物半導体発光素子の縦断面図である。なお、図1の例と同じ部材については共通の符号で指示し、詳細な説明は省略する。
【0028】
この例では、発光層4はn型層41とp型層42とに加えてこれらの層41,42の間にi型層43を形成した3層構造であり、この点だけが図1の構成と相違する。
【0029】
本発明において、i型層43とは、抵抗率が高くてキャリア濃度が非常に低いp型層あるいはn型層のいずれかの層のことである。すなわち、i型層43は、SiやGe等のn型不純物とMg等のp型不純物とを同時にドープさせて、あるいはn型不純物をドープせずにMg等のp型不純物を少量ドープさせてキャリアの補償を生じさせ、キャリア濃度を非常に低くした層として用いることができる。n型不純物とp型不純物の同時ドープは、発光層4の結晶成長中に、n型不純物及びp型不純物の原料ガスを同時に流して供給することで可能である。また、これに代えて、n型不純物をドープするかあるいはn型不純物をドープせずにアンドープとしてn型層41を形成した後、p型不純物をドープしたp型層42やp型クラッド層5を形成する際に、これらp型の層からのp型不純物の拡散によりn型層の一部にp型不純物をドープさせて、n型不純物とp型不純物をドープ、あるいはp型不純物のみを低濃度にドープさせた領域を層状に形成してこの層をi型層とすることもできる。
【0030】
このように、発光層4をn型層41とi型層43とp型層42との3層構造とすると、キャリア濃度の非常に低いi型層43を挟んでn型層41とp型層42が形成されるので、発光層4の中にp−n接合が確実に形成される。このため、電子と正孔の再結合が発光層4の中で促され発光強度を高めることができる。
【0031】
なお、図1及び図2の例では、基板1の上にバッファ層2を介してn型クラッド層3と発光層4とp型クラッド層5との順に積層した場合を示したが、n型クラッド層3とp型クラッド層5とを入れ換えた構成とすることもできる。すなわち、基板1側からp型クラッド層5と発光層4とn型クラッド層3とを順に積層し、発光層4はそのp型層42をp型クラッド層5の側に及びn型層41をn型層3の側にそれぞれ設ける関係としてもよい。また、図2の例におけるi型層43を含むものについても同様の構成とすればよい。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の半導体発光素子をその具体的な製造方法に基づいて説明する。本実施例は、有機金属気相成長法を用いたGaN系化合物半導体の成長方法を示すものであり、実施例1は図1に示した構成のものであり、実施例2は図2に示した構成のものに対応する。
【0033】
(実施例1)
まず、表面を鏡面に仕上げられたサファイアの基板1を反応管内の基板ホルダーに載置した後、基板1の表面温度を1100℃に10分間保ち、水素ガスを流しながら基板1を加熱することにより、基板1の表面に付着している有機物等の汚れや水分を取り除くためのクリーニングを行う。
【0034】
次に、基板1の表面温度を600℃にまで降下させ、主キャリアガスとしての窒素ガスを10リットル/分、アンモニアを5リットル/分、トリメチルアルミニウム(以下、「TMA」と記す)を含むTMA用のキャリアガスを20cc/分で流しながら、AlNからなるバッファ層2を25nmの厚さで成長させる。
【0035】
次に、TMAのキャリアガスのみを止めて1050℃まで昇温させた後、主キャリアガスとして、窒素ガスを9リットル/分、水素ガスを0.95リットル/分で流しながら、新たにトリメチルガリウム(以下、「TMG」と記す)用のキャリアガスを4cc/分、Si源である10ppmのSiH4(モノシラン)ガスを10cc/分で流しながら60分間成長させて、SiをドープしたGaNからなるn型クラッド層3を2μmの厚さで成長させる。
【0036】
n型クラッド層3を成長形成した後、TMG用のキャリアガスとSiH4ガスを止め、基板1の表面温度を750℃まで降下させ、新たに主キャリアガスとして窒素ガスを10リットル/分、TMG用のキャリアガスを2cc/分、トリメチルインジウム(以下、「TMI」と記す)用のキャリアガスを200cc/分で流しながら60秒間成長させて、InGaNからなるアンドープでn型の発光層4を6nmの厚さで成長させる。
【0037】
発光層4を成膜後、TMI用のキャリアガスとTMG用のキャリアガスを止め、基板1の表面温度を1050℃まで上昇させ、新たに主キャリアガスとして窒素ガスを9リットル/分、水素ガスを0.90リットル/分、TMG用のキャリアガスを4cc/分、TMA用のキャリアガスを6cc/分、Mg源であるビスシクロペンタジエニルマグネシウム(以下、「Cp2Mg」と記す)用のキャリアガスを60cc/分で流しながら4分間成長させて、MgをドープしたAlGaNからなるp型クラッド層5を0.1μmの厚さで成長させる。
【0038】
p型クラッド層5を成長形成した後、TMA用のキャリアガスと、TMG用のキャリアガスと、Cp2Mg用のキャリアガスとを止め、基板1の温度を1050℃に8分間保持して、p型クラッド層5にドープされたMgを発光層4に拡散させ、発光層4のp型クラッド層5に接する側を約3nmの厚さでp型層42とし、発光層4のn型クラッド層3に接する側を約3nmの厚さでn型層41とする。このようにして、発光層4をn型層41とp型42との積層体として形成する。
【0039】
引き続き、1050℃にて、新たに主キャリアガスとして窒素ガスを9リットル/分、水素ガスを0.90リットル/分と、TMG用のキャリアガスを4cc/分、Cp2Mg用のキャリアガス100cc/分で流しながら3分間成長させ、MgをドープしたGaNからなるp型コンタクト層6を0.1μmの厚さで成長させる。
【0040】
成長後、原料ガスであるTMG用のキャリアガスとCp2Mg用のキャリアガスとアンモニアを止め、窒素ガスと水素ガスをそのままの流量で流しながら室温まで冷却した後、ウェハーを反応管から取り出す。
【0041】
このようにして形成したp−n接合を含むGaN系化合物半導体からなる積層構造に対して、その表面上にCVD法によりSiO2膜を堆積させた後、フォトリソグラフィーにより所定の形状にパターンニングしてエッチング用のマスクを形成する。そして、反応性イオンエッチング法により、p型コンタクト層6とp型クラッド層5と活性層4の一部を約0.25μmの深さで除去して、n型層3の表面上を露出させ、このn型層3の露出表面の上にAlからなるn側電極8を蒸着形成する。さらに、同様にしてp型コンタクト層6の表面上にNiとAuからなるp側電極7を形成する。
【0042】
この後、サファイアの基板1の裏面を研磨して100μm程度にまで薄くし、スクライブによりチップ状に分離する。このようにして、図1に示すような発光素子が得られる。
【0043】
以上の製造方法によって得られたGaN系化合物半導体発光素子をその電極形成面側を上向きにしてステムに接着した後、チップのn側電極8とp側電極7をそれぞれステム上の電極にワイヤで結線し、その後樹脂モールドして発光ダイオードを作製した。そして、この発光ダイオードを20mAの順方向電流で駆動したところ、波長455nmの青色に発光し、スペクトル半値幅は18nmであり、発光出力は1050μWであった。
【0044】
(実施例2)
実施例1と同様にして、基板1の上にバッファ層2とn型クラッド層3とを形成した後、750℃にて新たに主キャリアガスとして窒素ガスを10リットル/分、TMG用のキャリアガスを2cc/分、TMI用のキャリアガスを200cc/分で流し、同時にSiH4ガスを10cc/分から0.1cc/分までリニアに減少させながら流しながら70秒間成長させて、InGaNからなる発光層4の一部を70nmの厚さで成長させる。引き続き、SiH4ガスを止めTMG用のキャリアガスとTMI用のキャリアガスをそのままの流量で流しながら130秒間成長させて、発光層4の残りを130nmの厚さで成長させる。
【0045】
この後、TMI用のキャリアガスとTMG用のキャリアガスを止め、基板1の表面温度を1050℃まで上昇させ、新たに主キャリアガスとして窒素ガスを9リットル/分、水素ガスを0.90リットル/分、TMG用のキャリアガスを4cc/分、TMA用のキャリアガスを6cc/分、Cp2Mg用のキャリアガスを60cc/分で流しながら4分間成長させて、MgをドープしたAlGaNからなるp型クラッド層5を0.1μmの厚さで成長させる。
【0046】
p型クラッド層5を成長形成した後、TMA用のキャリアガスと、TMG用のキャリアガスとCp2Mg用のキャリアガスとを止め、基板1の温度を1050℃に15分間保持して、p型クラッド層5にドープされたMgを発光層4に拡散させ、発光層4のp型クラッド層5に接する側を約7nmの厚さでp型層42とし、発光層4のn型クラッド層3に接する側を約7nmの厚さでn型層41とし、n型層41とp型層42の間の層状の領域を約6nmの厚さでi型層43とする。このようにして、発光層4をn型層41とi型層43とp型層42との積層体として形成する。
【0047】
この後、実施例1と同様にして電極形成及びチップ分離等を行い、図2に示すような発光素子が得られる。さらに、実施例1と同様にして、発光ダイオードを作製し、20mAの順方向電流で駆動したところ、波長445nmの青色に発光し、スペクトル半値幅は17nmであり、発光出力は1150μWであった。
【0048】
【発明の効果】
請求項1及び2の発明では、GaN系半導体化合物の発光層の中に、n型層とp型層との積層体またはi型層を含めた積層体を形成するので、発光層の中への電子及び正孔の注入をより一層効率的に促すことができ、発光強度が大幅に改善された青色発光の発光素子が得られる。したがって、屋外設備用のフルカラーディスプレイ等ににも支障なく使用することができ、その用途範囲の拡大が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るGaN系化合物半導体発光素子の構造を示す縦断面図
【図2】発光層をn型層とi型層とp型層の3層構造とした例のGaN系化合物半導体発光素子の構造を示す縦断面図
【図3】従来のGaN系化合物半導体発光素子の例を示す縦断面図
【符号の説明】
1 基板
2 バッファ層
3 n型クラッド層
4 発光層
5 p型クラッド層
6 p型コンタクト層
7 p側電極
8 n側電極
41 n型層
42 p型層
43 i型層
Claims (3)
- 基板と、
前記基板の上方に配置された窒化ガリウム系化合物半導体からなるn型クラッド層と、
前記n型クラッド層の上面に配置された窒化ガリウム系化合物半導体からなるn型発光層と、
前記n型発光層の上面に配置された窒化ガリウム系化合物半導体からなるi型発光層と、
前記i型発光層の上面に配置された窒化ガリウム系化合物半導体からなる p 型発光層と、
前記p型発光層の上面に配置された窒化ガリウム系化合物半導体からなるp型クラッド層と、
を備えた窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。 - 前記i型発光層は、前記n型発光層およびp型発光層よりキャリア不純物濃度が低いことを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
- 前記n型発光層、前記i型発光層、前記p型発光層は、InGaNで構成され、前記n型クラッド層、前記p型クラッド層は、AlGaNで構成されることを特徴とする請求項1または2記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
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