JP3489860B2 - Fe−Co−V合金の線材製造方法 - Google Patents

Fe−Co−V合金の線材製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Fe−Co−V合金
(以下、パーメンジュール)の線材を製造するにあた
り、圧着溶接により長尺化し、その後冷間引抜加工を施
すことにより良好な磁気特性が得られる製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コストダウンを目的として、素材
単重の大型化が進められている。しかし、一般にパーメ
ンジュールは焼入れ処理を必要とするため、長尺化が困
難であった。長尺化する方法として、接合部に異種金属
を挿入して溶接し、所定の寸法形状に加工後、溶接部を
切断除去により取り除くという方法も検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この方法では、素材単
重を大きくしても、最終工程において異種金属の切断除
去を行わなければならず、又溶接部を検出する装置が必
要となる等、製造工数が多いという欠点があった。又、
同種金属の溶接も行われているが、熱の影響での組織変
化による特性劣化等の問題があった。そこで、本発明の
技術的課題は、パーメンジュールの線材を異種金属を用
いることなく圧着溶接し、長尺化することによって生産
性を向上することにあり、具体的には、溶接部が熱の影
響により特性劣化することなく、溶接部が非溶接部と比
べ、なんら遜色のない磁気特性を得る製造方法を提案す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】Co47〜53重量%、
V1〜2.5重量%、残部が実質的にFeからなる合金
の線材を製造する方法において、パーメンジュールの
熱間加工後の線材を850℃〜900℃で1〜2時間加
熱後、5℃以下の水中に焼入れし、アルゴンガス又は窒
素ガス等の不活性ガス雰囲気中において750℃〜85
0℃で圧着溶接し、溶接後20%以上の冷間引抜加工を
施し磁気焼鈍すること、圧着溶接する前に、減面率2
0%以上の冷間引抜加工を行ってから、圧着溶接して冷
間引抜加工を施し磁気焼鈍すること、圧着応力は13
0Kg/mm以上170Kg/mm未満とすること
により、溶接部が非溶接部となんら変わらない良好な磁
気特性を有するパーメンジュールの線材を供給できる。
【0005】
【作用】本発明では、パーメンジュールの線材を異種金
属を用いることなく溶接接続し、かつその溶接部が溶接
前の減面率20%以上の冷間加工で組織が均一化され、
更に、溶接後の減面率20%以上の冷間引抜加工を施す
ことにより、磁気焼鈍後、溶接部が非溶接部となんら変
わりのない良好な磁気特性を得ることができる。つま
り、異種金属を用いることなく、溶接により素材単重を
大型化することができ、溶接部においても良好な磁気特
性を確保しうるので、長尺化による生産性の向上が可能
となる。
【0006】
【実施例】以下、本発明による実施例について、図面を
参照して説明する。図4は、従来の製造方法によるパー
メンジュール線材の概略の製造工程を示した図である。
真空溶解炉により溶解されたインゴットを1000℃〜
1100℃に加熱後、φ90mm程度のビレットに熱間
加工し、表面の傷等の除去を旋盤で行い、1000℃〜
1100℃に加熱後、φ6〜φ9mm程度に熱間圧延し
た素材を、850℃〜900℃で加熱後、10℃の冷水
中に焼入れし、その後、素材単重を大型化するため、ダ
ミー材として素材径と同径のステンレス棒、軟鋼等を圧
着溶接し、所定の寸法まで冷間引抜加工後、ダミー材を
検出し切断除去を行っていた。
【0007】図1は、本発明によるパーメンジュール線
材の概略の製造工程を示した図である。点線より前の工
程は、従来法と同じである。従来の方法で加工された素
材を減面率20%以上の冷間引抜加工を行うことによ
り、冷水焼入れによって得られたα相を、より均一に分
布させた結晶組織にし、このパーメンジュールの端部を
ファインカツター等湿式切断で熱による悪影響を与えず
面出しし、圧着時の接触面積を大きくする。これらの面
出しした二つの素材をアルゴンガス又は窒素ガス等の不
活性ガス雰囲気中において、各々を溶体化温度以下であ
る750℃〜850℃に急加熱後、130Kg/mm2
以上170Kg/mm2未満の圧着応力により溶接す
る。表1に圧着応力と引抜性の関係について示したが、
130Kg/mm2未満では、引抜加工時、溶接部にお
いて破断が発生し、170Kg/mm2以上では、圧着
応力が大き過ぎて溶接できない。
【0008】
【表1】
【0009】圧着溶接後、圧着による溶接部の肉盛りを
グラインダー等により除去し、減面率20%以上の冷間
引抜加工を行う。
【0010】図2は、0〜40%の減面率の加工を行
い、その後に830℃で熱処理を施した時の磁束密度の
変化を加工率(減面率)に対して示した図である。この
図よりわかるように、減面率20%未満の冷間加工では
溶接時の熱影響による歪みが残り、磁気焼鈍をしても良
好な磁気特性を得ることはできず、減面率20%以上の
冷間引抜加工を行うことにより、熱影響の歪みを完全に
除去することができ、磁気焼鈍後、良好な磁気特性を得
ることができる。
【0011】表2に溶接後、減面率20%の冷間引抜加
工をしたパーメンジュール溶接部、非溶接部の定量面分
析結果を示す。
【0012】
【表2】
【0013】表2より、溶接部、非溶接部において、パ
ーメンジュールの主成分であるFe,Co,Vの成分変
化は、ほとんど認められない。
【0014】図3に、表2と同一試料についての溶接部
と溶接部を挟んだ両側の非溶接部分にまたがってスキャ
ンした場合のCo,Vの線分析結果を示す。縦軸は、C
o,Vそれぞれの含有量を相対強度で示している。図3
においても、Co,Vの成分変化は、ほとんど認められ
ない。
【0015】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によるパーメ
ンジュールの線材製造方法を用いれば、線材の溶接時に
異種金属をダミー材として用いることなく、圧着溶接に
より線材の長尺化が可能となり、その後、減面率20%
以上の冷間引抜加工を行うことにより、溶接部、非溶接
部ともに、なんら変わりのない良好な磁気特性を得るこ
とができるパーメンジュールの線材製造方法を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるパーメンジュール線材の
概略の製造工程図。
【図2】本発明の実施例による冷間加工の減面率と磁気
特性の関係について示した図。
【図3】本発明の実施例による減面率20%の冷間引抜
加工をした後の溶接部、非溶接部にまたがったCo,V
についての線方向の組成分布を示した図。
【図4】従来の製造方法によるパーメンジュール線材の
概略の製造工程図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22F 1/10 C22F 1/10 J

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co47〜53重量%、V1〜2.5重
    量%、残部が実質的にFeからなる合金の線材を製造す
    る方法において、溶解後、熱間圧延されたφ6〜φ9m
    mの線材を850℃〜900℃で加熱し、5℃以下の水
    中に焼入れ後、不活性ガス雰囲気中において750℃〜
    850℃で、130Kg/mm 以上170Kg/mm
    未満の応力で圧着溶接し、その後減面率20%以上の
    冷間引抜加工を施した後、磁気焼鈍することを特徴とす
    るFe−Co−V合金の線材製造方法。
  2. 【請求項2】 Co47〜53重量%、V1〜2.5重
    量%、残部が実質的にFeからなる合金の線材を製造す
    る方法において、溶解後、熱間圧延されたφ6〜φ9m
    mの線材を850℃〜900℃で加熱し、5℃以下の水
    中に焼入れ後、減面率20%以上の冷間引抜加工を施
    し、その後不活性ガス雰囲気中において750℃〜85
    0℃で、130Kg/mm 以上170Kg/mm
    満の応力で圧着溶接した後、磁気焼鈍することを特徴と
    するFe−Co−V合金の線材製造方法。
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